(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
連続して搬送される吸収性物品の半製品を、周面に少なくとも光透過性部位を有する回転可能なドラムにおける該周面の該光透過性部位に巻き掛けて、該周面上で該半製品を伸展させた状態で、該ドラムの内部に設置された光源から該半製品に向けて光を照射したときの透過画像に基づき、該半製品における所定部位の位置を計測し、次いで該半製品を吸収性物品1枚毎に裁断する裁断工程を備えた吸収性物品の製造方法であって、
前記半製品は、連続ウェブ上に吸収体が所定間隔で配置された構造を有するか、又は連続ウェブ内に吸収体が所定間隔で配置された構造を有しており、
前記透過画像を、前記ドラムの外部に設置され、且つ該ドラムの軸線方向に沿って視野を有するラインセンサにより取得し、
前記半製品の搬送距離に対応して生成される信号と、前記裁断工程での吸収性物品1枚毎の裁断に対応して生成される信号とに基づき、前記ラインセンサによって取得された複数の一次元の透過画像を順次つなぎ合わせて、1個分の吸収性物品の大きさに相当する二次元の前記透過画像を取得する、吸収性物品の製造方法。
前記半製品における所定部位の位置を計測した結果に基づき、該半製品の良否を判定し、該半製品における不良と判定された部位に対応する吸収性物品を、前記裁断工程の後に不良品として排出する排出工程を更に含む、請求項1又は2に記載の吸収性物品の製造方法。
前記吸収体における前記半製品の搬送方向に沿う前端縁又は後端縁の位置を計測し、該計測結果に基づき、該半製品の搬送方向に沿う該吸収体の配置位置、後工程での加工タイミング、及びすべての工程での加工タイミングのうちの少なくとも1つを調整する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつや生理用ナプキンを初めとする各種の吸収性物品の製造ラインでは、連続ウェブに間欠的に吸収体等の構成部材を配置する装置が多く用いられる(例えば特許文献1及び2参照)。これらの装置を用いて連続ウェブ上の正確な位置に構成部材を配置するには、該構成部材の配置タイミングを最適化する必要がある。しかし、構成部材の原料のばらつきなどに起因して、配置位置の再調整が必要となる場合がある。
【0003】
一方、吸収性物品の多くは、その内部に弾性部材を含むことから、連続ウェブを裁断して個々の吸収性物品となすと、該弾性部材の収縮が起こり、そのことに起因して製造ライン上での該吸収性物品の位置を正確に計測することが困難となる。
【0004】
製造ライン上での吸収性物品の構成部材の配置位置を計測し、吸収性物品の良否を判定する方法として、例えば特許文献3に記載の方法が知られている。この方法においては、
図4に示すとおり、搬送方向D’に沿って連続して搬送されてくる半製品104を光透過性のドラム121の表面に接触させ、該半製品104を伸展させた状態で光を照射したときの透過画像に基づいて、該半製品の良不良を判定している。半製品104は、吸収体102が所定間隔をおいて配置された連続ウェブ103から構成されている。光はドラム121の内部に設置された光源125から照射され、透過光をドラム121の外部に配置されたカメラ126によって検出している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の吸収性物品の製造方法に好適に用いられる製造装置の概略図が示されている。なお同図は、吸収性物品の製造装置における要部のみを示すものであり、製造装置のすべて部分を示すものではない。
【0012】
図1に示す製造装置1は、積繊装置(図示せず)によって製造された吸収体2を、搬送方向Dに沿って搬送される連続ウェブ3に配置する転写ドラム10を備えている。転写ドラム10は、
図1中、矢印Rで示す方向に回転可能になっている。転写ドラム10は、その周面から内部に向けて空気の吸引が可能な構造となっている。積繊装置(図示せず)によって形成された吸収体2は、該積繊装置から転写ドラム10の周面に転写される。転写ドラム10の周面に転写された吸収体2は、該転写ドラム10の回転に連れて連続ウェブ3に近接し、該連続ウェブ3へと転写される。
