【実施例】
【0055】
[実施例1]:高メルトフローhSBSポリマー
hSBS:シクロヘキサン201kgおよびスチレン9.1kgを約50℃において80ガロンのステンレス鋼製反応器に投入した。次に、約12重量%のs−ブチルリチウム2428mLを反応器に投入して重合を開始した。スチレン重合を完了するまで約50℃で進行させ、GPC用にサンプルを採取した。このステップでの分子量は、4.8kg/モルであることが明らかになった。さらにスチレン0.38kgを加えて重合させた。このポリマーのGPC分析により、分子量は5.0kg/モルであることが示された。ブタジエンを約1kg/分の速度で添加した。ブタジエンの手順を開始して1分未満の間に、1,2−ジエトキシプロパン198gを添加し、次いでブタジエン添加速度を1.5kg/分に上げた。合計36.05kgのブタジエンを添加し、温度を約50℃から55℃の間に保ち、重合を完了まで継続させた。このステップの終了時に採取したサンプルは、分子量26.0kg/モルであり、
1H NMRによるビニル含有率は73.7%、ポリスチレン含有率は24.1%であった。次に、メチルトリメトキシシラン114mLを添加することにより、S−Bジブロックポリマーをカップリングさせて、ジブロック鎖の94%がカップリングされたポリマーを得たが、この大部分(82%)は直鎖であり、残りの部分は主として3本の腕を有する放射状の構造だった。メタノール55mlを添加し、反応が完全に停止するようにした。次いで、700psiの水素下、85℃において、Co/Al触媒(Al:Coは1.7:1(モル/モル)、Coは約22ppm)を用いて、オレフィン当量で0.12meq/gの残余不飽和結合に水素を付加してこのポリマーを水素化し、選択的に水素化されたスチレン−ブタジエン−スチレンポリマーを生成した。ポリマー溶液の総量125kgのうち約60kgは、最初の一括投入時に添加し、残り部分は、反応温度を所望の範囲内に保つのに必要な速度で添加した。N
2/O
2混合気体でスパージングしながら、セメントをリン酸水溶液に接触させることにより、触媒を酸化し抽出した。さらに、約100mLのカプリル酸を添加した。次に、アンモニアでスパージすることにより前記セメントを中和し、脱イオン水を用いて洗浄し、Ethanox330(ポリマーベースで0.2重量%)およびIrgafos168(ポリマーベースで0.3重量%)を添加することにより安定化させた。得られた本発明のhSBSポリマーは、220g/10分のメルトフローレートを有していた。
【0056】
高メルトフローhSBSの用途例
【0057】
[実施例2]:ガラス繊維マットおよびスクリム
本発明の技術は、ガラス繊維マットおよびスクリムを含む複合材に耐衝撃性および向上した靭性をもたらし、製造および健康、安全ならびに環境面での大幅な改善をもたらすと期待される。100g/10分以上のメルトフローレートを有する本発明のhSBSまたはhSBSSは、十分に高い分子量を有するため揮発性でなく、優れた弾性および靭性を示す一方で、その高流動特性により、メルトブロー繊維、布、または低坪量フィルムとしての応用が可能になる。靭性および弾性を有する高流動hSBSまたはhSBSSとガラス繊維マットまたはスクリムとを組み合わせるために、少なくとも3つの異なる工程が想定できる。
【0058】
1.靭性および弾性を有する繊維がガラス繊維マットの厚みを貫通するようにガラス繊維を製造するときに、メルトブロー繊維を共押出することが可能である。
【0059】
2.前記フィルムを既存のガラス繊維マットまたはスクリム上に溶融コーティングすることができる。
【0060】
3.メルトブロー布またはフィルムをガラス繊維マットまたはスクリム上にラミネートすることができる。
【0061】
アスファルトルーフィング用途では、かかる屋根が雹による損傷に耐えられることが重要である。従って、当該ルーフィング材の耐衝撃性を向上させることが望ましい。かかるルーフィング材は、少なくとも1種のガラス繊維マットおよびバインダーとしてのアスファルトを含む複合材である。本実施例では、hSBSまたはhSBSSを低坪量フィルムとして作製し、次いで当該低坪量フィルムをガラス繊維マット上にラミネートした。ガラス繊維マットの耐衝撃性を大幅に向上させるのに必要とされたスチレン系ブロックコポリマーの坪量は、驚くほど小さかった。以下の材料を本実施例において用いた。
