特許第6600521号(P6600521)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6600521
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】レンズ及びそれを含む発光素子モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/08 20060101AFI20191021BHJP
   F21V 5/08 20060101ALI20191021BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20191021BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20191021BHJP
【FI】
   G02B3/08
   F21V5/08
   H01L33/58
   F21Y115:10 300
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-190834(P2015-190834)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-110076(P2016-110076A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2018年9月10日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0175526
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513276101
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ソンフク
【審査官】 中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−191336(JP,A)
【文献】 特開2013−093201(JP,A)
【文献】 特開2000−193809(JP,A)
【文献】 特開2013−239465(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0016326(US,A1)
【文献】 中国実用新案第203980145(CN,U)
【文献】 中国特許出願公開第103307523(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0287649(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0014290(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0106165(US,A1)
【文献】 米国特許第09689554(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/00− 3/14
F21V 1/00−15/04
F21S 2/00−45/70
F21K 9/00− 9/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1キャビティを有する第1ボディーと、
前記第1ボディーと面接触しながら配置される第2ボディーと、
前記第1ボディーと垂直方向に少なくとも一部が重なり、前記第2ボディーの表面に配置された複数個の突出部とを含み、
前記複数個の突出部は、第1突出部及び第2突出部を含み、
前記第1突出部は、前記第2突出部よりも前記第1ボディーに近し、
前記第1突出部の表面に複数個のパターンが配置され、
前記複数個のパターンは、第1傾斜部及び第2傾斜部を含み
前記第1傾斜部は、前記第2傾斜部よりも前記第1ボディーに近接し、
前記第2傾斜部は、入射する光を全反射し、
前記第1突出部は個のパターンからなり、第nパターンの前記第1ボディーの底面からの高さは第n−1パターンの前記第1ボディーの底面からの高さよりも高く、前記第2突出部の前記第1ボディーの底面からの高さは、第Nパターンの前記第1ボディーの底面からの高さよりも低く、第N−1パターンの前記第1ボディーの底面からの高さよりも高く、ここで、前記nは、2以上N以下の整数である、レンズ。
【請求項2】
第m+1パターンと第mパターンとの接点の高さは、前記第パターンと第m−1パターンとの接点の高さよりも高く、前記は、2以上N−1以下の整数である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
前記第2突出部と前記第1突出部との接点の高さは、前記第1パターンと前記第2パターンとの接点の高さよりも低い、請求項1又は2に記載のレンズ。
【請求項4】