【0013】
連続ウェブ3は、製造の対象である吸収性物品を構成する各種部材のうちの一部材から構成されている。例えば連続ウェブ3として、裏面シートの原反や表面シートの原反を用いることができるが、これらに限られない。連続ウェブ3は、その巻回体(図示せず)から繰り出されて、
図1中、矢印Dで示す方向に沿って搬送される。裏面シートや表面シートとしては、吸収性物品の技術分野においてこれまで用いられてきたものと同様のものを用いることができる。例えば裏面シートとしては、合成樹脂製のフィルム、該フィルムと不織布との積層体、液難透過性の不織布などを用いることができる。合成樹脂製のフィルムは、液不透過性であり、且つ水蒸気透過性のものであることが好ましい。表面シートとしては、液透過性を有する不織布や穿孔フィルムなどを用いることができる。表面シートが不織布からなる場合、該表面シートは一枚の不織布から構成されていてもよく、複数枚の不織布を積層したものから構成されていてもよい。
【0014】
連続ウェブ3上に配置される吸収体2は、吸水材料から構成することができる。吸水材料としては、親水性繊維や吸水性ポリマーを用いることができる。親水性繊維としては、例えばパルプ等の天然セルロール繊維が好適なものとして挙げられるが、これに限られない。吸収体2は、そのいずれの位置においても厚みが同じ構造のものであってもよく、あるいは特定部位の厚みが他の部位に比べて大きくなっている構造のものであってもよい。
【0015】
図1に示すとおり、吸収体2は、転写ドラム10の周面に距離を隔てて配置され、それによって吸収体2は、連続ウェブ3上に距離を隔てて配置される。吸収体2は、その長手方向が、連続ウェブ3の搬送方向Dと一致するように該連続ウェブ3上に配置される。そして、連続ウェブ3の搬送方向Dに沿って見たとき、ある吸収体2の前端縁と、それと前後方向に隣り合う吸収体2の前端縁との間の距離が、一つの吸収性物品の長手方向に沿う長さとなる。なお、吸収性物品の種類によっては、吸収体2の幅方向が連続ウェブ3の搬送方向Dと一致するように、該吸収体2が該連続ウェブ3上に配置される場合もある。
【0016】
図1には図示していないが、連続ウェブ3上に吸収体2が配置された後に、若しくはその前に、又は吸収体2の配置と同時に、製造の対象となる吸収性物品を構成する他の部材が配置されてもよい。そのような部材の例としては、糸ゴムや平ゴム等の各種の弾性部材、ファスニングテープ、防漏カフ、他の連続ウェブなどが挙げられるが、これらに限られない。そして、連続ウェブ3上に吸収体2が配置された状態の連続体、又は吸収体2の加えて他の部材が配置された状態の連続体のことを、本発明においては半製品4と呼ぶ。半製品4としては、連続ウェブ3上に吸収体2が所定間隔で配置された構造を有するか、又は連続ウェブ3を含む複数枚の連続ウェブ内に吸収体2が所定間隔で配置された構造を有しているものが典型例として挙げられる。
図1に示す実施形態においては、連続ウェブ3上に吸収体2が配置されてなる連続体が半製品4に相当する。
【0017】
図1に示す製造装置1は、搬送方向Dに沿ってみたときに、転写ドラム10よりも下流の位置に、半製品4の計測装置20を備えている。計測装置20は、半製品4に組み込まれている各種の部材の配置位置の計測が可能になっている。計測装置20の詳細については後述する。
【0018】
製造装置1においては、計測装置20よりも搬送方向Dに沿う下流の位置において、半製品4に対して各種の部材を組み込むための装置(図示せず)が配置されている。各種の部材としては、例えば糸ゴムや平ゴム等の各種の弾性部材、ファスニングテープ、防漏カフ、他の連続ウェブなどが挙げられるが、これらに限られない。これら各種の部材が半製品4に組み込まれることで、該半製品4は、製造の対象である吸収性物品となる直前の段階の連続体となる。この連続体、すなわち最終段階の半製品4は、裁断装置30によって裁断されて目的とする吸収性物品5が得られる。この吸収性物品5は二つ折り工程、反転工程など、吸水性物品1枚毎に施す後加工を1つ以上含む。
