特許第6600997号(P6600997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6600997
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】キャッピングヘッド
(51)【国際特許分類】
   B67B 3/20 20060101AFI20191028BHJP
【FI】
   B67B3/20
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-112362(P2015-112362)
(22)【出願日】2015年6月2日
(65)【公開番号】特開2016-222327(P2016-222327A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100086852
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 守
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】青塚 久和
(72)【発明者】
【氏名】松井 一
(72)【発明者】
【氏名】桝本 悟志
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−169494(JP,U)
【文献】 実開平02−052793(JP,U)
【文献】 特開2002−114293(JP,A)
【文献】 特表2005−536408(JP,A)
【文献】 特開昭53−000784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の周りに回転可能に設けられ、キャップの天面に当接する天面当接部が下端部に設けられたベース部材と、
前記ベース部材に対して相対的に昇降可能であり、前記ベース部材と共に回転可能に設けられ、前記キャップの外周面に形成された縦溝に係合する凸部を有する嵌合部材と、
前記ベース部材に対して前記嵌合部材を下方に付勢する付勢手段とを備え、
前記嵌合部材は、前記ベース部材に対して、キャッピングヘッドの回転軸を中心に所定角度だけ相対回転可能に取付けられており、
前記ベース部材と前記嵌合部材により前記キャップを保持した状態で容器に巻き締める
ことを特徴とするキャッピングヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップを保持して容器の口部に巻き締めるキャッピングヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ペットボトル等の容器の口部にキャップを装着する装置として、従来、例えば特許文献1、2に開示されたものが知られている。一方、近年、ペットボトル等の容器の薄肉化の影響がキャップにも及んできており、キャップの薄型化により、そのサイズのバラツキが大きくなってきている。また、規格が定められているキャップであっても、メーカや型式によって、直径やナール(外周面の縦溝)の高さが異なっていることがある。具体的には、1つのキャッピングヘッドによって処理されるキャップ群において、最大径のキャップにおけるナールの谷部でのキャップ径が最小径のキャップにおけるナールの山部でのキャップ径よりも大きいことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−133315号公報
【特許文献2】特許第4175290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置によってバラツキの大きいキャップ群に対応する場合、最大径のキャップに合わせてキャップ装着装置のキャップ収容部を設計すると、最小径のキャップのナールにチャック部材のローレットが係合せず、キャップを巻き締めることができないことがあり、また最小径のキャップに合わせてキャップ収容部を設計すると、最大径のキャップがキャップ収容部に取付けられないという問題が生じる。
【0005】
特許文献2の装置では、チャック部材が水平軸の周りに揺動するように構成されているので、キャップ径のバラツキに対する許容範囲は大きいが、キャップ径が大きくなるにつれて揺動角度が大きくなって、キャップとチャック部材の係合面積が小さくなり、このためチャック部材がキャップに対して空回りしてキャッピング不良を生じるという問題が発生する。
【0006】
本発明は、キャップ径のバラツキに係わらず常にキャップを容器の口部に対して適切に巻き締めることができるキャッピングヘッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るキャッピングヘッドは、回転軸の周りに回転可能に設けられ、キャップの天面に当接する天面当接部が下端部に設けられたベース部材と、ベース部材に対して相対的に昇降可能であり、ベース部材と共に回転可能に設けられ、キャップの外周面に形成された縦溝に係合する凸部を有する嵌合部材と、ベース部材に対して嵌合部材を下方に付勢する付勢手段とを備え、嵌合部材は、ベース部材に対して、キャッピングヘッドの回転軸を中心に所定角度だけ相対回転可能に取付けられており、ベース部材と嵌合部材によりキャップを保持した状態で容器に巻き締めることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャップ径のバラツキに係わらず常にキャップを容器の口部に対して適切に巻き締めることができるキャッピングヘッドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態であるキャッピングヘッドを備えたキャッパを示す平面図である。
