特許第6600400号(P6600400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6600400発振構造を備えるエナジーハーベスティング回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6600400
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】発振構造を備えるエナジーハーベスティング回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/07 20060101AFI20191021BHJP
【FI】
   H02M3/07
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-187205(P2018-187205)
(22)【出願日】2018年10月2日
(65)【公開番号】特開2019-75977(P2019-75977A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2018年10月2日
(31)【優先権主張番号】17196598.1
(32)【優先日】2017年10月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】マッシミリアーノ・ブラッコ
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2017/0179715(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0101789(US,A1)
【文献】 特開2015−211574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエネルギー源(3)からエナジーハーベスティングを行うエナジーハーベスティング回路(1)であって、
第1の発振回路ノード(4)に接続されているインダクター(Le)と、及び前記インダクター(Le)と直列に接続しており第2の発振回路ノード(5)に接続しており前記少なくとも1つのエネルギー源(3)からの電荷を一時的に格納する第1のキャパシター(Ce)とを有する発振回路(Le、Ce)と、
前記第1の発振回路ノード(4)と前記少なくとも1つのエネルギー源(3)の間にて接続しており、前記発振回路(Le、Ce)に又は前記発振回路(Le、Ce)から前記少なくとも1つのエネルギー源(3)を選択的に接続し分離する第1のスイッチ(S1、S2、S3、S4)と、
前記第1の発振回路ノード(4)と、当該エナジーハーベスティング回路における実質的に最低の電位にあり、前記第1のキャパシター(Ce)をまたがる電圧が負であるときに前記少なくとも1つのエネルギー源(3)から電荷を集めるための前記発振回路(Le、Ce)の発振の間に前記第1のキャパシター(Ce)をまたがる負の電圧を生成するための第3の発振回路ノードの間に接続されている第2のスイッチ(9)と、
前記少なくとも1つのエネルギー源(3)をまたがる電圧を制御する電圧調整要素(11)と、
前記第1及び第2のスイッチ(S1、S2、S3、S4、9)の開閉を制御する制御回路(6)と、及び
時間的に調和された形態で前記第1及び第2のスイッチ(S1、S2、S3、S4、9)の開閉を可能にするように、前記制御回路(6)に第1のクロック信号を供給するクロック信号ジェネレーター(7)と
を有することを特徴とするエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項2】
前記第1のキャパシター(Ce)をまたがる電圧は、発振サイクルのサイクル長が前記第1のクロック信号と実質的に同じであるように、最大の正の電圧値と最小の負の電圧値の間にて発振するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項3】
前記第2のスイッチ(9)が開であるときに前記第1のスイッチ(S1、S2、S3、S4)が閉であり、前記第2のスイッチ(9)が閉であるときに前記第1のスイッチ(S1、S2、S3、S4)が開であるように構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項4】
さらに、第2のキャパシター(15)と第3のスイッチ(13)を有しており、前記第2のキャパシター(15)は、前記第3のスイッチ(13)を介して前記第1の発振回路ノード(4)に接続される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項5】
