(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、ブームを備える機械装置を車両に設置し、そして、当該ブームの先端に打音検査装置を取り付け、橋梁、ビルディング等の建築物の欠陥検査を行う手段を検討した。打音検査装置は、検査対象箇所に打撃を加える打撃部と、打撃により発生した音を収集するマイクとを備える。
【0005】
そして、検討の結果、ブームの旋回動作、伸縮動作、及び、起伏動作各々を個別に操作することで、打音検査装置の位置すなわちブームの先端の位置を制御する手段の場合、作業効率が悪くなり得るという新たな課題を見出した。以下、詳細に説明する。
【0006】
欠陥検査では、建築物(検査対象)の露出面(検査対象面)に対して打撃及び集音処理を繰り返す。以下、検査対象面上における打撃及び集音処理を行う位置を検査位置という。検査対象面内における検査漏れ箇所の発生を防ぎ、かつ、効率的に作業を進める観点から、検査位置を所定間隔で規則正しく並べるのが好ましい。並べ方は、検査対象の建物の形状等に応じて定まる。
【0007】
図1に一例を示す。
図1に、検査対象面Fが示されている。図示する検査対象面Fは、橋梁(検査対象)の裏面の一部である。図では橋梁の裏面の一部のみを示し、その他の部分は省略している。また、図には、橋梁の下に停車しているトラックが示されている。トラックは、ブームの先端に打音検査装置を取り付けた機械装置(例えば、クレーン)を備える。
【0008】
検査対象が橋梁の場合、
図1に示すように、複数の検査位置Pを橋梁の延伸方向及び幅方向に並べるのが好ましい。例えば、図中矢印に示すように打音検査装置を移動させ、各位置で順次検査を行わせることで、効率的に作業を進めることができる。
【0009】
しかしながら、ブームの伸縮動作、起伏動作及び旋回動作各々を個別に操作することでブームの先端の位置を制御し、図示するような好ましい検査位置Pの並べ方に併せて移動させるのは操作が複雑となり、容易でない。当該移動を実現するためには、ブームの伸縮動作、起伏動作及び旋回動作を適切に組み合わせる必要があるが、各動作の移動量を考慮すると操作は複雑になる。
【0010】
そこで、本発明者らは、ブームの伸縮動作、起伏動作及び旋回動作各々を個別に操作することでブームの先端の位置を制御するのでなく、ブームの先端の位置を直交座標系(機械装置の位置及び向き等に応じて定まる座標系)で制御する手段を検討した。
【0011】
例えば、
図1に示すようにx軸方向、y軸方向及びz軸方向を定めた直交座標系でブームの先端の位置を制御する。この例の場合、オペレータは、ブームの先端を図示するx軸方向、y軸方向及びz軸方向に所定量移動させる操作により、ブームの先端の位置を制御することができる。
【0012】
図1の矢印に示すように直線的に規則正しくブームの先端の位置を移動させる場合、ブームの先端の位置を直交座標系で制御する方が操作は容易になり得る。
【0013】
しかし、
図1に示すように、機械装置の設置状態(位置、方向等)によっては、ブームの先端の位置を制御する直交座標系の軸方向と、ブームの先端の位置を移動させたい方向とが平行にならない状態となり得る。なお、機械装置の向きを調整することで当該不都合を解決する手段も考えられるが、機械装置を設置したトラックを停車させる場所によっては、トラックの向きが制限され、所望の向きにできない場合がある。
【0014】
このような場合、
図1に示すx軸方向、y軸方向及びz軸方向への移動により、図示するような好ましい検査位置Pの並べ方に併せてブームの先端を移動させるのは操作が複雑となり、容易でない。当該移動を実現するためには、x軸方向、y軸方向及びz軸方向への移動を適切に組み合わせる必要があるが、各軸方向への移動量を考慮すると操作は複雑になる。
【0015】
なお、ブームの先端に打音検査装置以外の装置を設置し、機械装置を用いて当該装置を移動させ、移動位置で当該装置を動作させるその他の手段の場合にも同様の課題が発生し得る。例えば、ブームの先端に塗装装置を設置する例等が考えられる。
【0016】
当該場合も、ブームの先端を検査対象の建物の形状等に応じた所望の軌道で移動させるのが好ましい。このようにすることで、作業漏れ(塗り漏れ)をなくし、かつ、効率的に作業を進めることができる。しかし、ブームの旋回動作、伸縮動作、及び、起伏動作各々を個別に操作することでブームの先端の位置を制御する手段の場合、所望の軌道(例:直線的な軌道)でブームの先端を移動させる操作が複雑となり、作業効率が悪くなり得る。また、機械装置の位置及び向き等に応じて定まる直交座標系でブームの先端の位置を制御する場合、機械装置の設置状態(位置、方向等)によっては、所望の軌道でブームの先端を移動させる操作が複雑となり、作業効率が悪くなり得る。
【0017】
本発明は、ブームの先端の移動を制御するための新たな技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、
伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを検出する検出部と、
前記機械装置のブームトップが第1基準位置、及び、第2基準位置各々に位置する時の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを示す基準位置情報を取得する基準位置情報取得部と、
前記基準位置情報を記憶する記憶部と、
前記第1基準位置及び前記第2基準位置
に基づき定められた
地面に平行な第1の軸と、前記第1の軸と直交しかつ地面に平行な第2の軸とで構成される直交座標系の軸方向に
前記ブームトップの位置を所定量移動させる移動指示を受付ける入力受付部と、
