(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シートは、前記照射部の移動方向に沿うように、前記配管と前記排気ボックスとの接続部から一方側と他方側とに延びるとともに、環状に繋がるように同一の部材により一体に形成されている
請求項3に記載の紫外線照射装置。
前記シートは、前記照射部の移動方向に沿うように、前記配管と前記排気ボックスとの接続部から一方側に延びる第一シートと、前記接続部から他方側に延びるとともに前記第一シートに同期して移動可能な第二シートとを含む
請求項3に記載の紫外線照射装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、紫外線照射装置においては、基板に紫外線を照射する照射部を移動させる構成が考えられる。照射部には、照射部の熱を排出する配管が接続されている。しかしながら、このような構成では、照射部を移動させると、配管が照射部の移動に追従するように引っ張られるため、配管に過度の負荷がかかる可能性がある。そのため、配管の寿命を向上する上で課題があった。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明は、照射部の熱を排出する配管の寿命を向上することが可能な紫外線照射装置及び紫外線照射方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る紫外線照射装置は、基板に紫外線を照射可能な照射部と、前記照射部の熱を排出可能な配管を有する排気部と、前記照射部及び前記配管を同期させて移動可能な移動部と、を含む。
この構成によれば、照射部及び配管を同期させて移動させることができるため、配管が照射部の移動に追従するように引っ張られることはない。すなわち、照射部を移動させた場合であっても、配管に過度の負荷がかかることを抑制することができる。したがって、配管の寿命を向上することができる。
【0008】
上記の紫外線照射装置において、前記排気部は、前記配管を移動可能に接続するともに前記照射部の移動方向に沿うように延び、かつ、前記配管からの熱を排出可能な排気口を有する排気ボックスを更に含んでいてもよい。
この構成によれば、照射部の移動方向に沿うように延びる排気ボックスの長手方向に沿って配管を移動させつつ、配管からの熱を排気口から排出することができる。したがって、配管の移動を安定して行うとともに、配管から排気口までの熱の排気経路を確保することができる。
【0009】
上記の紫外線照射装置において、前記排気部は、前記照射部の移動方向に沿うように延びるとともに前記排気ボックスの内部空間を覆い、かつ、前記配管の移動に従って移動可能なシートを更に含んでいてもよい。
この構成によれば、排気ボックスの内部空間が配管の移動に従って移動するシートによって覆われるため、配管からの熱が外部に漏れることを抑制することができる。したがって、シートを用いた簡単な構成で、配管からの熱の排出効率を維持することができる。
【0010】
上記の紫外線照射装置において、前記シートは、前記照射部の移動方向に沿うように、前記配管と前記排気ボックスとの接続部から一方側と他方側とに延びるとともに、環状に繋がるように同一の部材により一体に形成されていてもよい。
この構成によれば、環状に形成されたシートをその周方向に回動させることができる。そのため、シートが接続部から一方側と他方側とに直線状に延びるように形成された場合と比較して、配管の移動に従って移動するシートの移動軌跡を小さくすることができる。したがって、装置を小型化することができる。
【0011】
上記の紫外線照射装置において、前記シートは、前記照射部の移動方向に沿うように、前記配管と前記排気ボックスとの接続部から一方側に延びる第一シートと、前記接続部から他方側に延びるとともに前記第一シートに同期して移動可能な第二シートとを含んでいてもよい。
この構成によれば、第一シートに同期して第二シートを移動させることができるため、配管の移動をより一層安定して行うことができる。
【0012】
上記の紫外線照射装置において、前記シートは、前記内部空間を囲むように前記排気ボックスの外周に沿うように配置されていてもよい。
この構成によれば、配管の移動に従って移動するシートの移動軌跡を可及的に小さくすることができるため、装置を効果的に小型化することができる。
【0013】
上記の紫外線照射装置において、前記シートは、樹脂シートであってもよい。
この構成によれば、シートが金属シートである場合と比較して、軽量化することができるため、配管の移動に従ってシートをスムーズに移動させることができる。また、耐酸化性を発揮することができるため、部品劣化を抑制することができ、シートの寿命を向上することができる。
【0014】
上記の紫外線照射装置において、前記排気部は、前記シートの張りを調整可能なテンショナーを更に含んでいてもよい。
この構成によれば、シートが配管の移動に従って移動する際に、シートが過度に引っ張られたり過度に撓んだりすることを抑制することができる。したがって、配管の移動をより一層安定して行うことができる。
【0015】
上記の紫外線照射装置において、前記排気部は、前記照射部の移動方向に沿うように延びるとともに前記シートを案内し、かつ、前記配管からの熱が通過可能な通過孔が形成された案内板を更に含んでいてもよい。
この構成によれば、シートが配管の移動に従って移動する際にシートを案内しつつ、案内板の通過孔を介して配管からの熱を排気口から排出することができる。したがって、配管の移動をより一層安定して行うとともに、配管から排気口までの熱の排気経路を確保することができる。
【0016】
上記の紫外線照射装置において、前記案内板のうち前記配管と前記排気ボックスとの接続部における前記通過孔の開口面積は、前記排気口の面積以上であってもよい。
この構成によれば、配管からの熱(排気)が通過孔を通る前後で排気の流量を一定に維持することができるため、照射部の温度を一定に維持することができる。したがって、照射部から照射される紫外線の照度分布を均一化することができる。
【0017】
上記の紫外線照射装置において、前記通過孔は、前記照射部の移動方向に沿うように前記案内板に規則的に複数配置されていてもよい。
この構成によれば、照射部及び配管を同期させて移動させている間、配管と排気ボックスとの接続部における通過孔の開口面積を常時一定に維持することができる。これにより、照射部及び配管を同期させて移動させている間、排気の流量を一定に維持することができるため、照射部の温度を一定に維持することができる。したがって、照射部から照射される紫外線の照度分布を常時均一化することができる。
