特許第6600295号(P6600295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6600295
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/00 20060101AFI20191021BHJP
   F01M 13/04 20060101ALI20191021BHJP
   F02F 7/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   F01M13/00 H
   F01M13/04 E
   F02F7/00 P
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-239833(P2016-239833)
(22)【出願日】2016年12月9日
(65)【公開番号】特開2018-96244(P2018-96244A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2018年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽
(72)【発明者】
【氏名】小山 秀行
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 隆寛
(72)【発明者】
【氏名】尾曽 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】長井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆志
【審査官】 家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−108215(JP,U)
【文献】 特開平11−350934(JP,A)
【文献】 特開2009−226263(JP,A)
【文献】 特開2012−007526(JP,A)
【文献】 特開平8−260936(JP,A)
【文献】 特開2003−035259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/00
F01M 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッド(1)と、シリンダヘッド(1)の上部に組み付けられたシリンダヘッドカバー(2)と、シリンダヘッドカバー(2)内に配置されたブリーザ室(4)を備え、
ブリーザ室(4)は、オイル排出ガイド溝(7)と、オイル排出ガイド溝(7)の上方に配置されたブローバイガス通過空間(8)と、オイル排出ガイド溝(7)から下方に導出されたオイル排出パイプ(16)を備え、
シリンダヘッド(1)は、オイル溜め(17)を備え、オイル溜め(17)に溜められたオイル(18)にオイル排出パイプ(16)のパイプ出口(16a)が浸漬されているエンジンにおいて、
オイル排出ガイド溝(7)は、逆流によりオイル排出パイプ(16)のパイプ入口(16c)から吹き上がったオイル(18)を受け止めるオイル受け(26)と、オイル受け(26)とパイプ入口(16c)の間に設けられたオイル吹き上げ空間(51)と、オイル吹き上げ空間(51)よりもオイル排出方向上流側に設けられたオイルミスト凝縮溝(52)を備え、
オイルミスト凝縮溝(52)の内面は、オイル排出方向上流側に近づくほど、オイルミスト凝縮溝(52)の内側寄りに進出する階段状のジグザク面とされている、ことを特徴とするエンジン。
【請求項2】
請求項1に記載されたエンジンにおいて、
オイルミスト凝縮溝(52)の内面のうち、上方から見て、オイル排出方向と直交する幅方向の両端側内周面(52a)(52b)が階段状のジグザグ面とされている、ことを特徴とするエンジン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたエンジンにおいて、
オイルミスト凝縮溝(52)の内面のうち、内底面(52c)が階段状のジグザグ面とされている、ことを特徴とするエンジン。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