材料:
1.13.5osy−オンス/平方ヤード(約450g/m
2−グラム/平方メートル)のチョップドガラス繊維マットをUS Compositesより購入した。このタイプのマットは一般に、金型、自動車およびボート建造用途に用いられる。このマットは、十分な靭性を付与するために、通常、24osyの樹脂を必要とする。
【0062】
2.厚さ6.5ミル、約4.2osyまたは140g/m
2のhSBS押出フィルム。
実験条件:
Killion製フィルム押出機において温度を300−330−360−370°Fに設定し、ダイを370°Fに設定して、hSBSフィルムを押し出した。
【0063】
ガラス繊維マットサンプルを15インチ幅の切片に切断した。140、280および560グラム/平方メートルの厚さのhSBSフィルム層をガラス繊維マット片の上に重ねた。この多層構造物を、ロール温度を350°Fに設定した2ロールラミネーターに通した。ラミネートガラス繊維マット片から10cm×10cmの正方形を切り出して、圧力を加えずに450°Fで90秒間焼成した。
【0064】
10cm×10cmのラミネートガラス繊維マット片を、Dynatup Instrumented Impact Tester Model8250を用い、4.2ポンドのおもりを速度約8400インチ/分でサンプルに衝突させて試験した。全衝撃力をロードセルにより測定し、全衝撃エネルギーをインチ・ポンドで報告した。衝撃試験温度は23℃であった。
【0065】
驚くべきことに、わずか140gsmで塗布されたhSBSの溶融コーティングにより、全衝撃エネルギーが2インチ・ポンドから20インチ・ポンドへと1桁増加している。表1および
図1を参照されたい。この坪量は、十分な強靱化をもたらすと報告されている反応性樹脂の秤量よりも大幅に小さい。ラミネートガラス繊維マットのhSBSの坪量が増加するほど全衝撃エネルギーは増加し続けるため、坪量と耐衝撃性との組み合わせを特定の用途に適合させることが可能である。一般に、50から1000g/m
2の本発明のhSBSを含む本発明のラミネートガラス繊維マットは、hSBSを有していないマットと比べて、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍の平均衝撃エネルギーを有する。
【0066】
【表1】
【0067】
ビチューメン、フィラーおよび表面材と組み合わせたガラス繊維強化マットは、ルーフィングシングル、ルーフィング膜、断熱材、防音物品、制振物品、耐風物品および植物根成長に耐えるジオメンブレンの形成に用いられる。
【0068】
ガラス繊維強化マットを含む熱硬化性複合材であって、当該熱硬化物質がエポキシ、ウレタン、ポリエステル、アクリル、またはビニルエステル樹脂である熱硬化性複合材および本発明のhSBSは、艇体、車体パネル、タービン翼、船体、防音物品、制振物品、耐風物品、植物根成長に耐えるジオメンブレン、または成形シートなどの、工業、自動車、航空宇宙、または消費者用途向け複合物品において有用である。
【0069】
[実施例3]:低粘度コーティング剤
低粘度ポリマー(前述のhSBSおよびhSBSS)は、VOC(揮発性有機炭素)規制を満たさなければならない用途において重要である。hSBSは高メルトフローレート(低粘度)を有し、hSBSを他の低粘度ポリマーと比較した。hSBSとの比較において、4種類のVOC規制免除溶媒、即ち、メチルアセテート、p−クロロベンゾトリフルオリド、t−ブチルアセテートおよびアセトンのみが検討され得ることが決定された。非VOC規制が許容される分野においては、低粘度ポリマーとの相溶性を有する任意の規制対象溶媒(除外されていない有機溶媒)を用いてもよい。規制対象溶媒の例には、Aromatic 100(軽質芳香族ナフサ)、Aromatic 200(重質芳香族ナフサ)、キシレン、トルエン等がある。溶媒(規制免除溶媒、規制対象溶媒、またはこれらの混合物)および少なくとも40重量%の本発明のhSBSまたはhSBSSのスチレン系ブロックコポリマーのブレンドを含むコーティング剤は、450グラム/リットル未満、好ましくは350グラム/リットル未満、より好ましくは250グラム/リットル未満のVOC含有率を有する。