【0018】
上記の紫外線照射装置において、前記排気部は、前記照射部の温度に基づいて、前記配管及び前記排気ボックスの少なくとも一部を通過する気体の流量を調整可能な流量調整部を更に含んでいてもよい。
この構成によれば、照射部の温度に適合するように排気の流量を調整することができるため、照射部から照射される紫外線の照度分布をより一層均一化することができる。
【0019】
上記の紫外線照射装置において、前記移動部は、前記照射部及び前記配管を同期させて移動可能とする共通の駆動源を含んでいてもよい。
この構成によれば、照射部及び配管をまとめて一括して移動させることができるため、照射部及び配管を別個独立に移動させる場合と比較して、装置構成の簡素化を図ることができる。
【0020】
上記の紫外線照射装置において、前記基板を密閉空間で収容可能な収容部を更に備え、前記照射部、前記排気部及び前記移動部は、前記収容部の外部に設けられ、前記移動部は、前記照射部及び前記配管を同期させて前記収容部の外部で移動させてもよい。
この構成によれば、密閉空間を有する収容部の内部で基板を静止させた状態で、収容部の外部で照射部及び配管を移動させつつ収容部の内部の基板に紫外線を照射することができるため、基板の移動に伴うパーティクルの発生を考慮する必要がない。また、照射部及び配管の移動は収容部の外部で行われるため、仮に照射部及び配管の移動に伴いパーティクルが発生したとしても、収容部を密閉空間とすることによって、収容部内へのパーティクルの侵入を回避することができる。従って、収容部内のパーティクルの発生を抑制することができ、基板を清浄に保つことができる。
また、基板を静止させた状態で照射部及び配管を移動させることによって、照射部及び配管よりも平面視サイズの大きい基板を用いても、照射部及び配管を静止させた状態で基板を移動させる場合と比較して、基板に紫外線を照射する際に必要なスペースを節約することができ、フットプリントを小さくすることができる。
また、収容部内で基板を静止させた状態とすることによって、収容部内は基板の収容スペースを確保するだけで済むため、収容部内で基板を移動させる場合と比較して、収容部の容積を小さくすることができ、収容部内の酸素濃度及び露点の管理をしやすくなる。また、収容部内の酸素濃度を調整する際に使用する窒素の消費量を削減することができる。
【0021】
本発明の一態様に係る紫外線照射方法は、基板に紫外線を照射可能な照射部と、前記照射部の熱を排出可能な配管を有する排気部と、を含む紫外線照射装置を用いた紫外線照射方法であって、前記照射部及び前記配管を同期させて移動させる移動ステップを含む。
この方法によれば、照射部及び配管を同期させて移動させることができるため、配管が照射部の移動に追従するように引っ張られることはない。すなわち、照射部を移動させた場合であっても、配管に過度の負荷がかかることを抑制することができる。したがって、配管の寿命を向上することができる。
【0022】
上記の紫外線照射方法において、前記照射部の温度に基づいて、前記配管、及び前記配管を移動可能に接続するともに前記照射部の移動方向に沿うように延び、かつ、前記配管からの熱を排出可能な排気口を有する排気ボックスの少なくとも一部を通過する気体の流量を調整する流量調整ステップを更に含んでいてもよい。
この方法によれば、照射部の温度に適合するように排気の流量を調整することができるため、照射部から照射される紫外線の照度分布をより一層均一化することができる。
【0023】
上記の紫外線照射方法において、前記基板を密閉空間で収容可能な収容部を更に備え、前記照射部及び前記排気部は、前記収容部の外部に設けられ、前記移動ステップは、前記照射部及び前記配管を同期させて前記収容部の外部で移動させてもよい。
この方法によれば、密閉空間を有する収容部の内部で基板を静止させた状態で、収容部の外部で照射部及び配管を移動させつつ収容部の内部の基板に紫外線を照射することができるため、基板の移動に伴うパーティクルの発生を考慮する必要がない。また、照射部及び配管の移動は収容部の外部で行われるため、仮に照射部及び配管の移動に伴いパーティクルが発生したとしても、収容部を密閉空間とすることによって、収容部内へのパーティクルの侵入を回避することができる。従って、収容部内のパーティクルの発生を抑制することができ、基板を清浄に保つことができる。
また、基板を静止させた状態で照射部及び配管を移動させることによって、照射部及び配管よりも平面視サイズの大きい基板を用いても、照射部及び配管を静止させた状態で基板を移動させる場合と比較して、基板に紫外線を照射する際に必要なスペースを節約することができ、フットプリントを小さくすることができる。
また、収容部内で基板を静止させた状態とすることによって、収容部内は基板の収容スペースを確保するだけで済むため、収容部内で基板を移動させる場合と比較して、収容部の容積を小さくすることができ、収容部内の酸素濃度及び露点の管理をしやすくなる。また、収容部内の酸素濃度を調整する際に使用する窒素の消費量を削減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、照射部の熱を排出する配管の寿命を向上することが可能な紫外線照射装置及び紫外線照射方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX方向、水平面内においてX方向と直交する方向をY方向、X方向及びY方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ方向とする。
【0027】
<紫外線照射装置>
図1は、実施形態に係る紫外線照射装置1の斜視図である。
図2は、実施形態に係る紫外線照射装置1の上面図である。
図3は、
図2のIII−III断面図を含む、実施形態に係る紫外線照射装置の側面図である。
図1〜
図3に示すように、紫外線照射装置1は、基板10に対して紫外線の照射を行う装置である。紫外線照射装置1は、チャンバ2(収容部)、ステージ3、照射ユニット4、搬送機構5(移動部)、排気部6、ガス供給部7及び制御部8を備える。制御部8は、紫外線照射装置1の構成要素を統括制御する。
【0028】
<チャンバ>
チャンバ2は、紫外線の照射処理が行われる基板10を収容する。チャンバ2は、上面視で矩形をなす箱状に形成される。具体的に、チャンバ2は、基板10の上方を覆う矩形板状の天板20と、基板10の側方を囲むように覆う矩形枠状の周壁21と、基板10の下方を覆う底板22とによって形成される。周壁21の−Y方向側には、チャンバ2に対して基板10の搬入及び搬出をするための基板搬出入口21aが設けられる。
