特許第6600669号(P6600669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6600669
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/14 20060101AFI20191021BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20191021BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20191021BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20191021BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   H02G3/14
   H02G3/16
   B60R16/02 610A
   F16B5/10 H
   F16B5/07 L
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-160532(P2017-160532)
(22)【出願日】2017年8月23日
(65)【公開番号】特開2019-41461(P2019-41461A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2018年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】金森 孝訓
(72)【発明者】
【氏名】福永 竜也
(72)【発明者】
【氏名】和田 刀貢臣
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 健史
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−295261(JP,A)
【文献】 特開2013−021158(JP,A)
【文献】 特開2007−288900(JP,A)
【文献】 特開平09−191529(JP,A)
【文献】 特開2015−136238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
B60R 16/02
F16B 5/07
F16B 5/10
H02G 3/16
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するロアカバーと、
前記ロアカバーのロア側側壁部に形成される被係止部と、
前記ロアカバーの開口部を塞ぐアッパーカバーと、
前記アッパーカバーのアッパー側側壁部に形成され、かつ前記被係止部に係止されることで、前記ロアカバーに対して前記アッパーカバーが離脱方向に移動することを規制する係止部と、
前記アッパー側側壁部に形成され、かつ前記ロア側側壁部に向かって突出するとともに、先端部が前記被係止部よりも、前記ロアカバーに対して前記アッパーカバーを組み付ける組付方向側に形成される接触リブと、
前記アッパー側側壁部のうち、前記係止部と前記接触リブとの間に形成される係止部用スリットと、
を備えることを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記接触リブを挟んで、前記係止部用スリットと反対側に形成される接触リブ用スリットを備える、請求項1に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載され、ワイヤハーネス等の接続処理用部品や、ヒューズ、リレー、電子制御ユニット等の電子部品を集約して収容する電気接続箱(ジャンクションボックス、ヒューズボックス、リレーボックス等とも呼ばれる)が知られている。
【0003】
従来の電気接続箱は、ロアカバーに対してアッパーカバーの組付方向に移動させることで、ロア側側壁部に形成される被係止部に、アッパーカバーのアッパー側側壁部に形成される係止部が係止され、ロアカバーに対してアッパーカバーの組付方向と反対方向の離脱方向に移動することを規制して、ロアカバーに対してアッパーカバーを組み付ける。また、従来の電気接続箱は、ロア側側壁部にリブが形成され、アッパー側側壁部にスリットが形成され、ロアカバーとアッパーカバーとの組み付け時に、リブがスリットに挿入されることで、ロアカバーに対するアッパーカバーの位置決めを行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−275084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ロアカバーに対するアッパーカバーの位置決めは、組付方向に直交する平面における位置決めが重要である。