(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光素子を実装した基板と、当該基板を載置した平板部と、前記平板部の裏面から延びて終端に口金が設けられた筒状部と、前記平板部を覆うグローブとを備えたランプにおいて、
前記平板部は周縁に側壁を有し、
前記グローブの縁部は、前記平板部の側壁の内側に対面する筒状であり、当該縁部の少なくとも一部が当該側壁に挿入されて保持され、
前記グローブの縁部の外周面には、前記グローブと、前記平板部の側壁との間に配設される環状のシール部材が装着され、
前記シール部材の断面形状を、前記グローブの挿入方向に延びる細長矩形形状の細長形状部と、当該細長形状部の長手方向両端部から横方向の両側に向かって突出する凸部とを有する形状とし、
前記シール部材は、
前記グローブの縁部の挿入によって、前記細長形状部の長手方向両端部の少なくとも一方の凸部が当該グローブの挿入時の方向とは逆方向に変形し、かつ前記細長形状部が前記グローブの縁部の外周面の側に寄るように変形した状態で、
前記グローブの縁部と前記平板部の側壁との間に挟み込まれている
ことを特徴とするランプ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では、発光素子を光源に備えるランプとして、LEDを光源に備えたLEDランプを例示するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば有機EL等の他の発光素子を光源に備えるランプにも適用可能である。
【0011】
図1は本実施形態に係るLEDランプ1の外観構成を示す図であり、
図1(A)は平面図、
図1(B)は側面図、
図1(C)は底面図である。
図2はLEDランプ1を分解して示す斜視図である。
図3はLEDランプ1の内部構成を示す断面図である。
これらの図に示すように、LEDランプ1は、既存の電球と形状及び光学特性が略同じになるように構成されており、既存の電球の代替として使用可能となっている。
【0012】
すなわち、LEDランプ1は、
図1に示すように、高熱伝導性を有する材料から形成された略円筒状の胴体部2を有し、この胴体部2の先端2C(
図3参照)に発光部12が設けられる。胴体部2の、終端2Aには、絶縁性を有する材料から形成された筒状の絶縁筒部10が設けられており、この絶縁筒部10の終端10A(
図2)に口金3が冠着されている。口金3は、既存のソケット(不図示、例えばE26型ソケット)に螺合するネジ山が切られた筒状のシェル5と、このシェル5の端部の頂部に絶縁部6を介して設けられたアイレット7とを備え、シェル5及びアイレット7がソケットに装着可能な形状寸法に構成されている。これにより、当該LEDランプ1は、天井や壁面に既設のソケットや、既存の電球を装着して使用するランプホルダーのソケットに装着でき、既存の電球の代替として使用できる。
【0013】
発光部12は、複数のLED15を光源に備え、
図2及び
図3に示すように、LED15の点灯に要するドライバ回路や電源回路等の電気回路を搭載した電気回路基板8が胴体部2及び絶縁筒部10の内部に格納されている。電気回路基板8の電源回路と、口金3のシェル5、及びアイレット7とは、それぞれリード線9A、9Bにより電気的に接続されており、これらシェル5、及びアイレット7を通じてソケットからの電力が電気回路基板8の電源回路に供給される。
【0014】
シェル5と胴体部2とは絶縁筒部10によって電気的に絶縁されており、胴体部2の放熱性を高めるべく、胴体部2を導電性を有する材料で構成しても、口金3のシェル5と胴体部2との間の絶縁が良好に維持されるように構成される。本実施形態では、胴体部2を熱伝導性樹脂から形成するとともに、絶縁筒部10を絶縁性樹脂から形成し、胴体部2及び絶縁筒部10をインサート成形している。なお、胴体部2及び絶縁筒部10を二色成形により形成してもよい。
【0015】