オイル排出ガイド溝(7)は、オイル吹き上げ空間(51)とオイルミスト凝縮溝(52)の間に設けられた区画壁(53)と、オイル吹き上げ空間(51)とオイルミスト凝縮溝(52)を連通させる絞り連通部(54a)(54b)を備えている、ことを特徴とするエンジン。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
シリンダヘッドカバー(2)の長手方向を前後方向として、ブリーザ室(4)は、前後方向一端側にブローバイガス入口(5)を、前後方向他端側にブローバイガス出口(6)を、前後方向中間位置にオイル排出ガイド溝(7)とブローバイガス通過空間(8)をそれぞれ備え、シリンダヘッドカバー(2)はロッカアーム(3)を覆い、
ブローバイガス入口(5)は、ブリーザ室(4)の底壁(4a)に開口され、オイル排出ガイド溝(7)の周壁(7d)は、ブローバイガス出口(6)側のロッカアーム(3)とブローバイガス入口(5)の間に向けて、ブリーザ室(4)の底壁(4a)から下向きに突設されている、ことを特徴とするエンジン。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
ブリーザ室(4)は、ブローバイガス入口(5)のある入口側オイル分離室(9)と、ブローバイガス迂回通路(10)を備え、入口側オイル分離室(9)を出たブローバイガス(11)がブローバイガス迂回通路(10)を介してブローバイガス通過空間(8)とオイル排出ガイド溝(7)に導入されるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
【請求項7】
請求項6記載されたエンジンにおいて、
ブリーザ室(4)は、ブローバイガス迂回通路(10)とブローバイガス通過空間(8)を仕切る隔壁(12)と、分離オイル誘導路(13)を備え、分離オイル誘導路(13)は、始端部(13a)が入口側オイル分離室(9)に配置され、中間部(13b)がブローバイガス迂回通路(10)の始端部(10a)に配置され、終端部(13c)が隔壁(12)の下方をくぐり抜けて、オイル排出ガイド溝(7)まで導出されている、ことを特徴とするエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関し、詳しくは、オイル消費量を低減することができるエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンとして、次のものがある (例えば、特許文献1参照)。
シリンダヘッドと、シリンダヘッドの上部に組み付けられたシリンダヘッドカバーと、シリンダヘッドカバー内に配置されたブリーザ室を備え、
ブリーザ室は、オイル排出ガイド溝と、オイル排出ガイド溝の上方に配置されたブローバイガス通過空間と、オイル排出ガイド溝から下方に導出されたオイル排出パイプを備え、
シリンダヘッドは、オイル溜めを備え、オイル溜めに溜められたオイルにオイル排出パイプのパイプ出口が浸漬されているエンジン。
【0003】
この種のエンジンによれば、シリンダヘッドカバー内のブローバイガスがオイル排出パイプからブリーザ室に進入するのをオイル溜めのオイルで防止することができる利点がある。
【0004】
特許文献1のものでは、シリンダヘッドカバー内とブリーザ室内の差圧が大きくなると、オイル溜めのオイルがオイル排出パイプからブローバイガス通過空間に吹き上がり、拡散する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭57−171110号公報(図2図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
《問題点》 オイル消費量が多くなるおそれがある。
特許文献1のものでは、オイル溜めのオイルがブローバイガス通過空間に吹き上がり、再ミスト化され、ブローバイガスによってブリーザ室から連れ出され、オイル消費量が多くなるおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、オイル消費量を低減することができるエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明特定事項は、次の通りである。
図6に例示するように、シリンダヘッド(1)と、シリンダヘッド(1)の上部に組み付けられたシリンダヘッドカバー(2)と、シリンダヘッドカバー(2)内に配置されたブリーザ室(4)を備え、
ブリーザ室(4)は、オイル排出ガイド溝(7)と、オイル排出ガイド溝(7)の上方に配置されたブローバイガス通過空間(8)と、オイル排出ガイド溝(7)から下方に導出されたオイル排出パイプ(16)を備え、
