(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有機性廃棄物の生物処理後の汚泥に高分子凝集剤を添加し、該高分子凝集剤が添加された汚泥の撹拌により凝集物を得て、該凝集物を脱水処理する汚泥の脱水方法において、
前記有機性廃棄物の生物処理後の汚泥が、食品廃棄物のメタン発酵処理後の消化液であり、
前記高分子凝集剤が、請求項1又は2に記載の高分子凝集剤であり、
前記高分子凝集剤の添加および前記撹拌が、
前記生物処理後の汚泥に高分子凝集剤の必要添加量の一部を添加して第1の撹拌を行い、
該第1の撹拌後に前記必要添加量の残部を添加して前記第1の撹拌よりも遅い速度で第2の撹拌を行うことによりなされることを特徴とする汚泥の脱水方法。
【背景技術】
【0002】
し尿処理場や下水処理場等において有機物含有排水の浄化処理を行うと、浄化された処理水とともに有機性汚泥が発生する。有機性汚泥には凝集剤を添加する凝集処理が施され、脱水機等による脱水処理が施されて脱水ケーキとなる。
【0003】
また、従来、食品廃棄物のメタン発酵処理により発生するメタンガスを含むバイオガスの回収が実施されており、バイオガス回収後の消化液中の固形物が脱水されて脱水ケーキとなる。
【0004】
また、回収されたバイオガス中のメタンガスのエネルギーは発電や後述する脱水ケーキの焼却のために用いられている。
【0005】
脱水ケーキは、セメントや埋め立ての材料とされ、あるいは焼却処理されることにより処分されるが、いずれの方法で処分されるにしても脱水ケーキの重量および容積を削減するため、脱水ケーキの含水率を可能な限り低下させることが求められている。
【0006】
排水の浄化処理により生じる有機性汚泥の中には難脱水性のものもあり、かかる難脱水性の有機性汚泥由来の脱水ケーキの含水率を低下させたいというニーズがある。
特に、下水処理場等の汚泥処理施設で発生する余剰汚泥に対してさらに嫌気性消化を施した消化汚泥は、一般に負のコロイド値が高く、凝集させるためには多量の凝集剤の添加が必要となる。これは、食品廃棄物のメタン発酵処理後の消化液中の固形物についても当てはまる。
【0007】
また、消化汚泥や上記メタン発酵処理後の消化液中の固形物中の浮遊物質SS(Suspended Solids)の粒子径は小さく、繊維分が少ないので強固なフロックを形成し難く、したがって、脱水処理後の脱水ケーキの含水率が低下しにくいという問題がある。
【0008】
さらに、消化汚泥およびメタン発酵処理後の消化液中の固形物に基づく脱水ケーキは脱水処理時にベルトプレス等の脱水手段からの脱水ケーキの剥離性が悪く、脱水処理の作業性の低下の要因ともなっている。
【0009】
そこで、脱水ケーキの含水率を低下させるため、下水消化汚泥の脱水方法が、特許文献1及び特許文献2に提案されている。
【0010】
具体的には、特許文献1には、消化汚泥に無機系凝集剤およびアクリレート系カチオン高分子凝集剤を添加して凝集フロックを生成させた後、脱水処理を行う消化汚泥の脱水方法が開示され、これによれば、消化汚泥にカチオン系凝集剤としてアクリレート系カチオン高分子凝集剤を添加することでフロックの粗大化が促され、従来よりも添加する無機凝集剤の添加量を抑えつつ脱水ケーキの含水率の低下が実現される。
【0011】
特許文献2には、消化汚泥にカチオンポリマーを添加して凝集処理を行い、凝集した汚泥を重力脱水し、重力脱水した汚泥に無機凝集剤を加えて調質し、調質汚泥に両性ポリマーを添加して脱水処理を行う消化汚泥の脱水方法が開示され、これによれば、消化汚泥へのカチオンポリマーの添加後の重力脱水処理により消化汚泥が濃縮され、濃縮された消化汚泥に無機凝集剤を添加することで、最初に消化汚泥に無機凝集剤が添加される場合に生じる問題、例えば炭酸ガスの発生、汚泥中の液体と無機凝集剤の反応による無機凝集剤の消費が回避される。
【0012】
特許文献3には、汚泥と高分子凝集剤の混合の仕方に特徴を有する汚泥の凝集方法が開示され、具体的には、汚泥を第1の高分子凝集剤溶液と混合して高速撹拌し、さらに第2の高分子凝集剤溶液を混合して低速撹拌を行い、凝集フロックを形成する汚泥の凝集方法である。
【0013】
これによれば、消化汚泥に対して第1の高分子凝集剤を添加して高速撹拌し、次に第2の高分子凝集剤を添加して低速撹拌することで、高速撹拌により第1の高分子凝集剤が汚泥の細部まで行き渡り、その後の低速撹拌によって第1の高分子凝集剤が混合された汚泥に第2の高分子凝集剤が緩やかに接触し、凝集フロックが成長する。
【0014】
即ち、高分子凝集剤と汚泥との均一な混合および凝集フロックの成長が実現され、凝集剤添加量を抑制しつつ脱水後に得られる脱水ケーキの含水率を低下させることが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1の消化汚泥の脱水方法によれば、従来よりも添加する無機凝集剤の量は低減されているものの、消化汚泥の凝結のために高分子凝集剤の10倍以上の量の無機凝集剤を凝集処理の最初に添加することが必須であり、相変わらず脱水ケーキの含水率を低下させるために多量の凝集剤の使用が必要となる問題がある。
