(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記した特許文献1記載の構成では、グリップ部を握り込んだ状態でなければ切断動作を実行できないため、使い勝手が悪い場合があった。例えば、作業を行う体勢によってはグリップ部を握り込むことが困難な場合があり、このような状況においては使い勝手が悪かった。
【0008】
また、上記した特許文献2記載の構成は、トリガースイッチを長押しするという簡単な動作で機械が動くので、子供や機械の使い方を知らない人であっても意図せずに動かせてしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、子供や機械の使い方を知らない人が誤って機械を作動できてしまうことを有効に防止できる安全機構を備え、かつ、安全機構を設けても使い勝手が悪くならない電動はさみを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0011】
請求項1記載の発明は、2枚の刃部と、前記2枚の刃部の少なくとも一方を閉じ動作させる動力源と、前記動力源の作動を制御する操作部材と、前記操作部材とは別に
前記操作部材に指をかけた手で触れない位置に設けられたロック解除スイッチと、を備え、前記動力源の作動を許可しないロック状態と、前記操作部材の操作で前記動力源が作動する待機状態と、を取り得るように構成され、前記ロック状態において前記操作部材と前記ロック解除スイッチとが所定のタイミングで操作されたときに前記待機状態とな
り、前記待機状態において前記操作部材と前記ロック解除スイッチとが同時に操作されたときに前記ロック状態となることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、主電源をオンにした直後は前記ロック状態であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2に記載の発明の特徴点に加え、
前記ロック状態において前記操作部材と前記ロック解除スイッチとを同時に操作したときに、前記待機状態となることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、
前記待機状態において所定時間以上操作が検出されなかったときに、前記ロック状態となることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、
前記操作部材は、前記モータの作動を制御するための第1の操作部と、前記第1の操作部とは異なる補助動作を制御するための第2の操作部と、を備え、前記第1の操作部を操作したときと前記第2の操作部を操作したときとでは、前記操作部材が異なる方向に作動するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、動力源の作動を許可しないロック状態と、操作部材の操作で動力源が作動する待機状態と、を取り得るように構成され、前記ロック状態において操作部材とロック解除スイッチとが所定のタイミングで操作されたときに前記待機状態となる。すなわち、操作部材とロック解除スイッチとが所定のタイミングで操作されたことを契機として、ロック状態から待機状態へと状態遷移し、機械が作動できる状態となる。このように複数のスイッチを操作するという特別な操作を実行しなければ機械が作動できる状態とならないので、子供や機械の使い方を知らない人が触ってしまっても機械が作動しない。このように特別な操作を実行しなければ機械が作動しないので、事故を有効に防止することができる。
【0017】
また、特許文献1記載の構成のようにグリップ部を握り込んで操作部材を操作しなければならないといった制約がないので、グリップ部を握り込むことが困難な姿勢であっても問題なく操作することができる。すなわち、安全性を高めた結果として機械の使い勝手が悪くなるという問題が発生しない。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、主電源をオンにした直後は前記ロック状態である。このような構成によれば、主電源がオンになっただけでは操作部材を操作しても機械が作動しないので、子供や機械の使い方を知らない人が誤って操作部材を操作しても危なくない。
