(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
A.第1実施例:
図1は、一実施例としての給電装置を示す説明図である。
図1(A)は、給電装置100の斜視図を示している。給電装置100は、スマートフォンやタブレットコンピュータなどの電子機器に電力を供給する装置である。図中の方向DU、DD、DR、DL、DF、DBを示す矢印は、給電装置100の台座部110の向きを示している。本実施例では、給電装置100は、前面方向DFに垂直な略矩形の平板状の台座部110と、台座部110の左方向DL側の縁部分に固定された壁部150と、を含んでいる。台座部110と壁部150とは、例えば、樹脂で形成されている。図中において、左方向DLと、左方向DLの反対の右方向DRとは、略矩形の台座部110の短辺に平行な方向であり、前面方向DFに垂直である。下方向DDと、下方向DDに反対の上方向DUとは、略矩形の台座部110の長辺に平行な方向であり、前面方向DFと左方向DLとに垂直である。背面方向DBは、前面方向DFに反対の方向である。
図1(B)は、給電装置100の背面方向DB側の面を示し、
図1(C)は、給電装置100の左方向DL側の面を示し、
図1(D)は、給電装置100の前面方向DF側の面を示し、
図1(E)は、給電装置100の上方向DU側の面を示している。
【0027】
台座部110は、台座部110の外面を形成する外壁119を備えている。
図1(B)、
図1(E)に示すように、外壁119のうち、台座部110の背面方向DB側の面である背面112を形成する部分は、給電装置100を持ちやすくするための凹部115を形成している(ただし、凹部115が、省略されてもよい)。また、
図1(A)に示すように、外壁119に囲まれた空間内には、充電可能なバッテリ210と、給電回路220と、充電回路240と、が収容されている。
図2は、給電装置100の電気的な構成を示すブロック図である。給電装置100は、バッテリ210と、バッテリ210に接続された給電回路220および充電回路240と、給電回路220に接続された給電スイッチ225と、給電接続部230と、給電接続部230と給電回路220とを接続するケーブル232と、充電回路240に接続された表示部245および充電接続部250と、を備えている。
【0028】
給電接続部230は、図示しない電子機器の充電用のレセプタクルに接続されるプラグである(例えば、USBのマイクロBのプラグ、または、タイプCのプラグ)。
図1(C)に示すように、給電装置100の左方向DL側の面である左面103には、右方向DRに向かって凹んだ凹部105が形成されている。ケーブル232の一部と給電接続部230とは、この凹部105内に嵌め込まれている。給電接続部230は、凹部105から引き出されて、電子機器に接続される。給電スイッチ225(
図2)は、電子機器への給電を開始するためのスイッチである。給電回路220は、ユーザによって給電スイッチ225が押されたことに応じて、バッテリ210からの電力を用いて、ケーブル232と給電接続部230とを通じて、所定の出力電圧で、電力を電子機器に供給する。このような給電回路220の構成としては、公知の種々の構成を採用可能である(例えば、DC−DCコンバータを含む構成)。
図1(A)、
図1(D)に示すように、給電スイッチ225は、壁部150の前面方向DF側の面である前面151に設けられている。なお、給電接続部230は、給電装置100と電子機器とを接続するケーブルのプラグを受け入れるレセプタクルであってもよい。
【0029】
充電接続部250(
図2)は、給電装置100に所定の入力電圧で電力を供給する装置(例えば、ACアダプタ)と、給電装置100とを、接続するケーブルのプラグを受け入れるレセプタクルである(例えば、USBのマイクロBのレセプタクル、または、タイプCのレセプタクル)。充電回路240は、充電接続部250に所定電圧で電力が供給されたことに応じて、供給された電力を用いてバッテリ210を充電する。このような充電回路240の構成としては、公知の種々の構成を採用可能である(例えば、DC−DCコンバータを含む構成)。
図1(C)に示すように、充電接続部250は、給電装置100の左面103に設けられている。表示部245(
図2)は、バッテリ210の残量を示す複数のLED(発光ダイオード)を含んでいる。点灯しているLEDの総数が多いほど、残量が多い。本実施例では、充電回路240が、表示部245を制御している。ただし、給電回路220が表示部245を制御してもよい。
図1(A)、
図1(D)に示すように、表示部245は、壁部150の前面151に設けられている。
【0030】
壁部150は、
図1(A)、
図1(E)に示すように、台座部110の前面方向DF側の面である台座面111から前面方向DF側に突出しており、台座面111の上方向DU側の端部から下方向DD側の端部まで延びる略直方体の壁部である。壁部150は、壁部150の右方向DR側の面である右面154に固定された滑り止め部300を含んでいる。後述するように、滑り止め部300には、電子機器が接触する。滑り止め部300は、例えば、シリコーンで形成されている。
【0031】
図3は、給電装置100の使用状態の例を示す説明図である。
図3(A)、
図3(B)は、給電装置100に対する電子機器900の配置の例を示している。
図3(A)は、斜視図であり、
図3(B)は、下方向DDを向いて見た装置100、900を示している。この電子機器900は、例えば、スマートフォンである。本実施例では、電子機器900の外形は、略直方体であり、具体的には、角が丸められた平板形状である。電子機器900の2つの大きな略矩形状の面のうちの1つの面901(「前面901」とも呼ぶ)には、画像を表示するためのディスプレイ910と、ボタン920と、が設けられている。電子機器900の反対側の面902(「背面902」とも呼ぶ)は、台座部110の台座面111上に載っている。
