(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記管理データには、未入金残額と、テナントに対応する取引先コードであるテナントコードと、テナントの名寄せ先に対応する取引先コードである名寄せコードと、が複数格納されており、
前記判定手段は、名寄せコードが同じ未入金残額を比較対象額の基とすること、
を特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の入金管理システム。
前記管理データには、未入金残額と、テナントに対応する取引先コードであるテナントコードと、テナントの名寄せ先に対応する取引先コードである名寄せコードと、が複数格納されており、
前記消込手段は、名寄せコードが同じ未入金残額を消込対象とすること、
を特徴とする請求項7又は8に記載の入金管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0019】
[1.概要]
不動産賃貸管理業務において、賃貸物件のオーナー会社とテナントとの間にビル管理会社が存在し、テナントから集金した賃料がビル管理会社からオーナー会社に一括で振り込まれてくる場合がある。具体的には、賃料の請求先は各テナントだが、この請求に対する入金は、ビル管理会社1本で銀行から振り込まれる場合がある。
そして、この場合、オーナー会社側では、ビル管理会社からの入金について、自動消込せずに人の判断で(手動で)消込登録する必要があり、その結果、消込業務に多くの時間が掛かっていた。
一方、請求先を各テナントでなくビル管理会社に設定すれば、オーナー会社側で自動消込することは可能だが、このような設定をすると、オーナー会社側で各テナントの収益把握をすることができなくなってしまう。
そして、これまで、入金消込業務の自動化と各テナントの収益把握という2つの要件を同時に満たす合理的な手法が存在しなかった。
そこで、ビル管理会社からの一括入金に対する自動消込に関する本実施形態では、ビル管理会社のコードを“まとめ入金先”としてマスタに設定しておくことで、請求先を各テナントとして設定した場合でも、オーナー会社側で、ビル管理会社からの一括入金に対する自動消込と各テナントの収益把握を両立できるようにしている。
【0020】
また、本実施形態において、ビル管理会社からの入金がオーナー会社からの各テナントへの請求と合致していれば自動消込は行われるが、合致しなかったとき(入金総額≠請求総額)に自動消込は行われずに手動消込を要求する(例えば、1棟のビルのうち1テナントだけ入金が滞ったことが原因で「入金総額≠請求総額」という状況が発生したときに、入金を行ったテナントを含む全テナントについて手動消込を要求する)のでは、オーナー会社に「結局のところ、手動消込で対応していたこれまでと作業効率の点で然程の進展がない」と認識されることが想定される。
そこで、本実施形態では、以下の手順を実装することで、「入金総額≠請求総額」という状況が発生した場合における入金消込がより便利に実施できるようにしている。具体的には、オーナー会社において、全テナント分について手動消込を行うよりも大幅な作業削減が見込まれる。なお、ビル管理会社においては、多少の作業が求められることになるものの、入金詳細の報告を最終的にオーナー会社に行う必要がある実情を踏まえれば、この追加の作業により大きな負担増にはならない。また、ビル管理会社においては、オーナー会社はお客様であるが、求められる作業はオーナー会社の作業負担を削減することに寄与するものなので、オーナー会社の顧客満足を上げることが期待出来る。
[手順1]オーナー会社のPCは、「入金総額≠請求総額」(アンマッチ)だった場合に、該当するビルの全請求データ(明細レベル)を出力する。
[手順2]オーナー会社のPCは、手順1で出力された全請求データをビル管理会社に対して送付する。
[手順3]ビル管理会社のPCは、受け取った請求データに対して、どのテナントのどの費用項目分が入金されたのかをチェックさせ、そして、担当者は、チェックした結果を請求データに追加入力する。なお、ビル管理会社側では、一般的に、どのテナントのどの費用項目分が入金されたかを把握できている。
[手順4]ビル管理会社のPCは、手順3で追加入力が済んだ請求データをオーナー会社のPCに送付する。
[手順5]オーナー会社のPCは、手順4で送付された請求データを受け取り、データ取り込みを行う。
[手順6]オーナー会社のPCは、取り込んだデータのうち、最初に取り込んだアンマッチとなってしまった入金データと実際に入金があった請求データ(ビル管理会社にチェックを付けて貰った請求データ)とを比較して、金額が合致すれば自動入金消込を行う。
[手順7]手順6においてもアンマッチとなるような場合は、特殊な入金(もしくは請求)だと考えられるので、オーナー会社のPCは、手動入金消込の実施を要求する。なお、ほとんどの場合、手順6までで自動入金消込が実施出来る。
【0021】
ここで、
図1を参照して、本実施形態の処理概要について説明する。