nパターンにおける前記第1傾斜部と前記第2傾斜部の境界線距離は第n−1パターンにおける前記第1傾斜部と前記第2傾斜部の境界線距離よりもく、ここで、前記nは、2以上N以下の整数である、請求項1乃至3のいずれかに記載のレンズ。
【請求項5】
第kパターンにおける記第2傾斜部は、前記第1ボディーの底面に対して80度(°)〜100度(°)に配置され、ここで、前記kは、1以上N以下の整数である、請求項1乃至4のいずれかに記載のレンズ。
【請求項6】
第1パターンにおける記第1傾斜部乃至第Nパターンにおける前記第1傾斜部互いに平行である、請求項1乃至5のいずれかに記載のレンズ。
【請求項7】
前記第1キャビティは、曲面及び第1傾斜面を含み、
前記第1傾斜面は、前記曲面よりも前記複数個の突出部に近接する、請求項1乃至6のいずれかに記載のレンズ。
【請求項8】
前記曲面は、少なくとも1つの不連続線を含む、請求項7に記載のレンズ。
【請求項9】
前記複数個の突出部のうちの少なくとも1つは、前記第1キャビティの前記第1傾斜面と上下方向に重なって配置される、請求項7又は8に記載のレンズ。
【請求項10】
前記第2突出部は、第3傾斜部及び第4傾斜部を含み、
前記第3傾斜部は、前記第4傾斜部よりも前記第1ボディーに近接し、
前記第4傾斜部は、入射する光を全反射する、請求項1乃至9のいずれかに記載のレンズ。
【請求項11】
前記第1傾斜部及び前記第3傾斜部は、それぞれ前記第1ボディーの底面と既設定の角度をなし、前記既設定の角度は、40度以上70度以下である、請求項10に記載のレンズ。
【請求項12】
前記第4傾斜部は前記第2傾斜部と平行である、請求項10又は11に記載のレンズ。
【請求項13】
前記第2ボディーに形成された第2キャビティをさらに含む、請求項1乃至12のいずれかに記載のレンズ。
【請求項14】
前記第2キャビティは、第2傾斜面及び第3傾斜面を含み、
前記第2傾斜面は、前記第3傾斜面よりも前記第1ボディーに近接する、請求項13に記載のレンズ。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載のレンズと、
前記レンズの前記第1キャビティに少なくとも一部が挿入されて配置される発光素子パッケージとを含み、
前記発光素子パッケージはCOB(chip on board)型である、発光素子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は、レンズ及びそれを含む発光素子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
GaN、AlGaNなどの3−5族化合物半導体は、広くて調整が容易なバンドギャップエネルギーを有するなどの多くの利点により、光電子工学分野(optoelectronics)と電子素子などのために広範囲に使用される。
【0003】
特に、半導体の3−5族又は2−6族化合物半導体物質を用いた発光ダイオード(Light Emitting Diode)やレーザーダイオードのような発光素子は、薄膜成長技術及び素子材料の開発によって赤色、緑色、青色及び紫外線などの様々な色を具現することができ、蛍光物質を用いたり、色を組み合わせたりすることによって効率の良い白色光線も具現可能であり、蛍光灯、白熱灯などの既存の光源に比べて低消費電力、半永久的な寿命、速い応答速度、安全性、環境親和性などの利点を有する。
【0004】
したがって、光通信手段の送信モジュール、LCD(Liquid Crystal Display)表示装置のバックライトを構成する冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescence Lamp)を代替する発光ダイオードバックライト、蛍光灯や白熱電球を代替し得る白色発光ダイオード照明装置、自動車のヘッドライト及び信号灯にまでその応用が拡大されている。
【0005】
発光素子の周りには、発光構造物やワイヤなどを保護するモールディング部が配置され得、シリコンなどの材質からなるモールディング部を通過するときに光が屈折して、モールディング部が1次レンズとして作用することができる。
【0006】
しかし、照明装置の光源として発光素子が使用されるとき、光の放出経路を調節するために2次レンズを使用することができ、上述した2次レンズが、通常‘レンズ’と呼ばれる。
【0007】
レンズの材質、又は、特に形状に応じて光経路が大きく変わり得、特に、光源から放出される光を前方や後方などの特定の方向にのみ進行させなければならないアプリケーションの場合、レンズの形状はさらに重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実施例は、発光素子などの光源が備えられる照明装置などにおいて、外部に放出される光量を一側方向に集中させようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施例は、第1キャビティを有する第1ボディー、前記第1ボディーと面接触しながら配置される第2ボディー、及び前記第1ボディーと垂直方向に少なくとも一部が重なり、前記第2ボディーの表面に配置された複数個の突出部を含み、前記突出部のうち前記第1ボディーと最も隣接する第1突出部は、表面に複数個のパターンが配置され、前記複数個のパターンのうちの少なくとも1つは、第1方向の第1傾斜部、及び前記第1方向と対向する第2方向の第2傾斜部を有するレンズを提供する。