【0032】
図3(C)は、ユーザが、
図3(A)、
図3(B)のように配置された給電装置100と電子機器900とを手に持った状態の例を示す概略図である。図中には、背面方向DBを向いて見た給電装置100と電子機器900と手とが示されている。図中の周縁部990は、台座面111に対する平面視において(すなわち、台座面111に垂直な方向(例えば、背面方向DB)を向いて見た場合に)、電子機器900の縁を形成する部分である。電子機器900の外形は、角が丸められた略直方体であるので、周縁部990は、
図3(C)に示すように、4個の辺部991、992、993、994と、4個の角部995、996、997、998と、で構成されている。周縁部990のうちの壁部150側の辺部993は、壁部150の滑り止め部300に接触している。給電装置100の給電接続部230は、電子機器900のレセプタクル980に接続されている。このように、電子機器900は、台座部110の前面方向DF側に重ねられ、そして、電子機器900の周縁部990の辺部993は、壁部150に支えられる。
【0033】
図3(C)の例では、ユーザは、重ねられた給電装置100と電子機器900とを、片手で持っている。手の平は、給電装置100(ここでは、台座部110)の背面112を支えている。指は、給電装置100の左方向DL側の左面103と、電子機器900の周縁部990のうちの右方向DR側の辺部994と、に接触した状態で、給電装置100と電子機器900とを掴んでいる。これにより、電子機器900は、背面902が台座部110の台座面111に支持された状態で、壁部150の右面154に押しつけられる。給電装置100に対する電子機器900の背面方向DBの相対位置は、台座部110によって決まり、左方向DLの相対位置は、壁部150によって決まる。壁部150の右面154(滑り止め部300を含む)は、下方向DDに沿って延びており、下方向DDの位置が互いに異なる複数の位置で、電子機器900に接触している。この結果、給電装置100と電子機器900とを手で持つ場合に、給電装置100と電子機器900との相対的な位置関係を、安定化できる。
【0034】
また、壁部150のうちの電子機器900の周縁部990に接する部分の一部には、滑り止め部300が設けられている。従って、壁部150に対して電子機器900が滑ることが抑制される。この結果、給電装置100と電子機器900とを手で持つ場合の安定性を、更に、向上できる。
【0035】
また、壁部150は、給電装置100のバッテリ210の残量を表す表示部245と、給電装置100の給電回路220を制御するための給電スイッチ225と、を有している。従って、ユーザは、台座部110の台座面111が電子機器900に隠れている場合であっても、充電レベルを確認でき、また、給電を制御できる。
【0036】
図3(D)は、同じ給電装置100と、電子機器の別の機種と、を用いる場合を示している。図中には、
図3(C)と同様に、給電装置100と電子機器900aとを手に持った状態の例が示されている。この電子機器900aの外形は、略直方体であり、角が丸められた平板形状である。また、電子機器900aは、
図3(C)の電子機器900と比べて小さく、また、電子機器900aの長辺と短辺との比率は、電子機器900の長辺と短辺との比率と異なっている。このように大きさと形とが異なる電子機器900aを用いる場合にも、
図3(C)の例と同様に、ユーザは、台座部110の台座面111上に電子機器900aを重ね、電子機器900aの周縁部990aのうち左方向DL側の辺部993aを壁部150の右面154に接触させることによって、安定的に給電装置100と電子機器900aとを持つことができる。このように、給電装置100の壁部150は、台座部110の一方向側(ここでは、左方向DL側)の部分のみに設けられている。これにより、壁部150は、大きさと形状が異なる電子機器900、900aを台座部110の台座面111上に配置する場合に、電子機器900、900aの周縁部990、990aのうち、1個の辺部993、993aのみに接触する。この結果、電子機器と給電装置100とを手で持つ場合に、電子機器と給電装置100との相対的な位置関係を、電子機器の機種に拘わらずに、安定化できる。
【0037】
B.第2実施例:
図4は、第2実施例の給電装置100aの概略図である。図中には、
図1(A)と同様の斜視図が示されている。
図1(A)の給電装置100との差異は、台座部110の下方向DD側の部分に、第2壁部190が設けられている点だけである。第2壁部190は、台座部110の台座面111から前面方向DF側に突出する略直方体の壁部である。給電装置100aの他の部分の構成は、第1実施例の給電装置100の対応する部分の構成と同じである(対応する要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。以下、壁部150を、第1壁部150とも呼ぶ。
【0038】
図中の点線で示される四角形は、電子機器900を簡略化して示したものである。第2実施例では、電子機器900が台座部110の台座面111上に載った状態で、左方向DLの辺部993が、第1壁部150の右面154に接触し、さらに、下方向DDの辺部992が、第2壁部190の上方向DU側の面に接触する。このように、壁部150、190は、周縁部990のうちの1個の角部997を介して接続された2個の辺部993、992に接触するように、構成されている。給電装置100aに対する電子機器900の背面方向DBの相対位置は、台座部110によって決まり、左方向DLの相対位置は、第1壁部150によって決まり、下方向DDの相対位置は、第2壁部190によって決まる。このように、3つの方向の相対位置が決まるので、給電装置100aと電子機器900とを手で持つ場合に、給電装置100aと電子機器900との相対的な位置関係を、安定化できる。
【0039】
なお、
図3(D)の電子機器900aのように、電子機器900と大きさと形とが異なる電子機器を用いる場合にも、
