【実施例】
【0063】
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。実施例及び比較例における、ポリイソシアネート組成物の物性は、以下のとおり測定した。
【0064】
(物性1)23℃における粘度
粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いて23℃で測定した。測定に際しては、標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下のとおりとした。
100rpm (112mPa・s未満の場合)
50rpm (112mPa・s以上280mPa・s未満の場合)
20rpm (280mPa・s以上560mPa・s未満の場合)
10rpm (560mPa・s以上1120mPa・s未満の場合)
5rpm (1120mPa・s以上2240mPa・s未満の場合)
なお、後述する各実施例及び各比較例で製造したポリイソシアネート組成物の不揮発分を後述の方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものを粘度の測定に供した。
【0065】
(物性2)イソシアネート基含有率
イソシアネート基含有率の測定は、JIS K7301−1995(熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法)に記載の方法に従って実施した。以下に、より具体的なイソシアネート基含有率の測定方法を示す。
【0066】
(1)試料1gを200mL三角フラスコに採取し、該フラスコにトルエン20mLを添加し、試料を溶解させた。
(2)その後、前記フラスコに2.0Nのジ−n−ブチルアミン・トルエン溶液20mLを添加し、15分間静置した。
(3)前記フラスコに2−プロパノール70mLを添加し、溶解させて溶液を得た。
(4)上記(3)で得られた溶液について、1mol/L塩酸を用いて滴定を行い、試料滴定量を求めた。
(5)試料を添加しない場合にも、上記(1)〜(3)と同様の方法で測定を実施し、ブランク滴定量を求めた。
上記で求めた試料滴定量及びブランク滴定量から、イソシアネート基含有率を以下の計算方法により算出した。
イソシアネート基含有率(質量%)=(ブランク滴定量−試料滴定量)×42/[試料質量(g)×1,000]×100%。
【0067】
(物性3)ポリイソシアネートの数平均分子量
ポリイソシアネート組成物中の変性ポリイソシアネートと未反応ポリイソシアネートとを含むポリイソシアネートの数平均分子量は、以下の装置及び条件を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によりポリスチレン基準の数平均分子量を測定した。
装置:東ソー(株)製 HLC−8120GPC(商品名)、
カラム:東ソー(株)製 TSKgelSuperH1000(商品名)×1本、TSKgelSuperH2000(商品名)×1本、TSKgelSuperH3000(商品名)×1本、
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折計
【0068】
(物性4)変性ポリイソシアネート及び未反応ポリイソシアネート中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合
物性3のGPC測定で検出された変性ポリイソシアネート及び未反応ポリイソシアネートを含むポリイソシアネートの全ピーク面積に対する、ジイソシアネートモノマーの三倍の分子量に相当するピークを中心とした一山の面積の割合を、変性ポリイソシアネート及び未反応ポリイソシアネート中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合とした。
【0069】
(物性5)平均イソシアネート官能基数
平均官能基数は、ポリイソシアネート1分子が統計的に有するイソシアネート官能基の数であり、物性3で測定したポリイソシアネートの数平均分子量と物性2で測定したイソシアネート基含有率とから以下のとおり算出した。
平均官能基数=ポリイソシアネートの数平均分子量×イソシアネート基含有率(質量%)/42
【0070】
(物性6)不揮発分
溶剤希釈をした場合には、アルミニウム製カップの質量を精秤し、試料約1gを入れて、加熱乾燥前のカップの質量を精秤した。上記試料を入れたカップを105℃の乾燥機中で3時間加熱した。上記加熱後のカップを室温まで冷却した後、再度カップの質量を精秤した。試料中の乾燥残分の質量%を不揮発分とした。不揮発分の計算方法は以下のとおりである。なお、溶剤希釈なしの場合には、不揮発分は100%として扱った。
不揮発分(質量%)=(加熱乾燥後のカップ質量−アルミニウム製カップ質量)/(加熱乾燥前のカップ質量−アルミニウム製カップ質量)×100%。
【0071】
(物性7)イソシアヌレート化反応転化率
反応液屈折率の測定により求めた。
【0072】
(物性8)ポリイソシアネート組成物中のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのnの平均数
ポリイソシアネート組成物を試料として、nの平均数は、下記の装置及び条件を用いてプロトン核磁気共鳴(NMR)により求めた。ここでは、アルキレン基に対応する相対強度の積分値とアルキル基に対応する相対強度の積分値とを対応させることにより、ポリイソシアネート組成物中のポリアルキレングリコールアルキルエーテルにおける、アルキレンオキサイド繰り返し単位−(R
1O)
n−のnの平均数を求めた。
NMR装置:Bruker Biospin Avance600(商品名)
観測核:1H
周波数:600MHz
溶媒:CDCl
3
積算回数:256回
【0073】
(物性9)原料ポリアルキレングリコールアルキルエーテルのnの平均数
原料のポリアルキレングリコールアルキルエーテルを試料として、アルキレンオキサイド繰り返し単位−(R
1O)
n−のnの平均数は、原料のポリアルキレングリコールアルキルエーテルを試料の水酸基価から求めた。具体的には下記の通りに求めた。
【0074】
水酸基価の測定は、JIS K 0070−1992(化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法)及び、JIS K 1557−1(プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法−第1部:水酸基価の求め方)に記載の方法に従って実施した。
【0075】
上記で測定した水酸基価から、下記式を用いてポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量を求めた。その分子量を用いてnの平均数を以下の計算方法により算出した。
ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量=56.1×1000/[水酸基価(mgKOH/g)]
