(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電気的な絶縁性を有するシート状の部材を材質とするベース材の両面に、ベース銅箔層が積層された両面銅張積層板の両面側に対して、複数の銅配線を備えると共にそれぞれの前記銅配線の側壁が前記ベース材に対して傾斜している傾斜面を備える銅パターン部を形成する第4工程と、
前記ベース材の所望の位置に、当該ベース材を貫通する貫通孔を形成する第5工程と、
少なくとも1つの前記銅配線の一部を覆うと共に前記貫通孔も覆うことで前記ベース材の表面側と裏面側とで導電性を確保するための導電ペーストを印刷し、その印刷部位を乾燥させて前記銅パターン部よりも厚みの薄いペースト印刷部を形成する第6工程と、
前記ペースト印刷部に対して、レーザ光を照射しつつ走査して、当該ペースト印刷部から不要部分を除去して複数の導電ペースト配線を備えるペーストパターン部を形成すると共に、そのペーストパターン部の形成において前記導電ペースト配線の間の最小幅が前記銅配線の間の最小幅よりも狭い状態とする第7工程と、
を備え、
前記第5工程で形成される貫通孔の開口部分は、前記ベース材の表面側では、隣り合う前記銅配線の間に存在するスペースに位置して外部に露出していると共に、前記ベース材の裏面側では、前記貫通孔の開口部分は前記銅配線によって塞がれている、
ことを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブルプリント基板10Aについて、図面に基づいて以下に説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を用いて説明することがある。そのうち、X方向はフレキシブルプリント基板10Aの長手方向とし、X1側は
図1の紙面手前側、X2側は紙面奥側とする。また、Y方向はフレキシブルプリント基板10Aの幅方向とし、Y1側は
図1における右側、Y2側は左側とする。また、Z方向はフレキシブルプリント基板10Aの厚み方向とし、Z1は
図2における紙面奥側、Z2は紙面手前側とする。
【0021】
<フレキシブルプリント基板10Aの構成について>
図1は、第1の実施の形態に係るフレキシブルプリント基板10Aの構成を示す平面図である。
図2は、第1の実施の形態に係るフレキシブルプリント基板10Aの断面図であり、
図1のA−A線に沿って切断した状態を示す図である。
図3は、第1の実施の形態に係るフレキシブルプリント基板10Aの断面図であり、
図1のB−B線に沿って切断した状態を示す図である。
【0022】
図1から
図3に示すように、本実施の形態におけるフレキシブルプリント基板10Aは、ベース材20と、銅パターン部30と、ペーストパターン部40とを備えている。ベース材20は、たとえばシート状部材に対応するポリイミドフィルムのような、絶縁性および可撓性を備える材質から形成されている。なお、ベース材20の材質は、可撓性および絶縁性を備えていれば、他のものであっても良い。また、ベース材20の厚みは、たとえば12.5μm(1/2mil)とするものがあるが、その厚みは、25μm(1mil)等を始めとして、どのようなものであっても良い。
【0023】
また、銅パターン部30は、複数の銅配線31を備えている。それぞれの銅配線31は、材質を銅とする厚みが厚い銅箔部分となっている。たとえば、銅配線31の厚みは、35μmとするものがある。ここで、電流容量がさほど必要とされず、それゆえ銅箔の厚みがさほど必要がない一般的な銅箔の場合、銅箔は12μm(1/3oz)か、17.5μm(1/2oz)である場合が多い。しかしながら、銅配線31は、電流容量の確保のために、一般的な銅箔よりも厚くしている。それにより、銅配線31には、たとえば数Aの電流を導通させることが可能となっている。なお、銅配線31の厚みは、35μmに限られるものではなく、要求される電流容量を確保できるものであれば、どのような厚みであっても構わない。
【0024】
また、銅パターン部30は、後述するように薬液等を用いたエッチング処理等のようなフォトファブリケーション手法により、それぞれの銅配線31を形成している。また、銅配線31の側面には、傾斜面32が設けられている。一般的には、銅箔が薄くなれば、エッチング処理後の銅箔は矩形に近い断面形状となるが、銅箔が厚くなれば、エッチング処理後の銅箔は台形に近い断面形状となる。このとき、銅配線31の下底幅L1(ベース材20側の幅;Z2側の幅)と、銅配線31の上底幅L2(Z1側の幅)とをサンプル的に計測し、その結果に基づいてエッチング処理を行う時間を管理する等により、傾斜面32の傾斜角度を制御することができる。
【0025】
