特許第6600595号(P6600595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社吉田構造デザインの特許一覧

<>
  • 特許6600595-グリップ装置 図000002
  • 特許6600595-グリップ装置 図000003
  • 特許6600595-グリップ装置 図000004
  • 特許6600595-グリップ装置 図000005
  • 特許6600595-グリップ装置 図000006
  • 特許6600595-グリップ装置 図000007
  • 特許6600595-グリップ装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6600595
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】グリップ装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 7/04 20060101AFI20191021BHJP
【FI】
   E01F7/04
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-75870(P2016-75870)
(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公開番号】特開2017-186784(P2017-186784A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2018年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】397034327
【氏名又は名称】有限会社吉田構造デザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−077496(JP,A)
【文献】 特開2003−313828(JP,A)
【文献】 特開2001−152450(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2007−0005112(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 7/00− 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本又は複数本のロープをスリップ可能に拘束し、ロープのスリップ抵抗を超えるとロープのスリップを許容するグリップ装置であって、
重ね合せて配列され、前記ロープの外周面を両側から挟み込み可能な複数の拘束単板と、
前記複数の拘束単板を位置決めして固定する固定手段とを具備し、
前記拘束単板は単板本体の中央部に挟込口を有すると共に、該挟込口の奥部にロープ収容溝を有し、
前記複数の拘束単板は、挟込口の向きが180°逆向きにした状態で重ね合せられ、
前記拘束単板のロープ収容溝の中心が、固定手段の中心に対して挟込口の入口側へ偏心した位置関係にあることを特徴とする、
グリップ装置。
【請求項2】
前記複数の拘束単板の偏心がゼロとなるように前記複数の拘束単板が押し込まれたときに、押込み方向が逆向きのロープ収容溝を介して前記ロープが波形形状に変形されることを特徴とする、請求項1に記載のグリップ装置。
【請求項3】
前記ロープ収容溝の両端部が面取りされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のグリップ装置。
【請求項4】
前記ロープの外周面を両側から挟み込まれた前記複数の拘束単板の収容溝が、ロープの長手方向に沿って不連続に形成されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載のグリップ装置。
【請求項5】
前記固定手段が、単板本体の両端部に設けた貫通孔と、複数の貫通孔に跨って挿通可能な長さを有する位置決体の組み合せであることを特徴とする、請求項1に記載のグリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1本又は複数本のロープをスリップ可能に拘束するグリップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
落石用又は雪崩用防護柵は、防護ネットに作用した外力の吸収機能を有する緩衝装置を具備している。
特許文献1,2には、ループを形成したロープの重合部を把持可能な鋼又は鋳鉄で形成した2枚の挟持板と、挟持板を締め付けるための複数の締結ボルト、ナットを具備した緩衝装置が開示されている。
従来の緩衝装置は各挟持板の対向面に連続した単数又は複数のロープ収容溝が凹設してあり、各ロープ収容溝は断面が半円形を呈し、その全長に亘って径と深さが均一である。
ロープ収容溝とロープ外周面の間の摺動抵抗は、挟持板を締め付ける締結ボルトの締付力により求められ、ロープと挟持板との間に設定した摺動抵抗力以上の引張力が作用するとロープがスリップする構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−267095号公報