【0029】
例えば、天板20、周壁21及び底板22は、紫外線を遮光する遮光部材によって形成される。これにより、チャンバ2の内部の基板10に対して紫外線を照射する際に、紫外線がチャンバ2の外部に漏れることを回避することができる。
【0030】
チャンバ2は、基板10を密閉空間で収容可能に構成される。例えば、天板20、周壁21及び底板22の各接続部を溶接等で隙間なく結合することで、チャンバ2内の気密性を向上することができる。例えば、チャンバ2には、ポンプ機構等の減圧機構(不図示)が設けられる。これにより、チャンバ2内を減圧させた状態で基板10を収容することができる。
【0031】
図3に示すように、チャンバ2内には、基板10を加熱する加熱機構11が設けられる。加熱機構11は、基板10と略同じ平面視サイズの矩形板状を有し、基板10を下方から支持するように配置される。加熱機構11は、ステージ3に取り付けられる。加熱機構11は、ヒータ等(不図示)を含む。
【0032】
図2に示すように、チャンバ2の天板20には、紫外線を通過可能な透過部23が設けられる。透過部23は、天板20の一部を構成する。透過部23は、上面視で天板20よりも小さい矩形板状に形成される。透過部23は、天板20を厚み方向に開口する矩形の開口部20hに取り付けられている。例えば、透過部23は、石英、耐熱ガラス、樹脂シート、樹脂フィルム等を用いる。
【0033】
透過部23のサイズは、基板10よりも大きいサイズに設定される。これにより、基板10に対して紫外線を照射する際に、紫外線が天板20の遮光部(透過部23以外の部分)によって遮光されることを回避することができるため、基板10の上面全体に均一に紫外線を照射することができる。
【0034】
なお、開口部20hのサイズは、基板10を出し入れ可能なサイズに設定されてもよい。また、透過部23は、開口部20hに着脱自在に嵌め込まれてもよい。これにより、透過部23を開口部20hに嵌め込んだときはチャンバ2内を密閉空間とすることができ、透過部23を開口部20hから脱離したときはチャンバ2内に基板10を出し入れすることができる。
【0035】
<ステージ>
ステージ3は、チャンバ2及び搬送機構5を上面で支持する。ステージ3は、Z方向に厚みを有する板状をなす。
ステージ3は、架台31によって下方から支持される。
架台31は、複数の鋼材等の角柱を格子状に組み合わせて形成される。
なお、架台31の下端部には、複数の車輪31aが回転自在に取り付けられる。これにより、架台31をXY平面内で自在に移動させることができる。
【0036】
<昇降機構>
図3に示すように、チャンバ2の下方には、基板10をZ方向に移動可能とする昇降機構25が設けられる。昇降機構25には、複数のリフトピン25aが設けられる。複数のリフトピン25aの先端(+Z側の端)は、XY平面に平行な同一面内に配置される。
【0037】
複数のリフトピン25aの先端は、ステージ3、底板22及び加熱機構11を挿通可能とされる。
具体的に、ステージ3には、ステージ3を厚み方向に開口する複数の挿通孔3aが形成される。底板22には、各挿通孔3aに平面視で重なる位置で底板22を厚み方向に開口する複数の挿通孔22aが形成される。加熱機構11には、各挿通孔22aに平面視で重なる位置で加熱機構11を厚み方向に開口する複数の挿通孔11aが形成される。複数のリフトピン25aの先端は、各挿通孔3a,22a,11aを介して基板10の下面に当接及び離反可能とされる。そのため、複数のリフトピン25aの先端によって、基板10がXY平面に平行に支持されるようになっている。
【0038】
昇降機構25は、チャンバ2内に収容される基板10を支持しつつチャンバ2内のZ方向に移動するようになっている。
図3においては、複数のリフトピン25aの先端が各挿通孔3a,22a,11aを介して基板10の下面に当接すると共に上昇することによって、基板10を加熱機構11から離反した状態を示している。
【0039】
なお、昇降機構25において、複数のリフトピン25aを昇降させる駆動源25bは、チャンバ2の外部に配置される。そのため、仮に駆動源25bの駆動に伴いパーティクルが発生したとしても、チャンバ2を密閉空間とすることによって、チャンバ2内へのパーティクルの侵入を回避することができる。
【0040】
<照射ユニット>
照射ユニット4は、チャンバ2の外部に設けられる。照射ユニット4は、照射部40及び集光部材41を備える。
照射部40は、基板10にi線等の紫外線を照射可能に構成される。
ここで、「紫外線」とは、波長範囲の下限が1nm程度、上限が可視光線の短波長端の光を意味する。
【0041】
例えば、照射部40は、メタルハライドランプを用いる。
なお、照射部40は、これに限らず、高圧水銀ランプ、LEDランプを用いてもよい。また、照射部40は、これらのランプを複数組み合わせてもよい。
【0042】
例えば、照射部40の下面には、波長が300nmよりも低い成分をカットするフィルタが設けられてもよい。これにより、フィルタを介して射出される紫外線の波長は300nm以上となるため、紫外線の照射によって基板10の過度の温度上昇を抑制することができる。
【0043】
集光部材41は、照射部40から射出される紫外線を基板10上に集光する。基板10上に紫外線を集光させることで、照射部40から射出される紫外線が基板10の外部に拡散することを抑制することができるため、照度を向上することができる。
【0044】
<搬送機構>
図1及び
図2に示すように、搬送機構5は、チャンバ2の外部に設けられる。搬送機構5は、チャンバ2の外部からチャンバ2の内部に収容されている基板10に紫外線が照射されるように照射ユニット4をチャンバ2の外部で移動させる。搬送機構5は、ガイド部50、土台53及び門型フレーム54を備える。搬送機構5は、照射部40と、排気部6の配管60とを同期させて移動可能に構成されている。
【0045】
ガイド部50は、一対のレール51と、スライダ52とを備える。例えば、ガイド部50は、リニアモータアクチュエータを用いる。ガイド部50は、照射部40と、排気部6の配管60とを同期させて移動可能とする共通の駆動源である。ガイド部50は、請求項に記載の「駆動源」に相当する。
【0046】
一対のレール51は、チャンバ2を−Y方向側及び+Y方向側から挟むように照射ユニット4の移動方向(照射部40の移動方向)であるX方向に延びる。
スライダ52は、一対のレール51に沿って摺動可能に構成される。