【0017】
また、特許文献2によれば、汚泥粒子の荷電の中和および強固なフロックの形成のためにカチオンポリマーの10倍超の量の無機凝集剤の添加が必要となり、特許文献1と同じ問題がある。
【0018】
特許文献3は、本願の出願人の特許出願に係る発明であり、これによれば、無機凝集剤を添加する必要がなく、凝集剤添加量を抑制しつつ脱水ケーキの含水量を低下させることができるが、同一種類の高分子凝集剤が2度に分けて添加される方法を開示するのみであり、脱水ケーキの物性については何ら詳細を開示していない。
【0019】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、添加量を全体として削減しつつ脱水ケーキ含水率の低減を実現することができ、且つ脱水ケーキの剥離性を向上しうる、有機性廃棄物の生物処理後の汚泥の凝集処理用の高分子凝集剤、その高分子凝集剤を用いた汚泥の脱水方法およびその汚泥の脱水方法に用いる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、有機性廃棄物の生物処理後の汚泥の凝集処理のために該汚泥に添加される高分子凝集剤であって、ポリアミジンと、アミノアルキル(メタ)アクリレートを
含む重合体
との質量比が、10:90〜90:10の範囲である混合物であ
り、前記有機性廃棄物の生物処理後の汚泥が、食品廃棄物のメタン発酵処理後の消化液であることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、高分子凝集剤が所定の撹拌条件下で有機性廃棄物の生物処理後の汚泥に添加された場合に、従来よりも凝集物の内部まで高分子凝集剤を行き渡らせることが可能となるので、得られた凝集物の水の抜け道となる細孔も発達し、その脱水性も良好なものとなる。
【0022】
したがって、凝集剤の添加量を全体として削減しつつ得られた脱水ケーキの含水率を低下させることができる。また、得られた脱水ケーキの剥離性も向上する。
【0023】
本発明に係る高分子凝集剤の好ましい態様は以下の通りである。
【0024】
(1)
アミノアルキル(メタ)アクリレートを含む重合体が、ジメチルアミノエチルメタクリレート単独重合体、アクリルアミド・ジメチルアミノエチルアクリレート共重合体およびアクリルアミド・アクリル酸・ジメチルアミノエチルアクリレート共重合体からなる群から選択される少なくとも一種以上である。
【0025】
また、上記目的は、有機性廃棄物の生物処理後の汚泥に高分子凝集剤を添加し、該高分子凝集剤が添加された汚泥の撹拌により凝集物を得て、該凝集物を脱水処理する汚泥の脱水方法において、
前記有機性廃棄物の生物処理後の汚泥が、食品廃棄物のメタン発酵処理後の消化液であり、前記高分子凝集剤が、請求項
1又は2に記載の高分子凝集剤であり、前記高分子凝集剤の添加および前記撹拌が、前記生物処理後の汚泥に高分子凝集剤の必要添加量の一部を添加して第1の撹拌を行い、該第1の撹拌後に前記必要添加量の残部を添加して前記第1の撹拌よりも遅い速度で第2の撹拌を行うことによりなされることを特徴とする汚泥の脱水方法によっても達成される。
【0026】
この構成によれば、有機性廃棄物の生物処理後の汚泥に添加された高分子凝集剤を従来よりも凝集物の内部まで行き渡らせることが可能となるので、得られた凝集物の水の抜け道となる細孔も発達し、その脱水性も良好なものとなる。
【0027】
したがって、凝集剤の添加量を全体として削減しつつ得られた脱水ケーキの含水率を低下させることができる。また、得られた脱水ケーキの剥離性も向上する。
【0028】
さらに、高分子凝集剤の必要添加量の残部が添加され、第1の撹拌よりも遅い速度で第2の撹拌が行われることで、汚泥粒子の凝集が進み、脱水に適した大きさの凝集物が生成する。このとき、本発明の高分子凝集剤が用いられることで、凝集物の内部まで高分子凝集剤が行き渡り、水の抜け道となる細孔が良く発達しているため、脱水性が良好な凝集物となっている。
【0029】
したがって、凝集剤の添加量を全体として削減しつつ得られた脱水ケーキの含水率を低下させることができる。また、得られた脱水ケーキの剥離性も向上する。
【0030】
本発明に係る汚泥の脱水方法の好ましい態様は以下の通りである。
【0031】
(1)高分子凝集剤の必要添加量の一部とその残部との比が、10:90〜90:10の範囲である。
(2)第1の撹拌が、200rpm以上であり、第2の撹拌が、200rpm未満である。
(3)第2の撹拌と脱水処理との間に、凝集物を濃縮する濃縮工程を有し、該濃縮工程中あるいは濃縮工程後脱水処理の前に無機凝集剤を添加することを含む。
