(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6600711
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】一体型加圧ポンプシャフトシール組立体およびその使用方法、並びに、回転流体ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 13/08 20060101AFI20191021BHJP
F04D 13/12 20060101ALI20191021BHJP
F04D 29/12 20060101ALI20191021BHJP
F04D 29/08 20060101ALI20191021BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
F04D13/08 A
F04D13/12 Z
F04D29/12 B
F04D29/08 C
F04C15/00 C
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-71335(P2018-71335)
(22)【出願日】2018年4月3日
(62)【分割の表示】特願2016-562046(P2016-562046)の分割
【原出願日】2015年1月5日
(65)【公開番号】特開2018-135888(P2018-135888A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2018年4月25日
(31)【優先権主張番号】61/923,675
(32)【優先日】2014年1月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518166140
【氏名又は名称】ダジャストコ アイピー ホールディングス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Dajustco IP Holdings Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン−ド−ヴェルド,ピーター フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター,ニコラス ジェイムズ
【審査官】
冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公告第00566614(GB,A)
【文献】
特開2002−310091(JP,A)
【文献】
米国特許第06379127(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/08
F04C 15/00
F04D 13/12
F04D 29/08
F04D 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転流体ポンプ用の一体型加圧ポンプシャフトシール組立体であって、前記回転流体ポンプは回転流体ポンプシャフトおよび回転流体ポンプモーターを備え、前記一体型加圧ポンプシャフトシール組立体は、
オイル貯留部と、
前記ポンプシャフトに直接に取り付け可能で、前記ポンプシャフトによって回転可能な一体型遠心オイルポンプであって、前記オイル貯留部からオイルを受け入れるように前記オイル貯留部に流体接続された一体型遠心オイルポンプと、
前記オイルポンプに流体接続されたシール室と、を備え、
前記シール室は、前記オイルによって潤滑されるように適合されたポンプシャフトベアリングと、前記ポンプシャフトを囲むように適合され、前記シール室を密封するように適合されたメカニカルシャフトシールと、を含み、
前記オイルポンプは、前記オイル貯留部から受け入れた前記オイルを前記シール室へ押し出し、前記シール室を加圧して前記シール室外部の周囲圧力を超える陽圧にし、前記メカニカルシャフトシールを通って前記シール室内へ入る少なくとも外部流体の浸入を防止し、それにより前記シール室を密封するように操作可能である、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体。
【請求項2】
前記メカニカルシャフトシールは、第1のメカニカルシャフトシールおよび第2のメカニカルシャフトシールを備える請求項1記載の一体型加圧ポンプシャフトシール組立体。
【請求項3】
さらに、前記一体型遠心オイルポンプと前記シール室との間に位置するチェックバルブを備える請求項1記載の一体型加圧ポンプシャフトシール組立体。
【請求項4】
さらに、前記ポンプモーターを冷却するために適合された冷却ジャケットを備え、
前記冷却ジャケットは、減圧バルブによって前記シール室に流体接続され、前記シール室から加圧オイルを受け入れるように適合された請求項1記載の一体型加圧ポンプシャフトシール組立体。
【請求項5】
さらに、前記メカニカルシャフトシールの故障を検出するように適合された少なくとも一つのセンサを備える請求項1記載の一体型加圧ポンプシャフトシール組立体。
【請求項6】
前記センサは、さらに、前記オイルポンプと前記シール室との間に位置する少なくとも一つのチェックバルブと、前記シール室に流体接続された減圧バルブと、の閉鎖を引き起こすように適合された請求項5記載の一体型加圧ポンプシャフトシール組立体。
【請求項7】
さらに、前記ポンプシャフトベアリングを含有するベアリング筺体を備え、
前記筺体は、前記オイルポンプから加圧オイルを受け入れ、前記加圧オイルの流体速度を静圧に変換するように適合されたディフューザーを備える請求項1記載の一体型加圧ポンプシャフトシール組立体。
【請求項8】
さらに、シール室筺体を備え、
前記シール室筺体は、前記シール室を囲み、さらに、前記シール室内の前記加圧オイルを冷却するように適合された冷却フィンと、前記メカニカルシールの近傍において前記加圧オイル内の渦およびキャビテーションの少なくとも一方を減少させるように適合された邪魔板との一つまたは複数を備える請求項1記載の一体型加圧ポンプシャフトシール組立体。
【請求項9】
さらに、前記シャフトベアリングと前記オイルポンプとを前記ポンプシャフトに締め付けるように適合されたロックナットを備える請求項1記載の一体型加圧ポンプシャフトシール組立体。
【請求項10】
さらに、前記組立体の外側液体中圧力を補償するように適合された圧力補償装置を備える請求項1記載の一体型加圧ポンプシャフトシール組立体。
【請求項11】