胴体部2を熱伝導性樹脂から形成することで、アルミニウム等の金属材料でベース板13及び胴体部2を形成したときよりもLEDランプ1の軽量化が図られ、電球の代替としてLEDランプ1を既存のソケットや既存のランプホルダーに装着する場合でも、当該LEDランプ1の重量を支えるために既存のソケットや既存のランプホルダーを補強する作業や部材が必要なく、そのまま代替使用することができる。また軽量化により、後述の放熱フィン25の枚数を増やすことができるので、表面積が増え、より効率的に放熱性を高めることができる。
【0016】
図4に示すように、絶縁筒部10は有底筒状に形成され、底を成す終端10Aには、終端10Aを貫通する配線孔31A、31Bが形成されている。配線孔31A、31Bにおける胴体部2側の面には、胴体部2側ほど拡径する導入穴部32が形成されている。
リード線9A、9Bは、電気回路基板8における口金3側の端に接続され、配線孔31A、31Bを通ってシェル5、及びアイレット7にそれぞれ接続される。配線孔31Aから引き出されたリード線9Aは、絶縁筒部10の終端10Aで外側に屈曲して絶縁筒部10の外側面に沿って延びシェル5に接続される。一方、配線孔31Bから引き出されたリード線9Bは、そのまま直線的に延びてアイレット7に接続される。また、絶縁筒部10に口金3を取り付ける際には、シェル5を絶縁筒部10の終端10Aに係合させた状態で、外周側から絶縁筒部10にかしめて固定する。
【0017】
次いでLEDランプ1の発光部12について詳述する。
発光部12は、上述の通り、胴体部2における口金3と逆側の先端2Cに設けられている。発光部12は、板状のベース板13を有し、このベース板13の上面に、複数のLED15が実装された、後述のLED基板16が設けられている。ベース板13は、胴体部2よりも大きな径の上面視略円板状の部材であり、裏面には上記胴体部2の先端2Cが連接されている。ベース板13、及び胴体部2は同一の材料、すなわち熱伝導性樹脂材から一体に形成されており、これらベース板13、胴体部2、及び絶縁筒部10により、LEDランプ1の筐体35が構成されている。
【0018】
図4はベース板13の平面図である。
同図に示すように、ベース板13の面内には、当該胴体部2の連接箇所に対応して、電気回路基板8を胴体部2に挿入するための上面視略円形(胴体部2の内径と略同径)の挿入開口14が形成されている。電気回路基板8は、
図3に示すように、胴体部2の先端から絶縁筒部10にかけて延びる長さで、この胴体部2の中空形状に係合する正面視形状を有して形成されている。
【0019】
図3に示すように、胴体部2の直径Rは、電気回路基板8の横幅と略同程度に形成されており、胴体部2の内側には、
図4に示すように、胴体部2の終端2A側に電気回路基板8の縁を挟み込む固定用溝部51Aが設けられ、また、この固定用溝部51Aに対向する位置に胴体部2の先端2C側から終端2A側に延びる突き当て片51Bが設けられている。
電気回路基板8を挿入開口14から挿入すると、電気回路基板8の一方の縁が固定用溝部51Aに挟み込まれるとともに、対向する他方の縁が突き当て片51Bの側面に突き当てられることで、この電気回路基板8が胴体部2内に固定される。
また、この電気回路基板8は、
図2に示すように、上端部8Cが固定ブッシュ27を介して後述するLED基板16によって押圧されて固定される。また、胴体部2の中には電気回路基板8を取り囲むように巻かれた絶縁シート28が設けられており、当該絶縁シート28により、胴体部2と電気回路基板8との間が電気的に絶縁されている。
【0020】
LED15は、例えばSMDやCOBのようなLED素子をパッケージ化してなるLEDを好適に用いることができる。本実施形態では、LED15に白色LEDが用いられている。なお、LED15に白色以外の他の発光色のLEDを用いても良いことは勿論である。LED15は、
図2に示すように、円板状の回路基板である上記LED基板16の上に複数配置されている。
【0021】
LED基板16は、
図2に示すように、上記ベース板13にネジ止め固定され、その略中央には、リード線引出開口17が形成されている。胴体部2に挿着された電気回路基板8から電力供給用の陽極及び陰極のリード線(図示せず)がリード線引出開口17を通じて引出されて、このLED基板16の上面に形成されている回路パターン80に電気的に接続され、当該回路パターンを通じて各LED15に電力が供給される。