【特許文献2】特開2010−144433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の緩衝装置はつぎのような問題点を有している。
<1>複数の締結ボルトを所定のトルクで均一に締め付けることが難しく、締結力にバラツキが生じ易い。
締結力にバラツキを生じると緩衝装置が正規の緩衝性能を発揮できない。
<2>例えばロープの引張力が2倍に増えたからといって装置サイズやボルトの締結力を2倍にしてもロープの摺動抵抗は倍増しない。
従来の緩衝装置は引張力の大きさに応じて装置サイズやボルトの締結力等の様々な設計要素を組み合せて個別に設計しなければならず、引張力の大きさに見合った緩衝装置の設計に長時間を要していた。
<3>ロープ収容溝の溝端の角部が鋭く尖っているため、ロープが摺動する際にロープ収容溝の尖った角部に当たってロープが損傷したり破断したりする危険がある。
【0005】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、装置の構造が簡単で低コストに製作できると共に、簡単にスリップ抵抗を調整できるグリップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1本又は複数本のロープをスリップ可能に拘束し、ロープのスリップ抵抗を超えるとロープのスリップを許容するグリップ装置であって、重ね合せて配列され、前記ロープの外周面を両側から挟み込み可能な複数の拘束単板と、前記複数の拘束単板を位置決めして固定する固定手段とを具備し、前記拘束単板は単板本体の中央部に挟込口を有すると共に、該挟込口の奥部にロープ収容溝を有し、前記複数の拘束単板は、挟込口の向きを180°逆向きにした状態で重ね合せられ、前記拘束単板のロープ収容溝の中心が、固定手段の中心に対して挟込口の入口側へ偏心した位置関係にある。
本発明の他の形態において、隣接した前記複数の拘束単板の偏心がゼロとなるように前記複数の拘束単板が押し込まれたときに、押込み方向が逆向きのロープ収容溝を介して前記ロープが波形形状に変形される。
本発明の他の形態において、前記ロープ収容溝の両端部が面取りされている。
本発明の他の形態において、前記ロープの外周面を両側から挟み込まれた前記複数の拘束単板の収容溝が、ロープの長手方向に沿って不連続に形成されている。
本発明の他の形態において、前記固定手段が、単板本体の両端部に設けた貫通孔と、複数の貫通孔に跨って挿通可能な長さを有する位置決体の組み合せである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る発明はつぎの効果を奏する。
<1>同一構造の拘束単板を共通して使用できるので、グリップ装置を低コストに製作できると共に、拘束単板の数を選択したり、各拘束単板の偏心量を変えたりすることでグリップ装置のスリップ抵抗(スリップ張力)を簡単に設定することができる。
<2>複数の拘束単板を極僅かに押し込むだけの簡単な操作で以て、波形状に屈曲させたロープの外周面を均等な力で拘束できて、安定したスリップ抵抗を得ることができる。
<3>従来の緩衝装置と比べて、多数本の締付ボルトとボルトのトルク管理が不要となるだけでなく、グリップ装置を小型化できる。
<4>ロープ収容溝の両端部を面取りしたことでロープがスリップする際にロープの損傷や破断が生じ難い。
<5>複数のロープと複数のグリップ装置とを組み合せて緩衝性能の高い防護ネットを製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ロープの一部を省略した本発明に係るグリップ装置の全体斜視図
図2】拘束単板の側面図
図3】ロープを複数の拘束単板間に挟み込むときの説明図
図4】ロープを複数の拘束単板間で拘束したときの説明図
図5】ロープを挟み込んだ初期状態における複数の拘束単板の断面図で、(a)は複数のロープ収容溝の縦断面図、(b)は複数の貫通孔の縦断面図
図6】押込時における複数の拘束単板の断面図で、(a)は複数のロープ収容溝の縦断面図、(b)は複数の貫通孔の縦断面図
図7】複数のロープとグリップ装置を組み付けて防護柵用の防護ネットを形成した説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照しながら本発明を実施するための好適な形態について説明する。
【0010】
<1>グリップ装置の概要
図1を参照して説明すると、本発明に係るグリップ装置10は、1本又は複数本のロープA,Bに一定のスリップ抵抗を付与して拘束する装置である。
「スリップ抵抗」とは、各ロープA,Bが一定の張力に達するとスリップを開始し、その張力を持続しながらスリップするときのロープA,Bの張力を指す。
ロープA,Bは鋼製ロープ、樹脂製ロープ、繊維製ロープ、又はこれらの複合物を含む。
本例ではグリップ装置10が引張方向A,Bの異なる2本のロープA,Bをまとめて拘束する形態について説明するが、ロープの本数は1本、又は3本以上であっても適用可能である。
【0011】
<2>グリップ装置
グリップ装置10はロープA,Bに跨ってロープA,Bの両側から挟み込み可能な複数の拘束単板20と、積層したこれら複数の拘束単板20を一体に固定する固定手段とからなる。複数の拘束単板20はすべて同一構造であり、例えば鋼又は鋳鉄等の硬質素材で形成されている。