【0010】
それぞれの第2傾斜部は、前記第1ボディーの底面に対して80度(°)〜100度(°)に配置されてもよい。
【0011】
それぞれの第1傾斜部は互いに平行であってもよい。
【0012】
第1キャビティは、第1方向の曲面及び第2方向の傾斜面を含むことができる。
【0013】
曲面は、少なくとも1つの不連続線を含むことができる。
【0014】
突出部のうちの少なくとも1つは、前記第1キャビティの傾斜面と対応して配置されてもよい。
【0015】
第1突出部はn個のパターンからなり、第nパターンの高さは第n−1パターンの高さよりも高く、第2突出部の高さは、前記第nパターンの高さよりも低く、前記第n−1パターンの高さよりも高く、ここで、前記nは、2以上の整数であり得る。
【0016】
第n+1パターンと前記第nパターンとの接点の高さは、前記第nパターンと前記第n−1パターンとの接点の高さよりも高く、前記nは、2以上の整数であり得る。
【0017】
第2突出部と前記第1突出部との接点の高さは、前記第1パターンと前記第2パターンとの接点の高さよりも低くてもよい。
【0018】
第1傾斜部上に凹凸が配置されてもよい。
【0019】
第3方向において第nパターンの幅は、第n−1パターンの幅よりも大きく、ここで、前記第3方向は、前記第1方向と垂直であり、前記nは、2以上の整数であり得る。
【0020】
第2突出部は、前記第1方向の第3傾斜部及び第2方向の第4傾斜部を含むことができる。
【0021】
第4傾斜部は前記第2傾斜部と平行であってもよい。
【0022】
第2ボディーに形成された第2キャビティをさらに含むことができる。
【0023】
第2キャビティは、前記第1方向の傾斜面及び前記第2方向の傾斜面を含むことができる。
【0024】
前記第2方向の傾斜面は、前記第1ボディーの底面に対して80度(°)〜100度(°)に配置されてもよい。
【0025】
他の実施例は、上述したレンズ、及び前記レンズの第1キャビティに少なくとも一部が挿入されて配置される発光素子パッケージを含み、前記発光素子パッケージはCOB(chip on board)型である発光素子モジュールを提供する。
【0026】
発光素子パッケージは、回路基板上に複数個の発光素子が配置されてもよい。
【0027】
複数個の発光素子のうちの少なくとも一部は、前記第1突出部と垂直方向に重なってもよい。
【0028】
複数個の発光素子のうちの少なくとも一部は、前記キャビティ内の傾斜面と曲面とが接触する領域と垂直に重なってもよい。
【発明の効果】
【0029】
実施例に係るレンズは、第2方向に進行する光量よりも第1方向に進行する光量が遥かに多く、実施例に係るレンズが配置された発光素子モジュールは、道路の照明装置などに用いる場合、第1方向を道路方向にし、第2方向を住宅方向にすると、住宅方向に向かう光量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】レンズの一実施例の斜視図である。
図2A図1のレンズの側断面図である。
図2B図1のレンズの側断面図である。
図3図1のレンズの内部の第1キャビティ及び第2キャビティを示す図である。
図4図1のレンズにおいて第1突出部内のパターンと第2突出部及び第3突出部の幅を示す図である。
図5】レンズを含む発光素子モジュールの一実施例を示す図である。
図6図5の発光素子を示す図である。
図7図5の発光素子を示す図である。
図8A】レンズに備えられた突出部とパターンの作用を示す図である。
図8B】レンズに備えられた突出部とパターンの作用を示す図である。
図8C】レンズに備えられた突出部とパターンの作用を示す図である。
図9A】第1突出部に配置されたパターンの作用を示す図である。
図9B】第1突出部に配置されたパターンの作用を示す図である。
図10A】従来のレンズの光分布を示す図である。
図10B】従来のレンズの光分布を示す図である。
図11A】実施例に係るレンズの光分布を示す図である。
図11B】実施例に係るレンズの光分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、上記の目的を具体的に実現できる本発明の実施例を、添付の図面を参照して説明する。
【0032】
本発明に係る実施例の説明において、各構成要素(element)の「上(上部)または下(下部)(on or under)」に形成されると記載される場合において、上(上部)または下(下部)は、2つの構成要素が互いに直接(directly)接触したり、一つ以上の他の構成要素が前記2つの構成要素の間に配置されて(indirectly)形成されることを全て含む。また、「上(上部)または下(下部)」と表現される場合、一つの構成要素を基準として上側方向のみならず、下側方向の意味も含むことができる。