【0032】
これにより、無機凝集剤の添加によりさらに強固なフロックが形成されるとともに、汚泥の凝集物とともに存在する分離液と無機凝集剤が反応して添加した無機凝集剤が消費されることがなくなり、無機凝集剤の添加量をも削減することが可能となる。
【0033】
さらに、上記目的は、有機性廃棄物の生物処理後の汚泥に、請求項
1又は2に記載の高分子凝集剤の必要添加量の一部を添加するための第1の凝集剤添加手段と、該第1の凝集剤添加手段により前記高分子凝集剤の前記一部が添加された汚泥中に該高分子凝集剤の一部を分散させるために必要な速度で撹拌し得る第1撹拌手段と、該撹拌により前記高分子凝集剤の一部が分散した分散汚泥に、前記高分子凝集剤の必要添加量の残部を添加するための第2の凝集剤添加手段と、前記汚泥の凝集物を得るために、前記第2の凝集剤添加手段により前記高分子凝集剤の残部が添加された分散汚泥を前記第1撹拌手段よりも遅い速度で撹拌し得る第2撹拌手段と、該第2撹拌手段の撹拌により得られた前記凝集物を脱水する脱水手段と、を有し、前記高分子凝集剤の必要量の一部と前記残部との比が、10:90〜90:10の範囲であ
り、前記有機性廃棄物の生物処理後の汚泥が、食品廃棄物のメタン発酵処理後の消化液であることを特徴とする汚泥の脱水装置によっても達成される。
【0034】
この構成によれば、有機性廃棄物の生物処理後の汚泥に添加された高分子凝集剤を従来よりも凝集物の内部まで行き渡らせることが可能となるので、得られた凝集物の水の抜け道となる細孔も発達し、その脱水性も良好なものとなる。
【0035】
したがって、凝集剤の添加量を全体として削減しつつ得られた脱水ケーキの含水率を低下させることができる。また、得られた脱水ケーキの剥離性も向上する。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、有機性廃棄物の生物処理後の汚泥に添加された高分子凝集剤を従来よりも凝集物の内部まで行き渡らせることが可能となるので、得られた凝集物の水の抜け道となる細孔も発達し、その脱水性も良好なものとなる。
【0037】
したがって、凝集剤の添加量を全体として削減しつつ得られた脱水ケーキの含水率を低下させることができる。したがって、脱水ケーキの埋め立て地への運搬コストや、焼却コストを節約することができる。また、得られた脱水ケーキの剥離性が向上することで、脱水手段における脱水ケーキの閉塞が未然に防止され、脱水手段のメンテナンス間隔を長くとることも可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本発明の実施の形態について図に基づいて詳細に説明する。
【0040】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る汚泥の脱水装置10を示す模式図である。
図1に示すように、汚泥の脱水装置10は、汚泥1が投入される第1撹拌槽12と、第1撹拌槽12に高分子凝集剤2の必要添加量の一部を添加するための第1の凝集剤添加手段14と、第1撹拌槽の下流に位置する第2撹拌槽16と、第2撹拌槽16に高分子凝集剤2の必要添加量の残部を添加するための第2の凝集剤添加手段17と、第2撹拌槽16の下流に位置する脱水手段18と、を有する。
【0041】
汚泥1は、有機性廃棄物の生物処理後の汚泥である。有機性廃棄物は、有機物を含有する廃棄物をいい、性状は液状であっても、固形物であってもよい。固形物の場合、水等の液体と混合されて流動可能な状態となったのちに生物処理に供されることが好ましい。有機性廃棄物としては、食品工場からの排水、下水、食品廃棄物(生ごみ等)、家畜排せつ物等が例示される。
【0042】
生物処理は、好気性処理および嫌気性処理の双方を含む。好気性処理は、従来公知の好気性生物処理を適用することができ、具体的には、有機性廃棄物を槽内に受け入れ、撹拌しながら曝気する処理が例示される。より具体的には、下水処理において用いられる、浮遊生物処理法(活性汚泥法)や生物膜処理法(回転円板法、好気性ろ床法、流動床法)が挙げられる。
【0043】
嫌気性処理は、嫌気性環境下で生育する嫌気性菌の代謝作用によって有機物をメタンガスや炭酸ガスに分解する処理である。したがって、嫌気性菌としてはメタン生成菌が例として挙げられる。嫌気性処理は、より具体的には、嫌気性固定床法、嫌気性流動床法、UASB法、EGSB法等による処理が挙げられる。
【0044】
高分子凝集剤2は、ポリアミジンと、アミノアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合体と、の混合物である。
【0045】
なお、嫌気性処理としてメタン生成菌によるメタン発酵がなされた汚泥1は、一般に7,000sec以上のCSTを有しており、かかるCSTを有する汚泥に対して本発明は特に有効である。