回転流体ポンプモーターと、前記ポンプモーターおよびポンプインペラに接続された回転流体ポンプシャフトと、を備え、前記ポンプシャフトに接続するために適合された請求項1記載の一体型ポンプシール組立体を更に備える回転流体ポンプ。
【請求項12】
回転流体ポンプ内でのシール不良を防止する方法であって、前記回転流体ポンプは回転流体ポンプシャフトおよび回転流体ポンプモーターを備え、前記方法は、
オイル貯留部と、前記ポンプシャフトに直接に取り付け可能で、前記ポンプシャフトによって回転可能な一体型遠心オイルポンプであって、前記オイル貯留部からオイルを受け入れるように前記オイル貯留部に流体接続された一体型遠心オイルポンプと、前記オイルポンプに流体接続され、前記オイルによって潤滑されるように適合されたポンプシャフトベアリングを備えるシール室と、前記ポンプシャフトを囲むように適合され、前記シール室を密封するように適合されたメカニカルシャフトシールと、を含む、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体を提供する工程と、
前記ポンプモーターで前記ポンプシャフトを回転することによって、前記回転流体ポンプを運転する工程であって、前記ポンプシャフトもまた前記オイルポンプを直接回転させ、前記オイル貯留部からオイルを前記シール室へ押し出し、前記シール室を加圧して前記シール室外部の周囲圧力を超える陽圧にし、前記メカニカルシャフトシールを通って前記シール室内へ入る少なくとも外部流体の浸入を防止し、それにより前記シール室を密封する工程と、を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してポンプシャフトシールおよびその使用方法に関する。より具体的には、本発明は、一体型シール加圧ポンプによって加圧されるように適合された液体中モーターまたは半液体中モーターのためのポンプのようなポンプシャフトシール組立体およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転流体ポンプは、一般的に、シール不良に起因する誤動作および/または故障を起こしやすく、例えば、ポンプシャフトベアリングおよび/または典型的な電気ポンプモーター等のポンプモーターへの圧送流体の浸入をシールするポンプシャフト周りにシール不良を起こしやすい。
【0003】
特に、回転ポンプがポンプ研磨剤流体およびスラリーを送出する場合は、ポンプシャフトシールの摩耗、および、最終的にはシャフトシールの故障、修繕の要請、ポンプの補修および/または交換を頻繁かつ早期に招来し、望ましくないことがある。このようなポンプの機能不全および/または故障は、稼働停止(ダウンタイム)による高額な損失およびメンテナンスを必要とし、時間および費用を喪失することになるために望ましくない。
【0004】
当技術分野では、かなりの深さで使用される液体中ポンプが知られており、このような液体中ポンプには、一般的にポンプシールの両側の圧力のバランスをとるための空気又は他の流体圧力の外部源を必要とする圧力補償シールを使用することができる。このような一般的な外部圧力源があると、圧力補償された液体中ポンプが複雑になり、かつ、費用を増大させ、ポンプシステムの外部の圧力補償装置にも信頼性が必要とされるために好ましくなく、低コスト、信頼性とシンプルさが望まれている多くの用途において望ましくない。
【0005】
したがって、当技術分野において知られたいくつかのポンプシールの課題を解決するために、回転ポンプシールおよびその適用方法の改良が依然として望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術のいくつかの欠点に対処する一体型加圧ポンプシール組立体を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、さらに、従来技術のいくつかの欠点に対処する一体型加圧ポンプシール組立体の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、一体型加圧ポンプシール組立体のポンプ設計は、望ましくは実質的に、研磨剤流体やスラリーのような圧送流体が、一般的なメカニカルシャフトシールのような下部シールを通る漏出によって、回転ポンプシャフトに沿ってポンプシャフトベアリングに漏れ出すのを防止するように提供されてもよい。一般的に、メカニカルシールは、メカニカルシールの設計上、必然的に、少量のオイルまたは他のシール潤滑流体を漏出する可能性があり、システムに不調が生じやすい。本発明に係る一実施形態では、自己加圧ポンプのシール室は、一体型加圧ポンプシール組立体内に設けられており、ポンプシール室内のオイルの圧力が、周囲の圧送流体のサンプ(油溜め)圧力よりも大きい圧力に望ましくは維持される。これにより、通常の運転状態下およびポンプの運転停止や運転開始のようなルーチンアップセット下において、砂粒、湿気および/または他の汚染物がシール組立体に入り、シール組立体に損傷を与えないようにすることができ、望ましくは、このためシール組立体の致命的な故障を除くほとんどの状態下で、ポンプシールとベアリングとの保護を望ましくは提供することができる。したがって、本発明の一実施形態に係る一体型加圧ポンプシール組立体の実施によって、ポンプ使用者におけるメンテナンスコストと停止時コストを望ましくは低減することができる。
【0009】
本発明のさらなる実施形態では、回転流体ポンプ用の一体型加圧ポンプシャフトシール組立体であって、上記回転流体ポンプは、回転流体ポンプシャフトおよび回転流体ポンプモーターを備え、上記一体型加圧ポンプシャフトシール組立体は、オイル貯留部、上記ポンプシャフトに直接に取り付け可能で、上記ポンプシャフトによって回転可能であり、上記オイル貯留部からオイルを受け入れるように上記オイル貯留部に流体接続された一体型遠心オイルポンプ、および、上記オイルポンプに流体接続されたシール室を備え、上記シール室は、上記オイルによって潤滑されるように適合されたポンプシャフトベアリングと、上記ポンプシャフトを囲むように適合され、上記シール室を密封するように適合されたメカニカルシャフトシールと、を含み、上記オイルポンプは、上記オイル貯留部から受け入れた上記オイルを上記シール室へ押し出し、上記シール室を加圧して陽圧にし、上記メカニカルシャフトシールを通って上記シール室内へ入る少なくとも外部流体の浸入を防止し、それにより上記シール室を密封するように操作可能である、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体が提供される。
