【実施例】
【0021】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらより何ら限定されるものではなく、また、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えてもよい。なお、下記に記載する処方の単位は特に言及しない限り、“%”は“質量%”を意味し、組成比は質量比を表すものとする。
【0022】
実施例1
直列に3本接続された抽出管に焙煎コーヒー豆(ブラジル産、中煎り(L値:20))を粉砕して(粒度12メッシュ)各抽出カラムに800gずつ充填した。使用された焙煎コーヒー豆の全量は2400gであった。焙煎コーヒー豆充填物は円柱の形状であり、高さ(L)と直径(D)の比(L/D)は3であった。また、直列に3本接続しているため、接続数をNとした場合、N×L/Dは9となった。
第一抽出管下部から圧力0.8MPa下での飽和水蒸気を投入し第一抽出管上部から香気成分を含んだ飽和水蒸気を第一抽出管の蒸気出口と配管で接続された第二抽出管下部へ移行し、第二抽出管上部から香気成分を含んだ飽和水蒸気を第二抽出管の蒸気出口と配管で接続された第三抽出管下部へ移行し、第三抽出管上部から香気成分を含んだ蒸気を冷却熱交換器にて冷却して香気凝縮物2400gを得た。第三抽出上部の蒸気温度を140℃に設定した。
【0023】
比較例1
1本の実施例1と同サイズの抽出管に焙煎コーヒー豆(ブラジル産、中煎り(L値:20))を粉砕して(粒度12メッシュ)2400g充填した。後は、実施例1と同様に抽出管上部の蒸気温度を140℃に設定し香気凝縮物を2400g得た。
【0024】
実施例2
直列に3本接続された抽出管に焙煎コーヒー豆(ブラジル産、中煎り(L値:20))を粉砕して(粒度12メッシュ)各抽出管に2400gずつ充填した。使用された焙煎コーヒー豆の全量は7200gであった。焙煎コーヒー豆充填物は円柱の形状であり、高さ(L)と直径(D)の比(L/D)は9であった。また、直列に3本接続しているため、接続数をNとした場合、N×L/Dは27となった。
第一抽出管下部から圧力0.8MPa下での飽和水蒸気を投入し第一抽出管上部から香気成分を含んだ飽和水蒸気を第一抽出管の蒸気出口と配管で接続された第二抽出管下部へ移行し、第二抽出管上部から香気成分を含んだ飽和水蒸気を第二抽出管の蒸気出口と配管で接続された第三抽出管下部へ移行し、第三抽出管上部から香気成分を含んだ蒸気を冷却熱交換器にて冷却して香気凝縮物7200gを得た。第三抽出管上部の蒸気温度を140℃に設定した。
【0025】
比較例2
並列に3本接続された実施例1と同サイズの抽出管に焙煎コーヒー豆(ブラジル産、中煎り(L値:20))を粉砕して(粒度12メッシュ)各抽出管に2400gずつ充填した。使用された焙煎コーヒー豆の全量は7200gであった。後は、実施例2と同様に抽出管上部の蒸気温度を140℃に設定し香気凝縮物を7200g得た。
【0026】
上記実施例1及び2、並びに比較例1及び2で得られた香気凝縮物を0.5%ずつ賦香した水溶液を調製した。比較例1を基準の3点(普通)として、香りとロースト香の強弱、及び香りと味の嗜好性について各香気凝縮物の官能評価を行った。9人のパネラーの平均点を表1に記載した。
○香り(強弱)
5−非常に強い 4−強い 3−普通 2−弱い 1−非常に弱い
○香り(嗜好性)
5−非常に良い 4−好み 3−普通 2−悪い 1−非常に悪い
○ロースト香(強弱)
5−非常に強い 4−強い 3−普通 2−弱い 1−非常に弱い
○味(嗜好性)
5−非常に良い 4−好み 3−普通 2−悪い 1−非常に悪い
【0027】
表1
【0028】
表1の結果の通り、3本の抽出管を直列に接続して香気凝縮物を回収している実施例1は、1本の抽出管を使用して香気凝縮物を回収している比較例1と比較して香り高い傾向にある。特にロースト香が高くなっており、香質が改善されている。
また、並列に3本接続された抽出管を使用して香気凝縮物を回収している比較例2と比較して直列に3本接続された抽出管を使用して香気凝縮物を回収している実施例2は全ての項目で高い数値となっており、大幅に香り強度と香質が改善されている。
【0029】
実施例3
直列に2本接続された抽出管に半醗酵茶(福建省産)を各抽出管に500gずつ充填した。使用された半醗酵茶の全量は1000gであった。半醗酵茶充填物は円柱の形状であり、高さ(L)と直径(D)の比(L/D)は2.7であった。また、直列に2本接続しているため、接続数をNとした場合、N×L/Dは5.4となった。