【0022】
ベース板13は、
図2及び
図3に示すように、周縁に沿って側壁19を有したトレー状を成し、この側壁19の内周面にLED基板16を覆うグローブ22が取り付けられている。このグローブ22と側壁19の間には、詳細については後述するが、シール部材26が設けられており、グローブ22を側壁19に挿入するのに伴い、シール部材26がグローブ22と側壁19の間に挟み込まれる。このように、グローブ22と側壁19との間にシール部材26を挟み込むことで発光部12の防水性が保持される。
グローブ22には、図示は省略するが、LEDランプ1の銘番を内面に印刷や刻印等で設けている。これにより、LEDランプ1が風雨に晒されても銘番が消えることがなく、また擦れによって消えたりすることもない。
【0023】
図2及び
図3に示すように、発光部12には、各LED15から側壁19に向かい遮光される光線成分Saを反射させ、グローブ22から取り出して照明に利用可能にする環状の反射体21が設けられている。環状の反射体21には、各LED15を取り囲むようにベース板13の円周に沿って配置され、LED15から入射する光線成分Saをグローブ22に向けて反射する反射面21Aが形成されている。かかる反射体21を備えることで、LEDランプ1の光利用効率が向上し、また、水平方向(LED基板16の面に平行な方向)への光の拡がりが抑えられる。
なお、各LED15から側壁19に向かって遮光される光線成分Saをグローブ22から取り出して照明に利用可能にすべく、反射体21の反射面21Aは、高い反射率が得られるように高反射グレード素材を使用しているが、アルミニウム蒸着等でも良い。また、カバーには、拡散材を添加したり、シボ加工を施したり、ショットブラスト等による表面処理により、拡散性をもたせてもよい。
【0024】
LED基板16とベース板13の間には、
図2及び
図3に示すように、LED基板16と同等の面積かそれ以下の大きさのLED基板用放熱シート20が挟まれており、LED15の発熱がLED基板16からLED基板用放熱シート20を通じてベース板13に効率良く導かれ、このベース板13を含む筐体35の全体から外気に放熱される。なお、LED基板用放熱シート20を用いることなく、LED基板16の裏面に放熱性能を有する弾性材質からなる樹脂を所要の厚さコートし一体化する構成としても良い。LED基板用放熱シート20またはLED基板16の裏面のコートに絶縁性能を持たせても良い。
すなわち、ベース板13及び上記胴体部2は共に高熱伝導性を有する材料から一体に形成されていることから、ベース板13と胴体部2の間の熱抵抗は小さく、ベース板13に導かれた熱が胴体部2にロスを少なくして伝えられる。
【0025】
また、LED基板用放熱シートの代わりに銅やアルミ等熱伝導率の高い金属板をLED基板16とベース板13の間に設置してもよい。LED基板16からの熱をベース板13に効率よく伝えるとともに、金属板がヒートスプレッダとして働き複数のLED15からの熱をベース板13の全体に伝え、放熱フィン25の全体から放熱することで放熱効率を上げることができる。
尚、金属板をLED基板16よりも大きく形成し、金属板をヒートシンクとして利用することもできる。このとき金属板の周縁部を折り曲げ放熱面積を増やしてもよい。
また、折り曲げ部をグローブの内周面に近づけて形成することにより、後述するように、グローブ22が収縮した場合に折り曲げ部に当たることでグローブ22の変形を抑制し、ベース板13から外れるのを防ぐことができる。
【0026】
胴体部2の外周面には、先端2Cから終端2Aに延びる板状の放熱フィン25が胴体部2の軸線を中心にして放射状に多数立設されており、胴体部2に導かれた熱が各放熱フィン25から放熱される。各放熱フィン25は、フィン端部25Aがベース板13の裏面13Aに連接されるとともに、これら放熱フィン25、胴体部2及びベース板13が一体に形成されている。これにより、胴体部2に伝わった熱がロスなく放熱フィン25から放熱されるとともに、ベース板13からも直接放熱フィン25に熱が伝えられることから、放熱フィン25への伝熱量が増加して高い放熱性能が得られる。