【0033】
図1は、レンズの一実施例の斜視図である。
【0034】
本実施例に係るレンズ100は、互いに面接触する第1ボディー100aと第2ボディー100bからなってもよい。第1ボディー100aと第2ボディー100bは互いに同一の材質、例えば、シリコンからなり、互いに一体型であってもよい。
【0035】
第1ボディー100aの表面は、互いに対向する2つの曲面A1,A2からなり、2つの曲面A1,A2は境界線aによって分けられる。2つの曲面A1,A2の一側は、上述した境界線aと接触し、他側は、他の境界線b1,b2と接触することができる。そして、上述した境界線b1,b2の間には他の曲面Bが配置され、曲面Bは第2ボディー100bの一部をなすことができる。
【0036】
そして、上述した3つの曲面A1,A2,Bは一つの接点cに収束し、接点cは、3つの曲面A1,A2,Bの最も高い領域に位置するが、後述する突出部110,115,150よりも低い領域に位置し得る。
【0037】
第2ボディー100bには、上述した曲面Bと隣接して第1突出部110が配置され、第1突出部110は複数個のパターンからなってもよく、例えば、本実施例では、4つのパターン111〜114からなり、第1突出部110と隣接して第2突出部115が配置されてもよい。
【0038】
そして、上述した第2突出部115と隣接して第2ボディー100bの表面には第3突出部150が配置されてもよく、第3突出部150は、第2突出部115と隣接し、後述するように、第6傾斜部150b及び第5傾斜部150aを含むことができる。
【0039】
第1突出部110、第2突出部115及び第3突出部150の数はこれに限定されない。
【0040】
図2A及び図2Bは、図1のレンズの側断面図である。
【0041】
図1及び図2Aにおいて、第1ボディー100a方向と第2ボディー100b方向を相対的にそれぞれ第1方向と第2方向とすることができる。図2Aの断面図において、第1ボディー100aの1つの曲面A2が示されており、曲面Bと隣接して4つのパターン111〜114が配置されている。
【0042】
それぞれのパターン111〜114及び第2突出部115はそれぞれ2つの面からなり、第1方向の第1傾斜部111a〜114a及び第3傾斜部115a、第1傾斜部111a〜114aと対向する第2方向の第2傾斜部111b〜114b、及び前記第3傾斜部115aと対向する第2方向の第4傾斜部115bからなってもよい。
【0043】
第1パターン111は、1つの第1傾斜部111aと1つの第2傾斜部111bからなり、第2パターン112は、1つの第1傾斜部112aと1つの第2傾斜部112bからなり、第3パターン113は、1つの第1傾斜部113aと1つの第2傾斜部113bからなり、第4パターン114は、1つの第1傾斜部114aと1つの第2傾斜部114bからなることができ、第1突出部110と隣接して配置された第2突出部115は、1つの第3傾斜部115aと1つの第4傾斜部115bからなることができる。
【0044】
上述した第2傾斜部111b〜114b及び第4傾斜部115bは、発光素子などの光源から進行された光を全反射して図1の第1方向に進行させることができる。第1傾斜部111a〜114a及び第3傾斜部115aは、上述した全反射された光を屈折させて進行させることができる。
【0045】
そして、図示していないが、第1傾斜部111a,112a,113a,114a、及び第2突出部115内の第3傾斜部115aに凹凸が形成されて光屈折効果を向上させることができる。また、レンズには、上述した傾斜部以外にも傾斜部がさらに形成されてもよく、これに限定されない。
【0046】
上述した第2傾斜部及び第4傾斜部111b〜115bは、後述する発光素子から入射する光を反射し、第1傾斜部及び第3傾斜部111a〜115aは、上述した第2傾斜部及び第4傾斜部111b〜115bで反射されたり、またはその他の進行した光を屈折させて、第1方向に進行させることができる。
【0047】
それぞれの第1傾斜部111a〜114a及び第3傾斜部115aは、それぞれ第1ボディー100aの底面と既設定の角度θ1〜θ5をなすことができ、第1傾斜部111a〜114a及び第3傾斜部115aがなす角度θ1〜θ5は、40度以上70度以下であってもよい。例えば、第1傾斜部111a〜114aと第3傾斜部115aがそれぞれ第1ボディー100aの底面を基準として設定された角度θ1〜θ5が互いに同一であり、第1傾斜部111a〜114aと第3傾斜部115aが互いに平行であってもよいが、これに限定されず、第1傾斜部111a〜114aと第3傾斜部115aが有する角度θ1〜θ5は、それぞれ異なっていてもよく、少なくとも2つ以上の角度が同一であってもよい。
【0048】
