特許第6600542号(P6600542)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6600542
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/023 20060101AFI20191021BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20191021BHJP
   H04L 12/40 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   B60R16/023 P
   B60R16/02 650J
   H04L12/40 M
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-231846(P2015-231846)
(22)【出願日】2015年11月27日
(65)【公開番号】特開2017-95050(P2017-95050A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】本村 敬一
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−131713(JP,A)
【文献】 特開2006−109161(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0229061(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/023
B60R 16/02
H04L 12/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CAN通信による信号(M)を受信したときに受信確認信号(A)を送信可能な複数のCANコントローラ(11,12)を備えた制御装置(1,2,3)において、
前記複数のCANコントローラ(11,12)の各々は、信号(M)を送受信可能に動作する通常モードと、信号(M)の受信のみ可能に動作する受信モードとを有し、
前記複数のCANコントローラ(11,12)のうちの何れか一のCANコントローラが前記通常モードで動作する間は他のCANコントローラは前記受信モードで動作し、
前記複数のCANコントローラ(11,12)のうちの何れか一のCANコントローラが信号(M)を送信するタイミングで、前記一のCANコントローラが前記通常モードで動作し、前記他のCANコントローラが前記受信モードで動作する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置(1、2、3)において、
前記複数のCANコントローラ(11,12)のうちの何れか一のCANコントローラが信号(M)を受信するタイミングで、前記一のCANコントローラが前記通常モードで動作し、前記他のCANコントローラが前記受信モードで動作する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項3】
CAN通信による信号(M)を受信したときに受信確認信号(A)を送信可能な複数のCANコントローラ(11,12)を備えた制御装置(1,2,3)において、
前記複数のCANコントローラ(11,12)の各々は、信号(M)を送受信可能に動作する通常モードと、信号(M)の受信のみ可能に動作する受信モードとを有し、
前記複数のCANコントローラ(11,12)のうちの何れか一のCANコントローラが前記通常モードで動作する間は他のCANコントローラは前記受信モードで動作し、
前記複数のCANコントローラ(11,12)のうちの何れか一のCANコントローラが信号(M)を受信するタイミングで、前記一のCANコントローラが前記通常モードで動作し、前記他のCANコントローラが前記受信モードで動作する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の制御装置(1,2,3)において、
前記複数のCANコントローラ(11,12)のうちの何れか一のCANコントローラが信号(M)を送信するタイミングで、前記一のCANコントローラが前記通常モードで動作し、前記他のCANコントローラが前記受信モードで動作する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の制御装置(1,2,3)において、
前記複数のCANコントローラのうちの前記一のCANコントローラは、常に前記通常モードで動作する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の制御装置において、
前記通常モードで動作する前記一のCANコントローラの通信が遮断されている場合、信号(M)の送信が遮断されていない前記他のCANコントローラが前記通常モードで動作する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項7】
CAN通信による信号(M)を受信したときに受信確認信号(A)を送信可能な複数のCANコントローラ(11,12)を備えた制御装置(1,2,3)の制御方法において、
前記複数のCANコントローラ(11,12)のうちの何れか一のCANコントローラが信号(M)を送信するタイミングで、前記一のCANコントローラを信号を送受信可能な通常モードで動作させ、他のCANコントローラを信号の受信のみ可能な受信モードで動作させる
ことを特徴とする制御装置の制御方法。
【請求項8】
CAN通信による信号(M)を受信したときに受信確認信号(A)を送信可能な複数のCANコントローラ(11,12)を備えた制御装置(1,2,3)の制御方法において、
前記複数のCANコントローラ(11,12)のうちの何れか一のCANコントローラが信号(M)を受信するタイミングで、前記一のCANコントローラを信号を送受信可能な通常モードで動作させ、他のCANコントローラを信号の受信のみ可能な受信モードで動作させる