図2】キャッピングヘッドを示す断面図である。
図3】嵌合部材の保持部を下方から見た断面図である。
図4】ベース部材と嵌合部材を上方から見た平面図である。
図5】キャッピングヘッドによって対応可能な範囲における最大径のキャップを保持した場合を示す図である。
図6図5に示す最大径のキャップをキャップディスクから取り上げるとき、また容器に装着するときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示された実施形態を参照して本発明を説明する。図1は充填システムの一部であるキャッパ10の概略構成を示し、キャッパ10は供給スターホイール11とキャッパスターホイール12とキャップディスク13と排出スターホイール14とを備える。
【0012】
供給スターホイール11は、図において時計方向に回転し、フィラ(図示せず)により内容物を充填されて搬送されてきたペットボトル等の容器をキャッパスターホイール12に受け渡す。キャッパスターホイール12は反時計方向に回転しており、キャップディスク13からキャップを供給され、キャッパスターホイール12から受け渡された容器の口部に巻き締めて装着する。キャップを装着された容器は、キャッパスターホイール12から排出スターホイール14を介して搬送コンベヤ(図示せず)に受け渡され、次工程に搬送される。
【0013】
図2はキャップPを容器に装着するキャッピングヘッド20を示している。キャッピングヘッド20はキャッパスターホイール12の外周縁に沿って一定間隔毎に設けられる。ロッド21はキャッパスターホイール12の軸心に平行に延びており、カム機構(図示せず)により昇降駆動されるとともに、モータ(図示せず)により中心軸(回転軸)Lの回りに回転駆動される。
【0014】
ロッド21の先端部にはベース部材31が固定される。ロッド21の先端部は円柱部22と連結部23を有し、ベース部材31は円筒状の本体部32と、本体部32の下端部に設けられた天面当接部33と、本体部32の上端部に形成されて径方向外方に延びる一対の係合板部34(図4)とを有する。連結部23の外周面にはスプラインの雄型が形成され、本体部32の軸孔35の内壁面に形成されたスプラインの雌型に噛合する。円柱部22は連結部23の基部側(図中、上側)にあり、ベース部材31のネジ穴36に螺合された取付けボルト37の先端が当接する。すなわち取付けボルト37によってベース部材31はロッド21の先端部に固定され、スプラインによってベース部材31はロッド21と一体的に中心軸Lの回りに回転する。
【0015】
一方、天面当接部33は、キャップPの天面に当接する環状の隆起部33aを有し、天面当接部33の上面から突出するネジ部38は本体部32の軸部に形成されたネジ穴39に螺着される。これにより天面当接部33はロッド21に対して一体的に連結される。
【0016】
ベース部材31の本体部32の外側にはスライドブッシュ41が嵌合され、スライドブッシュ41の外側には嵌合部材51が嵌合される。嵌合部材51は、キャップPの外周側に嵌合する筒状の保持部52と、保持部52の上面に形成された円筒部53と、保持部52の上面であって円筒部53の外側において上方に延びる4つの脚部54とを有する。
【0017】
図3に示されるように保持部52には、支持穴55が円周方向に沿って所定間隔毎に形成され、支持穴55の外周側には保持部52の全周にわたって延びる環状溝56が形成される。支持穴55は保持部52の内壁面に開口しており、支持穴55に収容されるボール61は保持部52の内壁面から突出可能である。環状溝56にはOリング62が設けられ、Oリング62によってボール61は常時保持部52の内壁面から突出する。
【0018】
保持部52の内壁面は下方ほど径が大きくなるような接頭円錐面形状を有する。一方、キャップPの外周面も下方ほど径が大きくなる接頭円錐面形状を有するが、これらの円錐面形状の傾斜角は保持部52の方が大きい。すなわち、図2に示されるように、キャップPの外周面の上端部が保持部52の内壁面に密着している状態において、保持部52の内壁面の下端部はキャップPの外周面の下端部から離間している。
【0019】
また保持部52の内壁面には、縦方向(キャップPの軸心方向)に延びる多数の凸部57が内壁面の周方向に一定間隔毎に形成される。これらの凸部57はキャップPの外周面に形成されたナールの縦溝に係合可能である。一方、支持穴55から保持部52の内壁面に突出するボール61はキャップPの外周面に当接するが、ナールの縦溝の幅よりも大きく、縦溝には係合しない。
【0020】