土台53は、ステージ3の四隅に複数(例えば本実施形態では四隅に一つずつ計四つ)設けられる。各土台53は、一対のレール51におけるX方向両端部を支持する。
【0047】
門型フレーム54は、チャンバ2をY方向に跨ぐように門型に形成されると共に、一対のレール51に沿って移動可能とされる。門型フレーム54は、Z方向に延びる一対の門柱部54aと、一対の門柱部54aの間を連結するようにY方向に延びる連結部54bとを備える。門型フレーム54における各門柱部54aの下端部には、スライダ52が取り付けられる。
【0048】
図3に示すように、門型フレーム54における連結部54bの内部には、照射ユニット4を保持する保持部54cが設けられる。保持部54cは、門型フレーム54におけるY方向中間部の下面から上方に窪む凹部を形成する。照射ユニット4のうち照射面4a(下面)を除く部分は、保持部54cの凹部に囲まれ、門型フレーム54の壁部によって覆われる。例えば、門型フレーム54は、紫外線を遮光する遮光部材によって形成される。これにより、照射ユニット4から紫外線を照射する際に、紫外線が門型フレーム54の側方に拡散することを回避することができ、紫外線を下方(チャンバ2内の基板10)に向けて照射することができる。
【0049】
図2に示すように、X方向において、各レール51の長さL1は、チャンバ2の長さL2よりも長い(L1>L2)。本実施形態では、X方向において、各レール51の長さL1は、チャンバ2の長さL2と、門型フレーム54二つ分の長さ(2×L3)とを足し合わせた長さ(L2+2×L3)よりも長くする。これにより、上面視において、チャンバ2の−X方向端を超える領域からチャンバ2の+X方向端を超える領域まで照射ユニット4を移動させることができる。
【0050】
<ガス供給部>
チャンバ2には、チャンバ2の内部雰囲気の状態を調整可能なガス供給部7が設けられる。ガス供給部7は、乾燥ガスとして窒素(N
2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスを供給する。
【0051】
ガス供給部7により、チャンバ2の内部雰囲気の露点を調整することができ、チャンバ2内の水分濃度を調整することができる。
例えば、ガス供給部7は、チャンバ2の内部雰囲気の露点を−80℃(水分濃度0.54ppm質量基準)以上且つ−5℃(水分濃度4000ppm質量基準)以下とするように乾燥ガスの供給を調整する。
例えば、レジスト膜の露光後のプレパターンを硬化するときの雰囲気において、このように露点を好ましい上限以下とすることにより、パターンの硬化を進行しやすくすることができる。一方、好ましい下限以上とすることにより、装置を運用する上での作業性等を向上することができる。
【0052】
また、ガス供給部7により、チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度を調整することもできる。チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度(質量基準)は、低いほど好ましい。具体的には、チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度を、1000ppm以下とすることが好ましく、500ppm以下とすることがより好ましい。
例えば、レジスト膜の露光後のプレパターンを硬化するときの雰囲気において、このように酸素濃度を好ましい上限以下とすることにより、パターンの硬化を進行しやすくすることができる。
【0053】
<排気部>
図4は、実施形態に係る排気部6の斜視図である。
図5は、実施形態に係る排気部6の上面図である。
図6は、
図5のVI−VI断面を含む、実施形態に係る排気部6の側面図である。
図7は、
図5のVII−VII断面図である。
図8は、
図6のVIII−VIII断面図である。なお、
図5及び
図8においては、便宜上、シート70の図示を省略している。
【0054】
図1に示すように、排気部6は、チャンバ2の外部に設けられる。排気部6は、ステージ3の+Y方向側に配置されている。排気部6は、照射ユニット4(照射部40)の熱を排出可能な配管60と、配管60を移動可能に接続する排気ボックス61とを備える。
【0055】
図示はしないが、チャンバ2の外部には、照射ユニット4を冷却可能な冷却部が設けられる。例えば、冷却部は、門型フレーム54の側壁部(門柱部54a)に取り付けられる。例えば、冷却部は、ブロワを用いる。これにより、排気部6(具体的には、配管60及び排気ボックス61)を介して、照射ユニット4によって生じた熱気を外部に排気することができる。
【0056】
<配管>
図1及び
図4に示すように、配管60は、門型フレーム54の+Y方向側の側壁部(門柱部54a)と後述する可動部65との間をわたすように延びる筒状の部材である。配管60は、L字状に屈曲している。配管60の一端部60a(−Y方向側の端部)は、門型フレーム54の+Y方向側の側壁部(門柱部54a)に固定されている。配管60の他端部60b(−Z方向側の端部)は、後述する可動部65に固定されている。これにより、配管60は、照射部40と共にチャンバ2の外部でX方向に移動可能になっている。
【0057】
なお、配管60の一端部60aは、門型フレーム54の+Y方向側の側壁部に着脱可能に接続されている。これにより、配管60の一端部60aのメンテナンス性を向上することができる。
【0058】
<排気ボックス>
図2及び
図4に示すように、排気ボックス61は、照射ユニット4の移動方向(照射部40の移動方向)であるX方向に延びている。排気ボックス61は、配管60からの熱を外部に排出可能な排気口63hを有する。X方向において、排気ボックス61の長さL4は、各レール51の長さL1と実質的に同じ長さである(L4≒L1)。
【0059】
図5〜
図7に示すように、排気ボックス61は、第一底壁61a、第二底壁61b、一対の側壁61c、一対のガイド壁61d、第一隔壁61e及び第二隔壁61fを備える。
【0060】
第一底壁61aは、Z方向に厚みを有するとともにX方向に延びる。
第二底壁61bは、第一底壁61aよりも−Z方向側に配置されるとともに、第一底壁61aと実質的に同一の形状を有する。
一対の側壁61cは、Y方向に厚みを有するとともにX方向に延び、かつ、第二底壁61bのY方向両端部から+Z方向に起立して第一底壁61aと第二底壁61bとのY方向端部間を繋いだ後に更に+Z方向に延びる。
一対のガイド壁61dは、Z方向に厚みを有するとともにX方向に延び、かつ、一対の側壁61cの上端部のY方向間の内側に突出する。
【0061】