図1は、入金処理の一例を示す図である。オーナー会社のコンピュータに導入されている本実施形態に係るシステムは、EB(Electronic Banking)入金データ取込機能、入金登録機能、自動入金消込機能、及び入金消込登録機能を有している。EB入金データ取込機能は、銀行(具体的には銀行におけるビル管理会社の口座)からEBシステムを介して入金データファイル(例えば、全銀協のフォーマット(振込入金通知)を使用したもの)を取り込む機能である。システムは、入金関係の帳票として、例えば、入金登録チェックリスト、入金未消込リスト、入金消込リスト及び入金予定表などを出力することが可能である。ここで、入金登録チェックリストは、入金登録機能やEB入金データ取込機能で作った入金データをチェックするための帳票である。入金未消込リストは、請求データとの消込がされていない入金データを確認するための帳票である(入金額の残や自動消込のアンマッチ理由なども確認できる)。入金消込リストは、消込した入金データと請求データを確認するための帳票である。入金予定表は、消込されていない請求データを確認する帳票である。
そして、システムは、登録されたEB入金データに基づいて、ビル管理会社からの賃貸物件のEB入金データと賃貸物件のテナントへの請求データとが一致するか否か判定(マッチング)を行う。そして、システムは、一致すると判定された場合、自動入金消込処理を行い、且つ、入金消込登録を行う。
このように、本実施形態においては、入金消込登録や自動入金登録といった機能を特徴としている。これら機能を作った背景として、「同一物件で管理会社等からオーナーに一括して入金があるケースが多く、オーナー側においてテナント単位での消込が難しかった」ことが挙げられる。また、任意組合からの入金の場合も、これと同様であった(この場合のテナントは、仮想テナントで、かつ、管理が差し引かれている)。
ここで、入金消込登録の機能では、取引先(請求先)コードを絞っての消込を標準としているが、この標準では、同一物件で管理会社等から一括して入金がある上記ケースのとき、1入金に対してテナント数分の呼出しを行って入金消込を行う必要があるので、手間が掛かることが想定される。そこで、入金消込登録の機能では、物件コードを絞って請求先を跨いでの消込も可能としている。
また、自動入金消込の機能では、異なる請求先CDで振込カナ名が一致したときはカナ名重複エラーとすることを標準としているが、この標準では、1入金に複数テナント分の金額が合算で振込まれたとき、自動消込での判断が不可となるので、全て手動消込対象となってしまい手間が掛かることが想定される。そこで、自動入金消込の機能では、「請求先CDが異なる同一振込カナ名」の請求データを名寄せして、出来る限り自動消込を可能としている。
【0022】
[2.構成]
本実施形態に係る入金管理システムの構成の一例について、
図2を参照して説明する。
図2は、オーナー会社側の入金管理装置100と、ビル管理会社側の賃貸物件管理装置400と、を通信可能に接続した入金管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
[入金管理装置100の構成]
入金管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、入金管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0024】
入金管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。入金管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0025】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、入金管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、入金管理装置100と他の装置(例えば、サーバ200、賃貸物件管理装置400、各テナントの端末装置、および/または、EBシステム等)とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、サーバ200は、一般に市販されるワークステーション、または、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置であってもよい。また、サーバ200の各機能は、サーバ200のハードウェア構成中のCPU、ディスク装置、メモリ装置、入力装置、出力装置、通信制御装置等およびそれらを制御するプログラム等により実現される。なお、後述する請求データファイル、入金データファイルおよび入金チェックリストデータなどをサーバ200に保管してもよい。この場合、入金管理装置100は、サーバ200から必要なデータを適宜取得してもよい。
【0026】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、請求データファイル106a(本発明の管理データに相当)と入金データファイル106b(本発明の入金データに相当)とを備えている。なお、上述した入金関係の帳票に関するデータは記憶部106に記憶されてもよい。
【0027】