【0076】
次に、上記で算出したポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量から、nの平均数を下記式から算出して求めた。
nの平均数=(ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量−アルキル基の分子量−水酸基の分子量)/(アルキレンオキサイドの分子量)
【0077】
例えば、使用したポリアルキレングリコールアルキルエーテルがポリエチレングリコール(モノ)メチルエーテルだった場合、nの平均数は以下のように求めた。
nの平均数=(ポリエチレングリコール(モノ)メチルエーテルの分子量−メチル基の分子量(15)−水酸基の分子量(17))/(エチレンオキサイドの分子量(44))
【0078】
(物性10)ポリアルキレングリコールアルキルエーテルが変性された割合(変性率)
ポリイソシアネート組成物を試料として、変性率は、原料のポリイソイソシアネートのイソシアネート基100当量に対して、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルが変性された割合であり、液体クロマトグラフィー(LC)の測定波長220nmにおける、未変性イソシアヌレート3量体、1変性イソシアヌレート3量体、2変性イソシアヌレート3量体、及び3変性イソシアヌレート3量体のピーク面積比から求めた。用いた装置及び条件は以下のとおりである。
LC装置:Waters社製、UPLC(商品名)、
カラム:Waters社製、ACQUITY UPLC HSS T3 1.8μm C18 内径2.1mm×長さ50mm
流速:0.3mL/min
移動相:A=10mM酢酸アンモニウム水溶液、B=アセトニトリル
グラジェント条件:初期の移動相組成はA/B=98/2で、試料注入後Bの比率を直線的に上昇させ、10分後にA/B=0/100とした。
検出方法:フォトダイオードアレイ検出器、測定波長は220nm
【0079】
(物性11)ポリアルキレングリコールアルキルエーテルに由来する部分の含有率
ポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中の、変性ポリイソシアネートのポリアルキレングリコールアルキルエーテルに由来する部分の含有率は、(物性2)で測定したイソシアネート基含有率と、(物性8)で求めたポリアルキレングリコールアルキルエーテルのnの平均数とから算出されるポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量と、(物性10)で求めた変性率とから以下のとおり算出した。
含有率(%)=イソシアネート基含有率(質量%)/100%/42/(100−変性率(%))×変性率(%)×ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量×100%
【0080】
例えば、使用したポリアルキレングリコールアルキルエーテルがポリエチレングリコール(モノ)メチルエーテルだった場合、以下のように求めた。
ポリエチレングリコール(モノ)メチルエーテルの分子量=メチル基の分子量(15)+水酸基の分子量(17)+(エチレンオキサイドの分子量(44)×nの平均数)
【0081】
[製造例1(ポリイソシアネートの製造)]
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 600部、イソブタノール0.6部を仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃で、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、イソシアヌレート化反応を行い、転化率が13%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。その後、反応液を更に160℃、1時間で保持した。この加熱により、ウレトジオン基を含有するポリイソシアネートが生成した。反応液を冷却、ろ過後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ウレトジオン基を含有するポリイソシアネート組成物(1)を得た。
【0082】
[製造例2(ポリイソシアネートの製造)]
イソシアヌレート化反応の転化率を13%から17%とした以外は製造例1と同様に行い、ポリイソシアネート組成物(2)を得た。
【0083】
[製造例3(ポリイソシアネートの製造)]
イソブタノール0.6部に加えて2エチルヘキサノールを更に2.0部加え、イソシアヌレート化反応の転化率を13%から12%とした以外は製造例1と同様に行い、ポリイソシアネート組成物(3)を得た。
【0084】
[製造例4(ポリイソシアネートの製造)]
イソブタノール0.6部から2エチルヘキサノール3.0部、イソシアヌレート化反応の転化率を13%から21%、反応液の加熱を160℃、1時間から160℃、30分間とした以外は製造例1と同様に行い、ポリイソシアネート組成物(4)を得た。
【0085】
[製造例5(ポリイソシアネートの製造)]
イソブタノール0.6部から2エチルヘキサノール18.0部、イソシアヌレート化反応の転化率を13%から28%、反応液の加熱を160℃、1時間から90℃、1時間とした以外は製造例1と同様に行い、ポリイソシアネート組成物(5)を得た。
【0086】
[製造例6(ポリイソシアネートの製造)]
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラス
コ内を窒素雰囲気にし、HDI 1000部、1,3−ブタンジオール10部、トリ−n−ブチルホスフィン3部を仕込み、撹拌下反応器内温度を60℃に加熱し、4時間反応させた。その後、p-トルエンスルホン酸メチルエステルを添加し80℃で1時間加熱することにより、反応を停止した。その後、反応液を更に160℃、1時間で保持した。反応液を冷却、ろ過後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ウレトジオン基を多く含有するポリイソシアネート組成物(6)を得た。
【0087】
[製造例7(ポリイソシアネートの製造)]
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラス
コ内を窒素雰囲気にし、HDI 600部、1,3−ブタンジオール1.0部、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを仕込み、撹拌下反応器内温度を70℃に加熱し、3時間反応させた。その後、p-トルエンスルホン酸メチルエステルを添加し反応を停止した。その後、反応液を更に100℃、1時間で保持した。反応液を冷却後、ろ過後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネート組成物(7)を得た。
【0088】
[製造例8(ポリイソシアネートの製造)]