シリンダヘッド(1)は、オイル溜め(17)を備え、オイル溜め(17)に溜められたオイル(18)にオイル排出パイプ(16)のパイプ出口(16a)が浸漬されているエンジンにおいて、
図6図10(A)〜(C)に例示するように、オイル排出ガイド溝(7)は、逆流によりオイル排出パイプ(16)のパイプ入口(16c)から吹き上がったオイル(18)を受け止めるオイル受け(26)と、オイル受け(26)とパイプ入口(16c)の間に設けられたオイル吹き上げ空間(51)と、オイル吹き上げ空間(51)よりもオイル排出方向上流側に設けられたオイルミスト凝縮溝(52)を備え、
図10(A)(B)に例示するように、オイルミスト凝縮溝(52)の内面は、オイル排出方向上流側に近づくほど、オイルミスト凝縮溝(52)の内側寄りに進出する階段状のジグザク面とされている、ことを特徴とするエンジン。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オイル消費量を低減することができる。
その理由は、次の通りである。
図6図10(A)〜(C)に例示するように、シリンダヘッドカバー(2)内とブリーザ室(4)内の差圧が大きくなり、オイル溜め(17)のオイル(18)がオイル排出パイプ(16)から吹き上がっても、オイル(18)はオイル受け(26)で受け止められ、オイル吹き上げ空間(51)で再ミスト化されたオイル(18)がオイルミスト凝縮溝(52)に逆流しても、このオイルミストはオイルミスト凝縮溝(52)の内面の階段状のジグザグ面に衝突し、凝縮されるため、オイル吹き上げ空間(51)で再ミスト化されたオイル(18)がブローバイガス(11)でブリーザ室(4)から連れ出される不具合が抑制され、オイル消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るエンジンのシリンダヘッドカバーとオイル受けとブリーザ室の底壁の分解斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るエンジンの上部縦断側面図である。
図3図2のIII−III線断面図である。
図4図2のIV−IV線断面図である。
図5図3のV-V線断面図である。
図6図6図3のVI-VI線断面図である。
図7図3のVII-VII線断面図である。
図8】本発明の実施形態に係るエンジンで用いる分離オイル誘導路を説明する図で、図8(A)は基本例、図8(B)は第1変形例、図8(C)は第2変形例である。
図9】本発明の実施形態に係るエンジンで用いる分離オイル誘導路の第3変形例を説明する図で、図9(A)は図3相当図、図9(B)は図5相当図である。
図10】本発明の実施形態に係るエンジンで用いるオイル排出ガイド溝の基本例を説明する図で、図10(A)は縦断正面図、図10(B)は図10(A)のB方向矢視図、図10(C)は図10(A)のC−C線断面図である。
図11】本発明の実施形態に係るエンジンで用いるオイル排出ガイド溝の縦断斜視図である。
図12】本発明の実施形態に係るエンジンで用いるオイル排出パイプの変形例を説明する図で、図12(A)は変形例の縦断正面図、図12(B)は図12(A)のB−B線断面図である。
図13】本発明の実施形態に係るエンジンで用いるシボを説明する図で、図13(A)は基本例、図13(B)は第1変形例、図13(C)は第2変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図13は本発明の実施形態に係るエンジンを説明する図であり、この実施形態では、立形の直列2気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
【0012】
この実施形態のエンジンの概要は、次の通りである。
図2に示すように、シリンダブロック(図外)の上部にシリンダヘッド(1)が組み付けられ、シリンダヘッド(1)の上部にシリンダヘッドカバー(2)が組み付けられている。クランク軸(図外)の架設方向を前後方向として、その一方を前、他方を後とする。
シリンダブロック(図外)の下部にはオイルパン(図外)が組み付けられている。
【0013】
シリンダヘッド(1)にはうず室(図外)が設けられ、このうず室(図外)に燃料噴射ポンプ(図外)から燃料噴射管(図外)と燃料噴射ノズル(図外)を介して燃料が噴射される。
【0014】