第一隔壁61eは、X方向に厚みを有するとともに、第一底壁61a及び一対の側壁61cの+X方向側の端部間をわたすように配置される。すなわち、第一隔壁61eは、排気ボックス61の内部空間61sを+X方向側から閉塞する。
第二隔壁61fは、X方向において排気ボックス61の長さL4(
図2参照)程度の間隔を空けて第一隔壁61eと対向する。第二隔壁61fは、第一隔壁61eと実質的に同一の形状を有し、かつ、第一底壁61a及び一対の側壁61cの−X方向側の端部間をわたすように配置される。すなわち、第二隔壁61fは、排気ボックス61の内部空間61sを−X方向側から閉塞する。
【0062】
なお、排気ボックス61の内部空間61sは、第一底壁61a、一対の側壁61c、第一隔壁61e、第二隔壁61f及び後述する案内板64によって囲まれる空間である。
【0063】
図6及び
図7に示すように、第一底壁61aと第二底壁61bとの間には、シート70がX方向に移動可能な底壁側空間61tが形成されている。底壁側空間61tのZ方向の間隔は、シート70の厚みよりも大きい。すなわち、底壁側空間61tのZ方向の間隔は、シート70が第一底壁61aと第二底壁61bとの間をスムーズに移動可能な大きさに設定されている。
【0064】
図5及び
図6に示すように、一対のガイド壁61dは、配管60を支持する可動部65をスライド可能に支持している。一対のガイド壁61dのY方向間の間隔は、後述する案内板64に形成された通過孔64hの形成領域のY方向の長さよりも大きい。
一対の側壁61cのうち+Y方向側の壁部には、排気口63hを形成する円筒状の排気管63が固定されている。排気管63は、排気ボックス61の内部空間61sに連通している。
【0065】
図4に示すように、排気ボックス61の下部には、ケーブル支持部材62が設けられている。例えば、ケーブル支持部材62は、ケーブルベア(登録商標)である。ケーブル支持部材62には、不図示の電源線等のケーブルが引き回されている。これにより、ケーブルを屈曲した状態で、排気部6を駆動させることができる。
【0066】
<シート>
図4及び
図6に示すように、排気部6は、排気ボックス61の内部空間61sを覆うシート70を更に備える。シート70は、照射ユニット4の移動方向(照射部40の移動方向)であるX方向に沿うように延びている。シート70は、配管60の移動に従って移動可能に構成されている。
【0067】
具体的に、シート70は、照射ユニット4の移動方向(照射部40の移動方向)であるX方向に沿うように、配管60と排気ボックス61との接続部である可動部65から一方側(−X方向側)と他方側(+X方向側)とに延びるとともに、環状に繋がるように同一の部材により一体に形成されている。シート70は、内部空間61sを囲むように排気ボックス61の外周に沿うように配置されている。例えば、シート70は、樹脂シートである。
【0068】
図5及び
図6に示すように、排気部6は、シート70を巻き掛ける複数(例えば本実施形態では六つ)のローラ(具体的には、第一ローラ71、第二ローラ72、第三ローラ73、第四ローラ74、第五ローラ75及び第六ローラ76)を備える。シート70は、排気ボックス61の+X方向側において二つのローラ(具体的には、第一ローラ71及び第二ローラ72)に巻き掛けられている。シート70は、排気ボックス61の−X方向側において四つのローラ(具体的には、第三ローラ73、第四ローラ74、第五ローラ75及び第六ローラ76)に巻き掛けられている。
【0069】
排気部6は、第一カバー77及び第二カバー78を更に備える。
第一カバー77は、第一ローラ71及び第二ローラ72を覆うとともに、第一ローラ71及び第二ローラ72を回動自在に支持する。第一カバー77は、−X方向側に開口する箱状をなすとともに、排気ボックス61の各壁(具体的には、第二底壁61b、一対の側壁61c及び一対のガイド壁61d)の+X方向側の端部に着脱可能に取り付けられている。これにより、第一カバー77の内部(例えば、第一ローラ71及び第二ローラ72)のメンテナンス性を向上することができる。
【0070】
第二カバー78は、第三ローラ73、第四ローラ74、第五ローラ75及び第六ローラ76を覆うとともに、第三ローラ73、第四ローラ74、第五ローラ75及び第六ローラ76を回動自在に支持する。第二カバー78は、+X方向側に開口する箱状をなすとともに、排気ボックス61の各壁(具体的には、第二底壁61b、一対の側壁61c及び一対のガイド壁61d)の−X方向側の端部に着脱可能に取り付けられている。これにより、第二カバー78の内部(例えば、第三ローラ73、第四ローラ74、第五ローラ75及び第六ローラ76)のメンテナンス性を向上することができる。
【0071】
<テンショナー>
排気部6は、シート70の張りを調整可能なテンショナー79を更に備える。テンショナー79は、第二カバー78のY方向両側部に配置されている。テンショナー79は、X方向に間隔を空けて並ぶ第四ローラ74及び第六ローラ76に対して、第四ローラ74と第六ローラ76との間に位置する第五ローラ75を近接及び離反可能とする。例えば、第四ローラ74及び第六ローラ76に対して第五ローラ75を近接させた場合には、シート70の張りを弱めることができる。一方、第四ローラ74及び第六ローラ76に対して第五ローラ75を離反させた場合には、シート70の張りを強めることができる。
【0072】
<可動部>
図5及び
図6に示すように、可動部65は、ベース部65a、本体部65b、接続部65c及び一対のガイド片65dを備える。
【0073】
図6に示すように、ベース部65aは、後述する案内板64と、ガイド壁61dとの間に配置される。ベース部65aは、Z方向に厚みを有するとともに、上面視で矩形枠状をなす。すなわち、ベース部65aには、配管60からの熱が通過可能な貫通孔65hがZ方向に開口して形成されている。貫通孔65hは、案内板64の通過孔64hを介して排気ボックス61の内部空間61sに連通している。
【0074】
本体部65bは、ベース部65aにおける貫通孔65hの周辺部に接続される。本体部65bは、
図6の断面視で、+Z方向側ほど開口面積が小さくなるようにZ方向に延びる筒状をなす。
【0075】
接続部65cは、本体部65bから+Z方向に延びる円筒状をなす。接続部65cには、配管60の他端部60b(
図4参照)が着脱可能に接続される。これにより、配管60の他端部60b及び接続部65cのメンテナンス性を向上することができる。
【0076】