HDI系ポリイソシアネート(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「デュラネートTKA」)100質量部に、1,3−ブタンジオールを0.93質量部添加し、窒素下、80℃で2時間攪拌して反応を行い、ポリイソシアネート組成物(8)を得た。
【0089】
[製造例9(ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの製造)]
1000mlオートクレーブの反応器内を窒素置換した後、メタノール128g(4.0mol)及び水酸化カリウム0.56g(9.8mmol)を仕込んだ。110℃に昇温した後、この温度を保ちながらエチレンオキサイド1320g(30.0mol)を加圧下で2.5時間かけて反応させ、さらに1時間熟成を行った。得られた反応混合物に、85質量%のリン酸1.16g(10.0mmol)を加え中和し、析出したリン酸のカリウム塩を濾過で除き、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:7.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(1)を得た。
【0090】
[製造例10(ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの製造)]
エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:4.2のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG」)85質量部に、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数が9.4のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)を15質量部添加し、室温で30分間、混合撹拌し、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:5.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(2)を得た。
【0091】
[実施例1]
製造例1で得られたポリイソシアネート組成物(1)97質量部に、数平均分子量550のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本油脂株式会社製、商品名「ユニオックスM−550(エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:11.8)」)3質量部を添加し、窒素下、100℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0092】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:22.7質量%、粘度:450mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:550、平均官能基数:2.97、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は61.3であった。
【0093】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は11.9であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は1.0%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は3.0%と算出された。
【0094】
[実施例2]
製造例2で得られたポリイソシアネート組成物(2)94質量部に、数平均分子量400のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本油脂株式会社製、商品名「ユニオックスM−400(エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:8.4)」)6質量部を添加し、窒素下、100℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0095】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:21.2質量%、粘度:630mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:600、平均官能基数:3.01、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は53.9であった。
【0096】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は8.3であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は3.0%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は6.2%と算出された。
【0097】
[実施例3]
製造例2で得られたポリイソシアネート組成物(2)90質量部に、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:9.4のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)10質量部を添加し、窒素下、90℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0098】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:19.9質量%、粘度:670mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:620、平均官能基数:2.96、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は47.0であった。
【0099】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は9.4であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は4.5%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は9.9%と算出された。
【0100】
[実施例4]