嵌合部材51の円筒部53はスライドブッシュ41の外周面に摺動自在に嵌合し、円筒部53の軸方向長さはベース部材31の本体部32よりも短い。したがって嵌合部材51はベース部材31に対して相対的に昇降可能である。円筒部53の外側にはコイルバネ(付勢手段)63が設けられる。コイルバネ63は常時圧縮状態にあって嵌合部材51をベース部材31に対して下方へ付勢し、嵌合部材51に外力が作用しないとき、嵌合部材51は天面当接部33の上面に当接する。
【0021】
図4に示されるように、嵌合部材51の4つの脚部54は各係合板部34に近接した位置に設けられ、各係合板部34との間に所定の隙間Sを空けている。脚部54の高さは、図2に示されるように係合板部34の上面の高さ位置に略等しい。したがって保持部52に負荷が掛かっている状態において、ベース部材31とロッド21が一体的に中心軸Lの回りに回転すると、脚部54が係合板部34に係合するので、嵌合部材51はベース部材31およびロッド21と共に回転する。すなわち嵌合部材51は、ベース部材31に対して、キャッピングヘッド20の中心軸Lを中心に所定角度だけ相対回転可能である。
【0022】
本実施形態の作用を説明する。キャッピングヘッド20はキャップディスク13においてキャップPを取り上げ、保持部52内においてボール61によって保持し、容器の上方へ移送する。そしてベース部材31と嵌合部材51はキャップPを保持した状態で中心軸Lの周りに回転し、キャップPを容器に巻き締めて装着する。この基本的な装着作用は公知の装置と同様である。
【0023】
キャップディスク13におけるキャップPの取り上げ動作では、嵌合部材51が下降して保持部52がキャップPに嵌合した後、嵌合部材51が上昇すると、ボール61がOリング62の弾性力によってキャップPを保持する。このとき、保持部52の凸部57が偶然にキャップPのナールの山部に一致したとしても、保持部52は、係合板部34と脚部54の間の隙間Sの分だけ、ベース部材31に対して相対的に回転するので、ナールの山部が凸部57から円周方向にずれるため、ナールの山部が損傷することはない。
【0024】
上述したように保持部52の内壁面の傾斜角はキャップPの外周面の傾斜角よりも大きい。したがって相対的に大径のキャップPを保持する場合であっても、このキャップPの先端部分が保持部52の内壁面によって案内され、キャップPは保持部52によって確実に保持される。図2は、このキャッピングヘッド20によって対応可能な範囲における平均的な径を有するキャップPを保持した場合を示し、この状態において、キャップPの天面は天面当接部33に当接するまで保持部52に挿入され、ボール61から受ける押圧力によって保持される。この場合、キャップPのナールの山は保持部52の凸部57の間の溝に、また凸部57はナールの縦溝に接するか接しないか程度の位置関係にある。なお、このようなキャップPよりも小径のキャップであっても、ナールと凸部57が係合する範囲であれば、この保持部52によって保持可能である。
【0025】
図5はキャッピングヘッド20によって対応可能な範囲における最大径のキャップPを保持した場合を示している。この図に示すように、キャップPの径が大きくなると、キャップPを保持して容器まで移送するとき、キャップPは天面当接部33に当接するほど保持部52内には挿入されていない。すなわちキャップPの天面と天面当接部33の隆起部33aとの間には隙間Gが生じており、嵌合部材51はベース部材31の天面当接部33に当接している。一方、上述した特許文献1の装置においてキャップの天面と天面当接部との間に隙間が生じた状態でキャップを容器に取付けようとすると、キャップまたは容器のネック部が押し潰されてキャッピング不良が生じるが、本実施形態では、次に述べるように、嵌合部材51がベース部材31に対して上昇して、隙間Gを埋めるため、このような問題は生じない。
【0026】
図6は、図5に示す最大径のキャップPをキャップディスク13から取り上げるとき、また容器に装着するときの状態を示している。大径のキャップPの場合、ロッド21の下降に伴って、ベース部材31と、キャップPを保持する係合部材51も下降し、キャップPが容器に当接すると、キャップPと嵌合部材51の下降は停止するものの、ベース部材31はさらに下降する。このときベース部材31は、コイルバネ63を圧縮させながらキャップPに対して相対的に下降し、最終的には天面当接部33がキャップPの天面に当接して、その状態でキャッピングが行われる。このように本実施形態では、大径のキャップPの場合であっても、ベース部材31に対して嵌合部材51が相対的に上昇することになるため、キャップPおよび容器に過剰な圧縮力が作用することなく、平均的な径を有するキャップPと同様のキャッピングを行うことができる。
【0027】
なお、保持部52の内壁面の傾斜角はキャップPの外周面の傾斜角よりも大きいことは必須ではない。すなわち、これらの傾斜角は等しくてもよく、また保持部52の内壁面の傾斜角がキャップPの外周面の傾斜角よりも小さくてもよい。
【0028】
なお天面当接部33はベース部材31に一体的に設けられていてもよい。
また保持部52は筒状に限定されず、例えば複数の固定爪から構成することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
20 キャッピングヘッド
31 ベース部材
33 天面当接部
51 嵌合部材
57 凸部
63 コイルバネ(付勢手段)
P キャップ


図1
図2
図3
図4
図5
図6