特許第6600549号(P6600549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6600549
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】電気抵抗測定装置及び電気抵抗測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/02 20060101AFI20191021BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   G01R27/02 R
   B60C19/00 H
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-243885(P2015-243885)
(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公開番号】特開2017-110958(P2017-110958A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾藤 健介
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−54228(JP,A)
【文献】 特開2006−317380(JP,A)
【文献】 特開平10−16512(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/056444(WO,A1)
【文献】 特開平11−73592(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0169357(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/02
B60C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの内周部に電気的に接続される内周測定子と、
前記タイヤの外周部に電気的に接続される外周測定子と、
前記内周測定子及び前記外周測定子と電気的に接続され、前記内周測定子及び前記外周測定子間の前記タイヤの電気抵抗を測定する測定部と、を備え、
前記外周測定子は、前記タイヤの外周部に接触する複数の導電部を備え、
前記複数の導電部は、互いに電気的に絶縁され、
前記測定部は、前記タイヤの電気抵抗を測定する測定本体部と、前記複数の導電部のうち、前記測定本体部と電気的に接続する導電部を切り替え可能な外周接続部と、を備える、電気抵抗測定装置。
【請求項2】
前記複数の導電部は、タイヤ周方向に沿って長尺に形成され、且つ、タイヤ幅方向に並列される、請求項1に記載の電気抵抗測定装置。
【請求項3】
前記複数の導電部は、タイヤ周方向に並列され、且つ、タイヤ幅方向に並列される、請求項1に記載の電気抵抗測定装置。
【請求項4】
前記導電部のタイヤ幅方向の寸法は、タイヤ幅方向で隣接される前記導電部間の隙間の寸法よりも、大きい、請求項2又は3に記載の電気抵抗測定装置。
【請求項5】
タイヤの外周部に、互いに電気的に絶縁されている複数の導電部を接触させることと、
前記タイヤの内周部に、内周測定子を電気的に接続させることと、
前記複数の導電部の各々と前記内周測定子との間の前記タイヤの電気抵抗をそれぞれ個別に測定することと、を含む電気抵抗測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの外周部と内周部との間の電気抵抗を測定する電気抵抗測定装置及び電気抵抗測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの電気抵抗を測定する電気抵抗測定装置として、タイヤの外周部に電気的に接続される外周測定子と、タイヤの内周部に電気的に接続される内周測定子とを備える電気抵抗測定装置が、知られている(例えば、特許文献1及び2)。そして、電気抵抗測定装置は、外周測定子及び内周測定子間のタイヤの電気抵抗を測定する。
【0003】
ところで、特許文献1及び2に係る電気抵抗測定装置は、タイヤの外周部のうち、外周測定子と接触している部分と、タイヤの内周部のうち、内周測定子と接触している部分との間のタイヤの電気抵抗を測定する。したがって、タイヤの外周部の異なる部分と内周部との間の電気抵抗を測定するためには、タイヤの外周部に対する外周測定子の位置を変える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−89161号公報