【0046】
高分子凝集剤2の必要添加量とは、汚泥1から、適切な脱水処理を施すための凝集物4を生じさせるために必要な高分子凝集剤2の添加量をいい、汚泥1のSSの固形量(g)に対する高分子凝集剤2の固形量(g)の百分率で表すことができる。
【0047】
高分子凝集剤2の必要添加量は、1.0%以上5.0%以下の範囲であり、好ましくは2.0%以上3.0%以下の範囲である。
【0048】
本発明で用いられるポリアミジンは、N−ビニルホルムアミド及びアクリロニトリルを共重合し、得られた共重合体を塩酸酸性下、加水分解した後に熱処理を行うことにより、分子内側鎖の一級アミノ基とシアノ基が環化されてアミジン環が形成された下記化学式(I)
【化I】
【0049】
で表される繰り返し単位を有する重合体である。ポリアミジンは繰り返し単位(I)以外の他の繰り返し単位を有していてもよいが、繰り返し単位(I)の含有割合は50モル%以上であり、80モル%以上が好ましく、100モル%でもよい。
【0050】
アミノアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合体は、アミノアルキル(メタ)アクリレート系カチオン単量体の単独重合体又はアミノアルキル(メタ)アクリレート系カチオン単量体とアニオン性単量体若しくはノニオン性単量体との共重合体である。
【0051】
アミノアルキル(メタ)アクリレート系カチオン単量体の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩酸塩、硫酸塩等の3級塩;ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩化メチル付加物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化ベンジル等のハロゲン化アリール付加物等の4級塩;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のジアルキル(メタ)アクリルアミド等の塩酸塩及び硫酸塩等の3級塩;ジアルキル(メタ)アクリルアミドの塩化メチル付加物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化ベンジル付加物等のハロゲン化アリール付加物等の4級塩が挙げられる。
【0052】
ノニオン性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0053】
アニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸及びこのナトリウム塩等のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;マレイン酸;アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルキルアルカンスルホン酸及びこのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。
【0054】
いずれの単量体も、単独又は2種以上で使用することができる。
【0055】
重合体の重合方法は特に限定されず、沈殿重合、塊状重合や、分散重合、水溶液重合等が挙げられる。
【0056】
また重合体とともに、溶解性の向上、溶解液の保存安定性向上の目的で固体酸を用いても構わない。固体酸としてはスルファミン酸、酸性亜硫酸ソーダ等が挙げられる。
【0057】
高分子凝集剤2において、ポリアミジンとアミノアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合体の質量比は、10:90〜90:10である。なお、この数値は、両者の合計量を100質量%としたときの質量比である。
【0058】
ポリアミジンの質量比が10質量%未満であると後述する脱水ケーキ38の含水率低減効果が充分に得られず、90質量%を超えると後述する第2撹拌槽16における高分子凝集剤2の必要添加量の残部の添加後の凝集物の成長が不十分となり、脱水手段36での圧搾等に耐える強固なフロックを形成しなくなる。
【0059】
上記質量比の範囲において、ポリアミジンとアミノアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合体との質量比は、汚泥1の性状や使用する脱水手段36に応じて任意に調整することができる。
【0060】
本発明における高分子凝集剤2は、水に溶解した水溶液として用いられる。水溶液の濃度は特に限定されないが0.05〜1.5%が好ましい。
【0061】
第1撹拌槽12は、槽内の溶液を撹拌するための第1撹拌手段20と、高分子凝集剤2の注入部を有する。
【0062】