製造例3で得られたポリイソシアネート組成物(3)95質量部に、製造例9で得られたエチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:7.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル5質量部を添加し、窒素下、90℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0101】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:21.3質量%、粘度:350mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:560、平均官能基数:2.82、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は59.9であった。
【0102】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は7.2であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は2.8%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は5.0%と算出された。
【0103】
[実施例5]
製造例3で得られたポリイソシアネート組成物(3)90質量部に、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:4.2のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG」)10質量部を添加し、窒素下、80℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0104】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:18.9質量%、粘度:360mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:590、平均官能基数:2.63、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は51.4であった。
【0105】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は4.1であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は9.4%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は9.9%と算出された。
【0106】
[実施例6]
製造例4で得られたポリイソシアネート組成物(4)96質量部に、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:15.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−081」)4質量部を添加し、窒素下、110℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0107】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:21.8質量%、粘度:900mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:570、平均官能基数:2.97、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は65.2であった。
【0108】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は15.0であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は1.2%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は4.3%と算出された。
【0109】
[実施例7]
製造例4で得られたポリイソシアネート組成物(4)95質量部に、製造例10で得られたエチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:5.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル5質量部を添加し、窒素下、110℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0110】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:21.0質量%、粘度:850mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:580、平均官能基数:2.89、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は62.0であった。
【0111】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は5.1であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は3.7%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は4.9%と算出された。
【0112】
[実施例8]
製造例5で得られたポリイソシアネート組成物(5)98質量部に、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:9.4のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)2質量部を添加し、窒素下、110℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0113】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:20.2質量%、粘度:510mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:570、平均官能基数:2.74、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は67.0であった。
【0114】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は9.4であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は1.0%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は2.1%と算出された。
【0115】
[実施例9]
