(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6600599
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】車両用ヘッドライトの測定装置
(51)【国際特許分類】
G01M 11/06 20060101AFI20191021BHJP
【FI】
G01M11/06
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-111956(P2016-111956)
(22)【出願日】2016年6月3日
(65)【公開番号】特開2017-219345(P2017-219345A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2018年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000218443
【氏名又は名称】渡辺電機工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】393015438
【氏名又は名称】日本特殊光学樹脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】儀同 智弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 修
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公一
【審査官】
田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−061627(JP,A)
【文献】
特開平04−163539(JP,A)
【文献】
特開2002−182012(JP,A)
【文献】
特開2013−002906(JP,A)
【文献】
特開2008−151733(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0080289(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00−11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定車両のヘッドライトからのヘッドライト光を集光するフレネルレンズと、
該フレネルレンズから収束した配光を受像する配光スクリーンと、
該受像した配光を検出するカメラと、
該カメラが検出した配光を表示する表示装置とよりなり、
前記フレネルレンズの非レンズ面に配光処理層が形成されていることを特徴とする車両用ヘッドライトの測定装置。
【請求項2】
前記配光処理層は、光拡散層であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ヘッドライトの測定装置。
【請求項3】
前記配光処理層は、光吸収層であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ヘッドライトの測定装置。
【請求項4】
前記配光処理層は、光反射層であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ヘッドライトの測定装置。
【請求項5】
前記配光処理層は、内部反射光抑制層であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ヘッドライトの測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ヘッドライトの測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ヘッドライト(前照灯)は、例えば、対向車の運転車を眩惑させないようにするなど様々な条件を満たす必要がある。そのため、車検時などに、車両用ヘッドライトの光軸や配光のカットオフラインやエルボー点や光度のバランス点などを測定し、その測定値が許容範囲内にあるかを、検査する必要がある。
【0003】
このような測定装置として、例えば、特許文献1に記載の車両用ヘッドライトの測定装置がある。
【0004】
図3、
図4は、前記従来の車両用ヘッドライトの測定装置1を示し、該測定装置1は、
図3に示すように、床面に敷設されたレール上を左右方向に移動する台車2と、該台車2に立設した支柱3と、該支柱3に上下動可能に設けた直方体状の筐体4と、該筺体4に設けた液晶モニタなどの表示装置5及び演算記憶処理装置6とから構成されている。
【0005】
また、前記筐体4は、
図4に示すように、該筐体4の前面には被測定車両のヘッドライト光を受けるためのフレネルレンズ7が固定されていると共に、該筐体4の内部後方に、該フレネルレンズ7からの収束した配光を受像するための配光スクリーン8が固定され、また、該筐体4内の中間上方に、前記配光スクリーン8が受像した配光を検出するためのCCDカメラなどの撮像カメラ9が固定されている。
【0006】
前記従来の車両用ヘッドライトの測定装置においては、該配光スクリーン8上に受像されたヘッドライトの配光を前記撮像カメラ9で撮像して、該カメラ9が検出した配光を前記表示装置5に表示し、該表示された画像から、光軸やカットオフラインやエルボー点や光度のバランス点などの被測定位置を検査していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−39729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記配光スクリーンに受像される車両用ヘッドライトの配光像の中に、たまに、該車両用ヘッドライトに基づく配光以外の配光らしきものがうっすらと入り込むような場合があったが、それが車両用ヘッドライトに基づくものであるのか、それともそれ以外のものであるのか不明であり、特に、それについての原因究明等はなされていなかった。