【0010】
さらに別の実施形態では、上記一体型加圧ポンプシャフトシール組立体は、第1のメカニカルシャフトシールと第2のメカニカルシャフトシールとを備えてもよい。
【0011】
本発明に係る他実施形態において、回転流体ポンプは、ポンプモーターと、上記ポンプモーターおよびポンプインペラに接続されたポンプシャフトと、を備え、上記ポンプシャフトに接続するために適合された一体型ポンプシール組立体を更に備えており、上記一体型ポンプシール組立体は、オイル貯留部と、ポンプシャフトに直接固定され、ポンプシャフトによって回転可能であり、上記オイル貯留部からオイルを受け入れるように流体接続された一体型遠心オイルポンプと、遠心オイルポンプから加圧オイルを受け入れるように流体接続され、上記オイルによって潤滑されるように適合されたポンプシャフトベアリングと、上記ポンプシャフトを囲み、圧送流体の浸入に対してシール室を密封するように適合されたメカニカルシャフトシールと、を備えるシール室と、を備えている。
【0012】
本発明に係るさらに別の実施形態では、回転流体ポンプ内でのシール不良を防止する方法であって、上記回転流体ポンプは回転流体ポンプシャフトおよび回転流体ポンプモーターを備え、上記方法は、オイル貯留部と、上記ポンプシャフトに直接に取り付け可能で、上記ポンプシャフトによって回転可能とされ、上記オイル貯留部からオイルを受け入れるように上記オイル貯留部に流体接続された一体型遠心オイルポンプと、上記オイルポンプに流体接続され、上記オイルによって潤滑されるように適合されたポンプシャフトベアリングを備えるシール室と、上記ポンプシャフトを囲むように適合され、上記シール室を密封するように適合されたメカニカルシャフトシールと、を含む、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体を提供する工程と、上記ポンプモーターで上記ポンプシャフトを回転することによって、上記回転流体ポンプを運転する工程であって、上記ポンプシャフトもまた上記オイルポンプを直接回転させ、上記オイル貯留部からオイルを上記シール室へ押し出し、上記シール室を加圧して陽圧にし、上記メカニカルシャフトシールを通って上記シール室内へ入る少なくとも外部流体の浸入を防止し、それにより上記シール室を密封する工程と、を備える。
【0013】
本発明の更なる効果は、詳細な説明と組み合わせて図面を考慮すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、本発明のいくつかの実施形態の装置および方法を添付の図面を参照しながら説明する。
【
図1】本発明の一実施形態に係る一体型加圧ポンプシャフトシール、および、上記一体型加圧ポンプシャフトシールを備える本発明の他実施形態に係るポンプ装置の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る一体型加圧ポンプシャフトシールであって、それを備える本発明の他実施形態に係るポンプ装置の部分である一体型加圧ポンプシャフトシールの長手方向の断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る一体型加圧ポンプシャフトシール内部の詳細であって、それを備える本発明のさらなる実施形態に係るポンプ装置の部分である一体型加圧ポンプシャフトシールの流路長手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る一体型加圧ポンプシャフトシール組立体102の概略図が示されており、また、それを備える本発明の他実施形態に係るポンプ装置100が示されている。一実施形態において、ポンプ100は、例えば流体、流体/固体懸濁物およびスラリーのうちの一つまたは複数を送出するためのスラリー用又は他の流体用の回転ポンプを備えてもよい。特定の実施形態において、ポンプ100は、例えば半液体中スラリーポンプのような液体中または半液体中ポンプを備えてもよく、例えば、電気ポンプモーター101のようなポンプモーターと、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体102のような一体型加圧ポンプシャフトシールと、ポンプインペラ/室組立体または「ウェットエンド」103とを備えてもよい。このような一実施形態において、例えば、電気ポンプモーター101は、ポンプシャフト112を用いてポンプインペラ組立体103を駆動し、ポンプシャフト112は、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体102を通って延び、上部シャフトベアリング118および下部シャフトベアリング108によって支持されてもよい。
【0016】
一実施形態では、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体102は、少なくとも一つのメカニカルシャフトシールを備え、メカニカルシャフトシールは、例えば上部シール面107および下部シール面117を備えたシールであり、上部シール面107および下部シール面117は、上部シール面107と下部ポンプシャフトベアリング108とを囲むシール室105内に位置付けられ、シール室105には、オイル、または、適切なシールおよび/またはベアリングを潤滑する流体が充填されている。好ましい実施形態では、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体102は、上部メカニカルシール107および下部メカニカルシール117を備えた二重メカニカルシール配列を備え、それぞれは、ポンプシャフト112にメカニカルシャフトシールを提供するために、回転接触してシールするように作用する2つのメカニカルシール面を備える。メカニカルシール107,117は、任意の適切なメカニカルシールの設計および/または材料を備えてもよく、例えば、シリコンカーバイドおよび/またはタングステンカーバイドのシール面を含むような材料を備えてもよく、本発明の一実施形態では、上部および下部メカニカルシール107,117は、それぞれ、例えばカートリッジメカニカルシールとして設けられてもよい。例えば、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体102は、メカニカルシール107,117を含み、さらにオイル(または、例えば、他の適したシールおよび/または軸受潤滑流体)を含有するシール室105を備え、シール室105は、シール室105の外側の周囲圧力またはサンプ圧力を超えた陽圧となるように望ましくは加圧されてもよく、これにより、下部シャフトベアリング108を収容および保護し、かつ、ポンプモーター101を保護するシール室105に液体中ポンプウェットエンド103からの圧送スラリー、流体または他の汚染物が入ることを防止してもよい。例えばまた、一実施態様では、上部メカニカルシール107および下部メカニカルシール117は、液体中ポンプのウェットエンド103からの圧送スラリー、流体または他の汚染物への曝露から、ポンプモーター101およびその他ポンプにおける「ドライエンド」内のポンプ構成物を望ましくは保護することができる。