従来のように、リブをスリットに挿入する場合は、スリット幅をリブ幅よりも大きく形成することとなり、リブがスリットに挿入された状態においてリブとスリットとの間に隙間が形成される。従って、ロアカバーに対してアッパーカバーを組み付けた状態において、ガタつきや異音が生じる虞があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ロアカバーに対するアッパーカバーの位置決めを確実に行うことができる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、開口部を有するロアカバーと、前記ロアカバーのロア側側壁部に形成される被係止部と、前記ロアカバーの開口部を塞ぐアッパーカバーと、前記アッパーカバーのアッパー側側壁部に形成され、かつ前記被係止部に係止されることで、前記ロアカバーに対して前記アッパーカバーが離脱方向に移動することを規制する係止部と、前記アッパー側側壁部に形成され、かつ前記ロア側側壁部に向かって突出するとともに、先端部が前記被係止部よりも、前記ロアカバーに対して前記アッパーカバーを組み付ける組付方向側に形成される接触リブと、前記アッパー側側壁部のうち、前記係止部と前記接触リブとの間に形成される係止部用スリットと、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記電気接続箱において、前記接触リブを挟んで、前記係止部用スリットと反対側に形成される接触リブ用スリットを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電気接続箱は、ロアカバーに対するアッパーカバーの位置決めを確実に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る電気接続箱の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る電気接続箱の分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るアッパーカバーの斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るアッパーカバーの部分平面図である。
図5図5は、実施形態に係る電気接続箱の部分下面図である。
図6図6は、実施形態に係る電気接続箱の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
〔実施形態〕
実施形態に係る電気接続箱について説明する。図1は、実施形態に係る電気接続箱の斜視図である。図2は、実施形態に係る電気接続箱の分解斜視図である。図3は、実施形態に係るアッパーカバーの斜視図である。図4は、実施形態に係るアッパーカバーの部分平面図である。図5は、実施形態に係る電気接続箱の部分下面図である。図6は、実施形態に係る電気接続箱の部分断面図である。
【0013】
本実施形態に係る電気接続箱1は、自動車等の車両に搭載され、バッテリ等の電源から供給される電力を各種の電子部品等を介して、車両に搭載される各種の電子機器に分配するものである。電気接続箱1は、例えば、車両のエンジンルーム等、外部環境に曝される場所に設置され、電源と各種の電子機器との間に接続される。電気接続箱1は、電線と共にワイヤハーネスを構成してもよい。電気接続箱1は、収容する電子部品の種類に応じてジャンクションボックス、ヒューズボックス、リレーボックス等とも呼ばれる場合があるが、本実施形態ではこれらを総称して「電気接続箱」と呼ぶ。
【0014】
以下の説明において、図示のX方向は、本実施形態における電気接続箱1の上下方向である。X方向のうち、X1方向は上方向であり、X2方向は下方向である。図示のY方向は、本実施形態における電気接続箱1の幅方向であり、上下方向と直交する方向である。Y方向のうち、Y1方向は一方向であり、Y2方向は他方向である。図示のZ方向は、本実施形態における電気接続箱1の厚さ方向であり、上下方向及び幅方向と直交する方向である。Z方向のうち、Z1方向は離脱方向であり、Z2方向は組付方向である。
【0015】
本実施形態の電気接続箱1は、直方体の形状である。電気接続箱1は、図1等に示すように、ロアカバー2と、アッパーカバー3と、バスバー4と、ナット5と、被係止部26と、係止部36と、接触リブ37と、係止部用スリット33bと、接触リブ用スリット33dとを含んで構成される。ロアカバー2及びアッパーカバー3は、図2に示すように、互いに係合することにより、バスバー4及びナット5を収容する内部空間6を形成する。
【0016】