請求データファイル106aは、テナントへの請求額に対する未入金残額などをビル単位で記憶するファイルである。ここで、請求データファイル106aは、例えば、賃貸物件の名称、テナントへ発行した請求書の識別番号、テナントへの請求額、当該請求額から消し込まれた額である消込済額、及び当該請求額に対し入金されていない額である未入金残額などに関するデータを格納可能なものであってもよい。また、請求データファイル106aは、例えば、入金予定日、請求書の識別番号、当該請求書に含まれる請求項目の行番号、当該請求項目、請求額、消込済額、及び未入金残額などに関するデータを格納可能なものであってもよい。また、請求データファイル106aは、例えば、賃貸物件の名称、請求書の識別番号、請求額、消込済額、未入金残額、テナントの識別コード、当該テナントの名称、当該テナントの読み仮名、及び当該テナントの名寄せ先の識別コードなどのデータを格納可能なものであってもよい。
【0028】
入金データファイル106bは、複数の賃貸物件を含むビルに含まれる賃貸物件のテナントからの入金額に基づく当該ビル単位の入金総額を記憶するファイルである。ここで、入金データファイル106bは、例えば、ビル単位の入金総額などに関するデータを格納可能なものであってもよい。また、入金データファイル106bは、例えば、代表となる請求先(名寄せ先)の読み仮名及び入金総額などに関するデータを格納可能なものであってもよい。なお、入金データファイル106bは、例えば、全銀協のフォーマット(振込入金通知)を使用したものであってもよい。
【0029】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0030】
制御部102は、入金管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、入金判定部102a(本発明の判定手段に相当)とリストデータ作成部102b(本発明の提供手段に相当)と入金消込部102c(本発明の消込手段に相当)とを備えている。
【0031】
入金判定部102aは、請求データファイル106a及び入金データファイル106bに基づいて、未入金残額に基づく比較対象額と入金総額が一致するか否かの判定を行う。ここで、比較対象額として、例えば、未入金残額の総額を設定してもよい。また、比較対象額として、例えば、請求額と同じ未入金残額(換言すると、一度も消込が行われてない未入金残額)の総額を設定してもよい。また、比較対象額として、例えば、請求額と同じで且つ同じ賃貸物件の未入金残額の総額を設定してもよい。また、比較対象額として、例えば、請求額と同じ未入金残額を設定してもよい(この設定を採用する場合、「一致する」と判定されればその時点で処理を終了してもよい)。
また、後述する入金消込部102cで所定の消込優先順による消込処理が行われる場合には、入金判定部102aは、請求データファイル106aから未入金残額を所定の消込優先順に従って1つずつ指定しながら、当該指定を行う毎に、これまでに指定された未入金残額の総額を比較対象額として設定して当該比較対象額が入金総額を超えるか否かを判定してもよい。また、同場合には、入金判定部102aは、(1)入金総額を所定の変数に初期値としてセットし、(2)請求データファイル106aから未入金残額を所定の消込優先順に従って一つずつ指定しながら、当該指定を行う度に、指定された未入金残額を比較対象額として当該比較対象額が当該変数で特定される額以下であるか否かを判定し、「以下である」と判定されたときは当該変数で特定される額から当該比較対象額の基となった未入金残額を減算して当該変数を更新し、(3)「以下でない」と判定されるまで当該判定及び当該更新を繰り返してもよい。なお、所定の消込優先順は、例えば取引先毎に定められた消込の優先順序に関するものであり、例えば入金予定日や請求書No、行No、物件コード、管理項目コードなどの昇順又は降順や管理項目の印字順などを基準として設定された順序に関するものであってもよい。
また、入金判定部102aは、名寄せコード(名寄せ先の識別コード)が同じ未入金残額を比較対象額の基として、上述した処理を行ってもよい。
入金判定部102aが実施する処理の具体例については、以下の[3.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0032】
リストデータ作成部102bは、請求データファイル106a等に基づいて、賃貸物件についての入金チェックリストデータを作成し、作成した入金チェックリストデータを賃貸物件管理装置400に送信する。ここで、入金チェックリストデータは、ビルの識別コード、ビルの名称、テナントの識別コード、テナントの名称、請求に係る費目のコード、当該費目の名称、当該費目のテナントへの請求額、テナントへ発行した請求書の発行日、入金予定日、及び入金済みかのチェック結果(例えば、入金済みであることを意味する予め定義した所定の番号(例えば1など)など)などのデータを格納可能なものであってもよい。リストデータ作成部102bが実施する処理の具体例については、以下の[3.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0033】
入金消込部102cは、請求データファイル106aに格納されている未入金残額について入金消込処理を行う。
なお、入金消込部102cは、入金済みかのチェック結果が反映されている賃貸物件管理装置400から送信された入金チェックリストデータに基づいて、入金消込処理を行ってもよい。