【0019】
裁断装置30は、アンビルロール31とカットロール32とからなる一対のロールを備えている。各ロール31,32は互いに反対方向に、且つ搬送方向Dに沿って回転するようになっている。アンビルロール31はその周面が平滑なロールである。カットロール32は、その周面に、軸線方向へ沿って延びる切断刃33が設けられている。カットロール32は、これが1回転する度に切断刃33が半製品4に当接し、該半製品4をその幅方向に沿って裁断するようになっている。したがって、カットロール32が1回転する間に半製品4が搬送される距離が、目的とする吸収性物品の長手方向の長さに相当する。
【0020】
裁断装置30よりも搬送方向Dに沿う下流の位置には排出装置40が設置されている。排出装置40は、先に述べた計測装置20によって欠陥を有すると判定された吸収性物品5を、製造ライン外へ排出する機構を有している。
【0021】
以上の構成を有する装置1を用いた吸収性物品の製造方法においては、連続ウェブ3上に吸収体2が配置されてなり、搬送方向Dに沿って連続して搬送される半製品4を、計測装置20に導入し、該半製品4における所定部位の位置を計測する。計測装置20は、
図1及び
図2に示すとおり、円筒状のドラム21を備えている。ドラム21は、半製品4の搬送方向Dに沿って回転が可能になっている。ドラム21は、該ドラム21に接続されている駆動ベルト22を介してモータ23によって回転するようになっている。ドラム21の周速は、半製品4の搬送速度と同じになるように制御される。
【0022】
ドラム21は、その軸線方向が、半製品4の搬送方向Dと直交するように製造装置1の搬送ライン中に配置されている。ドラム21は、その周面に少なくとも光透過性部位(図示せず)を有する。光透過性部位は、ドラム21の軸線方向に少なくとも延びており、該軸線方向に沿う長さは、半製品4の幅方向の長さと同じか又はそれ以上になっている。また、光透過性部位は、ドラム21の回転方向に沿う長さが、後述するラインセンサ26によって取得される画像の幅と同じか、又はそれ以上になっている。
【0023】
搬送方向Dに沿うドラム21の上下流の位置にはガイドローラ24a,24bが配置されている。これらのローラ24a,24bは、半製品4をドラム21における周面の光透過性部位に巻き掛けて、且つ該半製品4を該周面上で伸展させるために用いられる。半製品4を伸展させるとは、半製品4をその設計寸法に引き伸ばすことである。半製品4は、伸展されることによってドラム21の周面に沿って引き伸ばされた状態で、該ドラム21の回転に連れて搬送される。
【0024】
ドラム21の内部には光源25が設置されている。光源25は、ドラム21の回転中心又はその近傍の位置に配置されていることが好ましい。光源25は線状のものであり、ドラム21の軸線方向に沿って延びている。光源25が延びる長さは、上述した光透過性部位の長さと同じか又はそれ以上になっている。光源25からの光は、ドラム21の周面に伸展されている半製品4に向けて線状に照射されるようになっている。
【0025】
ドラム21の外部にはラインセンサ26が設置されている。ラインセンサ26は、光源25と対向するように、且つ光源25からの正射光を受光できる位置に設置されている。同図においては、鉛直上方に向けて照射される光源25からの光を、該光源の直上に位置するラインセンサ26で受光する状態が示されている。ラインセンサ26は、光源25から半製品4に向けて照射された光の透過画像を取得するように構成されている。
【0026】
ラインセンサ26は、受光素子が一列に配列された一次元的な撮像手段である。受光素子は、例えば1024×1ピクセル、2048×1ピクセル、4096×1ピクセルといった形で一次元の線状に配置されている。ラインセンサ26は、ドラム21の軸線方向に沿って一次元の視野を有している。ラインセンサ26は、二次元の撮像手段であるエリアカメラと比較すると、大きな視野を確保することができる点に特徴を有する。ラインセンサ26を使用すると、被写体である半製品4は平面である必要性がないので、曲面であるドラム21の周面に沿って半製品4が伸展された状態であっても、ゆがみのない画像を得ることができる。特に、半製品4の搬送が機械的に最も安定する位置であるドラム21の直上にラインセンサ26を設置することで、精度の高い画像を得ることができる。
