(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
色材、水分散性樹脂及び水を少なくとも含有し、前記水分散性樹脂として、水分散性ウレタン樹脂と、水分散性(メタ)アクリル樹脂又は水分散性スチレン/(メタ)アクリル樹脂とをそれぞれ少なくとも1種含有する調湿基材用水性インクジェットインクであって、前記調湿基材は、調湿建材であって、JIS A 1470−1(2002)に従って測定される3時間後の吸湿量が15g/m2より多いものである、調湿基材用水性インクジェットインク。
前記水分散性ウレタン樹脂のメジアン径が10〜200nmであり、前記水分散性(メタ)アクリル樹脂又は水分散性スチレン/(メタ)アクリル樹脂のメジアン径が10〜200nmである請求項1に記載の調湿基材用水性インクジェットインク。
前記水分散性(メタ)アクリル樹脂又は水分散性スチレン/(メタ)アクリル樹脂の含有量が水分散性樹脂の総量の20〜90質量%である請求項1又は2に記載の調湿基材用水性インクジェットインク。
請求項1〜5のいずれか1項に記載の調湿基材用水性インクジェットインクを用い、調湿基材の表面にインクジェット印刷する工程を含む、加飾された調湿基材の製造方法であって、前記調湿基材は、調湿建材であって、JIS A 1470−1(2002)に従って測定される3時間後の吸湿量が15g/m2より多いものである、加飾された調湿基材の製造方法。
前記インクジェット印刷する工程の前に、水、メジアン径が40nmよりも大きい水分散性樹脂、及びメジアン径が300nm以下の無機粒子を少なくとも含む前処理液を、前記調湿基材の表面に塗布又は印刷する前処理工程を含む、請求項6に記載の加飾された調湿基材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<調湿基材用水性インクジェットインク>
本発明の調湿基材用水性インクジェットインクは、色材、水分散性樹脂及び水を少なくとも含有し、前記水分散性樹脂として、水分散性ウレタン樹脂と、水分散性(メタ)アクリル樹脂又は水分散性スチレン/(メタ)アクリル樹脂とをそれぞれ少なくとも1種含有することを特徴としている。
以下に、本発明の調湿基材用水性インクジェットインク(以下、単に「インク」とも呼ぶ。)の各成分について詳述する。
【0020】
[色材]
色材としては、顔料及び染料の何れも使用することができ、単独で使用しても両者を併用してもよい。画像の耐候性及び印刷濃度の点から、色材として顔料を使用することが好ましい。
色材は、インク全量に対して0.01〜20質量%の範囲で含有されることが好ましい。さらに、インク全量に対して色材は、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましく、1質量%以上であることが一層好ましい。また、インク全量に対して色材は、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、8質量%以下であることが一層好ましい。
【0021】
(染料)
染料としては、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等が挙げられ、これらのうち、水溶性のもの及び還元等により水溶性となるものが使用できる。より具体的には、アゾ染料、ローダミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、メチレンブルー等が挙げられる。これらの染料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0022】
(顔料)
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料及び染付レーキ顔料等の有機顔料並びに無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキシサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。無機顔料としては、代表的にはカーボンブラック及び酸化チタン等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0023】
(顔料分散剤)
インク中における顔料の分散を良好にするために、インクに必要に応じて顔料分散剤を添加することができる。使用できる顔料分散剤としては、顔料を溶媒中に安定して分散させるものであれば特に限定されないが、例えば、高分子分散剤や界面活性剤に代表される公知の顔料分散剤を使用することが好ましい。高分子分散剤の具体例としては、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパース(商品名)シリーズ、ジョンソンポリマー社製のジョンクリル(商品名)シリーズなどが挙げられる。界面活性剤の具体例としては、花王(株)製デモール(商品名)シリーズが挙げられる。