ロアカバー2は、アッパーカバー3が係合されるものであり、アッパーカバー3と共に内部空間6を形成する。ロアカバー2は、合成樹脂等の絶縁性の材料によって形成される。本実施形態のロアカバー2は、箱型の形状であり、厚さ方向の両端部のうち、離脱方向側の端部に開口部21を有する。ロアカバー2は、図2及び図4に示すように、底部22と、ロア側側壁部23と、ナット保持部24と、第1リブ25と、被係止部26とを有する。
【0017】
底部22は、平板の形状である。底部22は、外周から、離脱方向に向かって立設するロア側側壁部23が形成される。底部22は、離脱方向に向かって立設するナット保持部24及び第1リブ25が形成される。
【0018】
ロア側側壁部23は、厚さ方向から見て、筒型の形状に形成される。ロア側側壁部23は、厚さ方向における両端部のうち、組付方向側の端部が底部22と連結され、離脱方向側の端部により開口部21が形成されている。ロア側側壁部23は、ロアカバー2の外周を構成する4つの各辺に対応する部分に係止部36が係止する被係止部26がそれぞれ形成されている。
【0019】
ナット保持部24は、ナット5を保持するものである。ナット保持部24は、底部22から離脱方向に向かって立設される。ここで、ナット保持部24は、厚さ方向において、第1リブ25よりも組付方向側に形成、すなわち底部22から見て第1リブ25よりも低く形成される。ナット保持部24は、筒型に形成され、ナット5を挿入できるよう開口部24aを有する。ナット保持部24の開口部24aは、バスバー4のうち、組付方向側の面と接触する。本実施形態のナット保持部24は、2つで1組として設けられており、2つのナット保持部24に対して1つのバスバー4を載置できる。
【0020】
第1リブ25は、ロアカバー2とアッパーカバー3との組み付けた状態、すなわち組付状態において、ロアカバー2に対するバスバー4の位置を規制するものである。第1リブ25は、バスバー4を挟んで対向する2組からなる少なくとも4つの第1リブ25からなる。一方の1組は上下方向において対向する第1リブ25,25であり、他方の一組は幅方向において対向する第1リブ25,25である。上下方向から見た場合に、各第1リブ25で囲まれる領域、すなわち一方の1組の第1リブ25,25を幅方向に延在し、他方の1組の第1リブ25,25を上下方向に延在することで、各第1リブ25で囲まれる領域は、対応するバスバー4よりも広く形成されている。また、一方の1組の第1リブ25,25の上下方向における間隔は、ナット保持部24の上下方向における長さよりも大きく形成される。また、他方の1組の第1リブ25,25の幅方向における間隔は、ナット保持部24の幅方向における長さよりも大きく形成される。ここで、各第1リブ25は、底部22において単独で存在していてもよいし、2以上の第1リブ25が連結されていてもよい。2以上の第1リブ25が連結されている場合は、ロアカバー2における第1リブ25の実質的な数が削減することができ、第1リブ25の強度を向上することができる。
【0021】
被係止部26は、ロア側側壁部23に形成されるものであり、組付状態において、係止部36に係止されるものである。被係止部26は、ロア側側壁部23のうち、外周面23aに形成されており、組付状態において対向するアッパーカバー3の後述するアッパー側側壁部33に向かって突出して形成されている。各被係止部26は、各係止部36にそれぞれ対応するものである。
【0022】
アッパーカバー3は、ロアカバー2に係合するものであり、ロアカバー2の開口部21を塞ぐことで、内部空間6を形成する。アッパーカバー3は、合成樹脂等の絶縁性の材料によって形成される。本実施形態のアッパーカバー3は、箱型の形状であり、厚さ方向の両端部のうち、組付方向側の端部に開口部31を有する。アッパーカバー3は、天井部32と、アッパー側側壁部33と、コネクタ間口34と、第2リブ35と、係止部36と、接触リブ37とを有する。
【0023】
天井部32は、平板の形状である。天井部32は、外周から組付方向に向かって立設するアッパー側側壁部33が形成される。天井部32には、コネクタ間口34が形成される。天井部32は、組付方向に向かって立設する第2リブ35が形成される。
【0024】
