(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態の水田水位検知システム、及び水田水位検知装置を
図1〜3に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る実施形態の水田水位検知システムの全体説明図である。また、
図2は、本発明に係る実施形態の水田水位検知装置を示す説明図である。さらに、
図3は、本発明に係る実施形態の水田水位検知装置の機能ブロック図である。
【0017】
本発明に係る実施形態の水田水位検知システムは、水田1に立設された支柱体11と、水田1の
作土層2の作土層表面2aから垂直方向に所定距離離間した位置で、支柱体11に設けられ、水田1の水面方向Xへ超音波パルスを発射し、水田1の水面Wで反射した超音波パルスを受信し、水田1の水位を算出するための
取得情報である各種情報を取得する超音波センサ部12、支柱体11の下端部11aに設けられ、その上端縁14aが作土層2の作土層表面2aに位置するように埋設された受皿部14と、受皿部14を水田1内の設置場所へ固定する固定杭15と、超音波センサ部12により取得された水田1の水位を算出するための各種情報を送信する水位情報送信部17と、を備えた水田水位検知装置10と、水田1の水位を算出するための各種情報を受信し、受信した水田1の水位を算出するための各種情報に基づいて、水田1の水位情報dを算出し、水田1の管理者、若しくは農業作業者の情報通信端末40へ送信する情報管理サーバ30とを有する。なお、水田1の水位を算出するための各種情報は、超音波パルスが発射されてから水田1の水面Wで反射し往復するまでの時間Δtと、及び発射された超音波パルスの伝播速度v、時間Δtと伝播速度vとに基づき、算出された超音波センサ部12から水田1の水面Wまでの距離を示す計測値m等である。
【0018】
また、水田水位検知装置10を構成する受皿部14は、作土層2の状態に応じて上下動する。
【0019】
支柱体11は、金属製や、塩化ビニル等の樹脂製の円筒状に形成され、
図2に示すように、所定の水田1内の設置場所に立設される。また、支柱体11の下端部11aには、受皿部14が設けられる。さらに、支柱体11の上端部11bには、装置本体部16が設けられ、装置本体部16内部に、超音波センサ部12により取得された水田1の水位を算出するための各種情報を処理する水位情報処理部13と、超音波センサ部12により取得された水田1の水位を算出するための各種情報を送信する情報送信部17を有する。
【0020】
超音波センサ部12は、水田1の
作土層2の作土層表面2aから垂直方向に所定距離離間した位置で、支柱体11に設けられ、水田1の水面方向Xへ超音波パルスを発射し、水田1の水面Wで反射した超音波パルスを受信する。本実施形態では、超音波センサ部12は、水田1の
作土層2の作土層表面2aから25cm〜30cm離間した高さ位置で、支柱体11に設けられている。
【0021】
本実施形態に係る超音波センサ部12は、水田1の水面方向Xへ超音波パルスを発射する超音波発射部12aと、発射された超音波パルスが水田1の水面Wに反射して往復し戻ってきた超音波パルスを受信する超音波受信部12bとを備える(
図3を参照)。また、超音波センサ部12は、超音波発射部12a、または超音波受信部12bの各処理を制御するセンサ制御部12cを備えている。なお、超音波センサ部12は、水面に非接触で水位を測定できる水位計であり、既存の超音波式水位計と同様な構成であることから、概要について説明するが、詳細な説明については省略する。
【0022】
超音波発射部12aは、
図2〜4に示すように、水田1の水面方向Xへ超音波パルスを発射する。超音波発射部12aにより超音波パルスが発射される際、センサ制御部12cは、超音波パルスを発射した発射時間t1と、超音波パルスの伝播速度vとを取得し、後述する装置本体部16に設けられた情報記憶部18へ出力する。
【0023】
超音波受信部12bは、水田1の水面W等により反射し往復した超音波パルスを受信する。超音波受信部12bにより超音波パルスが受信される際、センサ制御部12cは、超音波パルス受信された受信時間t2を取得し、装置本体部16に設けられた情報記憶部18へ出力する。
【0024】
センサ制御部12cは、超音波発射部12aから発射された超音波パルスの発射時間t1と、超音波受信部12bにより受信された超音波パルスの受信時間t2と、及び超音波発射部12aから発射される超音波パルスの伝播速度vとを取得する際、それらを相互に紐づけて、装置本体部16に設けられた情報記憶部18に出力する。