顔料分散剤の含有量は、上記顔料を十分に上記溶媒中に分散可能な量であれば足り、例えば顔料1に対し質量比で0.01〜2の範囲内で、適宜設定できる。
【0024】
[水分散性樹脂]
本発明のインクには、調湿基材に色材を十分に定着させるために、水分散性樹脂を含有する。そして、本発明のインクにおいては、水分散性樹脂として、水分散性ウレタン樹脂と、水分散性(メタ)アクリル樹脂又は水分散性スチレン/(メタ)アクリル樹脂とを含有する。水分散性樹脂としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましい。また、水性インク中で粒子を形成可能な、すなわち水中油(O/W)型樹脂エマルションを形成可能な樹脂を用いることが好ましく、樹脂エマルションとして配合することができる。ここで、本発明のインクにおいて、水分散性ウレタン樹脂を含有することで、主に柔軟性に優れた画像が得られ、水分散性(メタ)アクリル樹脂又は水分散性スチレン/(メタ)アクリル樹脂を含有することで、主に光沢性に優れた画像が得られる。すなわち、本発明のインクは、両水分散性樹脂を含むことで、調湿基材にインクジェット印刷した場合、柔軟性及び光沢性に優れた画像が得られる。
【0025】
(水分散性ウレタン樹脂)
本発明のインクの印刷対象となる調湿基材は、表面に多数の細孔を備え、この細孔が吸放湿性を発揮するのであり、かかる調湿性能を有する調湿基材の細孔の直径は例えば1〜100nm程度のものがあり、より詳細には、直径1〜50nm程度のメソ孔と、直径50〜100nm程度のマクロ孔とを有する。これらの孔がインクにより塞がれてしまうと、調湿性能が低下することがある。そこで、本発明において、調湿性能の低下を防止するため、水分散性ウレタン樹脂のメジアン径は10〜200nmが好ましい。なお、水分散性樹脂のメジアン径は、特に断らない限り、動的光散乱法により測定した粒度分布における体積基準の粒径値(メジアン径)である。動的光散乱式粒子径分布測定装置としては、ナノ粒子解析装置nano Partica SZ−100(株式会社堀場製作所)等を用い、水分散性樹脂の濃度が0.5質量%となるように水で希釈し、25℃で測定することができる。
【0026】
本発明における水分散性ウレタン樹脂は、従来、インクジェットインク等に使用されている水性樹脂エマルションを使用することができる。具体的には第一工業製薬(株)のスーパーフレックス420、460、460S、470(カーボネート系ウレタン樹脂エマルション)、150HS(エステル・エーテル系ウレタン樹脂エマルション)、740、840(芳香族イソシアネート系エステル系ウレタン樹脂エマルション)、DSM社のNeoRez R−9660、R−2170(脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂エマルション)、NeoRez R−966、R−967、R−650(脂肪族ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルション)、R−986、R−9603(脂肪族ポリカーボネート)などが挙げられる(いずれも商品名)。
【0027】
(水分散性(メタ)アクリル樹脂又は水分散性スチレン/(メタ)アクリル樹脂)
水分散性ウレタン樹脂のみをインクに用いた場合、水分散性樹脂の凝集性が高く、保存環境の温度変化やインクヘの不純物混入等の影響により樹脂間または色材も一緒になった融着が生じ、粗大な異物となることがある。その結果、インクの粘度低下による印刷画像の品質低下、および異物がインクジェットヘッド内に付着・堆積することによる吐出不良を引き起こす可能性がある。そこで、本発明のインクにおいては、水分散性ウレタン樹脂に加え、水分散性(メタ)アクリル樹脂又は水分散性スチレン/(メタ)アクリル樹脂を含有することで、インクの粘度低下を抑制し、かつ光沢性の高い印刷物を得ることができる。ここで、「(メタ)アクリル樹脂」は、アクリル樹脂とメタクリル樹脂の双方を示す。
水分散性(メタ)アクリル樹脂又は水分散性スチレン/(メタ)アクリル樹脂のメジアン径は、インクジェットヘッドの吐出不良を防止する観点から、10〜200nmが好ましい。
【0028】