【0019】
また、請求項
1に記載の発明は上記の通りであり、前記ロック解除スイッチは、前記操作部材に指をかけた手で触れない位置に設けられている。このような構成によれば、ロック解除スイッチと操作部材とを偶然操作してしまうという可能性が低くなる。言い換えると、子供や機械の使い方を知らない人が誤ってロックを解除してしまう可能性が低くなるので、さらに安全性を高めることができる。
【0020】
また、請求項
3に記載の発明は上記の通りであり、前記ロック状態において前記操作部材と前記ロック解除スイッチとを同時に操作したときに、前記待機状態となる。このような構成によれば、シンプルな操作でロック状態から待機状態へと移行させることができるので、作業性が良い。
【0021】
また、請求項
4に記載の発明は上記の通りであり、前記待機状態において所定時間以上操作が検出されなかったときに、前記ロック状態となる。このような構成によれば、待機状態のまま機械が長時間放置されることがなくなる。作業の合間に放置された機械を、子供や機械の使い方を知らない人が誤って操作しても作動することがなくなるので、さらに安全性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0024】
本実施形態に係る電動はさみ10は、例えば樹木の剪定等において使用されるものであり、動力源であるモータ12の駆動力で一対の刃部18,19を開閉して枝木等の切断対象物を切断するものである。
【0025】
この電動はさみ10は、
図1〜3に示すように、ハウジング17と、ハウジング17の後端部17dに設けられたケーブル接続部11と、モータ12と、モータ12の回転動作を直進動作に変換するためのボールネジ機構13と、ボールネジ機構13の直進運動をガイドする支持部材16と、ボールネジ機構13の直進運動を2つの刃部18,19の開閉動作に変換するためのリンク機構15と、リンク機構15によって作動する第1刃部18及び第2刃部19と、モータ12を制御するための操作部として設けられた操作部材22と、操作部材22に追従して揺動する揺動部材23と、揺動部材23によって接点が押圧されるマイクロスイッチ24と、操作部材22の回転角度を検出するセンサ25と、操作部材22とは別に設けられたロック解除スイッチ26と、を備える。
【0026】
ハウジング17は、特に図示しないが、2つの分割片からなり、内部に作動機構を収容して機械のほぼ全体を覆っている。このハウジング17は、リンク機構15を覆う部分であるリンクカバー部17aと、操作部材22の周囲を覆うように輪っか状に形成された操作部材ガード部17bと、使用者が握り込めるように形成されたグリップ部17cと、グリップ部17cの後部に設けられた後端部17dと、を備える。
【0027】
リンクカバー部17aは、ハウジング17の前端部に設けられてリンク機構15を収容しており、その前端部から第1刃部18及び第2刃部19を突出させている。
【0028】
操作部材ガード部17bは、リンクカバー部17aの後部下方に設けられ、リンクカバー部17aとグリップ部17cとの境目(間)に設けられている。この操作部材ガード部17bは、輪っか状に形成されており、使用者がグリップ部17cを握り込んだときに、この輪っか状の操作部材ガード部17bの中に人差し指を引っ掛けることができるように配置されている。操作部材ガード部17bの内側には、操作部材22が操作可能に露出している。詳しくは後述するが、操作部材22の第1の操作部22b(トリガ)が手前(グリップ部17c側)に操作可能に露出しており、操作部材22の第2の操作部22dが前方(リンクカバー部17a側)に操作可能に露出している。
【0029】
グリップ部17cは、リンクカバー部17aよりも細く、また後端部17dよりもやや細く形成され、使用者が握り込み易い形状となっている。このグリップ部17cの中にはボールネジ機構13が内蔵されている。
後端部17dは、ハウジング17の後端に設けられてモータ12などを収容しており、その後端面17eにはケーブル接続部11が設けられている。
【0030】
ケーブル接続部11は、図示しないケーブルを接続するための部位であり、電力線や信号線を接続するための端子を備えている。このケーブル接続部11に接続されたケーブルは、図示しない電源装置に接続されている。電源装置またはケーブルには電源スイッチが設けられており、この電源スイッチを投入することで、ケーブルを介して電源装置から電動はさみ10へと電力が供給される。