なお、本実施の形態では、傾斜面32の傾斜角度(銅配線31が位置する内側の傾斜角度θ)は、45度程度とするものがある。しかしながら、傾斜角度θは、45度以外の角度であっても良い。たとえば、好適にスクリーン印刷を行うためには、傾斜角度θは、45度以下とすることが好ましい。なお、銅配線31の厚みが35μmである場合、傾斜面32のY方向の寸法M1は、35μmであれば傾斜角度θが45度になる。しかしながら、寸法M1は、35μmに対して±10μmの範囲内となるような傾斜角度θであっても良い。
【0026】
また、傾斜面32は、銅配線31の側面のみならず、銅配線31のX方向における端面(たとえばX1側の端面)にも設けるように構成することが好ましい。
【0027】
また、銅配線31は、電流容量に応じた幅を有している。また、
図3に示すように、隣り合う銅配線31の間には、スペース50が設けられている。そして、銅配線31とスペース50の幅の比である、ライン幅/スペース幅は、エッチング処理での微細配線形成が困難であることに鑑みて、100μm/100μm程度が限界となっている。なお、ここでいうライン幅は、銅配線31の下底幅であっても良く、銅配線31の上底幅であっても良く、また銅配線31の下底幅と上底幅の間における中間的な位置の幅であっても良い。
【0028】
また、ペーストパターン部40は、銀ペーストを硬化させることで形成される部分であるが、そのペーストパターン部40の形成においては、後述するようなレーザ光線の照射により、複数の銀ペースト配線41から構成される配線パターンが形成されている。すなわち、
図3に示すように、隣り合う銀ペースト配線41の間には、スペース51が設けられているが、このスペース51がレーザ光線の照射によって形成されている。なお、銀ペースト配線41は、導電ペースト配線に対応する。また、銀ペーストは、導電ペーストに対応する。
【0029】
図1に示すように、それぞれの銀ペースト配線41には、接続部42が設けられている。接続部42は、銀ペースト配線41のX2側の端部に設けられていて、他の部分よりも面積が広くなるように設けられている。また、
図2に示すように、接続部42には、銅配線31の端部と重ねられた重ね部43が設けられている。この重ね部43では、銅配線31に対して電気的に導通する状態となっている。ここで、
図2に示す構成では、重ね部43は、傾斜面32を超えて、銅配線31の上面31aにまで到達している。しかしながら、重ね部43は、上面31aには到達せずに傾斜面32にのみ存在する構成としても良い。すなわち、重ね部43は、傾斜面32の少なくとも一部を覆う構成としても良い。
【0030】
ここで、銅配線31の側面に傾斜面32が存在しなく、銅配線31の側面が段差形状となっている場合には、たとえばスクリーン印刷によって重ね部43を形成した場合に、極度に薄い部分が形成されたり、重ね部43が連続的とはならずに途切れてしまう部分が形成される場合がある。しかしながら、銅配線31には傾斜面32が設けられているので、たとえばスクリーン印刷によって重ね部43を形成しても、その重ね部43に極度に薄い部分が形成されたり、重ね部43が連続的とはならずに途切れてしまう部分が形成されるのを防止可能となっている。
【0031】
この銀ペースト配線41は、フレキシブルプリント基板10Aにおいて、端子部分や引き回し部のような微細配線が形成可能な部分となっている。したがって、銀ペースト配線41においては、ライン幅/スペース幅が、20μm/20μm以下とすることが可能となっている。すなわち、隣り合う銀ペースト配線41の間の最小幅は、隣り合う銅配線31の間の最小幅よりも狭い状態となっている。
【0032】
<フレキシブルプリント基板10Aの製造方法について>
続いて、フレキシブルプリント基板10Aの製造方法について、以下に説明する。なお、以下の説明においては、第1工程から第3工程について順次記載するが、フレキシブルプリント基板10Aの製造方法では、これ以外の種々の工程が存在していても良いのは勿論である。
【0033】
(1)第1工程:銅パターン部30の形成
図4は、ベース材20に銅パターン部30が形成された状態の中間生成物C1を示す平面図である。
図5は、
図4に示す中間生成物C1をC−C線に沿って切断した状態を示す断面図である。
図4および
図5に示すように、たとえば厚さが12.5μmのポリイミドフィルムを材質とするベース材20の片面に、たとえば厚さが35μmのベース銅箔層を有する片面銅張積層板を用意する。そして、このベース銅箔層に対して、エッチング処理等のような通常のフォトファブリケーション手法を用いて、銅配線31を有する銅パターン部30を形成する。
【0034】
