特許第6601186号(P6601186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6601186
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】生体情報検出装置および制御装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20191028BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20191028BHJP
   G08C 17/02 20060101ALI20191028BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20191028BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20191028BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   A61B5/00 Z
   G08C15/00 E
   G08C17/02
   G08C19/00 V
   G08C17/00 A
   H04M11/00 301
【請求項の数】6
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-231109(P2015-231109)
(22)【出願日】2015年11月26日
(65)【公開番号】特開2017-93924(P2017-93924A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117673
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 了
(72)【発明者】
【氏名】南 猛
(72)【発明者】
【氏名】長谷 淳一
(72)【発明者】
【氏名】三縞 信広
(72)【発明者】
【氏名】鳥越 章宏
(72)【発明者】
【氏名】中島 智章
(72)【発明者】
【氏名】中野 大介
(72)【発明者】
【氏名】田中 友二
【審査官】 佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−150375(JP,A)
【文献】 特開2001−005896(JP,A)
【文献】 特開2014−057691(JP,A)
【文献】 特開2009−136372(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/107040(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0300491(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報検出装置であって、
前記生体情報検出装置と連携する連携先装置へのログイン後において、前記連携先装置における異常発生を条件として、前記生体情報検出装置による生体情報の検出処理を実行すべき旨を決定する決定手段と、
前記生体情報の検出処理を実行すべき旨が決定されると、前記生体情報を検出する検出手段と、
を備えることを特徴とする生体情報検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生体情報検出装置において、
前記生体情報検出装置と連携する連携先装置で異常が発生したことに応答して、前記生体情報の検出結果に関する情報の送信要求を前記連携先装置から受信する受信手段、
をさらに備え、
前記決定手段は、前記送信要求を受信した直後のタイミングを前記生体情報検出装置による生体情報の検出タイミングとして決定することを特徴とする生体情報検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の生体情報検出装置において、
前記生体情報検出装置と連携する連携先装置で異常が発生したことに応答して、前記生体情報の検出結果に関する情報の送信要求を前記連携先装置から受信する受信手段と、
前記連携先装置における過去の異常発生に応答して過去の送信要求の受信時に検出された生体情報に関する情報を履歴情報として格納しておく格納手段と、
をさらに備え、
前記決定手段は、最新の異常発生に応じて最新の送信要求が前記連携先装置から受信される場合、
前記連携先装置における過去の異常発生時にユーザが非平常状態を有していた旨が前記履歴情報に基づいて判定されるときには、前記生体情報検出装置による生体情報の検出を直ちに行うべき旨を決定し、
前記連携先装置における過去の異常発生時にユーザが平常状態を有していた旨が前記履歴情報に基づいて判定されるときには、前記生体情報検出装置による生体情報の検出を行わない旨を決定することを特徴とする生体情報検出装置。
【請求項4】
生体情報検出装置を制御する制御装置であって、
前記生体情報検出装置と連携する連携先装置へのログイン後において、前記連携先装置における異常発生を条件として、前記生体情報検出装置による生体情報の検出処理を実行すべき旨を決定する決定手段と、
前記生体情報の検出処理を実行すべき旨が決定されると、前記生体情報の検出指令を前記生体情報検出装置に通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の制御装置において、
前記制御装置は、前記連携先装置自身でもある画像形成装置であることを特徴とする制御装置。
【請求項6】
請求項4に記載の制御装置において、
前記制御装置は、前記連携先装置とは別に設けられる情報処理装置であることを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報検出装置およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザが装着可能な端末装置(以下、ウエアラブル端末あるいはウエアラブルデバイスなどとも称する)が普及しつつある。また、ウエアラブル端末の中には、ユーザの身体情報(脈波等)を検出する装置(生体情報検出装置とも称する)も存在する。
【0003】
このような生体情報検出装置は、通常、バッテリで駆動される。生体情報検出装置においては、バッテリ駆動時間を長大化することが望まれる。
【0004】
このような要請に対して、特許文献1においては、ウエアラブル端末が、取得したデータ(生体情報)を他の装置に送信するタイミングを、ユーザの状態(状況)のみを考慮して変更する技術が記載されている。当該技術においては、ユーザの活動状況が「運動中」である場合には、生体データ(生体情報)が取得されるごとに当該生体データが送信され、一方、ユーザの活動状況が「睡眠中」である場合には、取得された生体データ(生体情報)の変化量が閾値を超えた場合にのみ当該生体データが送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−084797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、取得した生体情報の送信タイミングがユーザの状態に応じて変更されるので、生体情報の「送信処理」に伴う電力消費は低減され得る。
【0007】
しかしながら、生体情報の検出自体は常に行われている。そのため、生体情報の検出処理に要する電力消費は低減されない。
【0008】