また、入金消込部102cは、入金判定部102aにより「一致する」と判定された場合、入金消込処理を行ってもよい。具体的には、入金消込部102cは、当該判定のときに用いられた比較対象額の基となった全ての未入金残額の消込処理を行ってもよい。また、入金消込部102cは、当該判定のときに用いられた比較対象額の基となった未入金残額の消込処理を行ってもよい。
また、入金消込部102cは、所定の消込優先順に従って、入金総額を上限として未入金残額の消込処理を行ってもよい。例えば、入金判定部102aにより「超える」と判定された場合、入金消込部102cは、当該判定の直前の判定のときに用いられた比較対象額の基となった全ての未入金残額の消込処理を行ってもよい。また、入金判定部102aにより「以下である」と判定された場合、入金消込部102cは、当該判定のときに用いられた比較対象額の基となった未入金残額の消込処理を行ってもよい。また、入金消込部102cは、上限を超える原因となる未入金残額があるときは、当該未入金残額の一部の消込処理を行ってもよい。例えば、入金判定部102aにより「超える」と判定された場合、入金消込部102cは、当該判定の原因となった未入金残額の一部の消込処理を行ってもよい。また、入金判定部102aにより「以下でない」と判定された場合、入金消込部102cは、当該判定のときに用いられた比較対象額の基となった未入金残額の一部の消込処理を行ってもよい。なお、これらの一部消込処理については、例えば、この処理の実行を制御するためのフラグとしての数値(1:実行しない、2:実行する)を消込単位で記憶する所定のマスタを参照して、その実行を制御してもよい。
また、入金消込部102cは、名寄せコード(名寄せ先の識別コード)が同じ未入金残額を消込対象として、上述した処理を行ってもよい。
入金消込部102cが実施する処理の具体例については、以下の[3.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0034】
[賃貸物件管理装置400の構成]
賃貸物件管理装置400は、一般に市販されるワークステーションまたはパーソナルコンピュータ等の情報処理装置であってもよい。
【0035】
賃貸物件管理装置400は、制御部402と通信インターフェース部404と記憶部406と入力装置112及び出力装置114が接続されている入出力インターフェース部408と、を備えている。賃貸物件管理装置400が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0036】
通信インターフェース部404は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、賃貸物件管理装置400をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部404は、他の装置(例えば、サーバ200、入金管理装置100、各テナントの端末装置、および/または、EBシステム等)と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。
【0037】
記憶部406には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部406には、OSと協働してCPUに命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部406として、例えば、RAM・ROM等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。記憶部406は、入金データファイル406aを備えている。なお、入金データファイル406aの説明については、上述した入金データファイル106bと重複するので省略する。記憶部406は、入金管理装置100から送信された入金チェックリストデータを記憶してもよい。
【0038】
入出力インターフェース部408には、入力装置412及び出力装置414が接続されている。出力装置414には、モニタの他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置412には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
【0039】
制御部402は、賃貸物件管理装置400を統括的に制御するCPU等である。制御部402は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部402は、機能概念的に、チェック部402a(本発明のチェック手段に相当)を備えている。
【0040】
チェック部402aは、入金管理装置100から送信された入金チェックリストデータを出力装置414に表示させることにより、ビル管理会社の担当者に各テナントの入金チェックを行わせ、テナントの入金チェックが完了した入金チェックリストデータを入金管理装置100に送信する。チェック部402aが実施する処理の具体例については、以下の[3.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0041】
[3.処理の具体例]
本実施形態で行われる処理の具体例について、