図4の例と同様に、ユーザは、電子機器900aの背面と2個の辺部とを、台座部110と壁部150、190とに接触させることによって、安定的に給電装置100aと電子機器900aとを持つことができる。
【0040】
このように、給電装置100aの壁部150、190は、台座部110の一方向側(ここでは、左方向DL側)の部分と、その方向に直交する方向側(ここでは、下方向DD側)の部分と、のみに設けられている。これにより、壁部150、190は、大きさと形状が互いに異なる電子機器900または電子機器900aを台座部110の台座面111上に配置する場合に、電子機器900、900aのそれぞれの周縁部990、990aのうち、1個の角部997を介して互いに接続された2個の辺部993、992、または、1個の角部997aを介して互いに接続された2個の辺部993a、992aのみに接触する。この結果、電子機器と給電装置100aとを手で持つ場合に、電子機器と給電装置100aとの相対的な位置関係を、電子機器の機種に拘わらずに、安定化できる。
【0041】
C.第3実施例:
図5は、第3実施例の給電装置100bの概略図である。この給電装置100bは、台座部110bと壁部150bとを有している。
図1(A)の第1実施例とは異なり、壁部150bは、台座部110bに対して、着脱可能である。
図5(A)は、壁部150bと台座部110bとが分離した状態を示す斜視図である。図中の方向DU、DD、DR、DL、DF、DBを示す矢印は、台座部110bの向きを示している。壁部150bに関しては、背面方向DB側の面を示す斜視図(別の方向から見た斜視図)が示されている。壁部150bは、一部の角が丸められた略直方体の棒状の部材である。
図1(A)の壁部150とは異なり、壁部150bの長さは、台座部110bの下方向DDに平行な方向の長さよりも短く、また、台座部110bの右方向DRに平行な方向の長さよりも短い。壁部150bの背面方向DB側の面には、背面方向DBに向かって突出する2個の突出部159が設けられている。2個の突出部159は、壁部150bの長手方向に沿って並ぶように、配置されている。壁部150bの右面154bには、滑り止め部300が設けられている。
【0042】
台座部110bの台座面111bには、壁部150bを着脱可能に取り付けるための背面方向DBに向かって凹んだ2個の第1凹部113と2個の第2凹部114とが形成されている。2個の第1凹部113は、台座面111b上の左方向DL側の縁の近くに、縁に沿って並ぶように(すなわち、下方向DDに沿って並ぶように)配置されている。2個の第2凹部114は、台座面111bの下方向DD側の縁の近くに、縁に沿って並ぶように(すなわち、右方向DRに沿って並ぶように)配置されている。壁部150bの2個の突出部159は、2個の第1凹部113に嵌めることができ、また、2個の第2凹部114に嵌めることもできる。このように、2個の第1凹部113と2個の第2凹部114とは、それぞれ、壁部150bを着脱可能に取り付けるための取り付け部の例である、ということができる。
【0043】
なお、本実施例では、給電接続部230bと充電接続部250と給電スイッチ225と表示部245とは、台座部110bに設けられている。給電接続部230bは、給電装置100bと電子機器とを接続するケーブルのプラグを受け入れるレセプタクルである。給電接続部230bと充電接続部250とは、台座部110bの下方向DD側の面に設けられている。給電スイッチ225と表示部245とは、台座部110bの台座面111b上に設けられている。給電スイッチ225と表示部245との位置は、台座部110bに壁部150bが取り付けられた場合に壁部150bに隠れない位置に、設けられている。給電装置100bの電気的な構成は、
図2の構成と同じである。また、給電装置100bの他の部分の構成は、第1実施例の給電装置100の対応する部分の構成と同じである(対応する要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
【0044】
図5(B)は、壁部150bの2個の突出部159を、台座部110bの2個の第1凹部113に嵌めた状態を示す斜視図である。この状態で、壁部150bは、台座面111bの左方向DL側の縁部分に固定されており、台座面111bから前面方向DF側に突出している。壁部150bは、下方向DDに沿って、すなわち、台座部110bの長辺に平行な方向に沿って、延びている。図中の点線で示される四角形は、電子機器900を簡略化して示したものである。給電装置100bの給電接続部230bと電子機器900とは、ケーブル232xで接続されている。
図5(B)の状態では、電子機器900が台座部110bの台座面111b上に載った状態で、電子機器900の左方向DL側の辺部993が、壁部150bの右面154bに接触する。この状態は、
図3(A)、
図3(B)で説明した状態と同じである。ユーザは、
図3(C)のように給電装置100bと電子機器900とを手に持つことができる。この結果、第3実施例では、第1実施例と同様に、給電装置100bと電子機器900とを手で持つ場合に、給電装置100bと電子機器900との相対的な位置関係を、安定化できる。
【0045】
図5(C)は、壁部150bの2個の突出部159を、台座部110bの2個の第2凹部114に嵌めた状態を示す斜視図である。この状態で、壁部150bは、台座面111bの下方向DD側の縁部分に固定されており、台座面111bから前面方向DF側に突出している。壁部150bは、右方向DRに沿って、すなわち、台座部110bの短辺に平行な方向に沿って、延びている。図中の点線で示される四角形は、電子機器の別の機種(電子機器900b)を簡略化して示したものである。詳細な図示を省略するが、この電子機器900bの外形は、略直方体であり、角が丸められた平板形状である。また、電子機器900bは、