図7に示すように、シリンダヘッドカバー(2)内には、吸気及び排気の弁装置(32)が収容され、この弁装置(32)が動弁装置(33)で駆動される。動弁装置(33)は、動弁カム(図外)とタペット(図外)とプッシュロッド(33c)とロッカアーム(3)を備えている。プッシュロッド(33c)は図4に示すプッシュロッド室(33d)に収容されている。クランクケース(図外)内のブローバイガス(11)は、プッシュロッド室(33d)を介してシリンダヘッドカバー(2)内に進入する。
【0015】
図1に示すように、シリンダヘッドカバー(2)内にブリーザ室(4)の底壁(4a)が下側から組み付けられ、シリンダヘッドカバー(2)の天井壁(2a)に給油孔(2b)が開口され、この給油孔(2b)が着脱自在の蓋(2c)で塞がれている。
ブリーザ室(4)の底壁(4a)は合成樹脂製である。シリンダヘッドカバー(2)はアルミダイカスト製である。
【0016】
図6に示すように、このエンジンは、シリンダヘッド(1)と、シリンダヘッド(1)の上部に組み付けられたシリンダヘッドカバー(2)と、シリンダヘッドカバー(2)内に配置されたブリーザ室(4)を備えている。
ブリーザ室(4)は、オイル排出ガイド溝(7)と、オイル排出ガイド溝(7)の上方に配置されたブローバイガス通過空間(8)と、オイル排出ガイド溝(7)から下方に導出されたオイル排出パイプ(16)を備えている。
シリンダヘッド(1)は、オイル溜め(17)を備え、オイル溜め(17)に溜められたオイル(18)にオイル排出パイプ(16)のパイプ出口(16a)が浸漬されている。
このエンジンでは、シリンダヘッドカバー(2)内のブローバイガスがオイル排出パイプ(16)からブリーザ室(4)に進入するのをオイル溜め(17)のオイル(18)で防止することができる利点がある。
【0017】
図6図10(A)〜(C)に示すように、オイル排出ガイド溝(7)は、逆流によりオイル排出パイプ(16)のパイプ入口(16c)から吹き上がったオイル(18)を受け止めるオイル受け(26)と、オイル受け(26)とパイプ入口(16c)の間に設けられたオイル吹き上げ空間(51)と、オイル吹き上げ空間(51)よりもオイル排出方向上流側に設けられたオイルミスト凝縮溝(52)を備えている。
そして、図10(A)(B)に示すように、オイルミスト凝縮溝(52)の内面は、オイル排出方向上流側に近づくほど、オイルミスト凝縮溝(52)の内側寄りに進出する階段状のジグザク面とされている。
【0018】
上記構成により、オイル消費量を低減することができる。
その理由は、次の通りである。
図6図10(A)〜(C)に示すように、シリンダヘッドカバー(2)内とブリーザ室(4)内の差圧が大きくなり、オイル溜め(17)のオイル(18)がオイル排出パイプ(16)から吹き上がっても、オイル(18)はオイル受け(26)で受け止められる。そして、オイル吹き上げ空間(51)で再ミスト化されたオイル(18)がオイルミスト凝縮溝(52)に逆流しても、このオイルミストはオイルミスト凝縮溝(52)の内面の階段状のジグザグ面に衝突し、凝縮され、オイル吹き上げ空間(51)で再ミスト化されたオイル(18)がブローバイガス(11)でブリーザ室(4)から連れ出される不具合が抑制され、オイル消費量を低減することができる。
【0019】
オイル吹き上がりの理由は、次の通りである。
ブリーザ室(4)のブローバイガス出口(6)は、吸気通路(図外)と連通し、エアクリーナ(図外)の目詰まり等により、吸気通路の負圧が高くなると、ブリーザ室(4)の内圧が低下し、ブリーザ室(4)の内外の差圧が大きくなり、オイル溜め(17)のオイル(18)がオイル排出パイプ(16)からブリーザ室(4)に吹き上がる。
【0020】
図10(B)に示すように、オイルミスト凝縮溝(52)の内面のうち、上方から見て、オイル排出方向と直交する幅方向の両端側内周面(52a)(52b)が階段状のジグザグ面とされている。
上記構成により、エンジンが上記幅方向の一方に傾き、かつ、オイル排出方向上流側にも傾いた場合には、オイル(18)がジクザグ面で構成されたオイルミスト凝縮溝(52)の幅方向の両端側内周面(52a)(52b)の一方の窪みに溜まり、オイル(18)がオイル排出方向の上流側に逆流しにくい。
【0021】
図10(A)に示すように、オイルミスト凝縮溝(52)の内面のうち、内底面(52c)が階段状のジグザグ面とされている。