【0012】
<3>拘束単板
図2を参照して説明すると、拘束単板20は全体が略コ字形を呈する均一厚の単板本体21を有する。
本例の拘束単板20は単板本体21の中央に開設した挟込口22と、挟込口22の奥部に単板本体21の交差方向へ向けて形成した単数又は複数のロープ収容溝23と、単板本体21の両端部に設けた円形を呈する一対の貫通孔24,24とを有する。
円弧状を呈するロープ収容溝23の溝径は収容するロープ径と大略等しく、又ロープ収容溝23の両端部はスリップ時にロープA,Bが傷付かないように面取り26がしてある。
拘束単板20の外形(輪郭形)は図示した略楕円形に限定されず、矩形や円形等でもよい。
拘束単板20は同一構造のものを共通して使用することから、グリップ装置10を低コストに製作できる。
【0013】
<3.1>拘束単板の枚数
拘束単板20は複数の単板本体21を重ね合せて使用する。
本例では複数の単板本体21の側面25を隣接させた形態について示すが、隣り合う単板本体21の間は側面25が接触せずに離隔していてもよい。
本例では合計3枚の拘束単板20を並列に配置して使用する形態を示すが、拘束単板20の枚数は4枚でもよく、要は拘束単板20が2枚以上であればよい。
【0014】
<3.2>ロープ収容溝
本例ではロープA,Bが共に同径であり、かつ一対のロープ収容溝23,23の溝径がロープA,Bと同径である場合について説明するが、ロープA,Bは異径の組み合わせでもよい。
要はロープA,Bと対応したロープ収容溝23,23がロープA,Bと略同径であればよい。
又、収容溝23,23の断面形状は円形に限定されず、楕円形や四角形、六角形等の多角形でもよい。
【0015】
<3.3>拘束単板の組付け方向
複数の拘束単板20は、拘束単板20の固体毎に挟込口22の向きを180°逆向きにしてロープA,Bに組み付ける。
複数の拘束単板20の組付け方向を逆向きにするのは、ロープA,Bを波形形状に屈曲させて拘束するためである。
本例では拘束単板20を上向きと下向きを交互に変えて組み付けた形態を示す。
ロープA,Bに組み付ける際、複数の拘束単板20は、直接向かい合うことはなく、隣り合う複数の拘束単板20の挟込口22の向きが逆向きの関係になっていればよい。
本例では1枚毎に拘束単板20を入れ換えた形態を示すが、複数枚毎に入れ換えてもよい。
したがって、グリップ装置10をロープA,Bに組み付けたとき、複数の拘束単板20のロープ収容溝23はロープA,Bの長手方向に沿って連続せず、不連続に形成される。
【0016】
<4>固定手段
本例では、複数の拘束単板20をまとめて固定する固定手段が、拘束単板20の貫通孔24と、複数の貫通孔24に跨って挿通可能な長さを有する位置決体である拘束ボルト30の組み合せである場合について説明する。
尚、位置決体の拘束ボルト30に代えてストッパ付きのピンを適用することも可能である。
【0017】
他の固定手段としては、帯状又は棒状のばね鋼を、拘束単板20の端部に外装可能なU字形等の形状に屈曲したバネクリップを適用することも可能である。
拘束単板20の端部に外装した複数のバネクリップが隣り合う各拘束単板20に対して逆方向のばね力を付与することで、ロープA,Bの外周面を均等な力で拘束することができる。
【0018】
<5>ロープ収容溝の中心と固定手段の中心の位置関係
図2〜4を参照してロープ収容溝23の中心Oと固定手段(本例では貫通孔24又は拘束ボルト30)の中心Oの位置関係について説明する。
ロープ収容溝23の中心Oは、固定手段の中心Oに対して挟込口22の入口側へ所定の距離(偏心量)eだけ偏心している。
換言すれば、固定手段の中心Oは、ロープ収容溝23の中心Oに対してロープ収容溝23の溝底側に所定の距離eだけ偏心している。
本例では、一対のロープ収容溝23,23の中心Oを通る中心線Lが、一対の貫通孔24又は一対の拘束ボルト30の中心Oを通る中心線Lに対して挟込口22の入口側へ所定の距離eだけ偏倚している。
ロープ収容溝23の中心Oと固定手段の中心Oを偏心(偏倚)させたのは、複数の拘束単板20にロープA,Bの拘束力を付与するためである。
拘束単板20単体の偏心量を距離eとした場合、隣接する各拘束単板20の間に2倍の偏心量(2e)が発生する。
したがって、ロープA,Bの拘束力は拘束単板20の距離eにより求められる。
【0019】
[グリップ装置の組付け方法]
図3〜6を参照してグリップ装置10の組付け方法について説明する。
本例では理解をし易くするため、挟込口22を上向きにした拘束単板20aと、挟込口22を下向きにした拘束単板20bとにより水平に配置したロープA,Bに組み付ける場合について説明する。
【0020】
<1>ロープへの挟み込み
図3に示すように、ロープA,Bの上下両側に挟込口22を相対向させて複数の拘束単板20a,20bを配置する。
ロープA,Bの上下両側から拘束単板20a,20bを挟み込んで各ロープA,Bをロープ収容溝23,23内に収容する。
【0021】
図5はロープA,Bを挟み込んだ初期状態における複数の拘束単板20a,20bの断面を示していて、(a)は複数のロープ収容溝23の断面を示し、(b)は複数の貫通孔24の断面を示す。