【0031】
モータ12は、第1刃部18及び第2刃部19を閉じ動作させる動力源であり、電源装置から供給された電力により作動する。このモータ12の出力軸は、後述するボールネジ機構13に接続されている。なお、モータ12の出力軸とボールネジ機構13との間に減速機構14などを設けてもよいし、モータ12の出力軸とボールネジ機構13とを直接接続してもよい。
【0032】
ボールネジ機構13は、モータ12の回転動作を直進動作に変換するものである。このボールネジ機構13は、特に図示しないが、モータ12の回転力を受けて回転するネジ軸と、ネジ軸のネジ溝に噛合するナット部とを備えている。これにより、モータ12の駆動力によってネジ軸が回転駆動されると、ナット部がネジ軸に沿って直線移動するように形成されている。このナット部には、後述するリンク機構15の駆動軸15aが接続されており、この駆動軸15aはナット部と一体的に前後に直線移動するように形成されている。
【0033】
支持部材16は、ボールネジ機構13の直進運動をガイドするためのものである。この支持部材16には、ガイド方向に延びるガイド溝16aが設けられており、このガイド溝16aにリンク機構15の駆動軸15aが係合している。このため、ガイド溝16aの延設方向に沿ってナット部及び駆動軸15aが移動するようになっている。
【0034】
リンク機構15は、駆動軸15aの直進運動を第1刃部18及び第2刃部19の開閉動作に変換するためのものである。このリンク機構15は、駆動軸15aによって回転可能に連結された第1リンク15b及び第2リンク15cを備えている。第1リンク15bは、一端が駆動軸15aに接続され、他端が接続軸18cを介して第1刃部18に接続されている。また、第2リンク15cは、一端が駆動軸15aに接続され、他端が接続軸19cを介して第2刃部19に接続されている。
【0035】
第1刃部18及び第2刃部19は、刃軸20を支点に回転可能に支持されており、刃軸20において交差するように組み合わされている。第1刃部18は、刃軸20よりも先端側の切断部18aに刃が形成されており、刃軸20よりも根元側の根元部18bは、接続軸18cを介して第1リンク15bに回転可能に接続されている。同様に、第2刃部19は、刃軸20よりも先端側の切断部19aに刃が形成されており、刃軸20よりも根元側の根元部19bは、接続軸19cを介して第2リンク15cに回転可能に接続されている。
上記したリンク機構15、第1刃部18及び第2刃部19は、
図4に示すように、ボールネジ機構13の直進運動によって作動する。
【0036】
具体的には、駆動軸15aが刃軸20に対して接近する方向に移動すると、第1リンク15b及び第2リンク15cが開き方向に作動する。これにより、第1刃部18及び第2刃部19の根元部18b,19bが互いに離反する方向に変位するとともに、第1刃部18及び第2刃部19の切断部18a,19aが互いに閉じる方向に回動し、切断動作を行う。
【0037】
一方、駆動軸15aが刃軸20に対して離反する方向に移動すると、第1リンク15b及び第2リンク15cが閉じ方向に作動する。これにより、第1刃部18及び第2刃部19の根元部18b,19bが互いに接近する方向に変位するとともに、第1刃部18及び第2刃部19の切断部18a,19aが互いに開く方向に回動する。
【0038】
本実施形態に係る操作部材22は、シャフト22aを軸に回動可能に取り付けられている。操作部材22は、
図2等に示すような側面視略L字形をしており、シャフト22aが設けられた位置からそれぞれ別の方向に延びる第1の操作部22bと第2の操作部22dとを備えている。第1の操作部22bは、モータ12の作動を制御するための操作部であり、モータ12の作動を制御することで第1刃部18及び第2刃部19による開閉(切断)動作を実行(制御)するためのものである。第2の操作部22dは、補助動作(例えば作動モードの切り替え)をするためのものである。これら第1の操作部22b及び第2の操作部22dは、それぞれ向かい合うように配置され、操作部材ガード部17bの内側に操作可能に露出している。したがって、第1の操作部22bと第2の操作部22dとの間に指を挿入し、