本発明における水分散性(メタ)アクリル樹脂又は水分散性スチレン/(メタ)アクリル樹脂は、従来、インクジェットインク等に使用されている水性樹脂エマルションを使用することができる。具体的には日本合成化学工業(株)のモビニール966A、6963、6960(アクリル樹脂エマルション)、6969D、RA−033A4(スチレン/アクリル樹脂エマルション)や、BASF社のジョンクリル7100、PDX−7370、PDX−7341(スチレン/アクリル樹脂エマルション)、DIC(株)のボンコートEC−905EF、5400EF、CG−8400(アクリル/スチレン系エマルション)などが挙げられる(いずれも商品名)。
【0029】
本発明におけるインクにおいて、水分散性(メタ)アクリル樹脂又は水分散性スチレン/(メタ)アクリル樹脂の含有量は、水分散性樹脂の総量の20〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。当該含有量を20〜90質量%とすることで、インクの粘度低下抑制及び印刷部の耐水擦過性がともに優れる。
【0030】
本発明のインクにおいては、本発明の効果を損なわない範囲において、他の水分散性樹脂を併用することができる。併用する水分散性樹脂としては、水性樹脂エマルション、特に水中油(O/W)型樹脂エマルションを使用することができる。この水性樹脂エマルションを形成する樹脂としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましく、例えば、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂エマルション、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂エマルション、酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂エマルション、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂エマルション等が挙げられる。
【0031】
[水]
水は、インクの溶媒、すなわちビヒクルとして機能するものであれば特に限定されず、水道水、イオン交換水、脱イオン水等が使用できる。水は揮発性の高い溶媒であり、調湿基材に吐出された後、容易に蒸発するので、加飾後の調湿基材の細孔が塞がれるのを防止し、加飾された調湿基材の調湿性能の低下を防止する作用を奏する。また、水は、無害で安全性が高く、VOCのような問題がないので、加飾された調湿基材を環境にやさしいものとすることができる。
インク中の水の含有量が多ければ多いほど、調湿基材の調湿性能の低下を防止する効果が高まるので、水は、インク全量の60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましい。また、水の含有量は95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
【0032】
なお、インクの溶媒は、ほとんどが水で構成されることが好ましいが、必要に応じて、水以外に、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解可能な有機化合物を使用することができ、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合する水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のアセチン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、β−チオジグリコール、スルホラン等を用いることができる。これらは、単独で使用してもよく、また、単一の相を形成する限り、2種以上混合して使用してもよい。
水溶性有機溶剤の含有量は、粘度調整と保湿効果の観点から、インク中に30質量%以下(あるいは、溶媒中に50質量%以下)であることが好ましい。
【0033】
[他の成分]
インクには、上記の成分に加え、任意に、湿潤剤(保湿剤)、表面張力調整剤(界面活性剤)、消泡剤、定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を適宜添加することができる。
【0034】
本発明のインクは、特に限定されず、公知の方法により調製することができる。例えば、ビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め水と色材の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
【0035】
[調湿基材]
本発明のインクの印刷対象となる調湿基材は、後記の加飾された調湿基材の製造方法において説明する。
【0036】