上記構成により、エンジンがオイル排出方向上流側に傾いた場合には、オイル(18)がジクザグ面で構成されたオイルミスト凝縮溝(52)の内底面(52c)の窪みに溜まり、オイル(18)がオイル排出方向の上流側に逆流しにくい。
【0022】
図10(B)(C)に示すように、オイル排出ガイド溝(7)は、オイル吹き上げ空間(51)とオイルミスト凝縮溝(52)の間に設けられた区画壁(53)と、オイル吹き上げ空間(51)とオイルミスト凝縮溝(52)を連通させる絞り連通部(54a)(54b)を備えている。
上記構成により、オイル吹き上げ空間(51)からオイルミスト凝縮溝(52)に逆流するオイルミストが絞り連通部(54a)(54b)を通過する際にブローバイガス(11)からオイル分離され、オイル吹き上げ空間(51)で再ミスト化されたオイル(18)がブローバイガス(11)でブリーザ室(4)から連れ出される不具合が抑制され、オイル消費量を低減することができる。
【0023】
図10(B)(C)に示すように、絞り連通部(54a)(54b)は、区画壁(53)の幅方向の両端縁(53a)(53b)とオイル排出ガイド溝(7)の幅方向の両側内周面(7a)(7b)の間に設けられたスリットで構成されている。この絞り連通部(54a)(54b)は、区画壁(53)の幅方向の両端縁(53a)(53b)に沿って、その高さ方向全域に亘って形成されている。
上記構成により、オイルミスト凝縮溝(52)から絞り連通部(54a)(54b)を介してオイル吹き上げ空間(51)に排出されるオイルは、オイル排出ガイド溝(7)の内底面(7c)に沿って絞り連通部(54a)(54b)の低い位置を通過し、絞り連通部(54a)(54b)の比較的高い位置を逆流するオイルミストで吹き返される不具合が起こりにくい。
【0024】
図2に示すように、シリンダヘッドカバー(2)の長手方向を前後方向として、ブリーザ室(4)は、前側にブローバイガス入口(5)を、後側にブローバイガス出口(6)を、前後方向中間位置にオイル排出ガイド溝(7)とブローバイガス通過空間(8)をそれぞれ備えている。後側にブローバイガス入口(5)を、前側にブローバイガス出口(6)を配置してもよい。
図2,4に示すように、ブローバイガス入口(5)は、ブリーザ室(4)の底壁(4a)に開口され、オイル排出ガイド溝(7)の周壁(7a)は、ブローバイガス出口(6)側のロッカアーム(3)とブローバイガス入口(5)の間に向けて、ブリーザ室(4)の底壁(4a)から下向きに突設されている。
【0025】
上記構成により、図2に示すように、ブローバイガス出口(6)側のロッカアーム(3)で跳ね上げられたオイルがブリーザ室(4)の底壁(4a)に沿うブローバイガス(11)の流れに乗っても、この流れがオイル排出ガイド溝(7)の周壁(7d)で遮られ、ブローバイガス入口(5)へのオイル進入量が減少し、ブリーザ室(4)へのオイル進入量が適正化され、シリンダヘッドカバー(2)外へのオイルの流出が抑制され、オイル消費を低減することができる。また、ブリーザ室(4)の底壁(4a)の剛性が高まり、底壁(4a)が振動しにくく、この振動を媒介とするシリンダヘッドカバー(2)からのエンジン騒音の放出を低減することができる。
【0026】
図2,3に示すように、ブローバイガス入口(5)にはリード弁(5a)が取り付けられている。開いたリード弁(5a)はストッパプレート(5b)で受け止められる。入口側オイル分離室(9)では、ブローバイガス入口(5)から進入したブローバイガス(11)に含まれるオイルミストをリード弁(5a)に衝突させてオイル分離するとともに、室壁でオイルミストを凝縮させてオイル分離する。
ブローバイガス入口(5)側のロッカアーム(3)とブローバイガス入口(5)の間に向けて、ブリーザ室(4)の底壁(4a)から邪魔板(45)が下向きに突設している。このため、ブリーザ室(4)の底壁(4a)に沿うブローバイガス(11)の流れが邪魔板(45)に遮られ、ブローバイガス入口(5)へのオイル進入量が減少する。邪魔板(45)はブリーザ室(4)の底壁(4a)と一体成型されている。
【0027】
図2,3に示すように、ブリーザ室(4)は、ブローバイガス入口(5)のある入口側オイル分離室(9)と、ブローバイガス迂回通路(10)を備え、入口側オイル分離室(9)を出たブローバイガス(11)がブローバイガス迂回通路(10)を介してブローバイガス通過空間(8)とオイル排出ガイド溝(7)に導入されるように構成されている。