ここで、エッチング液(薬液)による処理に先立って、上述した銅配線31における下底幅L1と上底幅L2とが、規定範囲内となるような条件を測定しておく。そのような条件としては、たとえばスプレーを用いて、エッチング液を噴射するときの噴射圧や、ウェットエッチングの際の処理時間等が挙げられるが、それ以外の条件を加味しても良い。そして、規定範囲内となる条件にて、銅パターン部30を形成することにより、上述した傾斜角度θが、たとえば45度といった所望の角度となる。
【0035】
なお、エッチング処理により傾斜面32を形成する場合、銅配線31に対して略等方的に傾斜を形成することができる。したがって、スキージを所定方向に進行させるスクリーン印刷等のような、方向性のある後工程について方向性を管理することなく実行することができる。なお、この第1工程によって形成される生成物を、中間生成物C1とする。
【0036】
(2)第2工程:銀ペーストのスクリーン印刷
図6は、
図5に示す中間生成物C1に対して銀ペーストがスクリーン印刷された状態を示す平面図である。
図7は、
図6に示す中間生成物C2をD−D線に沿って切断した状態を示す断面図である。
図6および
図7に示すように、上述した中間生成物C1に対して、レーザ加工が可能な銀ペーストを、スクリーン印刷等の手法を用いて銅配線31に重なる部分が形成される状態で印刷し、その印刷部位を乾燥させる。
図6および
図7においては、この印刷部分を、ペースト印刷部44とする。なお、ペースト印刷部44は、印刷直後の乾燥前のもののみならず、印刷後に乾燥させた状態のものを指すと解釈しても良い。このとき、銅配線31には、傾斜角度θがたとえば45度となっているような傾斜面32が形成されているので、ペースト印刷部44においては、印刷部分が途切れずに連続性が良好な状態が維持される。
【0037】
なお、銀ペーストのスクリーン印刷を行う場合の一例としては、たとえば株式会社アサヒ化学研究所製の銀ペーストであるLS-470L-2Fを用いて、乾燥後に膜厚が約10μmとなるようにスクリーン印刷を行い、乾燥は大気オーブンを用いて、130℃で30分行うものがある。
【0038】
このスクリーン印刷を行う場合、後工程で不要部分を除去することを考慮した位置決め精度で、スクリーン版と中間生成物C1の位置合わせを行い、また中間生成物C1に対する印刷範囲を決定して印刷を実行する。ここで、スクリーン印刷時に銀ペーストの追従性をより好適にするために、スクリーン印刷で用いるスクリーン版のメッシュ開口を比較的大きめとして、銀ペーストの排出性を向上させることが好ましい。
【0039】
また、銀ペーストの排出性をさらに向上させるために、メタル版(メタルマスク)を用いてスクリーン印刷を行っても良い。このとき、厚みが100μm以上のメタル版のように、厚みが厚いメタル版を用いると、スクリーン印刷における銀ペーストの印刷厚みが厚くなり過ぎてしまい、後工程のレーザを用いた不要部の除去効率が低下してしまう。また、後工程において、銀ペースト配線41といった微細配線の形成が難しくなる。そのため、メタル版の厚みは、たとえば厚みが50μm以下のメタル版(メタルマスク)のような、厚みが薄いものを用いて印刷することが好ましい。
【0040】
以上のように、メッシュ開口の大きなスクリーン版を用いたり、50μm以下の厚みのメタル版を用いてスクリーン印刷を行うことで、銀ペーストの排出性を向上させることができ、またレーザを用いた不要部の除去といった後工程も行い易くなる。なお、この第2工程によって形成された中間生成物を、中間生成物C2とする。
【0041】
(3)第3工程:銀ペースト配線41の形成
次に、中間生成物C2に対して、印刷後の銀ペースト(ペースト印刷部44)から不要部分を除去して、銀ペースト配線41を形成する。すると、
図1から
図3に示すようなフレキシブルプリント基板10Aが形成される。
【0042】
ここで、銀ペーストから不要部分を除去する場合、たとえば波長が1064nmの赤外線レーザを照射した除去がある。この場合、たとえばQスイッチ固体レーザ、ファイバーレーザ等を用いることが可能であるが、その他のレーザ種を用いても良い。なお、レーザ照射部位のスポット径としては、たとえば10μmとするものがあるが、たとえば5μmといったより小さなスポット径であることが好ましい。
【0043】
このようなレーザ光を、銀ペーストの塗布部位の不要部分に照射しながら、走査することで、
図1に示すような銀ペースト配線41が形成される。なお、銀ペーストの塗布部分のうち銀ペースト配線41の間で除去された部位には、隣り合う銀ペースト配線41を電気的に絶縁するためのスペース51が形成される。なお、レーザ光の走査においては、同じ部位を複数回走査するようにしても良い。