ことを特徴とする制御装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及び制御方法に関し、特にCAN(Controller Area Network)通信を制御する制御装置及び制御方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、CAN通信による信号を受信したときに信号の送信元に受信した旨を通知する複数のCANコントローラを備えた制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の制御装置では、例えば、1つの制御装置の1つのCANバスに2つ以上のCANコントローラが設けられており、自動車等に搭載されてCAN通信により各種装置の制御や故障の検出等に用いられていた。具体的には、CAN通信において、受信確認信号を用いて各装置からの受信確認信号の返信があるか否かを判断することにより各装置の故障を検出する故障検出機能を実行していた。
【0003】
また、この種の制御装置では、例えば、ISO26262に規定された多重安全の要求を満たすべく、制御装置内に独立したCANの送信信号を遮断する手段を講じることが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−202720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術による制御装置では、通常1つのCANバスに2つ以上のCANコントローラが設けられているため、別の制御装置とCAN通信すべく、何れかのCANコントローラが信号を送信した際に、同じ制御装置内の別のCANコントローラが受信確認信号を返信してしまう、すなわち制御装置が別の制御装置にCANメッセージ信号を送信したときに、受信確認信号を自己返信してしまうことがあった。このため、受信確認信号を用いる故障検出機能において、検出できない故障モードが生じてしまい、故障検出機能の一部が損なわれてしまう課題がある。
【0006】
具体的には、例えば、図4Aに示すように、CANバス24に2つのECU(電子制御ユニット)21,23及びTCU(トランスミッション制御ユニット)22がCANバス24に接続されてTCU22が信号を送信する場合において、送信元であるTCU22とCANバス24との通信が遮断されるような故障31は受信確認信号が返信されてこないことにより検出できた。また、図4Bに示すように、CANバス24の電圧の異なる2本の通信線間がショートされるような故障32は信号がCANバス24を適切に通過せずに自己にそのまま戻ってくることにより検出できた。一方、図4Cに示すように、信号の送信先のECU21,23が故障したりCANバス24から遮断されたりするといった故障33a,33bは、送信元であるTCU22内で自己返信してしまうことにより検出することができなかった。
【0007】
また、受信確認信号の自己返信を防止するべく、CANコントローラからCANバスへの信号の伝達を遮断する遮断回路を設けて自己返信を防止する制御装置が提案されているが、信号を受信した制御装置から受信確認信号が全く返信されないことがあり、トルクアップ等に関わる重要な信号を扱う制御装置に適用するには望ましくなかった。
【0008】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、受信確認信号の自己返信を防止して、従来技術では検出できなかった故障モードを検出することのできる制御装置及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、CAN通信による信号(M)を受信したときに受信確認信号(A)を送信可能な複数のCANコントローラ(11,12)を備えた制御装置(1,2,3)において、前記複数のCANコントローラ(11,12)の各々は、信号(M)を送受信可能に動作する通常モードと、信号(M)の受信のみ可能に動作する受信モードとを有し、前記複数のCANコントローラ(11,12)のうちの何れか一のCANコントローラが前記通常モードで動作する間は他のCANコントローラは前記受信モードで動作することを特徴とする。
【0010】
この場合において、前記複数のCANコントローラ(11,12)のうちの何れか一のCANコントローラが信号(M)を送信するタイミングで、前記一のCANコントローラが前記通常モードで動作し、前記他のCANコントローラが前記受信モードで動作してもよい。前記複数のCANコントローラのうちの前記一のCANコントローラは、常に前記通常モードで動作してもよい。前記複数のCANコントローラ(11,12)のうちの何れか一のCANコントローラが信号(M)を受信するタイミングで、前記一のCANコントローラが前記通常モードで動作し、前記他のCANコントローラが前記受信モードで動作してもよい。前記通常モードで動作する前記一のCANコントローラの通信が遮断されている場合、信号(M)の送信が遮断されていない前記他のCANコントローラが前記通常モードで動作してもよい。
【0011】
また、本発明は、CAN通信による信号(M)を受信したときに受信確認信号(A)を送信可能な複数のCANコントローラ(11,12)を備えた制御装置(1,2,3)の制御方法において、前記複数のCANコントローラ(11,12)のうちの何れか一のCANコントローラを信号を送受信可能な通常モードで動作させ、他のCANコントローラを信号の受信のみ可能な受信モードで動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、受信確認信号の自己返信を防止して、従来技術では検出できなかった故障モードを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る制御装置がCANバスに接続された様子を示す回路図である。
図2】制御装置内を示す回路図である。
図3】CPUによるCANコントローラの動作モード設定処理を示すフローチャートである。
図4A】従来技術に係る制御装置がCANバスに接続された様子を示す回路図である。
図4B】従来技術に係る制御装置がCANバスに接続された様子を示す回路図である。