アッパー側側壁部33は、厚さ方向から見て、筒型の形状に形成される。アッパー側側壁部33は、厚さ方向における両端部のうち、離脱方向側の端部が天井部32と連結され、組付方向側の端部により開口部31が形成されている。ここで、厚さ方向から見た場合に、開口部31は、ロアカバー2の外周よりも広く形成されている。アッパー側側壁部33は、アッパーカバー3の外周を構成する4つの各辺に対応する部分に被係止部26が係止される係止部36がそれぞれ形成されている。アッパー側側壁部33は、各係止部36が形成されている各辺に一対の係止部用スリット33b,33bが形成されている。係止部用スリット33bは、組付方向側の端部がアッパー側側壁部33の組付方向側の端部まで形成されており外部と連通している。本実施形態における係止部用スリット33bは、離脱方向側の端部がアッパー側側壁部33の離脱方向側の端部、すなわち天井部33と連結する部分まで形成されている。一対の係止部用スリット33b,33bは、アッパー側側壁部33の延在方向、すなわち上下方向あるいは幅方向において、係止部36を挟んで形成されている。つまり、係止部用スリット33bは、係止部36と、後述する接触リブ37との間に形成される。アッパー側側壁部33は、各係止部36が形成されている各辺に一対の接触リブ用スリット33d,33dが形成されている。各接触リブ用スリット33dは、各係止部用スリット33bにそれぞれ対応して形成されている。接触リブ用スリット33dは、組付方向側の端部がアッパー側側壁部33の組付方向側の端部まで形成されており外部と連通している。本実施形態における接触リブ用スリット33dは、離脱方向側の端部がアッパー側側壁部33の離脱方向側の端部、すなわち天井部33と連結する部分まで形成されている。一対の接触リブ用スリット33d,33dは、アッパー側側壁部33の延在方向、すなわち上下方向あるいは幅方向において、接触リブ37を挟んで係止部用スリット33bと反対側に形成されている。
【0025】
コネクタ間口34は、バスバー4と外部の図示しないコネクタ端子とを接続させるものであり、内部空間6に収容されたバスバー4が外部に露出するように配置される。コネクタ間口34は、天井部32を厚さ方向において貫通して形成されている。コネクタ間口34は、組付状態において、バスバー4の後述する貫通孔4aおよびナット5の後述するねじ穴5aと厚さ方向において対向して形成されている。本実施形態におけるコネクタ間口34は、1つのバスバー4に対応して2つを1組として形成されている。
【0026】
第2リブ35は、ロアカバー2とアッパーカバー3との組み付けた状態、すなわち組付状態において、アッパーカバー3に対するバスバー4の位置を規制するものである。第2リブ35は、バスバー4を挟んで対向する2組からなる少なくとも4つの第2リブ35からなる。一方の1組は上下方向において対向する第2リブ35,35であり、他方の一組は幅方向において対向する第2リブ35,35である。上下方向から見た場合に、各第2リブ35で囲まれる領域、すなわち一方の1組の第2リブ35,35を幅方向に延在し、他方の1組の第2リブ35,35を上下方向に延在することで、各第2リブ35で囲まれる領域は、対応するバスバー4よりも広く形成されている。また、一方の1組の第2リブ35,35の上下方向における間隔は、ナット保持部24の上下方向における長さよりも大きく形成される。また、他方の1組の第2リブ35,35の幅方向における間隔は、ナット保持部24の幅方向における長さよりも大きく形成される。ここで、各第2リブ35は、天井部32において単独で存在していてもよいし、2以上の第2リブ35が連結されていてもよい。2以上の第2リブ35が連結されている場合は、アッパーカバー3における第2リブ35の実質的な数が削減することができ、第2リブ35の強度を向上することができる。
【0027】
ここで、第1リブ25および第2リブ35は、ロアカバー2とアッパーカバー3との組み付け時の方向、すなわち厚さ方向から見て、第1リブ25と第2リブ35とが異なる位置に設けられる。本実施形態では、各第1リブ25と、各第2リブ35と、厚さ方向から見て、重なり合わないように形成される。
【0028】
係止部36は、アッパー側側壁部33に形成されるものであり、組付状態において、被係止部26を係止するものである。係止部36は、アッパー側側壁部33のうち、内周面33aに形成されており、組付状態において対向するロア側側壁部23に向かって突出して形成されている。各係止部36は、各被係止部26にそれぞれ対応するものである。各係止部36は、アッパー側側壁部33のうち、一対の係止部用スリット33b,33bの間に形成された係止部用壁片33cにそれぞれ形成されている。ここで、係止部36の内周面33aからの突出量は、厚さ方向から見た場合に、組み付け状態において、少なくとも一部が被係止部26と重なるように形成されている。また、係止部36の内周面33aからの突出量は、すなわち上下方向あるいは幅方向において対向する一組の係止部36,36の離間距離は、ロア側側壁部23の上下方向あるいは幅方向において対向する一組の2辺における外周面23aの離間距離よりも広くなるように形成されている。
【0029】