前記第2のキャパシター(15)は、前記第3のスイッチ(13)が閉であるときに前記第1のキャパシター(Ce)からの電荷によってチャージされるように構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載のエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項6】
前記制御回路(6)は、前記第3のスイッチ(13)の動作を制御する第2のクロック信号を生成するように構成されている
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項7】
前記第2のクロック信号のクロック周波数は、前記第1のクロック信号のクロック周波数とは異なる
ことを特徴とする請求項6に記載のエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項8】
さらに、前記第3のスイッチ(13)に接続しており前記第2のキャパシター(15)から前記第1の発振回路ノード(4)へと電流が流れることを防ぐ電流調整要素(29)を有する
ことを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項9】
前記クロック信号ジェネレーター(7)は、クオーツ結晶、RC発振器、リング発振器又は位相ロックループ(PLL)を有するクオーツ発振器を有する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項10】
当該エナジーハーベスティング回路(1)は、複数のエネルギー源からエナジーハーベスティングを行うように構成しており、当該エナジーハーベスティング回路(1)は、前記複数のエネルギー源(3)と前記発振回路(Le、Ce)の間に第1のスイッチの群(S1、S2、S3、S4)を有する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項11】
前記制御回路(6)は、同時に1つのエネルギー源(3)のみが前記発振回路(Le、Ce)に接続されるように、前記第1のスイッチの群の動作を制御するように構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載のエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項12】
前記第1及び第2のスイッチは、n型MOSFETである
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのエネルギー源(3)は、太陽電池、熱電ジェネレーター、磁気誘導回路、圧電素子又は電池のいずれかである
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のエナジーハーベスティング回路(1)。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のエナジーハーベスティング回路(1)を有する腕時計。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれかに記載のエナジーハーベスティング回路(1)を動作させる方法であって、
前記第1のキャパシター(Ce)をまたがる電圧が実質的にその最小の負の電圧レベルにあるときに前記第1のスイッチ(S1、S2、S3、S4)の1つを閉にして、前記エネルギー源(3)を前記エナジーハーベスティング回路(1)に接続して、これによって、前記エネルギー源(3)からの電荷の収穫を可能にし、これと実質的に同時に前記第2のスイッチ(9)を開にする
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一又は複数のエネルギー源から電気エネルギーを集めるように構成しているエナジーハーベスティング回路に関する。また、本発明は、エナジーハーベスティング回路を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスにおいてパワー効率を改善させる傾向によって、エナジーハーベスティングの手法の扉が開かれた。このようなエナジーハーベスティングにおいては、アプリケーションにパワー供給するために、容易に利用可能であるが弱いことが多いエネルギー源にのみ頼ることとなる。エナジーハーベスティングは、パワーマネジメントのための新しい挑戦をもたらし、パワーマネジメントデバイスにおいて、また、それらが制御する回路においても、動作特性が効率的であることを必要とする。低パワー特性と効率的な動作モードの組み合わせによって、エナジーハーベスティングの設計においてデザイナーが効率的なパワーマネジメントを達成することに、ますます多くの半導体デバイスが貢献することができるようになっている。このような設計には、エナジーハーベスティングのために特に意図されたデバイス、そして、低パワーアプリケーションのために意図された低電圧の直流/直流(DC/DC)コンバーターが含まれる。