<加飾された調湿基材の製造方法>
本発明の加飾された調湿基材の製造方法は、既述の本発明の調湿基材用インクジェットインクを用い、調湿基材の表面にインクジェット印刷する工程を含むことを特徴としている。
本発明の加飾された調湿基材の製造方法は、既述の本発明の調湿基材用インクジェットインクを用いて印刷するため、調湿基材の調湿性能を損なうことなく、耐水擦過性に優れ、かつ光沢性が高い高画質な画像が得られる。
本発明において、加飾された調湿基材の製造は、調湿基材の表面に、上記インクを用いたインクジェット印刷方式により画像を形成することにより行われる。なお、本明細書において、「加飾」は装飾と同義であって、印刷画像を形成することを意味しており、「加飾された」とは印刷画像を有することを意味する。この加飾部分は、対象物、すなわち調湿基材の全面であっても一部であってもよい。
調湿基材としては、調湿建材として規定される1級以上の調湿性能を有する基材を用いることが好ましい(上記表1参照)。具体的には例えば、JIS A 1470−1(2002)(又はISO 24353:2008)に従って測定される3時間後の吸湿量が15g/m
2より多い吸湿性能を有するものを使用することが好ましい。また、インクジェット印刷後の加飾された調湿基材も、調湿建材として規定される1級以上の調湿性能を有することが好ましく、具体的には例えば、JIS A 1470−1(2002)(又はISO 24353:2008)に従って測定される3時間後の吸湿量が15g/m
2より多い吸湿性能を有することが好ましい。
【0037】
[前処理工程]
インクジェット印刷を行う前に、調湿基材の表面に前処理液を塗布して乾燥する前処理工程を行うことにより、その後のインクジェット印刷によって印刷された画像の発色性、光沢性を向上させることができる。特に、吸放湿量及び/又は平均含水率が低い調湿基材、例えば、調湿性が低くJIS A 1470-1(2002)及び/又はJIS A 1475(2004)に規定される等級の低い調湿建材の場合、少ないインク量でも高い発色性を得ることは可能であるが、単位時間当たりのインク打ち込み量を多くするとインク溢れが発生し、画像の滲みやインク溜りが生じやすく、インク溜りは画像品位を低下させるばかりか、調湿基材の細孔の一部を塞ぎ、調湿性能を低下させる原因となる恐れがある。このような場合には、印刷前に調湿基材の表面に前処理液を塗布し乾燥させて、前処理しておくことが好ましい。
前処理液は、水、水分散性樹脂、及びメジアン径が300nm以下の無機粒子を少なくとも含み、その他の任意の成分を含んでいてもよい。前処理液の各成分の詳細については後述する。
【0038】
前処理液の調湿基材表面への塗布は、刷毛、ローラー、バーコーター、エアナイフコーター、スプレーを使用して調湿基材表面に一様に浸透させることによって行ってもよく、又は、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷手段によって画像を印刷することで行ってもよい。すなわち、前処理液は、調湿基材表面の全面に塗布されてもよいし、必要な箇所にのみ、例えば上記インクを用いたインクジェット印刷が行われる箇所にのみ塗布されてもよい。
【0039】
前処理液の塗工量は、調湿基材の吸放湿量及び平均含水率によって異なるが、加飾画像の一定の発色及び光沢を達するためには、調湿基材の吸放湿量及び平均含水率が低いほど塗工量(不揮発分)を多くすることが好ましい。また、表面粗さRaが15μm程度の調湿基材の場合、前処理後のRaを好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下とするに十分な量の前処理液を塗工すると、印刷された画像の発色性及び光沢性が向上するので好ましい。一方、前処理する前に調湿基材表面を研磨するなどして表面粗さを改善しても細孔構造への影響はほとんどないが、前処理液で調湿基材表面を前処理する場合に、前処理前に該表面を研磨するなどして表面粗さRaを好ましくは10μm以下より好ましくは8μm以下にしておくと、その後、この研磨された表面に前処理を行って、インクジェット印刷を施すと、印刷された画像の発色性及び光沢性が一層向上する。表面粗さRaは、KEYENCE社のLaseer Scaning Microscope VK−8700などで測定が可能である。測定の際には、調湿基材の大きな凹凸、欠落部などの特異的な部分は除外してよい。
【0040】
前処理液の好ましい塗工量は、上記のように調湿基材の調湿性能により異なるため一律に規定することはできないが、塗布面積あたりの不揮発分量として、例えば1級の調湿建材の場合は15g/m
2〜30g/m
2程度、2級の調湿建材の場合は5g/m