そこで、この発明は、生体情報検出装置において、効率的に生体情報を取得して電力消費を低減することが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、生体情報検出装置であって、前記生体情報検出装置と連携する連携先装置へのログイン後において、前記連携先装置における異常発生を条件として、前記生体情報検出装置による生体情報の検出処理を実行すべき旨を決定する決定手段と、前記生体情報の検出処理を実行すべき旨が決定されると、前記生体情報を検出する検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る生体情報検出装置において、前記生体情報検出装置と連携する連携先装置で異常が発生したことに応答して、前記生体情報の検出結果に関する情報の送信要求を前記連携先装置から受信する受信手段、をさらに備え、前記決定手段は、前記送信要求を受信した直後のタイミングを前記生体情報検出装置による生体情報の検出タイミングとして決定することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る生体情報検出装置において、前記生体情報検出装置と連携する連携先装置で異常が発生したことに応答して、前記生体情報の検出結果に関する情報の送信要求を前記連携先装置から受信する受信手段と、前記連携先装置における過去の異常発生に応答して過去の送信要求の受信時に検出された生体情報に関する情報を履歴情報として格納しておく格納手段と、をさらに備え、前記決定手段は、最新の異常発生に応じて最新の送信要求が前記連携先装置から受信される場合、前記連携先装置における過去の異常発生時にユーザが非平常状態を有していた旨が前記履歴情報に基づいて判定されるときには、前記生体情報検出装置による生体情報の検出を直ちに行うべき旨を決定し、前記連携先装置における過去の異常発生時にユーザが平常状態を有していた旨が前記履歴情報に基づいて判定されるときには、前記生体情報検出装置による生体情報の検出を行わない旨を決定することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、生体情報検出装置を制御する制御装置であって、前記生体情報検出装置と連携する連携先装置へのログイン後において、前記連携先装置における異常発生を条件として、前記生体情報検出装置による生体情報の検出処理を実行すべき旨を決定する決定手段と、前記生体情報の検出処理を実行すべき旨が決定されると、前記生体情報の検出指令を前記生体情報検出装置に通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4の発明に係る制御装置において、前記制御装置は、前記連携先装置自身でもある画像形成装置であることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項4の発明に係る制御装置において、前記制御装置は、前記連携先装置とは別に設けられる情報処理装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1から請求項6に記載の発明によれば、生体情報検出装置と連携する連携先装置へのログイン後において、当該連携先装置にて異常が発生していない場合には、生体情報検出装置による生体情報の検出処理が実行されないので、生体情報の検出タイミングを抑制して電力消費を低減することが可能である。特に、生体情報の検出処理を実行すべき旨が連携先装置における異常発生を条件に決定されるので、連携先装置の状況をも考慮して、生体情報の検出タイミングをより適切に決定することが可能である。
【0027】
また特に、請求項2に記載の発明によれば、生体情報検出装置と連携する連携先装置へのログイン後において、当該連携先装置にて異常が発生するまでは生体情報検出装置による生体情報の検出処理が実行されないので、生体情報の検出タイミングを抑制して電力消費を低減することが可能である。
【0028】
また特に、請求項3に記載の発明によれば、連携先装置における過去の異常発生時にユーザが平常状態を有していた旨が履歴情報に基づいて判定されるときには、生体情報の検出を行わない旨が決定されるので、生体情報の検出タイミングを抑制して電力消費を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】画像形成システムを示す図である。
図2】画像形成装置の機能ブロックを示す図である。
図3】ウエアラブル端末の概略構成を示す機能ブロック図である。
図4】ウエアラブル端末の動作を示すフローチャートである。
図5】ウエアラブル端末の動作を示すフローチャートである。
図6】画像形成システムにおける動作を示すシーケンス図である。
図7】通常版(簡易版)のヘルプ画面を示す図である。
図8】詳細版のヘルプ画面を示す図である。
図9】ウエアラブル端末(第2実施形態)の動作を示すフローチャートである。
図10】画像形成システム(第2実施形態)の動作を示すシーケンス図である。
図11】画像形成システム(第2実施形態)の動作を示すシーケンス図である。
図12】ウエアラブル端末(第3実施形態)の動作を示すフローチャートである。
図13】画像形成システム(第3実施形態)の動作を示すシーケンス図である。
図14】ウエアラブル端末(第4実施形態)の動作を示すフローチャートである。
図15】画像形成システム(第4実施形態)の動作を示すシーケンス図である。
図16】ウエアラブル端末(第5実施形態)の動作を示すフローチャートである。
図17】ウエアラブル端末(第5実施形態)の動作を示すフローチャートである。
図18】画像形成システム(第5実施形態)の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
<1.第1実施形態>
<1−1.構成概要>
図1は、第1実施形態に係る画像形成システム1を示す図である。図1に示すように、画像形成システム1は、MFP(画像形成装置)10とウエアラブル端末50とサーバコンピュータ80とを備える。
【0036】
本システム1における各要素10,50,80は、それぞれ、ネットワーク108を介して互いに通信可能に接続される。ネットワーク108は、LAN(Local Area Network)およびインターネット等などによって構成される。また、ネットワーク108に対する接続態様は、有線接続であってもよく、或いは無線接続であってもよい。
【0037】
MFP10とウエアラブル端末50とは、各種の無線通信技術を用いて互いに無線接続される。たとえば、MFP10とウエアラブル端末50との間の通信には、無線LAN(IEEE 802.11等)による通信、および近距離無線通信が利用され得る。この実施形態では、近距離無線通信として、BLE(Bluetooth Low Energy)に基づく通信が用いられ、ウエアラブル端末50とMFP10との近接判定処理等が行われる。なお、これに限定されず、近距離無線通信として、近接場型無線通信(NFC:Near field radio communication)等が用いられるようにしてもよい。
【0038】
<1−2.画像形成装置の構成>
図2は、画像形成装置10の機能ブロックを示す図である。ここでは、画像形成装置10として、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))を例示する。図2においては、MFP10の機能ブロックが示されている。
【0039】
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、操作部6およびコントローラ9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0040】
画像読取部2は、MFP10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像ないしスキャン画像とも称する)を生成する処理部である。この画像読取部2は、スキャン部であるとも称される。
【0041】
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0042】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、各種の無線通信(BLEによる無線通信等を含む)を行うことも可能である。具体的には、通信部4は、無線LAN(IEEE 802.11等)による無線通信を行う無線LAN通信部4aと、BLEによる無線通信を行うBLE通信部4bとを備える。
【0043】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。
【0044】
操作部6は、MFP10に対する操作入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。
【0045】
このMFP10においては、略板状の操作パネル部6c(図1参照)が設けられている。また、操作パネル部6cは、その正面側にタッチパネル25(図1参照)を有している。タッチパネル25は、操作入力部6aの一部としても機能するとともに、表示部6bの一部としても機能する。タッチパネル25は、液晶表示パネルに各種センサ等が埋め込まれて構成され、各種情報を表示するとともに操作者からの各種の操作入力を受け付けることが可能である。
【0046】
