(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2導光体は、前記第1出射部からの光を受光する第2受光部と、前記第2受光部で受光した光を前記表示板の表面に沿って反射させる、前記端部の端面に形成される反射面と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る車両用表示装置を、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の車両用表示装置1は、例えば自動車等の車両用の計器装置100に組み込まれるものである。ここでは、まず、計器装置100の構成を説明し、その後、車両用表示装置1について説明する。
なお、以下の説明では、車両用表示装置1および計器装置100を正面視したとき(つまり、ユーザーが表示装置1を正面から見て計測値などの意匠(指標部)を確認する場合)の視認側を「表」といい、背面側を「裏」という。
【0010】
計器装置100は、搭載される車両に関する各種情報を報知する複合計器として構成され、一対の指針式計器10,20と、デジタル表示装置30と、回路基板40と、中ケース50と、表示板60と、図示しない計器用光源と、見返し部材70を備える。
【0011】
(計器装置100)
指針式計器10は、例えばスピードメータであり、目盛り、数値等の図示しない意匠(指標部)と、この意匠(指標部)を指示する指針11とを対比判読させることにより車速を報知する。指針11は、その回転中心となる回転中心部11aと回転中心部11aから放射方向に突き出した指示部11bとが、例えば、PMMA(Polymethy methacrylate)等の透明樹脂で一体に形成されている。回転中心部11aは、遮光性の所定の合成樹脂からなる指針キャップ11cで覆われている。指示部11bは、図示しない指針用光源の光を受けて発光するものである。指針11は、図示しない駆動部であるステッピングモータの回転軸に連結されて回転駆動される。
【0012】
指針式計器20は、例えば、タコメータであり、目盛り、数値等の図示しない意匠(指標部)と、この意匠(指標部)を指示する指針21とを対比判読させることによりエンジンの回転数を報知する。指針式計器20の構成は、指針式計器10と同様であるため、以下の説明は省略する。
【0013】
デジタル表示装置30は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic ElectroLuminescence Display)等からなり、例えば、車両に関する各種情報を示す画像を表示する。一例として、デジタル表示装置30は、表示画像により走行距離を報知するオドメーターとして機能する。
【0014】
回路基板40は、
図2に示すように、例えば、ガラスエポキシ樹脂(Glass Fiber Reinforced Plastics)からなる絶縁性を有する板状の基材に各種配線がプリントされている。回路基板40には、各種電子部品が実装されている。
回路基板40に実装される各種電子部品は、計器装置100の各部の動作を制御する制御部(図示しないマイクロコンピュータ等)、指針11を回転駆動するステッピングモータ、各種電子部品に接続される回路を構成する抵抗やコンデンサ、表示板60を照明するための図示しない計器用光源などである。
制御部は、計器装置100の外部装置(例えば、車両のECU(Electronic Control Unit))から車両の速度等の車両情報を取得し、取得した情報に基づいて、図示しない計器用光源や指針用光源を点灯/消灯させたり、指針11を回転駆動するステッピングモータを動作させる。また、制御部は、後述する車両用表示装置1の光源3の点灯/消灯や発光色の切り替えなどを行う。
計器用光源や指針用光源は、回路基板40の表側に実装される。また、図示しないが、制御部は、回路基板40の表側に実装され、ステッピングモータは、回路基板40の裏側に実装される。
【0015】
中ケース50は、回路基板40の表側に位置し、複合計器を構成する指針式計器10、20、デジタル表示装置30などを収納し、表示板60などの計器装置100を構成する部品を保持する。中ケース50は、例えば、ポリプロピレン(Polypropylene)などの樹脂により白色に形成される。
中ケース50の内側には、指針11の回転中心部11aが位置し、円周上の指針用光源の光を、指針11の回転軸を中心とする径方向に拡がらないように遮蔽しながら、指針11を発光させる。