【0025】
また、センサ制御部12cは、上述した発射時間t1と、受信時間t2と、超音波パルスの伝播速度vとを取得する以外に、超音波発射部12a、超音波受信部12bにより行われる各処理を制御する。例えば、センサ制御部12cは、超音波パルスの発射間隔を、任意のタイミング(1時間毎〜1日毎等)に設定し、設定したタイミングで超音波発射部12aから超音波パルスを発射させることができる。
【0026】
水位情報処理部13は、上述した発射時間t1と受信時間t2とに基づき、超音波パルスが水田1の水面Wで反射し往復するまでの時間Δtを算出する。次に、水位情報処理部13は、超音波パルスが水田1の水面Wで反射し往復するまでの時間Δtと、超音波パルスの伝播速度vとに基づき、計測値mを算出する。ここで、算出された計測値mは、
図4に示すように、超音波センサ部12から水田1の水面Wまでの距離を示す。
【0027】
このように、水位情報処理部13により算出された計測値mは、
図1に示すように、情報送信部17から中継機50に中継された後、情報管理サーバ30へ送信される。ここで、情報送信部17から送信される際、水位情報処理部13は、超音波パルスの発射時間t1を計測時間Tとして、計測値mと紐づけると共に、水田水位検知装置10毎に付与された装置識別番号(装置ID)に紐づけて、中継機50に中継された後、情報管理サーバ30へ送信される。
【0028】
受皿部14は、全体形状は深皿状であって、底面部とその底面部の外縁から立設した側壁部から形成されている。また、受皿部14は、その底面部の中央が支柱体11の下端部11aに固定されている。さらに、受皿部14は、複数の固定杭15により、水田1内の設置場所に固定されることができる。本実施形態では、受皿部14は、固定杭15の直径よりも大きい孔径の固定杭挿通孔14aが形成されており、複数の固定杭15が固定杭挿通孔14aを挿通するよう配置される。これらの固定杭15の先端が、水田1の作土層2を超えて、作土層2の下に位置する鋤床層3まで達していることにより、受皿部14を所定の水田1内の設置場所に固定させることができる。
【0029】
本実施形態では、受皿部14を形成する側壁部の上端縁14aが水田1の作土層2の作土層表面2aに位置するように、作土層2内に埋設され、複数の固定杭15により、受皿部13は、所定の水田1の設置場所に設置される。そして、水田1に田植えをした後、徐々に作土層2が締まることにより作土層2の作土層表面2aが垂直下方へ下がるにつれて、受皿部14も合わせて垂直下方へ下がる。さらに、受皿部14に形成された、複数の固定杭15が挿通する固定杭挿通孔14aが固定杭15の直径よりも大きく形成されていることから、固定杭挿通孔14aから水田1の水が浸入することにより、受皿部14が浮き上がることなく、受皿部14は作土層2の状態に合わせて、垂直下方へ下がる。
【0030】
一方、水田1から水がなくなり、作土層2の作土層表面2aが露わになることによって、作土層2に含まれる水分が徐々に蒸発していき、作土層2の作土層表面2aが垂直下方へ下がるにあわせて、受皿部14も垂直下方へ下がる。
【0031】
固定杭15は、水田水位検知装置10が強風に煽られても、耐えうる曲げ強度を持ち、長期間に渡り、水に浸された状況で置かれても劣化しない材質であれば、金属製でも、樹脂製でもよい。
【0032】
装置本体部16は、支柱体11の上端部11bに設けられ、金属製や、樹脂製の直方体形状に形成されている。装置本体部16の内部には、水位情報処理部13、情報送信部17、及び情報記憶部18が格納できる内部空間を有する。
【0033】
図1に示すように、情報送信部17は、水位情報処理部13により算出された計測値mを受信し、中継機50へ送信する。ここで、情報送信部17から計測値mが送信される際、計測値mに、超音波パルスの発射時間t1を計測時間Tとして紐づけられていると共に、水田水位検知装置10毎に付与された装置識別番号(装置ID)に紐づけられ、中継機50へ送信される。また、情報送信部17は、中継器50を介さず、直接、インターネットを経由して、計測値m等を情報管理サーバ30へ送信させる構成であってもよい。
【0034】
情報記憶部18は、
図5に示す計測値データベースが記憶されている。ここで、計測値データベースは、「装置ID」を示すフィールド18aと、「発射時間(t1)」を示すフィールド18bと、「受信時間(t2)」を示すフィールド18cと、「時間Δt」を示すフィールド18dと、「伝播速度(v)」を示すフィールド18eと、「計測値(m)」を示すフィールド18fとを備えた、複数のレコードにより構成されている。