【0027】
また胴体部2の直径Rは、上述の通り、内蔵の電気回路基板8が収まる程度(電気回路基板8の幅程度)に小さく形成されているため、LED基板16とベース板13の接触面積を確保できLED基板16とベース板13間での伝熱量を多くできる。これに加え、ベース板13と胴体部2の径の差も大きくなるため、放熱フィン25のフィン端部25Aを胴体部2からベース板13の縁部(側壁19)まで延びる長さとすることで、このフィン端部25Aと裏面13Aの接触面積も大きくなり、より多くの発熱を放熱フィン25に導き放熱できる。
【0028】
ところで、胴体部2にあっては直径Rを電気回路基板8の幅程度まで小さくすると、胴体部2に電気回路基板8が近接し、胴体部2と電気回路基板8との間の電気的な絶縁性能が劣化する。そこで、上述の通り、胴体部2の中には、電気回路基板8を囲むように巻いた絶縁シート28を設けることにより、胴体部2の内側面の全体を絶縁シート28で覆い、電気回路基板8と胴体部2の間の絶縁性能を高めることとしている。絶縁シート28は可撓性及び絶縁性を有する1枚のシートを帯状に形成したものであって、胴体部2への装着時には、シートの両端同士が重なるように筒状に巻いた状態でベース板13の挿入開口14から挿入される。胴体部2の中では絶縁シート28が巻き戻りによって拡がり、このときの巻き戻る力によって胴体部2の内側面を覆うように装着される。このように、絶縁シート28を帯状に形成し、巻いた状態でベース板13の挿入開口14に挿入し、絶縁シート28の巻き戻りによって胴体部2の中に装着する構成としたため、胴体部2の内側面の全面を覆うように絶縁シート28を簡単に装着することができる。
【0029】
次いで、グローブ22のベース板13への取付構造について説明する。
グローブ22の取付構造としては、ベース板13に螺合させて取り付ける螺合構造が一般的に用いられている。しかしながら、螺合構造においては、グローブ22及びベース板13のどちらにも常に応力が加わっている状態となる。このように応力が加わっている状態で、更に熱膨張・収縮による応力が掛かり、グローブ22及びベース板13の変形による緩みが発生するといった問題がある。そこで本実施形態では、グローブ22の取付構造を螺合構造ではなく、突起と溝の係合構造とすることで、グローブ22の取り付けに伴う変形を抑える構成としている。
【0030】
図5(A)は、ベース板13の部分断面視図である。
図5(A)に示すように、ベース板13の側壁19には、内周面に全周に亘って1段の段部200が形成されている。段部200は、側壁19の下端19Bの側を上端19Aの側よりも内側に突出させて厚く形成したものであり、段部200の下端19Bの側の周面である下段周面200Aには、複数の案内保持溝201が形成されている。
一方、グローブ22は、
図5(B)に示すように、縁部22Aが略筒状に垂直に延び、この縁部22Aの外周面には、外方に突出する複数の突起202が設けられている。
【0031】
案内保持溝201は、導入溝201Aと、保持溝201Bとを備える。導入溝201Aは、グローブ22の突起202を上端19Aの側から導入する溝であり、段部200の下段周面200Aに縦溝を設けて成る。また保持溝201Bは、この導入溝201Aに連続し、周方向Xsに沿って延びる長さLhの横溝である。グローブ22をベース板13に取り付ける際には、グローブ22の突起202を案内保持溝201の導入溝201Aに入れて案内保持溝201に導入し、グローブ22を回動させて、突起202を保持溝201Bに沿って案内させて、突起202を、案内保持溝201に係合させて保持させる。
【0032】
保持溝201Bの案内によるグローブ22の回動時の回動角度は、30度程度となるようにしている。グローブ22を回動しながらベース板13に取り付ける際、シール部材26がベース板13の側壁19によって摺擦されることから、グローブ22を取り付ける際の回転量が大きいと、側壁19からの摺擦によってシール部材26がよじれて歪みが発生し易くなる。シール部材26がよじれてしまうとグローブ22と密着しない部分が発生し、防水性能が低下してしまう。本実施形態によれば、グローブ22を取り付ける際の回動量が保持溝201Bの周方向Xsの長さLhを限度に抑えられることから、シール部材26のグローブ22の回動による歪みを減らし、防水性能の低下を防止できる。