【0017】
一実施形態では、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体102は、ポンプシャフト112に望ましくは直接に取り付けられ、ポンプシャフト112と一体化するオイルポンプ104をさらに備え、オイルポンプ104が回転され、それによりポンプシャフト112によって直接動力が提供されるようにオイルポンプ104がポンプシャフト112に直接に取り付けられ、ポンプシャフト112と一体化されてもよい。例えば、一実施形態では、オイルポンプ104は、放射状孔インペラポンプのような遠心インペラポンプ104を備えており、該インペラポンプは、ポンプシャフト112と一体化され、ポンプシャフト112によって回転される。該一実施形態では、オイルポンプ104は、周囲のサンプ圧力またはポンプのウェットエンド103内部またはシール室105外部の圧送流体(例えば、スラリー)圧力よりも高い圧力に、シール室105を望ましくは加圧するために、シール室105内にオイル陽圧を提供するように作動可能である。これにより、スラリーのような圧送流体がシール室105、上部メカニカルシール107および下部メカニカルシール117に入るのを排除し、そして、ベアリング108またはポンプモーター101の汚染および/または損傷を望ましくは防止することができる。特定の一実施形態では、例えば、加圧されたシール室105が、例えばウェットエンド103における圧送流体またはスラリーの周囲圧力のようなシール室105の外部の圧送流体の周囲圧力よりも約10から50psiだけ超えた陽圧となるようにオイルポンプ104によって望ましくは加圧されてもよい。一実施形態では、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体102は、さらにオイル貯留部106を備え、オイル貯留部106は一般的にシール室105の上方に位置し、サンプ圧力またはシール室105の外部の圧送流体またはスラリーの外部圧力を超えた陽圧にシール室105を加圧し、供給するためのオイル(または、他の適したシールおよび/またはベアリング潤滑流体)を含有し、該オイルをオイルポンプ104に供給するように作動可能である。特定の一実施形態において、例えば放射状孔遠心インペラポンプ等のオイルポンプ104は、例えば、保持ロックナットを用いてオイルポンプ104をシャフト112に保持することによって、ポンプシャフト112に固着されて一体化されてもよい。さらなるこのような実施形態では、ポンプモーター101によるポンプシャフト112の回転により、一体型オイルポンプ104を回転させるように、一体型オイルポンプ104、ベアリング108、および必要に応じてシャフトスリーブ(図示せず)が、例えば、公知の保持ロックナットによってポンプシャフト112に取り付けられてもよい。特定の実施形態において、ベアリング108は、オイルポンプ104によって室105内で加圧されたオイルまたは別の適切な潤滑流体がベアリング108に潤滑性を提供できるように、シール室105に開かれていてもよい。さらなるこのような実施形態において、ベアリング108は、例えば、メカニカルシール107,117の故障が生じた場合のように、シール室105が圧力を失い、オイルが少なくとも部分的に流出されても、ベアリング108を潤滑するための剰余オイルを保持できるベアリングオイルプールまたはベアリングオイル貯留部を含むことができるベアリング筺体(図示せず)を備えてもよい。特定の実施形態では、望ましくは、上部および下部メカニカルシール107,117は、加圧されたシール室105とシール室105の外部の圧送流体のより低い周囲圧力との間の所望の圧力差を密封調整するように構成されてもよい。
【0018】
一実施形態では、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体102は、さらに、一体型オイルポンプ104と加圧されたシール筺体105との間に位置付けられるチェックバルブ109を備えている。このような特定の実施形態では、チェックバルブ109は、シール室105から一体型オイルポンプ104を通ったオイル貯留部106へのオイルの逆流を妨げるように望ましくは作動可能としてもよく、さもなければ、例えばポンプモーター101の停止時に逆流が発生し、そのため、メカニカルシール107,117の最終的な故障につながるオイル貯留部106の汚染が発生する可能性があるために望ましくない。メカニカルシール107,117は、回転ポンプ100の長期間の使用で摩耗し、かつ、最終的に故障しやすいから、通常作動時には、加圧されたシール室105によって圧送流体のメカニカルシール107,117への浸入が排除できたとしても、下部メカニカルシール117の故障の検出時には、チェックバルブ109が閉鎖するように作動可能とされてもよく、例えば、圧送流体および/または湿気が、一体型オイルポンプ104を通ってオイル貯留部106に入るのを防止することができる。このような実施形態の一つにおいて、チェックバルブ109は、シール室105の圧力が所定の圧力最低値を下回った場合に閉鎖することができるように圧力作動弁を備えることができ、これにより、このようなバルブ109の閉鎖がオイル貯留部106への流体の流入を望ましくは減少させ、または、妨害することができる。他のこのような実施形態において、下部メカニカルシール117の故障を検知するように作動可能なセンサ(図示せず)が設けられてもよく、センサは、このような故障に基づき、チェックバルブ109の閉鎖を開始するトリガーとして機能することができる。また、他実施形態では、使用者に下部メカニカルシール117の故障を知らせるためのアラームまたは他の適切な表示(例えば、表示灯または信号)を開始するトリガーとして機能するセンサが設けられてもよい。また、さらなる任意の実施形態において、一つまたは複数のセンサが、上部または下部メカニカルシール107,117の故障;オイル貯留部106内の少ないオイル量;シール室105内への水および/または湿気の浸入;所定の最低レベルを下回るシール室105内のオイル圧力の低下;故障の一つ又は複数を検出するように設けられてもよく、このようなセンサは、さらに、一又は複数のこのような欠陥を使用者に知らせるために、アラームまたは他の適当な指示を開始するトリガーとなるように作動可能とされてもよい。