【0035】
具体的には、「装置ID」は、水田1に設置された水田水位検知装置10毎に付与された装置識別番号である。
【0036】
「装置ID」は、超音波センサ部12により取得された水田1の水位を算出するための各種情報、すなわちそれが検知された際の発射時間t1、受信時間t2、超音波パルスが水田1の水面Wで反射し往復するまでの時間Δt、超音波パルスの伝播速度v、超音波パルスが水田1の水面Wで反射し往復するまでの時間Δtと超音波パルスの伝播速度vとに基づいて算出された計測値mと紐づけられて格納されている。
【0037】
さらに、装置本体部16の上面には、パネル状の太陽電池19が設けられるとよい。太陽電池19の表面は、透明アクリル製の太陽電池カバーにより保護されるとともに、太陽電池19は太陽から照射される光エネルギーを光起電力効果により電力に変換する。そして、太陽電池19により変換された電力は、装置本体部16の内部に格納された蓄電池(図示しない)に充電される。図示しない蓄電池に充電された電力は、蓄電池と電気的に接続された超音波センサ部12、水位情報処理部13、情報送信部17、及び情報記憶部18に供給されて、超音波センサ部12、水位情報処理部13、情報送信部17、及び情報記憶部18は、各処理を実施することができる。
【0038】
情報管理サーバ30は、後述する中継機50を介して、情報送信部17により送信された水田1の水位を算出するための各種情報を受信し、水田1の水位情報dを算出する。
【0039】
本実施形態では、情報管理サーバ30は、
図6を示すように、水田1の水位情報dを算出する水位算出部31と、水位算出部31が算出した水田1の水位情報dを記憶する水位記憶部32と、水田1の水位情報dを水田1の管理者や、農業作業者が所有する情報通信端末40へ送信する水位送信部33とを有する。
【0040】
情報管理サーバ30の水位算出部31は、情報送信部17により送信された水田1の水位を算出するための各種情報、すなわち超音波センサ部12から水田1の水面Wまでの距離を示す計測値mと、水位記憶部32に予め記憶されている基準高さnとを取得し、以下の数式に基づき、計測値mと基準高さnとの差を、水田1の水位情報dとして、水位記憶部32へ出力する。
【0041】
(数1)
水田1の水位情報d=基準高さn−計測値m
【0042】
具体的には、算出された計測値mが「27cm」であって、予め記憶された基準高さnを「30cm」とし、上記数式に当てはめて水田1の水位情報dを算出すると、水田1の水位情報dは「3cm」となる。なお、基準高さnは、
図4に示すように、超音波センサ部12から、支柱体11の下端部11aに設けられた受皿部14の上端縁14aまでの高さ寸法であるから、水田1の水位だけ、超音波センサ部12から水田1の水面Wまでの距離を示す計測値mより大きい値となる。
【0043】
一方、水田1から水がなくなり、
図7に示すように、水田1の作土層2の作土層表面2aが露わになった場合における、水田1の水位情報d1の算出手順について、以下説明する。
【0044】
図7に示す通り、水田1から水がなくなり、水田1の作土層2の作土層表面2aが露わになった場合、超音波発射部12aから発射された超音波パルスは、水田1の水面Wではなく、受皿部14に堆積した泥、ゴミ、虫、若しくは受皿部14の底面部で反射し、超音波受信部12bにより受信され、水位情報処理部13により算出された計測値m1は、情報送信部17により送信される。
【0045】
本実施形態では、情報管理サーバ30の水位算出部31は、情報送信部17により送信された計測値m1と、水位記憶部32に予め記憶されている基準高さnとを取得し、上記数式に基づき、計測値m1と基準高さnとの差を、水田1の水位情報d1として、水位記憶部32へ出力する。
【0046】
具体的には、基準高さnが「30cm」であるとし、計測値m1を「34cm」とし、上記数式に当てはめて、水田1の水位情報d1を算出すると、水田1の水位情報d1は「−4cm」となる。なお、基準高さnは、
図7に示すように、超音波センサ部12から、支柱体11の下端部11aに設けられた受皿部14の上端縁14aまでの高さ寸法であるのに対して、計測値m1は、水田1の水面Wまでではなく、受皿部14の上端縁14aを超えて、受皿部14の底面部や、底面部に堆積した泥、昆虫、及びゴミ等までの距離となるため、基準高さnより大きな値となる。