【特許文献2】特開2008−247068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、タイヤの外周部に対する外周測定子の位置を変えることなく、タイヤの外周部の複数の部分と内周部との間の電気抵抗をそれぞれ測定することができる電気抵抗測定装置及び電気抵抗測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電気抵抗測定装置は、タイヤの内周部に電気的に接続される内周測定子と、前記タイヤの外周部に電気的に接続される外周測定子と、前記内周測定子及び前記外周測定子と電気的に接続され、前記内周測定子及び前記外周測定子間の前記タイヤの電気抵抗を測定する測定部と、を備え、前記外周測定子は、前記タイヤの外周部に接触する複数の導電部を備え、前記複数の導電部は、互いに電気的に絶縁され、前記測定部は、前記タイヤの電気抵抗を測定する測定本体部と、前記複数の導電部のうち、前記測定本体部と電気的に接続する導電部を切り替え可能な外周接続部と、を備える。
【0007】
また、電気抵抗測定装置においては、前記複数の導電部は、タイヤ周方向に沿って長尺に形成され、且つ、タイヤ幅方向に並列される、という構成でもよい。
【0008】
また、電気抵抗測定装置においては、前記複数の導電部は、タイヤ周方向に並列され、且つ、タイヤ幅方向に並列される、という構成でもよい。
【0009】
また、電気抵抗測定装置においては、前記導電部のタイヤ幅方向の寸法は、タイヤ幅方向で隣接される前記導電部間の隙間の寸法よりも、大きい、という構成でもよい。
【0010】
また、電気抵抗測定方法は、タイヤの外周部に、互いに電気的に絶縁されている複数の導電部を接触させることと、前記タイヤの内周部に、内周測定子を電気的に接続させることと、前記複数の導電部の各々と前記内周測定子との間の前記タイヤの電気抵抗をそれぞれ個別に測定することと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
以上の如く、電気抵抗測定装置及び電気抵抗測定方法は、タイヤの外周部に対する外周測定子の位置を変えることなく、タイヤの外周部の複数の部分と内周部との間の電気抵抗をそれぞれ測定することができる、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、空気入りタイヤの全体斜視図である。
図2図2は、空気入りタイヤのタイヤ子午面における要部断面図である。
図3図3は、一実施形態に係る電気抵抗測定装置の全体模式図である。
図4図4は、同実施形態に係る外周測定子の全体斜視図である。
図5図5は、他の実施形態に係る外周測定子の全体斜視図である。
図6図6は、さらに他の実施形態に係る外周測定子の全体斜視図である。
図7図7は、同実施形態に係る外周測定子の全体図であって、外周測定子がタイヤの外周部に接触している状態を示す図である。
図8図8は、さらに他の実施形態に係る電気抵抗測定装置の全体模式図である。
図9図9は、さらに他の実施形態に係る電気抵抗測定装置の全体模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、電気抵抗測定装置における一実施形態について、図1図4を参酌して説明する。なお、各図(図5図9も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0014】
まず、電気抵抗測定装置の各構成を説明するのに先立って、電気抵抗測定装置で測定される空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)について説明する。図1及び図2に示すように、タイヤ10は、ビードを有する一対のビード部11と、各ビード部11からタイヤ径方向D2の外側に延びるサイドウォール部12と、一対のサイドウォール部12のタイヤ径方向D2の外端部に連接され、トレッド面13aを構成するトレッド部13とを備えている。
【0015】
図1及び図2において、第1の方向D1は、タイヤ幅方向D1であり、第2の方向D2は、タイヤ10の直径方向であるタイヤ径方向D2であり、第3の方向D3は、タイヤ回転軸周りの方向であるタイヤ周方向D3である。また、タイヤ赤道面S1は、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ幅方向D1の中心に位置する面であり、タイヤ子午面は、タイヤ回転軸を含む面で且つタイヤ赤道面S1と直交する面である。
【0016】
図2に示すように、タイヤ10は、導電性を有する導電ゴム部14〜17と、導電性を有しない(電気絶縁性を有する)非導電ゴム部18とを備えている。そして、タイヤ10がリム100に装着された際に、導電ゴム部14〜17は、トレッド面13aからリム100にまで延びる導電経路を構成することになる。なお、導電経路の構成は、図2に示すような導電経路の構成に限られない。
【0017】
なお、導電ゴム部14〜17は、導電性ゴムで形成されており、該導電性ゴムは、例えば、体積抵抗率が10Ω・cm未満を示すゴムをいう。また、非導電ゴム部18は、非導電ゴムで形成されており、該非導電ゴムは、例えば、体積抵抗率が10Ω・cm以上を示すゴムをいう。
【0018】
ところで、タイヤ10は、一般的に、タイヤ周方向D3に沿って、同じゴム材を配置している。即ち、図2に示すようなタイヤ子午面におけるタイヤ10の断面において、何れのタイヤ子午面に関わらず、導電ゴム部14〜17及び非導電ゴム部18の配置は、略同じである。
【0019】
