特許第6600531号(P6600531)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6600531無同調高周波加速空胴、加速器および無同調高周波加速空胴のインピーダンス調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6600531
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】無同調高周波加速空胴、加速器および無同調高周波加速空胴のインピーダンス調整方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 13/04 20060101AFI20191021BHJP
   H05H 7/18 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   H05H13/04 D
   H05H7/18
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-211064(P2015-211064)
(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公開番号】特開2017-84574(P2017-84574A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】天野 沙紀
(72)【発明者】
【氏名】田島 裕二郎
(72)【発明者】
【氏名】長内 昭宏
【審査官】 藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−273898(JP,A)
【文献】 特開2001−126900(JP,A)
【文献】 特開平09−167699(JP,A)
【文献】 特開平09−161997(JP,A)
【文献】 米国特許第5917293(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 3/00−15/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を荷電粒子が通過する導電性の第1真空ダクトと、
前記第1真空ダクトの一端に接続され、内部に前記荷電粒子を加速する電場が発生する絶縁性の第2真空ダクトと、
一端において前記第1真空ダクトに垂直に接続された内導体と、
前記内導体を囲む環状の磁性体コアと、
前記第1および第2真空ダクトと、前記内導体と、前記磁性体コアとを囲む導電性の筐体と、を備える無同調高周波加速空胴。
【請求項2】
前記磁性体コアは、周方向において複数に分割された請求項1に記載の無同調高周波加速空胴。
【請求項3】
前記内導体は、金属ダクトである請求項1または2に記載の無同調高周波加速空胴。
【請求項4】
前記内導体は、金属棒である請求項1または2に記載の無同調高周波加速空胴。
【請求項5】
前記内導体は、前記第2真空ダクト上の対称点を中心とした点対称の位置関係または前記第2真空ダクトに対して鏡像対称の位置関係を有するように複数配置された請求項1〜4のいずれか1項に記載の無同調高周波加速空胴。
【請求項6】
前記内導体の内部は、前記第1真空ダクトの内部に連通され、
前記無同調高周波加速空胴は、前記内導体の他端側に配置された排気装置を備える請求項3に記載の無同調高周波加速空胴。
【請求項7】
無同調高周波加速空胴を備えた加速器であって、
前記無同調高周波加速空胴は、
内部を荷電粒子が通過する導電性の第1真空ダクトと、
前記第1真空ダクトの一端に接続され、内部に前記荷電粒子を加速する電場が発生する絶縁性の第2真空ダクトと、
一端において前記第1真空ダクトに垂直に接続された内導体と、
前記内導体を囲む環状の磁性体コアと、
前記第1および第2真空ダクトと、前記内導体と、前記磁性体コアとを囲む導電性の筐体と、を備える加速器。
【請求項8】
無同調高周波加速空胴のインピーダンス調整方法であって、
内部を荷電粒子が通過する導電性の第1真空ダクトと、
前記第1真空ダクトの一端に接続され、内部に前記荷電粒子を加速する電場が発生する絶縁性の第2真空ダクトと、
一端において前記第1真空ダクトに垂直に接続された内導体と、
前記内導体を囲む環状の磁性体コアと、
前記第1および第2真空ダクトと、前記内導体と、前記磁性体コアとを囲む導電性の筐体と、を備える無同調高周波加速空胴において、前記内導体の外径を調整することを含むインピーダンス調整方法。
【請求項9】
無同調高周波加速空胴のインピーダンス調整方法であって、
内部を荷電粒子が通過する導電性の第1真空ダクトと、
前記第1真空ダクトの一端に接続され、内部に前記荷電粒子を加速する電場が発生する絶縁性の第2真空ダクトと、
一端において前記第1真空ダクトに垂直に接続された内導体と、
前記内導体を囲む環状の磁性体コアと、