図5(b)に示すように指をシャフト22aに対して後方(グリップ部17c側)に動かすと第1の操作部22bを操作できるようになっており、
図5(c)に示すように指をシャフト22aに対して前方(リンクカバー部17a側)に動かすと第2の操作部22dを操作できるようになっている。第1の操作部22bまたは第2の操作部22dが操作されると、操作部材22はシャフト22aを軸に回転する。このように、電子はさみ10は、第1の操作部22bがグリップ部17c側に近づくように引く操作がされると第1刃部18及び第2刃部19による開閉動作を実行し、第2の操作部22dがグリップ部17c側から遠ざかるように押す操作がされると補助動作を実行する。なお、第1の操作部22bと第2の操作部22dは互いに相対移動不能に設けられており、第1の操作部22b(第2の操作部22d)が操作されると、第2の操作部22d(第1の操作部22b)もこれに連動して第1の操作部22b(第2の操作部22d)と同じ方向に動く。このため、第1の操作部22bと第2の操作部22dは同時に操作することはできず、別々に操作されて第1の操作部22bを操作したときと第2の操作部22dを操作したときとでは、操作部材22が異なる方向に回転するようになっている。
【0039】
なお、第1の操作部22bの内部には、
図4に示すようなローラ22cが設けられている。このローラ22cは、後述する揺動部材23を押動するためのものである。
【0040】
揺動部材23は、操作部材22の第1の操作部22bが操作されたときに、操作部材22の回転に追従して揺動する部材である。この揺動部材23は、揺動軸23aを軸に揺動可能となっており、操作部材22が回転したときにローラ22cによって揺動させられるようになっている。この揺動部材23は、後述するマイクロスイッチ24の接点部24aに臨むように配置された押圧部23bを備えており、ローラ22cによって揺動させられたときに押圧部23bがマイクロスイッチ24の接点部24aを押し込むようになっている。
【0041】
マイクロスイッチ24は、操作部材22の第1の操作部22bが操作されたことを検出するためのものである。前述したように、操作部材22の第1の操作部22bが操作されると、揺動部材23がマイクロスイッチ24をオンするように構成されているため、マイクロスイッチ24のオン・オフを検出することで操作部材22の第1の操作部22bが操作されたか否かを判別することができる。
【0042】
センサ25は、操作部材22の回転角度を検出するためのものである。センサ25としては、操作部材22の操作を検出できるものであれば種類を問わないが、例えばシャフト22aに接続したポテンショメータを使用することができる。ポテンショメータを使用した場合、操作部材22の操作量を詳細に把握することができる。
【0043】
このセンサ25を利用した電動はさみ10の動作は、電動はさみ10または電源装置に内蔵された制御装置(図示せず)によって制御される。制御装置は、操作部材22の第1の操作部22bが操作され、マイクロスイッチ24がオンになったことが検出されると、センサ25によって操作部材22の回転角度を検出する。そして、検出した角度に応じてモータ12を正回転させ、2枚の刃部18,19を閉じる方向に作動させる。操作部材22の第1の操作部22bを目一杯まで操作すると、2枚の刃部18,19が完全に閉じた状態となる。なお、第1の操作部22bが離された場合には、図示しないバネによって操作部材22が初期位置に戻される。操作部材22が初期位置に戻されたことをセンサ25が検出すると、センサ25は制御装置に制御信号を送信する。この制御信号を受信した制御装置は、モータ12を逆回転させて、最大開き角度となるまで2枚の刃部18,19を作動させる。これにより、2枚の刃部18,19が初期位置まで戻ることになる。同時に、操作部材22が初期位置に戻ったところでマイクロスイッチ24がオフになるので、2枚の刃部18,19は最大開き角度での停止が維持される。
【0044】