製造例5で得られたポリイソシアネート組成物(5)88質量部に、製造例10で得られたエチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:5.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル12質量部を添加し、窒素下、110℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0116】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:16.3質量%、粘度:630mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:640、平均官能基数:2.47、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は52.0であった。
【0117】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は5.1であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は11.0%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は12.3%と算出された。
【0118】
[実施例10]
製造例5で得られたポリイソシアネート組成物(5)90質量部に、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:4.2のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG」)10質量部を添加し、窒素下、110℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0119】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:16.8質量%、粘度:650mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:620、平均官能基数:2.48、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は53.0であった。
【0120】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は4.1であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は10.5%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は10.0%と算出された。
【0121】
[比較例1]
製造例1で得られたポリイソシアネート組成物(1)100質量部に、平均分子量550のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本油脂株式会社製、商品名「ユニオックスM−550(エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:11.8)」)15.4質量部を添加し、窒素下、80℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0122】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:19.1質量%、粘度:470mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:600、平均官能基数:2.73、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は48.4であった。
【0123】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は11.9であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は5.0%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は13.3%と算出された。
【0124】
[比較例2]
製造例2で得られたポリイソシアネート組成物(2)100質量部に、平均分子量550のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本油脂株式会社製、商品名「ユニオックスM−550(エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:11.8)」)15.2質量部を添加し、窒素下、80℃で6時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0125】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:18.6質量%、粘度:690mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:640、平均官能基数:2.83、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は45.6であった。
【0126】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は11.9であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は5.1%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は13.2%と算出された。
【0127】
[比較例3]
製造例4で得られたポリイソシアネート組成物(4)100質量部に、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:4.2のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG」)20質量部を添加し、窒素下、90℃で8時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0128】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:16.0質量%、粘度:1100mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:680、平均官能基数:2.49、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は43.3であった。
【0129】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は4.1であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は17.0%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は16.6%と算出された。