第1撹拌手段20は、槽内の汚泥1を撹拌可能なものであれば、どのようなものであっても良いが、本実施の形態においては、モータによって回転される撹拌軸にインペラ(撹拌翼)を取り付けたものが用いられる。
【0063】
高分子凝集剤2は、高分子凝集剤貯槽22に液体の状態で貯留されている。高分子凝集剤2は、その必要添加量の一部が、経路24を介して第1撹拌槽12に添加される。経路24にはポンプ26が設けられており、ポンプ26の駆動が制御されることで第1撹拌槽12に添加される高分子凝集剤2の必要添加量の一部の量が制御される。
【0064】
したがって、第1の凝集剤添加手段14は、経路24およびポンプ26により構成されている。
【0065】
第2撹拌槽16は、槽内の溶液を撹拌するための第2撹拌手段28と、高分子凝集剤2の注入部を有する。
【0066】
第2撹拌手段28は、本実施の形態においては、第1撹拌手段20同様、モータによって回転される撹拌軸にインペラ(撹拌翼)を取り付けたものである。
【0067】
高分子凝集剤2は、その必要添加量の残部が、高分子凝集剤貯槽22から経路30を介して第2撹拌槽16に添加される。経路30にはポンプ32が設けられており、ポンプ32の駆動が制御されることで第2撹拌槽16に添加される高分子凝集剤2の必要添加量の残部の量が制御される。すなわち、第2の凝集剤添加手段17は、経路30およびポンプ32により構成されている。
【0068】
第1撹拌槽12における撹拌、および第2撹拌槽16における撹拌を通じて生じた凝集物4および分離液5の混合物34は、下流の脱水手段36に送られる。
【0069】
脱水手段36は、混合物34から分離液5を除去し、さらに凝集物が集合してなる凝集物塊からの脱水を行う手段である。具体的には、ベルトプレス型脱水機、スクリュープレス型脱水機、遠心脱水機、フィルタープレス型脱水機など従来公知の脱水機が挙げられる。なかでも、ベルトプレス型脱水機、スクリュープレス型脱水機を用いることが好ましい。
【0070】
脱水処理後、脱水手段36からは脱水ケーキ38と液部40とがそれぞれ排出される。
【0071】
次に、汚泥の脱水装置10を用いた汚泥の脱水方法を、以下に説明する。
【0072】
[高分子凝集剤の必要添加量の一部の添加および第1の撹拌工程]
有機性廃棄物の生物処理後の汚泥1は、第1撹拌槽12に投入される。第1撹拌槽12には、さらに高分子凝集剤2の必要添加量の一部が添加される。高分子凝集剤2の必要添加量の一部とは、この一部と第2撹拌槽16に添加される高分子凝集剤2の必要添加量の残部との質量比が、10:90〜90:10の範囲となる量であり、好ましくは、20:80〜80:20の範囲となる量である。なお、この数値は、両者の合計量、すなわち、高分子凝集剤2の必要添加量を100質量%としたときの質量比である。
【0073】
第1撹拌槽12に添加される高分子凝集剤2の上記一部の質量比が、10質量%未満では凝集剤が不足して凝集が不十分となり、さらに、第2撹拌槽16に添加される高分子凝集剤2の上記残部の質量比が90質量%超では第2撹拌槽16に生じる凝集物によるフロックが巨大化しやすいために好ましくない。
【0074】
また、第1撹拌槽12に添加される高分子凝集剤2の上記一部の質量比が90質量%を超える場合には、第2撹拌槽16に添加される高分子凝集剤2の上記残部の質量比が10質量%未満となり、脱水手段36による物理的脱水に耐える強固なフロックを形成しなくなるため、好ましくない。
【0075】
高分子凝集剤2は、第1撹拌手段20により撹拌されている汚泥1中に添加される。第1撹拌手段20の撹拌速度、すなわち、インペラの回転速度は、第1の凝集剤添加手段14により添加される高分子凝集剤2の必要添加量の一部を槽内の汚泥1中に分散させるために必要な速度であればどのような回転速度であってもよいが、早い速度の撹拌により、汚泥1と高分子凝集剤2とを十分反応をさせ、細かな汚泥粒子とするため、好ましくは200rpm以上であり、より好ましくは、500rpm以上である。
【0076】
第1撹拌手段20による撹拌により、汚泥1は高分子凝集剤2の上記一部が分散した分散汚泥3となり、分散汚泥3は下流の第2撹拌槽16に送られる(以上、高分子凝集剤の必要添加量の一部の添加および第1の撹拌工程)。
【0077】
[高分子凝集剤の必要添加量の残部の添加および第2の撹拌工程]
分散汚泥3が流入した第2撹拌槽16において、高分子凝集剤2の必要添加量の残部が添加される。
【0078】
高分子凝集剤2は、第2撹拌手段28により撹拌されている分散汚泥3中に添加される。第2撹拌手段28の撹拌速度、すなわち、インペラの回転速度は、分散汚泥3を分離液と凝集物に分離させるために必要な速度であればどのようなものであってもよい。具体的には、第1撹拌手段20のインペラの回転速度よりも遅い回転速度であり、好ましくは200rpm以下であり、特に好ましくは50rpm〜150rpmの範囲である。
【0079】