図3から
図17を参照して説明する。
【0042】
ここで、
図3から
図9を参照して、金額アンマッチ(入金総額≠請求総額)だった場合における入金消込処理の一例について説明する。
図3、
図4、
図5、
図8、および、
図9は、入金消込処理の一例を示す図である。
【0043】
まず、
図3に示すように、ビルオーナーは、ビルの各テナント(テナントA、テナントB、テナントCおよびテナントD)に対して、請求を行う(ステップSA−1)。なお、本説明では、テナントAへの請求額は400円、テナントBへの請求額は300円、テナントCへの請求額は200円、テナントDへの請求額は100円とする。
【0044】
つぎに、
図4に示すように、ビルの各テナントからビル管理会社にEBシステムで入金が行われ(本説明では、テナントA、テナントCおよびテナントDからそれぞれ、請求額に相当する400円、200円および100円が入金され、テナントBからは入金がされなかったものとする。)、そして、ビル管理会社からビルオーナーにEBシステムで入金が行われると(本説明では、入金があったテナントからの入金額の総額である700円が入金されたものとする。)、ビルオーナーは入金管理装置100にビル管理会社からの入金額(本説明では700円)を取り込ませ、入金判定部102aは、取り込まれたビル管理会社からの入金額と各テナントA〜Dへの請求額の総額とが一致するか否かを判定する(ステップSA−2)。
【0045】
つぎに、入金判定部102aにより「一致する」と判定された場合(ステップSA−2:Yes)、入金消込部102cは入金消込処理を実施する。なお、本実施形態の入金消込処理については、後述の
図10から
図17にて詳細に説明する。
【0046】
一方、入金判定部102aにより「一致しない(アンマッチ)」と判定された場合(ステップSA−2:No)、
図5に示すように、リストデータ作成部102bは、該当するビルの全テナントの賃貸物件を対象として入金チェックリストデータ(アンマッチリストデータ)を作成(出力)し、アンマッチリストデータを電子メール等でビル管理会社の賃貸物件管理装置400に送信する(ステップSA−3)。なお、本説明では、テナントBからの入金がされなかったことにより1,000円の請求に対して700円の入金しかされなかったものとしているため、入金判定部102aでは「アンマッチ」と判定されることになる。また、リストデータ作成部102bは、入金済チェック欄(ビル管理会社が、入金が既に行われた明細については「1」を入力させるための入力欄)を含む
図6や
図7に示すような入金チェックリストデータを作成してもよい。
【0047】
つぎに、
図8に示すように、チェック部402aは、入金管理装置100から送信されたアンマッチリストデータを出力装置414に表示させ、そしてビル管理会社の担当者にテナントの入金チェックを実行させ、テナントの入金チェック(入金済みチェック)が完了したアンマッチリストデータ(チェック済アンマッチリストデータ)を入金管理装置100に電子メール等で送信(送付)する(ステップSA−4)。ここで、各テナントの各費用項目に対する入金額に関するデータが賃貸物件管理装置400に保管されている場合、チェック部402aは、アンマッチリストデータに対し行うべき入金済みチェックを、当該保管されている入金額に関するデータを参照して自動で行ってもよい(さらに、自動で行われた入金済みチェックの結果の確認を担当者に促すようにしてもよい)。
【0048】
つぎに、
図9に示すように、入金消込部102cは、賃貸物件管理装置400から送信されたチェック済アンマッチリストデータを取り込み、チェック済アンマッチリストデータに基づいて、入金消込処理を再度実施する(ステップSA−5)。なお、チェック済アンマッチリストデータ(テーブル)において、入金済チェック欄に「1」が入力されているデータ(レコード)については、入金があったものと見做す(要するに消込済データとして扱う)。
【0049】
上記ステップSA−1からステップSA−5の処理により、ビル管理会社からビルオーナーへの入金とビルオーナーからテナントへの請求とがアンマッチだった場合におけるビルオーナーの入金消込の手間が削減される。なお、それでも尚、未収のテナントについては、ビルオーナーは「手動」入金消込を実施してもよい。なお、未収となった場合の翌月以降の処理について、例えば、ある月の入金予定に対して未収となったテナントに対しては、未収分も含めて翌月以降の入金消込処理を実施してもよい。そして、引き続いて未収が続くようなテナントに対しては、例外運用なので手動での消込処理を実施してもよい。
【0050】
ここで、
図10から
図17を参照して、本実施形態における入金消込処理の一例について説明する。
図10は、自動入金消込画面の一例を示す図である。
図11から
図16は、マッチングパターンの一例を示す図である。
図17は、本実施形態における取引先登録画面の一例を示す図である。
【0051】
図10に示すように、自動入金消込画面を介して、入金登録やEB入金データ取込でできた入金データを使用して、未入金の請求データに対して自動で消込を行う。具体的には、入金日の欄に入金データの入金日を入力し、請求日の欄に消込対象とする請求データを絞るための日付を入力する。これにより、入力した日付までの請求データが消込対象となる。例えば、未入金の請求データとして以下の(1)と(2)がある場合において、請求日の欄に20**/05/10が入力されたとき、下記(1)のデータは消込の対象となるが、下記(2)のデータは消込の対象外となる。