【0027】
ラインセンサ26による半製品4の撮像エリアのうち、ドラム21の回転方向に沿う撮像エリアの幅はドラム21とラインセンサ26との間の距離に依存する。ドラム21とラインセンサ26との距離が近いほど、高い精度での撮像が可能である。したがって、撮像の精度や撮像処理速度と半製品4の搬送速度とのバランスを考慮した上で、ドラム21とラインセンサ26との距離を設定することが望ましい。
【0028】
ラインセンサ26は、画像検査装置27に電気的に接続されている。ラインセンサ26で撮像された画像は、画像検査装置27に送信される。また画像検査装置27からラインセンサ26に向けて撮像開始の信号が送信される。ラインセンサ26は、その信号を受信する度に撮像を行うようになっている。
【0029】
画像検査装置27は、モータアンプ28とも電気的に接続されている。モータアンプ28は、先に述べたモータ23に付設されたエンコーダ29によって発生したパルスを受信するようになっている。またモータアンプ28は、モータ23にも接続されており、モータ23の回転を制御している。モータアンプ28は、エンコーダ29によって発生したパルスを受信すると、その受信パルスに対応した信号を画像検査装置27に送信するようになっている。画像検査装置27がその信号を受信すると、画像検査装置27からラインセンサ26に向けて撮像開始の信号が送信されるようになっている。
【0030】
ラインセンサ26によって撮像される1ラインの画像、すなわち1ピクセルの画像に対応する実際の撮像幅(すなわちドラム21の回転方向に沿う長さ)がx(mm)であり、吸収性物品の長手方向の長さがy(mm)である場合、吸収性物品の全長にわたる画像を取得するためには、1個分の吸収性物品の長さに相当する距離だけ半製品4が搬送される間に、y/x回のラインスキャンを行うことが必要である。この目的のために、エンコーダ29は、1個分の吸収性物品の長さに相当する距離だけ半製品4が搬送される間にy/x回のパルスを発生するようになっている。そのパルスがモータアンプ28を介して画像検査装置27へ送信される。
【0031】
半製品4の搬送速度が何らかの原因で変化した場合であっても、1個分の吸収性物品の長さに相当する距離だけ半製品4が搬送される間に発生するパルスの回数は変化しない。したがって、その場合には、パルス発生のインターバルが変化することになる。半製品4の搬送速度が変化した場合には、製造装置1に設けられているラインコントローラ50におけるモータ制御部51からモータアンプ28に向けて制御信号が送信され、ドラム21の回転速度が半製品4の搬送速度と同じになるようにモータ23の回転数が調整される。
【0032】
ラインセンサ26によって取得された半製品4の一次元透過画像は、画像検査装置27に蓄積され、複数の一次元透過画像に基づき二次元の透過画像が生成される。この二次元の透過画像は、1個分の吸収性物品の大きさに相当するものである。このような二次元の透過画像を生成させるために、先ず二次元の透過画像生成のトリガとなる基準信号を設定することが有利である。基準信号としては、計測装置20での半製品4の計測後に、吸収性物品1枚毎に加工を施す後工程によって発生する信号を用いることが好ましい。例えば裁断装置30において半製品4を裁断して吸収性物品を得るときに発生する信号を用いることができる。具体的には、本実施形態においては、裁断装置30に設置されているカットロール32が1回転する度に裁断が行われることから、カットロール32にエンコーダ34を付設しておき、カットロール32が1回転する度にエンコーダ34から信号を発生させ、この信号をラインコントローラ50のタイミング制御部52に送信するように構成する。あるいはカットロールに1回転で1回ONするドグを設置し、近接センサなどで信号を受信して、ラインコントローラ50のタイミング制御部52に送信するように構成する。