【0044】
ここで、本実施の形態では、傾斜面32に銀ペーストが塗布されている。そのため、段差部分に銀ペーストを塗布した場合と比較して、銀ペーストの膜厚の変化が少なくなり、また膜厚のバラつきも少ない状態となる。したがって、レーザ加工を行う場合の照射エネルギ等のような加工条件のマージンを広く設定することも可能となる。
【0045】
なお、図示を省略するような各種レジストやカバーレイ等によって被覆部分を形成し、その被覆部分が形成された状態でレーザ加工を行っても良い。以上のような工程を経ることにより、
図1から
図3に示すようなフレキシブルプリント基板10Aを形成することができる。
【0046】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係るフレキシブルプリント基板10Bついて、説明する。なお、以下の説明においては、上述した第1の実施の形態におけるフレキシブルプリント基板10Aと共通の部分については、その説明を省略する場合がある。
【0047】
<フレキシブルプリント基板10Bの構成について>
図8は、第2の実施の形態に係るフレキシブルプリント基板10Bの構成を示す平面図である。
図9は、第2の実施の形態に係るフレキシブルプリント基板10Bの部分的な断面図であり、
図8のE−E線に沿って切断した状態を示す図である。
【0048】
なお、
図8および
図9に示す構成では、ベース材20の裏面側には、1つの銅配線31のみが存在する構成が示されている。しかしながら、銅配線31は、ベース材20の裏面側に複数存在しても良い。同様に、銀ペースト配線41もベース材20の裏面側に複数存在していても良く、また他の銅配線31や銀ペースト配線41に対して接続されるように設けられていても良い。
【0049】
本実施の形態に係るフレキシブルプリント基板10Bは、次のように構成されている。すなわち、第1の実施の形態に係るフレキシブルプリント基板10Aでは、ベース材20の片面側のみに銅パターン部30が設けられている。しかしながら、第2の実施の形態に係るフレキシブルプリント基板10Bでは、ベース材20の両面側に銅パターン部30が設けられている。
【0050】
また、
図9に示すように、ベース材20には貫通孔21が設けられている。そして、ベース材20の表面側(Z1側の面側)では、貫通孔21の開口部分はスペース50に位置している。しかしながら、ベース材20の裏面側(Z2側の面側)では、貫通孔21の開口部分は、ベース材20の裏側に位置する銅パターン部30の銅配線31によって塞がれる構成となっている。
【0051】
しかしながら、貫通孔21のうちベース材20の表面側の開口部分と裏面側の開口部分の両方とも、銅配線31によって塞がれていない構成を採用しても良い。また、貫通孔21の少なくとも一方は、銅配線31の間のスペース50に存在していても良いが、表面側の開口部分と裏面側の開口部分の両方とも、スペース50に存在していなくても良い。たとえば、銅配線31に貫通孔21を形成するようにしても良い。
【0052】
また、貫通孔21には、ペーストパターン部40を構成する層間接続部45が入り込んでいる。層間接続部45は、上述した重ね部43と連続していると共に、貫通孔21に入り込むことによりベース材20の反対側の裏面に設けられている銅配線31と電気的に接続されている。なお、ベース材20の厚みが厚い場合には、層間接続部45が連続的とはならずに途切れてしまう部分が形成される場合がある。しかしながら、ベース材20の厚みが、層間接続部45の厚みに対して、さほど寸法差がない場合には、層間接続部45は連続的に設けられている。
【0053】
かかる第2の実施の形態に係るフレキシブルプリント基板10Bにおいては、その他の構成については、上述した第1の実施の形態に係る構成例のフレキシブルプリント基板10Aと同様となっている。
【0054】
<フレキシブルプリント基板10Bの製造方法について>
次に、フレキシブルプリント基板10Bの製造方法について、以下に説明する。なお、以下の説明においては、第4工程から第7工程について順次記載するが、フレキシブルプリント基板10Bの製造方法では、これ以外の種々の工程が存在していても良いのは勿論である。
【0055】
(4)第4工程:銅パターン部30の形成
図10は、ベース材20の両面に銅パターン部30が形成された状態の中間生成物C4を示す平面図である。
図11は、
図10に示す中間生成物C4をF−F線に沿って切断した状態を示す部分的な断面図である。
図10および