【0003】
電池交換が困難であったり、高価であったり、危険であったりする、自動車、セキュリティ、医療及び無線家電などにおける成長している埋め込み型アプリケーションの部類のための「ゼロパワー」ソリューションの必要性が増大していることに伴って、エナジーハーベスティングの方法が脚光を浴びている。エナジーハーベスティングの設計は、光、振動、温度勾配及び無線周波数(RF)のエネルギーを、使用可能な電圧及び/又は電流へとトランスデューサーが変換する能力を向上させるが、このような電圧や電流は小さなレベルである。周囲のエネルギー源から利用可能な数マイクロワットのエネルギーを蓄積することによって、エナジーハーベスティングの設計は、実質的にゼロパワーの動作、すなわち、環境から集めたエネルギーよりも多く消費しない動作、を達成することができる。エナジーハーベスティングのアプリケーションのためのパワーマネジメントには、起動電圧及び供給電圧が最小限であること、スタンバイにてゼロパワーである能力、漏れ及びスタンバイ電流が極めて低いこと、効率が最大限であること、そして、小さな負荷で動作することが必要である。極めて低いパワーのDC/DCコンバーターは、これらの懸念事項の大部分又はすべてを解決して、アプリケーションが必要とする安定した電圧及び滑らかな電流を確実にする。
【0004】
DC/DCコンバーターは、直流(DC)の供給源をある電圧レベルから別の電圧レベルに変換するように構成している電子回路ないし電気機械的デバイスである。これは、一種の電力コンバーターである。パワーレベルの範囲は、非常に低いもの(小さな電池)から非常に高いもの(高圧送電)にまで及ぶ。DC/DCコンバーターは、典型的には、携帯電話やラップトップコンピューターのような携帯型電子デバイスにおいて使用される。このような携帯型電子デバイスには、主として電池からパワーが供給される。電子デバイスは、しばしばいくつかの副回路を有し、これらの副回路にはそれぞれ、電池や外部電源(供給電圧よりも高かったり低かったりすることもある)によって供給されるものとは異なる自身の電圧レベルの要件がある。また、蓄えたエネルギーが出ていくにしたがって、電池電圧が低下する。スイッチング型DC/DCコンバーターは、部分的に低下した電池電圧から電圧を増加させる方法を提供して、これによって、同じことを達成するために多数の電池を用いずに空間を節約する。DC/DCコンバーター、又はエネルギー的な電荷蓄積のためにキャパシターを用いて電圧を上げたり下げたりするDC/DCコンバーターであると考えることができる電荷ポンプは、電荷を抽出する電圧源によって制限される。電圧レベルが低すぎる場合、DC/DC電流は、供給キャパシターをチャージするために十分ではない。電荷ポンプにも同様な課題がある。エネルギー源から来る電圧レベルが十分に高くない場合、電荷ポンプは電力損失によって制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電子デバイスにおけるエナジーハーベスティングに関連する上記の課題の少なくとも一部を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によると、請求項1に記載のエナジーハーベスティング回路が提供される。
【0007】
提案される新しい解決策には、エナジーハーベスティング回路がエネルギー源のパワーによって制限されないという利点がある。なぜなら、下で詳細に説明するように、当該エナジーハーベスティング回路のキャパシターを共振振動数でチャージすることができるからである。エネルギー源のパワーが低くても、電荷又は荷電粒子を抽出し、これらを、利用可能なクロック信号ジェネレーターのおかげで、パワー消費のオーバーヘッドが低いキャパシターに格納することができる。このクロック信号ジェネレーターは、クオーツ発振器であることができ、これは、複雑な論理回路がなくアナログ的な信号処理をせずにいくつかのアクションを同期させる。
【0008】
本発明の第2の態様によると、請求項15に記載の上記のエナジーハーベスティング回路を動作させる方法が提供される。
【0009】
従属請求項に、本発明の他の態様が記載されている。
【0010】