コントローラ9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体から読み出されてMFP10にインストールされるようにしてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワークを経由してダウンロードされてMFP10にインストールされるようにしてもよい。
【0047】
具体的には、図2に示すように、コントローラ9は、上記のプログラムの実行により、通信制御部11と入力制御部12と表示制御部13と認証処理部14とジョブ制御部15と異常通知部16とを含む各種の処理部を実現する。
【0048】
通信制御部11は、他の装置(ウエアラブル端末50等)との間の通信動作を通信部4等と協働して制御する処理部である。通信制御部11は、各種データの送信動作を制御する送信制御部と各種データの受信動作を制御する受信制御部とを有する。
【0049】
入力制御部12は、操作入力部6a(タッチパネル25等)に対する操作入力動作を制御する制御部である。たとえば、入力制御部12は、タッチパネル25に表示された操作画面に対する操作入力(ユーザからの指定入力等)を受け付ける動作を制御する。
【0050】
表示制御部13は、表示部6b(タッチパネル25等)における表示動作を制御する処理部である。表示制御部13は、MFP10を操作するための操作画面等をタッチパネル25に表示させる。
【0051】
認証処理部14は、ユーザの認証処理(ログイン処理)を制御する処理部である。
【0052】
ジョブ制御部15は、各種のジョブに関する動作(印刷出力動作、スキャン動作等)を制御する処理部である。
【0053】
異常通知部16は、MFP10にて異常(紙詰まり及び/又は用紙切れ等)が発生すると、当該異常の発生を他の装置(具体的には、ウエアラブル端末50等)に通知する処理部である。
【0054】
<1−3.ウエアラブル端末50の構成>
次にウエアラブル端末50の構成について説明する。
【0055】
ウエアラブル端末50は、MFP10(画像形成装置)との連携動作を行うことが可能な装置である。具体的には、ウエアラブル端末50は、MFP10との間での無線通信(近距離無線通信およびネットワーク通信)が可能な情報入出力端末装置(情報端末)である。なお、MFP10は、ウエアラブル端末50と連携する装置であり、ウエアラブル端末50の連携先装置であるとも表現される。
【0056】
ウエアラブル端末50は、ユーザの生体情報を検出する生体情報検出装置である。ここでは、ウエアラブル端末50として、ユーザの脈波を検出することが可能なデバイス(脈波デバイスとも称する)を例示する。ただし、これに限定されず、ウエアラブル端末50は、脈波以外の生体情報を取得する装置(たとえば、脳波検出装置)等であってもよい。なお、ウエアラブル端末50は、ユーザの生体情報を用いてユーザの精神状態等を検出するユーザ状態検出装置などとも称される。
【0057】
また、ウエアラブル端末50は、ユーザの生体情報を用いて当該ユーザ(個人)を特定することも可能であり、画像形成装置10に対する認証用装置としても利用される。すなわち、このウエアラブル端末50は、ユーザU1の状態を検出する検出装置として動作するとともに、MFP10に対する個人認証を行う認証用装置としても動作する。したがって、検出装置と認証用装置とを別々に設ける場合に比べて、システム構成を簡略化することが可能である。
【0058】
なお、ここでは、ウエアラブル端末50として、リストバンドタイプ(手首装着型)のデバイス(装置)を例示する。ただし、これに限定されず、様々なタイプのものがウエアラブル端末50として利用され得る。
【0059】
図3は、ウエアラブル端末50の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0060】
ウエアラブル端末50は、図3の機能ブロック図に示すように、通信部54、格納部55、操作部56、脈波検出部57、バッテリ58およびコントローラ59等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0061】
通信部54は、各種の無線通信(BLEによる無線通信等を含む)を行うことが可能である。具体的には、通信部54は、無線LAN(IEEE 802.11等)による無線通信を行う無線LAN通信部54aと、BLEによる無線通信を行うBLE通信部54bとを備える。各通信部54a,54bは、それぞれ、受信部および送信部を有している。
【0062】
格納部55は、不揮発性の半導体メモリ等の記憶装置で構成される。
【0063】
脈波検出部57は、脈波を検出するための光センサ等を備えて構成される。脈波検出部57は、生体情報検出部などとも表現される。
【0064】
バッテリ58は、二次電池(充電池)であり、ウエアラブル端末50に対して電力を供給する。
【0065】
操作部56は、ウエアラブル端末50に対する操作入力を受け付ける操作入力部56aと、各種情報の表示出力を行う表示部56bとを備えている。このウエアラブル端末50においては、液晶表示パネルに各種センサ等が埋め込まれて構成されたタッチパネルが設けられている。このタッチパネルは、操作入力部56aの一部としても機能するとともに、表示部56bの一部としても機能する。
【0066】
図3のコントローラ59は、ウエアラブル端末50に内蔵され、ウエアラブル端末50を統括的に制御する制御装置である。コントローラ59は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ59は、CPUにおいて、記憶部(半導体メモリ等)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(プログラム)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体から読み出されてウエアラブル端末50にインストールされるようにしてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワーク等を経由してダウンロードされてウエアラブル端末50にインストールされるようにしてもよい。
【0067】
ウエアラブル端末50には、MFP10との連携を図るためのプログラム(連携用プログラム)等がインストールされている。当該連携用プログラムは、各種の処理(MFP10への近接検知処理、MFP10に関する認証処理(生体認証処理を含む)、およびユーザの状態を検出する処理等)を実現するアプリケーションソフトウエアプログラム(単に、アプリケーションとも称する)である。
【0068】
具体的には、コントローラ59は、連携用プログラム等の実行により、通信制御部61と入力制御部62と表示制御部63と個人識別部64と状態検出部65と決定部66とを含む各種の処理部を実現する。
【0069】
通信制御部61は、通信部54等と協働して、MFP10等との通信動作を制御する処理部である。
【0070】
入力制御部62は、操作入力部56a(タッチパネル等)に対する操作入力動作を制御する制御部である。
【0071】
表示制御部63は、表示部56b(タッチパネル等)における表示動作を制御する処理部である。
【0072】
個人識別部64は、脈波検出部57によって検出された脈波情報(生体情報)に基づく分析処理等を行って、個人を識別する処理部である。
【0073】
状態検出部65は、脈波検出部57によって検出された脈波情報(生体情報)に基づく分析処理を行って、ユーザ状態(精神状態および/または体調)を検出する処理部である。状態検出部65は、ユーザの「平常状態」とユーザの「非平常状態」とを判別してユーザ状態を検出することが可能である。「非平常状態」としては、たとえば、「緊張状態」(精神的な圧迫感を感じている状態(焦っている状態等)、不安等を感じている状態)が例示される。「平常状態」と「非平常状態」は、脈波のパターン等を分析することによって、互いに区別されて認識される。
【0074】
決定部66は、脈波検出部57による検出処理の実行タイミング(生体情報の検出タイミング)等を決定する処理部である。たとえば、決定部66は、ユーザによるMFP10へのログイン後において、当該MFP10における異常発生を条件として、ウエアラブル端末50による生体情報の検出処理を実行すべき旨を決定する。
【0075】
<1−4.その他の装置>
サーバコンピュータ(単にサーバとも称する)80は、MFP10と通信可能なコンピュータ(情報処理装置)である。サーバ80は、たとえばプリントサーバ機能を備える。なお、ここでは、画像形成システム1はサーバ80を有しているが、これに限定されず、画像形成システム1はサーバ80を有しなくてもよい。