前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを用いて特定される前記ブームトップの現在位置と、前記基準位置情報とに基づき、前記移動指示に従った移動後に前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φが取るべき値を算出する算出部と、
前記算出部による算出結果を制御信号として出力する出力部と、
を有する機械装置動作制御装置が提供される。
【0019】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを検出する検出工程と、
前記機械装置のブームトップが第1基準位置、及び、第2基準位置各々に位置する時の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを示す基準位置情報を取得する基準位置情報取得工程と、
前記基準位置情報を記憶部に記憶させる記憶工程と、
前記第1基準位置及び前記第2基準位置
に基づき定められた
地面に平行な第1の軸と、前記第1の軸と直交しかつ地面に平行な第2の軸とで構成される直交座標系の軸方向に
前記ブームトップの位置を所定量移動させる移動指示を受付ける入力受付工程と、
前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを用いて特定される前記ブームトップの現在位置と、前記基準位置情報とに基づき、前記移動指示に従った移動後に前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φが取るべき値を算出する算出工程と、
前記算出工程における算出結果を制御信号として出力する出力工程と、
を実行する機械装置動作制御方法が提供される。
【0020】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを検出する検出手段、
前記機械装置のブームトップが第1基準位置、及び、第2基準位置各々に位置する時の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを示す基準位置情報を取得する基準位置情報取得手段、
前記基準位置情報を記憶する記憶手段、
前記第1基準位置及び前記第2基準位置
に基づき定められた
地面に平行な第1の軸と、前記第1の軸と直交しかつ地面に平行な第2の軸とで構成される直交座標系の軸方向に
前記ブームトップの位置を所定量移動させる移動指示を受付ける入力受付手段、
前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを用いて特定される前記ブームトップの現在位置と、前記基準位置情報とに基づき、前記移動指示に従った移動後に前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φが取るべき値を算出する算出手段、
前記算出手段による算出結果を制御信号として出力する出力手段、
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ブームの先端の移動を制御するための新たな技術が実現される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、本実施形態の装置(機械装置動作制御装置)のハードウエア構成の一例について説明する。
図2は、本実施形態の装置のハードウエア構成を例示するブロック図である。
図2に示すように、装置は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路には、様々なモジュールが含まれる。
【0024】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU(Central Processing Unit) やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、センサや遠隔操作端末等の装置と情報の送受信を行うためのインターフェイスなどを含む。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行う。
【0025】
以下、本実施の形態について説明する。なお、以下の実施形態の説明において利用する機能ブロック図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。これらの図においては、各装置は1つの機器により実現されるよう記載されているが、その実現手段はこれに限定されない。すなわち、物理的に分かれた構成であっても、論理的に分かれた構成であっても構わない。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0026】
<第1の実施形態>
まず、本実施形態の概要を、
図3を用いて、作業の流れと共に説明する。なお、本実施形態では、機械装置のブームの先端に打音検査装置を備え、橋梁の欠陥検査を行う場合を例にとり説明するが、その他の装置を用いる場合も同様である。
【0027】
図3は、先に説明した
図1と同様の図であり、A地点、B地点及びC地点が追加されている点のみが異なる。
図3に示す例の場合、トラックなどの車両に機械装置が設置されている。機械装置は、伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える。機械装置は、例えば、クレーンや、クレーンからフック及びフック吊り上げ機能を取り除いたもの、高所作業機、橋梁点検機等が考えられる。
図3には、橋梁(検査対象)の裏面の一部である検査対象面Fが示されている。
【0028】