第1傾斜部111a〜114a及び第3傾斜部115aがなす角度θは、40度より小さい場合、後述する発光素子から放出される光がレンズの上部方向(図2Aの左側上部)に偏って進行し得る。そして、第1傾斜部111a〜114a及び第3傾斜部115aがなす角度θが70度より大きい場合、レンズの下部方向(図2Aの左側下部)に偏って進行し得る。
【0049】
それぞれの第1パターン111〜114に形成された第2傾斜部111b〜114b及び第2突出部115に形成された第4傾斜部115bは、それぞれ第1ボディー100aの底面と一定の角度をもって配置されてもよく、第2傾斜部111b〜114bと第4傾斜部115bは互いに平行であってもよいが、これに限定されない。例えば、それぞれのパターン111〜114に形成された第2傾斜部111b〜114b及び第2突出部に形成された第4傾斜部115bは、それぞれ第1ボディー100aの底面と垂直に配置されるか、または、第2傾斜部111b〜114b及び第4傾斜部115bが、第1ボディー100aの底面と直角から±10度(°)の範囲、すなわち、80度(°)〜100度(°)の範囲内で配置されてもよい。
【0050】
第4傾斜部115bが第1ボディー100aの底面となす角度θ6が80度より小さい場合、後述する発光素子から放出される光がレンズの上部方向(図2Aの左側上部方向)に偏って進行し得る。そして、第4傾斜部115bが第1ボディー100aの底面となす角度θ6が100度より大きい場合、レンズの下部方向(図2Aの左側下部方向)に偏って進行し得る。
【0051】
ここで、第4傾斜部115bが第1ボディー100aの底面となす角度θ6のみを図2Bで表示しているが、第2傾斜部111b〜114bと第1ボディー100aの底面とがなす角度も、第4傾斜部115bが第1ボディー100aの底面となす角度と同一であってもよい。
【0052】
第2傾斜部111b〜114b及び第4傾斜部115bがなす角度は互いに同一であってもよく、異なっていてもよく、少なくとも2つ以上の角度が同一に配置されてもよく、これに限定されない。
【0053】
第1突出部がn個のパターンからなるとき、第nパターンの高さは第n−1パターンの高さよりも高く、第2突出部の高さは、第nパターンの高さよりも低く、前記第n−1パターンの高さよりも高く、ここで、前記nは、2以上の整数であり得る。
【0054】
すなわち、本実施例において、4つのパターンの高さは、第1パターン111の高さh1から第4パターン114の高さh4まで次第に高くなる。そして、第2突出部115の高さh5は、第4パターン114の高さh4よりも低く、第3パターン113の高さh3よりも高くすることができる。このとき、上述した‘高さ’は、第1ボディー100aの底面からの高さであり得る。
【0055】
そして、第n+1パターンと前記第nパターンとの接点の高さは、前記第nパターンと前記第n−1パターンとの接点の高さよりも高く、前記nは、2以上の整数であり得る。また、第2突出部115と第1突出部110との接点の高さは、第1パターン111と第2パターン112との接点の高さよりも低くてもよい。
【0056】
すなわち、本実施例において、第1パターン111と第2パターン112との間の接点をc1とし、第2パターン112と第3パターン113との間の接点をc2とし、第3パターン113と第4パターン114との間の接点をc3とし、第4パターン114と第2突出部115との間の接点をc4とするとき、第1パターン111と第2パターン112との間の接点c1よりも、第2パターン112と第3パターン113との間の接点c2がさらに高く配置され、第2パターン112と第3パターン113との間の接点c2よりも、第3パターン113と第4パターン114との間の接点c3がさらに高く配置され、第4パターン114と第2突出部115との間の接点c4は、第1パターン111と第2パターン112との間の接点c1よりも低く配置され得る。
【0057】
上述した第1パターン〜第4パターン及び第2突出部111〜115の数は設計に応じて変わり得、パターンの高さや突出部の高さ、それぞれの接点の高さも設計に応じて変わり得るので、上述した内容に限定されない。例えば、第1パターン〜第4パターン111〜114の数は、さらに少なくなるか、または多くなり、第2突出部115は同じ形状に配置されてもよく、これに限定されない。
【0058】
図2Bに示された実施例は図2Aとほぼ同一であり、図2Aにおいて第3突出部150をなす第6傾斜部150bが省略されている。
【0059】
上述した第1突出部110及び第2突出部115における第2傾斜部111b〜114b及び第4傾斜部115bは、後述する発光素子などの光源から進行された光を全反射することができ、第1傾斜部111a〜114a及び第3傾斜部115aは、上述した全反射された光を屈折させて第1方向に伝達することができる。図3は、図1のレンズの内部の第1キャビティ及び第2キャビティを示す図である。
【0060】
図3において、レンズをなす第1ボディーと第2ボディーの輪郭が実線で示され、内部の第1キャビティ210と第2キャビティ250が点線で示されている。