複数の拘束単板20a,20b間にロープA,Bを挟み込んだだけの初期状態においては、図5の(a)に示すようにロープの長手方向に並んだ上下複数のロープ収容溝23の中心が略同一線上に位置し、各ロープA,Bは真直ぐな状態にある。
又、この初期状態においては、図5の(b)に示すようにロープの長手方向に沿って位置する複数の貫通孔24はその中心が上下方向へ向けて僅かにずれている。
【0022】
<2>拘束単板の押込み
つぎに図4に示すように、油圧ジャッキや万力等の拘束機材(図示せず)を用いて、偏心量がゼロとなるまで相対向する複数の拘束単板20a,20bに外力を加えて押し込む。
すなわち、図4に示すように挟込口22を上向きと下向きにした両拘束単板20a,20bを互いに押し込んで隣り合う各拘束単板20a,20bの左右両側に形成した各貫通孔24の中心Oを一致させる。この状態で偏心量はゼロとなる。
【0023】
図6は押込時における複数の拘束単板20a,20bの断面を示していて、同図の(b)は拘束単板20a,20bを互いに押し込んで複数の拘束単板20a,20bの左右両側に形成した各貫通孔24の中心Oを一致させた状態(図4)における複数の貫通孔24の縦断面図を示す。
図6の(a)は複数の貫通孔24の中心Oを一致させた状態(図4)における複数のロープ収容溝23,23の変位状態を示している。
拘束単板20a,20bが互いに押し込まれると、複数のロープ収容溝23,23がロープA,Bの外周面を上向きと下向きに交互に押圧してロープA,Bを波形形状に屈曲させる。
例えばロープA,Bの径が12mmで、図2に示した距離eを0.5mmに設定した場合には、各ロープA,Bは各拘束単板20a,20bの不連続のロープ収容溝23,23と接する外周面が間隔を隔てて上下両側から1.0mm分だけ押し込まれる。
拘束単板20a,20bの移動距離(2e)は1mm程度の極僅かであるから、小規模の拘束機材を用いて簡単にロープA,Bを波形状に屈曲させて拘束することができる。
【0024】
<3>拘束単板の位置決め固定
図6の(b)に示すように、複数の拘束単板20a,20bの押込時において、各拘束単板20a,20bの左右両側の貫通孔24,24を同一線上に位置合わせした状態で拘束ボルト30,30を挿し込み、ナット31を螺着して複数の拘束単板20a,20bを固定する。
複数の拘束単板20a,20bに跨って設置した拘束ボルト30が拘束単板20a,20bの戻りを規制してロープA,Bの拘束状態が維持される。
【0025】
拘束ボルト30の組付け方法としては、複数の拘束単板20a,20bの左右一方の貫通孔24に先行して拘束ボルト30を挿通した後に、該拘束ボルト30を中心に拘束単板20a,20bを旋回させて、他方の貫通孔24に拘束ボルト30を挿通してもよいし、相対向する拘束単板20a,20bを平行に押し付けた状態で左右両方の貫通孔24,24に同時に拘束ボルト30を挿通してもよい。
【0026】
<4>グリップ装置のスリップ動作
グリップ装置10に拘束されたロープA,Bの一方又は両方に引張力が作用すると、その引張力はロープA,Bとロープ収容溝23の接触面へ伝わる。
引張力がロープA,Bとロープ収容溝23,23の周面間におけるスリップ抵抗を超えないときは、ロープA,Bにスリップを生じない。
引張力がロープA,Bとロープ収容溝23,23の周面間におけるスリップ抵抗を超えると、ロープA,Bが引張り方向A,Bへ向けてスリップを開始し、この滑動抵抗により引張力が減衰される。
各ロープA,Bは隣接した複数の拘束単板20a,20bの間を、波形形状を維持しながらスリップするので安定したスリップ抵抗を得ることができる。
【0027】
<5>スリップ抵抗の設定方法
グリップ装置10は、一枚あたりの拘束単板20とロープA,Bのスリップ抵抗が一定であることから、拘束単板20の積層枚数を選択したり(設定方法1)、或いは拘束単板20の偏心量を変更したり(設定方法2)することでグリップ装置10全体のスリップ抵抗(スリップ張力)を簡単に設定することができる。
求められるスリップ抵抗力や設置スペース等を考慮して、前記した設定方法1,2の何れか一方、又は両方を組み合せることでグリップ装置10のスリップ抵抗を設定する。
【0028】
<6>グリップ装置の組付け例
図7は複数のロープA,Bと複数のグリップ装置10とを組み合せて防護柵用の防護ネットを形成した形態を示す。
本例では、各ロープA,Bをループ状に巻き掛け、各ロープA,Bの交差部にグリップ装置10を組み付けて複数の単体輪a,bを横一列に連続して形成する。
更に図面上で上下に隣接させた各単体輪a,bの中間地点と各ロープA,Bの直線部との間にグリップ装置10を組み付けて、上下に位置するロープA,B間を連結して、連続輪要素からなる防護ネットを組み立てる。
本例におけるグリップ装置10の作用は既述したグリップ装置10と同様であるのでその説明を省略する。
【符号の説明】
【0029】
A,B・・・・ロープ
10・・・・・グリップ装置
20・・・・・拘束単板
20a・・・・挟込口を上向きにした拘束単板
20b・・・・挟込口を下向きにした拘束単板
21・・・・・単板本体
22・・・・・挟込口
23・・・・・ロープ収容溝
24・・・・・貫通孔
30・・・・・拘束ボルト
31・・・・・ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7