また、グローブ22の縁部22Aには、フランジ203が形成されている。グローブ22の突起202が案内保持溝201に案内されてベース板13に押し込まれると、フランジ203が、側壁19の上端19Aに当接し、それ以上押し込み不能となるように構成されている。
【0033】
また、案内保持溝201には、戻り防止突部206が設けられている。戻り防止突部206は、導入溝201Aと保持溝201Bの間に位置し、導入溝201Aから保持溝201Bに向かって徐々に高くなるように形成されている。グローブ22を回動させて、突起202を保持溝201Bに沿って案内した際に、グローブ22がたわむことで突起202が戻り防止突部206を越え保持溝201Bに収まる。
グローブ22の取り付け時の回動方向と反対方向に力が加わった場合には、突起202の後端部202Bが戻り防止突部206に引っ掛るように構成される。
この構成によれば、突起202が戻り防止突部206より係止されるため、グローブ22が、ベース板13への取り付け後に容易に外れることがない。
【0034】
LED15の点灯による熱膨張と、LED15の消灯による収縮とにより、グローブ22が変形すると、グローブ22がベース板13から外れる危険がある。本実施形態では、グローブ22が変形し、ベース板13から外れることがないように、
図6に示すように、ベース板13の側壁19との境に、ベース板13の面内より一段低い溝状の凹部223を、周縁に沿って設けている。グローブ22は、ベース板13に取り付けられた状態で、縁部22Aの下端222が、凹部223内に配設されるように構成されている。グローブ22が、熱膨張後に収縮し、縁部22Aの下端222が凹部223の法面224に当たると、それ以上の変形が抑えられる。これにより、グローブ22の突起202が案内保持溝201から外れるほどにグローブ22が変形するのを防ぎ、グローブ22が熱膨張と収縮とにより変形してベース板13から外れるのを防ぐことができる。
【0035】
グローブ22とベース板13の間には、
図6に示すように、これらの間の隙間からの水の浸入を防止するシール部材26が設けられている。シール部材26は、グローブ22の縁部22Aの外周面に装着されている。
グローブ22には、フランジ203の下方に、縁部22Aの全周に亘ってシール部材係合突起204が設けられている。これらフランジ203とシール部材係合突起204とによって、シール部材嵌込溝205が形成され、このシール部材嵌込溝205にシール部材26が嵌め込まれて装着される(
図8(A)参照)。
【0036】
ところで、筐体35は、樹脂材から一体に形成されており、複数のゲート(本実施形態では3つのゲート)から樹脂を金型に押し込んで成形するため、完全な心円形状になりにくい。このため、Oリングで防水を確保しようとした場合、グローブ22とベース板13との間の各部でOリングのつぶれ量が変わり、防水が確保しにくい場合があった。そのため、Oリングを用いて防水を確保するために、筐体35に、成型後に追加工を行い寸法精度を上げたり、公差を厳しく製造したり、コーキング材を用いて防水を図ったりしなければならなかった。また、Oリングの圧縮率を高く設定して防水を図ることも考えられるが、Oリングの反発力が大きくなるため、グローブ22及びベース板13の変形が懸念される。
【0037】
図7は本実施形態のシール部材26の構造を示す図であり、
図7(A)はシール部材26の平面視図、
図7(B)は
図7(A)のA−A断面図、
図7(C)は
図7(B)のB部拡大図である。
図7(A)に示すように、シール部材26は、環状に形成され、グローブ22の外周面に装着可能に弾性を有する。シール部材26は、
図7(B)、