【0061】
第1キャビティ210の断面は、第2方向の傾斜面210a及び第1方向の曲面210bを含み、曲面は、少なくとも1つの不連続線vを有し、不連続線vは、垂直方向に上述した1つの接点cと重なってもよい。上述した曲面は曲率を有し、曲面の曲率は一定でなく変わり得、不連続線vは、曲面の曲率が不連続的に変わる区間であり、例えば、変曲点であってもよい。
【0062】
第1キャビティ210と第2キャビティ250にはエアー(air)が充填されてもよく、第1キャビティ210は、後述する発光素子上に配置されるか、または発光素子の少なくとも一部が挿入される領域であり、第2キャビティ250は、シリコンからなるレンズ100の射出工程のために形成され得るが、光抽出効率を向上させることができる。第1キャビティ210の一部は第1ボディー100a及び第2ボディー100bに配置され、第2キャビティ250は第2ボディー100b内に配置されてもよい。
【0063】
第2キャビティ250は、第2方向の傾斜面250a及び第1方向の傾斜面250bを含むことができる。傾斜面250bは、後述する発光素子などから進行した光を反射させて上述した第3突出部150の方向に進行させることができる。
【0064】
第1方向の傾斜面250bは、第1ボディー100aの底面と一定の傾きをもって配置されてもよい。後述するように、傾斜面250bで反射された光が第3突出部150、特に第7傾斜部150cの方向に向かうように傾斜面250bの傾きが形成されてもよい。
【0065】
図3において、第3突出部150は、第5傾斜部150aと第6傾斜部150b以外に第7傾斜部150cを含むことができ、図8Bに示すように、第1方向の傾斜面250bで反射された光が第7傾斜部150cで屈折して進行し得る。第1方向の傾斜面250bで反射された光は、第7傾斜部150cで屈折して進行し、一部の光は第6傾斜部150bで再屈折して進行し得る。図2Bで詳述したように第6傾斜部150bは省略してもよいが、第6傾斜部150bで屈折した光の経路を第7傾斜部150cでさらに調節し得る。第2方向の傾斜面250aは、第2ボディーの底面と一定の角度θ7で配置することができ、一定の角度θ7は、80度(°)〜100度(°)であってもよく、例えば、直角であってもよい。
【0066】
図4は、図1のレンズにおいて、図1の第1突出部110内のパターン111〜114と第2突出部115及び第3突出部150の幅を示す図である。
【0067】
第3方向において第1突出部110の第nパターンの幅は、第n−1パターンの幅よりも大きく、ここで、前記第3方向は、前記第1方向と垂直であり、前記nは、2以上の整数であり得る。
【0068】
すなわち、本実施例において、第1パターン111の幅w1よりも第2パターン112の幅w2が大きく、第2パターン112の幅w2よりも第3パターン113の幅w3が大きく、第3パターン113の幅w3よりも第4パターン114の幅w4が大きく、第4パターン114の幅w4よりも第2突出部115の幅w5がさらに大きくてもよい。
【0069】
そして、第3突出部150の幅w6は、第2突出部115の幅w5よりも大きくてもよい。すなわち、4つのパターン111〜114と第2突出部115と第3突出部150の幅w1〜w6は、第1方向から第2方向にさらに大きくなり得る。すなわち、4つのパターン111〜114に比べて第3突出部150が、発光素子などの光源から距離が最も遠く配置され、第2突出部115も相対的に遠く配置されるので、発光素子などの光源から進行された光が相対的に幅が広く入射する第2突出部115と第3突出部150の幅が、4つのパターン111〜114の幅w1〜w4に比べて大きく形成され得る。
【0070】
図5は、レンズを含む発光素子モジュールの一実施例を示す図である。
【0071】
レンズ100をなす第1ボディー100a内の第1キャビティ210の下部に、基板310及び発光素子350を含む発光素子パッケージ300が図示されているが、発光素子パッケージ300における発光素子350は、少なくとも一部が第1キャビティ210の下に配置されるか、または第1キャビティ210内に挿入されてもよい。
【0072】
そして、発光素子350は、第1キャビティ210の傾斜面210aと曲面210bが接触する領域と垂直方向に重なっている。
【0073】
第1突出部110は、第1キャビティ210の第1傾斜面210aと対応して、すなわち、上下方向に重なって配置されてもよい。
【0074】
そして、光源として使用される発光素子350の一部の領域は、第1突出部110と垂直方向に重なるように配置されてもよい。これによって、発光素子350から第1方向に放出される光は、第1ボディー100aと第2ボディー100bを通じて第1方向に放出され、発光素子350から第2方向に放出される光は、第1突出部110、第2突出部115、第3突出部150、第1キャビティ210及び第2キャビティ250を通じて第1方向に反射及び屈折させることができる。
【0075】