トラックを所定位置に停止させた後、オペレータは、欠陥検査を開始する前の前準備を行う。
【0029】
具体的には、オペレータは、機械装置を動作させ、ブームの先端に取り付けられた打音検査装置を検査対象面Fの任意の位置(第1基準位置A)に接触させる。そして、その状態(第1基準状態)におけるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを基準位置情報として機械装置動作制御装置に記憶させる。
【0030】
例えば、オペレータは、ブームを第1基準状態としたまま、基準位置情報登録のための指示入力を機械装置動作制御装置に対して行ってもよい。機械装置動作制御装置は、当該指示入力に応じ、その時点のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを基準位置情報として登録してもよい。
【0031】
その後、オペレータは、再び機械装置を動作させ、ブームの先端に取り付けられた打音検査装置を検査対象面Fの他の位置(第2基準位置B)に接触させる。そして、その状態(第2基準状態)におけるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを基準位置情報として機械装置動作制御装置に記憶させる。
【0032】
例えば、オペレータは、ブームを第2基準状態としたまま、基準位置情報登録のための指示入力を機械装置動作制御装置に対して行ってもよい。機械装置動作制御装置は、当該指示入力に応じ、その時点のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを基準位置情報として登録してもよい。
【0033】
なお、オペレータは、第1基準位置A及び第2基準位置Bを結ぶ直線ABが、欠陥検査において打音検査装置を移動させたい方向(例:橋梁の延伸方向、幅方向等)と平行になるように第1基準位置A及び第2基準位置Bを選び、検査対象面Fに接触させる必要がある。
【0034】
上記前準備の後、機械装置動作制御装置は、打音検査装置(又はブームの先端)を、「第1基準位置Aから第2基準位置Bへ向き、地面と平行なベクトル」又は「その反対方向のベクトル」と平行移動が出来る指示入力を受付けることが可能となる。また、それら2つのベクトルと直交する方向にも移動が出来る指示入力を受付けることが可能となる。
【0035】
詳細は後述するが、機械装置動作制御装置は、打音検査装置(又はブームの先端)を上記ベクトルと平行して所定量移動させる指示入力を受付けると、前準備で登録された基準位置情報、打音検査装置(又はブームの先端)の現在位置等に基づき、移動後にブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φが取るべき値を算出する。そして、算出した状態となるようにブームを制御する。
【0036】
なお、本実施形態では、「第1基準位置Aから第2基準位置Bへ向き、地面と平行な単位方向ベクトル」は、以後「対象面X軸ベクトル」と定義する。また、「第1基準位置Aを基準として、車両の略平面から見て90度、対象面X軸ベクトルを反時計回りに回転させた単位方向ベクトル」は、以後「対象面Y軸ベクトル」と定義する。また、上記ベクトルの示す方向をそれぞれ「対象面X軸方向」および「対象面Y軸方向」と定義する。さらに、第1基準位置Aを原点(0、0、0)とし、対象面X軸、対象面Y軸および鉛直上向きZ軸からなる座標系を「対象面座標系」と定義する。
【0037】
オペレータは、機械装置と検査対象面との相対的な位置関係が変わると、その都度、上述した前準備を行う。例えば、トラックなどの機械装置を移動させる毎に、上述した前準備を行う。
【0038】
次に、本実施形態の機械装置動作制御装置の構成について詳細に説明する。
図4に、本実施形態の機械装置動作制御装置100の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、機械装置動作制御装置100は、検出部101と、基準位置情報取得部102と、入力受付部103と、算出部104と、記憶部105と、出力部106とを有する。
【0039】
検出部101は、伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを検出する。機械装置動作制御装置100の所定位置に、機械装置のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを測定するセンサが設置される。そして、検出部101は、当該センサから測定値を継続的に取得する。
【0040】
図5に、ブームの先端に打音検査装置を備えた機械装置の一例を示す。図示するように、機械装置は、左右自在に回転する旋回体の上にコラム715を取り付けている。そして、そのコラム715にブーム720をブームフートピンと起伏シリンダ705で固定している。起伏シリンダ705の伸縮でブーム720の起伏動作を可能としている。また、ブーム720に内蔵されている伸縮シリンダ710を伸縮させることでブーム720を伸縮させることができる。
【0041】
このような機械装置の動作を、機械装置本体に設置されている手動レバー725や遠隔操作端末(
図9)等を用いて制御することができる。
【0042】
図6に示すように、ブーム720の長さL及びブーム720の起伏角度θを変更することで、打音検査装置1000(又はブーム720の先端)を水平方向にスライドさせることができる。また、
図7に示すように、ブーム720の長さL及びブーム720の起伏角度θを変更することで、打音検査装置1000(又はブーム720の先端)の位置を鉛直方向にスライドさせることができる。図示する機構の場合、姿勢調節ユニット740により、ブーム720の状態にかかわらず打音検査装置1000の姿勢が一定に維持される。姿勢調節ユニット740の詳細は特段制限されないので、ここでの説明は省略する。