【0076】
<1−5.動作概要>
図4および図5は、ウエアラブル端末50の動作を示すフローチャートであり、図6は、画像形成システム1における動作を示すシーケンス図である。以下、これらの図を参照しながら、画像形成システム1における動作について説明する。
【0077】
ここでは、ウエアラブル端末50を装着したユーザU1がMFP10に対して所定程度の至近距離にまで接近し、ウエアラブル端末50とMFP10との間で近距離無線通信(ここでは、BLE通信)が開始されているものとする。さらに、当該近距離無線通信を介してMFP10のIPアドレスとウエアラブル端末50のIPアドレスとがMFP10とウエアラブル端末50との間で相互に交換(送信)され、当該IPアドレスを利用してウエアラブル端末50とMFP10との間で無線LAN通信が行われ得る状態を有しているものとする。なお、その後のデータの送受信は無線LAN通信を用いて実行される。これにより、通信の高速化を図ることが可能である。
【0078】
その後、ステップS1(図4)において、ウエアラブル端末50は、MFP10に対してログイン要求を送信する(図6も参照)。MFP10は、当該ログイン要求に応答して、個人認証データ(ログイン用認証情報)の送信をウエアラブル端末50に対して要求する(図6参照)。
【0079】
ウエアラブル端末50は、当該個人認証データの送信要求をMFP10から受信する(ステップS2)と、生体情報を取得する(ステップS3)とともに、当該生体情報を解析してユーザ(個人)を特定し、特定されたユーザの個人認証データをMFP10に送信する。
【0080】
より具体的には、個人認証データの送信要求に応じて、ステップS3において、ウエアラブル端末50は、脈波検出部57を用いて生体情報の検出処理(脈波検出処理等)を実行して、生体情報を取得する。そして、ステップS4において、ウエアラブル端末50は、ステップS3で取得された生体情報に基づく解析処理を実行する。たとえば、ウエアラブル端末50は、生体情報の検出結果(脈波パターン等)を格納部55内のユーザ登録テーブル内にて検索する。なお、ここでは、各ユーザの脈波パターン等が予め格納部55に格納されているものとする。当該検出結果に一致する脈波がユーザ登録テーブル内に予め格納されている旨が判定されると、ウエアラブル端末50は、当該一致する脈波に対応付けられて登録されているユーザ情報(ユーザID等)を抽出して、当該ユーザ(個人)を特定する。そして、ステップS5において、ウエアラブル端末50は、特定された当該ユーザのユーザ情報(ユーザID、およびパスワード)をMFP10に送信する。
【0081】
MFP10は、受信したユーザ情報に基づいて、ログイン認証処理を実行する。受信したユーザ情報とMFP10内に格納されている正規のユーザ情報とが一致するときには、MFP10は、当該ウエアラブル端末50を装着したユーザが正規のユーザである旨を判定し、当該ユーザのログインを許可する。そして、MFP10は、当該ログインを許可する旨の情報をウエアラブル端末50に送信し、ウエアラブル端末50は当該情報(「ログイン許可」)を受信する(ステップS6)。
【0082】
このような動作によれば、ユーザは、ウエアラブル端末50を装着した状態でMFP10の所定範囲(たとえば、半径数メートル以内の範囲)内にまでMFP10に近づくと、自動的にMFP10に対してログインすることが可能である。なお、以後、当該ウエアラブル端末50を装着したユーザがMFP10にログインした状態で、各種の処理が実行される。
【0083】
この実施形態では、ウエアラブル端末50は、ステップS6の処理の完了後においては、生態情報の検出処理に関する実行指示(MFP10からの実行指示)を待機する(ステップS11)。ウエアラブル端末50は、ステップS11にて生体情報の送信要求がMFP10から受信されるまでは、生体情報の検出処理を実行しない。
【0084】
その後、MFP10は、自装置で異常(紙詰まり等)が発生したことを検出すると、当該異常の発生に応答して、ユーザU1の生体情報の検出結果に関する情報(ここでは、当該生体情報に基づく解析結果であるユーザ状態情報(詳細には、ユーザU1の精神状態等))の送信要求をウエアラブル端末50に送信する(図6参照)。
【0085】
ウエアラブル端末50は、当該送信要求をMFP10から受信する(ステップS11)と、当該送信要求を受信した直後のタイミングをウエアラブル端末50による生体情報の検出タイミングとして決定して当該生体情報の検出処理を実行する(ステップS12)。具体的には、ウエアラブル端末50は、脈波検出部57を用いてユーザU1の生体情報(脈波等)を検出する。そして、ウエアラブル端末50は、当該生体情報の検出結果を解析して、ユーザU1の精神状態等を判定する(ステップS13)。具体的には、脈波検出部57によって検出された脈波のパターン等を分析することによって、ユーザU1の精神状態(平常状態/非平常状態)が取得される。ウエアラブル端末50は、生体情報の検出結果に関する情報(詳細には、ユーザU1の精神状態等)をMFP10へと送信する。たとえば、ユーザU1が緊張状態(「焦っている」状態)を有している旨がウエアラブル端末50からMFP10へと送信される。
【0086】
また、MFP10は、ウエアラブル端末50から受信した生体情報(詳細には、その解析結果)に基づき、MFP10にて発生中の異常への対処情報をユーザに提示する。具体的には、ユーザU1が平常状態を有していると判定される場合には、MFP10は、通常版(簡易版)のヘルプ画面(ガイダンス画面)を表示する。一方、ユーザU1が非平常状態を有していると判定される場合には、ユーザに安心感を与えるべく、MFP10は、詳細版のヘルプ画面(ガイダンス画面)を表示する。
【0087】
たとえば、「紙詰まり」異常が発生した場合において、ユーザU1の状態が平常状態であると判定されるときには、図7のようなヘルプ画面(通常版(簡易版)のヘルプ画面)がタッチパネル25に表示される。図7においては、MFP10の概略図にて紙詰まり箇所を端的に示すヘルプ画面が示されている。一方、「紙詰まり」異常が発生した場合において、ユーザU1の状態が非平常状態(「焦っている」状態等)であると判定されるときには、図8のようなヘルプ画面(詳細版のヘルプ画面)がタッチパネル25に表示される。図8のヘルプ画面においては、図7のヘルプ画面内の構造図よりも更に詳細な構造図を用いて紙詰まり箇所が示されるとともに、用紙の排出手順も説明されている。
【0088】
その後、ステップS11〜S14の処理は、当該処理を終了すべき旨がステップS15にて判定されるまで、繰り返し実行される。たとえば、ユーザU1がログアウト等するまで繰り返し実行される。
【0089】
以上のように、ウエアラブル端末50は、MFP10へのログイン後においては、MFP10における異常発生を条件として、ウエアラブル端末50による生体情報の検出処理を実行すべき旨を決定する。そして、生体情報の検出処理を実行すべき旨が決定されると、当該生体情報を検出する検出処理が実行される。したがって、ウエアラブル端末50と連携するMFP10(連携先装置)へのログイン後において、当該MFP10にて異常が発生していない場合には(たとえば、ログイン直後から異常発生までは)、ウエアラブル端末50による生体情報の検出処理が実行されないので、ウエアラブル端末50による生体情報の検出タイミングを減らすこと(抑制すること)が可能である。ひいては、ウエアラブル端末50の電力消費を抑制し、バッテリーの消耗を抑制することが可能である。
【0090】
また、生体情報の検出処理を実行すべき旨が連携先装置(MFP10)における異常発生を条件に決定されるので、連携先装置の状況を考慮し、生体情報の検出タイミングをより適切に決定することが可能である。
【0091】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0092】
上記第1実施形態においては、MFP10での最新の異常発生に応答して生体情報の検出結果に関する情報の最新の送信要求がMFP10からウエアラブル端末50へと送信されると、ウエアラブル端末50は直ちに生体情報を検出する。
【0093】