【0009】
本発明者は、車両用ヘッドライトが、プロジェクターランプのように強い光源を有するヘッドライトの場合に、配光スクリーン上の配光像に前記不明な配光が入り込むことに気が付き、そして、強い光源を有するヘッドライトの場合に生ずるのであれば、原因はフレネルレンズにあることを見出し、本発明をなし得たものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前記の目的を達成すべく、本発明のヘッドライトの測定装置は、被測定車両の
ヘッドライトからのヘッドライト光を集光するフレネルレンズと、該フレネルレンズから収束した配光を受像する配光スクリーンと、該受像した配光を検出するカメラと、該カメラが検出した配光を表示する表示装置とよりなり、前記フレネルレンズの非レンズ面に配光処理層が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、前記配光処理層は、光拡散層、又は光吸収層、又は光反射層、又は内部反射光抑制層であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用ヘッドライトの測定装置によれば、プロジェクターランプのように強い光源のヘッドライトを用いても、配光処理された非レンズ面からの光が分散等され、配光スクリーン上に車両用ヘッドライトに基づく配光以外の配光が生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の車両用ヘッドライトの測定装置のフレネルレンズの平面図である。
【
図2】該フレネルレンズの一部の拡大縦断側面図である。
【
図3】従来の車両用ヘッドライトの測定装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明においては、従来の車両用ヘッドライトの測定装置のフレネルレンズにおいて、非レンズ面に光拡散層、又は光吸収層、又は光反射層、又は内部反射光抑制層などの配光処理層を形成したフレネルレンズを用いる。
【0016】
即ち、
図1及び
図2に示すように、レンズ面10aと立ち上がり面(非レンズ面10b)とよりなる断面山形の輪帯状レンズ部分10が連続して構成されるフレネルレンズ11において、前記非レンズ面10bの全面又は略全面に光拡散層、又は光吸収層、又は光反射層、又は内部反射光抑制層などの配光処理層を形成する。
【0017】
なお、
図1に示すように、前記レンズ面10aは、凸状又は凹状等に形成されたレンズ作用を行う面であり、また、非レンズ面10bは、略垂直方向に形成されたレンズ作用のためではない面である。
【0018】
また、
図2の矢印A方向は、被測定車両のヘッドライト光がくる方向を示し、前記フレネルレンズ11は、該フレネルレンズ11のレンズ面10aと非レンズ面10bとが連続する面側から、ヘッドライト光が入射するように、測定装置の筐体に設置される。但し、前記フレネルレンズ11を、該フレネルレンズ11のレンズ面10aと非レンズ面10bとが連続する面の反対側から、ヘッドライト光が入射するように、測定装置の筐体に設置するようにしてもよい。
【0019】
前記光拡散層は、例えば、前記非レンズ面に形成した、梨地(なしじ)などの、例えば、1μm Rt以上の面粗さを持つ微細凹凸(微細突起)や、前記非レンズ面に塗布した光拡散性の塗料等からなる。なお、上記面粗さは、上記範囲には、限定されない。
【0020】
また、前記光吸収層は、例えば、前記非レンズ面に塗布した黒インク等の光吸収剤からなる。
【0021】
また、前記光反射層は、例えば、前記非レンズ面に蒸着した、光を反射させる金属膜等からなる。
【0022】
また、前記内部反射光抑制層は、例えば、非レンズ面に形成した、前記フレネルレンズ内部の反射光が非レンズ面から出射するのを抑制する凹凸等からなる。
【0023】
一般のフレネルレンズにおいては、レンズ面及び非レンズ面はいずれも鏡面仕上げがなされ、かかるフレネルレンズを用いたヘッドライトの測定装置を用いて、強い光源を有するヘッドライトランプを測定した場合、非レンズ面が完全に垂直方向に形成されていない場合があるなどのために、該非レンズ面からの配光が配光スクリーンに映り込む場合があるが、本発明においては、前記光拡散層、又は光吸収層、又は光反射層、又は内部反射光抑制層等の配光処理層を形成した(施した)非レンズ面を有するフレネルレンズを用いることにより、強い光源を有するヘッドライトであっても、非レンズ面の配光を光拡散層により分散させる、或いは、光吸収層により光を吸収させる、或いは、光反射層により光を反射させる、或いは、内部反射光抑制層によりレンズ内部光を出射させないので、配光スクリーン上に前記不明な配光が生じないようになる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のヘッドライトの測定装置は、乗用車その他の自動車の製造工程又は車検整備を行なう車両整備工場等で有用である。
【符号の説明】
【0025】
1 測定装置
2 台車
3 支柱
4 筐体
5 表示装置
6 演算記憶処理装置
7 フレネルレンズ
8 配光スクリーン
9 撮像カメラ
10 レンズ部分
10a レンズ面
10b 非レンズ面
11 フレネルレンズ