ロック解除スイッチ26は、電動はさみ10をロック状態から解除して待機状態へと移行させるためのスイッチである。本実施形態に係る電動はさみ10は、安全性を高める目的で、操作部材22が操作されてもモータ12が作動しないロック状態と、操作部材22の操作でモータ12が作動する待機状態と、を取り得るように構成されている。そして、主電源がオンになったとき(すなわち電源装置またはケーブルに設けられた電源スイッチが投入されたとき)には、自動的にロック状態となるように制御されている。電動はさみ10を作動できるようにするためには、このロック状態から待機状態へと遷移させる必要がある。本実施形態においては、ロック状態において操作部材22とロック解除スイッチ26とを同時に操作したときに待機状態に遷移するようになっている。
【0045】
このロック解除スイッチ26は、
図6に示すように、ハウジング17の後端部17dに設けられており、操作部材22に指をかけた手で触れない位置に設けられている。具体的には、ハウジング17の後端面17eに押し込み可能に配置されている。ハウジング17の後端面17eには、ロック解除スイッチ26の周囲を覆うようにガード壁17fが設けられており、意図せずにロック解除スイッチ26に何かが当たって押し込まれることを防止する構造となっている。
【0046】
このロック解除スイッチ26は、
図7に示すように、バネ27によって外側に付勢されており、バネ27の付勢力に抗して押し込み操作すると、ロック解除スイッチ26の先端に固定された磁石26aが機械本体に配置されたホールIC28に接近するようになっている。このため、ロック解除スイッチ26が押し操作されると、その操作をホールIC28が検知できるようになっている。ホールIC28は、ロック解除スイッチ26の操作を検知したら、制御装置にロック解除スイッチ26の操作信号を出力する。なお、マイクロスイッチ24(またはセンサ25)も、操作部材22の操作を検知したら、制御装置に操作部材22の操作信号を出力する。制御装置は、ロック解除スイッチ26の操作信号と操作部材22の操作信号とを同時に受信したときに、ロック状態から待機状態へと遷移する制御を実行する。すなわち、使用者がロック解除スイッチ26を押し込んだ状態で操作部材22を操作したときに、または、使用者が操作部材22を操作した状態でロック解除スイッチ26を押し込んだときに、ロック状態から待機状態へと機械の状態を遷移させるようになっている。
【0047】
なお、待機状態において操作部材22が所定時間以上操作されなかった場合には、自動的にロック状態となるように制御されている。このため、作業の途中で電動はさみ10が放置されるような事があっても安全性を確保できる。
【0048】
もちろん、待機状態において操作部材22とロック解除スイッチ26とが同時に操作された場合には、上記とは逆に、待機状態からロック状態へと遷移する。このため、電動はさみ10の使用を中断するときには、ロック状態にして誤操作を防止することができる。電動はさみ10を使用しないときには、上記したような操作によって電動はさみ10をロック状態にしておけば、2枚の刃部18,19が閉じた状態を維持させることができるため、安全性を高めることができる。
【0049】
ところで、上記の説明においては、操作部材22の第1の操作部22bが操作されたときに状態が遷移するようにしたが、これに代えて、操作部材22の第2の操作部22dが操作されたとき、言い換えると、操作部材22が切断動作のときとは異なる方向に操作されたときに、状態を遷移するようにしてもよい。この場合、操作部材22の第2の操作部22dが操作されると、この操作はセンサ25によって検出される。第2の操作部22dの操作を検出したセンサ25は、制御装置に操作部材22の操作信号を出力する。そして、制御装置は、ロック解除スイッチ26の操作信号と操作部材22の操作信号とを同時に受信したときに、ロック状態から待機状態へ、または、待機状態からロック状態へと遷移する制御を実行する。
このように構成すれば、ロック解除のための操作(第2の操作部22dを操作)と切断動作のための操作(第1の操作部22bを操作)とを明確に区別することができるので、誤操作が発生しにくい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、モータ12の作動を許可しないロック状態と、操作部材22の操作でモータ12が作動する待機状態と、を取り得るように構成され、前記ロック状態において操作部材22とロック解除スイッチ26とが所定のタイミングで操作されたときに前記待機状態となる。すなわち、操作部材22とロック解除スイッチ26とが所定のタイミングで操作されたことを契機として、ロック状態から待機状態へと状態遷移し、機械が作動できる状態となる。このように複数のスイッチを操作するという特別な操作を実行しなければ機械が作動できる状態とならないので、子供や機械の使い方を知らない人が触ってしまっても機械が作動しない。このように特別な操作を実行しなければ機械が作動しないので、事故を有効に防止することができる。