2〜15g/m
2程度、3級の調湿建材の場合は、3g/m
2〜10g/m
2程度とすることができる。
【0041】
前処理するか否かに拘わらず、高品位の加飾画像を得るために、(i)インク滴を小さくする、(ii)印刷速度を遅くする、(iii)片方向印刷をする、(iv) 調湿基材を温めながら印刷する、(v)印刷解像度を低くする、又は、(vi)これらの方法を組み合わせて印刷するなどの印刷条件を用いることが有効である。特に、吸放湿量及び/又は平均含水率が低い調湿基材、例えば、調湿性が低く、上記調湿建材の調湿性能評価基準に規定される等級の低い調湿建材(例えば、上記1級の調湿建材)の場合、前処理しないと画像の滲みやインク溜りが生じやすいが、上記方法を採用することにより、前処理しなくても画像の滲みやインク溜りを避けることができる。
【0042】
調湿基材を温めながら印刷する上記印刷条件は、調湿基材の性能に関わらず、少ないインク量で高発色の画像を得ることが必要な場合、凹凸が多い調湿基材やインクの吸水性能が異なる複数の調湿基材にまたがった絵柄を均一に印刷する場合の印刷条件としても有効である。調湿基材を温めながら印刷することで、インク中の水以外の成分である顔料等の存在位置を調湿基材の表面近くに形成させることが可能となるため、調湿基材の調湿性能や形状への影響が小さくなり、安定した画像を得ることが可能となる。
【0043】
調湿基材を温める方法としては、印刷直前までヒーターで調湿基材を加熱し、その余熱で印刷中の調湿基材を温める方法、シート状のヒーターを調湿基材の下に敷くなどにより、温めながら印刷する方法、両者を組み合わせた方法が挙げられる。ヒーターとしては、セラミックヒーター、カーボンヒーター、赤外線を発光しやすいように表面処理をしたシーズヒーターなどの赤外線を照射するヒーターが挙げられる。調湿基材の加熱温度は、インクジェット印刷に用いるノズルが乾燥し吐出が不安定にならない温度であれば特に限定されない。
【0044】
印刷終了後に調湿基材を、例えば50〜100℃の範囲で加熱する工程を行ってもよく、この加熱方法として、上記した印刷前又は印刷時と同じ方法を採用してもよい。上記のようにして調湿基材を加熱することで、インク中の水やその他の揮発性成分を完全に揮発させると同時に、インク中の色材を水分散性樹脂によって調湿基材に定着させることができる。
【0045】
加飾された調湿基材を製造するための調湿機能を有する調湿基材は、表面に多数の細孔を備え、この細孔が吸放湿性を発揮するものであれば、特に限定されない。上記のように、調湿建材として規定される1級以上の調湿性能を有する基材を用いることが好ましい(上記表1参照)。調湿基材の形状は通常、ボード状すなわち板状であるが、これに限定されるものではない。
かかる調湿機能を有する調湿基材の細孔の直径は、例えば、1〜200nmあるいは1〜100nm程度のものがあり、より詳細には、直径1〜50nmのメソ孔と直径50nm超(例えば50nm超200nm以下又は50nm超100nm以下程度)のマクロ孔とを有する。メソ孔の直径は、例えば水銀ポロシメーターによる水銀圧入法によって測定することができる。
【0046】
代表的な調湿基材としては、ケイ酸カルシウム等の無機材料の硬化体であって、吸放湿機能を有する無機粉体、例えば、ケイ酸質粉体、シリカゲル、珪藻土、活性白土、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、セピオライトなどを含有するものが挙げられ、該硬化体を更に焼成されたものも含まれる。調湿基材の具体例としては、調湿建材等の材料として使用されているものが挙げられ、好ましくは、一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会に登録された調湿建材が挙げられる。すなわち、上記表1に示した調湿性性能評価基準に合致した性能を有する調湿建材を好ましく使用することができる。具体的には、例えば、上述のとおり、JIS A 1470−1(2002)に規定する3時間後の吸湿量が15g/m
2より多い調湿基材である。
【0047】
かかる調湿建材としては、例えば、特開2003−146775号公報に記載のような石膏、ケイ酸カルシウム、セメント、スラグ石膏もしくは塩基性炭酸マグネシウムの一種以上から選択される親水性素材を成形して得られる調湿建材、及び該親水性素材に膨張・剥離性鉱物を配合した素材を成形して得られる調湿建材、特開2002−4447号公報に記載のような主成分が炭酸カルシウムと非晶質シリカである成形体を炭酸硬化反応によって製造した調湿建材などが挙げられる。特に、特開2003−146775号公報に記載のようなケイ酸カルシウムに未膨張バーミキュライトを配合してなる素材を成形して得られる調湿建材を、調湿基材として好ましく使用できる。