(1)請求書発行日:20**/05/10(金額:1,050)
(2)請求書発行日:20**/05/25(金額:2,100)
【0052】
つぎに、
図11から
図16を参照して、本実施形態の自動消込(自動入金消込)の機能について説明する。自動消込では、1件の入金に対して、
図11から
図16のパターンで自動マッチングを行い、金額が一致した場合に消し込みを行う(一致しなかった際には全請求データ(明細データ)を出力してもよい。)。また、本自動消込の機能では、
図11から
図16のパターンのどのパターンをどの順序で使用するかを選択することができる。なお、自動消込では、入金の振込カナ名が、請求先マスタの振込カナ名と一致することを前提としてもよい。
【0053】
図11に示すように、入金判定部102aが、賃貸物件(物件Aおよび物件B)の入金額(1,000,000円)と、テナントへの請求に対する未入金残額の全合計額とが一致すると判定した場合、入金消込部102cは自動消込を行ってもよい。すなわち、
図11に示すマッチングパターンでは、入金額とのマッチング判定を行う対象を、未入金残(請求残)全て(請求書No.1の未入金残400,000円、請求書No.2の未入金残300,000円、請求書No.3の未入金残200,000円および請求書No.4の未入金残100,000円の総額)としている。
【0054】
また、
図12に示すように、入金判定部102aが、賃貸物件(物件Aおよび物件B)の入金額(1,000,000円)と、テナントへの請求に対する未入金残額であって消込が一度もされていないものの全合計額とが一致すると判定した場合、入金消込部102cは自動消込を行ってもよい。すなわち、
図12に示すマッチングパターンでは、入金額とのマッチング判定を行う対象額を、一度も消込されていない未入金残(請求残)全て(請求書No.1の未入金残600,000円、請求書No.2の未入金残300,000円および請求書No.4の未入金残100,000円の総額)としている。
【0055】
また、
図13に示すように、入金判定部102aが、賃貸物件(物件Aおよび物件B)の入金額(1,000,000円)と、テナントへの請求に対する未入金残額であって消込が一度もされていないものの各々とが一致すると判定した場合、入金消込部102cは自動消込を行ってもよい。すなわち、
図13に示すマッチングパターンでは、入金額とのマッチング判定を行う対象額を、一度も消込されていない未入金残の各々(請求書No.1の未入金残600,000円、請求書No.2の未入金残300,000円および請求書No.4の未入金残1,000,000円の各々)としている。
【0056】
また、
図14に示すように、入金判定部102aが、賃貸物件(物件Aおよび物件B)の入金額(1,000,000円)と、テナントへの請求に対する未入金残であって消込が一度もされておらず且つ同じ物件のものの全合計額とが一致すると判定された場合、入金消込部102cは自動消込を行ってもよい。すなわち、
図14に示すマッチングパターンでは、入金額とのマッチング判定を行う対象額を、一度も消込されていない物件単位の未入金残(請求残)全て(物件Aに係る請求書No.1の未入金残400,000円および請求書No.2の未入金残300,000円の総額並びに物件Bに係る請求書No.4の未入金残1,000,000円)としている。
【0057】
また、
図15に示すように、入金消込部102cは、賃貸物件の入金額(1,000,000円)の範囲内で、所定の消込優先順に、テナントへの請求に対する未入金残(本説明では、
図15に示す上から5つの未入金残の各々)の自動消込を行ってもよい。ここで、取引先ごとに、以下の[1]から[6]に示す消込優先順の中から所望のものを選択してもよい。なお、
図15に示す消込パターンは[1]の消込優先順での消込に相当する。
[1]入金予定日>請求書No>行No(未入金残の消込は、入金予定日が早いものを優先し、入金予定日が同一の場合は請求書Noが小さいものを優先し、請求書Noが同一の場合は行Noが小さいものを優先する。)
[2]入金予定日>物件コード>請求書No>行No(未入金残の消込は、入金予定日が早いものを優先し、入金予定日が同一の場合は物件コードが小さいものを優先し、物件コードが同一の場合は請求書Noが小さいものを優先し、請求書Noが同一の場合は行Noが小さいものを優先する。)
[3]請求書No>行No(未入金残の消込は、請求書Noが小さいものを優先し、請求書Noが同一の場合は行Noが小さいものを優先する。)
[4]物件コード>請求書No>行No(未入金残の消込は、物件コードが小さいものを優先し、物件コードが同一の場合は請求書Noが小さいものを優先し、請求書Noが同一の場合は行Noが小さいものを優先する。)
[5]管理項目印字順>管理項目コード>入金予定日>請求書No>行No(未入金残の消込は、管理項目印字順が早いものを優先し、管理項目印字順が同一の場合は管理項目コードが小さいものを優先し、管理項目コードが同一の場合は入金予定日が早いものを優先し、入金予定日が同一の場合は請求書Noが小さいものを優先し、請求書Noが同一の場合は行Noが小さいものを優先する。)