これに対して、この第2実施形態においては、ウエアラブル端末50は、MFP10における過去の異常発生に応答して(過去の送信要求の受信時に)検出された生体情報に関する情報を当該生体情報に関する履歴情報として格納部55に格納しておく。そして、ウエアラブル端末50は、MFP10で異常(最新の異常)が発生したことに応答して、生体情報の検出結果に関する情報の送信要求(最新の送信要求)をMFP10から受信すると、上述の履歴情報に基づき、当該最新の送信要求の受信時点でウエアラブル端末50による生体情報の検出を直ちに行うべきか否かを決定する。より詳細には、過去の異常発生時において対象ユーザが非平常状態を有していた場合には、ウエアラブル端末50は、当該ユーザの生体情報の検出を直ちに行うべき旨を決定する。一方、過去の異常発生時において対象るユーザが平常状態を有していた場合には、ウエアラブル端末50は、当該ユーザの生体情報の検出を行わない旨を決定する。これによれば、ウエアラブル端末50は、生体情報の検出処理を行うべき場面を減らすことが可能である。
【0094】
以下では、このような態様について、図9等を参照しながら詳細に説明する。図9は、第2実施形態に係る画像形成システム1(ウエアラブル端末50)における動作(一部)を示すフローチャートである。また、図10および図11は、第2実施形態に係る画像形成システム1における動作を示すシーケンス図である。なお、図4に示す動作は、第1実施形態と同様に第2実施形態においても行われる。その一方、第2実施形態においては、第1実施形態における図5の動作に代えて、図9の動作が実行される。
【0095】
まず、第1実施形態と同様に、図4に示すような動作が行われた後、或る時点でMFP10に異常が発生すると、MFP10は、生体情報の検出結果に関する情報の送信要求をウエアラブル端末50に送信する。また、MFP10は、MFP10にて発生した異常に関する情報(装置異常情報)をもウエアラブル端末50に送信する。
【0096】
ウエアラブル端末50は、当該送信要求および当該装置異常情報をMFP10から受信する(ステップS21)と、格納部55内に格納されている履歴情報を解析する。具体的には、ウエアラブル端末50は、MFP10での過去の異常発生時(たとえば前回の異常発生時)において或るユーザが非平常状態を有していたか否かを、履歴情報に基づいて判定する。より詳細には、現在発生している異常と同じ種類の異常がMFP10にて過去に発生したとき(ここでは前回発生したとき)に判定対象ユーザが平常状態を有していたか否か、が判定される。換言すれば、現在発生中の装置異常と同一種類の装置異常の発生時における判定対象ユーザの過去の精神状態等(前回の精神状態等)が判定される。
【0097】
そして、判定対象ユーザが過去の装置異常発生時(たとえば「紙詰まり」発生時)に平常状態を有していた旨が判定されない場合には、ステップS24,S25,S26の処理が実行される(図10参照)。詳細には、同一種類の異常時における判定対象ユーザが「非平常状態」を有していた旨が判定される場合、および同一種類の異常時における判定対象ユーザの状態の履歴情報が存在しない場合には、ステップS24,S25,S26の処理が実行される(図10参照)。
【0098】
具体的には、ウエアラブル端末50は、まず、生体情報の検出処理を実行し(ステップS24)、次に当該生体情報の検出結果を解析してユーザU1の状態(精神状態等)を判定する(ステップS25)。詳細には、脈波検出部57によって検出された脈波のパターン等を分析することによって、判定対象ユーザU1の状態(平常状態/非平常状態)等が取得される。そして、ウエアラブル端末50は、取得した生体情報(詳細には、ユーザU1の精神状態等)を、判定対象ユーザU1の履歴情報として格納部55に格納するとともに、当該生体情報をMFP10へと送信する(ステップS26)。たとえば、ユーザU1が緊張状態(「焦っている」状態)を有している旨等が、格納部55に格納されるとともにウエアラブル端末50からMFP10へと送信される。その後、ウエアラブル端末50は、ステップS21における待機状態へと遷移する。
【0099】
MFP10は、ユーザU1が緊張状態(「焦っている」状態)を有している旨等をウエアラブル端末50から受信すると、詳細版のヘルプ画面を表示する。これによれば、ユーザU1は、「紙詰まり」等の異常に対して、比較的安心して(落ち着いて)対処することが可能である。
【0100】
また、その後、再びMFP10にて装置異常(たとえば「紙詰まり」)が発生した際にも、図9の処理が実行される。具体的には、まず、ステップS21〜S23の処理が同様に行われる。
【0101】
前回と同様に、判定対象ユーザが過去の装置異常発生時(たとえば「紙詰まり」発生時)に平常状態を有していた旨が判定されない場合(たとえば、前回の同一種類の装置異常発生時にユーザU1が緊張状態(「焦っている」状態)を有していた旨等が、ステップS22の解析処理にて判定される場合)には、ステップS24,S25,S26の処理が実行される。なお、その際、ステップS24で取得された生体情報に基づいて判定対象ユーザが「平常状態」を有している旨が判定される場合には、その旨が格納部55に格納される(ステップS25,S26)。
【0102】
一方、判定対象ユーザが過去の装置異常発生時(たとえば「紙詰まり」発生時)に平常状態を有していた旨が判定される場合には、ステップS23からステップS27に進み、ウエアラブル端末50は、生体情報の検出を行わない旨を決定するとともに、生体情報の検出を行わない旨をMFP10に送信する(図11参照)。この場合には、ウエアラブル端末50は、生体情報の検出等(ステップS24,S25,S26)を行わない。これによれば、判定対象ユーザが過去の装置異常発生時(たとえば「紙詰まり」発生時)に平常状態を有していた旨が判定される場合には、今回も当該ユーザは平常状態を有している可能性が高い(同種の装置異常に慣れている)と判定され、ウエアラブル端末50による生体情報の検出処理は行われない。したがって、生体情報の検出処理を行うべき場面を更に抑制することが可能である。
【0103】
以上のように、MFP10へのログイン後において、MFP10にて異常が発生していない場合には、ウエアラブル端末50による生体情報の検出処理が実行されないので、生体情報の検出タイミングを抑制して電力消費を低減することが可能である。特に、MFP10にて異常が発生した場合でも、MFP10における過去の異常発生時にユーザが平常状態を有していた旨が履歴情報に基づいて判定されるときには、生体情報の検出を行わない旨が決定されるので、生体情報の検出タイミングを抑制して電力消費を低減することが可能である。
【0104】
<3.第3実施形態>
上記第1および第2実施形態においては、MFP10(連携先装置)にて異常が発生したことを条件として、ウエアラブル端末50による生体情報の検出処理を実行すべき旨が決定されている。
【0105】
この第3実施形態においては、MFP10(連携先装置)における異常発生の有無にかかわらず、ウエアラブル端末50による生体情報の検出タイミングが決定される。具体的には、ウエアラブル端末50を装着しているユーザ(生体情報の検出対象ユーザ)に関するMFP10の使用情報に応じて、当該ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度が決定される。ここでは、当該使用情報として、MFP10の使用回数、より詳細には、当該ユーザがMFP10にログインした回数(たとえば通算回数)を例示する。
【0106】
以下では、このような態様について、図12等を参照しながら詳細に説明する。図12は、第3実施形態に係る画像形成システム1(ウエアラブル端末50)における動作(一部)を示すフローチャートであり、図13は、第3実施形態に係る画像形成システム1における動作を示すシーケンス図である。なお、図4に示す動作は、第1実施形態と同様に第3実施形態においても行われる。その一方、第3実施形態においては、第1実施形態における図5の動作に代えて、図12の動作が実行される。
【0107】
まず、第1実施形態等と同様に、図4に示すような動作(ステップS1〜S6)が行われるとその直後に、ウエアラブル端末50は、当該ユーザのMFP10へのログイン回数(通算ログイン回数)を取得する(ステップS31(図12))。換言すれば、ユーザによるMFP10へのログイン時に、当該ユーザによるMFP10の使用情報が取得される。具体的には、当該ユーザのログイン回数の通知依頼がウエアラブル端末50からMFP10へと送信され、当該通知依頼に応答して、当該ユーザのログイン回数がMFP10からウエアラブル端末50へと送信される。なお、これに限定されず、MFP10からのログイン許可指令(ステップS6)に当該ログイン回数が含まれていてもよい。