図3に示すように、本実施形態に係る電気抵抗測定装置1は、タイヤ10の内周部に電気的に接続される内周測定子2と、タイヤ10の外周部に電気的に接続される外周測定子3とを備えている。そして、電気抵抗測定装置1は、内周測定子2及び外周測定子3間のタイヤ10の電気抵抗を測定する測定部4を備えている。
【0020】
なお、タイヤ10の内周部は、タイヤ10のタイヤ径方向D2の内側の部分をいい、タイヤ10の外周部は、タイヤ10のタイヤ径方向D2の外側の部分をいう。本実施形態においては、タイヤ10の内周部は、リム100に接触しているビード部11をいい、タイヤ10の外周部は、サイドウォール部12及びトレッド部13をいう。
【0021】
内周測定子2は、タイヤ10の内周部に間接的に接触する導電性の接部21と、測定者が把持するための把持部22とを備えている。本実施形態においては、接部21は、導電性を有するリム100に接触することで、タイヤ10のビード部11と電気的に接続されている。
【0022】
図4に示すように、外周測定子3は、電気絶縁性を有する板状のベース部31と、ベース部31の表面に配置され、タイヤ10の外周部(例えば、トレッド面13a)に接触する複数の導電部32とを備えている。本実施形態においては、ベース部31は、樹脂で形成されており、導電部32は、金属で形成されている。そして、外周測定子3は、剛性を有している。
【0023】
図4図5も同様)において、トレッド面13aが、破線及び2点鎖線で示されている。図4においては、タイヤ10は、外周測定子3に加圧接触している状態であって、弾性変形している状態である。そして、トレッド面13aのうち、外周測定子3と接触している部分は、破線で示されている。
【0024】
導電部32は、長尺に形成されている。そして、導電部32は、長さ方向がタイヤ周方向D3に沿うように、配置されている。また、複数の導電部32は、タイヤ幅方向D1に並列されている。具体的には、複数の導電部32は、互いに電気的に絶縁するように、互いに離間して配置されている。そして、複数の導電部32は、互いに平行となるように、配置されている。また、複数の導電部32は、タイヤ幅方向D1において、等間隔となるように配置されている。
【0025】
導電部32のタイヤ幅方向D1の寸法は、タイヤ幅方向D1で隣接される導電部32,32間の隙間の寸法よりも、大きくなっている。そして、導電部32のタイヤ幅方向D1の寸法は、1mm〜20mmであることが好ましく、タイヤ幅方向D1で隣接される導電部32,32間の隙間の寸法は、導電部32のタイヤ幅方向D1の寸法以下であることが好ましい。本実施形態においては、導電部32のタイヤ幅方向D1の寸法は、5mmであり、タイヤ幅方向D1で隣接される導電部32,32間の隙間の寸法は、3mmである。
【0026】
図3に戻り、測定部4は、電気抵抗を測定する測定本体部41と、内周測定子2と測定本体部41とを電気的に接続する内周接続部42と、外周測定子3と測定本体部41とを電気的に接続する外周接続部43とを備えている。そして、内周接続部42は、内周測定子2の接部21と測定本体部41とを電気的に接続する電線42aを備えている。
【0027】
外周接続部43は、外周測定子3の導電部32に接触する導電性の導電接部43aと、測定者が把持するための把持部43bと、導電接部43aと測定本体部41とを電気的に接続する電線43cとを備えている。そして、外周接続部43は、測定者が導電接部43aと接触する導電部32を変更することで、複数の導電部32のうち、測定本体部41と電気的に接続する導電部32を切り替えられる。
【0028】
測定本体部41は、内周測定子2及び外周測定子3間のタイヤ10(及びリム100)に電気を供給する給電部41aと、内周測定子2及び外周測定子3間の所定の電気要素を検出する検出部41bとを備えている。そして、測定本体部41は、内周測定子2及び外周測定子3間の電気抵抗値を演算する演算部41cと、演算部41cが演算した電気抵抗値を出力する出力部41dとを備えている。
【0029】
本実施形態においては、給電部41aは、内周測定子2及び外周測定子3間のタイヤ10(及びリム100)に所定の電圧を印加し、検出部41bは、内周測定子2及び外周測定子3間のタイヤ10(及びリム100)に流れる電流を検出する。そして、演算部41cは、給電部41aが印加した電圧値と検出部41bが検出した電流値とに基づいて、内周測定子2及び外周測定子3間のタイヤ10(及びリム100)の電気抵抗値を演算し、出力部41dは、演算部41cが演算した電気抵抗値を表示する。
【0030】
なお、給電部41aは、内周測定子2及び外周測定子3間のタイヤ10(及びリム100)に所定の電流を流し、検出部41bは、内周測定子2及び外周測定子3間のタイヤ10(及びリム100)に発生した電圧を検出してもよい。要するに、測定本体部41が内周測定子2及び外周測定子3間のタイヤ10(及びリム100)の電気抵抗を測定する構成は、限定されない。
【0031】
本実施形態に係る電気抵抗測定装置1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る電気抵抗測定方法について、図3及び図4を参酌して、説明する。