一対のガイド片65dは、本体部65bからY方向両側に延びるとともに、ガイド壁61dに沿うようにX方向に延びる。一対のガイド片65dは、ベース部65aのY方向両端部との間で、ガイド壁61dを挟むように配置される。
【0077】
ベース部65aの+X方向側の端部には、シート70の一端部70aを着脱可能に係止する第一係止部66が設けられる。ベース部65aの−X方向側の端部には、シート70の他端部70bを着脱可能に係止する第二係止部67が設けられる。
【0078】
以下、シート70の配置方法の一例を説明する。先ず、シート70の一端部70aを、第一係止部66を介してベース部65aの+X方向側の端部に係止する。その後、シート70を、第一ローラ71及び第二ローラ72に掛け回す。その後、シート70を、他端部70bの側から底壁側空間61tに通した後、第三ローラ73、第四ローラ74、第五ローラ75及び第六ローラ76に掛け回す。その後、シート70の他端部70bを、第二係止部67を介してベース部65aの−X方向の端部に係止する。そして、シート70の張りをテンショナー79によって調整する。このようにして、シート70は、可動部65を介して環状に繋がるとともに、内部空間61sを囲むように配置される。
【0079】
<案内板>
図6に示すように、排気部6は、シート70を案内する案内板64を更に備える。案内板64は、Z方向に厚みを有するとともに、照射ユニット4の移動方向(照射部40の移動方向)であるX方向に延びる。案内板64には、配管60からの熱が通過可能な通過孔64hが形成されている。
【0080】
図5に示すように、上面視において、通過孔64hは円形をなしている。通過孔64hは、照射ユニット4の移動方向(照射部40の移動方向)であるX方向とY方向とに、案内板64に規則的に複数配置されている。例えば、案内板64は、パンチングメタルである。
【0081】
図6及び
図8に示すように、案内板64のうち配管60と排気ボックス61との接続部(すなわち可動部65)における通過孔64hの開口面積S2は、排気口63hの面積S1以上である。ここで、通過孔64hの開口面積S2とは、案内板64全体に形成されている通過孔64hのうち、上面視で貫通孔65hから露出している通過孔64hのみの開口面積を意味する。排気口63hの面積S1とは、排気管63の開口面積を意味する。
なお、
図8においては、便宜上、一対のガイド片65d等の図示を省略している。
【0082】
<流量調整部>
図4に示すように、排気部6は、照射部40(
図1参照)の温度に基づいて、配管60の少なくとも一部を通過する気体の流量を調整可能な流量調整部68を更に備える。流量調整部68は、配管60に設けられている。例えば、流量調整部68は、流量調整弁である。
【0083】
<紫外線照射方法>
次に、本実施形態に係る紫外線照射方法を説明する。本実施形態では、上記の紫外線照射装置1を用いて基板10に紫外線を照射する。紫外線照射装置1の各部で行われる動作は、制御部8によって制御される。
【0084】
本実施形態に係る紫外線照射方法は、収容ステップ、照射ステップ及び移動ステップを含む。
収容ステップにおいて、チャンバ2は、基板10を密閉空間で収容する。例えば、基板搬出入口21aを介してチャンバ2内に基板10を搬送した後、基板搬出入口21aを閉塞してチャンバ2を密閉する。
【0085】
照射ステップにおいて、照射ユニット4は、基板10に紫外線を照射する。
移動ステップにおいて、搬送機構5は、チャンバ2の外部からチャンバ2の内部に収容されている基板10に紫外線が照射されるように照射ユニット4をチャンバ2の外部で移動させる。
【0086】
移動ステップにおいて、照射ユニット4及び配管60を同期させて移動させる。移動ステップにおいて、透過部23を介してチャンバ2の内部の基板10に紫外線が照射されるように照射ユニット4をチャンバ2の外部で移動させる。上述の通り、門型フレーム54の+Y方向側の側壁部には配管60が取り付けられているため、移動ステップにおいて、照射ユニット4と共に配管60をチャンバ2の外部で移動させる。
【0087】
移動ステップにおいて、一対のレール51の−X方向端(一端)と+X方向端(他端)との間で照射ユニット4を往復移動させる。例えば、
図3の上面視において、チャンバ2の−X方向端を超える領域からチャンバ2の+X方向端を超える領域まで照射ユニット4を往復移動させる。
【0088】
本実施形態に係る紫外線照射方法は、流量調整ステップを更に含む。
流量調整ステップにおいて、流量調整部68は、照射部40の温度に基づいて、配管60の少なくとも一部を通過する気体の流量を調整する。
【0089】
なお、本実施形態に係る紫外線照射方法は、ガス供給ステップを更に含む。
ガス供給ステップにおいて、ガス供給部7は、チャンバ2の内部雰囲気の露点を調整する。また、ガス供給ステップにおいて、ガス供給部7は、チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度を調整する。
【0090】
以上のように、本実施形態によれば、照射部及び配管60を同期させて移動させることができるため、配管60が照射部40の移動に追従するように引っ張られることはない。すなわち、照射部40を移動させた場合であっても、配管60に過度の負荷がかかることを抑制することができる。したがって、配管60の寿命を向上することができる。
【0091】
また、排気部6が、配管60を移動可能に接続するともに照射部40の移動方向に沿うように延び、かつ、配管60からの熱を排出可能な排気口63hを有する排気ボックス61を更に含むことで、照射部40の移動方向に沿うように延びる排気ボックス61の長手方向に沿って配管60を移動させつつ、配管60からの熱を排気口63hから排出することができる。したがって、配管60の移動を安定して行うとともに、配管60から排気口63hまでの熱の排気経路を確保することができる。
【0092】
また、排気部6が、照射部40の移動方向に沿うように延びるとともに排気ボックス61の内部空間61sを覆い、かつ、配管60の移動に従って移動可能なシート70を更に含むことで、排気ボックス61の内部空間61sが配管60の移動に従って移動するシート70によって覆われるため、配管60からの熱が外部に漏れることを抑制することができる。したがって、シート70を用いた簡単な構成で、配管60からの熱の排出効率を維持することができる。
【0093】
また、シート70が、照射部40の移動方向に沿うように、配管60と排気ボックス61との接続部である可動部65から一方側と他方側とに延びるとともに、環状に繋がるように同一の部材により一体に形成されていることで、環状に形成されたシート70をその周方向に回動させることができる。そのため、シート70が可動部65から一方側と他方側とに直線状に延びるように形成された場合と比較して、配管60の移動に従って移動するシート70の移動軌跡を小さくすることができる。したがって、装置を小型化することができる。
