(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際の仕訳入力は、特許文献1のように自動仕訳で集計されるよりも、ユーザが手作業で仕訳入力を行うことの方が遥かに多い。このため、ユーザの誤認識やタイプミスなどによって明らかに発生するはずのない部門で費用科目が発生した場合は、経理部でこれを修正するのに時間がかかり、日次や月次の締めに影響が出るという課題がある。
【0005】
また、費用科目と発生部門とを単純に紐付けて管理すれば、明らかな入力ミスを防ぐことができる。しかし、新たに勘定科目を追加する科目改定時、あるいは組織変更を行う組織改定時には、紐付けを行っている費用科目と発生部門とを個々に見直す必要があるため、保守を行うユーザに多大な負荷がかかるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、ユーザに保守負荷をかけることなく、仕訳入力時に明らかに発生するはずのない仕訳データが入力されるのを防いで、日次締めや月次締めを早期化することができる仕訳入力補助装置、仕訳入力補助方法および仕訳入力補助プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る仕訳入力補助装置は、制御部を備えた、画面への仕訳データの入力を補助する仕訳入力補助装置であって、前記制御部は、前記画面に第1の仕訳データが入力されると、第1の仕訳データと該仕訳データの種類に応じたグループとを対応付けて記憶する第1グループ記憶部、第1の仕訳データのグループと第2の仕訳データのグループとを対応付けて記憶するグループ記憶部、および、第2の仕訳データと該仕訳データの種類に応じたグループとを対応付けて記憶する第2グループ記憶部を順に参照して、該入力された第1の仕訳データと紐付く第2の仕訳データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出された第2の仕訳データを前記画面に表示する表示実行手段と、を備えたこと、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る仕訳入力補助装置は、前記グループ記憶部は、第1の仕訳データのグループと、複数の第2の仕訳データのグループとを対応付けて記憶しており、前記第2グループ記憶部は、第2の仕訳データとグループとのペアを複数記憶しており、前記抽出手段は、入力された第1の仕訳データと紐付く複数の第2の仕訳データを抽出すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る仕訳入力補助装置は、前記抽出手段は、入力された第1の仕訳データに対応付くグループを前記第1グループ記憶部から抽出し、該抽出したグループに対応付く第2の仕訳データのグループを前記グループ記憶部から抽出し、該抽出したグループに対応付く第2の仕訳データを前記第2グループ記憶部から抽出すると共に前記第2グループ記憶部にグループと対応付けずに登録されている第2の仕訳データも抽出すること、または、入力された第1の仕訳データに対応付くグループを前記第1グループ記憶部から抽出できなかった場合、前記第1グループ記憶部に登録されている全てのグループを抽出し、該抽出した各々のグループに対応付く第2の仕訳データのグループを前記グループ記憶部から抽出し、該抽出した各々のグループに対応付く第2の仕訳データを前記第2グループ記憶部から抽出すること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る仕訳入力補助装置は、前記制御部は、前記第1グループ記憶部および前記第2グループ記憶部を管理する管理手段を更に備え、前記管理手段は、オペレータによって仕訳データは追加されたが該仕訳データの種類に応じたグループが併せて追加されなかった場合、アラート通知を行うこと、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る仕訳入力補助装置は、前記第1の仕訳データは、科目データであり、前記第1グループ記憶部に記憶されているグループは、科目データの種類に応じて設定されたものであり、前記第2の仕訳データは、部門データ、事業所データまたは分析コードデータであり、前記第2グループ記憶部に記憶されているグループは、部門データ、事業所データまたは分析コードデータの種類に応じて設定されたものであること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る仕訳入力補助装置は、前記表示実行手段は、前記抽出手段において第2の仕訳データが抽出されなかった場合に、エラー通知を行うこと、を特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る仕訳入力補助方法は、制御部を備えた情報処理装置で実行される、画面への仕訳データの入力を補助する仕訳入力補助方法であって、前記制御部で実行される、前記画面に第1の仕訳データが入力されると、第1の仕訳データと該仕訳データの種類に応じたグループとを対応付けて記憶する第1グループ記憶部、第1の仕訳データのグループと第2の仕訳データのグループとを対応付けて記憶するグループ記憶部、および、第2の仕訳データと該仕訳データの種類に応じたグループとを対応付けて記憶する第2グループ記憶部を順に参照して、該入力された第1の仕訳データと紐付く第2の仕訳データを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップで抽出された第2の仕訳データを前記画面に表示する表示実行ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る仕訳入力補助プログラムは、制御部を備えた情報処理装置において実行させるための画面への仕訳データの入力を補助する仕訳入力補助プログラムであって、前記制御部において実行させるための、前記画面に第1の仕訳データが入力されると、第1の仕訳データと該仕訳データの種類に応じたグループとを対応付けて記憶する第1グループ記憶部、第1の仕訳データのグループと第2の仕訳データのグループとを対応付けて記憶するグループ記憶部、および、第2の仕訳データと該仕訳データの種類に応じたグループとを対応付けて記憶する第2グループ記憶部を順に参照して、該入力された第1の仕訳データと紐付く第2の仕訳データを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップで抽出された第2の仕訳データを前記画面に表示する表示実行ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザに保守負荷をかけることなく、仕訳入力時に明らかに発生するはずのない仕訳データが入力されるのを防いで、日次締めや月次締めを早期化することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0018】
[1.概要]
本実施形態に係る仕訳入力補助装置は、仕訳入力を行う際に、入力される科目との組み合わせで明らかに発生するはずのない部門や事業所、あるいは分析情報等の情報項目が誤入力されるのを防ぎつつ、新たな勘定科目を追加する科目改定時や組織変更を行う組織改定時などにおけるユーザの保守負荷を軽減する点に特徴がある。
【0019】
例えば、入力される科目コードと組み合わせ可能な部門コードとを1対1で単純に紐付ける設定を行えば、ユーザが科目コードを入力し、これに対して発生するはずのない部門コードを入力しようとすると、事前設定で紐付けられていないため、誤入力を防止することができる。しかしながら、このような単純な紐付け設定では、科目の追加や組織変更を行う改定時に、紐付け設定を個々に見直す必要があるため、ユーザの保守負荷が増大する。そこで、本実施形態に係る仕訳入力補助装置では、入力科目とその種類に応じたグループを紐付けし、これと組み合わせ入力可能な情報項目(例えば、部門、事業所、分析情報等)とその種類に応じたグループを紐付けると共に、さらに両グループ同士の紐付けを行っている。これにより、入力科目とこれと組み合わせ入力される情報項目とが紐付いているか否かを判断するだけで、明らかに発生するはずのない情報項目の入力を防止することができる。また、仕訳データの追加や組織改定時には、入力科目と組み合わせ入力される情報項目とがグループ同士の紐付けを介して結びつけられているため、紐付け設定を個々に見直す必要が無くなり、ユーザの保守負荷を軽減することができる。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0020】
[2.構成]
本実施形態に係る仕訳入力補助装置100の構成について、
図1〜
図6を用いて説明する。
図1は、仕訳入力補助装置100の構成の一例を示すブロック図であり、
図2は、特定の科目種別に対して発生する部門種別の一例を示す図であり、
図3は、科目マスタテーブルの設定内容の一例を示す図であり、
図4は、部門マスタテーブルの設定内容の一例を示す図であり、
図5は、グルーピングされた部門種別と科目種別との紐付けを行う制御マスタテーブルの設定内容の一例を示す図であり、
図6は、
図3〜5に設定されたマスタテーブルに基づいて科目名称に対する計上可能な部門名称の一例を示す図である。
【0021】
仕訳入力補助装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、仕訳入力補助装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0022】
仕訳入力補助装置100は、
図1に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。仕訳入力補助装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0023】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、仕訳入力補助装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、仕訳入力補助装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0024】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0025】
記憶部106は、第1の仕訳データの種類に応じたグループを記憶する第1グループ記憶部と、第2の仕訳データの種類に応じたグループを記憶する第2グループ記憶部と、第1および第2グループ記憶部が記憶するグループ同士の紐付けを行うグループ記憶部とを含む。
【0026】
第1グループ記憶部としては、科目データの種類に応じた科目グループを記憶する科目マスタテーブル106aがある。科目マスタテーブル106aは科目名称(以下、科目コードともいう)とその科目名称の種類に応じた科目グループを構成する科目種別とを対応させて記憶している(
図3参照)。
【0027】