[6]管理項目印字順>管理項目コード>入金予定日>物件コード>請求書No>行No(未入金残の消込は、管理項目印字順が早いものを優先し、管理項目印字順が同一の場合は管理項目コードが小さいものを優先し、管理項目コードが同一の場合は入金予定日が早いものを優先し、入金予定日が同一の場合は物件コードが小さいものを優先し、物件コードが同一の場合は請求書Noが小さいものを優先し、請求書Noが同一の場合は行Noが小さいものを優先する。)
また、入金消込部102cは、選択された消込優先順で請求データテーブルのレコードを並べ替え(
図15に示す請求データテーブルは、[1]の消込優先順で並べ替えられた後のものの一例である。)、並び替え後のテーブルの上から1番目のレコードから順に、賃貸物件の入金額(1,000,000円)の範囲で消し込みできる分まで、未入金残の消込を行ってもよい。なお、
図15に示す例では、消し込まれた未入金残の合計が950,000円となるので、残りの50,000円は仮受入金としてもよい。ただし、この残りの額についても一部消込を行うように設定しておくことで、仮受を作らないようにすることも可能である。例えば、
図15を例とすると、入金予定日が20**/8/31の共益費を50,000円分消し込むことで、仮受を作らないようにすることも可能である。なお、当該設定は、コントロールマスタの自動消込単位で決定してもよい(1:明細(一部消込しない)、2:金額(一部消込する))。
【0058】
また、
図16に示すように、入金判定部102aが、賃貸物件の(物件Aおよび物件B)の入金額(1,000,000円)と、テナント(テナントA、テナントBおよびテナントC)の名寄せ先(
図16の例では、取引先コードが「A0001」の取引先名「オー」)への請求に対する未入金残とが一致すると判定した場合、入金消込部102cは自動消込を行ってもよい。なお、
図16に示すパターンは、
図11に示すパターンに、「名寄せコードが同じ未入金残」という条件を追加してカスタマイズしたものに相当する。なお、
図12から
図15に示す各パターンに、この条件を追加してカスタマイズすることも可能である。すなわち、このカスタマイズは、取引先コードではなくてEB名寄せコードで消込判断を行うことを意図したものである。なお、振込手数料が発生する場合、名寄せ先の代表となる請求先にあててもよい。また、名寄せについては、代表となる取引先に対する債権(請求データ)が存在しなくても消込を可能としてもよい。
なお、名寄せコードについては、例えば、
図17に示す取引先登録画面の請求先タブ項目にEB入金名寄せコード(EB名寄せコード)を入力するための欄を追加し、この欄で、名寄せ先となる取引先コードを登録しておくことで、各テナントの取引先コードと名寄せ先の取引先コードの紐付けを行ってもよい。なお、EB名寄せコードが設定されていない場合、標準機能に準拠した自動入金消込処理を実施し、EB名寄せコードが設定されている場合、EB名寄せコードを基準とした自動入金消込処理(消込ロジックは標準機能と同等)を実施するように制御してもよい。また、本実施形態においては、振込手数料が発生した場合、名寄せ先の代表となる請求先にあてることができる。
【0059】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0060】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0061】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0062】
また、入金管理装置100及び賃貸物件管理装置400に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0063】
例えば、入金管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて入金管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0064】
また、このコンピュータプログラムは、入金管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0065】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0066】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0067】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0068】
また、入金管理装置100や賃貸物件管理装置400は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、入金管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0069】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。