第2撹拌手段28による撹拌により、分散汚泥3は凝集物4と分離液5との混合物34となり、混合物34は下流の脱水手段36に送られる(以上、高分子凝集剤の必要添加量の残部の添加および第2の撹拌工程)。
【0080】
[脱水工程]
第2撹拌槽16の下流に送られた混合物34は、脱水手段36による脱水処理に供される。
【0081】
脱水手段36において、分離液5が物理的に除去され、凝集物4が物理的に密着して凝集塊となる。さらに、この凝集塊からさらに圧搾等により内部の水分が絞り出されて脱水ケーキ38となり、経路42を介して脱水手段36から排出される。なお、脱水手段36において除去された分離液5および凝集塊から絞り出された水分は、液部40として経路44を介して脱水手段36から排出される(以上、高分子凝集剤の必要添加量の残部の添加および第2の撹拌工程)。
【0082】
したがって、本実施の形態によれば、第1撹拌槽12において、第2の撹拌よりも速い速度で第1の撹拌が行われることで、汚泥1と添加された高分子凝集剤2の必要添加量の一部との分散も十分なものとなり、汚泥1の粘度が低下する。また、早い速度の撹拌により汚泥粒子の過度な成長が阻害されて細かな汚泥粒子が得られる。
【0083】
さらに、第2撹拌槽16において、高分子凝集剤2の必要添加量の残部が添加され、第1の撹拌よりも遅い速度で第2の撹拌が行われることで、汚泥粒子の凝集が進み、脱水に適した大きさの凝集物4が生成する。このとき、本発明の高分子凝集剤2が用いられことで、凝集物4の内部まで高分子凝集剤2が行き渡り、水の抜け道となる細孔が良く生成しているため、脱水性が良好な凝集物4となっている。
【0084】
したがって、凝集剤の添加量を全体として削減しつつ得られた脱水ケーキ38の含水率を低下させることができる。また、得られた脱水ケーキ38の剥離性も向上する。
【0085】
なお、本実施の形態では、第2撹拌槽16の直ぐ下流に脱水手段36が設けられており、[高分子凝集剤の必要添加量の残部の添加および第2の撹拌工程]により生じた混合物34が直接[脱水工程]に供されることになるが、これに限定されるものではなく、別の態様をとることも可能である。
【0086】
(第2実施の形態)
以下に、第2撹拌槽16の下流の構成を変更した汚泥の脱水装置50を、
図2に基づいて説明する。
図2において上述の
図1に示した実施の形態と同様の要素には、同一の符号を付しその説明を省略する。
図2は、本実施の形態に係る汚泥の脱水装置50の模式図である。
【0087】
図2に示すように、本実施の形態に係る汚泥の脱水装置50は、第2撹拌槽20と脱水手段36との間に、第2撹拌槽16において生じた凝集物を濃縮する濃縮手段52を有する点において上記第1実施の形態に係る汚泥の脱水装置10と異なる。
【0088】
濃縮手段52は、ロータリースクリーン、傾斜スクリーン、濾布走行式脱水機等の公知の重力脱水機を用いることができる。また、濃縮手段52は、無機凝集剤注入部を有する。無機凝集剤6は、無機凝集剤貯槽54に液体の状態で貯留されている。無機凝集剤6は経路56を介して濃縮手段52に添加される。経路56にはポンプ58が設けられており、ポンプ58の駆動が制御されることで濃縮手段52に添加される無機凝集剤6の添加量が制御される。
【0089】
無機凝集剤6は、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄(ポリ鉄)、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミニウム等、公知のものを用いることができる。
【0090】
無機凝集剤6の添加量は、汚泥1のSSの固形量(g)に対する無機凝集剤6の固形量(g)の百分率で表して、例えば、1%以上5%以下の範囲であり、好ましくは2%以上3%以下の範囲である。
【0091】
次に、本実施の形態に係る汚泥の脱水装置50を用いた汚泥の脱水方法を、上記第1実施の形態と異なる工程について主に説明する。
【0092】
上記第1実施の形態同様、汚泥1は、第1撹拌槽12における[高分子凝集剤の必要添加量の一部の添加および第1の撹拌工程]に供され、分散汚泥3となる。次に、分散汚泥3は、第2撹拌槽16において[高分子凝集剤の必要添加量の残部の添加および第2の撹拌工程]に供され、凝集物4と分離液5との混合物34となる。この混合物34は、第2撹拌槽16の下流の濃縮手段52に送られる。
【0093】
[凝集物濃縮工程]
濃縮手段52において、混合物34中の分離液5は重力に従って排出され、排出された分離液5は経路60を介して液部40に合流する。また、濃縮手段52の途中位置において、無機凝集剤貯槽54から経路56を介して無機凝集剤6が混合物34に添加される。無機凝集剤6の添加により、凝集物4はさらに強固なフロックとなり、下流の脱水手段36に送られる(以下、凝集物濃縮工程)。