添付の図面を参照しながら例示的な実施形態についての下記の説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点が明らかになるであろう。なお、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の1つの例に係るエナジーハーベスティング回路のいくつかの要素を示している回路図である。
図2】本発明の1つの例に係るエナジーハーベスティング回路のシミョレーション構成を示している回路図である。
図3図2の回路において測定されたいくつかの信号波形を示している信号図である。
図4図3に示している信号波形の一部を詳細に示している信号図である。
図5図2の回路構成を示しており、エナジーハーベスティング回路を動作させるいくつかの方法ステップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の1つの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。腕時計のような電子計時器に基づいて本発明を説明する。しかし、本発明が教示することは、この環境に限定されない。別の図に描かれている同一又は対応する機能的な要素や構造的な要素には、同じ参照符号が割り当てられている。
【0013】
図1は、本発明の例に係るエナジーハーベスティング回路1を示している回路図である。この例において、複数の外部エネルギー源3から電気エネルギーを収穫ないし集めることができる。図1には、4つのエネルギー源3が示されている。これは、すなわち、太陽電池、ゼーベックジェネレーターとしても知られている熱電ジェネレーター(TEG)、磁気誘導回路、圧電素子又は電池である。熱からエネルギーを回収するために、TEGを用いることができる。このTEGは、ゼーベック効果(熱電効果の1つの形態)と呼ばれる現象によってヒートフラックス(温度差)を電気エネルギーへと直接変換するように構成している固体物性を利用するデバイスである。TEGは、一般的には、熱機関のように機能するが、それほどかさばらず、動く部品がない。本発明によると、エナジーハーベスティング回路1は、すべてのエネルギー源3から、電圧レベルや電流に関係なくエネルギーを集めるように構成している。下の例においては1つずつのエネルギー源3からエネルギーを集める。
【0014】
エナジーハーベスティング回路1は、コイルと呼ばれる外部インダクターLeと、及び外部キャパシターと呼ばれる、コイルLeと直列に接続する第1のキャパシターCeとを有する発振回路を有する。発振回路は、第1の発振回路ノード4と、アースに接続される第2の発振回路ノード5の間にて接続される。すなわち、外部キャパシターCeの一方の電極がアースされる。第1の発振回路ノード4は、第1のスイッチS1、S2、S3、S4を介して、エネルギー源3に、具体的には、エネルギー源3の一部であると考えることができる、ソースキャパシターCs1、Cs2、Cs3、Cs4と呼ばれる第2のキャパシターに、接続される。したがって、対応するエネルギー源3の出力に、対応するソースキャパシターCs1、Cs2、Cs3、Cs4が設けられる。その2つの電極の一方がアースされている。この例において、第1のスイッチは、トランジスターであり、具体的には、n型金属酸化物半導体の電界効果トランジスター(MOSFET)である。これらのスイッチの動作は、論理回路と呼ばれる制御回路6によって制御される。より詳細には、論理回路6は、トランジスターS1、S2、S3、S4のゲート電圧を調整してソースとドレーンのノードの間のチャネルの導電率を調整するように構成している。このようにして、第1のスイッチS1、S2、S3、S4は、閉又は開のどちらかであるように構成している。本明細書において、スイッチが閉であると記載されている場合、ソースとドレーンのノードの間のパスが導電性であり、スイッチが開であると記載されている場合、このパスは導電性ではない。
【0015】
論理回路6は、そのタイミング信号又はクロック信号をクロック信号ジェネレーター7から受ける。このクロック信号ジェネレーター7は、この例において、結晶発振器としても知られているクオーツ発振器である。すなわち、論理回路6は、クオーツ発振器7によって提供されるクロック信号によって駆動される。
【0016】
なお、クロック信号ジェネレーターは、RC発振器又はリング発振器又はフェイズロックループ(PLL)であることもできる。
【0017】