図4C】従来技術に係る制御装置がCANバスに接続された様子を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る制御装置がCANバスに接続された様子を示す回路図である

本実施形態に係る制御装置1は、図1に示すように、他の制御装置2,3とともにCANバス4と接続されている。
【0015】
制御装置1,2,3は、それぞれ同様の構成を備えており、自動車に搭載されてCANバス4を介して互いに通信可能に設けられている。本実施形態では、制御装置1は、エンジンの制御装置であり、制御装置2は、トランスミッションの制御装置であり、制御装置3は、ABSの制御装置である。
【0016】
CANバス4は、通信線である。このCANバス4は、高電圧側の配線であるCAN−H4aと、低電圧側の配線であるCAN−L4bとを備えている。本実施形態では、CAN−H4a及びCAN−L4bは、制御装置1,2,3に電気的に接続されている。すなわち、図1に示すように、制御装置2がCANメッセージ信号Mを送信すると、CANメッセージ信号MはCAN−H4a及びCAN−L4bの双方に伝達され、各制御装置1,3により受信されるようになっている。次に、CANメッセージ信号Mを受信した各制御装置1,3は、受信確認信号であるACK(ACKnowledge)信号A1,A2をCAN−H4a及びCAN−L4bの双方に送信する。このACK信号A1,A2は、CAN−H4a及びCAN−L4bの双方に伝達された後に制御装置2により受信されるようになっている。これにより、制御装置2は、送信したCANメッセージ信号Mが各制御装置2,3によって受信されたことを確認することができる。
【0017】
なお、ACK信号は、CAN通信において、CAN通信を行なっている何れか1つの機器が何らかの情報に基づくCANメッセージ信号を送信したときに、CAN通信を行なっている他の機器が、その送信されたCANメッセージ信号をモニタしてその信号と対応する情報を受信したという、受信した旨の情報を元の内容に付加して返信する受信確認信号である。CAN通信では、このACK信号を返信するという機能により、送信された信号が確実に伝達されたことの確認が行われる。また、この受信確認により、CAN通信を行なっている各機器やCANバス4そのものの故障や不具合の検出がなされるようになっている。
【0018】
図2は、制御装置内を示す回路図である。以下、制御装置1について説明するが、制御装置2,3も同様の構成を備えている。
制御装置1は、2つのCANコントローラ11,12と、CANドライバ13と、DNdisable回路(遮断回路)14とを備えている。
【0019】
CANコントローラ11,12は、CPU(Central Processing Unit)10に設けられており、制御信号やACK信号の送受信等のCAN通信を実行するための信号送受信部である。CANコントローラ11,12は、信号を送信するための送信部であるTX(トランスミッタ)11s、12sと、信号を受信するための受信部であるRX(レシーバ)11r,12rとを備えている。なお、本実施形態では、CANコントローラ11はCANバス4や接続された各機器の異常を検出するための診断に用いられ、CANコントローラ12は、エンジンの制御に用いられている。
【0020】
CANコントローラ11,12の各々は、信号を送受信可能に動作する通常モードと、信号の受信のみ可能に動作する受信モードとを有している。CANコントローラ11,12は、同時に1つのCANコントローラ11,12のみを通常モードで動作させるとともに、その他のCANコントローラ11,12を受信モードで動作させるようになっており、常に1つのCANコントローラのみが通常モードで動作している。これにより、いずれかのCANコントローラ11,12が信号を送信する際には、信号を送信するCANコントローラ11,12のみを通常モードで動作させるとともに、その他のCANコントロー
ラ11,12を受信モードで動作させるため、制御装置1が自己の送信信号に自分でACK信号を返信してしまう、いわゆるACK信号の自己返信を防止することができる。
【0021】
CANドライバ13は、信号の電圧の調整等を行う電圧制御回路である。このCANドライバ13は、CANコントローラ11,12のTX11s,12sから送信された信号の電圧を調整し、調整された信号をCANバス4に出力する。一方、CANドライバ13は、CANバス4から入力された信号の電圧を調整し、調整された信号をCANコントローラ11,12のRX11r,12rに出力する。
【0022】
DNdisable回路14は、信号の伝達を遮断するための遮断回路であり、CANコントローラ12側のRX12sとCANドライバ13との間に設けられている。このDNdisable回路14は、CPU10の図示せぬ監視部とDN配線14aで電気的に接続されており、CPU10から受信した制御信号に基づいて、CANコントローラ12のTX12sからCANドライバ13に向けて出力された信号の伝達を遮断可能に設けられている。
【0023】
制御装置1は、例えば、CANコントローラ11がCANメッセージ信号をCANバス4に送信する際には、CANコントローラ11のTX11sからCANメッセージ信号M1を送信し、送信されたCANメッセージ信号M1はCANドライバ13で調整された後にCANバス4に出力される。
【0024】
一方、制御装置1は、例えば、CANバス4からCANコントローラ12にCANメッセージ信号が送信される際には、CANバス4のから入力されたCANメッセージ信号M2はCANドライバ13で調整された後にCANコントローラ12のRX12rで受信される。このとき、CANメッセージ信号M2を受信したCANコントローラ12は、TX12sからACK信号Aを送信し、送信されたACK信号AはDNdisable回路14を通ってCANドライバ13に伝達され、送信されたACK信号AはCANドライバ13で調整された後にCANバス4に出力される。
【0025】
図3は、CPUによるCANコントローラの動作モード設定処理を示すフローチャートである。なお、図3は、トランスミッションの制御装置2にトランスミッションに係るCANメッセージ信号であるTXリクエストが送信されたときの処理を示している。