【0130】
[比較例4]
製造例5で得られたポリイソシアネート組成物(5)100質量部に、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:9.4のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)20質量部を添加し、窒素下、90℃で8時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0131】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:15.5質量%、粘度:740mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:680、平均官能基数:2.52、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は45.0であった。
【0132】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は9.4であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は9.2%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は16.7%と算出された。
【0133】
[比較例5]
製造例6で得られたポリイソシアネート組成物(6)100質量部に、製造例9で得られたエチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:7.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル9.5質量部を添加し、窒素下、100℃で2.5時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0134】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:18.9質量%、粘度:320mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:510、平均官能基数:2.27、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は15.8であった。
【0135】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は7.2であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は5.3%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は8.8%と算出された。
【0136】
[比較例6]
製造例7で得られたポリイソシアネート組成物(7)100質量部に、製造例9で得られたエチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:7.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル5.6質量部を添加し、窒素下、100℃で2時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0137】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:20.7質量%、粘度:1100mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:650、平均官能基数:3.20、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は62.6であった。
【0138】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は7.2であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は3.0%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は5.3%と算出された。
【0139】
[比較例7]
製造例1で得られたポリイソシアネート組成物(1)99.5質量部に、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:9.4のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)0.5質量部を添加し、窒素下、100℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0140】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:23.4質量%、粘度:410mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:530、平均官能基数:2.99、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は64.3であった。
【0141】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は9.4であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は0.2%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は0.5%と算出された。
【0142】
[比較例8]
製造例8で得られたポリイソシアネート組成物(8)90質量部に、エチレンオキサイド繰り返し単位の平均数:9.4のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、商品名「MPG−130」)10質量部を添加し、窒素下、120℃で3時間攪拌して反応を行った。反応終了後、変性ポリイソシアネートを含む組成物を得た。
【0143】
得られた組成物は、不揮発分:100%、イソシアネート基含有率:17.6質量%、粘度:6000mPa・sであり、得られた組成物中のポリイソシアネートは、数平均分子量:800、平均官能基数:3.40、得られた組成物中の未反応ジイソシアネート三量体の面積割合は30.2であった。
【0144】
NMRから検出されたエチレンオキサイド繰返単位の平均数は9.4であり、得られた組成物中のポリエチレングリコールモノメチルエーテルの変性率は5.0%であった。よって、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルの含有率は9.8%と算出された。