第1の発振回路ノード4とアースの間に、第2のスイッチ9が設けられている。これは、この例においてはトランジスター、具体的には、n型MOSFETである。第2のスイッチ9の動作も論理回路6によって制御されるように構成している。第2のスイッチ9と並列に、電圧調整要素又はユニット11が設けられる。この例において、電圧調整要素11は、ダイオード接続トランジスターであり、この例において、p型のMOSFETである。これらの2つのトランジスターのソースノードは、アースされており、ドレーンノードは、第1の発振回路ノード4に接続されている。電圧調整要素11の目的は、エネルギー源3にまたがる電圧、具体的には、エネルギー源3のソースキャパシターCs1、Cs2、Cs3、Cs4にまたがる電圧を制御することである。このようにして、ソースキャパシターCs1、Cs2、Cs3、Cs4のいずれかにまたがる電圧のいずれかが負電圧となることを回避することができる。なお、本明細書において、ある要素がアースされていると記載されている場合、その要素が、当該回路の中で電位が最も低い回路ノードに接続されているという意味であることができる。この電位は、好ましくは、所与のレベルに固定される。
【0018】
図1の例示的なエナジーハーベスティング回路1は、さらに、第1の発振回路ノード4に接続される第3のスイッチ13を有する。この例において、第3のスイッチ13は、トランジスター、具体的には、n型MOSFET、である。これによって、このトランジスターのソースノードは、第1の発振回路ノード4に接続される。供給キャパシターと呼ばれる第2のキャパシター15は、第3のスイッチ13とアースの間に直列に接続される。供給キャパシター15の目的は、下において詳細に示すように、外部キャパシターCeから電荷を集めることである。この種の構成によって、エネルギー源3から小さな電荷を集めるために外部キャパシターCeをまたがる高い発振電圧が用いられる場合であっても、外部キャパシターCeのキャパシタンスと供給キャパシター15のキャパシタンスの間の効率的な分離を確実にすることができる。供給キャパシター15が第3のスイッチ13を介して第1の発振回路ノード4に接続されているようなこの種の構成において、第3のスイッチ13は、第1の発振回路ノード4に接続されているそのソースノードにおいて(ドレーンノードは供給キャパシター15に接続されている)、ゼロ又は比較的低い電圧に対処しなければならない。
【0019】
簡略的に記載すると、この例示的なエナジーハーベスティング回路1は、以下の特徴を有する。
− エネルギー源3の出力におけるソースキャパシターCs1
− コイルとアース接続のためのn型MOSFETスイッチS1及び9
− ダイオードモードで接続しているp型MOSFET11
図1に示しているようにすべてのソースからエネルギーを格納するためのコイルLeと外部キャパシターCe
− 外部キャパシターCeの前にコイルLeが接続されて、外部キャパシターCeをまたがる負電圧が第2のスイッチ9をもまたがるように反映されることを避ける。そうでなければ、外部キャパシターCeを分離することは難しい。
【0020】
以下においては、エネルギー源3のいずれか1つから電荷を集めることができる手法を説明する。エナジーハーベスティング回路1において、第2のスイッチ9が閉であるときに、発振回路は、実質的にクオーツと同じ周波数で振動する。しかし、第1のスイッチS1、S2、S3、S4を介してエネルギー源3のいずれか1つに発振回路が接続されているときに、振動周波数をわずかに変えることができる。このことによって、派生信号や積分信号を得るためにアナログ信号を処理することを避けることができる。また、このことは、電流の消費を最小限まで減らすことができ、バイアス段や増幅段を避けることができることを意味している。外部キャパシターCeをまたがる電圧がその最小(負電圧)となっているとき、第2のスイッチ9が開となっており、そして実質的に同時に、第1のスイッチS1、S2、S3、S4のうちの1つが閉となっており、これによって、エネルギー源3のうちの1つが、対応するスイッチS1、S2、S3、S4を介してコイルLeに接続されている。このコイルLeは、電荷を抽出し、その電荷を外部キャパシターCeに格納することがすぐにできる。この例において、外部キャパシターCeをまたがる電圧がその最大値に達するまで、第1のスイッチが閉であり続ける。
【0021】
エナジーハーベスティング回路1の上記の動作を検討することによって、外部キャパシターCeをまたがる電圧が最小になったり、リチャージに関連する特定のプログラムされたレベルよりも下になったりするごとに、外部キャパシターCeがソースキャパシターCs1、Cs2、Cs3、Cs4に接続されることを観察することができる。同時に、コイルLeをまたがる電圧は、その最大値にあり、したがって、ソースキャパシターに電荷がわずかしかなくても、エナジーハーベスティング回路はこれらの電荷を集めることができる。
【0022】