図11に示すように、たとえば厚さが12.5μmのポリイミドフィルムを材質とするベース材20の両面に、たとえば厚さが35μmのベース銅箔層を有する片面銅張積層板を用意する。そして、このベース銅箔層に対して、上述した第1の実施の形態における場合と同様に、エッチング処理等のような通常のフォトファブリケーション手法を用いて、銅配線31を有する銅パターン部30を形成する。
【0056】
なお、この第4工程においても、上述した第1工程において形成される銅配線31と同様に、傾斜角度θを有する傾斜面32が形成される。なお、第4工程によって形成される生成物を、中間生成物C4とする。
【0057】
(5)第5工程:貫通孔21の形成
図12は、
図10および
図11に示す中間生成物C4に対して貫通孔21が形成された状態を示す部分的な断面図である。
図12に示すように、ベース材20に対して、たとえばポリイミドのような透明体に対してもレーザ加工が可能なレーザ光を照射して、貫通孔21を形成する。そのようなレーザ光としては、波長が10600nmの炭酸ガスレーザが挙げられる。ただし、レーザ光を用いた孔開けではなく、たとえばNC装置を用いたドリル加工によって、貫通孔21を形成するようにしても良い。そして、孔開け加工の後に存在する樹脂スミアを除去するデスミア処理を行う。このデスミア処理は、デスミア処理液を用いて行っても良く、プラズマ処理にて行っても良い。なお、第5工程によって形成される中間生成物を、中間生成物C5とする。
【0058】
(6)第6工程:銀ペーストのスクリーン印刷
図13は、中間生成物C5に対して銀ペーストがスクリーン印刷された状態を示す平面図である。
図13に示すように、上述した第5工程によって形成される中間生成物C5に対して、レーザ加工が可能な銀ペーストを、スクリーン印刷等の手法を用いて銅配線31に重なる部分が形成される状態で、印刷する。それにより、ペースト印刷部44が形成される。このとき、銀ペーストは、貫通孔21にも入り込む。
【0059】
ここで、上述の第1の実施の形態で述べたようなスクリーン版やメタル版を用いて印刷を行う際に、真空印刷手法を用いるようにしても良い。このような真空印刷手法を用いる場合、貫通孔21の内部に、ボイド等が形成されない状態で、確実に印刷することが可能となる。
【0060】
なお、この第6工程においては、銀ペーストが貫通孔21に入り込む点で相違するものの、それ以外の点については、上述した第1の実施の形態における第2工程と同様である。したがって、スクリーン印刷等の詳細については、その説明を省略する。なお、この第6工程によって形成された中間生成物を、中間生成物C6とする。
【0061】
(7)第7工程:銀ペースト配線41の形成
次に、第6工程によって形成された中間生成物C6に対して、印刷後のペースト印刷部44から不要部分を除去して、銀ペースト配線41を形成する。すると、
図8および
図9に示すようなフレキシブルプリント基板10Bが形成される。
【0062】
なお、印刷した銀ペーストについて、不要部分を除去する詳細については、上述した第1の実施の形態における第3工程と同様である。したがって、不要部分の除去の詳細については、その説明を省略する。
【0063】
<効果について>
以上のような構成のフレキシブルプリント基板10A,10Bおよびフレキシブルプリント基板10A,10Bの製造方法によると、次のような効果が生じる。
【0064】
すなわち、フレキシブルプリント基板10A,10Bは、それぞれの銅配線31の側壁がベース材20に対して傾斜している傾斜面32を備え、ベース材20に積層されている銅パターン部30を備えている。また、フレキシブルプリント基板10A,10Bは、ペーストパターン部40も備えている。このペーストパターン部40は、導電ペーストを硬化させた複数の銀ペースト配線41(導電ペースト配線)を備え、銅配線31に対して少なくとも一部が重なるように設けられ、さらに銅配線31よりも厚みが薄く設けられていると共に、銀ペースト配線41の間の最小幅が銅配線31の間の最小幅よりも狭く設けられている。
【0065】
このため、複数の銅配線31を有する銅パターン部30にて、十分な電流容量を確保することができると共に、複数の銀ペースト配線41を有するペーストパターン部40にて、微細配線となる部分を形成することができる。すなわち、電流容量が必要な部位には厚い銅配線31を配置し、端子や引き回し部のような部分には銀ペースト配線41が配置されて微細配線を実現している。したがって、1つのフレキシブルプリント基板10A,10Bにてこのような電流容量の確保と微細化要求に対応可能である。
【0066】