そして、エンコーダ34あるいは近接センサから発生した信号を基準信号として用い、この基準信号をタイミング制御部52が受信したら、タイミング制御部52から画像検査装置27に向けてトリガ信号53を送信する。画像検査装置27は、トリガ信号53の受信によって、一次元透過画像を順次つなぎ合わせて二次元透過画像を生成していく。二次元透過画像の生成は、半製品4の搬送距離に対応して生成される信号を画像検査装置27が受信することで完了する。具体的には、先に述べた例に当てはめると、トリガ信号53の受信後、エンコーダ29によって発生したパルスをy/x回受信した時点で一次元透過画像のつなぎ合わせを終了し、それによって二次元透過画像の生成が完了する。
【0033】
以上のとおり、本実施形態においては、半製品4の搬送距離に対応して生成される信号と、裁断工程等の後工程での吸収性物品1枚毎の加工に対応して生成される信号(すなわちトリガ信号53)とに基づき、ラインセンサ26によって取得された複数の一次元の透過画像を順次つなぎ合わせて二次元の透過画像を取得している。このような二次元の透過画像の取得方法を採用することには、画像を二次元で撮像したときと比較して、取得された画像のゆがみがなくなり、照明の影響も均一になるため、検査に適しているといった利点がある。
【0034】
以上の手順によって取得された吸収性物品1個分の透過画像のデータを、画像検査装置27に予め入力しておいた既定値と比較して、半製品4における所定部位の位置を計測する。それによって、半製品4の良否を判定する。例えば吸収性物品1個分の透過画像のデータを、二次元の座標データとして保存し、それを予め入力しておいた既定値の座標データと比較する。半製品4における各部の座標データと、既定値の座標データとのずれが所定の範囲内である場合には、その半製品4は良品と判断する。逆に、計測によって得られた座標データと、既定値の座標データとのずれが所定の範囲を超えた場合には、その半製品4は不良品と判断する。
【0035】
半製品4における座標データとしては、例えば連続ウェブ3の縁部の位置での座標データが挙げられる。連続ウェブ3の縁部とは、搬送方向Dに沿って延びる縁部のことである。連続ウェブ3の縁部の位置を計測することで、該連続ウェブ3の蛇行の程度を判定することができる。
【0036】
別の座標データとして、吸収体2の縁部の位置での座標データが挙げられる。吸収体2の縁部とは、搬送方向Dに沿って延びる縁部及び搬送方向Dと直交する方向に沿って延びる縁部の双方を包含する。吸収体2の縁部の位置を計測することで、
図3中、符号Aで示すとおり、吸収体2が配置されているか否かを判定することができる。また、連続ウェブ3に吸収体2が配置されている場合には、
図3中、符号B1及びB2で示すとおり、吸収体2が連続ウェブ3上の適正な位置に配置されているか否か、及び
図3中、符号Cで示すとおり、吸収体2に欠け等の欠陥がなく、その形状が既定のものであるか否かを判定することができる。
【0037】
更に別の座標データとして、半製品4中に配置された各種の弾性部材の座標データが挙げられる。半製品4中には、一般に、搬送方向Dに沿って延びる弾性部材や、搬送方向Dと直交する方向に沿って延びる弾性部材があるところ、ここで言う弾性部材の座標データとは、これらの弾性部材のうちの少なくとも1つの座標データのことである。弾性部材の位置を計測することで、弾性部材が配置されているか否かを判定することができる。また弾性部材が配置されている場合には、該弾性部材が連続ウェブ3上の適正な位置に配置されているか否か、及び弾性部材に切断等の欠陥がなく、既定の長さにわたって配置されているか否かを判定することができる。
【0038】
また更に、吸収性物品がテープ止めの展開型使い捨ておむつである場合には、ファスニングテープの輪郭の内の少なくとも一部の座標データを、計測の対象とすることもできる。ファスニングテープの輪郭の位置を計測することで、連続ウェブ3にファスニングテープが配置されているか否かを判定することができる。また連続ウェブ3にファスニングテープが配置されている場合には、該ファスニングテープが連続ウェブ3上の適正な位置に配置されているか否かを判定することができる。本実施形態においては、半製品4を構成する上述の各種の部材のうちの少なくとも1つの位置を計測することが好ましい。