【0145】
実施例1から10、及び比較例1から8で得られた変性ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物の評価は、以下のとおり行った。評価結果を表1に示す。
【0146】
(評価1)水分散性
(1)100mLフラスコと、吉野紙との質量を測定した。
(2)変性ポリイソシアネートを含む組成物を、固形分換算で16gとなるように100mLフラスコに採取し、脱イオン水24gを添加した。
(3)プロペラ羽を使用し、200rpmで3分間、100mLフラスコ内の溶液を撹拌した後、(1)で秤量した吉野紙で濾過した。
(4)吉野紙に残った濾過残渣と、100mLフラスコに残った残渣とを合わせて105℃の乾燥機中で1時間加熱し、質量(g)を求めた。
(5)以下の計算方法で、変性ポリイソシアネートを含む組成物が水へ分散した割合を求めた。
水へ分散した割合(質量%)=100%−((4)で求めた残渣を含む100mLフラスコと吉野紙との合計質量(g)−(1)で測定した100mLフラスコと吉野紙との合計質量(g))/((2)で採取した変性ポリイソシアネートを含む組成物の質量(g)×不揮発分(質量%))×100%
判定方法は以下のとおりとした。
○:80質量%以上
×:80質量%未満
【0147】
(評価2)水分散安定性
200mLフラスコに、変性ポリイソシアネートを含む組成物0.1gと、脱イオン水100gを量り取り、プロペラ羽を使用し、600rpmで5分間、200mLフラスコ内の溶液を撹拌し、水分散液を得た。その後、50mLのガラス瓶に移し替え、分散状態を肉眼で観察した。
判定方法は以下のとおりとした。
○:2時間経過後も変化が見られなかった。
○△:2時間経過後にわずかに沈殿又は分離が見られた。
△:1時間経過後にわずかに沈殿又は分離が見られた。
×:1時間以内に沈殿又は分離が見られた。
【0148】
(評価3)イソシアネート基の保持性
100mLフラスコに、変性ポリイソシアネートを含む組成物15gと、脱イオン水45gを量り取り、プロペラ羽を使用し、600rpmで10分間、100mLフラスコ内の溶液を撹拌し、水分散液を得た。この水分散液におけるイソシアネート基の保持率を、以下のように評価した。
【0149】
イソシアネート基の濃度変化は、日本分光株式会社製FT/IR−4200typeA(商品名)を用いた赤外吸収スペクトル測定(検出器:TGS、積算回数:16回、分解:4cm
-1)において、イソシアヌレートの吸収ピーク(波数1686cm
-1付近)に対するイソシアネートの吸収ピーク(波数2271cm
-1付近)の強度比から算出した。
【0150】
水分散液作製直後を0時間とし、そのときのイソシアネートの吸収ピーク強度/イソシアヌレートの吸収ピーク強度=X0とし、n時間後のピーク強度比=Xnを求め、イソシアネート基の保持率=Xn/X0を算出し、6時間後の保持率を評価した。判定方法は以下の通りとした。
○:80%以上
×:80%未満
【0151】
【表1】
【0152】
[製造例11(アクリル系ポリオール水分散体の製造)]
反応器として、撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口のセパラブルフラスコを用いた。該反応器内を窒素雰囲気にし、エチレングリコールモノブチルエーテル300質量部を仕込み、攪拌下、反応器内温度を80℃に保持した。該反応器に、モノマーとしてメタクリル酸メチル146.3質量部、スチレン105質量部、アクリル酸−n−ブチル257.6質量部、メタクリル酸14質量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル177.1質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.7質量部、及び連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン0.3質量部を均一に混合した混合物を4.5時間かけて一定速度で連続的に加えた。その後、反応器内温度を80℃のまま2時間保持した。その後、反応器内の混合物を冷却し、アンモニア25質量%水溶液を11.6質量部加えて15分間撹拌した。さらに、反応器内の混合物を、攪拌下、イオン交換水を1300質量部加えて水分散体を得た。得られた水分散体を、ロータリーエバポレーターを用いて固形分が約45質量%になるまで濃縮した。その後、得られた濃縮物を、アンモニア25質量%水溶液でpH8.0に調整し、アクリル系ポリオールの水分散体を得た。得られたアクリル系ポリオールの水分散体は、水分散体中の粒子の平均粒子径が90nmであり、ポリオール樹脂分のヒドロキシル基濃度が仕込み原材料からの計算値で3.3質量%であり、ポリオール樹脂分の数平均分子量が9600であった。
【0153】
[実施例11から20、比較例9から16]
実施例1から10、及び比較例1から8で得られた変性ポリイソシアネートを含む組成物を用いて、下記のようにコーティング組成物を作製した。
【0154】
[コーティング組成物の作製]
製造例11で作製したポリオール水分散体40g容器に計り取り、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4g、変性ポリイソシアネートを含む組成物中のイソシアネート基とポリオール水分散体中のヒドロキシル基とのモル比が、NCO/OH=1.25になるように、変性ポリイソシアネートを含む組成物を加えて混合物を得た。更に上記混合物に、コーティング組成物の固形分が45質量%となるように脱イオン水を加え、ディスパー羽を使用し、1000rpmで5分間撹拌し、コーティング組成物を作製した。作製したコーティング組成物を用いて、以下の塗膜評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0155】
(評価4)塗膜の外観
上記のコーティング組成物を用いて、ガラス板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、60℃で30分間焼成した。得られた塗膜を目視で評価した。判定方法は以下のとおりとした。
○:透明、異物なし
△:やや白濁、やや異物あり、平滑性やや低い
×:白濁、異物多数あり、平滑性低い
【0156】
(評価5)塗膜の架橋性
上記のコーティング組成物を用いて、PP板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、60℃で30分間焼成した。23℃/50%RHの雰囲気下で冷却し、翌日、得られた塗膜をアセトンに23℃で24時間浸漬させた後に取り出し、塗膜を乾燥させた。塗膜の架橋性を以下の計算方法により算出した。
塗膜の架橋性(%)=(溶解せずに残った塗膜の質量)/(アセトン浸漬前の塗膜の質量)×100%
判定方法は以下のとおりとした。
○:92%以上
△:90%以上、92%未満