【0019】
本発明の他実施形態において、ポンプ装置100は、オイルポンプ104からの圧力によりオイル貯留部106からのオイル(または他の適切な潤滑流体)を循環させるためのジャケットのように冷却ジャケット111をさらに備えてもよく、冷却ジャケット111により、ポンプモーター101(例えば、一般的な電気ポンプモーター101)を冷却する。このように例えば半液体中ポンプ内で使用するような一実施形態において、オイル貯留部106からのオイルは、外部の周囲流体圧力を超える陽圧でシール室105を加圧するために、ポンプシャフト112の回転によって駆動される一体型オイルポンプ104によってシール室105内に送り出されてもよく、ポンプモーター101の少なくとも一部を囲む冷却ジャケット111にシール室105内のオイルの一部が望ましくは循環されるように減圧バルブ110(通常、開かれている)を経てもよい。シール室105から減圧バルブ110を経て冷却ジャケット111に至り、オイルポンプ104を通ってシール室105に戻る前にオイル貯留部106に戻るこのようなオイルの循環は、ポンプモーター111からシール室105に熱を循環することができ、循環されたオイルは、シール室105の外部に位置する周囲圧送流体を取り囲む一般的な冷却機によって冷却されてもよい。例えば、このような実施形態の一つにおいて、望ましくは、バルブ110と冷却ジャケット111を通るようにオイルの流れを制限および/または制御することによって、減圧バルブ110が所定の陽圧最小値を維持するように構成されてもよく、シール室105の圧力は、該所定の陽圧最小値に、または、該所定の陽圧最小値を超えるように維持される。特定の実施形態において、シール室105の周囲を囲む任意の筺体(図示せず)およびシール室105は、望ましくは、シール室105内のオイルから(および、任意でオイル貯留部106からも)室105および/または筺体の外部に位置する圧送流体への放熱させるように、適切な熱伝導性材料で構成されてもよく、例えばアルミニウムで構成される。このような実施形態の一つにおいて、シール室105の壁、および/または、さらに任意のシール室筺体は、さらに、オイル室105から室の外部の周囲圧送流体への放熱を改善するような冷却フィンまたは他の適する構造体を含んでもよい。
【0020】
また、上述のチェックバルブ109と同様に、下部メカニカルシール117の故障の検出に基づいて、減圧バルブ110が閉鎖するように作動可能として、圧送流体および/または湿気が冷却ジャケット111に流入するのを避けるようにしてもよい。このような実施形態の一つにおいて、センサ(図示せず)は、下部メカニカルシール117の故障を検出し、このような故障時に減圧バルブ110を閉鎖させるトリガーとして機能するように作動可能に設けられてもよい。また、別の実施形態では、センサは、下部メカニカルシール117の故障を使用者に通知するアラームまたは他の適切な表示(例えば、指示灯または信号のような)を作動できるように設けられてもよい。さらなる実施形態において、下部メカニカルシール117の故障後に、上部メカニカルシール107は、ポンプが修理および/または交換されるまで、湿気、圧送流体または他の汚染物がポンプモーター101に、および、シール室105およびベアリング108に浸入することを防止するように望ましくは作動可能としてもよい。他実施形態において、例えばシール室105内のオイルの汚染に対する追加的保護を望ましくは提供し、ベアリング108のベアリング寿命を延ばすために、任意のオイルフィルター(図示せず)が、シール室105とチェックバルブ109との間に、または、オイル貯留部106とオイルポンプ104との間に設けられてもよい。さらに他実施形態において、オイルポンプ104は、上部メカニカルシール107および下部メカニカルシール117の両方が、故障に続いてオイル貯留部106に流入する流体(例えば、汚染する圧送流体または他の汚染物を含む)をシール室105に後退させ、該流体がポンプモーター101から離れるようにオイルポンプ104をポンピングすることによって、ダイナミックシールとして望ましくは機能することができる。これにより、望ましくは、そのような流体がポンプモーター101に入り潜在的に損傷を与えることを防止し、ポンプモーター不良に対する追加的な保護を提供する。さらなる実施形態では、一体型加圧シール組立体102は、ポンプ100の中断、不調または電源異常を受けた場合、シール室105内の陽圧を望ましくは漸減させて、シール室内の圧力が所定の圧力最低値を下回るようにしてもよい。例えば、これは、逆止弁109を閉鎖することによって、シール室105内の陽圧を漸減させ、その後、メカニカルシール117,107を通ってシール室105内の加圧オイルを徐々に流出させるようにシール室105およびオイル貯留部106からの圧送流体の排出を望ましくは維持することによって行ってもよい。これにより、例えば、ベアリング108とポンプモーター101とがそれぞれ保護される。
【0021】
本発明の一実施形態において、一体型加圧シール組立体102は、加圧されたオイルディフューザー(図示せず)をさらに備えてもよく、例えば、オイルディフューザーは、シール室105が外部の周囲流体圧力に対して所定の陽圧となるようにオイルポンプインペラ104によって送り出されるオイルの流体速度がシール室105を加圧するための静圧に望ましくは変換されるように、オイルポンプ104インペラと加圧されたシール室105との間に位置付けられる。このような実施形態の特定の例において、例えば、一体型加圧シール組立体102は、さらに、シャフトベアリング108を含有するベアリング筺体(図示せず)をシール室105内に備える。ベアリング筺体は、オイルポンプインペラ104からの加圧ポンプオイルを受け入れ、ポンプオイルの流体速度をシール室105の静圧に変換するためのディフューザーを含む。さらなるこのような実施形態において、例えば、ディフューザーは、少なくとも一つの分割および案内チャネル(図示せず)であって、追加のオイル流を減圧バルブ110内に方向転換させ、および/または、向かわせるように配向され、それにより冷却ジャケット111へのオイル流を増加させるチャネルをさらに含んでもよい。他の任意の実施形態において、例えば、オイルポンプ104は、さらに、シール室105の外部のサンプ(油溜め)にポンプ104によって加圧されたオイルの一部を放出するように作動可能な一つまたは複数の通気チャネルを備えてもよく、これによりシール室105の過圧力を望ましくは減少させる。