図5(B)の電子機器900と比べて大きく、また、電子機器900bの長辺と短辺との比率は、電子機器900の長辺と短辺との比率と異なっている。
【0046】
図5(C)の例では、壁部150bは、電子機器900bの周縁部990bのうちの長辺に対応する長辺部993bのおよそ中央部分に接触している。そして、台座部110bの長辺が、電子機器900bの周縁部990bの短辺に対応する短辺部991b、992bに平行である。従って、壁部150bが電子機器900bの短辺部991b、992bのいずれかに接触している場合と比べて、台座部110bの上方向DU側の端部118bと電子機器900bの上方向DU側の長辺部994bとの間の距離Lを小さくできる。この結果、ユーザは、給電装置100bの台座部110bに電子機器900bを重ねた状態で、給電装置100bと電子機器900bとの両方を、容易に手で持つことができる。
【0047】
このように、本実施例では、台座部110bは、壁部150bを着脱可能に取り付ける2個の第1凹部113と2個の第2凹部114とを有している。従って、台座部110bから壁部150bを取り外すことによって、給電装置100bを運ぶ場合の可搬性を向上できる。
【0048】
また、台座部110bは、台座部110bの台座面111bのうちの一方向側(ここでは、左方向DL側)の部分に形成された凹部113と、その方向に直交する方向側(ここでは、下方向DD側)の部分に形成された凹部114と、を備えている。ユーザは、これらの凹部113、114から任意に選択された凹部に壁部150bを取り付けることができる。ユーザは、台座面111bに対する壁部150bの位置を、電子機器の大きさと形状に応じて選択できるので、電子機器と給電装置100bとを手で持つ場合に、電子機器と給電装置100bとの相対的な位置関係を、電子機器の機種に拘わらずに、安定化できる。
【0049】
なお、2個の壁部150bを準備して、2個の第1凹部113と2個の第2凹部114との両方に壁部150bを取り付けてもよい。また、2個の第1凹部113と、2個の第2凹部114と、のうちのいずれか一方が省略されてもよい。
【0050】
D.第4実施例:
図6は、第4実施例の給電装置100cの概略図である。
図5の給電装置100bとの差異は、壁部150bが、端部を凹部113、114に嵌めることができる円柱状の壁部150cに置換されている点だけである。給電装置100cの他の部分の構成は、
図5の給電装置100bの対応する部分の構成と同じである(対応する要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
【0051】
図6(A)は、壁部150cと台座部110bとが分離した状態を示す斜視図である。
図6(B)は、台座部110bの4個の凹部113、114のそれぞれに壁部150cが取り付けられた状態を示す斜視図である。4個の壁部150cのそれぞれは、台座面111bから前面方向DF側に突出している。図中の点線で示される四角形は、電子機器900を簡略化して示したものである。
図6(C)は、給電装置100cと、台座部110b上に重ねられた電子機器900とを、背面方向DBを向いて見た概略図である。給電装置100cの給電接続部230bと電子機器900とは、ケーブル232xで接続されている。
【0052】
電子機器900の左方向DL側の辺部993は、2個の第1凹部113に嵌め込まれた2個の壁部150cに接触している。電子機器900の下方向DD側の辺部992は、2個の第2凹部114に嵌め込まれた2個の壁部150cに接触している。これにより、
図4の実施例と同様に、給電装置100cに対する電子機器900の互いに直交する3つの方向DL、DD、DBの相対的な位置が決まるので、給電装置100cと電子機器900とを手で持つ場合に、給電装置100cと電子機器900との相対的な位置関係を、安定化できる。
【0053】
なお、
図3(D)の電子機器900aのように、電子機器900と大きさと形とが異なる電子機器を用いる場合にも、
図6(C)の例と同様に、ユーザは、電子機器900aの背面と2個の辺部とを、台座部110bと壁部150cとに接触させることによって、安定的に給電装置100cと電子機器900aとを持つことができる。
【0054】
このように、給電装置100cの壁部150cは、台座部110bの一方向側(ここでは、左方向DL側)の部分と、その方向に直交する方向側(ここでは、下方向DD側)の部分と、のみに設けられている。これにより、壁部150cは、大きさと形状が互いに異なる電子機器900(
図6(C))または電子機器900a(
図3(D))を台座部110bの台座面111b上に配置する場合に、電子機器900、900aのそれぞれの周縁部990、990aのうち、1個の角部997を介して互いに接続された2個の辺部993、992、または、1個の角部997aを介して互いに接続された2個の辺部993a、992aのみに接触する。この結果、電子機器と給電装置100とを手で持つ場合に、電子機器と給電装置100との相対的な位置関係を、電子機器の機種に拘わらずに、安定化できる。
【0055】
また、台座部110bは、壁部150cを着脱可能に取り付ける2個の第1凹部113と2個の第2凹部114とを有している。従って、台座部110bから壁部150cを取り外すことによって、給電装置100cを運ぶ場合の可搬性を向上できる。
【0056】
また、
図6(C)に示すように、給電スイッチ225と表示部245とは、台座部110bの台座面111b上のうちの電子機器に隠れない部分に設けられている。従って、ユーザは、給電装置100cに電子機器を重ねた状態で、給電スイッチ225を操作でき、また、表示部245を観察できる。
【0057】
なお、2個の第1凹部113と、2個の第2凹部114と、のいずれか一方のみに、2個の壁部150cを設けてもよい。また、2個の第1凹部113のうちの1個を省略してもよい。また、2個の第2凹部114のうちの1個を省略してもよい。また、2個の第1凹部113と、2個の第2凹部114と、のうちのいずれか一方を省略してもよい。