【0032】
まず、タイヤ10のトレッド部13を、外周測定子3に加圧接触させる。そして、内周測定子2を、タイヤ10が装着されているリム100に接触させ、また、外周接続部43の導電接部43aを、複数の導電部32のうち、所定の導電部32に接触させる。なお、外周測定子3とタイヤ10との接触、内周測定子2とリム100との接触、外周接続部43と1つ目の導電部32との接触の順番は、特に限定されない。
【0033】
その後、測定部4は、導電接部43aに接触されている導電部32と内周測定子2との間のタイヤ10(及びリム100)に電気を供給することで、当該導電部32及び内周測定子2間の電気抵抗を測定する。そして、外周測定子3とタイヤ10の外周部との接触状態を維持しつつ、導電接部43aを、別の導電部32に接触させることで、測定部4は、当該別の導電部32及び内周測定子2間のタイヤ10(及びリム100)の電気抵抗を測定する。
【0034】
これにより、トレッド部13の複数の部分とリム100が接触しているビード部11との間のタイヤ10(及びリム100)の電気抵抗をそれぞれ測定することができる。したがって、例えば、ゴム部材(導電ゴム部14〜17、非導電ゴム部18)の位置が、適切な位置(設計上、配置されるべき位置)であるか確認することができる。
【0035】
以上より、本実施形態に係る電気抵抗測定装置1は、タイヤ10の内周部に電気的に接続される内周測定子2と、前記タイヤ10の外周部に電気的に接続される外周測定子3と、前記内周測定子2及び前記外周測定子3と電気的に接続され、前記内周測定子2及び前記外周測定子3間の前記タイヤ10の電気抵抗を測定する測定部4と、を備え、前記外周測定子3は、前記タイヤ10の外周部に接触する複数の導電部32を備え、前記複数の導電部32は、互いに電気的に絶縁され、前記測定部4は、前記タイヤの電気抵抗を測定する測定本体部41と、前記複数の導電部32のうち、前記測定本体部41と電気的に接続する導電部32を切り替え可能な外周接続部43と、を備える。
【0036】
斯かる構成によれば、外周測定子3は、タイヤ10の外周部に電気的に接続される複数の導電部32を備えており、複数の導電部32は、互いに電気的に絶縁されている。そして、外周接続部43は、複数の導電部32のうち、測定本体部41と電気的に接続する導電部32を切り替える。
【0037】
これにより、測定本体部41は、タイヤ10の外周部の複数の部分と内周部との間の電気抵抗をそれぞれ測定できる。したがって、タイヤ10の外周部に対する外周測定子3の位置を変えることなく、タイヤ10の外周部の複数の部分と内周部との間の電気抵抗をそれぞれ測定することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る電気抵抗測定方法は、タイヤ10の外周部に、互いに電気的に絶縁されている複数の導電部32を接触させることと、前記タイヤ10の内周部に、内周測定子2を接触させることと、前記複数の導電部32の各々と前記内周測定子2との間の前記タイヤ10の電気抵抗をそれぞれ個別に測定することと、を含む。
【0039】
斯かる方法によれば、互いに電気的に絶縁されている複数の導電部32が、タイヤ10の外周部に接触し、内周測定子2が、タイヤ10の内周部に接触する。そして、複数の導電部32の各々と内周測定子2との間のタイヤ10の電気抵抗が、それぞれ個別に測定される。これにより、タイヤ10の外周部に対する複数の導電部32の位置を変えることなく、タイヤ10の外周部の複数の部分と内周部との間の電気抵抗をそれぞれ測定することができる。
【0040】
ところで、タイヤ10は、一般的に、タイヤ周方向D3に沿って、同じゴム材を配置している。それに対して、本実施形態に係る電気抵抗測定装置1及び電気抵抗測定方法においては、前記複数の導電部32は、タイヤ周方向D3に沿って長尺に形成され、且つ、タイヤ幅方向D1に並列される、という構成である。
【0041】
斯かる構成によれば、複数の導電部32が、タイヤ周方向D3に沿って長尺に形成され、且つ、タイヤ幅方向D1に並列されているため、各導電部32は、タイヤ10の外周部に、タイヤ周方向D3に沿って接触する。これにより、タイヤ10の外周部及び内周部間の電気抵抗を安定して測定することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る電気抵抗測定装置1においては、前記導電部32のタイヤ幅方向D1の寸法は、タイヤ幅方向D1で隣接される前記導電部32,32間の隙間の寸法よりも、大きい、という構成である。
【0043】
斯かる構成によれば、導電部32のタイヤ幅方向D1の寸法が、タイヤ幅方向D1で隣接される前記導電部32,32間の隙間の寸法よりも大きいため、導電部32の領域を大きく確保することができる。これにより、例えば、タイヤ10の局所的な導電ゴム部14〜17や非導電ゴム部18を確実に検出することができる。
【0044】
なお、電気抵抗測定装置及び電気抵抗測定方法は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、電気抵抗測定装置及び電気抵抗測定方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0045】