【0070】
高メルトフローポリマーの粘度に対するベースライン効果を明らかにするため、トルエンの溶液を調製し、ブルックフィールド粘度計を用いて室温において粘度を測定した。結果はセンチポアズ(cps)で記録した。表2を参照されたい。結果が示すところによれば、hSBSは他のSEBS(水素化スチレン−ブタジエン−スチレン)ポリマーと比較して最も低い粘度を有している。G1643は約19g/10分のメルトフローレート、G1726は約85g/10分のメルトフローレート、ポリマー2は約43g/10分のメルトフローレートを有する。全てのメルトフローレートは230℃および2.16kg荷重において測定した。
【0071】
【表2】
【0072】
キシレン/PCBTFブレンドのポリマー粘度に対する効果
キシレンとVOC規制免除溶媒のp−クロロベンゾトリフルオリド(PCBTF)とを含む溶媒ブレンドの溶液粘度を測定した。15、20および25重量%の固形分含有率においてG1643およびhSBSポリマーを用いて溶液を作製した。結果はセンチポアズ(cps)で測定したものである。表3を参照されたい。G1643と比較してhSBSが最も低い粘度を有していた。溶液中においてPCBTFがキシレンを置き換えるにつれて、粘度が上昇する。
【0073】
【表3】
【0074】
白色屋根コーティング配合物
エラストマー白色屋根コーティング剤では、VOCが250g/L(グラム/リットル)を超えてはならないなどの厳しい要求が増える。G1643とhSBSポリマーの溶液粘度を比較するために、エラストマー白色屋根コーティング配合物が作製された。配合物は250グラム/リットルのVOCを満たすことを目標とし、全ての成分濃度を重量%で一覧にした。粘度低減は、コーティング剤の塗工坪量および乾燥時間に大きく影響する。hSBSは、G1643よりも特性が適しており、粘度が低いコーティング配合物が得られた。表4を参照されたい。エラストマー屋根コーティング剤に関する要件は、ASTM D6083の一覧表に記載されている。粘度の要件は、ASTM D562の方法A、手順Aによる測定で85から141cpsである。
【0075】
【表4】
Aromatic 100は、欧州内で白色屋根への用途が承認されている唯一の溶媒である。
【0076】
141cps超のストーマー粘度は、ASTM D562の方法A、手順Aを満たさない。しかし、hSBSは、この要件を満たす。
【0077】
[実施例4]:接着剤配合物
前述の通り、APO系接着剤配合物は低コストで低性能である。しかし、これらの配合物は吹付が可能で、幅広い物品に適用できる。APO接着剤配合物の性能は、本発明のhSBSとブレンドすることにより、少なくとも中位の性能にまで高めることができる。メルトフローレート100g/10分未満のSEBSポリマーをベースとする従来のSEBS系配合物を含む、多くの中位の性能のポリマーとは異なり、当該配合物はなお吹付が可能である。接着剤配合物は、感圧接着材、ホットメルト接着剤、建築用接着剤、弾性接着剤などにおいて有用である。一般に、これらの配合物は、本発明のスチレン系ブロックコポリマー、ポリ−アルファ−オレフィン樹脂、粘着付与樹脂および鉱油、酸化防止剤等の任意の成分を含有する。通常、これらの組成物は、前記組成物の約30から約80重量%で存在するポリ−アルファ−オレフィン、前記組成物の約10から約35重量%で存在するスチレン系ブロックコポリマーhSBSおよび/またはhSBSS、ならびに前記組成物の約20から約60重量%の上記粘着付与樹脂を含む。
【0078】
実験条件:
標準的剥離、粘着、凝集および粘度試験を、これらの配合物に対し、感圧テープ評議会(Pressure Sensitive Tape Council)(PSTC)による感圧テープに関する試験法マニュアル(Test method manual for Pressure Sensitive Tapes)、感圧材料に関する標準FINAT試験法(standard FINAT test method for Pressure sensitive materials)、感圧接着テープに関するAFERA試験法(AFERA test methods for Pressure Sensitive Adhesive Tapes)および関連するASTM法に記載の通り実施した。用途における当該配合物の機能を明らかにするにあたり、FINATにより推奨されているクロムメッキされたステンレス鋼プレート(No.304「ss」)およびクラフト紙という異なる試験表面を用いた。
【0079】
・回転ボールタック(RBT)は、鋼球が接着フィルム上を標準初期速度で転がる距離をセンチメートルで表したものである(感圧テープ評議会試験No.6;ASTM D3121−73)。小さい数値は、粘着性が強力であることを示す。
【0080】
・ループタック(LT)は、PSTC−5およびFTM9ループタック法を用いて測定した。大きな数値のLTは、粘着性が強力であることを示す。
【0081】
・180度剥離接着性は、感圧テープ評議会法No.1およびASTM D3330−83により測定した。大きい数値は、鋼基板から試験テープを剥離するときの力が大きいことを示す。
【0082】
・SAFT(剪断接着破壊温度)は、クロムメッキssプレートに対して、1kgのおもりを用い、2.5×2.5cmのMylarにより測定した。サンプルをオーブンに入れ、温度を22℃/分の割合で上げていった。SAFTは、重ねせん断被着材(lap shear assembly)が破壊する時の温度を測定する。
【0083】
・保持力(HP)は、標準荷重(1kg、2または5kg)下において、2°での剪断時に、標準試験表面(鋼=ss)から標準面積(2.5×1.3cm)のテープを引っ張るのに必要とされる時間である(感圧テープ評議会法No.7;ASTMD−3654−82)。長い時間は、接着強度が大きいことを示す。結果は、時間(h)または分(min)で表される。破壊モードのタイプは、接着破壊(AF)または凝集破壊(CF)として表される。本試験は、試験に応じて室温(約23℃)またはより高温で実施することができる。
【0084】
接着剤配合物の調製
本発明における接着剤組成物の調製方法には特定の制限は課されない。従って、ロール、バンバリーミキサーまたはDaltonニーダーを利用する機械的な混合工程、撹拌機、高剪断Zブレードミキサー、単軸または二軸押出機を備えた溶融ケトルを用いることにより加熱および混合が行われることを特徴とするホットメルト工程、配合成分を好適な溶媒に注ぎ込み撹拌することで感圧接着組成物の均質溶液を得る溶媒工程などのいずれの工程を用いてもよい。
【0085】
表5に示す試験配合物は、窒素ブランケットを施した高剪断シグマブレードミキサー内でホットメルト混合されたものである。典型的な添加順序は、安定剤と混ぜ合わせたポリマー、次いで樹脂、続いて油の添加であった。均質な接着剤を調製するための混合時間は、平均約1時間であった。次いで、サンプルを、加熱したドクターブレードにより表5に示す平均フィルム厚さにドローダウンしたホットメルトとして、4ミルMylar(登録商標)フィルム上にコーティングした。試験結果の概要を表6において報告する。ホットメルト試験の結果は表7において報告する。
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
不織布構造物のための吹付可能なホットメルト接着剤というhSBS用途にとって特に有用なのは、(1)熱および色安定性のための飽和ポリマー骨格;(2)接着破壊機構;および(3)許容される吹付性能を可能にする、350°F(典型的な吹付適用温度)で10,000cpsを下回るホットメルト粘度である。APOのみからなる対照配合物(HMA4)は、望ましい低粘度および飽和骨格を有するが、許容されないほど低い接着特性を示す。即ち、粘着性または剥離性はほぼ測定不可能である。HMA4の接着剤配合物は、Mylar(登録商標)(ポリエステル)基板とステンレス鋼基板のいずれに対しても十分に接着しなかった。