【0094】
その後、脱水手段36において凝集物4は[脱水工程]に供され、脱水工程後に生じた脱水ケーキ36および液部40がそれぞれ脱水手段36から排出される。
【0095】
したがって、本実施の形態によれば、無機凝集剤6が濃縮手段52中の、濃縮中の混合物34又は濃縮後の凝集物4に対して添加されることで、濃縮前の混合物34に対して添加される場合と比べて、分離液5と反応して消費される無機凝集剤6の割合が小さくなる。
【0096】
よって、無機凝集剤6が添加される場合に、無機凝集剤6の添加量をも削減することが可能となる。
【0097】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態において、第1撹拌槽12において汚泥1は高分子凝集剤2の必要添加量の一部と混合・撹拌されているが、第1撹拌槽12を有さない構成をとることも可能である。その場合汚泥の脱水装置は、第1撹拌槽12に代えて第1撹拌手段としてスタティックミキサーを有しており、高分子凝集剤貯槽22の高分子凝集剤2の必要添加量の一部は、スタティックミキサーの上流位置にて汚泥1に添加される。
【0098】
また、本発明の汚泥の脱水方法をバッチ式の汚泥の脱水装置により実施する場合、上記実施の形態とは異なり、第1撹拌槽および第2撹拌槽を一つの撹拌槽で代用することも可能である。この場合、第1撹拌手段および第2撹拌手段も一つの撹拌手段を用いることができ、高分子凝集剤貯槽22からのこの一つの撹拌槽への高分子凝集剤2の添加も、一系統の経路を介して行うことができる。
【0099】
さらに、上記第2実施の形態において、無機凝集剤6は濃縮手段52の途中位置において添加されているが、これに限るものではなく、例えば、高分子凝集剤2の必要添加量の一部が添加される前、あるいはその添加後において添加することができる。また、脱水手段36が濃縮部を有する場合には、濃縮された凝集物塊に直接添加することができる。
【0100】
なお、上記実施の形態において、高分子凝集剤2は、第1の凝集剤添加手段14および第2の凝集剤添加手段17によって添加されているが、手作業により行われることとしてもよい。
【0101】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0102】
[実施例1]
有機性廃棄物としての食品廃棄物に対してメタン生成菌によるメタン発酵を行い、液状の汚泥(pH7.44、SS27.5g/L、VSS61.2%、CST12,500sec、コロイド荷電量−4.28meq/L)を得た。
【0103】
(なお、SSは、水に含まれる粒子を孔径1μmのガラス繊維ろ紙またはMF膜ろ紙でろ過し、その粒子の乾物重量(g/L)で表すものであり、VSS(Volatile suspended solids)とは、SSを強熱したときに揮発する物質をいい、SSを求めた後に試料を600±25℃で30分間強熱し、残渣の質量を測定して求められる。
【0104】
CSTとは、Capillary Suction Time(毛細管吸引時間(単位:sec))の略語であり、CST試験とは、汚泥の脱水性の良否を判断する目的で行われる試験であって、ろ紙上の筒に少量の凝集汚泥を入れ、汚泥中の水分が毛細管現象によってろ紙に吸引され円周方向に拡大していくとき、同心円の2点間を通過する時間(sec)を測定するものである。上記液状の汚泥のCST値は、下水試験方法 2012年版 上巻、第728頁、第5編 第15節 3.CST試験の項目に従って測定して得た。
【0105】
コロイド荷電量とは、汚泥を遠心分離し、その上澄液にトルイジンブルー指示薬を加えて、ポリビニル硫酸カリウム溶液で滴定して求めたものである。)
【0106】
この汚泥200mlを500ml容のビーカーにとり、ポリアミジン(分子量300万)とジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(分子量400万)を50/50の比率で含む高分子凝集剤の0.2%水溶液を1.8%対SSとなるように添加し、市販のハンドミキサーを使用して800rpmで30秒間第1の撹拌を行った。
【0107】
次に、上記高分子凝集剤水溶液を0.7%対SSとなるように第1の撹拌後の汚泥に対して添加し、ジャーテスターを使用して80rpmで1分間撹拌して凝集フロック(凝集物)を生成させた。凝集フロックの大きさを測定した後、凝集フロックと分離液の混合物を60メッシュのナイロン濾布で重力脱水した。
【0108】
重力ろ過後の汚泥を2枚の濾布に挟みピストン型脱水機を用いて、2kg/cm
2の圧力で1分間圧搾し、脱水ケーキを得た。脱水前の凝集フロックの大きさ、ならびに、脱水ケーキの含水率および脱水ケーキの剥離性を測定した結果を、表1に示す。
【0109】
[実施例2〜6、比較例1〜8]