【0022】
本発明の他実施形態において、シール室105は、一つまたは複数の邪魔板または他の適切な流れ方向付け構造(図示せず)を備えてもよく、これは、一つまたは複数の上部メカニカルシール107および下部メカニカルシール117のシール面近傍におけるポンプオイルのエアポケットまたはキャビテーションの生成および/または渦を望ましくは減少させるのに効果がある。例えば、任意の実施形態において、放射状遠心インペラポンプ104等のオイルポンプ104は、ポンプシャフト112に一体型オイルポンプ104によるポンプシャフト112の軸方向スラスト荷重が一方向に望ましくは配向され、ポンプシャフト112の一つまたは複数の他の軸方向スラスト荷重とは反対の方向に、例えばポンプ100のウェットエンド103によるスラスト荷重の反対の方向に作用するように、ベアリング108,118によって支えられたシャフト112への軸方向のスラスト荷重の不均衡を減少するように配向されてもよい。かなりの深さに潜液するために使用されるポンプに関する他実施形態において、一体型加圧ポンプシール組立体102は、圧力補償装置(図示せず)を望ましくは備えてもよく、圧力補償装置は、シール室105の陽圧がシール室105の外部の周囲流体圧力を超えて維持されるように、加圧されたシール室105内の操作オイル圧を制御して増加させるように作動可能である。別の任意の実施形態では、オイル貯留部106は、さらに、排気弁(図示せず)を備えてもよく、さもなければ、組立体102のオイル貯留部/ポンプ/シール室オイル加圧システムを不必要にエアロックする可能性がある。また、そのような実施形態の選択的な例として、排気弁は、貯留部106内の補助を緩和するものであり、例えば、排気弁は、組立体102にオイルを充填し、および/または、入れ替える時に、オイル貯留部106から排気がされるように、オイル貯留部106にオイルを追加するのを補助するものでもよい。さらなる他の選択的実施形態において、排気弁は、所望により、貯留部106に空気が入ることを許容するものでもよい。
【0023】
本発明の一実施形態において、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体102を備える回転流体(および/またはスラリー)ポンプ100が提供され、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体102は、ベアリング108およびポンプモーター101を保護するために、所望のポンプモーター101およびインペラ組立体/ウェットエンド103と共に使用するために構成され、または、適合されている。本発明のさらなる他実施形態において、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体102を備える回転流体(および/またはスラリー)ポンプ100の使用方法が提供され、回転流体(および/またはスラリー)ポンプ100の使用方法は、ポンプ100の運転によって、ポンプモーター101によってポンプシャフト112を回転させることで、一体型オイルポンプ104をも直接回転させて、オイル室105内のオイルを加圧するものであり、ポンプ100内のシール不良を望ましくは防止し、および/または、減少させるために加圧するものである。さらなる実施形態において、シール不良を防止する方法が提供されており、該方法は、一体型加圧ポンプシャフト組立体102を備える回転流体(および/またはスラリー)ポンプ100を提供する工程を備え、ポンプモーター101によってポンプシャフト112を回転させることなどによるポンプ100の運転が、一体型オイルポンプ104を直接回転させて、オイル室105内のオイルを加圧するものであり、シール室105内および/またはメカニカルシール107,117内への外部流体の浸入を防止し、および/または、減少させるための方法である。
【0024】
ここで
図2を参照すると、一体型加圧ポンプシャフト組立体200を備える回転流体(および/またはスラリー)ポンプの一部の長手方向の断面図が示されている。
図1において概略的に示された本発明の実施形態と同じように、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体200は、一体型遠心オイルポンプ204とシール室205とを備える。一体型遠心オイルポンプ204は、ポンプシャフト212に直接固定され、ポンプシャフト212と一体化され、一体型オイルポンプ204の上方のオイル貯留部206とポンプシャフトベアリング208を収容できるシール室205との間に位置し、シール室205は、ポンプシャフトベアリング208を収容し、一体型オイルポンプ204の下方に位置している。一体型オイルポンプ204は、シール室205外の周囲圧送流体圧力よりも大きい陽圧でシール室205を加圧するために、オイル貯留部206からシール室205にオイルを押し出すように操作可能である。一実施形態において、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体200は、上部メカニカルシール207および下部メカニカルシール217を備える二重メカニカルシール配列を備え、各々がポンプシャフト212にメカニカルシャフトシールを提供するために、互いに回転接触してシールするように作用する2つのメカニカルシール面を備える。メカニカルシール207,217は、適切なメカニカルシール設計および/材料を備えてもよく、例えば、シリコンおよび/またはタングステンカーバイドシール面等を備えることができる。本発明の一実施形態において、上部メカニカルシール207と下部メカニカルシール217とは、例えば、それぞれがカートリッジメカニカルシールとして設けられてもよい。一体型加圧ポンプシャフトシール組立体202は、メカニカルシール207および217を含み、さらにオイル(または、例えば他の適切なシールおよび/またはベアリング潤滑流体)を含有するシール室205を備える。例えば、シール室205は、シール室205外部の周囲圧力またはサンプ圧力を超える陽圧で加圧されてもよく、これにより、下部シャフトベアリング208およびオイル貯留部206を収容保護するシール室205に外部から圧送スラリー、流体またはその他の汚染物がシール室205に入るのを望ましくは防止することができ、オイル貯留部206の上方に位置するポンプモーターも望ましくは保護することができる。