【0058】
E.第5実施例と第6実施例:
図7は、第5実施例の給電装置100dの概略図である。
図5、
図6の給電装置100b、100cとの差異は、壁部150b、150cと凹部113、114とが省略され、この代わりに、壁部151d、152dが、ヒンジ160によって台座部110dに接続されている点である。給電装置100dの他の部分の構成は、
図5、
図6の給電装置100b、100cの対応する部分の構成と同じである(対応する要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
【0059】
図7(A)、
図7(B)は、給電装置100dの斜視図である。第1壁部151dは、台座部110dの台座面111dの左上の角の位置(具体的には、左方向DL側、かつ、上方向DU側、かつ、前面方向DF側の角の位置)に配置されている。第2壁部152dは、台座面111dの左下の角の位置(具体的には、左方向DL側、かつ、下方向DD側、かつ、前面方向DF側の角の位置)に配置されている。台座部110dは、これらの壁部151d、152dを収容する凹部116d、117dを有している。
図7(A)は、壁部151d、152dが、それぞれ、凹部116d、117d内に配置された第2状態を示し、
図7(B)は、壁部151d、152dが、凹部116d、117dの外に移動した第1状態を示している。壁部151d、152dは、板状の部材である。
図7(A)の第2状態では、壁部151d、152dは、前面方向DFに略垂直である。また、壁部151d、152dの前面方向DF側の面151ds、152dsは、台座部110dの台座面111dに連続している(すなわち、面151ds、152dsと台座面111dとは、同じ平面に含まれる)。第1壁部151dと第2壁部152dとの間には、台座面111dの一部が位置している。
【0060】
ヒンジ160は、壁部151d、152dの左方向DL側の部分と、台座部110dの左方向DL側の部分と、の間に配置されており、両者を、下方向DDに平行な軸を中心に回動可能に接続している。
図7(B)の第1状態は、
図7(A)の第2状態から、壁部151d、152dが、ヒンジ160の軸を中心に、前面方向DF側に向かって回動した状態である(回動可能な角度は、90度よりも小さく、例えば、50度以上、85度以下)。
図7(C)は、下方向DDを向いて見た第1状態の給電装置100dの概略図である。図示するように、第1状態では、壁部151d、152dは、台座部110dの台座面111dから離れる方向側(ここでは、前面方向DF側)に突出している。また、壁部151d、152dは、ヒンジ160から、台座面111dに対して斜めに、右方向DRと前面方向DFとの間の方向に向かって突出している。壁部151d、152dと台座部110dとは、壁部151d、152dと台座部110dとの間の空間を囲む凹部400を形成している。なお、
図7(A)の第2状態は、
図7(B)の第1状態と比べて、壁部151d、152dの突出量が小さい状態である。ヒンジ160は、壁部151d、152dを、第1状態と第2状態との間で回動可能に(すなわち、移動可能に)支持している。ユーザは、壁部151d、152dを操作することで、第1状態と第2状態との間の切り替えを行うことができる。
【0061】
図7(B)中の点線で示される四角形は、電子機器900を簡略化して示したものである。電子機器900と給電装置100dの給電接続部230bとは、ケーブル232xで接続されている。
図7(D)は、第1状態の給電装置100dの台座面111d上に電子機器900が配置された状態を示している。
図7(B)、
図7(D)の例では、電子機器900が台座面111d上に載った状態で、電子機器900の左方向DLの辺部993が、壁部151d、152dの外形を形成する外面のうちの右方向DR側の面に接触する(接触する部分は、点または線または面であり得る)。この結果、第5実施例では、第1実施例と同様に、給電装置100dと電子機器900とを手で持つ場合に、給電装置100dと電子機器900との相対的な位置関係を、安定化できる。
【0062】
また、電子機器900の辺部993は、台座部110dと壁部151d、152dとで形成された凹部400内に挿入されている。壁部151d、152dは、電子機器900の辺部993が前面方向DF側に移動することと左方向DL側に移動することとを抑制する。この結果、給電装置100dと電子機器900との相対的な位置関係を、更に、安定化できる。
【0063】
なお、壁部151d、152dの
図7(A)の状態からの回動可能な角度は、90度以上であってもよい。この場合、回動した壁部151d、152dを、
図7(A)の状態に近づく回動方向に付勢する弾性体(例えば、バネやゴム)が設けられていることが好ましい。これにより、電子機器900が壁部151d、152dに向かって押しつけられた場合に、電子機器900が壁部151d、152dよりも左方向DL側へ移動することを抑制できる。
【0064】
また、給電装置100dには、互いに異なる位置に配置され、そして、互いに独立に回動可能な複数の壁部が設けられていてもよい。ユーザは、複数の壁部のうちの好みの一部の壁部のみを、台座面111dの前面方向DF側に向かって回動させてもよい。
【0065】
図8は、第6実施例の給電装置100eの概略図である。
図7の給電装置100dとの差異は、回動可能な壁部151d、152dが省略され、この代わりに、スライド可能な壁部151e、152eが設けられている点だけである。給電装置100eの他の部分の構成は、
図7の給電装置100dの対応する部分の構成と同じである(対応する要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
【0066】
図8(A)、