【0094】
また、シート70が内部空間61sを囲むように排気ボックス61の外周に沿うように配置されていることで、配管60の移動に従って移動するシート70の移動軌跡を可及的に小さくすることができるため、装置を効果的に小型化することができる。
【0095】
また、シート70が樹脂シート70であることで、以下の効果を奏する。シート70が金属シート70である場合と比較して、軽量化することができるため、配管60の移動に従ってシート70をスムーズに移動させることができる。また、耐酸化性を発揮することができるため、部品劣化を抑制することができ、シート70の寿命を向上することができる。
【0096】
また、排気部6が、シート70の張りを調整可能なテンショナー79を更に含むことで、シート70が配管60の移動に従って移動する際に、シート70が過度に引っ張られたり過度に撓んだりすることを抑制することができる。したがって、配管60の移動をより一層安定して行うことができる。
【0097】
また、排気部6が、照射部40の移動方向に沿うように延びるとともにシート70を案内し、かつ、配管60からの熱が通過可能な通過孔64hが形成された案内板64を更に含むことで、シート70が配管60の移動に従って移動する際にシート70を案内しつつ、案内板64の通過孔64hを介して配管60からの熱を排気口63hから排出することができる。したがって、配管60の移動をより一層安定して行うとともに、配管60から排気口63hまでの熱の排気経路を確保することができる。
【0098】
また、案内板64のうち配管60と排気ボックス61との接続部である可動部65における通過孔64hの開口面積S2が排気口63hの面積S1以上であることで、配管60からの熱(排気)が通過孔64hを通る前後で排気の流量を一定に維持することができるため、照射部40の温度を一定に維持することができる。したがって、照射部40から照射される紫外線の照度分布を均一化することができる。
【0099】
また、通過孔64hが、照射部40の移動方向に沿うように案内板64に規則的に複数配置されていることで、照射部40及び配管60を同期させて移動させている間、配管60と排気ボックス61との接続部である可動部65における通過孔64hの開口面積S2を常時一定に維持することができる。これにより、照射部40及び配管60を同期させて移動させている間、排気の流量を一定に維持することができるため、照射部40の温度を一定に維持することができる。したがって、照射部40から照射される紫外線の照度分布を常時均一化することができる。
【0100】
また、排気部6が、照射部40の温度に基づいて、配管60の少なくとも一部を通過する気体の流量を調整可能な流量調整部68を更に含むことで、照射部40の温度に適合するように排気の流量を調整することができるため、照射部40から照射される紫外線の照度分布をより一層均一化することができる。
【0101】
また、搬送機構5が、照射部40及び配管60を同期させて移動可能とする共通の駆動源であるガイド部50を含むことで、照射部40及び配管60をまとめて一括して移動させることができるため、照射部40及び配管60を別個独立に移動させる場合と比較して、装置構成の簡素化を図ることができる。
【0102】
また、紫外線照射装置1が、基板10を密閉空間で収容可能なチャンバ2を更に備え、照射部40、排気部6及び搬送機構5は、チャンバ2の外部に設けられ、搬送機構5は、照射部40及び配管60を同期させてチャンバ2の外部で移動させることで、以下の効果を奏する。
密閉空間を有するチャンバ2の内部で基板10を静止させた状態で、チャンバ2の外部で照射部40及び配管60を移動させつつチャンバ2の内部の基板10に紫外線を照射することができるため、基板10の移動に伴うパーティクルの発生を考慮する必要がない。また、照射部40及び配管60の移動はチャンバ2の外部で行われるため、仮に照射部40及び配管60の移動に伴いパーティクルが発生したとしても、チャンバ2を密閉空間とすることによって、チャンバ2内へのパーティクルの侵入を回避することができる。従って、チャンバ2内のパーティクルの発生を抑制することができ、基板10を清浄に保つことができる。
また、基板10を静止させた状態で照射部40及び配管60を移動させることによって、照射部40及び配管60よりも平面視サイズの大きい基板10を用いても、照射部40及び配管60を静止させた状態で基板10を移動させる場合と比較して、基板10に紫外線を照射する際に必要なスペースを節約することができ、フットプリントを小さくすることができる。
また、チャンバ2内で基板10を静止させた状態とすることによって、チャンバ2内は基板10の収容スペースを確保するだけで済むため、チャンバ2内で基板10を移動させる場合と比較して、チャンバ2の容積を小さくすることができ、チャンバ2内の酸素濃度及び露点の管理をしやすくなる。また、チャンバ2内の酸素濃度を調整する際に使用する窒素の消費量を削減することができる。
【0103】
また、チャンバ2には、紫外線を透過可能な透過部23が設けられることで、透過部23を用いた簡単な構成で、透過部23を介して基板10に紫外線を照射することができる。
【0104】
また、チャンバ2は、基板10の上方を覆う天板20を含み、透過部23は、天板20に設けられることで、チャンバ2の天板20に透過部23を設けた簡単な構成で、透過部23を介して基板10に紫外線を照射することができる。又、チャンバ2の一部に透過部23を設けることによって、チャンバ2全体に透過部を設ける場合と比較して、透過部23のメンテナンス性を向上することができる。
【0105】
また、搬送機構5は、チャンバ2を挟むように照射ユニット4の移動方向に延びる一対のレール51(ガイド部50)と、チャンバ2を跨ぐように門型に形成されると共に、一対のレール51に沿って移動可能とされる門型フレーム54と、を含み、門型フレーム54には、照射ユニット4を保持する保持部54cが設けられることで、一般的なレールに沿って照射ユニット4を移動させる場合と比較して、高い剛性を有する門型フレーム54によって照射ユニット4を一対のレール51に沿って移動させることができるため、照射ユニット4の移動を安定して行うことができる。
【0106】