また、上述した各実施の形態では、銅配線31を有する銅パターン部30は、エッチング処理等のようなフォトファブリケーション手法にて形成することができるので、傾斜角度θを有する傾斜面32を形成することができる。したがって、銅配線31に連続的とはならずに途切れてしまう部分が形成されるのを防止可能となる。
【0067】
また、上述した各実施の形態では、傾斜面32がベース材20に対してなす傾斜角度のうち銅配線31側は、45度となるように設けられている。したがって、銀ペーストをスクリーン印刷等で好適に印刷することが可能となる。また、銅配線31において、ライン幅/スペース幅が大きくなり過ぎずに済む。
【0068】
さらに、上述の各実施の形態では、銀ペースト配線41には、銅配線31のうち傾斜面32に連続する上面31aに到達している部位を存在させることもできる。このように構成する場合、銅配線31と銀ペースト配線41の接続を確実化させることができる。たとえば、スクリーン印刷に多少の位置ずれが生じた場合でも、そのような位置ずれを吸収しながらも銅配線31と銀ペースト配線41の間の接続を確実に実現することができる。
【0069】
また、上述した第2の実施の形態では、ベース材20の両面には、銅配線31を備える銅パターン部30が設けられていて、ベース材20には、厚み方向に貫く貫通孔21が設けられている。そして、貫通孔21には、銀ペースト配線41を材質とすると共にベース材20の表面側と裏面側とで導電性を確保するための層間接続部45が設けられている。このため、電流容量が確保された銅パターン部30を、ベース材20の両面に形成することができるので、一層の電流容量を確保することができる。
【0070】
また、上述した各実施の形態では、第1工程または第4工程にて銅パターン部30を形成しているが、その銅パターン部30は、エッチング処理等のようなフォトファブリケーション手法にて形成することができる。したがって、傾斜面32を比較的容易に形成することができる。さらに、ペーストパターン部40は、第2工程または第5工程にて、スクリーン印刷等のような印刷手法にて形成することができる。したがって、印刷時に必要最小限の部分に印刷させることができる。また、第3工程または第7工程では、ペースト印刷部44の形成後に、レーザ光を照射しつつ走査して、当該ペースト印刷部から不要部分を除去して複数の銀ペースト配線41を備えるペーストパターン部40を形成している。これら第1工程または第4工程、第2工程または第5工程、第3工程または第7工程を用いることで、比較的簡素な工程にてフレキシブルプリント基板10A,10Bを形成することができるので、製造効率を向上させることができ、またコストの低減を図ることができる。
【0071】
また、ペーストパターン部40の形成においては、レーザ光の照射により銀ペーストの塗布部分の不要部位を除去して、スペース51が形成される。このように、レーザ光を照射して、不要部位を除去することにより、隣り合う銀ペースト配線41の間の最小幅を、銅配線31の間の最小幅よりも狭い状態とすることができる。
【0072】
また、上述した第2の実施の形態では、第5工程にてベース材20に貫通孔21を形成し、その後の第6工程にて、少なくとも1つの銅配線31の一部を覆うと共に貫通孔21も覆うように銀ペーストを印刷し、その印刷部位を乾燥させて銅パターン部30よりも厚みの薄いペースト印刷部44を形成する。そして、第7工程にて、レーザ光を照射して複数の銀ペースト配線41を有するペーストパターン部40を形成している。したがって、両面に銅パターン部30を備える構成において、層間接続部45によって両面の銅パターン部30が電気的に接続された状態を実現することができる。
【0073】
<変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0074】
上述の実施の形態においては、導電ペースト配線として、銀ペースト配線41を挙げて説明している。しかしながら、導電ペースト配線は、銀ペースト配線41に限られるものではない。導電ペースト配線は、たとえばカーボンやアルミニウムのような導電性を備える材質を含む導電ペーストから形成されていても良い。
【0075】
また、上述の各実施の形態においては、銅配線31の形態や配置は、どのようなものであっても良い。同様に、銀ペースト配線41の形態や配置は、どのようなものであっても良い。たとえば、銅配線31や銀ペースト配線41には、直線状の部分以外に、湾曲した部分や屈曲した部分が存在しても良い。
【0076】
また、上述した第2の実施の形態においては、ベース材20の表面側に銀ペーストがスクリーン印刷されることで、ペーストパターン部40が形成されている。しかしながら、ベース材20の裏面側にも銀ペーストをスクリーン印刷し、その裏面側にペーストパターン部40を形成しても良い。