接触リブ37は、アッパー側側壁部33に形成されるものであり、組付状態において、ロア側側壁部23に接触するものである。接触リブ37は、アッパー側側壁部33のうち、内周面33aに形成されており、組付状態において対向するロア側側壁部23に向かって突出して形成されている。本実施形態のおける接触リブ37は、組付方向側の端部がアッパー側側壁部33の組付方向側の端部の近傍まで形成され、離脱方向側の端部が天井部33と連結して形成されている。ここで、接触リブ37は、組付方向側の端部、すなわち先端部が係止部36の組付方向側の端部よりも組み付け方向側に形成されている。接触リブ37の内周面33aからの突出量、すなわち上下方向あるいは幅方向において対向する一組の接触リブ37の離間距離は、ロア側側壁部23の上下方向あるいは幅方向において対向する一組の2辺における外周面23aの離間距離よりも狭くなるように形成されている。また、接触リブ37の内周面33aからの突出量は、アッパー側側壁部33のうち、同一辺に形成される係止部36の突出量よりも多く突出して形成されている。各接触リブ37は、アッパー側側壁部33のうち、係止部用スリット33bと接触リブ用スリット33dとの間に形成された接触リブ用壁片33eにそれぞれ形成されている。ここで、接触リブ用壁片33eは、係止部用壁片33cを挟んで一対形成されている。本実施形態における接触リブ37は、突出量が小さく形成されている。
【0030】
バスバー4は、組付状態において内部空間6に収容されるものであり、外部のコネクタ端子と電気的に接続されるものである。バスバー4は、銅等の導電性の板状部材から形成される。バスバー4は、例えば、母材として金属板に対してプレス機械等によるせん断・折り曲げ加工がなされて形成される。本実施形態のバスバー4は、図2に示すように、厚さ方向から見た場合に、L字又はS字の形状に形成される。バスバー4は、組立状態において、一方の1組の第1リブ25,25に挟まれ、他方の1組の第1リブ25,25に挟まれ、一方の1組の第2リブ35,35に挟まれ、他方の1組の第2リブ35,35に挟まれる。バスバー4は、図示しないコネクタ端子の図示しない貫通孔に挿入されたねじ部材を挿入可能な貫通孔4aを有する。本実施形態におけるバスバー4は、幅方向における両端部に貫通孔4aが一組形成されている。つまり、バスバー4は、幅方向の両端部において、コネクタ間口34から露出するように配置され、外部のコネクタ端子と電気的に接続される。
【0031】
ナット5は、組付状態において内部空間6に収容されるものであり、外部のコネクタ端子の図示しない貫通孔及びバスバー4の貫通孔4aに挿入されたねじ部材を締結するものである。ナット5は、直方体の形状に形成されており、ねじ部材が締結されるねじ穴5aを有する。本実施形態におけるナット5は、1つのバスバー4に対応して2つを1組として形成されている。
【0032】
次に、電気接続箱1の組み立てについて説明する。まず、ロアカバー2の各ナット保持部24にナット5をそれぞれ保持させる。次に、ロアカバー2に対してバスバー4を収容する。具体的には、各バスバー4を対応する1組のナット保持部24に載置することで、ロアカバー2に組み付ける。このとき、各バスバー4は、一方の1組の第1リブ25,25に挟まれ、他方の1組の第1リブ25,25に挟まれることとなる。従って、ロアカバー2に対して各バスバー4の位置決めが行われる。
【0033】
次に、ロアカバー2に対してアッパーカバー3を組み付ける。具体的には、厚さ方向において、ロアカバー2の開口部21に対して開口部31が対向するように、ロアカバー2に対してアッパーカバー3を配置し、アッパーカバー3をロアカバー2に対して組付方向に移動させる。このとき、接触リブ37が係止部36よりも組付方向側に組付方向の端部が形成されているので、まずアッパー側側壁部33の各辺に形成された一対の接触リブ37,37がロア側側壁部23の外周面23aと接触する。さらに、ロアカバー2に対してアッパーカバー3を組付方向に移動させると、接触リブ37,37がそれぞれ形成された接触リブ用壁片33eが離脱方向側の端部を基点として、ロア側側壁部23の外側に向かって変形する(図5に示すM1)。つまり、アッパーカバー3は、各接触リブ用壁片33eにより、上下方向及び幅方向からなる平面、すなわち水平面におけるロアカバー2の中心に向かって押圧されることとなる。このとき、係止部36は、係止部用壁片33cが接触リブ用壁片33eと独立しているので、ロア側側壁部23の外側に向かって変形しない。さらに、ロアカバー2に対してアッパーカバー3を組付方向に移動させると、アッパー側側壁部33の各辺に形成された係止部36がロア側側壁部23の外周面23aと接触する。さらに、ロアカバー2に対してアッパーカバー3を組付方向に移動させると、係止部36が被係止部26と接触する。