【0043】
図4に戻り、基準位置情報取得部102は、機械装置のブームトップが第1基準位置A、及び、第2基準位置B各々に位置する時のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを基準位置情報として取得し、記憶部105に記憶する。どの部分をブームトップと定義するかは設計的事項であるが、例えば、ブームの先端に取り付けられた装置の所定箇所をブームトップと定義してもよい。
図6及び7に示す例の場合、打音検査装置1000の先端(検査対象面と接する部分)をブームトップと定義してもよい。
【0044】
図3を用いて説明したように、オペレータは、前準備において機械装置を動作させ、機械装置のブームトップを第1基準位置A及び第2基準位置B各々に位置させる。そして、各位置におけるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを基準位置情報として基準位置情報取得部102に取得させ、記憶部105に記憶させる。
【0045】
なお、上述したが、オペレータは、機械装置のブームトップを第1基準位置A及び第2基準位置Bに位置させる際、第1基準位置A及び第2基準位置Bにより特定される対象面X軸ベクトルが、その後の欠陥検査等においてブームトップの位置を移動させたい方向(例:橋梁の延伸方向、幅方向等)の方位角と一致するように調整する。
【0046】
入力受付部103は、ブームトップの位置を対象面X軸方向およびその反対方向に所定量移動させる移動指示を受付ける。また、対象面Y軸方向およびその反対方向に所定量移動させる移動指示を受付ける。当該移動指示の入力は、機械装置本体に設置されている手動レバーや遠隔操作端末等を用いて、入力受付部103へ入力を受付ける。
【0047】
ここで、上述したブームトップの位置を対象面X軸方向およびその反対方向に所定量移動させる移動指示を「対象面X軸方向移動指示」と定義づける。また、対象面Y軸方向およびその反対方向に所定量移動させる移動指示を「対象面Y軸方向移動指示」と定義づける。
【0048】
対象面X軸方向および対象面Y軸方向に所定量分だけ移動させる移動量(スカラ値)を、予め記憶部105に登録させておくと、入力受付部103へは、移動させる量(移動量)を含まない移動方向のみを移動指示として受付けることも可能である。そして、入力受付部103は、対象面X軸方向および対象面Y軸方向に移動させる移動指示を受付けると、当該移動指示を、登録されている移動量だけ各軸方向に移動させる移動指示として扱うことも可能である。
【0049】
算出部104は、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを用いて特定されるブームトップの現在位置と、基準位置情報取得部102が取得した基準位置情報とに基づき、入力受付部103が受付けた移動指示に従った移動後にブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φが取るべき値を算出する。以下、算出方法の一例を説明する。
【0050】
図8に示すように、ブームトップの位置は、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを用いて所定の直交座標系で特定することができる。図示する例は、
図3に示すようにトラックに設置された機械装置において、旋回中心軸(Z軸)の直下の地面を原点(0、0、0)とし、トラックの幅方向をx軸方向、トラックの長さ方向をy軸方向、トラックの高さ方向をz軸方向とした直交座標系でブームトップの座標(x、y、z)を示している。なお、
図6及び
図7に示すように、ブーム720の先端に姿勢調節ユニット740等を介して設置された打音検査装置1000の先端位置(検査対象面と接する箇所)を、ブームトップとしている。図示する可変要素は値が可変な要素であり、固定要素は値が固定な要素である。予め、固定要素の値が算出部104に登録されている。なお、直交座標系の設定の仕方(原点位置、軸方向等)は設計的事項であり、ここで例示したものに限定されない。
【0051】
算出部104は、例えば、基準位置情報(第1基準位置A、及び、第2基準位置B各々に位置する時のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φ)を用いて、
図8に示したような車両を基準とした直交座標系(以下、「車両座標系」という場合がある。)における第1基準位置A及び第2基準位置Bの座標を算出する。そして、算出した第1基準位置A及び第2基準位置BのXY方向成分を用いて第1基準位置Aから第2基準位置Bへ向かうベクトルを算出した後、当該ベクトルを第1基準位置Aと第2基準位置B間のXY平面上の距離で除することで、対象面X軸ベクトルを算出する。続いて、対象面X軸ベクトルをZ軸周りに90度回転させることで、対象面Y軸ベクトルを算出する。
【0052】
その後、算出部104は、現在のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを用いて、車両座標系における現在のブームトップの位置の座標(x
0、y
0、z
0)を算出する。そして、算出部104は、算出した現在位置の座標に、対象面X軸ベクトル又は対象面Y軸ベクトル(移動指示に対応する方)に移動指示で特定される移動量を乗じたベクトルを加えることにより、車両座標系における移動後のブームトップの座標(x
1、y
1、z
1)を算出する。
【0053】
その後、算出部104は、