高分子凝集剤の種類および質量比、高分子凝集剤の必要添加量の一部および残部、ならびに第1の撹拌および第2の撹拌の回転数を表1の条件としたこと以外は上記実施例と同じ条件のもとで液状の汚泥を処理し、脱水ケーキを得た。脱水前の凝集フロックの大きさ、ならびに、脱水ケーキの含水率および脱水ケーキの剥離性を測定した結果を、表1に示す。
【0110】
[測定方法]
1.凝集フロックの大きさ(フロック径)
フロックの大きさは、ノギスで測定した。
【0111】
2.ケーキ含水率
下水試験方法 2012年版 上巻、第715頁〜716頁、第5編 第6節 蒸発残留物及び含水率(固形分及び水分)の項目の記載に従って行った。
【0112】
3.ケーキ剥離性
濾布への脱水ケーキの剥離状況を目視で確認した。
【0113】
【表1】
【0114】
※1:「高分子凝集剤」は、各試験区分において用いた高分子凝集剤と含まれる化合物の質量比を示す。ここで、Aはポリアミジン(分子量300万)、Bはジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(分子量400万)、Cはアクリルアミド・ジメチルアミノエチルアクリレート共重合体(分子量500万)、およびDはアクリルアミド・アクリル酸・ジメチルアミノエチルアクリレート共重合体(分子量400万)をそれぞれ意味する。
※2:「添加率%対SS」は、第1の撹拌の前に、各試験区分の処理に提供された液状の汚泥のSSの固形量(g)あたりに添加された高分子凝集剤の固形量(g)の割合を百分率で示したものである。
※3:「撹拌回転数rpm」は、第1の撹拌の際のハンドミキサーの回転数を示す。
※4:「添加率%対SS」は、第1の撹拌の後に、各試験区分の処理に提供された液状の汚泥のSSの固形量(g)あたりに添加された高分子凝集剤の固形量(g)の割合を百分率で示したものである。
※5:「撹拌回転数rpm」は、第2の撹拌の際のジャーテスターの回転数を示す。
※6:「フロック径mm」は、「[測定方法] 1.凝集フロックの大きさ(フロック径)」の測定方法により測定された、第2の撹拌後に生じた凝集物の大きさを示す。
※7:「ケーキ含水率%」は、「[測定方法]2.ケーキ含水率」の測定方法により測定された、脱水ケーキの含水率を示す。
※8:「ケーキ剥離性」は、「[測定方法] 3.ケーキ剥離性」の測定方法により測定された、脱水ケーキの剥離性をいう。◎は非常に良い(=ほぼ剥離する)、○は良い(=大体剥離する)、△は悪い(=剥離しづらい)、×は非常に悪い(=全然剥離しない)状態をそれぞれ示す。
【0115】
[結果]
比較例5〜7と実施例1〜6の対比に示されるとおり、高分子凝集剤としてそれぞれ、ポリアミジン(分子量300万)のみ、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(分子量400万)のみ、アクリルアミド・ジメチルアミノエチルアクリレート共重合体(分子量500万)のみを添加した試験区分(比較例5〜7)は、2種類の高分子の組み合わせよりなる高分子凝集剤を添加した試験区分(実施例1〜6)と比較して、脱水ケーキの含水率が高くなり、脱水ケーキの剥離性も悪い結果となった。
【0116】
また、2種類の高分子を高分子凝集剤として添加した試験区分(比較例8)であっても、第1の撹拌の撹拌回転数が80rpmと小さい場合には、第1の撹拌の撹拌回転数が800rpmと大きい試験区分(実施例6)と比較して脱水ケーキの含水率が大きくなり、その剥離性も悪い結果となった。
【0117】
さらに、2種類の高分子を高分子凝集剤として添加した試験区分であっても、撹拌を高速撹拌(800rpm)の1段階のみで行った試験区分(比較例1〜2)や撹拌を低速撹拌の1段階のみで行った試験区分(比較例3)は、実施例1〜6の試験区分と比較して脱水ケーキの含水率が大きくなり、且つ脱水ケーキの剥離性が悪くなる結果となった。
【0118】
また、2種類の高分子を高分子凝集剤として添加した試験区分であっても、アミノアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合体の質量比が10質量%を下回る試験区分(比較例4)は、実施例1〜6の試験区分と比較して脱水ケーキの含水率が大きくなり、且つ脱水ケーキの剥離性が悪くなる結果となった。
【0119】
そのうえ、2種類の高分子を高分子凝集剤として添加した試験区分間においても、ポリアミジンとアミノアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合体との質量比が30:70〜7:30の範囲の試験区分(実施例3〜4)においてケーキ含水率およびケーキ剥離性が良好なものとなることが示された。特に、ポリアミジンとアミノアルキル(メタ)アクリレートを主成分とする重合体との質量比がともに50%の試験区分(実施例1〜2)においてケーキ含水率およびケーキ剥離性が特に良好なものとなることが示された。