提案している手法には、DC/DC回路と比べて大きな利点がある。提案している手法の代わりにDC/DC回路が用いられ、ソースキャパシターに電荷がわずかしかない場合、外部コイルにおける電流は、外部キャパシターにおける電荷を格納するために十分であることができない。なぜなら、コイルにおける低いエネルギーを寄生抵抗が捨ててしまうからである。対照的に、提案している手法を用いると、外部コイルLeをまたがる電圧差が可能な限り最大限にされ、まだ十分でない場合、この回路は次の発振サイクルを待つだけでよい。この次の発振サイクルにおいては、何らかの他のエネルギー源によって電圧差が増加している。すなわち、エナジーハーベスティング回路1は、論理回路6によって有益であると判断されると、各発振サイクルの後に別のエネルギー源から電荷を集めるように構成している。電荷ポンプと比べると、利点は明らかである。電荷ポンプが用いられる場合、外部エネルギー源をまたがる電圧レベルに固定量を乗算することができるが、無限にすることはできない。なぜなら、すべての電荷ポンプ段によって付加的な抵抗が導入され、このことは利用可能なパワーを浪費するからである。提案している手法を用いると、メイン電源(図示せず)に直接接続された供給キャパシター15に電荷を格納する前に所定の電圧レベルに達するまで発振回路を振動し続けることができる。
【0023】
図2は、下で説明されているシミュレーションにおいて用いられる例示的な回路構成を示している回路図である。この例においては太陽電池のような電流源である外部エネルギー源3は、電流源17、抵抗19及び1つのソースキャパシターCs1(すべてが並列構成)によって象徴される。クロック信号ジェネレーター7はそれぞれ、この例において、第1のクロック信号と第2のクロック信号を生成する第1の電圧源と第2の電圧源を有する。電圧調整要素11は、この例において、外部エネルギー源3がコイルLeのために十分な電荷を供給することができない場合にソースキャパシターCs1のために低電圧(負電圧)保護をするダイオードである。論理回路6は、この例において単純なものであり、第1のANDゲート21、第2のANDゲート23、第1のNOTゲート25及び第2のNOTゲート27を有する。論理回路は、エナジーハーベスティング回路のスイッチの開閉を制御するために用いられる。複合信号を比較し、微分し、積分するために、特殊なアナログ回路類は何も必要ではない。外部コイルLeと外部キャパシターCeは、所与の固定発振サイクル長を有するクオーツ周波数で振動し、複雑な調整用回路類を用いずに(クオーツ周波数に対応する)共振レートで電荷が外部キャパシターCeに移動する。図2の回路は、さらに、電流調整要素29を有し、これは、この例において、第3のスイッチ13と供給キャパシター15の間に接続されるダイオード29である。このダイオードの代わりに、例えば、ダイオード接続トランジスターを用いることができる。この電流調整要素29の目的は、電流又は電荷が供給キャパシター15から外部キャパシターCeの方へと流れることを防ぐことである。
【0024】
図3は、図2のシミュレーション回路において測定されたいくつかの信号波形を示しており、図4は、図3に示した信号の一部を詳細に示した拡大図である。最も上に示した第1の信号波形(図3及び4にて「1」として示した)は、クロック信号ジェネレーター7によって生成されるメインクロック信号(CLK)である。この例において、メインクロック信号は、矩形波である。すなわち、メインクロック信号は、固定された最小値と最大値の間で振幅が安定した周波数で交替し最小値と最大値にて持続時間が同じであるような波形である。このクロック信号から、論理回路6は、さらに、クロック信号、すなわち、最も上から数えて第2、第3及び第6の信号、を生成する。これらの信号はそれぞれ、図2に示した回路ノード31、33及び35にて測定される。この例において、第2及び第3の信号は、メインクロック信号と同じ周波数を有する。図3及び4において、最も上から数えて第4の信号は、ノード37で測定されるCs1をまたがる電圧値を示している。第5の信号波形は、外部キャパシターCeをまたがる電圧値がどのように回路ノード39で測定される正の値と負の値の間を振動するかを示している。この場合、この波形は、正弦波の波形と似ているが、ある時点まで絶えず振幅が増加している。図3及び4の最も下に示した第7の信号波形は、外部キャパシターCeから供給キャパシター15に電荷が動くにしたがって、供給キャパシター15をまたがる電圧値がどのように徐々に増加するかを示している。この電圧は、回路ノード41で測定される。
【0025】