第2グループ記憶部としては、部門データの種類に応じた部門グループを記憶する部門マスタテーブル106bの他、事業所データの種類に応じた事業所グループを記憶する事業所マスタテーブル106c、あるいは分析コードデータの種類に応じた分析情報グループを記憶する分析情報マスタテーブル106dなどがある。例えば、部門マスタテーブル106bは、部門名称(以下、部門コードともいう)とその部門名称の種類に応じた部門グループを構成する部門種別とを対応させて記憶している(
図4参照)。
【0028】
グループ記憶部としては、上記した科目マスタテーブル106aが記憶する科目種別と、上記した部門マスタテーブル106bが記憶する部門種別とを結びつける制御マスタテーブル106eがある。制御マスタテーブル106eは、例えば部門種別と結びつく科目種別を対応させて記憶している(
図5参照)。
【0029】
また、
図1に示す入出力インターフェース部108には、入力部としての入力装置112および表示部としての出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0030】
制御部102は、仕訳入力補助装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、抽出手段および管理手段としての仕訳管理部102aと、表示実行手段としての表示実行部102bを含む。
【0031】
[3.具体例]
(その1:グループの登録例)
まず、
図2に示すように、製造原価という科目種別は製造原価部門という部門種別でのみ発生できるように制限し、販売費という科目種別は営業部門という部門種別でのみ発生できるように制限する場合について説明する。本実施形態に係る仕訳入力補助装置100の科目マスタテーブル106aには、
図3に示すように、水道光熱費(原価)という科目コードに対して、科目種別としてグルーピングされた製造原価が設定されている。また、広告宣伝費という科目コードに対して、科目種別としてグルーピングされた販売費が設定されている。さらに、消耗品費という科目コードに対しては、紐付けの制限をかけないようにするため、科目種別を未登録に設定してある。この未登録という設定は、紐付けの制限をかけたくない特定の科目や部門について科目種別や部門種別を登録しないという設定であり、計上時に紐付けの制限をかけないようにすることができる。
【0032】
本実施形態に係る仕訳入力補助装置100の部門マスタテーブル106bには、
図4に示すように、千葉工場という部門コードに対して部門種別としてグルーピングされた製造原価部門が設定されている。また、東京営業部という部門コードに対して部門種別としてグルーピングされた販売部門が設定されている。
【0033】
そして、本実施形態に係る仕訳入力補助装置100の制御マスタテーブル106eには、
図5に示すように、製造原価という科目種別のグループに対して製造原価部門という部門種別のグループが対応付けられている。また、販売費という科目種別のグループに対して販売部門という部門種別のグループが対応付けられている。このように、制御マスタテーブル106eは、科目種別と部門種別のグループ同士を結びつけて登録するものであり、1対1の登録の他、1対nの登録も可能である。
【0034】
本実施形態に係る仕訳入力補助装置100は、上記のようなマスタテーブルの設定を行った結果、ユーザが仕訳計上時に、
図6に示すような制限をかけることが可能となる。つまり、計上可能な部門として千葉工場を入力できる科目コードとしては、水道光熱費(原価)か消耗品費となり、広告宣伝費はマスタテーブル上で結びついていないため、計上できないことになる。また、計上可能な部門として東京営業部を入力できる科目コードとしては、広告宣伝費か消耗品費となり、水道光熱費(原価)はマスタテーブル上で結びついていないため、計上できないことになる。消耗品費については、
図3の科目マスタテーブルで説明したように、科目種別を未登録としているため紐付けに制限がかからず、どの部門であっても計上することができる。
【0035】
(その2:初期設定と内部処理動作)
次に、別の事例でマスタテーブルの初期設定を行い、仕訳計上を行う場合の内部処理動作を
図7〜
図9を用いて説明する。
図7は、各マスタテーブルに対する初期設定の別の一例を示す図であり、
図8は、
図7で初期設定された各マスタテーブルを用いて仕訳入力を行う場合の仕訳入力画面の一例を示す図であり、
図9は、
図8の仕訳入力時における仕訳入力補助装置の内部処理手順を説明する図である。
【0036】
まず、ユーザである管理者は、仕訳入力補助装置100のキーボードの入力装置112とディスプレイの出力装置114とを用いて、
図7に示すように、記憶部106内の科目マスタテーブル106a、部門マスタテーブル106bおよび制御マスタテーブル106eに対して初期設定を行う。科目マスタテーブルに対しては、科目の種類に応じたコード、科目名称、部門管理の有無、およびグルーピングした科目種別をそれぞれ入力して設定する。また、部門マスタテーブルに対しては、部門の種類に応じたコード、部門名称、およびグルーピングした部門種別をそれぞれ入力して設定する。さらに、制御マスタテーブルに対しては、それぞれグルーピングされた科目種別と部門種別とを結びつけて設定する。
【0037】
続いて、オペレータが実際に仕訳入力する場合は、
図8に示すように、借方の科目コード「200」と、科目名称「原材料仕入」と、その金額「10800」を入力した後、それに伴って発生する部門コードを入力する。この場合、どのような部門であれば入力できるかの内部処理については、
図9を用いて説明する。
【0038】
オペレータが借方の部門コードを入力する際に、制御部102の仕訳管理部102aは、
図8に示すように、既に入力されている「200」という科目コードをキーとして記憶部106の科目マスタテーブル106aを見に行く。つまり、