図8に示すような、車両座標系におけるブームトップの座標(x、y、z)と、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φとの関係式に基づき、移動後のブームトップの座標(x
1、y
1、z
1)となるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを算出する。
【0054】
出力部106は、算出部104による算出結果(移動後のブームトップの座標(x
1、y
1、z
1)となるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φ)を制御信号として出力する。
【0055】
ここで、参考までに、
図10に、本実施形態の機械装置動作制御装置100の回路図の一例を示す。なお、本実施形態の機械装置動作制御装置100は当該設計に限定されない。
【0056】
機械装置動作制御装置100は、入力受付部103が移動指示を受付けた後、算出部104が算出したブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φとなるように、
図10における各部の比例ソレノイドを作動させるよう出力部106から制御信号を出力して、ブームを制御する。結果、入力受付部103が受付けた移動指示に従ったブームトップの移動が実現される。なお、機械装置動作制御装置100は、伸縮動作、起伏動作及び旋回動作を同時に動作させ、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを算出部104による算出結果となるようにしてもよいし、伸縮動作、起伏動作及び旋回動作を任意の順で順次動作させてもよい。
【0057】
以上説明した本実施形態の機械装置動作制御装置100は、第1基準位置A及び第2基準位置Bの登録を受け付けると、以降、動作開始位置(P)における、ブームトップ位置のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φの値を取得後、ブームトップを対象面X軸方向および対象面Y軸方向に所定量移動させるべく、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを算出し、算出した値となるようにブームを制御することが可能となる。
【0058】
オペレータは、互いを結ぶ方向がブームトップの位置を移動させたい方向と平行になるように調整された第1基準位置A及び第2基準位置Bを登録することで、以降、対象面X軸方向および対象面Y軸方向に移動させる指示入力(操作)を簡単に行うことができる。
【0059】
例えば、機械装置本体に設置されている手動レバー(操作部材)の1つ、及び遠隔操作端末に設置されている操作ボタンや操作レバー(操作部材)の1つが、ブームトップの位置を対象面X軸方向およびその反対方向に所定量移動させる移動指示を入力するための操作対象となる。そして、機械装置本体に設置されている手動レバー(操作部材)の他の1つ、及び遠隔操作端末に設置されている操作ボタンや操作レバー(操作部材)の他の1つが、ブームトップの位置を対象面Y軸方向およびその反対方向に所定量移動させる移動指示を入力するための操作対象となる。オペレータは、1つの操作部材に対する操作という比較的簡単な操作により、ブームトップの位置を対象面座標系の各軸方向に所定量移動させる移動指示を入力することができる。
【0060】
<第2の実施形態>
本実施形態の機械装置動作制御装置100は、第1基準位置A及び第2基準位置Bを結ぶ直線(例:
図3の直線AB)上にない第3の基準位置Cの登録をさらに受付け、ブームトップの位置を、第1基準位置A、第2基準位置B及び第3の基準位置Cを含む対象平面(地面と平行な面であってもよいし、地面から傾いた面であってもよい)を基準とした座標系(以下、「傾きを持ち得る対象面座標系」という場合がある。)内で、第1の実施形態で説明したブームトップの位置を、傾きを持ち得る対象面座標系のXYZ各軸方向に所定量移動させる移動指示を受付ける点で、第1の実施形態と異なる。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0061】
本実施形態の機械装置動作制御装置100の機能ブロック図の一例は、第1の実施形態と同様に
図4で示される。検出部101の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0062】
基準位置情報取得部102は、第1基準位置A及び第2基準位置Bを結ぶ直線AB上にない第3の基準位置Cにブームトップが位置する時のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを基準位置情報としてさらに取得する。第1基準位置A及び第2基準位置Bは第1の実施形態で説明した通りである。
【0063】
オペレータは、前準備において機械装置を動作させ、機械装置のブームトップを例えば
図3に示す第1乃至第3の基準位置A乃至C各々に位置させる。そして、各位置におけるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを基準位置情報として基準位置情報取得部102に取得させ、記憶部105に記憶させる。
【0064】
なお、傾きを持ち得る対象面座標系の各軸方向に所定量分だけ移動させる移動量(スカラ値)を、予め記憶部105に登録させておくと、入力受付部103へは、移動させる量(移動量)を含まない移動方向のみを移動指示として受付けることも可能である。そして、入力受付部103は、傾きを持ち得る対象面座標系の各軸方向に移動させる移動指示を受付けると、当該移動指示を、登録されている移動量だけ各軸方向に移動させる移動指示として扱うことも可能である。
