【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上述の端子アセンブリは、封止部が、活性化可能な発泡剤を含む発泡封止材料(foamed sealing material)から構成される点でこの問題を解決する。本発明による電気端子は、この問題を、接続区域に割り当てられており、活性化可能な発泡剤を含む発泡性封止材料(foamable sealing material)で製作される封止部によって解決する。本発明による電線は、この問題を、接続区間に割り当てられており、活性化可能な発泡剤を含む発泡性封止材料で製作される封止部によって解決する。本発明による封止材料の使用は封止材料が発泡性封止材料と発泡させるための活性化可能な発泡剤とを含むという理由で、電気端子の接続区域への、絶縁カバーに配置された導体の接続の流体耐密封止に関する。
【0009】
電気端子の接続区域への、絶縁カバーに配置された導電体の接続区間の接続を封止するための本発明による方法は、
− 活性化可能な発泡剤を含む発泡性封止材料で製作された封止部を接続区域および/または接続区間に割り当てるステップと、
− 発泡剤を活性化させるステップと
− 活性化された発泡剤によって封止材料を発泡させるステップと、
− 接続を発泡した封止材料で流体耐密に封止するステップと
を含む。
【0010】
従来技術では、潤滑剤またはホットメルト接着剤が、一般的な端子アセンブリの耐腐食性、すなわち流体耐密封止のために使用されている。これは、端子が接続区域で導体に機械的および導電的に接続される前に潤滑剤を塗らなければならず、それが接続の機械的安定性に悪影響を及ぼす限りにおいて問題である。同じことが、封止材料としてのホットメルト接着剤の使用に当てはまる。導体および端子が互いに機械的および導電的に既に接続された後の封止は、行うことが複雑で困難である。なぜなら、接続区域は、例えば圧着スリーブの内部にある場合、接続の後、手を近づけるのが困難にならざるを得ないからである。特別な封止部の使用は、一般に高価であり、好適な封止部位をもつ封止部を提供するには端子アセンブリの構成要素への複雑な構造変更を必要とする。
【0011】
本発明は、端子および導体が接続される前に、発泡性封止材料が端子の接続区域および/または電線の接続区間に割り当てられ、次いで、導体と端子との間の電気的および機械的接続が、従来の方法で、例えば圧着によって接続区域において行われ得る点で、これらの問題を克服する。接続、例えば圧着の後でのみ、発泡剤を活性化させることによって封止材料を発泡させる。発泡の結果として、封止材料の体積の増加があり、封止材料は、処理中に、依然として存在する接続区域の空所を充填し、それにより、接続区域のより良好で信頼性の高い封止を保証する。
【0012】
流体耐密または流体耐密封止部は、本発明の文脈において、耐腐食性封止部と同義であると理解されたい。そのような封止部は、接続区域の接続部位を流体から離したままにし、それにより、導体と端子との間の機械的および導電的接続を損傷することがある腐食を防止する。
【0013】
「発泡剤」は、膨張可能であり、その結果として、封止材料が発泡する添加剤として理解されたい。「活性化可能な」という属性は、発泡剤に関連して、発泡剤の膨張が、外部誘導によって、例えば発泡剤が反応する反応物の添加により、狙い通りに誘発され得、その結果、揮発性成分が発生する、すなわち、ガスの形成が生じることを意味する。他のあり得る活性化因子は、例えば、いくつかの例を挙げてみると、温度の変化、圧力の変化、または放射線の効果である。
【0014】
「発泡封止材料(foamed sealing material)」は、発泡剤が既に活性化されており膨張状態にある状態の封止材料として理解されたい。「発泡性封止材料(foamable sealing material)」は、発泡剤が含まれているが、まだ活性化されていない、すなわち、膨張の前の初期状態にある封止材料を意味する。
【0015】
端子の「接続区域」は、導電的にも機械的にも導電体に接続される電気端子の区域を意味する。同様に、「接続区間」は、導電的にも機械的にも端子に接続される電線の一部を意味する。電線の接続区間は一般に電線の端部区間であり、導体は、それを絶縁するカバーが除去されているので露出されている。
【0016】
本発明による電線または本発明による端子の場合には接続区間または接続区域に封止部を「割り当てること(To assign)」または「割当て(assigning)」は、それぞれ、封止材料が、発泡したとき、接続区域/接続区間を完全に囲むことができるように接続区間/接続区域におよび/または接続区域/接続区間に隣接して封止部を配置することであると理解されたい。
【0017】
本発明による解決策は、各々個々に有利であり、所望に応じて組み合わせることができる以下の構成によってさらに改善することができる。これらの構成および関連する利点を以下で論じる。以下の構成の特徴は、本発明による方法、本発明による使用、ならびに本発明の端子アセンブリ、電線、および電気端子で実現することができる。
【0018】