【0090】
データから明らかなのは、APOとのブレンドに16.5重量%のブロックコポリマーhSBSを添加すると、適度なバランスの接着特性に加えて、低いホットメルト粘度が得られることである。配合物HMA1およびHMA2のみ接着破壊が観察されたが、これは不織布構造物の接着剤には好ましい破壊機構である。
【0091】
HMA5中にSBSを用いた比較配合物は、不飽和ポリブタジエンゴム相のために、色安定性および長期エージングの問題を有する。HMA5中にSBSを用いるこのタイプの産業界標準の配合物(ポリマー20%、樹脂60%、油20%)は、ポリマー含有率が低く(経済性および低溶融粘度のためである。)、このことが接着剤の破壊機構に悪影響を及ぼしている。
【0092】
[実施例5]:個人衛生用途向けフィルムおよび不織布の実施例
表8は、高メルトフローSEBS(本発明のhSBS)から作製されたフィルムが、より低いメルトフローhSBSポリマー配合物(比較例1および2)から作製されたフィルムと同等またはそれ以上の機械的特性を有することを示している。MD6705およびMD6717について、230℃および2.16kgにおいて測定したメルトフローレートは、それぞれ48g/10分および55g/10分であった。実施例3の回復エネルギーは90%であり、引張歪みは5%であり、このような低分子量ポリマーとしては例外的な弾性を示している。さらに表8は、高メルトフローSEBSが最大300%の破断伸度という優れた弾性を有することを示している。高伸度または歪みにおける良好な弾性は、応力緩和が小さいことの指標でもある。少ない応力緩和は、吸着性の個人衛生衣料品またはおむつなどの物品内の弾性構成要素の経時でのフィット性が向上する。
【0093】
表9は、高メルトフローポリマー(本発明のhSBS)から作製されたメルトブロー布の機械的特性を、保健衛生用途で用いられる同様の坪量の典型的フィルム(比較例3および4)に対して比較したものである。坪量が同様であり、試験サンプルは全て同じ幅であったため、種々の歪みにおける強度および弾性率の指標として力を用いることができる。表9は、本発明のhSBS布が、比較例3および4に対して、縦方向において100%および300%の弾性率、ならびに横方向において100%および300%のヒステリシス性能という同等またはそれ以上の特性を有することを示している。さらに、本発明のhSBS布は、縦方向において比較例4と同等またはそれ以上の性能(弾性率およびヒステリシス)を示す。本発明のhSBS布では、フィルム比較例と比較して破断伸度および引張破断強度が著しく低い。この理由は、メルトブロー布には構造に固有の限界がある一方で、フィルムには歪み硬化が生じるためである。結果的に、大部分の市販の個人衛生用途に300%をはるかに超える歪みは必要とされないため、本発明のhSBS布は、超高メルトフローhSBSが個人衛生用弾性部材において良好に機能し得ることを示している。
【0094】
機械的特性は、横方向(押出方向に対して垂直)に測定されたものである。ヒステリシスは、伸長率100%において測定されたものである。比較例1(MD6705)は、18MFR高ビニルSEBSを用いて作製された化合物である。比較例2(MD6717)も同一の18MFR SEBSを用いて作製された化合物であるが、高メルトフローポリオレフィンをも含有している。本発明のhSBSは、220g/10分のメルトフローレートを有する。比較例3は、比較的分子量が高くMFRが低いhSBS(Kraton G)を用いて作製された、典型的な個人衛生用弾性フィルム化合物である。比較例4は、典型的な個人衛生用SISポリマー(D1114)から作製されたフィルムである。
【0095】
【表8】
【0096】
【表9】
【0097】
[実施例6]:スラッシュおよび回転成形の実施例