×:90%未満
【0157】
(評価6)塗膜の硬度
上記のコーティング組成物を用いて、ガラス板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、60℃で30分間焼成した。23℃/50%RHの雰囲気下で冷却し、翌日、得られた塗膜をケーニッヒ硬度計(BYK Garder社製、商品名「Pendulum hardness tester」) を用いて測定した。判定方法は以下のとおりとした。
○:40以上
×:40未満
【0158】
(評価7)塗膜の耐溶剤性
上記のコーティング組成物を用いて、ガラス板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、60℃で30分間焼成した後、23℃/50%RHの雰囲気下で7日間乾燥させた。得られた塗膜上にキシレンを1g含ませた直径10mmのコットンボールを10分間置き、表面に残ったキシレンを除いた後の塗膜の様子を観察した。判定方法は以下のとおりとした。
○:透明、凹みなし
△:やや白濁、又はやや凹みあり
×:白濁、又は凹みあり
【0159】
(評価8)塗膜の耐水性
上記のコーティング組成物を用いて、アルミ板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、60℃で30分間焼成した後、23℃/50%RHの雰囲気下で冷却し、翌日、得られた塗膜上に直径20mmのシリコン製Oリングを載せ、その中に水を0.5g注ぎ入れた。23℃で24時間置き、表面に残った水を除いた後の塗膜の様子を観察した。判定方法は以下のとおりとした。
○:変化なし
×:ブリスター発生、白濁、又は塗膜溶解
【0160】
【表2】
【0161】
[製造例12(コーティング主剤の作製)]
水系アクリルポリオール(Allnex社製、商品名「MacrynalVSM2521w/42WA」)92質量部に、消泡剤(BYK社製、商品名「BYK028」)0.5質量部、増粘剤(DowChemical社製、商品名「SCT275」)0.5質量部、増粘剤(DowChemical社製、商品名「RM5000」)0.5質量部、脱イオン水7質量部を撹拌及び混合し、コーティング主剤(1)を得た。
【0162】
[実施例21から30、比較例17から24]
実施例1から10、及び比較例1から8で得られた変性ポリイソシアネートを含む組成物を用いて、表3の対応に従い、下記のようにコーティング組成物を作製した。
【0163】
[コーティング組成物の作製]
製造例12で作製したコーティング主剤(1)40gを容器に計り取り、各変性ポリイソシアネートを含む組成物中のイソシアネート基とポリオール水分散体中のヒドロキシル基とのモル比が、NCO/OH=1.3になるように、変性ポリイソシアネートを含む組成物を加えて混合物を得た。得られた混合物に、コーティング組成物の固形分が45質量%となるように脱イオン水を加え、ディスパー羽を使用し、600rpmで5分間撹拌し、コーティング組成物を作製した。作製したコーティング組成物を用いて、以下の塗膜評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0164】
(評価9)塗膜の乾燥性
上記のコーティング組成物を用いて、ガラス板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で乾燥し、3時間後、得られた塗膜上に直径2.5cm、高さ2.0cmの円柱型のコットンを置き、その上に100gの分銅を60秒間置いた。その後、分銅とコットンを取り除き、塗膜上に残ったコットン跡を観察した。
判定方法は以下のとおりとした。
○:コットン跡わずかにあり、もしくはなし
△:コットン跡ややあり
×:コットン跡多くあり
【0165】
(評価10)塗膜の鉛筆硬度
上記のコーティング組成物を用いて、ガラス板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で乾燥し、翌日、得られた塗膜をJIS K 5600−5−4引っかき硬度(鉛筆法)に基づき、試験を実施した。
判定方法は以下のとおりとした。
○:F以上
×:F未満
【0166】
【表3】
【0167】
[製造例13(コーティング主剤の作製)]
水系アクリルポリオール(Allnex社製、商品名「MacrynalVSM6299w/42WA」)92質量部に、消泡剤(BYK社製、商品名「BYK028」)0.5質量部、増粘剤(DowChemical社製、商品名「SCT275」)0.5質量部、増粘剤(DowChemical社製、商品名「RM5000」)0.5質量部、脱イオン水7質量部を撹拌及び混合し、コーティング主剤(2)を得た。
【0168】
[実施例31から40、比較例25から32]
実施例1から10、及び比較例1から8で得られた変性ポリイソシアネートを含む組成物を用いて、表4の対応に従い、下記のようにコーティング組成物を作製した。
【0169】
[コーティング組成物の作製]
製造例13で作製したコーティング主剤(2)40gを容器に計り取り、各変性ポリイソシアネートを含む組成物中のイソシアネート基とポリオール水分散体中のヒドロキシル基とのモル比が、NCO/OH=1.3になるように、変性ポリイソシアネートを含む組成物を加えて混合物を得た。得られた混合物に、コーティング組成物の固形分が45質量%となるように脱イオン水を加え、ディスパー羽を使用し、600rpmで5分間撹拌し、コーティング組成物を作製した。作製したコーティング組成物を用いて、以下の塗膜評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0170】
(評価11)塗膜の乾燥性
上記のコーティング組成物を用いて、ガラス板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で乾燥し、4時間後、得られた塗膜上に直径2.5cm、高さ2.0cmの円柱型のコットンを置き、その上に100gの分銅を60秒間置いた。その後、分銅とコットンを取り除き、塗膜上に残ったコットン跡を観察した。
判定方法は以下のとおりとした。
○:コットン跡わずかにあり、もしくはなし
△:コットン跡ややあり
×:コットン跡多くあり
【0171】
(評価12)塗膜の鉛筆硬度
上記のコーティング組成物を用いて、ガラス板上に、厚さ40μmの塗膜を塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で乾燥し、翌日、得られた塗膜をJIS K 5600−5−4引っかき硬度(鉛筆法)に基づき、試験を実施した。
判定方法は以下のとおりとした。
○:F以上
×:F未満
【0172】
【表4】
【0173】
本出願は、2014年11月14日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2014−231676号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。