【0048】
上記調湿基材への水性インクを用いたインクジェット印刷は、一般的なインクジェットヘッドを用いて行うことができ、インク吐出方式や使用する装置等に特に制限はない。印刷(加飾)後は、乾燥させることにより、調湿基材の表面に、インクジェット印刷されたインクから水及びその他の揮発性成分が揮発して、水分散性樹脂と色材から主として構成される画像を備えてなる、調湿機能を有する加飾された調湿基材、特に加飾建材が得られる。なお、加飾された調湿基材の画像には、水分散性樹脂と色材以外に、界面活性剤等の少量のインク由来の不揮発成分が含まれる場合がある。
【0049】
上記特開2002−4447号公報に記載のような炭酸硬化反応によって製造される調湿建材の場合、通常、素材混合→プレス成形→炭酸ガス硬化(発熱)→乾燥の工程で製造され、加飾工程は、炭酸ガス硬化体に対して行われ、具体的には、炭酸ガス硬化体→加飾印刷→加熱→自然冷却(完成)の工程で行われる。一実施形態において加飾は、かかる調湿建材に対し、炭酸ガス硬化体に対して行うこともできるが、別の実施形態においては、プレス成形された後の炭酸ガス硬化前の成形品に対しても加飾を行うことができる。後者の場合、素材混合→プレス成形→加飾印刷→炭酸ガス硬化(発熱)→乾燥(完成)という工程で加飾建材を製造することができるので、炭酸ガス硬化工程及び乾燥工程の熱を利用してインクの水及びその他の揮発性成分を揮発させることができ、エネルギー消費を低く抑えられるとともに、工程が短縮され、加飾前の在庫ストックが不要になるなどの利点が生じる。
【0050】
[前処理液]
次いで、上述した前処理工程で用いる前処理液の各成分の詳細について以下に説明する。
【0051】
(水)
前処理液において、水は、前処理液の溶媒として機能するものであり、インクについて上記したことが、総て当てはまる。同様に、前処理液の溶媒として、水に加えて上記した水溶性有機溶剤を含んでもよい。
【0052】
(メジアン径が300nm以下の無機粒子)
無機粒子としては、メジアン径が300nm以下の無機粒子であれば、特に限定されない。無機粒子のメジアン径が300nmを超えると、無機粒子が調湿基材の表面に乗った状態となるため、加飾画像の耐水擦過性が低下し、また、前処理部の透明性が低下するため前処理部と非前処理部の外観の違いが目立つようになり、好ましくない。
なお、無機粒子のメジアン径は、既述の水分散性樹脂のメジアン径と同じ定義であり、その測定方法も同じである。
【0053】
前処理液中の無機粒子の配合量(固形分量)は、0.8質量%以上であることが好ましく、1.3質量%以上であることがより好ましく、また、6.0質量%以下であることが好ましく、5.4質量%以下であることがより好ましい。
【0054】
加飾画像の光沢性を一層向上させるために、前記メジアン径が300nm以下の無機粒子は、メジアン径がインクの水分散性樹脂のメジアン径と同じかそれ以上である第一の無機粒子と、メジアン径がインクの水分散性樹脂のメジアン径よりも小さい第二の無機粒子とを組み合わせて用いることが好ましい。
【0055】
具体的には例えば、メジアン径30nm以上300nm以下の大粒子径の第一の無機粒子とメジアン径30nm未満の小粒子径の第二の無機粒子との混合物から構成されることが好ましい。特に、インクに含まれる水分散性樹脂のメジアン径が、調湿基材のメソ孔の直径の最大値よりも小さい場合に、大粒子径の無機粒子と小粒子径の無機粒子とを組み合わせることが好ましい。さらに、前記無機粒子は、メジアン径40nm以上300nm以下の大粒子径の第一の無機粒子とメジアン径40nm未満の小粒子径の第二の無機粒子との混合物から構成されることも好ましい。
このような混合物は、メジアン径が30nm(又は40nm)未満の領域と30nm(又は40nm)〜300nmの領域でピークを有する2峰性の粒度分布を示す場合がある。第一の無機粒子と第二の無機粒子の合計100質量%に対する第一の無機粒子の配合比率は、加飾部の光沢性の観点から、5〜95質量%が好ましく、15〜95質量%がより好ましく、50〜95質量%が特に好ましい。
【0056】