図6及び図7は、図5の発光素子を示す図である。
【0076】
基板310には、複数個の発光素子350が配置され、それぞれの発光素子350は、例えば、COB(chip on board)タイプで配置されてもよい。
【0077】
基板310は、印刷回路基板(Printed Circuit Board)、メタル(metal)PCB、FPCB(Flexible PCB)またはFR−4などであってもよい。基板300上の第1導電層311及び第2導電層312は、それぞれ発光素子350の第1電極358a及び第2電極358cと電気的に接続されてもよい。
【0078】
発光素子350は、基板351にバッファ層352と発光構造物354が配置され、発光構造物354は、第1導電型半導体層354a、活性層354b及び第2導電型半導体層354cを含んでなり、第1導電型半導体層354aと第2導電型半導体層354cには、それぞれ第1電極358aと第2電極358cが配置されてもよい。
【0079】
基板351は、半導体物質の成長に適した物質又はキャリアウエハで形成することができ、熱伝導性に優れた物質で形成することができ、伝導性基板又は絶縁性基板を含むことができる。例えば、サファイア(Al)、SiO、SiC、Si、GaAs、GaN、ZnO、GaP、InP、Ge、Gaのうちの少なくとも1つを使用することができる。
【0080】
サファイアなどで基板351を形成し、基板351上にGaN又はAlGaNなどを含む発光構造物354が配置されるとき、GaN又はAlGaNとサファイアとの間の格子不整合(lattice mismatch)が非常に大きく、これらの間に熱膨張係数の差も非常に大きいので、結晶性を悪化させる転位(dislocation)、メルトバック(melt−back)、クラック(crack)、ピット(pit)、表面モルフォロジー(surface morphology)不良などが発生し得るため、AlNなどでバッファ層352を形成することができる。
【0081】
第1導電型半導体層354aは、III−V族、II−VI族などの化合物半導体で具現することができ、第1導電型ドーパントがドープされて第1導電型の半導体層であってもよい。第1導電型半導体層354aは、AlInGa(1−x−y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成式を有する半導体物質からなることができ、例えば、AlGaN、GaN、InAlGaN、AlGaAs、GaP、GaAs、GaAsP、AlGaInPのいずれか1つ以上で形成されてもよい。
【0082】
第1導電型半導体層354aがn型半導体層である場合、第1導電型ドーパントは、Si、Ge、Sn、Se、Teなどのようなn型ドーパントを含むことができる。第1導電型半導体層354aは、単層又は多層に形成されてもよく、これに限定されない。
【0083】
活性層354bは、第1導電型半導体層354aの上部面に配置され、単一井戸構造, 多重井戸構造、単一量子井戸構造、多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構造、量子点構造または量子線構造のいずれか1つを含むことができる。
【0084】
活性層354bは、III−V族元素の化合物半導体材料を用いて、InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の井戸層とInAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の障壁層、例えば、AlGaN/AlGaN、InGaN/GaN、InGaN/InGaN、AlGaN/GaN、InAlGaN/GaN、GaAs(InGaAs)/AlGaAs、GaP(InGaP)/AlGaPのいずれか1つ以上のペア構造で形成されてもよいが、これに限定されない。井戸層は、障壁層のエネルギーバンドギャップよりも小さいエネルギーバンドギャップを有する物質で形成することができる。
【0085】
第2導電型半導体層354cは、活性層354bの表面に半導体化合物で形成することができる。第2導電型半導体層354cは、III−V族、II−VI族などの化合物半導体で具現することができ、第2導電型ドーパントがドープされてもよい。第2導電型半導体層354cは、例えば、InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成式を有する半導体物質からなることができ、AlGaN、GaN、AlInN、AlGaAs、GaP、GaAs、GaAsP、AlGaInPのいずれか1つ以上で形成されてもよい。
【0086】
第2導電型半導体層354cは、第2導電型ドーパントがドープされてもよく、第2導電型半導体層354cがp型半導体層である場合、第2導電型ドーパントは、Mg、Zn、Ca、Sr、Baなどのようなp型ドーパントであってもよい。第2導電型半導体層354cは、単層又は多層に形成してもよいが、これに限定されない。第2導電型半導体層354c上には凹凸構造(図示せず)が形成されて光抽出効率を向上させることができる。