図8(B)は、給電装置100eの斜視図である。台座部110eの左方向DL側の面である左面103eには、前面方向DFに沿って延びる2個の溝116e、117eが形成されている。壁部151e、152eは、これらの溝116e、117eに、それぞれ嵌め込まれている。壁部151e、152eは、溝116e、117eに沿って前面方向DFに平行にスライド可能である。
図8(A)は、壁部151e、152eの全体が溝116e、117e内に収容された第2状態を示している。この状態で、壁部151e、152eの前面方向DF側の面である前面151es、152esは、台座部110eの台座面111eに連続している。
【0067】
図8(B)は、壁部151e、152eが前面方向DFに移動した第1状態を示している。この第1状態では、壁部151e、152eのそれぞれは、台座面111eから前面方向DF側に突出している。
図8(A)の第2状態は、
図8(B)の第1状態と比べて、壁部151e、152eの突出量が小さい状態である。溝116e、117eは、壁部151e、152eを、第1状態と第2状態との間でスライド可能に(すなわち、移動可能に)支持している。ユーザは、壁部151e、152eを操作することで、第1状態と第2状態との間の切り替えを行うことができる。
【0068】
図8(B)中の点線で示される四角形は、電子機器900を簡略化して示したものである。電子機器900と給電装置100eの給電接続部230bとは、ケーブル232xで接続されている。
図8(B)の第1状態では、電子機器900が台座部110eの台座面111e上に載った状態で、電子機器900の左方向DLの辺部993が、壁部151e、152eの右方向DR側の面に接触する。この結果、本実施例では、第1実施例と同様に、給電装置100eと電子機器900とを手で持つ場合に、給電装置100eと電子機器900との相対的な位置関係を、安定化できる。
【0069】
なお、
図3(D)の電子機器900aのように、電子機器900の大きさと形とが異なる電子機器を用いる場合にも、
図7(B)、
図8(B)の例と同様に、ユーザは、電子機器900aの背面と1個の辺部とを、台座部110d、100eと壁部151d、152d、151e、152eとに接触させることによって、安定的に給電装置100d、100eと電子機器900aとを持つことができる。
【0070】
また、壁部151d、152d、151e、152eを第2状態にすることによって、給電装置100d、100eを運ぶ場合の可搬性を向上できる。
【0071】
また、
図7(B)、
図8(B)に示すように、給電スイッチ225と表示部245とは、台座面111d、111e上のうちの電子機器900に隠れない部分に設けられている。従って、ユーザは、給電装置100d、100eに電子機器を重ねた状態で、給電スイッチ225を操作でき、また、表示部245を視認できる。
【0072】
また、給電装置100eには、互いに異なる位置に配置された3個以上のスライド可能な壁部が設けられていてもよい。ユーザは、複数の壁部のうちの好みの一部の壁部のみを、台座面111eの前面方向DF側にスライドさせてもよい。
【0073】
F.第7実施例:
図9は、第7実施例の給電装置100fの概略図である。
図1の給電装置100との差異は、壁部150fの右面154fに、電子機器の周縁部の一部分を受け入れるための凹部158が形成され、壁部150fは、この凹部158内に配置された弾性部157を含んでいる点だけである。給電装置100fの他の部分の構成は、
図1の給電装置100の対応する部分の構成と同じである(対応する要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
【0074】
図9(A)は、給電装置100fの斜視図である。
図9(B)は、下方向DDを向いて見た給電装置100fの概略図である。図示するように、壁部150fの右面154fは、凹部158を形成している。この凹部158は、左方向DLに向かって凹んでいる。この凹む方向(ここでは、左方向DL)は、台座面111に平行であり、また、台座面111の中央部から壁部150fに向かう方向である。この凹部158は、壁部150fの上方向DU側の端から下方向DD側の端まで延びている。この凹部158内に、弾性部157が配置されている。弾性部157は、弾性材料(例えば、シリコーン)で形成されている。
【0075】
図9(C)は、給電装置100fに対する電子機器900の配置の例を示す概略図である。図中には、下方向DDを向いて見た給電装置100fと電子機器900とが示されている。図示するように、電子機器900の背面902が台座部110の台座面111に載った状態で、電子機器900の左方向DL側の辺部993が、壁部150fの凹部158内に挿入されている。また、辺部993は、凹部158内で、弾性部157に接触している。弾性部157は、辺部993の形状に合わせて弾性変形している。
【0076】
このように、本実施例では、電子機器900の辺部993が、壁部150fの凹部158に挿入されている。凹部158は、電子機器900の辺部993が前面方向DF側に移動することを抑制する。この結果、給電装置100fと電子機器900との相対的な位置関係を、更に、安定化できる。
【0077】
また、壁部150fの弾性部157が、電子機器900に接触する。従って、壁部150f(特に弾性部157)と電子機器900との接触面積が増大するので、壁部150fに対して電子機器900が滑ることを抑制できる(弾性部157は、滑り止め部といえる)。この結果、給電装置100fと電子機器900とを手で持つ場合に、給電装置100fと電子機器900との相対的な位置関係を、安定化できる。また、電子機器900に傷がつくことを抑制できる。
【0078】
なお、
図3(D)の電子機器900aのように、電子機器900と大きさと形とが異なる電子機器を用いる場合にも、
図9(C)の例と同様に、ユーザは、電子機器900aの背面と1個の辺部とを、台座部110と壁部150fとに接触させることによって、安定的に給電装置100fと電子機器900aとを持つことができる。