第一抽出管下部から圧力0.65MPa下での飽和水蒸気を投入し第一抽出管上部から香気成分を含んだ飽和水蒸気を第一抽出管の蒸気出口と配管で接続された第二抽出管下部へ移行し、第二抽出管上部から香気成分を含んだ蒸気を冷却熱交換器にて冷却して香気凝縮物1000gを得た。第二抽出カラム上部の蒸気温度を120℃に設定した。
【0030】
比較例3
1本の実施例3と同サイズの抽出管に半醗酵茶(福建省産)を1000g充填した。後は、実施例3と同様に抽出管上部の蒸気温度を120℃に設定し香気凝縮物を1000g得た。
【0031】
実施例4
直列に2本接続された抽出管に半醗酵茶(福建省産)を各抽出管に1500gずつ充填した。使用された半醗酵茶の全量は3000gであった。半醗酵茶充填物は円柱の形状であり、高さ(L)と直径(D)の比(L/D)は8.1であった。また、直列に2本接続しているため、接続数をNとした場合、N×L/Dは16.2となった。
第一抽出管下部から圧力0.65MPa下での飽和水蒸気を投入し第一抽出管上部から香気成分を含んだ飽和水蒸気を第一抽出管の蒸気出口と配管で接続された第二抽出管下部へ移行し、第二抽出管上部から香気成分を含んだ蒸気を冷却熱交換器にて冷却して香気凝縮物3000gを得た。第二抽出管上部の蒸気温度を120℃に設定した。
【0032】
比較例4
並列に2本接続された実施例3と同サイズの抽出管に半醗酵茶(福建省産)を各抽出管に1500gずつ充填した。使用された半醗酵茶の全量は3000gであった。後は、実施例4と同様に抽出管上部の蒸気温度を120℃に設定し香気凝縮物を3000g得た。
【0033】
上記実施例3及び4、並びに比較例3及び4で得られた香気凝縮物を0.5%ずつ賦香した水溶液を調製した。結果は、2本の抽出管を直列に接続して香気凝縮物を回収している実施例3は、1本の抽出管を使用して香気凝縮物を回収している比較例3と比較して香り高い傾向にあった。特にフローラル香が高くなっており、香質が改善されていた。
また、並列に2本接続された抽出管を使用して香気凝縮物を回収している比較例4と比較して直列に2本接続された抽出管を使用して香気凝縮物を回収している実施例4は、大幅にフローラル香が高くなっており、香り力価と香質が改善されていた。
【0034】
実施例5
直列に3本接続された抽出管に黒胡麻を各抽出管に1000gずつ充填した。使用された黒胡麻の全量は3000gであった。黒胡麻充填物は円柱の形状であり、高さ(L)と直径(D)の比(L/D)は2.3であった。また、直列に3本接続しているため、接続数をNとした場合、N×L/Dは6.9となった。
第一抽出管下部から圧力0.8MPa下での飽和水蒸気を投入し第一抽出管上部から香気成分を含んだ飽和水蒸気を第一抽出管の蒸気出口と配管で接続された第二抽出管下部へ移行し、第二抽出管上部から香気成分を含んだ飽和水蒸気を第二抽出管の蒸気出口と配管で接続された第三抽出管下部へ移行し、第三抽出管上部から香気成分を含んだ蒸気を冷却熱交換器にて冷却して香気凝縮物3000gを得た。第三抽出上部の蒸気温度を140℃に設定した。
【0035】
比較例5
1本の実施例5と同サイズの抽出管に黒胡麻を3000g充填した。後は、実施例5と同様に抽出管上部の蒸気温度を140℃に設定し香気凝縮物を3000g得た。
【0036】
実施例6
直列に3本接続された抽出管に黒胡麻を各抽出管に3000gずつ充填した。使用された黒胡麻の全量は9000gであった。黒胡麻充填物は円柱の形状であり、高さ(L)と直径(D)の比(L/D)は6.9であった。また、直列に3本接続しているため、接続数をNとした場合、N×L/Dは20.7となった。
第一抽出管下部から圧力0.8MPa下での飽和水蒸気を投入し第一抽出管上部から香気成分を含んだ飽和水蒸気を第一抽出管の蒸気出口と配管で接続された第二抽出管下部へ移行し、第二抽出管上部から香気成分を含んだ飽和水蒸気を第二抽出管の蒸気出口と配管で接続された第三抽出管下部へ移行し、第三抽出管上部から香気成分を含んだ蒸気を冷却熱交換器にて冷却して香気凝縮物9000gを得た。第三抽出管上部の蒸気温度を140℃に設定した。
【0037】
比較例6
並列に3本接続された実施例6と同サイズの抽出管に黒胡麻を各抽出カラムに3000gずつ充填した。使用された黒胡麻の全量は9000gであった。後は、実施例6と同様に抽出管上部の蒸気温度を140℃に設定し香気凝縮物を9000g得た。
【0038】
上記実施例5及び6、並びに比較例5及び6で得られた香気凝縮物を0.5%ずつ賦香した水溶液を調製した。結果は、3本の抽出管を直列に接続して香気凝縮物を回収している実施例5は、1本の抽出管を使用して香気凝縮物を回収している比較例5と比較して香り高い傾向にあった。特に胡麻の香ばしい香りが強くなっており、香質が改善されていた。