上記構成により、ブローバイガス(11)は、入口側オイル分離室(9)とブローバイガス迂回通路(10)で連続的にオイル分離され、ブローバイガス(11)のオイル分離が促進される。
【0028】
入口側オイル分離室(9)は前後方向に長く形成され、ブローバイガス迂回通路(10)は横方向に長く形成され、これらは入口側オイル分離室(9)の後部の開口(9a)で相互に連通し、ブローバイガス迂回通路(10)では開口(9a)から進入したブローバイガス(11)に含まれるオイルミストを通路壁で凝縮させて、オイル分離を行う。
入口側オイル分離室(9)とブローバイガス迂回通路(10)を区画する第1の隔壁(46)は、横方向に長く形成され、シリンダヘッドカバー(2)と一体成型で天井壁(2a)から下向きに突設されている。
【0029】
図3に示すように、ブリーザ室(4)は、ブローバイガス迂回通路(10)とブローバイガス通過空間(8)を仕切る隔壁(12)と、分離オイル誘導路(13)を備え、分離オイル誘導路(13)は、始端部(13a)が入口側オイル分離室(9)に配置され、中間部(13b)がブローバイガス迂回通路(10)の始端部(10a)に配置され、終端部(13c)が隔壁(12)の下方をくぐり抜けて、オイル排出ガイド溝(7)まで導出されている。
【0030】
上記構成により、図3に示すように、分離オイル誘導路(13)を短く形成することができ、分離されたオイル(18)を速やかにオイル排出ガイド溝(7)に誘導することができる。
また、隔壁(12)の下方をくぐり抜ける分離オイル誘導路(13)の終端部(13c)が入口側オイル分離室(9)で分離されたオイル(18)で塞がり、分離オイル誘導路(13)からオイル排出ガイド溝(7)にブローバイガス(11)が進入することがない。
ブローバイガス迂回通路(10)とオイル排出ガイド溝(7)を仕切る第2の隔壁(12)は横方向に長く形成され、シリンダヘッドカバー(2)と一体成型で天井壁(2a)から下向きに突設されている。
【0031】
図3に示すように、分離オイル誘導路(13)は溝(14)で構成されている。
このエンジンでは、入口側オイル分離室(9)やブローバイガス迂回通路(10)の始端部(10a)で分離された分離オイル(18)が、溝(14)の上側開口から溝(14)内に速やかに流入し、かつ溝(14)内を小さい通路抵抗で通過し、分離されたオイル(18)を速やかにオイル排出ガイド溝(7)に誘導することができる。
また、分離オイル誘導路(13)が溝(14)で構成されている場合、分離オイル(18)が分離オイル誘導路(13)を通過する際に、ブローバイガス迂回通路(10)を通過するブローバイガス(11)と接触するおそれがあるが、先に説明した通り、分離オイル誘導路(13)を短く形成することができるので、分離されたオイル(18)がブローバイガス(11)と接触しにくく、再ミスト化されにくい。また、再ミスト化された場合でも、下流のブローバイガス迂回通路(10)で再分離される。このため、分離されたオイル(18)が再ミスト化されにくい。
【0032】
溝(14)は、図8(A)に示す基本例では、断面半円形に形成されている。
溝(14)は、図8(B)に示す第1変形例のように、断面楔形に形成され、内底面がブローバイガス迂回通路(10)の終端部(10b)側に向けて次第に浅くなっているものであってもよい。
溝(14)は、図8(C)に示す第2変形例のように、断面フラスコ形に形成され、下半部(14a)は上半部(14b)よりも幅広とされ、広い通路断面積の下半部(14a)で分離オイル(18)が速やかに誘導されるとともに、狭い開口面積の上半部(14b)では分離オイル(18)とブローバイガス(11)が接触しにくく、ブローバイガス(11)で分離オイル(18)が再ミスト化されにくいものであってもよい。
【0033】
分離オイル誘導路(13)は、図9(A)(B)に示す第3変形例のように、パイプ(15)で構成されたものであってもよい。
この場合、分離オイル誘導路(13)は上面が覆われ、分離オイル誘導路(13)に導入されたオイル(18)が、ブローバイガス迂回通路(10)を通過するブローバイガス(11)と接触せず、分離されたオイル(18)が再ミスト化されにくい。
パイプ(15)は、ブローバイガス迂回通路(10)の終端部(10b)側にも設けることができる。このブローバイガス迂回通路(10)の終端部(10b)側に配置されるパイプ(15)の分離オイル誘導路(13)は、始端部(13a)が入口側オイル分離室(9)に配置され、中間部(13b)がブローバイガス迂回通路(10)の終端部(10b)に配置され、終端部(13c)が隔壁(12)の下方をくぐり抜けて、オイル排出ガイド溝(7)まで導出されている。