図3及び4の信号波形を調べることによって、以下のように観察することができる。第1及び第2のスイッチS1、9は、2つの反対側のクロック信号によって駆動される。すなわち、一方のクロック信号が論理的なものであれば、他方は論理的なゼロであり、そして、逆も成り立つ。このことは、第1のスイッチS1が閉であるとき、第2のスイッチ9は開であり、その逆も成り立つことを意味している。このようにして、第1及び第2のスイッチのスイッチングを同期された形態で行うことができる。複数の外部エネルギー源3が用いられる場合、すべての第1のスイッチS1、S2、S3、S4が閉であるときにのみ、第2のスイッチ9が開となる。外部キャパシターCeに電荷が移動するにしたがって、第4の信号の信号レベルは徐々に減少する。この電荷移動は、第1のスイッチS1が閉であるときに行われる。第5の信号の発振の振幅は、コイルLeとクオーツ時計の間の共鳴効果に起因して、時間が経過するにしたがって増加する。この共鳴効果は、スイッチと、外部エネルギー源3へのコイルLeの接続とを制御する。すべての発振サイクル(メインクロック信号の2つの連続する等しい状態の間の時間差によって定められる)において、いくらかの電荷が発振信号の振幅を増加させる。メインクロック信号(図3及び4における第1の信号)のサイクル長は、この例において、第5の信号のサイクル長と実質的に同じである。これは、例えば、メインクロック信号の周波数と一致させるように外部コイルLe及び/又は外部キャパシターCeの寸法を調整することによって達成することができる。又は、発振回路の共振振動数と一致させるようにメインクロック信号の周波数を調整することができる。第6の信号が論理値「1」になると、外部キャパシターCeからの電荷が、供給キャパシター15に移動する。第7の信号は、第5の信号が論理値「1」のレベルになるごとに供給キャパシター15をまたがる電圧がどのようにステップ的に増加するのかを示している。
【0026】
次に、図5を参照しながら、エナジーハーベスティング回路1を動作させる方法についてまとめる。
(1)まず、いくらかの電荷を外部キャパシターCeに移動させる。なぜなら、起動時において、外部エネルギー源3が、コイルLeを介して空の外部キャパシターCeをチャージするからである。
(2)論理回路は、第2のスイッチ9を(既に閉になっていなければ)閉にして、第1のスイッチS1を開にする。結果として、外部キャパシターCeからの電荷がアースへと移動し、コイルLeの磁場をチャージし、このコイルLeが外部キャパシターCeを放電させて、外部キャパシターCeをまたがる電圧が負になる。このようにして、外部キャパシターCeは、常に、外部エネルギー源3の電圧レベルに関係なく、外部エネルギー源3のうちの1つから他の電荷をすぐに受けることができるようになっている。
(3)次のチャージサイクルは、論理回路6が第1のスイッチS1を閉にして第2のスイッチ9を開にするときに行われる。このチャージサイクルの間に、外部エネルギー源3は、前サイクルにおけるように同じエネルギー源であることができ、又は別のエネルギー源、すなわち、スイッチS2、S3又はS4に接続されるエネルギー源のいずれか1つ、であることができる。論理回路6によって、適切なエネルギー源の選択を行うことができる。この選択は、例えば、異なるエネルギー源3のエネルギーレベルに基づくことができる。
(4)最後に、可能性としては何回も後のチャージサイクルの後に、電荷が供給キャパシター15に移動し、そこに格納される。供給キャパシターをまたがる電圧レベルは、正であり、実質的に一定である。すなわち、発振がない。
【0027】
図面と上の説明において本発明を詳細に説明したが、このような図や説明は、例示的なものであって、これらに限定されるものではないと考えるべきである。本発明は、開示された実施形態には限定されない。図面、開示内容、請求の範囲の検討に基づいて、当業者であれば、請求の範囲に係る発明を実施するときに、他の実施形態や変種についても理解し達成することができるであろう。
【0028】
請求の範囲において、用語「有する」は、他の要素やステップがあることを排除するものではなく、また、単数形であっても複数あることを排除するものではない。互いに異なる従属請求項において異なる特徴が記載されていることだけをもって、これらの特徴の組み合わせを有利に使用できないことを意味していない。請求の範囲に記載された参照用の符号はいずれも、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0029】
1 エナジーハーベスティング回路
3 エネルギー源
4 第1の発振回路ノード
5 第2の発振回路ノード
6 制御回路
7 クロック信号ジェネレーター
9 第2のスイッチ
11 電圧調整要素
13 第3のスイッチ
15 第2のキャパシター
29 電流調整要素
Ce 第1のキャパシター
Le インダクター
S1、S2、S3、S4 第1のスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5