【0108】
そして、ウエアラブル端末50は、取得された当該ログイン回数に基づいて、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度を決定する(ステップS32)。換言すれば、ウエアラブル端末50による生体情報の取得タイミングが決定される。
【0109】
具体的には、対象ユーザのMFP10に対するログイン回数(ステップS31で取得されたログイン回数)が所定値(数回〜数十回程度(たとえば、「5回」))よりも多い(大きい)場合には、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度が比較的低い値(低頻度)(たとえば、「60秒に1回」)に決定される。一方、対象ユーザのMFP10に対するログイン回数(ステップS31で取得されたログイン回数)が当該所定値よりも少ない(小さい)場合には、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度が比較的高い値(高頻度)(たとえば、「5秒に1回」)に決定される。
【0110】
以後、当該ユーザのMFP10へのログイン中において、ウエアラブル端末50は、ステップS32で決定された検出タイミング(検出頻度)で、ユーザの生体情報の検出処理を実行する。具体的には、ウエアラブル端末50は、生体情報の検出(取得)タイミングが到来するまで待機する(ステップS33)。たとえば、前回の検出時点から5秒あるいは60秒が経過するまで待機する。そして、生体情報の取得タイミング(検出タイミング)が到来したことが検出されると、ウエアラブル端末50は、ステップS34,S35,S36の処理を実行し、ステップS37の判定処理を経て再びステップS33の待機ループに戻る。このような処理を繰り返すことによって、ステップS32で決定された検出タイミング(検出頻度)で、ユーザの生体情報の検出処理が実行される。
【0111】
詳細には、ウエアラブル端末50は、所定値よりも多いログイン回数を有するユーザに関しては、当該ウエアラブル端末50による生体情報の検出を低頻度(たとえば、「60秒に1回」)で実行する。一方、ウエアラブル端末50は、所定値よりも少ないログイン回数を有するユーザに関しては、当該ウエアラブル端末50による生体情報の検出を高頻度(たとえば、「5秒に1回」)で実行する。
【0112】
所定値よりも少ないログイン回数を有するユーザは、装置の操作に未だ慣れていない可能性が高い。このようなユーザの精神状態等をより頻繁に確認することによれば、ユーザの精神状態等の変化を比較的早期に知得することが可能である。ひいては、より適切な対応を迅速に取ることが可能である。
【0113】
また、MFP10は、ウエアラブル端末50から生体情報の検出結果(ここでは解析結果)を受信すると、当該検出結果を利用した動作を実行する。
【0114】
たとえば、MFP10に異常が発生した場合には、異常発生時に表示され得る上述のような2段階のヘルプ画面(通常版のヘルプ画面、および詳細版のヘルプ画面)のうちの一方のヘルプ画面が、ユーザU1の状態(精神状態等)に基づいて表示される(第1および第2実施形態参照)。すなわち、当該2段階のヘルプ画面のうちユーザU1の状態に対応するヘルプ画面が表示される。あるいは、異常発生時以外のヘルプ画面に関しても、同様に、ユーザU1の状態(精神状態等)に応じたヘルプ画面が表示されるようにしてもよい。あるいは、ユーザU1の状態として「非平常状態」が検出されると、MFP10は、「非平常状態」(たとえば「疲れている」状態)が検出された旨の電子メール(「健康管理メール」)を当該ユーザU1のメールアドレス宛に送信するようにしてもよい。このように、ユーザU1の状態に応じたユーザサポート処理が行われ得る。
【0115】
以上のような動作によれば、生体情報の検出対象ユーザによる連携先装置(MFP10)の使用情報が取得され、当該使用情報に基づいて生体情報の検出頻度が決定されるので、生体情報の検出頻度を適切に抑えることが可能であり、電力消費を低減することが可能である。より詳細には、MFP10へのログイン回数が所定値よりも大きなユーザ、換言すれば、MFP10に比較的慣れているユーザに関しては、第1の検出頻度よりも低い頻度の第2の検出頻度が生体情報の検出頻度として決定されるので、生体情報の検出頻度を適切に抑えることが可能であり、電力消費を低減することが可能である。また特に、生体情報の検出頻度が対象ユーザによる連携先装置の使用情報(連携先装置へのログイン回数)に基づいて決定されるので、ユーザと連携先装置との関係性をも考慮して、生体情報に関する効率的な検出頻度が決定される。換言すれば、連携先装置へのユーザのログイン回数を考慮した効率的な検出頻度を決定することが可能である。
【0116】
なお、ここでは、過去の異常発生時として、前回の異常発生時を例示しているが、これに限定されない。たとえば、過去の異常発生時は、前々回の異常発生時であってもよい。あるいは、過去の異常発生時は、前回を含む数回の異常発生時であってもよい。この場合には、過去の異常発生時にユーザが平常状態を有していたか否かは、当該数回の異常発生時におけるユーザの平均的な状態に基づいて判定されればよい。
【0117】
<4.第4実施形態>
第4実施形態は、第3実施形態の変形例である。以下、第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0118】
上記第3実施形態においては、MFP10にログイン中のユーザが当該MFP10にログインした回数(ログイン履歴情報)に基づいて、当該MFP10にログイン中のユーザに関する生体情報の検出頻度が決定されている。
【0119】
この第4実施形態においては、MFP10にログイン中のユーザ(生体情報の検出対象ユーザ)によるMFP10の1日あたりの平均使用回数、当該ユーザによる当日のMFP10の使用回数(当日使用回数)、およびウエアラブル端末50の電池残量に関する情報(残量情報)等が取得される。そして、これらの情報等に基づいて、当該MFP10にログイン中のユーザに関する生体情報の検出頻度が決定される。
【0120】
以下では、このような態様について、図14等を参照しながら詳細に説明する。図14は、第4実施形態に係る画像形成システム1(ウエアラブル端末50)における動作(一部)を示すフローチャートであり、図15は、第4実施形態に係る画像形成システム1における動作を示すシーケンス図である。なお、図4に示す動作は、第1実施形態と同様に第4実施形態においても行われる。その一方、第4実施形態においては、第1実施形態における図5の動作に代えて、図14の動作が実行される。
【0121】
まず、第1実施形態等と同様に、図4に示すような動作(ステップS1〜S6)が行われると、その直後に、ウエアラブル端末50は、MFP10にログイン中のユーザによるMFP10への1日あたりの平均ログイン回数(平均使用回数)と、当該ユーザによるMFP10への当日のログイン回数(当日使用回数)(より詳細には、完了済みログインの回数)とを取得する(ステップS41(図14))。具体的には、当該ユーザに関するMFP10の使用情報の通知依頼をウエアラブル端末50からMFP10へと送信し、当該通知依頼に応答して、対応情報が返信される。詳細には、当該ユーザに関するMFP10の平均使用回数(回/日)、当該ユーザに関するMFP10の当日使用回数、および当該ユーザに関するログイン1回あたりの平均使用時間等が、当該対応情報としてMFP10からウエアラブル端末50へと送信され、ウエアラブル端末50はこれらの情報を取得する。
【0122】
また、ウエアラブル端末50は、ウエアラブル端末50自身の電池残量に関する情報(残量情報)をも取得する。たとえば、ウエアラブル端末50の電池の残容量が全容量(満充電時の蓄電容量)の20%であることなどが取得される。
【0123】
なお、これに限定されず、MFP10からのログイン許可指令(ステップS6)に、これらの情報が含まれていてもよい。
【0124】
そして、ウエアラブル端末50は、取得された各種の情報等に基づいて、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度を決定する(ステップS42)。具体的には、ウエアラブル端末50は、当日の利用中にその電池残量がゼロにならないような検出頻度を決定する。
【0125】