中ケース50の裏側には、指針式計器10に対応する表示板60の裏側を囲む図示しない照明空間が形成される。照明空間内には、図示しない表示板用光源が設けられ、例えば、円周上等間隔に表示板用光源を配置し、表示板用光源からの光は、導光板を介して導光され、表示板60を透過して意匠(指標部)を均一な光で照明する。照明空間は、表示板用光源の消灯時には、遮光されて暗所状態となる。
【0016】
表示板60は、所定の樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂により形成された透光性を有する板材と、この板材の表側及び/又は裏側に形成された遮光性の印刷層と、から構成されている。印刷層の一部は抜き文字状となっており、表示板60において、指針11の指示対象である数値、目盛り等の図示しない意匠(指標部)を形成している。なお、抜き文字状の部分に、透光性の印刷層を形成しても良い。また、表示板60には、デジタル表示装置30の表示領域を視認可能とするための開口部61(
図1参照)が設けられている。
【0017】
計器用光源は、図示しない表示板用光源と指針用光源とを備える。表示板用光源は、表示板60を透過照明するためのものである。指針用光源は、指針11を発光させるためのものである。表示板用光源および指針用光源は、例えば、LED(Light Emitting Diode)から構成される。表示板用光源および指針用光源は、回路基板40の表側に実装される。
【0018】
計器装置100は、表示板60の表側に見返し部材70を備えており、計器装置100の不要箇所を隠すようにしている。見返し部材70は、例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene copolymer)などの樹脂を用い、例えば、黒色とされて遮光性を有している。見返し部材70には、指針式計器10,20、及びデジタル表示装置30を覗かせる開口部71が設けられており、これらの開口部71の表側を塞ぐように透明板(図示せず)、例えば、ガラスが取り付けられている。
【0019】
中ケース50の裏側には、回路基板40を挟んで、図示しない下ケース80が位置する。下ケース80と、透明板で塞がれた見返し部材70と、が組み合わされることで、略箱状になり計器装置100の筐体を構成する。
【0020】
このような計器装置100によれば、表示板60の意匠(指標部)は、表示板用光源により透過照明がなされる。すなわち、指針11の指示対象である数値、目盛り等の図示しない意匠(指標部)が形成された表示板60の裏側(背面側)には、中ケース50に形成される照明空間が配置されている。照明空間内には、円周上等間隔に表示板用光源が配置されて回路基板40上に設けてある。これにより、表示板用光源からの光は、導光板を介して照明空間に出射され、照明空間の形状、例えば、お椀形状の略凹曲面形状によって均一な光として表示板60の裏側から照射され、表示板60の意匠が透過照明される。
【0021】
(車両用表示装置1)
次に、本実施形態にかかる車両用表示装置(以下、単に表示装置とする。)1について説明する。
本実施形態の表示装置1は、
図1に示すように、計器装置100に組み込まれ、計器装置100のデザイン性を高める加飾照明やアンビエント表示として用いられている。
表示装置1は、
図2および
図3に示すように、意匠が表される表示板2と、表示板2を照らす光源3と、を備える表示装置1であって、表示板2の裏側に位置し、光源3からの光を受けて導光する第1導光体4と、表示板2の表側にて表示板2の表面に沿って形成されるとともに、表示板2を透過した第1導光体4からの光を導光して発光する第2導光体5と、を備えて構成されている。
【0022】
表示板2は、本実施形態では、計器装置100の表示板60を共用している。
表示板2は、計器装置100の表示板60として説明したように、所定の樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂により形成された透光性を有する板材と、この板材の表側及び/又は裏側に形成された遮光性の印刷層と、から構成されている。印刷層の一部は抜き文字状となっており、表示板60において、指針11(21)の指示対象である数値、目盛り等の図示しない意匠(指標部)を形成している。なお、抜き文字状の部分に、透光性の印刷層を形成しても良い。また、表示板60には、デジタル表示装置30の表示領域を視認可能とするための開口部61(
図1参照)が設けられている。
さらに、表示板2は、一対の指針式計器10,20の間のデジタル表示装置30の外側に、見返し部材70の開口部71に沿って矩形の透過窓2aが形成されている(