【0065】
算出部104は、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを用いて特定されるブームトップの現在位置と、基準位置情報取得部102が取得した基準位置情報とに基づき、入力受付部103が受付けた移動指示に従った移動後にブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φが取るべき値を算出する。
【0066】
以下、算出方法の一例を説明する。例えば、算出部104は、基準位置情報(第1乃至第3の各々の基準位置A乃至Cにおけるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φ)を用いて、
図8に示したような直交座標系における第1乃至第3の各々の基準位置の座標を算出する。そして、算出部104は、算出した第1基準位置A及び第2基準位置BのZ方向成分を含む座標を用いて第1基準位置Aから第2基準位置Bへ向かうベクトルを算出した後、当該ベクトルを第1基準位置Aと第2基準位置B間のXY平面上の距離で除することで、直線ABの方向ベクトルと平行な単位ベクトルを算出する。直線ABの方向ベクトルと平行な単位ベクトルは、以後「水平面から傾きを持ち得る対象面X軸ベクトル」と定義する。
【0067】
また、算出部104は、第1基準位置A及び第2基準位置Bを結ぶ直線AB上にある点のうち、第3の基準位置Cと結んだ直線が直線ABと直交する点をDとし、この点Dの座標を特定する。その後、算出部104は、第3の基準位置C及び点Dの座標を用いて第3の基準位置Cから点Dへ向かうベクトルを算出した後、当該ベクトルを第3の基準位置Cと点D間の距離で除することで、直線DCの方向ベクトルと平行な単位ベクトルを算出する。直線DCの方向ベクトルと平行な単位ベクトルは、以後「水平面から傾きを持ち得る対象面Y軸ベクトル」と定義する。
【0068】
その後、算出部104は、現在のブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを用いて、直交座標系における現在のブームトップの位置の座標(x
0、y
0、z
0)を算出する。そして、算出部104は、算出した現在位置の座標に、入力受付部103が受付けた移動指示で特定される方向(直線AB又は直線DCと平行な方向)の単位ベクトルに移動指示で特定される移動量(スカラ値)を乗じたベクトルを加えることにより、直交座標系における移動後のブームトップの座標(x
1、y
1、z
1)を算出する。
【0069】
その後、算出部104は、
図8に示すような、直交座標系におけるブームトップの座標(x、y、z)と、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φとの関係式に基づき、移動後のブームトップの座標(x
1、y
1、z
1)となるブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを算出する。
【0070】
機械装置動作制御装置100は、入力受付部103が移動指示を受付けた後、算出部104が算出したブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φとなるように、
図10における各部の比例ソレノイドを作動させるよう出力部106から制御信号を出力して、ブームを制御する。結果、入力受付部103が受付けた移動指示に従ったブームトップの移動が実現される。なお、機械装置動作制御装置100は、伸縮動作、起伏動作及び旋回動作を同時に動作させ、ブームの長さL、ブームの起伏角度θ及びブームの旋回角度φを算出部104による算出結果となるようにしてもよいし、伸縮動作、起伏動作及び旋回動作を任意の順で順次動作させてもよい。
【0071】
以上説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な作用効果が実現される。また、本実施形態によれば、第1乃至第3の基準位置を登録することで、ブームトップを互いに直交する所望の直線と平行に移動を指示(操作)できるようになる。結果、作業効率の向上が期待される。
【0072】
さらに、本実施形態の場合、第1乃至第3の基準位置を登録することで、ブームトップを移動させる平面を設定し、当該平面内でブームトップを上述した直線AB及び直線DCと平行に移動させることができる。このため、例えば橋梁の裏面等のように、地面と平行になっていない面が検査対象であっても、オペレータは、ブームトップを当該面内で移動させる指示(操作)を容易に行うことができる。結果、作業効率の向上が期待される。
【0073】
<第3の実施形態>
本実施形態は、入力受付部103の構成が第1及び第2の実施形態と異なる。その他の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。
【0074】
本実施形態の機械装置動作制御装置100の機能ブロック図の一例は、第1及び第2の実施形態と同様に
図4で示される。検出部101、基準位置情報取得部102及び算出部104の構成は、第1及び第2実施形態と同様である。
【0075】