【0087】
第2導電型半導体層354c上には、ITO(Indium tin Oxide)などで透光性導電層356が形成されて、第2電極358cから第2導電型半導体層354cに電流スプレッディング(current spreading)効果を向上させることができる。
【0088】
第2導電型半導体層354c、活性層354b及び第1導電型半導体層354aの一部までメサエッチングして第1導電型半導体層354aを露出させることで、第1電極358aが形成される領域を確保することができる。
【0089】
第1導電型半導体層354aと第2導電型半導体層354c上には、それぞれ第1電極358aと第2電極358cが配置され、第1電極358a及び第2電極358cは、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)のうちの少なくとも1つを含んで単層又は多層構造で形成されてもよい。
【0090】
第1電極358a及び第2電極358cは、それぞれワイヤ357を介して基板310上の第1導電層311、第2導電層312と電気的に接続されてもよい。
【0091】
図示していないが、発光構造物354の周りにはパッシベーション層を形成してもよく、パッシベーション層は絶縁性物質からなることができ、詳細には、酸化物又は窒化物からなることができ、より詳細には、シリコン酸化物(SiO)層、酸化窒化物層、酸化アルミニウム層からなることができる。そして、パッシベーション層にも凹凸構造が形成されて光抽出効率を向上させることができる。
【0092】
図8A乃至図8Cは、レンズに備えられた突出部とパターンの作用を示す。
【0093】
図8Aにおいて、レンズに突出部が形成されていないとき、発光素子などの光源から放出された光が前後に均一に進行する。図8Bでは、突出部とパターンの作用で、光が主に左側、すなわち、上述した第1方向に進行している。図8Cでは、第1突出部に形成されたパターンの作用で、光が第1方向にさらに多く屈折し得、図8Cでは、上述した実施例よりも多い数のパターンが第1突出部上に配置されている。
【0094】
図8Bにおいて、発光素子などの光源から放出された光のうち第1キャビティ210の第2方向の傾斜面210aの方向に進行する光は、図示のように、第2方向の傾斜面210aで屈折して、第1及び第2突出部110,115の第2傾斜面111b〜114bと第4傾斜面115bで全反射された後、第1傾斜面111a〜114aと第3傾斜面115aで屈折して進行する。そして、一部の光は、第2キャビティ250の第1方向の傾斜面250bで全反射されて進行し得、このとき、全反射された光は、上述した第7傾斜面で屈折し得る。
【0095】
第1キャビティは、上述した作用で光を突出部と第2キャビティの方向に進行させ、突出部は、第2傾斜面と第4傾斜面の全反射、及び第1傾斜面と第3傾斜面の屈折を通じて光を進行させ、第2キャビティは、レンズの射出工程のために形成されたが、光の進路を変更させる作用もする。
【0096】
図9A及び図9Bは、第1突出部に配置されたパターンの作用を示す図である。
【0097】
図9Aでは、第1突出部110上にパターンが配置されておらず、図9Bでは、第1突出部110上にパターンが配置されている。図9Bに示された実施例の場合、パターンによる光の散乱がなされるので、図9Aに示された比較例よりも光が広い角度で進行し得る。
【0098】
図10A及び図10Bは、従来のレンズの光分布を示し、図11A及び図11Bは、実施例によるレンズの光分布を示す。
【0099】
赤色は、上述した実施例において第1方向(Street side)に進行する光であり、青色は、第2方向(House side)に進行する光量を示す。
【0100】
従来のレンズに比べて、実施例によるレンズを使用した場合、レンズにおいて第2方向(House Side)に進行する光量が遥かに少ないことがわかる。したがって、上述した実施例によるレンズが配置された発光素子モジュールは、図1などを基準として第1方向(Street side)に光を伝達することができ、道路の照明装置などに発光素子モジュールが使用されるとき、第1方向(Street side)を道路方向にし、第2方向を住宅方向にする場合、道路方向に光をさらに多く屈折させて、住宅方向に向かう光量を減少させることができる。
【0101】
以上、実施例を中心に説明したが、これは単なる例示であり、本発明を限定するものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性を逸脱しない範囲で、以上で例示していない様々な変形及び応用が可能であるということが理解されるであろう。例えば、実施例に具体的に示した各構成要素は変形実施が可能である。そして、このような変形及び応用に係る差異点は、添付の特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B