図7(C)に示すように、グローブ22をベース板13へ挿入する際の挿入方向に延びる細長矩形形状の細長形状部26Aを備える。そして、シール部材26は、この細長形状部26Aの長手方向の両端部から両横方向に、グローブ22の外周面、及び、ベース板13の側壁19の内周面に向かって突出する凸部26Bを有する。つまり、シール部材26は、細長形状部26Aと、この細長形状部26Aの短手方向に突出する凸部26Bと、を有する断面I形状に形成される。
【0038】
なお、本実施形態では、シール部材26は、細長形状部26Aの長手方向の両端部から両横方向に、グローブ22の外周面、及び、ベース板13の側壁19の内周面に向かって突出する凸部26Bを有する断面I形状に形成された構成とした。なお、凸部26Bは、少なくとも細長形状部26Aの長手方向の両端部に設けられていれば良く、両端部と共に、細長形状部26Aの長手方向の略中央等にも設けられていても良く、凸部26Bを細長形状部26Aの長手方向に沿ってひだ状に多数設けても良い。
【0039】
グローブ22をベース板13に取り付ける際には、
図8(A)に示すように、シール部材嵌込溝205にシール部材26を装着させる。グローブ22をベース板13に取り付ける際には、ベース板13の側壁19側に向かって突出する凸部26B,26Bがこの側壁19の内周面に沿うように押し込まれる。これにより、
図8(B)、
図8(C)に示したように、凸部26B,26Bがグローブ22の挿入方向とは逆方向に向かって変形する。このとき、凸部26B,26Bは、
図7(C)中に矢印Xbで示した方向に変形するが、この凸部26B,26Bに変形に伴って、細長形状部26Aが、グローブ22側に寄ってくる、つまり
図7(C)中に矢印Xcで示した方向に変形する。このように、シール部材26は、ベース板13とシール部材嵌込溝205との間で変形し、グローブ22とベース板13の間をシールすることとなる。
【0040】
この構成によれば、シール部材26を、グローブ22がベース板13に挿入される際に変形させることでグローブ22とベース板13との間をシールするため、シール部材26を押し潰してシールする構造に比べて、シール部材26の反発力によりグローブ22及びベース板13に与えられる負荷の方向を他方向に分散させることができる。これにより、グローブ22及びベース板13が、シール部材26からの反発力によるクリープ現象によって変形するのを防ぐことができる。
また、シール部材26を断面I形状としたため、シール部材26を形状として安定した状態とすることができる。実験から、シール部材26が例えば断面X形状や、細長形状部26Aから、ベース板13の側壁19の内周面に向かって一方向だけに突出する凸部26Bを有する形状とした場合には、シール部材26をシール部材嵌込溝205に嵌め込んで装着する際に、シール部材26が捩れて非常に装着がしにくいことが分っている。本実施形態では、シール部材26を断面I形状としたため、シール部材26をシール部材嵌込溝205に嵌め込んで装着する際のシール部材26の捩れを低減することができ、シール部材26をグローブ22に容易に装着させることができる。
【0041】
また、凸部26B,26Bが矢印Xb方向、つまり、グローブ22の挿入方向とは逆方向に向かって変形することで、これらの凸部26B,26Bが弁体として機能する。これにより、グローブ22とベース板13との隙間を介して筐体35に外部から空気が侵入するのを防ぐとともに、筐体35の内部の空気は逃げることができる構造となっている。LED15の点灯により、筐体35内の空気が熱膨張し、筐体35内部が正圧となった場合には、凸部26B,26Bが弁体として機能し、筐体35の内部の空気は、外部に逃げことができるように構成されている。一方で、LED15が消灯し、筐体35が冷えると、筐体35の内部が負圧となる。筐体35の内部が負圧になった際に、グローブ22とベース板13との隙間から空気が筐体35に外部から侵入する場合がある。本実施形態では、凸部26B,26Bが弁体(逆止弁)として機能し、筐体35の内部が負圧になった場合でも、グローブ22とベース板13との隙間から空気が筐体35内に外部から侵入することがない。これにより、筐体35内が負圧になった場合でも、グローブ22とベース板13との隙間から空気とともに水が浸入するのを防ぐことができる。
【0042】