入力受付部103は、第1モードと第2モードとを有する。第1モードでは、入力受付部103は、操作端末の個々の選択スイッチ毎に対応した、伸縮動作、起伏動作及び旋回動作各々の指示入力を受付ける。第2モードでは、入力受付部103は、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した入力を受付ける。すなわち、第1の実施形態の構成をとる場合、入力受付部103は、一の選択スイッチの操作によってブームトップを「対象面X軸ベクトル」と平行に移動させる入力を受付け、他の選択スイッチ操作によってブームトップを「対象面Y軸ベクトル」と平行に移動させる入力を受付ける。また、第2の実施形態の構成をとる場合、入力受付部103は、一の選択スイッチの操作によってブームトップを「水平面から傾きを持ち得る対象面X軸ベクトル」と平行に移動させる入力を受付け、他の選択スイッチ操作によってブームトップを「水平面から傾きを持ち得る対象面Y軸ベクトル」と平行に移動させる入力を受付ける。さらに、第2モードでは、上記以外の他の選択スイッチの操作によって、ブームトップをZ軸方向等に移動させる入力を受付けてもよい。
【0076】
また、入力受付部103は、第1モード時に、伸縮動作の指示入力の操作対象となる第1操作部材と、起伏動作の指示入力の操作対象となる第2操作部材と、旋回動作の指示入力の操作対象となる第3操作部材とを含む。
【0077】
図9に、入力受付部103が指示入力を受付けるための遠隔操作端末の一例を模式的に示す。
図9に示すように、遠隔操作端末は、モード切換のための押ボタンスイッチを有する。当該スイッチを押下することで、第1モード及び第2モードを切り換えることができる。
【0078】
また、図示する遠隔操作端末は、伸縮動作、起伏動作、旋回動作の指示入力の操作対象となる選択スイッチを有する。さらに例示する機械装置はクレーンであるため、フック巻上下動作指示入力の選択スイッチをも有する。複数の選択スイッチは、各々、図中左から順に、旋回動作、伸縮動作、フック巻上下動作、起伏動作に対応付けられている。選択スイッチはタクトスイッチであり、図中上下方向に倒すことが可能となっている。当該タクトスイッチを所定方向に倒すことで、所定方向への旋回動作、所定方向への伸縮動作、所定方向への巻き上げ動作、所定方向への起伏動作の指示が入力される。
【0079】
入力受付部103は、第2モード時における「対象面X軸ベクトル」又は「水平面から傾きを持ち得る対象面X軸ベクトル」と平行に移動させる指示入力、及び、「対象面Y軸ベクトル」又は「水平面から傾きを持ち得る対象面Y軸ベクトル」と平行に移動させる指示入力の操作対象となる操作部材として、第1操作部材(伸縮動作の指示入力の操作対象)、第2操作部材(起伏動作の指示入力の操作対象)、及び、第3操作部材(旋回動作の指示入力の操作対象)の中のいずれかを使用する。
【0080】
このように、操作部材を2つのモードで併用することで、操作部材の数が多くなり、操作し難くなる不都合を軽減することができる。
【0081】
なお、入力受付部103は、第2モード時の各ベクトル方向(「対象面X軸ベクトル」及び「対象面Y軸ベクトル」、又は、「水平面から傾きを持ち得る対象面X軸ベクトル」及び「水平面から傾きを持ち得る対象面Y軸ベクトル」)と平行に移動させる指示入力の操作対象となる操作部材(第1乃至第3操作部材のいずれか)を予め決定づけても良いし、その時の状況に応じて割り付けてもよい。例えば、伸縮動作・旋回動作など各ベクトルに近似した第1モードの3軸(x軸、y軸、z軸)に対応する操作部材を自動的に選択し、選択した関係となるように制御してもよい。
【0082】
例えば、算出部104は、「対象面X軸ベクトル」及び「対象面Y軸ベクトル」のうち、ブーム旋回角度の初期状態におけるブームの長手方向とのなす角度が小さい方を、伸縮動作に近いベクトルとして特定する。更に、ブームの伸方向又は縮方向が、特定したベクトルの正方向ベクトルに該当するのか、反対向きの負方向ベクトルに該当するのかを特定する。そして、入力受付部103は、第2モード時に、「上記伸縮動作に近いベクトルとして特定された方」に移動させる指示入力の操作対象となる操作部材として、「第1操作部材(伸縮動作の指示入力の操作対象)」を選択することができる。ここでブーム旋回角度の初期状態とは
図3に示すブームが車両の後方を向き、ブームの旋回角度φが0°の状態を表す。
【0083】
なお、上述した処理において、ブームの旋回角度を初期状態とする構成に代えて、「現在のブームの旋回角度φ」とする構成にしてもよい。また、上記では、入力受付部103が、第2モード時に「対象面X軸ベクトル」及び「対象面Y軸ベクトル」と平行に移動させる指示入力を受付ける場合を例にとり説明したが、入力受付部103が、第2モード時に「水平面から傾きを持ち得る対象面X軸ベクトル」及び「水平面から傾きを持ち得る対象面Y軸ベクトル」と平行に移動させる指示入力を受付ける場合も、算出部104は、同様にして、第1操作部材に割り当てる指示入力を選択することができる。
【0084】
このように、算出部104は、オペレータがブームトップを「対象面X軸ベクトル」又は「水平面から傾きを持ち得る対象面X軸ベクトル」と平行に移動させる指示入力、及び、「対象面Y軸ベクトル」又は「水平面から傾きを持ち得る対象面Y軸ベクトル」と平行に移動させる指示入力の操作対象となる操作部材を自動的に適宜選択することで、例えば前日の車両停止位置と異なった場所に停車させて作業開始するような、車両と検査対象などの位置関係が変化した場合でも、オペレータは直感的に、指示内容に対応する操作部材を容易に把握することができる。
【0085】
以下、参考形態の例を付記する。
1. 伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを検出する検出部と、
前記機械装置のブームトップが第1基準位置、及び、第2基準位置各々に位置する時の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを示す基準位置情報を取得する基準位置情報取得部と、
前記基準位置情報を記憶する記憶部と、
前記ブームトップの位置を前記第1基準位置及び前記第2基準位置から定められたx軸、y軸及びz軸で構成される直交座標系の軸方向に所定量移動させる移動指示を受付ける入力受付部と、