CPU10は、CANコントローラ11,12の動作モード設定処理を開始すると、DNdisable回路14により信号の送信が遮断されているCANコントローラ11,12があるか否かを判断する(ステップS1)。
【0026】
ステップS1において、DNdisable回路14により信号の送信が遮断されているCANコントローラ11,12が無いと判断すると(ステップS1:NO)、CPU10は、TXリクエストが第1のCANコントローラ11に対してなされたか否かを判断する(ステップS2)。
【0027】
一方、ステップS1において、DNdisable回路14により信号の送信が遮断されているCANコントローラ11,12があると判断すると(ステップS1:YES)、CPU10は、第1のCANコントローラ11を通常モードで動作するように設定し(ステップS3)、第2のCANコントローラ12を受信モードで動作するように設定する(ステップS4)。第2のCANコントローラ12のモードを設定すると、CPU10は、設定されたモードに基づいてCANコントローラ11,12を制御する(ステップS5)。
【0028】
ステップS2において、TXリクエストが第1のCANコントローラ11に対してなさ
れていないと判断すると(ステップS2:NO)、CPU10は、TXリクエストが第2のCANコントローラ12に対してなされたか否かを判断する(ステップS6)。
【0029】
一方、ステップS2において、TXリクエストが第1のCANコントローラ11に対してなされたと判断すると(ステップS2:YES)、CPU10は、第1のCANコントローラ11を通常モードで動作するように設定し(ステップS7)、第2のCANコントローラ12を受信モードで動作するように設定する(ステップS8)。第2のCANコントローラ12のモードを設定すると、CPU10は、設定されたモードに基づいてCANコントローラ11,12を制御する(ステップS5)。
【0030】
ステップS6において、TXリクエストが第2のCANコントローラ12に対してなされていないと判断すると(ステップS6:NO)、CPU10は、現状設定されているモードに基づいてCANコントローラ11,12を制御する(ステップS5)。
【0031】
一方、ステップS5において、TXリクエストが第2のCANコントローラ12に対してなされたと判断すると(ステップS6:YES)、CPU10は、第1のCANコントローラ11を受信モードで動作するように設定し(ステップS9)、第2のCANコントローラ12を通常モードで動作するように設定する(ステップS10)する。第2のCANコントローラ12のモードを設定すると、CPU10は、設定されたモードに基づいてCANコントローラ11,12を制御する(ステップS5)。
【0032】
以上の処理により、制御装置1,2,3は、常に1つのCANコントローラ11,12を通常モードで動作させており、信号を受信する何れかのCANコントローラ11,12のみを通常モードで動作させ、他のCANコントローラ11,12を受信モードで動作させることができる(ステップS7,8,9,10)。
【0033】
また、DNdisable回路14が通信を遮断してACK信号を返信できない場合は(ステップS1:NO)、DNdisable回路14に接続されていないCANコントローラ11のみを通常モードで動作させることができる(ステップS3,4)。
【0034】
本実施形態では、制御装置1,2,3は、CANコントローラ11,12の各々が信号を送受信可能に動作する通常モードと、信号の受信のみ可能に動作する受信モードとを有し、同時に1つのCANコントローラ11,12のみを通常モードで動作させるとともに、その他のCANコントローラ11,12を受信モードで動作させる。これにより、同時に1つのCANコントローラ11,12のみが信号を送信可能に制御できる。このため、ACK信号の自己返信を防止して、従来技術では検出できなかった故障モードを検出することができる。
【0035】
なお、本実施形態に係る制御装置1,2,3は、1つの制御装置1,2,3内の複数のCANコントローラ11,12が扱う信号の種類の組み合わせとしては、例えば、ISO26262で要求されているような、回転数またはトルクアップにかかわる重要な信号等の送信を中断しなければならない場合が生じ得る信号と、常に通信ができることが望ましい診断信号等の信号とを含んだ組み合わせの場合に適用するとより効果的である。
【0036】
また、本実施形態では、DNdisable回路14が通信を遮断している場合は、DNdisable回路14に接続されていないCANコントローラ11を通常モードで動作させる。これにより、他の制御装置1,2,3から信号の送信があったCANコントローラ11,12がDNdisable回路14により信号の送信が遮断されていても、他のCANコントローラ11,12がACK信号を送信することができるため、信号を受信した制御装置1,2,3からのACK信号を受信できないといったことを防止することが
できる。
【0037】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明はこれに限定しない。
上記実施形態では、1つの制御装置1,2,3に2つのCANコントローラ11,12を設けているが、本発明はこれに限定されず、3つ以上のCANコントローラを設けてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、CANコントローラ1,2,3を自動車に搭載しているが、本発明はこれに限定されず、自動二輪車やその他の装置に搭載してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 制御装置
2 制御装置
3 制御装置
4 CANバス
4a CAN−H
4b CAN−L
10 CPU
11 CANコントローラ
11s TX
11r RX
12 CANコントローラ
12s TX
12r RX
13 CANドライバ
14 DNdisable回路(遮断回路)
14a DN線
21 ECU
22 TCU
23 ECU
24 CANバス
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C