前記第1および第2真空ダクトと、前記内導体と、前記磁性体コアとを囲む導電性の筐体と、を備える無同調高周波加速空胴において、前記磁性体コアの内径を調整することを含むインピーダンス調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、無同調高周波加速空胴、加速器および無同調高周波加速空胴のインピーダンス調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無同調高周波加速空胴は、円盤状の磁性体コアと、磁性体コアの中心を貫通する金属ダクトすなわち内導体と、加速ギャップを有するセラミックダクトと、これら磁性体コア、金属ダクトおよびセラミックダクトを囲む筐体すなわち外導体とを備える。このような構成を有する無同調高周波加速空胴は、加速ギャップに発生する高周波電場でビームすなわち荷電粒子を加速する。磁性体コアにバイアス電流を印加することで入力高周波の変動に応じた共振周波数の制御を行う同調高周波加速空胴とは異なり、広帯域幅の高周波特性を有する磁性体コアを備えた無同調高周波加速空胴では、バイアス電流を印加する機構が省略されている。このため、無同調高周波加速空胴は、同調高周波加速空胴よりも高周波加速システムが簡略化できる。
【0003】
しかしながら、従来の無同調高周波加速空胴においては、ビームライン上に磁性体コアが配置されていた。このため、磁性体コアを交換する際には、ダクト内の真空を破ったうえで磁性体コアを交換し、磁性体コアの交換後にダクト内を再排気する必要があった。したがって、従来の無同調高周波加速空胴には、磁性体コアの設置作業が困難であるといった問題があった。また、従来の無同調高周波加速空胴は、ビームライン上で隣接する他の機器によって空間的な制約が課されていた。したがって、従来の無同調高周波加速空胴には、磁性体コアの枚数や厚さ等の磁性体コアの選択の自由度を向上させることが困難であるといった問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3054712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、磁性体コアの設置作業を簡便化し、かつ、磁性体コアの選択の自由度を向上させることが可能な無同調高周波加速空胴、加速器および無同調高周波加速空胴の調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による無同調高周波加速空胴は、
内部を荷電粒子が通過する導電性の第1真空ダクトと、
内部に前記荷電粒子を加速する電場が発生する絶縁性の第2真空ダクトと、
一端において前記第1真空ダクトに垂直に接続された内導体と、
前記内導体を囲む環状の磁性体コアと、
前記第1および第2真空ダクトと、前記内導体と、前記磁性体コアとを囲む導電性の筐体と、を備える。
【0007】
本実施形態による加速器は、
無同調高周波加速空胴を備えた加速器であって、
前記無同調高周波加速空胴は、
内部を荷電粒子が通過する導電性の第1真空ダクトと、
内部に前記荷電粒子を加速する電場が発生する絶縁性の第2真空ダクトと、
一端において前記第1真空ダクトに垂直に接続された内導体と、
前記内導体を囲む環状の磁性体コアと、
前記第1および第2真空ダクトと、前記内導体と、前記磁性体コアとを囲む導電性の筐体と、を備える。
【0008】
本実施形態による無同調高周波加速空胴のインピーダンス調整方法は、
無同調高周波加速空胴のインピーダンス調整方法であって、
内部を荷電粒子が通過する導電性の第1真空ダクトと、
内部に前記荷電粒子を加速する電場が発生する絶縁性の第2真空ダクトと、
一端において前記第1真空ダクトに垂直に接続された内導体と、
前記内導体を囲む環状の磁性体コアと、
前記第1および第2真空ダクトと、前記内導体と、前記磁性体コアとを囲む導電性の筐体と、を備える無同調高周波加速空胴において、前記内導体の外径を調整することを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、磁性体コアの設置作業を簡便化することができ、かつ、磁性体コアの選択の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、第1の実施形態を示す無同調高周波加速空胴の断面図であり、図1Bは、磁性体コアを図1AのIB−IB断面で切断した断面図である。
図2】第2の実施形態を示す磁性体コアの断面図である。
図3】第3の実施形態を示す無同調高周波加速空胴の断面図である。
図4】第4の実施形態を示す無同調高周波加速空胴の断面図である。
図5図5Aは、第5の実施形態を示す無同調高周波加速空胴のインピーダンス調整方法において、調整前の加速空胴を示す断面図であり、図5Bは、インピーダンス増加後の加速空胴を示す断面図であり、図5Cは、インピーダンス減少後の加速空胴を示す断面図である。
図6図6Aは、第6の実施形態を示す無同調高周波加速空胴のインピーダンス調整方法において、調整前の加速空胴を示す断面図であり、図6Bは、インピーダンス増加後の加速空胴を示す断面図であり、図6Cは、インピーダンス減少後の加速空胴を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態として、1つの内導体と周方向に連続した磁性体コアとを備えた無同調高周波加速空胴について説明する。図1Aは、第1の実施形態を示す無同調高周波加速空胴1の断面図である。図1Bは、磁性体コア14を図1AのIB−IB断面で切断した断面図である。
【0013】
第1の実施形態の無同調高周波加速空胴1は、シンクロトロン加速器などの円形加速器に用いることができる。図1Aに示すように、第1の実施形態の無同調高周波加速空胴1は、第1真空ダクト11と、第2真空ダクト12と、内導体13と、磁性体コア14と、筐体15すなわち外導体とを備える。第1真空ダクト11と筐体15との間には、高周波電源2が接続されている。
【0014】