【0039】
以上の方法に従い取得された二次元の透過画像は、従来の方法と異なり、ゆがみのないものとなる。したがって、半製品4における各部位の位置を正確に特定することができる。その結果、吸収性物品及びその構成部材の配置位置や寸法を正確に計測でき、装置運転のための設定条件を早期に最適化することが可能になる。それによって、装置の立ち上げ時間を短縮することができ、また歩留りを向上させることができる。ひいては吸収性物品の品質向上に役立てることが可能となる。また、吸収性物品のサイズが大きい場合や、搬送方向Dに沿う長さが長い場合であっても、大径のドラムを用いる必要がない。すなわち、特許文献3に記載の従来技術に比べ、ドラムを小型化できる。ひいては装置1を小型化できる。しかも、大径のドラムを用いる必要がないので、一対のガイド24a,24b間で伸展させる半製品4にむらなく張力を加えることができる。更に、半製品4をドラム21の周面に巻き掛ける範囲は、最低限ラインセンサ26が一次元の透過画像を取得する範囲で足りるので、半製品4とドラム21との接触を少なくすることができる。それによってドラム21に傷が発生したり、ドラム21が汚染されたりした場合の該ドラム21の交換頻度を少なくすることができる。また、半製品4が受けるダメージが少ないので、目的とする吸収性物品5の品質が向上する。
【0040】
以上の方法で、半製品4における所定部位の位置を計測して該半製品4の良否を判定した結果は、検査判定信号54として、画像検査装置27からラインコントローラ50の排出制御部55へ向けて送信される。検査判定信号54が「不良」との判断の信号であった場合、排出制御部55は、排出装置40に向けて排出信号56を送信する。排出信号56を受信した排出装置40は、半製品4における不良と判定された部位に対応する吸収性物品5’が、排出装置40に達したら、該吸収性物品5’を不良品として排出する排出工程を行う。
【0041】
本実施形態によれば、以上の方法で半製品4における所定部位の位置を計測した結果をフィードバックすることで、不良品の発生を低減させることができる。例えば、半製品4中の吸収体2における該半製品4の搬送方向Dに沿う前端縁又は後端縁の位置を計測し、その位置の座標データと既定値の座標データとのずれが所定の範囲を超えた場合には、計測結果に基づき、半製品4の搬送方向Dに沿う吸収体2の配置位置を調整して、吸収体2が連続ウェブ3における適正位置に配置されるようにすることができる。吸収体2の配置位置の調整は、例えば転写ドラム10の回転速度の調整によって達成される。これ以外に、計測工程よりも後工程での半製品4の加工タイミング、又はすべての工程での半製品4の加工タイミングを調整することで、半製品4を構成する各部材が適正な位置に配置されるようにすることができる。このように、吸収体2における半製品4の搬送方向Dに沿う前端縁又は後端縁の位置を計測し、該計測結果に基づき、(イ)半製品4の搬送方向Dに沿う吸収体2の配置位置、(ロ)後工程での半製品4の加工タイミング、及び(ハ)すべての工程での半製品4の加工タイミングのうちの少なくとも1つを調整することで、不良品の発生を低減させることができる。
【0042】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、製造装置1中に1個の計測装置20を設置したが、計測装置20の設置個数は1個に限られず、半製品4の加工の状態に応じて複数の計測装置20を搬送ライン中に設置することができる。例えば、連続ウェブ3上に吸収体2を配置した後に、第1の計測装置を設置し、その下流側の位置で連続ウェブ3に弾性部材や別の連続ウェブを配置し、その下流側の位置に第2の計測装置を設置することができる。
【0043】
また、計測装置20によって計測される半製品4の部位は、上述した連続ウェブ3、吸収体2、弾性部材及びファスニングテープに限られず、それ以外に半製品4を構成する部材を計測の対象としてもよい。