電気端子の1つの実施形態において、接続区域への封止部の割当ては、接続区域が封止材料によって少なくとも特定の領域において覆われるので行うことができる。封止材料で接続区域に部分的にまたは完全に境界をつけることも可能である。このようにして、封止材料が、接続区域にまたは接続区域に対して十分近くに配置されることが保証され、その結果、例えば、少なくとも50%、好ましくは少なくとも100%の体積増加を伴う封止材料のわずかな膨張および発泡でさえ耐腐食性封止を達成するのに十分である。
【0019】
電線の1つの実施形態によれば、封止部は、カバーを少なくとも特定の領域において半径方向に囲むことができる。例えば、封止部は、C形状クリップまたは封止リングとして発泡性封止材料から形成することができ、このようにして、接続区間への割当てのためにカバーの好適な場所に簡単に配置することができる。
【0020】
さらなる実施形態によれば、電線のカバーは、導体を露出させるために接続区間で除去することができる。封止部は、接続区間にも接続区間の境界を定めるカバーにも配置することができ、それにより、封止部が接続区域に割り当てられ、前記封止部は、発泡性封止材料が発泡したとき流体耐密封止を達成することが保証される。封止部は、露出した導体を接続区域の少なくとも特定の領域においてさらに囲むことができる。この場合、封止部は、接続区域の境界を定めるカバーに隣接して配置することができる。
【0021】
本発明による方法の1つの実施形態によれば、接続区域および/または接続区間に封止部を割り当てるステップは、端子の接続区域への導体の接続が行われる前に実行することができる。例えば、割り当てるステップの時に、接続区域は、少なくとも特定の領域において封止材料で覆われていてもよい。代替としてまたは加えて、接続区域は、少なくとも特定の領域において封止材料で境界をつけられていてもよい。導体の接続区間に割り当てられたカバーの区域を少なくとも特定の領域において封止材料で囲むことも可能である。この目的のために、封止リングまたはC形状封止クリップが、例えば、カバーまたは露出した導体上に配置され得る。電気端子は、打抜き曲げ部品として供給することができ、その後、例えば圧着によって導電体に接続される。
さらなる実施形態において、封止部は、打抜き端子の接続区域に割り当てられた金属打抜きシートの少なくとも区域に、打抜き処理の前に(または打抜き処理の後に)付けられたフィルムとして提供することができる。
【0022】
封止部または封止材料の好ましい実施形態を以下でさらに詳細に論じる。封止部の以下の構成の特徴は、本発明による方法、使用、および端子アセンブリ、本発明による電気端子、ならびに本発明による電線において利用することができる。
【0023】
1つの実施形態によれば、発泡剤は温度活性化可能とすることができる。これは、活性化温度を超えると発泡剤が膨張することを意味する。温度上昇による活性化は、接続シームが圧着スリーブの内部にある場合でさえ、温度上昇が端子の接続区域のこの接続シームに容易に与えられ得るという利点を有する。端子は、一般に、高い導電性の金属、例えば、良好な熱伝導特性をやはり有する銅または貴金属から形成される。
【0024】
さらなる実施形態によれば、発泡剤は、膨張可能な物質で充填された伸縮可能なカプセルを含むことができる。例えば、ポリマー、例えば、アクリロニトリルベースコポリマーなどのエラストマーで製作されたカプセルを使用することができる。エラストマーのカプセル封入材料は伸縮可能であり、それにより、膨張、すなわち、カプセルの体積の拡大が可能になる。カプセル封入材料は、さらに、活性化温度が達せられたときに膨張可能な物質を無傷なままとし、その脱出を妨げるために、十分に耐熱性とすることができる。膨張可能な物質は、活性化温度を超えるとすぐにカプセルの内部のガス圧を増加させ、それにより、カプセル材料の膨張および関連するカプセルの体積の拡大がもたらされる。例えば、流体イソペンタンまたはイソブテンなどの膨張流体を使用することができる。
適切な封入材料、例えば、活性化温度において規定された弾性率をもつ弾性変形可能なプラスチック、および規定された活性化温度と、規定された活性化温度で形成され、次いで、カプセルの内部に広がるガス圧力とをもつ適切な膨張可能な物質を選択することによって、発泡剤の体積拡大の範囲、したがって、封止材料の発泡を正確に設定することが可能である。例えば、伸縮可能なカプセルの直径は、活性化の前は約5μmであり、活性化の後は約10μmの直径に膨張することができる。
【0025】
さらなる実施形態によれば、封止材料は、熱可塑性物質、例えば熱可塑性エラストマーとすることができる。熱可塑性物質は、特定の温度範囲で変形できるプラスチックを意味する。熱可塑性エラストマーは、室温で従来のエラストマー(すなわち、寸法的に安定しているが、弾性変形可能なプラスチック)と同等に振る舞うが、加熱の下で可塑的に変形するプラスチックである。封止材料の熱可塑性の特性により、例えば、フィルム、リング、クリップ、またはスリーブのような所望の形状に封止材料を容易に形成することが可能になり、それにより、接続区域または接続区間への割当てが容易になる。