図9に示すように、科目マスタテーブルの科目コード「200」を見ると、科目種別として製造原価科目を取得できる。そして、制御部102の仕訳管理部102aは、この製造原価科目に基づいて制御マスタテーブル106eを見に行く。すると、製造原価科目は、部門種別として製造原価部門と紐付いていることがわかる。さらに、制御部102の仕訳管理部102aは、製造原価部門の部門種別をキーに部門マスタテーブル上の部門種別を見て、製造原価部門を見ると、部門コード「201」の製造1部しか入力できないことが導き出せる。
【0039】
その導きにより、
図8に示すように、オペレータが仕訳入力画面MR内のデータ入力領域MA1に部門コードとして、
図9に示す「201」を入力すると、その部門名称「製造1部」もデータ入力領域MA2に表示されるように制御部102の表示実行部102bが制御する。
【0040】
また、
図8に示すように、オペレータが仕訳入力画面ME内のデータ入力領域MA1に部門コードとして仮に
図9に示す「101」の営業1部を入力したとすると、制御部102の仕訳管理部102aは、「原材料仕入」と「営業1部」とが紐付いていないと判断して、表示実行部102bがデータ入力領域MA1に入力コードを表示しないように制御する。また、これと同時に表示実行部102bは、図示していないが、例えば「101」は入力できませんというエラーメッセージを出すことで、オペレータに対し入力できない部門コードであることを警告してもよい。さらにこれ以外にも、入力可能なコードの選択リストを表示してその中から選択させたり、仮に選択枝が一つしか無いような場合は直接データ入力領域MA1に入力可能なコードを表示させたりする入力補助を行っても良い。このように、本実施形態に係る仕訳入力補助装置100は、オペレータの仕訳入力ミスを未然に防止することができるため、経理部における修正作業が不要となり、日次や月次の締めを早期化することができる。
【0041】
上記
図8では、オペレータが借方の科目コードと金額を入力した後に、それに伴って発生する部門コードを入力する場合の処理手順について説明したが、本実施形態では必ずしもこれに限定されず、貸方の仕訳入力、あるいは部門コードと金額を先に入力し、それに伴って発生する科目コードを入力する場合であっても同様に適用することができる。その場合の制御部102における内部処理ロジックは、
図9とは逆の手順で辿っていくことにより処理される。つまり、仕訳入力補助装置100の制御部102の仕訳管理部102aは、オペレータが仕訳情報を入力する際に、
図8に示すように、部門コード「201」と、部門名称「製造1部」と、その金額を入力すると、「201」という部門コードをキーとして記憶部106の部門マスタテーブル106bを見に行き、部門種別として製造原価部門が取得できる。仕訳管理部102aは、この製造原価科目に基づいて制御マスタテーブル106eを見に行き、製造原価部門は、科目種別として製造原価科目と紐付いていることがわかる。さらに、仕訳管理部102aは、製造原価科目の科目種別をキーに科目マスタテーブル上の科目種別を見て、科目名称を見ると、部門コード「200」の原材料仕入しか入力できないことを導き出すことができる。
【0042】
また、本実施形態に係る仕訳入力補助装置100は、仕訳登録時における科目コードと部門コードの入力例を用いて説明したが、これに限定されず、仕訳登録時において科目コードと明らかに発生するはずのないコードが登録されるのを防ぐため、部門コード以外の事業所コードやこれらに関する分析コード等の分析情報項目を入力する場合であっても同様に適用可能である。
【0043】
(その3:組織改定時の保守)
本実施形態に係る仕訳入力補助装置100の記憶部106は、
図1に示すように、入力科目とその種類に応じたグループを紐付ける科目マスタテーブル106aと、これと組み合わせ入力可能な部門、事業所、あるいは分析コードの種類に応じた分析情報とその種類に応じたグループを紐付ける部門マスタテーブル106b、事業所マスタテーブル106c、あるいは、分析情報マスタテーブル106dと、これらグループ同士の紐付けを行う制御マスタテーブル106eとを備えている。また、制御部102は、紐付け対象となる各マスタテーブル106a〜106eへの新規データの登録を管理する管理手段としての仕訳管理部102aを備えている。仕訳管理部102aは、仕訳データである科目、部門、事業所、あるいは分析情報等の項目追加時や組織改定時に追加する項目や改定する組織に加えて、その種類に応じたグループが併せて追加されたかを監視し、追加されなかった場合はアラート通知を行うようにする。これは仕訳データの追加と共に、その種類に応じたグループが追加されれば、既存の制御マスタテーブル106eを使ってグループ同士が紐付いているかを判断できるため、紐付けを個々に見直す必要が無くなり、ユーザの保守負荷を軽減することができる。アラート通知を行うのは、管理者が項目追加時や組織改定時にグループ入力のし忘れを防ぐと共に、敢えてグループを入力しないことで紐付け制限を行わない「未登録」の設定であることの確認のためである。
【0044】
図10は、組織改定時における部門マスタテーブルの保守作業を説明する図である。本実施形態に係る仕訳入力補助装置100は、売上等が上がって営業部や製造部を増設する組織変更を行う場合に、
図10に示すように、管理者が入力装置112と出力装置114とを使って記憶部106の部門マスタテーブル106bに新しく部門コード「102」の「営業2部」を追加登録する。その際、「営業2部」の種類に応じたグループである部門種別を「販売部門」とする。これにより、新たに追加した「営業2部」という部門名称に直接紐付く科目を一々登録する必要はなく、部門種別を登録するだけで、元々あった「営業1部」と同様に制御マスタテーブル106eを用いて制御することが可能となり、適正な仕訳入力か否かを判別することができる。