上記実施形態に係る電気抵抗測定装置1及び電気抵抗測定方法においては、複数の導電部32は、タイヤ周方向D3に沿って長尺に形成され、且つ、タイヤ幅方向D1に並列される、という構成である。しかしながら、電気抵抗測定装置及び方法は、斯かる構成に限られない。例えば、複数の導電部は、タイヤ幅方向D1に沿って長尺に形成され、且つ、タイヤ周方向D3に並列される、という構成でもよい。
【0046】
また、例えば、複数の導電部32は、図5に示すように、タイヤ周方向D3に並列され、且つ、タイヤ幅方向D1に並列される、という構成でもよい。斯かる構成によれば、導電部32が、タイヤ幅方向D1だけでなく、タイヤ周方向D3においても、並列されているため、例えば、タイヤ周方向D3において、導電部14が途切れている場合や、部材の電気抵抗が変化している場合を検出することができる。
【0047】
また、図5に係る外周測定子3においては、導電部32のタイヤ幅方向D1の寸法は、タイヤ幅方向D1で隣接される導電部32,32間の隙間の寸法よりも、大きい、という構成である。さらに、導電部32のタイヤ周方向D3の寸法は、タイヤ周方向D3で隣接される導電部32,32間の隙間の寸法よりも、大きい、という構成である。
【0048】
また、上記実施形態に係る電気抵抗測定装置1及び電気抵抗測定方法においては、外周測定子3は、剛性を有する、という構成である。しかしながら、電気抵抗測定装置及び方法は、斯かる構成に限られない。例えば、図6及び図7に示すように、外周測定子3は、タイヤ10の外周部に沿って変形するように、弾性又は可撓性を有する、という構成でもよい。
【0049】
図6及び図7に係る外周測定子3は、ベース部31は、長尺な板状に形成されており、導電部32は、ベース部31の長手方向に並列されている。そして、外周測定子3の長手方向の寸法は、タイヤ10のトレッド部13のタイヤ幅方向D1の全体とサイドウォール部12のタイヤ径方向D2の一部とに接触できるように、設定されている。
【0050】
また、上記実施形態に係る電気抵抗測定装置1及び電気抵抗測定方法においては、外周接続部43は、複数の導電部32のうち、測定本体部41と電気的に接続する導電部32を切り替可能なように、測定者によって、導電部32に接触させられる導電接部43aを備える、という構成である。しかしながら、電気抵抗測定装置及び方法は、斯かる構成に限られない。
【0051】
例えば、図8に示すように、外周接続部43は、複数の導電部32のうち、測定本体部41と電気的に接続する導電部32を切り替可能な切替部43dを備える、という構成でもよい。そして、切替部43dは、複数の導電部32のうち、測定本体部41と電気的に接続する導電部32を、測定者によって、手動で切り替えられる(例えば、切替スイッチ)、という構成でもよく、制御することによって、自動的に切り替える(例えば、自動切り替え制御)、という構成でもよい。
【0052】
また、上記実施形態に係る電気抵抗測定装置1及び電気抵抗測定方法においては、内周測定子2は、タイヤ10の内周部に間接的に接触する、という構成である。しかしながら、電気抵抗測定装置及び方法は、斯かる構成に限られない。例えば、図9に示すように、内周測定子2は、タイヤ10の内周部に直接的に接触する、という構成でもよい。
【0053】
図9に係る内周測定子2は、タイヤ10の内周部に接触する導電性の接部21と、測定者が把持するための把持部22とを備えている。そして、接部21は、接触するタイヤ10の内周部の形状に対応して形成されている。具体的には、接部21は、接触するビード部11と嵌合するように、形成されている。
【0054】
また、上記実施形態に係る電気抵抗測定装置1及び電気抵抗測定方法においては、導電部32のタイヤ幅方向D1の寸法は、タイヤ幅方向D1で隣接される導電部32,32間の隙間の寸法よりも、大きい、という構成である。しかしながら、電気抵抗測定装置及び方法は、斯かる構成に限られない。例えば、導電部32のタイヤ幅方向D1の寸法は、タイヤ幅方向D1で隣接される導電部32,32間の隙間の寸法よりも、小さい、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…電気抵抗測定装置、2…内周測定子、3…外周測定子、4…測定部、10…空気入りタイヤ、11…ビード部、12…サイドウォール部、13…トレッド部、13a…トレッド面、14…導電ゴム部、15…導電ゴム部、16…導電ゴム部、17…導電ゴム部、18…非導電ゴム部、21…接部、22…把持部、31…ベース部、32…導電部、41…測定本体部、41a…給電部、41b…検出部、41c…演算部、41d…出力部、42…内周接続部、42a…電線、43…外周接続部、43a…導電接部、43b…把持部、43c…電線、43d…切替部、D1…タイヤ幅方向、D2…タイヤ径方向、D3…タイヤ周方向、S1…タイヤ赤道面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9