図3参照)。透過窓2aは、例えば、表示板2の透光性の基板に遮光性の印刷層を形成しないことで形成される。表示板2は、計器装置100と共用の中ケース50の表側を塞ぐように配置され、中ケース50に保持されている。
【0023】
光源3は、発光素子で構成され、複数の発光素子が単一の発光色を発するもの、あるいは異なる発光色を発する発光素子群で構成される。発光素子は、例えばLED(Light Emitting Diode)で構成され、
図2に示すように、計器装置100と共用の回路基板40の表側に一列に並んで実装されている。ここでは、隣同士の光源3は、回路基板40に設けた表側に突き出す仕切り壁で仕切られている。
【0024】
第1導光体4は、
図2および
図3に示すように、光源3と表示板2の透過窓2aとの間に配置されて中ケース50の収納部50a内に収納され、図示しないフック等で固定されている。第1導光体4は、一列に並んだ光源3の上に沿って設けられる略直方体形状とされており、光源3と対向する裏側の面が受光部(第1受光部)4aとされ、透過窓2aと対向する表側の面が出射部(第1出射部)4bとされる。
受光部4aには、凹状の受光面4cが光源3と対向して形成され、受光面4cの間に逆V字状の反射面4dが形成されている。これにより、光源3からの光は、受光部4aの凹状の受光面4cで受光され、受光面4cで横に広がる光を反射面4dで出射部4b側に反射させることができ、光源3からの光の出射効率を高めている。
【0025】
第2導光体5は、表示板2の表側に配置され、表示板2の表面に沿った板状に形成されるとともに、表示板2の透過窓2aを透過した第1導光体4からの光を導光して発光する。
第2導光体5は、第1導光体4の出射部4bと対向する位置である端部に受光部(第2受光部)5aが設けられる。第2導光体5は、端部の受光部5aで受光した光を表示板2の表面に沿って反射させる反射面5bが端部に設けてある。
第2導光体5は、
図1に示すように、正面視、表示板2の一対の指針式計器10、20の間で、デジタル表示装置30の上辺の外側部分を発光させる略扇形の第1発光部5cと、第1発光部5cの内側でデジタル表示装置30の上辺部および第1発光部5cの両端部からデジタル表示装置30の左辺部および右辺部の一部を囲む2つの略三角形をつないで発光させる第2発光部5dと、を組み合わせた形状に形成してある。
第2導光体5は、例えば第1発光部5cで、広い面積を車両の走行状態に応じて光源3の発光色を変えて発光させるアンビエント表示を行い、第2発光部5dで、デジタル表示装置30の周囲を囲むように発光させてデジタル表示装置30を加飾する表示を行う。これらアンビエント表示や加飾表示は、図示しない制御部によって光源3の発光色の切り替えや点灯/消灯が制御されることで行われる。
また、第2導光体5の第1発光部5cおよび第2発光部5dの裏面側には、微細加工やシボ加工が施され、凹凸の粗密を調整することで、発光する光に濃淡を与えてグラデーション表示を行うようにすることもできる。
なお、第2導光体5は、第1発光部5cおよび第2発光部5dにつながる透明板部を設けてデジタル表示装置30の表側を覆うようにしても良い。
これにより、第2導光体5をデジタル表示装置30の表側に載置することで、デジタル表示装置30の視認性を透明板部で確保し、しかも第2導光体5による発光表示を簡単に行うことができる。また、第2導光体5による発光表示を必要としない場合にも第2導光体5を取り外して簡単に対応することができる。
【0026】
表示装置1では、計器装置100と共用の見返し部材70を備えて、表示板2の非視認領域を覆い隠している。見返し部材70は、第2導光体5の反射面5bの形状に沿って内側に傾斜した見返し反射面70aが形成されている。見返し反射面70aには、反射板70bが設けられて第2導光体5の反射面5bの反射効率を一層向上できるようにしてある。反射板70bは、例えば白色樹脂シート等で構成することができる。
【0027】
このように構成した表示装置1では、光源3からの光は、第1導光体4の受光部4aの凹状の受光面4cで受光され、受光面4cで横方向に広がる光を反射面4dで出射部4bに向かって反射させ、第1導光体4の出射部4bから効率よく出射される。
第1導光体4の出射部4bから出射された光は、表示板2の透過窓2aを透過して対向する表側の第2導光体5の受光部5aで受光される。
第2導光体5の受光部5aで受光された光は、反射面5bおよび見返し部材70の見返し反射面70aの反射板70bで表示板2の表面に沿って反射される。
この反射光により、第2導光体5が面発光され、第1発光部5cが、例えば