【0047】
そして、水位算出部31は、水田1の水位情報d1が負の値であった場合、水田1に水がない状態(例えば、渇水状態)であると判断する。そして、水位算出部31は、水田1に水がない状態である旨が記された通知(例えば、水田1の水位情報d1が「0cm」である表示)を、水位記憶部32へ出力する。
【0048】
情報管理サーバ30の水位記憶部32は、
図8に示す水位情報データベースを記憶し、「装置ID」を示すフィールド21と、「ユーザID」を示すフィールド22と、「水田ID」を示すフィールド23と、「基準高さ(n)」を示すフィールド24と、「計測時間(T)」を示すフィールド25と、「計測値(m)」を示すフィールド26と、「水位情報(d)」を示すフィールド27とを備えた、複数のレコードにより構成されている。
【0049】
「装置ID」は、水田1に設置された水田水位検知装置10毎に付与された装置識別番号であり、例えば、「C11」、「C12」、「C21」…と付与される。
【0050】
具体的には、「ユーザID」は、水田1の管理者、若しくは農業作業者毎に付与される個人識別番号であり、例えば、水田1の管理者、若しくは農業作業者毎に「A01」、「A02」…と付与される。ここで、「ユーザID」は、任意の水田1に、水田水位検知装置10を設置した際、水田1の管理者、若しくは農業作業者が、自身が所有する情報通信端末40を操作し、「装置ID」を水位記憶部32の水位情報データベースに登録する際に自動的に付与され、水位記憶部32に格納される。また、「ユーザID」が事前に設定されている場合は、情報通信端末40を操作し、「装置ID」と共に、事前に設定された「ユーザID」を入力する構成としてもよい。なお、一人の管理者、若しくは農業作業者が複数の水田水位検知装置10を管理する場合、一つの「ユーザID」に複数の「装置ID」を紐づけられる。
【0051】
「水田ID」は、水田1の管理者、若しくは農業作業者が管理する水田1毎に付与された水田識別番号であり、例えば、水田1毎に、「B001」、「B002」、「B003」…と付与される。ここで、「水田ID」は、任意の水田1に、水田水位検知装置10を設置した際、水田1の管理者や、農業作業者が、自身が所有する情報通信端末40を操作し、「装置ID」を登録する際に自動的に付与され、水位記憶部32に格納される。また、「水田ID」が事前に設定されている場合は、情報通信端末40を操作し、「装置ID」と共に、事前に設定されている「水田ID」を入力する構成としてもよい。さらに、「水田ID」は、情報通信端末40のGPS機能により取得された水田1の位置情報と紐づけられ、情報管理サーバ30へ送信され、水位記憶部32に格納される。なお、一人の管理者、若しくは農業作業者が複数の水田1を管理する場合、一つの「ユーザID」に複数の「水田ID」を紐づけられる。一方、一つの水田1を複数の管理者、若しくは農業作業者が管理する場合、複数の「ユーザID」に、同一の「水田ID」を紐づけることも可能である。
【0052】
「基準高さ(n)」は、
図4に示すように、超音波センサ部12から、支柱体11の下端部11aに設けられた受皿部14の上端縁14aまでの高さ寸法という。「基準高さ(n)」は、「装置ID」に紐づけられて、予め水位記憶部32に記憶されている。
【0053】
「計測時間(T)」は、水田水位検知装置10の超音波センサ部12により超音波パルスの発射時間t1であって、例えば、「AM10:00」、「AM11:00」、「AM12:00」…「PM2:00」…である。また、「計測値(m)」は、水田水位検知装置10の水位情報処理部13により算出された超音波センサ部12から水田1の水面Wまでの距離である。「計測時間(T)」は、「計測値(m)」と相互に紐づけられて、水位記憶部32に格納されている。
【0054】
「水位情報(d)」は、「基準高さ(n)」と「計測値(m)」とに基づいて、算出された水田1の水位である。なお、「水位情報(d)」は、水位算出部31により算出される毎に、「装置ID」と紐づけられる。
【0055】
なお、「ユーザID」に、水田1の管理者や、農業作業者の情報通信端末40へ送受信することができるユーザ名、メールアドレス、電話番号情報の「連絡情報」を紐づけるとよい。また、「ユーザID」に、水田1の管理者や、農業作業者が所有する情報通信端末40から情報管理サーバ30にアクセスし、水田1の水位情報dの閲覧するためのアクセスを許可する「パスワード」を紐づけるとよい。
【0056】