また、並列に3本接続された抽出管を使用して香気凝縮物を回収している比較例6と比較して直列に3本接続された抽出管を使用して香気凝縮物を回収している実施例6は、大幅に胡麻の香ばしい香りが強くなっており、香り力価と香質が改善されていた。
【0039】
実施例7
実施例2に記載の方法で香気凝縮物7200gを得た。前記香気凝縮物を得た後の嗜好性原料から150℃の温水を用いて抽出管内を0.6MPaの加圧状態で抽出し抽出物7200g(Brix20)を得た。
前記香気凝縮物7200gと前記抽出物7200gをブレンドし、香気凝縮物含有の抽出物14400gを得た。
【0040】
比較例7
比較例2に記載の方法で香気凝縮物7200gを得た。前記香気凝縮物を得た後の嗜好性原料から150℃の温水を用いて抽出管内を0.6MPaの加圧状態で抽出し抽出物7200g(Brix20)を得た。
前記香気凝縮物7200gと前記抽出物7200gをブレンドし、香気凝縮物含有の抽出物14400gを得た。
【0041】
実施例7で得られた香気凝縮物含有の抽出物、および比較例7で得られた香気凝縮物含有の抽出物を水でBrix1.0に希釈して評価したところ、実施例7は比較例7と比較して香りの強度、香質が大幅に改善されており、特にロースト香が強くなっていた。
【0042】
実施例8
焙煎コーヒー豆(ブラジル産、中煎り(L値:20))50gを粉砕した(粒度24メッシュ)後に95℃の温水にて常圧でドリップ抽出し、ドリップコーヒー1000g(Brix1.3)を得た。
上記ドリップコーヒーに実施例2に記載の香気凝縮物を0.3%添加した後、レトルト殺菌(121℃、10分)してコーヒー飲料を得た。
【0043】
比較例8
焙煎コーヒー豆(ブラジル産、中煎り(L値:20))50gを粉砕した(粒度24メッシュ)後に95℃の温水にて常圧でドリップ抽出し、ドリップコーヒー1000g(Brix1.3)を得た。
上記ドリップコーヒーに比較例2に記載の香気凝縮物を0.3%添加した後、レトルト殺菌(121℃、10分)してコーヒー飲料を得た。
【0044】
実施例8で得られた香気凝縮物含有のコーヒー飲料、および比較例8で得られたコーヒー飲料を評価したところ、実施例8は比較例8と比較して香りの強度、香質が大幅に改善されており、特にロースト香が強くなっていた。
【0045】
実施例9
実施例2で得られた香気凝縮物を含有するコーヒー香料組成物を下記配合にて調整した。
【0046】
比較例9
実施例2で得られた香気凝縮物を比較例2で得られた香気凝縮物に置き換える以外は実施例9と同様の配合にてコーヒー香料組成物を得た。
【0047】
実施例9で得られた香気凝縮物を含有するコーヒー香料組成物と比較例9で得られた香気凝縮物を含有するコーヒー香料組成物を水に0.1%賦香して評価したところ、実施例9は比較例9と比較して香りの強度、香質が大幅に改善されており、特にロースト香が強くなっていた。
【0048】
実施例10(コーヒーフリスの調整方法)
イオン交換水270gにグラニュー糖535g、デキストリン437gを溶解し、120℃まで加熱して溶解物を得た。実施例9で得られたコーヒー香料組成物50gを前記溶解物に撹拌しながら添加し、均一となったこところで−10℃のイソプロピルアルコールを入れた冷却槽中に押し出し、撹拌しながら20〜60メッシュの大きさになるように切断した。次いで、イソプロピルアルコールを分離して真空減圧乾燥機で減圧乾燥しコーヒー粉末香料組成物(ロックイン型粉末香料)800gを得た。
【0049】
比較例10
実施例9で得られたコーヒー香料組成物を比較例9で得られたコーヒー香料組成物に置き換える以外は実施例10と同様に処理してコーヒー粉末香料組成物を得た。
【0050】
実施例11(コーヒーフリス含有のインスタントコーヒーの調整方法)
市販のインスタントコーヒー(ネスカフェ ゴールドブレンド)200gに実施例10で得られたコーヒー粉末香料組成物14gとを均一になるまで混合し、インスタントコーヒー214gを得た。
【0051】
比較例11
実施例10で得られたコーヒー粉末香料組成物を比較例10で得られたコーヒー粉末香料組成物に置き換える以外は実施例11と同様に処理してインスタントコーヒーを得た。
【0052】
実施例11で得られたインスタントコーヒー及び比較例11で得られたインスタントコーヒーを、インスタントコーヒー2gとお湯140mLとでコーヒー飲料を調製して評価したところ、実施例11は比較例11と比較して香りの強度、香質が大幅に改善されており、特にロースト香りが強くなっていた。