具体的には、当該ユーザに関するMFP10の使用情報(平均使用回数(ログイン回数回/日)、当日使用回数、およびログイン1回あたりの平均使用時間等)に基づいて、本日の残使用回数(推定値)を算出する。たとえば、或るユーザU1のMFP10に対する1日の平均ログイン回数が10回であり、且つ、当該ユーザU1が当日中において現時点までに既に3回ログインしている(今回のログインが4回目のログインである)場合には、当該ユーザU1による本日の残使用回数(残ログイン回数)(推定値)は「7回」(=10−3)として算出される。さらに、当該ユーザに関するログイン1回あたりの平均使用時間が「5分」であるときには、当該ユーザによる当日中の残使用時間(MFP10を使用する残り時間)は、「35分(2100秒)」(=5分×7回)であると推定される。なお、当該ユーザに関するログイン1回あたりの平均使用時間は、予め格納部55に格納されてもよく、あるいは、ステップS41にて他の情報とともに取得されてもよい。
【0126】
そして、本日の残使用回数の使用中にウエアラブル端末50の電池切れが発生しないように、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度がウエアラブル端末50自身によって決定される。
【0127】
ウエアラブル端末50は、ウエアラブル端末50の電池残量を取得すると、当該電池残量から余裕量(たとえば10%)を差し引いた値を、ウエアラブル端末50の使用可能残量として算出する。たとえば、全容量(満充電時の蓄電容量)の80%が電池残量として取得された場合には、当該80%から10%を差し引いた値(70%)が、ウエアラブル端末50の使用可能残量として算出される。より詳細には、当該70%を電力量に換算した値が、使用可能残量P1として算出される。
【0128】
さらに、生体情報に関する1回の検出処理で消費される電力量(所定値)P2にも基づいて、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度が決定される。具体的には、検出可能回数は、値P1を値P2で除した値(P1/P2)として算出される。たとえば、検出可能回数(P1/P2)は、「700回」として算出される。なお、値P2は、予め格納部55に格納されてもよく、あるいは、ステップS41にて他の情報とともに取得されてもよい。
【0129】
そして、ユーザによる当日中の残使用時間(「35分(2100秒)」)で当該検出可能回数を除することによって、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度が算出される。
【0130】
たとえば、検出頻度は、700回/2100秒=1回/3秒、すなわち、「3秒に1回」に決定される。なお、これに限定されず、検出頻度には上限値が設定されるようにしてもよい。たとえば、所定値「5秒に1回計測」を最大頻度とし、最大頻度よりも高い頻度の値が算出された場合には、当該所定値(最大頻度)が検出頻度として決定されるようにしてもよい。
【0131】
あるいは、使用可能残量が全容量の10%にまで既に低減されている場合において、検出可能回数(P1/P2)が「100回」であるときには、当該検出頻度は、100回/2100秒=1回/21秒、すなわち、「21秒に1回」に決定される。
【0132】
このようにして、ウエアラブル端末50は、本日の残使用回数の使用中にウエアラブル端末50の電池切れが発生しないように、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度を決定する。より詳細には、「残ログイン回数」(平均ログイン回数から当日ログイン回数を差し引いた回数)の使用によって生体情報検出装置の電池残量が枯渇しないような値が、生体情報の検出頻度として決定される。
【0133】
以後、当該ユーザのMFP10へのログイン中において、ウエアラブル端末50は、ステップS42で決定された検出タイミング(検出頻度)で、ユーザの生体情報の検出処理を実行する。
【0134】
具体的には、ウエアラブル端末50は、生体情報の検出(取得)タイミングが到来するまで待機する(ステップS43)。そして、生体情報の取得タイミング(検出タイミング)が到来したことが検出されると、ウエアラブル端末50は、ステップS44,S45,S46の処理を実行し、ステップS47の判定処理を経て再びステップS43の待機ループに戻る。このような処理を繰り返すことによって、ステップS42で決定された検出タイミング(検出頻度)で、ユーザの生体情報の検出処理が実行される。
【0135】
また、MFP10は、ウエアラブル端末50から生体情報の検出結果(ここでは解析結果)を受信すると、当該検出結果を利用した動作を実行する。
【0136】
以上のような動作によれば、生体情報の検出対象ユーザによる連携先装置の使用情報が取得され、当該使用情報に基づいて生体情報の検出頻度が決定されるので、生体情報の検出頻度を適切に抑えることが可能であり、電力消費を低減することが可能である。より詳細には、平均ログイン回数と当日ログイン回数と残量情報とに基づいて、残ログイン回数(平均ログイン回数から当日ログイン回数を差し引いたログイン回数)の使用によって生体情報検出装置の電池残量が枯渇しないような頻度が、生体情報の検出頻度として決定されるので、生体情報の検出頻度を適切に抑えることが可能である。特に、電池残量が少なくなったときには、生体情報の検出頻度を抑制し、電力消費を適切に低減することが可能である。
【0137】
また、生体情報の検出頻度が対象ユーザによる連携先装置の使用情報(平均ログイン回数および当日ログイン回数等)に基づいて決定されるので、ユーザと連携先装置との関係性をも考慮して、生体情報に関する効率的な検出頻度が決定される。換言すれば、連携先装置へのユーザのログイン情報を考慮した効率的な検出頻度を決定することが可能である。
【0138】
<5.第5実施形態>
第5実施形態は、第3実施形態および第4実施形態の変形例である。
【0139】
上記第3実施形態および第4実施形態においては、MFP10へのログイン時にログインユーザによるMFP10の使用情報が取得され、当該使用情報に基づいて、当該MFP10にログイン中のユーザに関する生体情報の検出頻度が決定されている。
【0140】
この第5実施形態においては、MFP10へのログイン時におけるユーザの生体情報(以下、ログイン時生体情報とも称する)を一旦検出し、当該ログイン時生体情報に基づいて、当該ログイン期間中の以後の検出頻度(生体情報の検出頻度)が決定される。
【0141】
以下では、このような態様について、図16等を参照しながら詳細に説明する。図16および図17は、第5実施形態に係る画像形成システム1(ウエアラブル端末50)における動作を示すフローチャートであり、図18は、第5実施形態に係る画像形成システム1における動作を示すシーケンス図である。
【0142】
まず、図16に示すような動作(ステップS1〜S6)が行われる。なお、図16の動作は、図4の動作と同様である。ただし、ステップS4(S4E)においては、ウエアラブル端末50は、ステップS3で取得した生体情報を解析して、ユーザの状態(精神状態等)をも検出する。
【0143】
ステップS6の直後のステップS51(図17)において、ウエアラブル端末50は、ステップS4Eで取得された当該精神状態等に基づいて、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度を決定する。
【0144】
具体的には、対象ユーザが平常状態を有している場合には、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度が比較的低い値(低頻度)(たとえば、「60秒に1回」)に決定される。一方、対象ユーザが非平常状態を有している場合には、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度が比較的高い値(高頻度)(たとえば、「5秒に1回」)に決定される。
【0145】
以後、当該ユーザのMFP10へのログイン中において、ウエアラブル端末50は、ステップS51で決定された検出タイミング(検出頻度)で、ユーザの生体情報の検出処理を実行する。
【0146】
具体的には、ウエアラブル端末50は、ステップS52の判定処理(後述)を経た後、生体情報の検出(取得)タイミングが到来するまで待機する(ステップS53)。そして、生体情報の取得タイミング(検出タイミング)が到来したことが検出されると、ウエアラブル端末50は、ステップS54,S55,S56の処理を実行し、ステップS57およびステップS52を経由してステップS53の待機ループに戻る。このような処理を繰り返すことによって、ステップS51で決定された検出タイミング(検出頻度)で、ユーザの生体情報の検出処理が実行される。