また、チャンバ2の外部には、照射ユニット4を冷却可能な冷却部(不図示)が設けられることで、照射ユニット4を冷却することができるため、紫外線を基板10に連続照射するとき等に照射ユニット4を連続駆動する場合であっても、照射ユニット4が過熱することを抑制することができる。
【0107】
また、チャンバ2には、チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度及び露点を調整可能なガス供給部7が設けられることで、チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度を所定の濃度に調整することができるため、所定の酸素濃度の条件下で紫外線を基板10に照射することができる。また、チャンバ2の内部雰囲気の露点を所定の露点に調整することができるため、所定の露点の条件下で紫外線を基板10に照射することができる。
【0108】
また、移動ステップにおいて、一対のレール51の−X方向端(一端)と+X方向端(他端)との間で照射ユニット4を往復移動させることで、一対のレール51の一端と他端との間で照射ユニット4を一方向にのみ移動させる場合と比較して、紫外線を基板10に繰り返し照射するときであっても、スムーズに効率良く照射することができる。また、一つの照射ユニット4を設ければ足りるため、装置構成の簡素化を図ることができる。
【0109】
(変形例)
次に、実施形態の変形例について、
図9及び
図10を用いて説明する。
図9は、実施形態に係る排気部の変形例を示す側面図である。なお、
図9においては、排気ボックス61の各壁、案内板64等の図示を省略している。
図9に示すように、本変形例では、実施形態に対して、シート170が第一シート170A及び第二シート170Bを備える点で特に異なる。
図9において、実施形態と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0110】
図9に示すように、第一シート170Aは、照射部40の移動方向に沿うように、配管60と排気ボックス61との接続部である可動部65から一方側(+X方向側)に延びる。第一シート170Aの一端部の側は、第一駆動ローラ171に巻回されている。第一シート170Aの他端部は、第一係止部66を介して、ベース部65aの+X方向側の端部に係止されている。
【0111】
第二シート170Bは、照射部40の移動方向に沿うように、可動部65から他方側(−X方向側)に延びる。第二シート170Bは、第一シート170Aに同期して移動可能に構成されている。第二シート170Bの一端部の側は、第二駆動ローラ172に巻回されている。第二シート170Bの他端部は、第二係止部67を介して、ベース部65aの−X方向側の端部に係止されている。
【0112】
第一駆動ローラ171は、Y方向に延びる第一駆動軸171aの回りに回動可能に構成されている。第二駆動ローラ172は。Y方向に延びる第二駆動軸172aの回りに回動可能に構成されている。
図9においては、第一駆動ローラ171が矢印J1の方向に回動し且つ第二駆動ローラ172が矢印J2の方向に回動することによって、第一シート170A及び第二シート170Bが−X方向(矢印Kの方向)に同期して移動している状態を示している。
【0113】
本変形例によれば、第一シート170Aに同期して第二シート170Bを移動させることができるため、配管60(
図1参照)の移動をより一層安定して行うことができる。
【0114】
図10は、実施形態に係る排気部の他の変形例を示す側面図である。なお、
図10においては、排気ボックス61の各壁などの図示を省略している。
図10に示すように、本変形例では、実施形態に対して、シート70が、一対の搬送ローラ180に掛け回された状態で、照射部40の移動方向に沿うように移動可能に構成されている点で特に異なる。
図10において、実施形態と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0115】
一対の搬送ローラ180は、X方向に間隔を空けた状態で、X方向に移動可能に構成されている。一対の搬送ローラ180、シート70及び案内板64によって囲まれた部分には、配管60からの熱が通過可能な空間である通過部180hが形成されている。通過部180hは、案内板64の通過孔64hを介して排気ボックス61の内部空間61s(
図6参照)に連通している。
【0116】
例えば、一対の搬送ローラ180が常時一定の間隔を空けることによって、通過部180hを通過する気体の流量を常時一定に維持することができる。一方、一対の搬送ローラ180の間隔を増減することによって、通過部180hを通過する気体の流量を調整することができる。
【0117】
なお、上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、チャンバ2を一つ設けたが、これに限らず、チャンバ2を二つ以上の複数設けても構わない。
【0118】
また、上記実施形態においては、案内板64の通過孔64hの上面視形状が円形である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、案内板64の通過孔64hの上面視形状は、楕円形であってもよく、三角形、四角形等の多角形であってもよい。また、案内板64はパンチングメタルである例を挙げて説明したが、これに限らず、上面視で梯子状をなす部材であってもよい。すなわち、案内板64の形状は、設計仕様に応じて種々の形状を採用することができる。
【0119】
また、上記実施形態においては、流量調整部68が、配管60の少なくとも一部を通過する気体の流量を調整可能に構成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、流量調整部68は、排気ボックス61の少なくとも一部を通過する気体の流量を調整可能に構成されていてもよい。すなわち、流量調整部68は、配管60及び排気ボックス61の少なくとも一部を通過する気体の流量を調整可能に構成されていればよい。
【0120】
また、上記実施形態においては、排気部6を紫外線照射装置1に適用した例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、排気部6を、ノズルの乾燥装置等の他の装置に適用してもよい。
【0121】
なお、上記において実施形態又はその変形例として記載した各構成要素は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせることができるし、また、組み合わされた複数の構成要素のうち一部の構成要素を適宜用いないようにすることもできる。