【0026】
さらなる実施形態によれば、封止材料の融点は、発泡剤の活性化温度未満とすることができる。融点は、ポリマーが熱可塑性状態に移行する温度であると理解されたい。封止材料は、活性化温度未満で熱可塑的に変形可能であり得る。その結果、所望の形態、例えば、フィルム、リング、インサートの封止部が、プラスチック技術の標準方法を単に使用して、発泡剤が活性化されることなく封止材料から形成され得る。生成された封止部の封止材料は、発泡可能であるが、まだ発泡していない。
【0027】
封止材料は、発泡剤の活性化温度未満で一次成形を行うことができる。一次成形は、固体が非結晶性物質から形成される製造方法を含む。非結晶性物質は、例えば、射出成形、押出しブロー成形、または押出しによって所望の形状に形成することができるポリマーメルトなどの可塑性または柔らかい(doughy)状態とすることができる。封止材料は、発泡剤の活性化温度未満で一次成形を行うことができるので、封止材料は、所望の形状に形成されている間、発泡可能なままである、すなわち、まだ発泡していない。「発泡性封止材料」という用語は、発泡するのに十分に粘性であることを意味する。
【0028】
有利な実施形態によれば、活性化温度は、封止材料の融点より上であるが、活性化の際封止材料の分解を妨げるために分解温度より下である。
【0029】
非常に広い範囲の熱可塑性物質、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリアミドなどのポリオレフィンを、封止材料として利用することができる。封止材料は、コポリマー、例えば、エチレンビニルアセテートなどのビニルアセテート、およびエチレンメチルアクリレートなどのメチルアクリレートとすることができる。
【0030】
封止材料の融点は170℃未満であることが好ましく、封止材料は、90℃と170℃との間、好ましくは130℃と170℃との間の範囲で一次成形を行うことができることが好ましい。活性化温度は180℃から210℃であることが好ましい。
【0031】
さらなる実施形態によれば、封止材料は添加剤を含むことができる。封止材料は、例えば架橋剤とすることができる。架橋剤は、封止材料が架橋され、その結果として、堅くなり、例えば、熱可塑性の特性を失うことを保証することができる。架橋剤は、好ましくは、活性化可能である、すなわち、ひとたび架橋剤が、外部作用によって、例えば、開始試薬の添加によって、放射線の効果、温度の変化、または圧力の変化によって活性化されると、架橋剤による封止材料の架橋が単に行われる。架橋剤の活性化は発泡剤の活性化と同じように実行されることが好ましい。例えば、架橋剤は、温度活性化させることができる、すなわち、架橋温度を超えると活性化され、封止材料を硬化させることができる。架橋温度は、封止材料の融点より高く、発泡剤の活性化温度と少なくとも同じ高さであることが好ましい。
したがって、封止材料は、まだ架橋されておらず、その上、熱可塑性であり、一次成形を行うことができるが、むしろ、封止材料が発泡した後でのみ架橋剤の活性化が生じることが保証される。ブチルヒドロペルオキシド(例えば、Luperox TBH)などの過酸化物化合物または有機過酸化物(Varox 130Xなど)を架橋剤として使用することができる。
【0032】
封止材料は、接着剤を添加剤としてさらに含むことができる。接着剤は、電線または端子への取り付け可能な封止材料の割当てと発泡封止材料の接着の両方を可能にする接着物質を含む。例えば、樹脂、例えば芳香族熱可塑性樹脂または部分的に重合された樹脂などの接着剤充填材料を接着剤として使用することができる。
【0033】
さらなる実施形態によれば、端子は、電線の導体よりもより貴な金属で製作することができる。コンタクト素子は、例えば銅または銅合金を含むことができる。導体は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金を含むことができる。1つの実施形態では、接続区域において導体と端子との間の機械的および導電的接続を行うために、導体を接続区域で端子に圧着することができる。導体の断面積は、0.1mm
2から3mm
2、好ましくは0.2mm
2から1.5mm
2、および特に好ましくは0.22mm
2から1mm
2とすることができ、したがって、比較的小さい。そのような小さい導体は、依然として、端子への十分な導電性接続と、さらに、自動車分野で依然として多くの場合に使用されている銅ケーブルと比較して重量の著しい節約とを保証する。
【0034】
以下、図面を参照しながら有利な実施形態を使用して、本発明をより詳細に例として説明する。例として実施形態に示した特徴の組合せは、上述の記述に従って特定用途に応じて追加の特徴によって補足することができる。さらに上述の実施形態に応じて、個々の特徴は、この特徴の効果が具体的な用途において重要でない場合、記載された実施形態において省略されることも可能である。
【0035】
図面において、同じ参照符号は、同じ機能および/または同じ構造をもつ要素で常に使用される。