【0147】
詳細には、ウエアラブル端末50は、「平常状態」のユーザに関しては、当該ウエアラブル端末50による生体情報の検出を低頻度(たとえば、「60秒に1回」)で実行する。一方、ウエアラブル端末50は、「非平常状態」のユーザに関しては、当該ウエアラブル端末50による生体情報の検出を高頻度(たとえば、「5秒に1回」)で実行する。
【0148】
これによれば、ログインしたユーザが「非平常状態」を有する場合、当該ユーザの状態(精神状態等)をより頻繁に確認することによって、ユーザ状態の変化を比較的早期に知得することが可能である。ひいては、より適切な対応を迅速に取ることが可能である。
【0149】
また、ステップS52においては、ユーザ状態に関する直前(前回)のステップS55での解析結果とその前(前々回)のステップS55での解析結果とを比較し、ユーザ状態に関する変化の存否を判定する。たとえば、直前(前回)の解析結果は「非平常状態」であり且つ前々回の解析結果は「平常状態」である場合には、ユーザ状態が変化した旨(より詳細には、ユーザ状態が「平常状態」から「非平常状態」へと変化した旨)が判定される。あるいは、直前の解析結果は「平常状態」であり且つ前々回の解析結果は「非平常状態」である場合には、ユーザ状態が変化した旨(より詳細には、ユーザ状態が「非平常状態」から「平常状態」へと変化した旨)が判定される。
【0150】
ユーザ状態が変化していない旨が判定されると、(上述のように)ステップS52からステップS53に進み、ウエアラブル端末50は、生体情報の取得タイミングの到来を待機する。
【0151】
一方、ユーザ状態が変化した旨が判定されると、ステップS52からステップS58に進み、以後の検出頻度の再決定処理(ステップS58)が実行される。たとえば、ユーザ状態が「平常状態」から「非平常状態」へと変化した旨がステップS52で判定される場合には、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度(以後の検出頻度)が「高頻度」に決定(更新)される(ステップS58)。その後、ステップS58からステップS53以降に進み、再決定された検出頻度(新たな検出頻度)で、ウエアラブル端末50による生体情報の検出処理が実行される。具体的には、ステップS53の待機ループにて調整されたタイミングで、ステップS54〜S56の処理が実行されることによって、ウエアラブル端末50による生体情報の検出処理が再決定後の検出頻度(新たな検出頻度)で実行される。
【0152】
以上の動作によれば、ウエアラブル端末50は、MFP10へのログイン時におけるユーザの生体情報(ログイン時生体情報)を検出し、当該ログイン時生体情報に基づいて、ログイン中の生体情報の検出頻度を決定し、決定された検出頻度で生体情報を検出する。より詳細には、ユーザが平常状態を有する旨がログイン時生体情報に基づいて判定される場合には、生体情報の検出頻度として「低頻度」が決定される。したがって、効率的に生体情報を取得して電力消費を低減することが可能である。また、生体情報の検出頻度がログイン時生体情報に基づいて決定されるので、ユーザと連携先装置との関係性をも考慮して、生体情報が効率的に取得される。
【0153】
また、ウエアラブル端末50は、MFP10へのログイン時以後の2つの時点(たとえば、ログイン時とログイン中の一の時点との2つの時点、あるいは、ログイン中の一の時点とログイン中の他の時点との2つの時点等)におけるユーザの各生体情報を検出する。ウエアラブル端末50は、当該2つの時点で検出された各生体情報(2つの生体情報)に基づいてユーザ状態が変化した旨が判定されると、当該2つの生体情報(特に後の時点で取得された生体情報(最新の生体情報))に基づいて以後の検出頻度(ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度)を改めて決定(更新)する。以後、ウエアラブル端末50は、決定(更新)された当該検出頻度で生体情報を検出する。したがって、ユーザ状態の変化に応じて、生体情報の検出頻度をきめ細やかに変更することが可能である。
【0154】
なお、ここでは、ログイン時生体情報に基づいて決定された検出頻度が、ステップS52,S58にて改めて決定されているが、これに限定されない。他の手法によって一旦決定された検出頻度が、ステップS52,S58と同様の手法によって改めて決定されてもよい。たとえば、第3実施形態と同様にしてユーザの使用情報(ユーザのログイン回数)に応じて先ず検出頻度が一旦決定され、当該検出頻度に従ってウエアラブル端末50による生体情報の検出処理が随時実行され、当該検出処理にて検出された生体情報に基づいて、ウエアラブル端末50による生体情報の検出頻度が再び決定(更新)されるようにしてもよい。
【0155】
<6.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0156】
たとえば、上記各実施形態においては、生体情報の解析処理がウエアラブル端末50(生体情報検出装置自身)によって実行されているが、これに限定されない。ウエアラブル端末50で検出された生体情報(脈波等)は、他の解析用装置(MFP10あるいはサーバ80等)によって解析されるようにしてもよい。この場合、たとえば第1実施形態および第2実施形態に関しては、生体情報の検出結果に関する情報の送信要求(ステップS11,S21等参照)として、生体情報自体の送信要求が、ウエアラブル端末50の制御装置(MFP10等)からウエアラブル端末50へと送信されればよい。ウエアラブル端末50は、当該送信要求に応じて生体情報を検出し、その検出結果に係るデータを当該解析用装置(MFP10あるいはサーバ80等)に送信する。当該解析用装置は、当該データに基づく解析処理(ステップS13,S23の解析処理と同様の処理)を実行し、当該解析処理の処理結果(解析結果)を、当該解析結果を利用する装置(ウエアラブル端末50あるいはMFP10等)に送信すればよい。
【0157】
また、上記各実施形態においては、ウエアラブル端末50(生体情報検出装置)による生体情報の検出タイミングが当該ウエアラブル端末50にて決定されているが、これに限定されない。
【0158】
具体的には、MFP10あるいはサーバ80等がウエアラブル端末50の制御装置として機能するとともに、ウエアラブル端末50による生体情報の検出タイミング(検出頻度等)の決定処理が当該制御装置によって行われるようにしてもよい。
【0159】
たとえば、ステップS32,S42,S51,S58の各決定処理が当該制御装置(MFP10あるいはサーバ80等)で実行されるように、第3〜第5実施形態をそれぞれ改変するようにしてもよい。なお、各決定処理で利用される情報の取得処理(ステップS31,S41,S4E等)も、当該制御装置によって実行されればよい。また、当該制御装置(MFP10あるいはサーバ80等)は、決定された検出タイミング(検出頻度等)をウエアラブル端末50に通知すればよい。
【0160】
あるいは、第1実施形態および第2実施形態をそれぞれ改変して、MFP10の異常発生時に当該異常発生がMFP10からウエアラブル端末50の制御装置(サーバ80あるいはMFP10自身等)に報知され、ステップS11,S21,S23での各決定処理が当該制御装置(MFP10あるいはサーバ80等)で実行されてもよい。そして、決定結果に基づき、生体情報の送信要求(生体情報の検出指令とも表現される)が当該制御装置からウエアラブル端末50へと送信(通知)されるようにしてもよい。
【0161】
また、上記各実施形態においては、ユーザ認証処理(ログイン認証処理)がMFP10にて実行されているが、これに限定されず、その他の装置(外部サーバ80等)によって当該ユーザ認証処理が実行されてもよい。
【0162】
また、上記各実施形態においては、ウエアラブル端末50の連携先装置として画像形成装置(MFP10)が例示されているが、これに限定されない。連携先装置は、その他の各種の装置(電子制御装置等)であってもよい。
【符号の説明】
【0163】
1 画像形成システム
10 MFP(画像形成装置)
50 ウエアラブル端末
58 バッテリ
80 サーバコンピュータ
108 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18