なお、前記無機粒子を第一の無機粒子のみで構成した場合、前処理をしない場合よりは、光沢性が向上するが、無機粒子が調湿基材上に堆積された状態にあっても、無機粒子間にインクの水分散性樹脂の通過を許容するようなサイズの隙間が形成され、最終的にインクの水分散性樹脂がメソ孔に入ってしまうことがあり、光沢性の向上効果がやや劣る。一方、前記無機粒子を第二の無機粒子のみで構成した場合、前処理をしない場合よりは、光沢性が向上するが、無機粒子が調湿基材上に堆積された状態にあったときに無機粒子間に上述のようなサイズの隙間は生じないものの、無機粒子自体がメソ孔に入ってしまうことがあり、光沢性の向上効果がやや劣る。これに対し、上述したように、前記無機粒子を、例えばメジアン径が300nm以下40nm以上の第一の無機粒子と、例えばメジアン径が40nm未満の第二の無機粒子とで構成すると、後述する実施例6のように、光沢性の向上に優れ、この態様は、前記インクに含まれる水分散性樹脂のメジアン径が、前記メソ孔の直径の最大値よりも小さい場合に、特に、前記インクに含まれる水分散性樹脂のメジアン径が概ね40nmである場合に有用である。別の一実施形態として、例えばインクに含まれる水分散性樹脂のメジアン径が概ね25nm〜30nmである場合には、メジアン径が300nm以下30nm以上の第一の無機粒子と、メジアン径が30nm未満の第二の無機粒子とで無機粒子を構成することが好ましい。
【0057】
無機粒子としては、シリカ微粒子、バーミキュライト、炭酸カルシウム、アルミナなどが挙げられ、中でも、シリカ微粒が好ましい。また、タルク、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、カオリン、マイカ、酸性白土、活性白土、ベントナイト等の体質顔料を用いることも好ましい。これらの無機粒子は、複数種を組み合わせて使用することもできる。
【0058】
(水分散性樹脂)
前処理液において、水分散性樹脂は、調湿基材に上記メジアン径が300nm以下の無機粒子を十分に定着させるために含有されるものであり、樹脂の耐水性、調湿基材との密着性が確保できれば特に限定されず、具体的には、上記インクにおいて述べた、水分散性ウレタン樹脂などと併用してもよい水分散性樹脂を使用することができる。複数の水分散性樹脂を組み合わせて使用することもできる。
【0059】
前処理液中における水分散性樹脂のメジアン径は、加飾しようとする調湿基材のメソ孔の直径よりも大きいことが好ましく、具体的には、40nmよりも大きいことがより好ましく、45nm以上であることがより好ましく、80nm以上であることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。前処理液に含まれる水分散性樹脂は、調湿基材のメソ孔に入り込むことなく、無機粒子同士間及び無機粒子と調湿基材との間の結着を達成すればよいため、前処理液に含まれる水分散性樹脂のメジアン径は、上記メソ孔よりも大きいことが好ましい。
【0060】
前処理液中における水分散性樹脂の配合量は、上記無機粒子と水分散性樹脂の比率(上記無機粒子:水分散性樹脂)で15:1〜25:1(質量比)が好ましい。水分散性樹脂の配合量をこの範囲にすることで、調湿基材に上記無機粒子が十分に定着する。
前処理液に含まれる水分散性樹脂の配合量は、上記インク中における水分散性樹脂の配合量に比べて少なくてよい。
【0061】
(その他の成分)
前処理液には、前処理液の性状に悪影響を与えない限り、上記成分以外に、例えば、保湿剤、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
【0062】
(前処理液の調製方法)
前処理液は、水、水分散性樹脂、及びメジアン径が300nm以下の無機粒子を、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め水と上記無機粒子の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
【実施例】
【0063】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
(水性インクジェットインクの調製)
インクごとに、表2に記載の各成分を同表に示す割合(質量%)でプレミックスし、その後、ホモジナイザーにて1分間分散し、得られた分散液を孔径3μmのメンブレンフィルターに通過させインク1〜9を得た。
【0065】
【表2】
【0066】
表2に示す各成分の詳細を以下に示す。
(1)顔料分散液
・顔料分散液1:BONJET BLACK CW−4(オリヱント化学工業(株)製、自己分散カーボンブラック分散体)
(2)水分散性樹脂
・ウレタン樹脂エマルション1:アデカボンタイターHUX370((株)ADEKA製、メジアン径:10nm)
・ウレタン樹脂エマルション2:スーパーフレックス150HS(第一工業製薬(株)製、メジアン径:83nm)
・ウレタン樹脂エマルション3:スーパーフレックス740(第一工業製薬(株)製、メジアン径:170nm)
・アクリル樹脂エマルション1:モビニール6969D(日本合成化学(株)製、メジアン径:113nm)