また、グローブ22のフランジ203の下面には、グローブ22をベース板13に押し込むことによって凸部26B,26Bがグローブ22の挿入方向とは逆方向に向かって変形した際に、フランジ203側の凸部26Bが入り込む止水溝203Aが形成されていても良い。止水溝203Aは、フランジ203の下面に沿って設けられ、グローブ22をベース板13に取り付けた際に、グローブ22とベース板13との間の隙間に沿って形成される。このように、グローブ22とベース板13との間の隙間に沿って形成された止水溝203Aに凸部26Bを変形させて入りこませる構成とすることで、グローブ22とベース板13との間の隙間を確実に止水することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のLEDランプ1によれば、LED15(発光素子)を実装したLED基板16と、当該LED基板16を載置したベース板13(平板部)と、ベース板13の裏面13Aから延びて終端10Aに口金3が設けられた絶縁筒部10(筒状部)と、ベース板13を覆うグローブ22と、を備えたランプ1において、ベース板13は周縁に側壁19を有し、グローブ22は、ベース板13の側壁19の内側に少なくとも一部(本実施形態では縁部22A)が挿入されて保持され、グローブ22と、ベース板13の側壁19との間にシール部材26を配設し、シール部材26の断面形状を、グローブ22の挿入方向に延びる細長矩形形状の細長形状部26Aと、当該細長形状部26Aの少なくとも長手方向両端部から横方向に向かって突出する凸部26Bと、を有する形状とした。
この構成によれば、シール部材26をグローブ22とベース板13との間で変形させて防水を図ることができる。また、シール部材26の断面形状により、シール部材26が変形した際の反発力によりグローブ22とベース板13に与えられる負荷の方向を分散させることができる。よって、グローブ22やベース板13がシール部材26からの反発力によるクリープ現象によって変形するのを抑え、高いシール性を実現することができる。
【0044】
また、本実施形態のLEDランプ1によれば、グローブ22のベース板13の側壁19に挿入される部分の外周面に、全周に亘ってシール部材嵌込溝205を設け、ベース板13の側壁19と、シール部材嵌込溝205との間に形成される隙間にシール部材26を配置した。この構成によれば、グローブ22がベース板13に対して上方に移動したとしても、グローブ22の縁部22Aのシール部材嵌込溝205とベース板13の側壁19の間の隙間に大きな変化は無くシール部材26の押圧力が維持されることから、シール性が弱まることが無い。
また、シール部材26による反発力は、グローブ22の縁部22Aのシール部材嵌込溝205とベース板13の側壁19の間に作用し、グローブ22のフランジ203を側壁19の段部200から押し上げる方向に作用することが無いから、シール部材26の反発力が突起202の負荷となって損傷をうけるのを防止し、グローブ22がベース板13から外れるのを防ぐことができる。
【0045】
また、本実施形態のLEDランプ1によれば、シール部材26は、シール部材嵌込溝205に装着され、ベース板13の側壁19の内側にグローブ22を挿入する際に、側壁19に沿って変形する構成とした。この構成によれば、シール部材26は、凸部26B,26Bがグローブ22の挿入方向とは逆方向に向かって変形し、これらの凸部26B,26Bが弁体として機能する。これにより、筐体35内の空気が熱膨張し、筐体35内部が正圧となった場合には、凸部26B,26Bが弁体として機能し、筐体35の内部の空気を、外部に逃がすことができる。また、筐体35内の空気が冷えて収縮し、筐体35の内部が負圧になった場合には、凸部26B,26Bが逆止弁として機能し、グローブ22とベース板13との隙間から空気が筐体35内に外部から侵入することがない。これにより、筐体35内が負圧になった場合でも、グローブ22とベース板13との隙間から空気とともに水が浸入するのを防ぐことができる。
【0046】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。