また、「水田ID」が付与された水田1の地図情報や、画像情報を紐づけて、情報管理データベースに格納してもよい。
【0057】
また、情報管理サーバ30の水位送信部33は、水位情報データベースにユーザ識別番号(ユーザID)に紐づけられて格納された、水田1の管理者や、農業作業者が所有する情報通信端末40で受信できるメールアドレス、電話番号等の連絡情報に基づいて、水田水位検知装置10により送信された計測時間T、及び水位情報dを、水田1の管理者や、農業作業者が所有する情報通信端末40へ送信する。
【0058】
水田1の管理者、若しくは農業作業者は、自らが所有する情報通信端末40へ送信された水田1の水位情報dを確認し、水田1の水位が不足している場合は、水田1へ水を供給する対応、若しくは水田1の水位が過剰である場合は、水田1の水を抜く対応等、状況に合わせた対応を行なうことができる。
【0059】
一方、情報管理サーバ30の水位送信部33は、水位情報データベースにユーザ識別番号(ユーザID)に紐づけられて格納された、水田1の管理者や、農業作業者が所有する情報通信端末40で受信できるメールアドレス、電話番号等の連絡情報に基づいて、水田水位検知装置10により送信された計測時間T、及び水田1に水がない状態である旨が記された通知を、水位送信部33水田1の管理者、若しくは農業作業者の情報通信端末40へ送信する。
【0060】
水田1の管理者、若しくは農業作業者は、自らが所有する情報通信端末40へ送信された水田1に水がない状態である旨が記された通知(例えば、水田1の水位情報d1が「0cm」である表示)を確認し、水田1へ水を供給する等の適切な対応を行なうことができる。
【0061】
上述した実施形態では、基準高さnを固定値として説明したが、基準高さnを、水田1に設置された水田水位検知装置10の状況に合わせて、変更することができる構成としてもよい。
【0062】
実施例1として、水田水位検知装置10の水田1への設置作業が完了した状態で、超音波センサ部12から、支柱体11の下端部11aに設けられた受皿部14の上端縁14aまでの高さ寸法を測定し、測定した高さ寸法と予め設定されている基準高さnとの差を算出し、算出された差を補正値hとする。そして、水田1の管理者、若しくは農業作業者は、情報通信端末40を操作し、補正値hを情報管理サーバ30へ送信する。その際、補正値hは、水田水位検知装置10毎に付与された装置識別番号(装置ID)に紐づけられる。そして、情報管理サーバ30は、受信した補正値hを同一の装置識別番号(装置ID)に紐づけられた基準高さnと紐づけて、水位記憶部32に格納する。
【0063】
ここで、補正値hを加えて、水田1の水位情報dを算出する場合、情報管理サーバ30は、同一の装置識別番号(装置ID)が付与された水田水位検知装置10の情報送信部17から、中継機50を中継して、送信された計測値mを受信し、水田1の水位情報dを下記数式を用いて、算出する。
【0064】
(数2)
水田1の水位情報d=基準高さn+補正値h−計測値m
【0065】
具体的には、基準高さnが「30cm」、補正値hが「1cm」、計測値mが「27cm」である場合、上記数式により、水田1の水位情報dは「4cm」となる。一方、基準高さnが「30cm」、補正値hが「−2cm」、計測値mが「27cm」である場合、上記数式により、水田1の水位情報dは「1cm」となる。
【0066】
また、実施例2として、水田水位検知装置10の水田1への設置作業が完了した状態で、超音波センサ部12から、支柱体11の下端部11aに設けられた受皿部14の上端縁14aまでの高さ寸法を測定し、測定した高さ寸法を変更基準高さn1としてもよい。水田1の管理者や、農業作業者が所有する情報通信端末40を操作し、装置識別番号(装置ID)に紐づけた変更基準高さn1を情報管理サーバ30へ送信する。そして、情報管理サーバ30は、受信した変更基準高さn1を同一の装置識別番号(装置ID)に紐づけられた基準高さnと置き換えて、水位記憶部32に格納する。この場合の水田1の水位情報dを算出する数式は、以下の通りである。
【0067】
(数3)
水田1の水位情報d=変更基準高さn1−計測値m
【0068】
また、情報管理サーバ30は、水田1の管理者、若しくは農業作業者が所有する情報通信端末40からのアクセス要求を受け付け、水田1の水位情報d等を閲覧することができるWebサイトを提示する水位提供部34を有してもよい。
【0069】