【0051】
また、主電源をオンにした直後はロック状態であるため、主電源がオンになっただけでは操作部材22を操作しても機械が作動しない。よって、子供や機械の使い方を知らない人が誤って操作部材22を操作しても危なくない。
【0052】
また、ロック解除スイッチ26は、前記操作部材22に指をかけた手で触れない位置に設けられている。このような構成によれば、ロック解除スイッチ26と操作部材22とを偶然操作してしまうという可能性が低くなる。言い換えると、子供や機械の使い方を知らない人が誤ってロックを解除してしまう可能性が低くなるので、さらに安全性を高めることができる。
【0053】
また、前記ロック状態において前記操作部材22と前記ロック解除スイッチ26とを同時に操作したときに、前記待機状態となる。このような構成によれば、シンプルな操作でロック状態から待機状態へと移行させることができるので、作業性が良い。
【0054】
また、前記待機状態において所定時間以上操作が検出されなかったときに、前記ロック状態となる。このような構成によれば、待機状態のまま機械が長時間放置されることがなくなる。作業の合間に放置された機械を、子供や機械の使い方を知らない人が誤って操作しても作動することがなくなるので、さらに安全性を高めることができる。
【0055】
なお、上記した実施形態においては、ロック状態において操作部材22とロック解除スイッチ26とを同時に操作したときに待機状態となるようにしたが、本発明の実施形態としてはこれに限らず、ロック状態において操作部材22とロック解除スイッチ26とが所定のタイミングで操作されたときに待機状態となるようにしてもよい。
【0056】
例えば、ロック状態において操作部材22を操作してから所定の時間内にロック解除スイッチ26を操作したときに待機状態となるようにしてもよい。また、ロック状態においてロック解除スイッチ26を操作してから所定の時間内に操作部材22を操作したときに待機状態となるようにしてもよい。その際、操作部材22及びロック解除スイッチ26のいずれかまたは両方を複数回操作することや、操作部材22及びロック解除スイッチ26のいずれかまたは両方を一定時間操作し続けることを状態移行の条件としてもよい。
【0057】
また、上記した実施形態においては、ロック解除スイッチ26をハウジング17の後端面17eに設けたが、これに限らず、他の場所にスイッチを設けてもよい。操作部材22に指をかけた手で触れない位置に設けるのであれば、ハウジング17の後端部17dの別の場所や、操作部材ガード部17bよりも前方の任意の場所にスイッチを設けてもよい。また、電動はさみ10の本体(手持ち部分)がケーブルによって電源装置と接続される場合、ロック解除スイッチ26は電動はさみ10の本体に設けなくてもよい。例えば、ケーブルの途中や電源装置にロック解除スイッチ26を設けてもよい。このようにケーブルの途中や電源装置にロック解除スイッチ26を設けた場合でも、操作部材22に指をかけた手で触れない位置にロック解除スイッチ26を設けることができる。
【0058】
更には、
図8に示すように、操作部材22に指をかけた手で触れる位置にロック解除スイッチ29を設けてもよい。このロック解除スイッチ29は、グリップ部17cに設けられており、グリップ部17cを握り込んだときに操作信号が検知されるようになっている。なお、このように操作部材22に指をかけた手で触れる位置にロック解除スイッチ29を設けた場合には、誤操作を確実に防止するために、ロック解除スイッチ29を複数回操作した後に操作部材22を一定時間操作し続けることを状態移行の条件とするなど、ロック解除のための操作を複雑にすることが望ましい。
【0059】
また、上記した実施形態に係る電動はさみ10は、2枚の刃部が両方とも動く両刃可動式であるが、これに限らず、一方の刃部が固定されて他方の刃部が動く片刃可動式の電動はさみ10であっても同様に本発明を適用することができる。