【0079】
また、弾性部157が省略されてもよい。また、凹部158のように電子機器を受け入れる凹部は、他の実施例の壁部(例えば、
図6の壁部150c)に設けられてもよい。そして、そのような凹部内に、弾性部157のように電子機器の形状に合わせて弾性変形する弾性部が設けられてもよい。
【0080】
G.第8実施例:
図10は、第8実施例の給電装置100gの斜視図である。
図1の給電装置100との差異は、壁部150gが、壁部150g内にバッテリ590を収容するための収容室500を有している点である。給電装置100gの他の部分の構成は、
図1の給電装置100の対応する部分の構成と同じである(対応する要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
【0081】
壁部150gの上方向DU側には、収容室500へ通じる開口510を閉じるための蓋520が設けられている。ユーザは、蓋520を開けることによって、収容室500にバッテリ590を挿入できる。バッテリ590は、例えば、IEC(国際電気標準会議)で規定されたR6型のバッテリである。
図10の実施例では、収容室500は、2個のバッテリ590を収容できる。図示を省略するが、収容室500に収容されたバッテリ590は、給電回路220(
図2)に接続される。本実施例では、給電回路220は、台座部110に収容されたバッテリ210が切れた場合には、収容室500に収容されたバッテリ590からの電力を用いて、所定の出力電圧で、電力を電子機器に供給するように、構成されている。このような給電回路220の構成としては、公知の種々の構成を採用可能である(例えば、DC−DCコンバータと、バッテリ210とバッテリ590との一方をDC−DCコンバータに電気的に接続する半導体スイッチと、を含む構成)。
【0082】
なお、収容室500に収容可能なバッテリ590としては、R6型のバッテリとは異なる他の種類のバッテリを採用してもよい。一般的には、広く流通している汎用のバッテリを採用することが好ましい。このようなバッテリを採用すれば、ユーザは、容易にバッテリ590を入手できるので、台座部110内のバッテリ210が切れた場合でも、容易に、電子機器に給電できる。また、収容室500は、ユーザがバッテリ590を交換可能であるように、構成されていることが好ましい。例えば、蓋520のように、ユーザが開けることが可能な蓋が収容室500に設けられていることが好ましい。
【0083】
H.第9実施例:
図11は、第9実施例の概略図である。この実施例では、給電装置の台座部の背面方向DB側に、指をかけることが可能な立体部分が設けられている(「指掛け部」と呼ぶ)。
図11(A)は、第9実施例の給電装置100hの斜視図である。
図1の給電装置100との差異は、2つある。第1の差異は、
図1(C)の凹部105と給電接続部230とケーブル232とが省略され、代わりに、台座部110hの背面112hが、ケーブル232xを収容するための前面方向DFに向かって凹んだ凹部600を形成している点である。凹部600は、上方向DUに沿って延びるように形成されている。凹部600は、背面112hに固定されている、ともいえる。第2の差異は、
図5の実施例と同様に、給電接続部230bと充電接続部250とが、台座部110hの下方向DD側の面に設けられている点である。給電装置100hの他の部分の構成は、第1実施例の給電装置100の対応する部分の構成と同じである(対応する要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
【0084】
図11(B)は、給電装置100hに対して電子機器900が配置された状態を示す斜視図である。この配置は、
図3(A)の配置と同じである。ケーブル232xは、凹部600から取り出され、そして、給電装置100hの給電接続部230bと電子機器900とを接続している。
【0085】
図11(C)は、
図11(B)の給電装置100hと電子機器900とを手に持った状態の例を示す概略図である。図中には、下方向DDを向いて見た状態が示されている。この例では、ユーザは、重ねられた給電装置100hと電子機器900とを、片手で持っている。親指は、電子機器900の右方向DR側の辺部994に接触している。また、他の指の指先が、台座部110hの背面方向DB側の凹部600に挿入されている。このように、ユーザは、台座部110hの凹部600に指先をかけることができるので、電子機器900と給電装置100hとを手で持つ場合に、電子機器900と給電装置100hとの相対的な位置関係を安定化できる。また、
図3(D)の電子機器900aのように、大きさと形とが異なる電子機器を用いる場合にも、
図11(C)の例と同様に、ユーザは、安定的に給電装置100hと電子機器900aとを持つことができる。なお、凹部600の形状は、ケーブル232xに合わせた形状に代えて、他の形状であってもよい。例えば、指の形状に合わせた形状を採用してもよい。
【0086】
I.第10〜第14実施例:
図12〜
図16は、第10〜第14実施例の給電装置100i〜100nの概略図である。
図11の給電装置100hとの差異は、台座部の背面方向DB側に設けられた、指をかけることが可能な指掛け部の構成が、
図11(A)の凹部600と異なっている点だけである。この指掛け部以外の部分の構成は、
図11の給電装置100hの対応する部分の構成と同じである(対応する要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
【0087】
図12(A)は、第10実施例の100iの斜視図である。第10実施例では、指掛け部として、板部610と、板部610を回動可能に台座部110iの背面112iに接続する2個のヒンジ620と、板部610を収容する凹部630と、が設けられている。
【0088】