【0045】
また、
図10に示すように、管理者が入力装置112と出力装置114とを使って記憶部106の部門マスタテーブル106bに新しく部門コード「202」の「製造2部」を追加登録する。その際、「製造2部」の種類に応じた部門種別を「製造原価部門」とする。この場合も、新たに「製造2部」」という部門名称と「製造原価部門」という部門種別を追加するだけで良く、元々あった「製造1部」と同様に制御マスタテーブル106eを用いて制御することが可能となる。
【0046】
このように、本実施形態に係る仕訳入力補助装置100は、組織改定を行う場合であっても、科目種別や部門種別といったグループ同士で紐付けを行っているため、紐付けを個々に変更する必要がなくなり、ユーザの保守負荷とそれに伴うコストを低減することができる。また、上記の実施形態では、組織改定の例をあげて説明したが、科目、部門、事業所、あるいは分析情報等の情報項目を追加する場合も同様であって、項目の追加に必要な保守負荷とそれに伴うコストを低減することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る仕訳入力補助装置100は、上記内部処理のタイミング例として、カーソル移動時の例で説明したが、これに限定されず、科目コード入力時や部門コード入力時であっても良く、またそれ以外のタイミングで処理するようにしても良い。
【0048】
[4.本実施形態のまとめ、および他の実施形態]
以上、本実施形態に係る仕訳入力補助装置によれば、仕訳入力画面へ仕訳データを入力する際に、事前に科目データとその種類に応じた科目種別が記憶された科目マスタテーブル106aと、部門データとその種類に応じた部門種別が記憶された部門マスタテーブル106bと、仕訳入力可能な科目種別と部門種別とを紐付けて記憶する制御マスタテーブル106eとを設定する。制御部102の仕訳管理部102aは、先に入力された科目データの科目種別を科目マスタテーブル106aで確認し、制御マスタテーブル106eでこれと紐付く部門種別を確認し、この部門種別と後から入力される部門データの部門種別とを部門マスタテーブル106aで確認して、紐付いていれば表示実行部102bが仕訳入力を仕訳入力画面に表示させる。仕訳管理部102aは、紐付いていなければ表示実行部102bにエラー表示させる。これにより、明らかに発生するはずのない仕訳データが入力される仕訳入力ミスを未然に防止できるため、経理部における修正作業が不要となり、日次や月次の締めを早期化することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る仕訳入力補助装置によれば、仕訳データの例として科目コード、部門コード、事業所コード、あるいは分析コードなどがあるが、これらの項目を追加したり組織変更などを行ったりする改定時において、科目種別や部門種別といったグループ同士の紐付けを制御マスタテーブル106eで行っている。これにより、仕訳データ同士を単純に紐付ける場合と異なり、仕訳データの項目追加や組織変更などの改定時に科目種別や部門種別といったグループを追加するだけで、仕訳データの紐付けを個々に見直す必要が無くなり、ユーザの保守負荷とそれに伴うコストを低減することができる。
【0050】
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0051】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0052】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0053】
また、仕訳入力補助装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0054】
例えば、仕訳入力補助装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて仕訳入力補助装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部106などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部102を構成する。
【0055】
また、このコンピュータプログラムは、仕訳入力補助装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0056】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0057】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0058】
記憶部106に格納される各種のデータベース等(科目マスタテーブル106a、部門マスタテーブル106b、事業所マスタテーブル106c、分析情報マスタテーブル106d、制御マスタテーブル106e)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0059】
また、仕訳入力補助装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、仕訳入力補助装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0060】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。