第1真空ダクト11は、ビームラインすなわちビーム軸10に沿った筒形状を有している。また、第1真空ダクト11は、導電性を有するように金属で形成されている。第1真空ダクト11の内部には、真空状態においてビーム軸10に沿って荷電粒子すなわちビームが通過する。
【0015】
第2真空ダクト12は、第1真空ダクト11の一端に接続され、ビームラインに沿った筒形状を有している。また、第2真空ダクト12は、内部に加速ギャップ121を有している。また、第2真空ダクト12は、絶縁性を有するようにセラミックで形成されている。第1真空ダクト11と筐体15との間に高周波電源2による高周波電力が印加されることで、加速ギャップ121には、高周波の加速電場が発生する。加速電場により、第1真空ダクト11を通過する荷電粒子は加速される。
【0016】
内導体13は、その一端において第1真空ダクト11に垂直に接続されている。より具体的には、内導体13は、不図示のフランジやネジなどの固定部材によって第1真空ダクト11に着脱可能に接続されている。なお、図1Aにおいて、内導体13は、ビームラインに直交する方向に延びる円筒形状の金属ダクト(すなわち、金属パイプ)であるが、内導体13として金属ダクトの代わりに金属棒を採用してもよい。
【0017】
磁性体コア14は、内導体13の外周面を包囲するように内導体13の延伸方向に沿って複数配置されている。図1Bに示すように、磁性体コア14は、周方向に連続した円環形状を有する。第1真空ダクト11と筐体15との間に高周波電源2による高周波電力が印加されることで、内導体13には、磁性体コア14を貫通するように電流が流れる。この電流により、磁性体コア14の内部には、内導体13の外周面に巻き付く方向の磁場が誘起されると共に、加速ギャップ121に加速電場が形成される。また、透磁率の高い磁性体コア14を設けることで光路長を長くし、内導体13の長さを抑制している。
【0018】
筐体15は、第1真空ダクト11と、第2真空ダクト12と、内導体13と、磁性体コア14とを囲んでいる。筐体15は、導電性を有するように金属で形成されている。また、筐体15は接地されている。
【0019】
なお、第1真空ダクト11および第2真空ダクト12には、ビームライン上において他の真空ダクト3や電磁石4(例えば、四極電磁石や偏向電磁石)などの無同調高周波加速空胴1以外の加速器の構成部が接続されている。
【0020】
以上の構成を有する第1の実施形態の無同調高周波加速空胴1において、磁性体コア14は、ビームラインから逸脱した内導体13の外周に設置される。これにより、第1真空ダクト11内の真空状態を破ることなく磁性体コア14を容易に設置できる。また、内導体13の外周に設置されるため、磁性体コア14は、ビームライン上に隣接する他の機器による空間的な制約を受けない。これにより、ビームライン上に磁性体コアを設置する場合と比べて、磁性体コア14の枚数や厚さを自由に選択できる。また、第2真空ダクト12を磁性体コア14に貫通させずに無同調高周波加速空胴1を輸送できるため、セラミック製の第2真空ダクト12の破損のリスクを低減できる。
【0021】
したがって、第1の実施形態によれば、磁性体コア14の設置作業を簡便化することができ、かつ、磁性体コア14の選択の自由度を向上させることができ、かつ、第2真空ダクト12の破損を抑制できる。
【0022】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、磁性体コア14が周方向に分割された無同調高周波加速空胴1について説明する。第2の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図2は、第2の実施形態を示す磁性体コア14の断面図である。図2は、図1Bに対応する断面図である。
【0023】
図2に示すように、第2の実施形態の磁性体コア14は、周方向において2つのコア部141、142に等分されている。なお、磁性体コア14の分割数は2つに限定されず、例えば、磁性体コア14を3つ以上のコア部に分割してもよい。
【0024】
第2の実施形態の無同調高周波加速空胴1によれば、コア部141、142間の間隙を調整することで、磁性体コア14の磁気抵抗を調整できる。これにより、共振周波数に対する半値幅の比であるQ値を簡便に所望の値にすることができる。
【0025】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態として、第2真空ダクト12に対して対称の位置関係を有する複数の内導体13を備えた無同調高周波加速空胴1について説明する。第3の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図3は、第3の実施形態を示す無同調高周波加速空胴1の断面図である。
【0026】
図3に示すように、第3の実施形態の無同調高周波加速空胴1は、第2真空ダクト12上の対称点pを中心とした点対称の位置関係を有する2つの内導体13を備える。各内導体13は、ビームライン方向において第2真空ダクト12を挟むように配置された2つの第1真空ダクト11にそれぞれ接続されている。各内導体13の外周には、複数の磁性体コア14が配置されている。
【0027】
第3の実施形態において、高周波電源2は、2つの第1真空ダクト11に対応するように2つ設けられている。なお、高周波電源2を2つ設ける代わりに、1つの高周波電源2の高周波電力を分配器で2つに分配してもよい。
【0028】