【0025】
特定の実施形態において、オイルポンプ204は、放射状孔遠心インペラポンプを備えてもよく、ポンプシャフト212に直接固定され、ポンプシャフト212と一体化されていてもよく、例えば、オイルポンプ204の固着、一体化は、オイルポンプ204を保持ロックナットを用いてシャフト212に保持することによって行われる。さらなるこのような実施形態において、一体型オイルポンプ204とポンプシャフトベアリング208と任意でシャフトスリーブとが、ポンプシャフト212に公知の保持ロックナットによって固着されていてもよく、例えば、ポンプモーター(図示せず)によるポンプシャフトの回転が一体型オイルポンプ204を直接回転させるようにされる。さらなる実施形態において、ポンプシャフトベアリング208は、少なくともシール室205に実質的に開かれていてもよく、一体型オイルポンプ204によって室205で加圧されたオイルまたは他の適切な潤滑流体がベアリング208を潤滑させることができる。さらに、このような実施形態において、例えば、ベアリング208は、メカニカルシール207,217の故障時にシール室205が圧力を失い、シール室205のオイルに少なくとも部分的な損失が生じても、ベアリング208を潤滑するための剰余のオイルを保持できるベアリングオイルプールまたは貯留部を備えるベアリング筺体(図示せず)を備えてもよい。特定の実施形態において、また、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体200は、例えば、オイル貯留部206およびポンプシャフト212の間に位置する少なくとも一つのリップシール218であって、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体200と組立体の上方のポンプモーター202との間にさらにシール障壁を提供するリップシール218を備えてもよく、メカニカルシール207,217両方の故障に続く外部流体の浸入に対するポンプモーターの更なる保護を望ましくは提供してもよい。
【0026】
一実施形態において、シール室205は、メカニカルシール207,217を支持して、シール室205およびポンプシャフトベアリング208を取り囲むようなシール室筺体220をさらに備えてもよい。そのような実施形態の一つにおいて、例えば、シール室筺体220は、望ましく高い熱伝導性がある耐久性材料を望ましくは備えることができ、例えば、シール室205内部の加圧オイルから圧送流体(例えばサンプ内の圧送流体のような)に効果的な熱移動を有利にさせることができ、室205内部の加圧オイルを望ましくは冷却することができる。
【0027】
図3を参照すると、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体300を備える回転流体(および/またはスラリー)ポンプの一部の内部詳細の流路長手方向の断面図が示されている。
図1および
図2に示され、上記された本発明の実施形態と同じように、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体300は、ポンプシャフト312に直接固定され、ポンプシャフト312と一体化され、一体型オイルポンプ304の上方のオイル貯留部306と、ポンプシールベアリング308を含有し、一体型オイルポンプ304の下方に位置するシール室305と、の間に位置する一体型遠心オイルポンプ304を備える。例えば、一体型オイルポンプ304は、シール室305外部の周囲流体圧力よりも大きい陽圧で、シール室305を加圧するために、オイル貯留部306からシール室305にオイルを押し出すように作動可能である。一実施形態において、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体300は、例えば、
図2に示され、上述されたのと実質的に同様の二重メカニカルシール配列とを備え、シール室305の外部の周囲またはサンプ圧力を超える陽圧で、シール室305がオイル(および/または、例えば他の適切なベアリング潤滑流体)で加圧されるように、かつ、それにより、シール室305の外部からの圧送スラリー、流体または他の汚染物が、下部シャフトベアリング308とオイル貯留部306とを含有保護するシール室305に入るのを望ましくは防止でき、また、オイル貯留部306の上方に位置するポンプモーターを保護することができる。
【0028】
特定の実施形態において、オイルポンプ304は、放射状孔遠心インペラポンプを備えてもよく、ポンプシャフト312に直接固定され、ポンプシャフト312と一体化されてもよい、例えば、オイルポンプ304の固着、一体化は、保持ロックナットを用いることで、シャフト312にオイルポンプ304を保持することにより行う。さらなるこのような実施形態において、一体型オイルポンプ304は、例えば、公知の保持ロックナットによってポンプシャフト312に固着することができるポンプシャフトベアリング308、および任意的にシャフトスリーブ(図示せず)も備えてもよく、ポンプモーターによるポンプシャフト312の回転は一体型オイルポンプ304を直接回転させる。さらなる実施形態において、ポンプシャフトベアリング308は、シール室305に少なくとも実質的に開かれていてもよく、一体型オイルポンプによって室305内で加圧されたオイルまたは他の適した潤滑流体がベアリング308に提供されてもよい。他のこのような実施形態において、ベアリング308は、例えば、シール室305の底を密封するメカニカルシールの故障が生じた場合のように、シール室305が圧力を失い、少なくともオイルが部分的に流出されても、ベアリング308を潤滑するための剰余のオイルを保持できるベアリングオイルプールまたは貯留部を備えるベアリング筺体(図示せず)を望ましくは備えてもよい。特定の実施形態において、また、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体302は、一体型加圧ポンプシャフトシール組立体300と組立体300の上方のポンプモーターとの間に、さらなるシール障壁を望ましくは提供し、オイル貯留部306とポンプシャフト312との間に位置する少なくとも一つのリップシール325を備えてもよく、これにより、メカニカルシールの故障に続いて起こる外部流体の浸入に対して、ポンプモーターにさらなる保護を提供してもよい。