図4に示すように、グラデーション表示され、走行モードにより、光源3の発光色を変えてアンビエント表示が行われる。また、第2発光部5dは、デジタル表示装置30の上部と左右を発光照明し、加飾する表示が行われる。
【0028】
この表示装置1では、表示板2の表側に第2導光体5を配置して発光させるようにしているので、発光させる表示領域を一対の指針用計器10,20やデジタル表示装置30の中ケース50内での構造に関係なく、設定することができ、大きな面積で発光させることができる。
この表示装置1では、表示板2の裏側に光源3と第1導光体4を配置し、表示板2の表側に第2導光体5を配置して第1発光部5cや第2発光部5dで発光表示させているので、第1発光部5cや第2発光部5dでの発光表示の必要がなければ、第2導光体5を表示板2の上に設けなければ良く、アンビエント表示の必要な場合と不要な場合との構造を大きく変えることなく、表示形態を変更することができる。
また、アンビエント表示の必要のない場合には、表示板2の裏側の第1導光体4を回路基板40に固定しているフックなどを利用して取り外すと共に、光源3を実装しないことで、中ケース50の内側でも簡単に表示形態の変更に対応することができる。
さらに、アンビエント表示の必要がない場合であっても、光源3と第1導光体4を設置しておき、表示板2の透過窓2aから出射される光で、見返し部材70の内側を透過照明することもでき、表示形態を多様化することができる。
【0029】
本発明の表示装置1によれば、意匠が表される表示板2と、表示板2を照らす光源3と、を備える車両用表示装置1であって、表示板2の裏側に位置し、光源3からの光を受けて導光する第1導光体4と、表示板2の表側にて表示板2の表面に沿って形成されるとともに、表示板2を透過した第1導光体4からの光を導光して発光する第2導光体5と、を備えているので、発光表示の形態を簡単に変更することができる。すなわち、第2導光体5による発光を必要としない場合には、表示板2の表側の第2導光体5を省くことで、表示装置1の構造を大きく変更することなく、対応することができる。また、第2導光体5の大きさを表示装置1の内部構造と関係なく変えることができ、大きな発光表示領域を容易に確保することができる。
【0030】
また、本発明の表示装置1によれば、第1導光体4は、光源3からの光を受光する第1受光部4aと、光源3からの光を第2導光体5の端部に向けて出射する第1出射部4bとを備え、第2導光体5は、第1出射部4bからの光を受光する第2受光部5aと、第2受光部5aで受光した光を表示板2の表面に沿って反射させる、端部の端面に形成される反射面5bと、を備えているので、光源3からの光を、第1導光体4を介して第2導光体5に導光することができ、光源3からの光で第2導光体5を発光させて効率よく発光表示することができる。
【0031】
また、本発明の表示装置1によれば、第1受光部4aは、光源3と対向する凹状に形成された受光面4cと、受光面4cの周囲に設けられ受光面4cで受光された光を第1出射部4bに向けて反射する反射面4dと、を備えているので、光源3からの光を受光面4cで受光し、横に広がる光を反射面4dで反射させて第1出射部4bから出射させることができ、一層効率よく光源3からの光で発光表示することができる。
【0032】
また、本発明の表示装置1によれば、車両用表示装置1は、表示板2の非視認領域を覆う見返し部材70を備え、見返し部材70は、第2導光体5の反射面5bに対面して位置し、第2導光体5の反射面5bから漏れた光を第2導光体5に向けて反射する見返し反射面70aを備えているので、第1導光体4から第2導光体5に導光された光を見返し部材70の見返し反射面70aで反射させて第2導光体5を発光表示することができ、一層効率よく光源3からの光で発光表示することができる。
【0033】
また、本発明の車両用表示装置1は、指針11,21の位置により車両情報を表示する一対の指針式計器10,20と、一対の指針式計器10,20の間に位置し、車両情報をデジタルで表示するデジタル表示装置30と、を備え、第2導光体5は、デジタル表示装置30の周囲の少なくとも一部を囲むように形成されているので、デジタル表示装置30の周囲を発光照明することができ、表示形態の変更も簡単に行うことができる。
【0034】
なお、本発明は、上記の実施形態のように表示装置をアンビエント表示と加飾照明に用いる場合に限定されることなく、計器装置で発光表示する場合に広く適用することができる。
また、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。