本発明のポリマーhSBSをベースとする化合物は、スラッシュ成形および回転成形工程などの低剪断工程で用いられるとき、改善された溶融特性を示す。スラッシュ成形および回転成形化合物の典型的配合は、表10に見ることができる。
【0098】
【表10】
【0099】
これら化合物の製造は、当業者にとって周知の水中ペレット化装置を備えた共回転二軸押出機などの標準的プラスチック配合設備で実施された。押出機バレルゾーン温度はバレルの長さに沿って160℃から210℃に上昇し、アダプターおよびダイの温度は210℃から230℃であった。前述の化合物の溶融温度は、配合物100および104について、それぞれ210℃および240℃であった。スラッシュ成形または回転成形などの低剪断工程に対する適合性の評価は、圧縮成形試験サンプルにおける剪断率ゼロでの流動性を測定することにより定めた。試験片は、名目の厚さが3mmの圧縮成形した飾り板から打ち抜いた。
図2を参照されたい。サンプルの高さおよび幅は、サンプルの中心点で測定した。次に試験片を平板上に置き、予熱した230℃の対流式オーブンに90秒間入れた。試験片をオーブンから取り出し、約5分間冷却させ、サンプル中心点でサンプルの厚さを再測定した。(REF)は、非加熱の参照試験片である。配合物(100)の参照試験片に対しては、先行技術に基づく溶融試験を行う。配合物(104)は、hSBSを混合した本発明の配合物である。
【0100】
その後、サンプルの高さおよび幅を再び測定し、溶融%を式1に従って計算した。結果を表11に示す。
【0101】
【数1】
【0102】
【表11】
【0103】
上記表にまとめられた結果および試験片の目視検査は、本発明のhSBSを含む実施例の化合物(104)が、剪断率ゼロの条件下で、より高い流動性を示し、従って式1により計算される溶融%が高くなることを示している。
【0104】
[実施例7] ラミネート接着剤
本発明のhSBSカップリングポリマーと粘着付与剤とを、乾燥ブレンドした(表12の実施例2−7)。当該溶融ブレンドを180℃およびスクリュー速度250rpmで押し出し(二軸押出機)、次いで5MPaで200から220℃において圧縮成形した(厚さ100μm、幅25mm)。厚さ100μmの当該フィルムを2枚のテフロン(登録商標)フィルムの間に挟んだ。テフロンフィルムの片面を剥離し、同様に幅25mmのナイロン布地に接着剤を移した。前記フィルムとナイロンと、160℃、0.5MPaで0.5秒間加熱プレスすることによりラミネートし、次いで他方のテフロンフィルムを取り除き、当該ラミネートを160℃、0.8MPaで5.0秒間にわたり再び加熱プレスした。23℃および相対湿度50%での24時間のエージング後、300mm/分のクロスヘッド速度で幅23mmにわたる180℃剥離強度を測定した。本発明のhSBSは、実施例1に記載されたポリマーである。G1643(MFR=230℃/2.16kgで18g/10分)、G1657(MFR=230℃/2.16kgで10g/10分)およびG1726(MFR=230℃/2.16kgで65g/10分)は、水素化された逐次SBSポリマーである。結果を表12に示す。
【0105】
【表12】
【0106】
好適な粘着付与剤は、ロジンエステル、または部分水素化もしくは完全水素化C
9樹脂からなる群から選択される。粘着付与剤の量は、当該ポリマー100重量部に対して約5から約150重量部の範囲である。
【0107】
従って、本発明により、230℃および2.16kg荷重で測定されたとき少なくとも100g/10分のMFRを有し、上述の目的、目標および利点を十分に満たす、固有で新規のhSBSまたはhSBSSブロックコポリマーを使用するいくつかの用途が提供されたことは明らかである。本発明はその具体的実施形態と共に記載されているが、上記の説明に照らして、多くの代替手段、改変および変化形態が当業者にとって自明であることは明らかである。従って、かかる全ての代替手段、改変および変化形態は、添付された特許請求の範囲に示される本発明の趣旨および広い範囲に含まれることが意図されている。