なお、第2真空ダクト12に対して鏡像対称の位置関係を有するように2つの内導体13を配置してもよいが、ビームライン方向のスペースを抑制する場合には、点対称の位置関係を有するように各内導体13を配置することが好ましい。
【0029】
第3の実施形態の無同調高周波加速空胴1によれば、各第1真空ダクト11に互いに逆位相の高周波電力を印加することで、第1の実施形態と比べて、高周波電圧Vの二乗を電力損失Pの2倍で除したシャントインピーダンスV/2Pの値を2倍に増加できる。これにより、第1の実施形態よりも高い加速電圧を得ることが可能となる。
【0030】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態として、排気装置を備えた無同調高周波加速空胴1について説明する。第4の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図4は、第4の実施形態を示す無同調高周波加速空胴1の断面図である。図4では、高周波電源2の図示を省略している。
【0031】
図4に示すように、第4の実施形態の無同調高周波加速空胴1は、第1真空ダクト11に接続された内導体13の一端に相反する内導体13の他端側に、排気装置17を備える。また、内導体13の内部は、第1真空ダクト11を含む加速器のダクトの内部に連通している。排気装置17は、内導体13を通して加速器のダクト内を排気する。
【0032】
第4の実施形態の無同調高周波加速空胴1によれば、ビームラインから逸脱した内導体13の端部に排気装置17を設置することで、ビームライン上に排気装置を設置する場合と比べてビームライン上のスペースを有効利用できる。
【0033】
なお、第3の実施形態に示したように内導体13を複数設ける場合、各内導体13に対応するように排気装置17を複数設けてもよい。
【0034】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態として、内導体の外径に基づく無同調高周波加速空胴のインピーダンス調整方法について説明する。第5の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図5Aは、第5の実施形態を示す無同調高周波加速空胴1のインピーダンス調整方法において、インピーダンス調整前の無同調高周波加速空胴1を示す断面図である。図5Bは、インピーダンス増加後の無同調高周波加速空胴1を示す断面図である。図5Cは、インピーダンス減少後の無同調高周波加速空胴1を示す断面図である。
【0035】
内導体13がビームライン上から逸脱した位置に配置されていることで、無同調高周波加速空胴1においては、内導体13を容易に変更することで、内導体13と磁性体コア14との間隔を容易に調整できる。内導体13と磁性体コア14との間隔を容易に調整できることで、無同調高周波加速空胴1のインピーダンスを容易に調整できる。例えば、図5Bに示すように、図5Aの無同調高周波加速空胴1の内導体13を、これよりも外径が大きい内導体13に変更する(付け替える)ことで、インピーダンスを容易に増加できる。逆に、図5Cに示すように、図5Aの無同調高周波加速空胴1の内導体13を、これよりも外径が小さい内導体13に変更することで、インピーダンスを容易に減少できる。なお、内導体13として金属棒を用いる場合、金属棒を加工することで内導体13の外径を減少させてもよい。
【0036】
第5の実施形態によれば、所望する性能に応じて無同調高周波加速空胴1のインピーダンスを容易に調整できる。
【0037】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態として、内導体の外径および磁性体コアの内径に基づく無同調高周波加速空胴のインピーダンス調整方法について説明する。第6の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図6Aは、第6の実施形態を示す無同調高周波加速空胴1のインピーダンス調整方法において、インピーダンス調整前の無同調高周波加速空胴1を示す断面図である。図6Bは、インピーダンス増加後の無同調高周波加速空胴1を示す断面図である。図6Cは、インピーダンス減少後の無同調高周波加速空胴1を示す断面図である。
【0038】
第6の実施形態においては、例えば、図6Bに示すように、図6Aの内導体13を、これよりも外径が大きい内導体13に変更し、図6Aの磁性体コア14を、これよりも内径が小さい磁性体コア14に変更することで、インピーダンスを容易に増加できる。逆に、図6Cに示すように、図6Aの内導体13を、これよりも外径が小さい内導体13に変更し、図6Aの磁性体コア14を、これよりも内径が大きい磁性体コア14に変更することで、インピーダンスを容易に減少できる。
【0039】
第6の実施形態においても、第5の実施形態と同様に、所望する性能に応じて無同調高周波加速空胴1のインピーダンスを容易に調整できる。
【0040】
なお、内導体13の外径を一定としたまま磁性体コア14の内径を変更することでインピーダンスを調整してもよい。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 無同調高周波加速空胴
11 第1真空ダクト
12 第2真空ダクト
13 内導体
14 磁性体コア
15 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6