【0034】
オイル排出パイプ(16)は、図10(A)(C)に示す基本例では、内周面が凹凸のない円柱周面形状とされている。
オイル排出パイプ(16)は、図12(A)(B)に示す第1変形例のように、円柱周面形状の内周面に軸長方向に沿う流下オイル案内溝(16b)を備えているものであってもよい。流下オイル案内溝(16b)は周方向に所定間隔を保持して、複数本形成する。
この場合、オイル排出パイプ(16)を流下するオイル(18)が流下オイル案内溝(16b)で鉛直下向きに案内され、オイル排出パイプ(16)からスムーズに排出される。
【0035】
図3に示すように、ブローバイガス出口(6)を備えた出口側オイル分離室(6a)とオイル排出ガイド溝(7)との間は隔壁(39)で区画され、これらは横一側の連通口(40)で相互に連通し、出口側オイル分離室(6a)ではブローバイガス(11)に含まれるオイルミストを室壁で凝縮させて、ブローバイガス(11)のオイル分離を行う。
出口側オイル分離室(6a)は横方向に長く形成されている。出口側オイル分離室(6a)とオイル排出ガイド溝(7)との間を区画する第3の隔壁(39)は、横方向に長く形成され、ブリーザ室(4)の底壁(4a)と一体成型で、底壁(4a)から上向きに突設されている。
【0036】
図3に示すように、オイル排出ガイド溝(7)の上方に配置されたブローバイガス通過空間(8)は、第2の隔壁(12)でブローバイガス迂回通路(10)と区画され、第2の隔壁(12)のオイル排出パイプ(16)寄りに設けられた迂回通路出口(10c)でブローバイガス迂回通路(10)と連通されている。
また、図3に示すように、ブローバイガス通過空間(8)は、第3の隔壁(39)で出口側オイル分離室(6a)と区画され、図7に示すように、第3の隔壁(39)の上縁(39a)とシリンダヘッドカバー(2)の天井壁(2a)との隙間(39b)で出口側オイル分離室(6a)と連通されている。隙間(39b)の上下幅はブローバイガス出口(6)から離れた側が近い側よりも広く形成されている。
図2に示すように、迂回通路出口(10c)から流出したブローバイガス(11)は、ブローバイガス通過空間(8)を通過して、出口側オイル分離室(6a)に流入する。
【0037】
ブリーザ室(4)の内面、ブリーザ室(4)の底壁(4a)の上面、分離オイル誘導溝(14)の内周面、分離オイル誘導パイプ(15)の内周面、オイル排出ガイド溝(7)の内面、オイル排出パイプ(16)の内周面の全部または一部には、次のような表面処理を行うことができる。
フッ素樹脂等の撥油層を設ける。この場合、分離されたオイル(18)が撥油層の表面を速やかに通過し、オイル(18)が速やかに排出される。
シボ加工を行う。この場合、加工面のオイル保持性が高まり、加工面を流れるオイル(18)で切れ間のない油膜が形成され、後続のオイル(18)が油膜の表面をスムーズに通過し、分離オイル(18)が速やかに排出される。
シボ(38)は、図13(A)に示す基本例では、クロスハッチング溝が用いられている。シボ(38)は、図13(B)に示す第1変形例のような亀甲溝、図13(C)に示す第2変形例のようなオイル排出ガイド面(7b)の傾斜に沿う平行溝であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
(1)…シリンダヘッド、(2)…シリンダヘッドカバー、(3)…ロッカアーム、 (4)…ブリーザ室、(5)…ブローバイガス入口、(6)…ブローバイガス出口、(7)…オイル排出ガイド溝、(7d)…周壁、(8)…ブローバイガス通過空間、(9)…入口側オイル分離室、(10)…ブローバイガス迂回通路、(11)…ブローバイガス、(12)…第2の隔壁、(13)…分離オイル誘導路、(13a)…始端部、(13b)…中間部、(13c)…終端部、(16)…オイル排出パイプ、(16a)…パイプ出口、(16c)…パイプ入口、(17)…オイル溜め、(18)…オイル、(26)…オイル受け、(51)…オイル吹き上げ空間、(52)…オイルミスト凝縮溝、(52a)(52b)…幅方向の両端側内周面、(52c)…内底面、(53)…区画壁、(54a)(54b)…絞り連通部。
図1
図2
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図13