水位提供部34は、情報通信端末40からのアクセス要求(例えば、「ユーザID」の入力)を受け付けると、入力された「ユーザID」に紐づけられた「水田ID」、「水位情報(d)」、「計測時間(T)」等を、水位記憶部32の水位情報データベースから抽出する。さらに、水位提供部34は、抽出した「水位情報(d)」、「計測時間(T)」を、水田1の管理者、若しくは農業作業者が閲覧可能なWebサイトを生成し、アクセス要求を受け付けた情報通信端末40に対して、生成したWebサイトを提示する。
【0070】
また、水位提供部34は、情報通信端末40からのアクセス要求の際に、「ユーザID」に加え、事前に設定された「パスワード」の入力を要求することもできる。さらに、水位提供部34は、「ユーザID」毎にアクセス権限を設定することも可能であり、「ユーザID」に設定されたアクセス権限に応じて、閲覧できる範囲が異なるWebサイトを提示する構成であってもよい。
【0071】
なお、情報管理サーバ30は、図示しないが、各種プログラムの演算処理を実行するCPU等の演算処理部と各種処理に用いられるプログラムや各種データ等を記憶する記憶部を有する。演算処理部は、処理に応じてプログラムやモジュール等が読み出し、後述する決済システム10を構成する各部の機能を実現する。さらに、キーボード等の入力装置、ディスプレイ等の表示装置等他のハードウェアを備えていてもよい。さらに、上記記憶部は、データベース、データファイル等様々なデータ保存形式で記憶されるとよく、データベース、データファイルのデータ保存形式に限定されず、いかなるデータの保存形式であってもよい。
【0072】
情報通信端末40は、水田1の管理者や、農業作業者が所有する、スマートフォン、タブレット型端末、PCであって、水田1の位置情報を取得することができるGPS機能を備えており、
図9に示す通り、水田1毎の水位情報dを表示させることや、
図10に示す通り、地図上に各水田1の水位情報dを表示させることができる。また、情報通信端末40から、付与された「ユーザID」と「パスワード」を入力して、情報管理サーバ30へアクセスし、水位提供部34が生成したWebサイトを閲覧し、水田1の水位情報d等を確認することも可能である。
【0073】
中継機50は、中継機50を中心に、所定区域内(例えば、半径4km〜8km内)の水田1A、1Bに設置された水田水位検知装置10から送信された、計測値m、計測時間T等を受信することができる。また、中継機50は、受信した計測値m、計測時間T等を、広域ネットワーク、いわゆるインターネットを介して、情報管理サーバ30へ送信することができる。
【0074】
本実施形態に係る水田水位検知装置10は、水田1の水位情報dを正確に算出することができるため、水田1の管理者、若しくは農業作業者は、容易に、且つ正確に水田1の水位情報dを把握することができる。
【0075】
本実施形態に係る水田水位検知装置10は、水田1の作土層2の状態に合わせて、水田水位検知装置10を構成する受皿部14が垂直方向に上下動するため、水田1の作土層2の作土層表面2aまでの基準高さnが一定となるため、水田1の水位情報dを正確に算出することができるため、水田1の管理者、若しくは農業作業者は、容易に、且つ正確に水田1の水位情報dを把握することができる。
【0076】
本実施形態に係る水田水位検知装置10は、水田1から水がなくなった状態を把握することができるため、水田1の管理者、若しくは農業作業者は、水田1の状況に合わせて対処することができる。
【0077】
本実施形態に係る水田水位検知装置10は、水田1に設置された状況に合わせて、基準高さnを補正することができるため、水田水位検知装置10が置かれた状況に影響されることなく、正確な水田1の水位情報dを把握することができる。
【0078】
本明細書開示の発明は、各発明や実施形態の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含む。
【解決手段】水田水位検知システムであって、水田に立設された支柱体と、支柱体に設けられ、水田の水面方向へ超音波パルスを発射し、水田の水面で反射した超音波パルスを受信し、各種情報を取得する超音波センサ部と、支柱体の下端部に設けられ、その上端縁が作土層表面に位置するように埋設された受皿部と、受皿部を水田内の設置場所へ固定する固定杭と、超音波センサ部により取得された各種情報を送信する水位情報送信部とを備えた水田水位検知装置10と、受信した各種情報に基づいて、水田の水位情報を算出し、水田の管理者、若しくは農業作業者の情報通信端末40へ送信する情報管理サーバ30とを有し、水田水位検知装置10の受皿部は、作土層の状態に応じて上下動する。