・スチレン/アクリル樹脂エマルション1:ジョンクリルPDX−7370(BASF社製、メジアン径:77nm)
・スチレン/アクリル樹脂エマルション2:モビニール966A(日本合成化学(株)製、メジアン径:169nm)
・スチレン/アクリル樹脂エマルション3:モビニール6963(日本合成化学(株)製、メジアン径:164nm)
なお、樹脂の平均粒径は、動的光散乱式粒子径分布測定装置「ナノ粒子解析装置nano Prtica SZ−100」(株式会社堀場製作所製)を用いて、各樹脂分散液を粒子濃度0.5質量%となるように精製水で希釈して、分散媒屈折率:1.333、試料屈折率:1.600、演算条件:多分散・ナローの設定で、温度25℃で測定した体積基準のメジアン径である。
(3)界面活性剤
・界面活性剤1:サーフィノール465(日信化学工業(株)製、アセチレングリコール系界面活性剤)
(4)水溶性有機溶剤
・水溶性有機溶剤1:グリセリン(和光純薬工業(株)製、グリセリン、試薬特級)
【0067】
(前処理液の調製)
前処理液は、表3に記載の各成分を同表に示す割合(質量%)でプレミックスした後、超音波分散機にて1分間分散し、前処理液1及び2を得た。
【0068】
【表3】
【0069】
表3に示す各成分の詳細を以下に示す。
(1)無機粒子
・無機粒子1:アエロジルOX−50(日本アエロジル(株)製、親水性ヒュームドシリカ、メジアン径:40nm)
・無機粒子2:スノーテックスMP−2040(日産化学(株)製、コロイダルシリカ、メジアン径:170−230nm、40%分散液)
・無機粒子3:スノーテックス30(日産化学(株)製、コロイダルシリカ、メジアン径:10−15nm、30%分散液)
(2)水分散性樹脂
・水分散性樹脂1:スミエリート1010(住化ケムテックス(株)製、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂エマルション、メジアン径:200nm)
【0070】
[実施例1〜11、比較例1〜3]
調製したインク1〜11を市販のインクジェットプリンタ(マスターマインド社製、MMP845H)に導入し、ベタおよび及び文字・細線のモノクロ画像を、三菱マテリアル建材(株)の調湿建材「モイス」(商品名、調湿性能評価基準の吸放湿量と平衡含水率が共に3級)に印刷した。印刷終了後、70℃のシートヒーター上で130秒加熱した後、以下の評価を行った。また、前処理工程を実行する場合(実施例1と比較例1以外)には、前処理液1又は2を、市販のエアスプレーによりモイス全面に、ウェット塗布量で78g/m
2(固形分量で約6.2g/m
2)塗布し、70℃のシートヒーター上で130秒加熱した後、上記方法で印刷を行うようにした。
なお、比較例1のUVインクは、ローランド ディー.ジー.社製UVプリンターVersaUV LEF−12用のECO−UVインクであり、同プリンターでモイスに印刷したのち、プリンターに内蔵されているUV−LEDランプで紫外線硬化させた。
【0071】
(評価)
(1)客観的視覚評価(画像の濃度、滲みの評価)
調湿基材に印刷された画像を目視で観察し、画像の濃度及び滲み(にじみが無いこと)について、下記の基準で評価した。
◎:濃度、にじみともに良好であり、非常によく表現できている。
○:濃度、にじみともに良好であり、よく表現できている。
△:濃度、又は、にじみに違和感が少しある。
×:表現できていない。
(2)加飾部の光沢性
調湿基材に印刷された画像の表面の60°光沢度を、KONICA MINOLTA社製Muli-Gloss268(商品名)で測定し、加飾前の調湿建材(素材)と比較した。
◎:素材よりも非常に高い。
○:素材よりも高い。
△:素材と同等である。
×:表現できていない。
【0072】
(3)加飾された調湿基材の性能評価
加飾された調湿基材についてJIS A 1470-1の吸放湿量及びJIS A 1475の平衡含水率を測定し、下記基準で評価した。
○:全ての項目の等級が維持されている。
×:いずれか1つの項目の等級が低下した。
【0073】
(4)印刷された画像の耐水擦過性の評価
調湿基材に印刷された画像を濡れたスポンジで擦り、下記の基準で評価した。
◎:濡れたスポンジで30回以上擦っても画像が剥がれない。
○:濡れたスポンジで20回以上30回未満擦ると画像が剥がれる。
△:濡れたスポンジで10回以上20回未満擦ると画像が剥がれる。
×:濡れたスポンジで10回未満擦ると画像が剥がれる。
【0074】
【表4】
【0075】
表4より、実施例1〜11は、いずれの評価においても良好な結果が得られたことが分かる。これに対して、比較例1〜3は、すべての評価を同時に良好な結果とすることができなかった。