さらに、ロアカバー2に対してアッパーカバー3を組付方向に移動させると、係止部36が形成された係止部用壁片33cが離脱方向側の端部を基点として、ロア側側壁部23の外側に向かって変形する(図5に示すM2)。さらに、ロアカバー2に対してアッパーカバー3を組付方向に移動させると、係止部36が被係止部26を組付方向において乗り越え、被係止部26に対して、係止部36が組付方向側に位置する。これにより、ロアカバー2がアッパーカバー3により覆われ、開口部21がアッパーカバー3により閉塞される。このとき、第1リブ25によりロアカバー2に対して位置決めされた各バスバー4は、一方の1組の第2リブ35,35に挟まれ、他方の1組の第2リブ35,35に挟まれることとなる。従って、アッパーカバー3に対して各バスバー4の位置決めが行われる。ロアカバー2にアッパーカバー3を組み付けた状態においても、アッパーカバー3は、各接触リブ用壁片33eにより、上下方向及び幅方向からなる平面におけるロアカバー2の中心に向かって押圧された状態である。
【0034】
次に、ねじ部材を外部のコネクタ端子の貫通孔に挿入した状態で、コネクタ間口34に挿入する。次に、コネクタ間口34に挿入したねじ部材をバスバー4の貫通孔4aに挿入する。次に、貫通孔4aに挿入したねじ部材をナット5のねじ穴5aに螺合することで、ねじ部材がナット5に締結される。これにより、外部のコネクタ端子とバスバー4とが電気的に接続されることとなり、電気接続箱1の外部からバスバー4に対して電力が供給され、同じバスバー4に電気的に接続されている外部のコネクタ端子を介して、他の電子機器に電力が供給される。
【0035】
以上のように、本実施形態の電気接続箱1は、組付状態において、各接触リブ用壁片33eにより、アッパーカバーが水平面におけるロアカバー2の中心に向かって押圧された状態を維持するので、ロアカバー2に対するアッパーカバー3の水平面における相対移動が規制される。従って、ロアカバー2に対するアッパーカバー3の位置決めを確実に行うことができ、組付状態において、ガタつきや異音が生じることを確実に抑制することができる。
【0036】
また、接触リブ37と係止部36との間に係止部用スリット33bが形成されているので、接触リブ37が形成されている接触リブ用壁片33eが変形しても、係止部36が形成されている係止部用壁片33cが変形することはない。従って、組み付ける前の接触リブ37の位置から組付状態での接触リブ37の位置が変化しても、組付状態における係止部36と被係止部37との相対位置は変化しない。従って、ロアカバー2に対するアッパーカバー3の位置決めを確実に行っている状態で、係止部36による被係止部26の係止状態を確実に維持することができる。これにより、係止部36および被係止部26により、組付状態においてロアカバー2からアッパーカバー3が離脱方向に移動することを確実に規制することができる。
【0037】
また、接触リブ37を挟んで係止部用スリット33bと反対側に接触リブ用スリット33dが形成されているので、接触リブ用壁片33eが変形しやすくすることができる。従って、接触リブ37がロア側側壁部23に接触した状態で、ロアカバー2に対してアッパーカバー3を組付方向に移動させる際の押圧力は、接触リブ用スリット33dが形成されていない場合と比較して、低くすることができる。これにより、ロアカバー2に対してアッパーカバー3を容易に組み付けることができる。
【0038】
上記実施形態の電気接続箱1では、アッパーカバー3に接触リブ37が形成されているが、これに限定されるものではなく、ロアカバー2に接触リブを形成してもよい。この場合は、被係止部26を挟んで、被係止部用スリットを形成する。また、接触リブを挟んで被係止部用スリットと反対側に接触リブ用スリットを形成する。
【0039】
また、上記実施形態の電気接続箱1では、ロアカバー2に対して各バスバー4を組み付けたが、これに限定されるものではなく、アッパーカバー3に対して各バスバー4を先に組み付けて、アッパーカバー3をロアカバー2に組み付けてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 電気接続箱
2 ロアカバー
21 開口部
22 底部
23 ロア側側壁部
24 ナット保持部
24a 開口部
25 第1リブ
26 被係止部
3 アッパーカバー
31 開口部
32 天井部
33 アッパー側側壁部
33b 係止部用スリット
33d 接触リブ用スリット
34 コネクタ間口
35 第2リブ
36 係止部
37 接触リブ
4 バスバー
4a 貫通孔
5 ナット
5a ねじ穴
6 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6