【0029】
本発明の一実施形態において、一体型加圧シール組立体300は、一体型オイルポンプ304と加圧されたシール室305との位置するチェックバルブ309をさらに備える。特にこのような実施形態において、チェックバルブ309は、シール室305から一体型オイルポンプ304を通ったオイル貯留部306へのオイルの逆流を妨げるように作動可能としてもよく、さもなければ、例えばポンプモーターの停止時に逆流が発生し、望ましくないオイル貯留部306の汚染によるシール室305下方のメカニカルシールの最終的な故障につながる可能性がある。通常作動時に、圧送流体がメカニカルシールに入るのを排除できる加圧シール室305の支援があっても、特に、研磨剤スラリーの送り出し時のような特に激しい作動時において、メカニカルシールが回転ポンプの長期間の使用で摩耗し、かつ、終局的に故障しやすいから、チェックバルブ309は、メカニカルシールの故障の検出時に閉鎖するように作動可能とされてもよく、例えば一体型オイルポンプを通って、圧送流体および/または湿気がオイル貯留部306に入るのを望ましくは避けることができる。このような実施形態の一つにおいて、チェックバルブ309は、シール室305の圧力が所定の圧力最低値を下回った場合に閉鎖することができるように圧力作動弁を備え、これにより、このようなバルブ309の閉鎖がオイル貯留部306への流体の流入を望ましくは減少または妨げることができる。このような実施形態の別の態様において、シール室305の下方のメカニカルシールの故障を検知するように作動可能なセンサ(図示せず)が設けられてもよく、このような故障に基づき、チェックバルブ309の閉鎖を開始するトリガーとして機能することができる。また、他実施形態では、使用者にメカニカルシールの故障を知らせるためのアラームまたは他の適切な表示(例えば、表示灯または信号)を開始するトリガーとして機能するセンサが設けられてもよい。また、さらなる任意の実施形態において、一つまたは複数のセンサが、メカニカルシール(図示せず)の故障;オイル貯留部306内の低いオイル量;シール室305内への水および/または湿気の浸入;所定の最低レベルを下回るシール室305内のオイル圧力の低下;故障の一つ又は複数を検出するように設けられてもよく、このようなセンサは、さらに、一又は複数のこのような欠陥を使用者に知らせるために、アラームまたは他の適当な指示を開始するトリガーとなるように作動可能とされてもよい。
【0030】
本発明の他実施形態において、一体型加圧ポンプシール組立体300は、オイルポンプ304からの圧力によりオイル貯留部306からのオイル(または他の適切な潤滑流体)を循環させるためのジャケットのように冷却ジャケット322をさらに備えてもよく、それにより、ポンプモーター(望ましくは、冷却ジャケット322内に少なくとも部分的に位置する)を冷却する。このように、例えば半液体中ポンプ内で使用するような一実施形態において、オイル貯留部306からのオイルは、外部の周囲流体圧力を超える陽圧でシール室305を加圧するために、ポンプシャフト312の回転によって駆動される一体型オイルポンプ304によってシール室305内に送り出されてもよく、シール室305内のオイルの一部は、ポンプモーターの少なくとも一部を囲む冷却ジャケット322に循環されるように減圧バルブ310(通常、開かれている)を経てもよい。このようなシール室305から減圧バルブ310を経て、その後冷却オイル供給導管327を経て冷却ジャケット322に至り、それから、冷却オイル返送導管328を通って、オイル貯留部306に返送されるオイルの循環は、一体型オイルポンプ304からの圧力下でシール室305への返送前に、望ましくはポンプモーターからシール室305に熱を循環させ、シール室305で、シール室305の外側に位置する周囲圧送流体、例えばサンプ329中の圧送流体を囲む一般的な冷却機によって冷却されてもよい。
【0031】
そのような実施形態の一つにおいて、減圧バルブ310および冷却ジャケット322は、シール室305内の圧力を所定の陽圧の最低値に維持するように望ましくは構成されており、例えば、これは、減圧バルブ310を通るオイルの流れを制限し、および/または制御することにより行い、シール室305内の圧力を所望の陽圧の最低値に、または、最低値を超えて維持するために行われる。特定の実施形態において、シール室305およびシール室305の周囲を囲む任意の筺体(図示せず)は、シール305内のオイルから(および、任意でオイル貯留部306からも)室305および/または筺体の外部に位置する圧送流体、例えばサンプ329中の圧送流体に放熱が行われるように、適切な熱伝導性材料で望ましくは構成されてもよく、例えばアルミニウムで構成される。このような実施形態の一つにおいて、シール室305の壁、および/または、さらに任意のシール室筺体は、冷却フィンまたはオイル室305から室の外部の周囲流体への放熱を改善するような適切な他の構造体をさらに含んでもよい。
【0032】
また、上述のチェックバルブ309と同様に、シール室305の下方のメカニカルシールの故障の検出に基づいて、減圧バルブ310が閉鎖するように作動可能として、圧送流体および/または湿気が冷却ジャケット322に流入するのを避けるようにしてもよい。このような実施形態の一つにおいて、センサ(図示せず)は、シール室305の下方のメカニカルシールの故障を検出し、このような故障時に減圧バルブ310を閉鎖させるトリガーとして機能するように作動可能に設けられてもよい。また、別の実施形態では、センサは、メカニカルシールの故障を使用者に通知するアラームまたは他の適切な表示(例えば、指示灯または信号のような)を作動できるように設けられてもよい。任意で、シール室305内のオイルの汚染に対する追加的保護を望ましくは提供し、ベアリング308のベアリング寿命を延ばすために、オイルフィルター(図示せず)が、シール室305とチェックバルブ309との間に、または、オイル貯留部306とオイルポンプ304との間に、任意のオイルフィルター(図示せず)が設けられてもよい。
【0033】
本明細書に記載の例示的な実施形態は、網羅的であること、または、開示された正確な形態に本発明の範囲を限定することを意図するものではない。それらは、その教示を当業者が理解するために考慮され、本発明の原理とその応用、および、実用的な使用を説明するために選択され、記載されている。
【0034】
前述の開示に照らして当業者に明らかなように、その範囲から逸脱することなく、本発明の実施において、多くの変更および修正が可能である。