前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを用いて特定される前記ブームトップの現在位置と、前記基準位置情報とに基づき、前記移動指示に従った移動後に前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φが取るべき値を算出する算出部と、
前記算出部による算出結果を制御信号として出力する出力部と、
を有する機械装置動作制御装置。
2. 1に記載の機械装置動作制御装置において、
前記基準位置情報取得部は、前記第1基準位置及び前記第2基準位置を結ぶ直線上にない第3基準位置に前記ブームトップが位置する時の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを前記基準位置情報としてさらに取得し、
前記入力受付部は、前記ブームトップの位置を、前記第1基準位置、前記第2基準位置及び前記第3基準位置から定められたx軸、y軸及びz軸で構成される直交座標系の軸方向に所定量移動させる前記移動指示を受付ける機械装置動作制御装置。
3. 2に記載の機械装置動作制御装置において、
前記入力受付部は、
前記伸縮動作、前記起伏動作及び前記旋回動作各々の指示入力を受付ける第1モードと、前記ブームトップを前記直交座標系の軸方向に移動させる指示入力を受付ける第2モードとを有し、
前記第1モード時に、前記伸縮動作の指示入力の操作対象となる第1操作部材と、前記起伏動作の指示入力の操作対象となる第2操作部材と、前記旋回動作の指示入力の操作対象となる第3操作部材とを含み、
前記第2モード時に前記ブームトップを前記直交座標系の軸方向に移動させる指示入力の操作対象となる操作部材として、前記第1操作部材、前記第2操作部材及び前記第3操作部材の中のいずれかを使用する機械装置動作制御装置。
4. 3に記載の機械装置動作制御装置において、
前記算出部は、前記直交座標系の軸方向のうち、ブーム旋回角度φの初期状態におけるブーム長手方向とのなす角度が小さい軸方向を、伸縮動作に近い移動方向として特定し、
前記入力受付部は、第2モード時に、伸縮動作に近い移動方向として特定された方向に移動させる指示入力の操作対象となる操作部材として、前記第1操作部材を選択する機械装置動作制御装置。
5. 1から4のいずれかに記載の機械装置動作制御装置において、
前記記憶部は、前記ブームトップの位置を所定量移動させる前記移動指示における移動量を予め記憶しており、
前記入力受付部は、移動方向を含み、移動量を含まない前記移動指示を、入力された移動方向に、前記記憶部が記憶する移動量だけ移動させる前記移動指示として受付ける機械装置動作制御装置。
6. 5に記載の機械装置動作制御装置において、
前記算出部は、
前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φに基づき、前記機械装置のブームトップの現在位置を、所定の座標系の座標で特定し、
前記移動指示で特定される前記移動方向の単位ベクトルに前記記憶部が記憶する前記移動量を乗じたベクトルを、現在位置を示す前記座標に加えることにより、移動後の前記機械装置のブームトップの位置を算出する機械装置動作制御装置。
7. コンピュータが、
伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを検出する検出工程と、
前記機械装置のブームトップが第1基準位置、及び、第2基準位置各々に位置する時の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを示す基準位置情報を取得する基準位置情報取得工程と、
前記基準位置情報を記憶部に記憶させる記憶工程と、
前記ブームトップの位置を前記第1基準位置及び前記第2基準位置から定められたx軸、y軸及びz軸で構成される直交座標系の軸方向に所定量移動させる移動指示を受付ける入力受付工程と、
前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを用いて特定される前記ブームトップの現在位置と、前記基準位置情報とに基づき、前記移動指示に従った移動後に前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φが取るべき値を算出する算出工程と、
前記算出工程における算出結果を制御信号として出力する出力工程と、
を実行する機械装置動作制御方法。
8. コンピュータを、
伸縮動作、起伏動作及び旋回動作が可能なブームを備える機械装置の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを検出する検出手段、
前記機械装置のブームトップが第1基準位置、及び、第2基準位置各々に位置する時の前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを示す基準位置情報を取得する基準位置情報取得手段、
前記基準位置情報を記憶する記憶手段、
前記ブームトップの位置を前記第1基準位置及び前記第2基準位置から定められたx軸、y軸及びz軸で構成される直交座標系の軸方向に所定量移動させる移動指示を受付ける入力受付手段、
前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φを用いて特定される前記ブームトップの現在位置と、前記基準位置情報とに基づき、前記移動指示に従った移動後に前記ブームの長さL、前記ブームの起伏角度θ及び前記ブームの旋回角度φが取るべき値を算出する算出手段、
前記算出手段による算出結果を制御信号として出力する出力手段、
として機能させるプログラム。