板部610は、背面112i上の略中央部分に配置され、上方向DUに平行な方向に沿って延びる略矩形状の板部材である。2個のヒンジ620は、板部610の上方向DU側と下方向DD側とに配置されており、いずれも、板部610の右方向DR側の部分と台座部110iの背面112iとを接続している。ヒンジ620は、板部610を、上方向DUに平行な軸を中心に回動可能である。
図12(A)の状態では、板部610は、背面112iに略平行であり、背面112iに設けられた凹部630内に収容されている。
【0089】
図12(B)は、板部610が凹部630の外に移動した第3状態を示している。この第3状態は、
図12(A)の状態である第4状態から、板部610が、ヒンジ620の軸を中心に、背面方向DB側に向かって回動した状態である(回動可能な角度は、90度以下である)。第3状態では、板部610は、台座部110iの背面112iから離れる方向側(ここでは、背面方向DB側)に突出している。
図12(A)の第4状態は、
図12(B)の第3状態と比べて、板部610の突出量が小さい状態である。ヒンジ620は、板部610を、第3状態と第4状態との間で回動可能に(すなわち、移動可能に)支持している。ユーザは、板部610を操作することで、第3状態と第4状態との間の切り替えを行うことができる。
【0090】
また、
図12(B)には、
図11(B)と同じ配置の電子機器900が示されている。ユーザは、板部610に指をかけることができるので、
図11(C)の実施例と同様に、電子機器900と給電装置100iとを手で持つ場合に、電子機器900と給電装置100iとの相対的な位置関係を安定化できる。
【0091】
なお、板部610の
図12(A)の状態からの回動可能な角度は、90度以上であってもよい。この場合、回動した板部610を、
図12(A)の状態に近づく回動方向に付勢する弾性体(例えば、バネやゴム)が設けられていることが好ましい。これにより、板部610に指をかけた場合に、指が板部610から離れることを抑制できる。
【0092】
また、給電装置100iには、互いに異なる位置に配置され、そして、互いに独立に回動可能な複数の板部が設けられていてもよい。ユーザは、複数の板部のうちの好みの一部の板部(例えば、指を掛けやすい位置の板部)のみを、台座部110iの背面112iの背面方向DB側に向かって回動させてもよい。
【0093】
図13は、第11実施例の給電装置100jの斜視図である。第11実施例では、指掛け部として、リング部640が設けられている。リング部640は、リング状に形成された部材である。リング部640は、台座部110jの背面112j上の略中央部分に固定されている。図中には、
図11(B)と同じ配置の電子機器900が示されている。ユーザは、リング部640に指を通すことによってリング部640に指を掛けることができるので、
図11(C)の実施例と同様に、電子機器900と給電装置100jとを手で持つ場合に、電子機器900と給電装置100jとの相対的な位置関係を安定化できる。
【0094】
図14は、第12実施例の給電装置100kの斜視図である。第12実施例では、台座部110kの背面112kは、指掛け部として、前面方向DFに向かって凹んだ凹部652と、凹部652の右方向DR側に隣接する背面方向DBに向かって突出した凸部654と、を形成している。凹部652と凸部654とは、上方向DUに沿って延びるように形成されている。凹部652と凸部654とは、台座部110kの背面112kに固定されている、ともいえる。図中には、
図11(B)と同じ配置の電子機器900が示されている。ユーザは、凹部652に指先を挿入することによって、凹部652と凸部654とに指をかけることができるので、
図11(C)の実施例と同様に、電子機器900と給電装置100kとを手で持つ場合に、電子機器900と給電装置100kとの相対的な位置関係を安定化できる。
【0095】
図15(A)は、第13実施例の給電装置100mの斜視図である。第13実施例では、指掛け部として、着脱可能な棒部660が設けられている。図中の方向DU、DD、DR、DL、DF、DBを示す矢印は、台座部110mの向きを示している。棒部660に関しては、前面方向DF側の面を示す斜視図(別の方向から見た斜視図)が示されている。台座部110mの背面112mには、棒部660を着脱可能に取り付けるための2個の前面方向DFに向かって凹んだ凹部664が設けられている。2個の凹部664は、台座部110mの背面112mの略中央部分に、上方向DUに沿って離れて並ぶように、配置されている。棒部660の前面方向DF側の面には、2個の凹部664に嵌めるための前面方向DFに向かって突出した2個の突出部662が設けられている。このように、2個の凹部664は、棒部660を着脱可能に取り付けるための取り付け部の例である、ということができる。
【0096】
図15(B)は、棒部660の2個の突出部662を、台座部110mの2個の凹部664に嵌めた状態を示す斜視図である。この状態で、棒部660は、背面112mの略中央部に固定されており、上方向DUに沿って延びており、背面112mから背面方向DB側に突出している。図中には、
図11(B)と同じ配置の電子機器900が示されている。ユーザは、棒部660に指をかけることができるので、
図11(C)の実施例と同様に、電子機器900と給電装置100mとを手で持つ場合に、電子機器900と給電装置100mとの相対的な位置関係を安定化できる。
【0097】
図16(A)、
図16(B)は、第14実施例の給電装置100nの斜視図である。第14実施例では、指掛け部として、背面方向DBに平行な方向にスライド可能な壁部670が設けられている。壁部670は、上方向DUに沿って延びる略直方体の部材である。台座部110nの背面112nには、壁部670を収容するための前面方向DFに向かって凹んだ凹部672が形成されている。
図16(A)は、壁部670が凹部672内に収容された第4状態を示し、
図16(B)は、壁部670が背面方向DBに移動した第3状態を示している。
図16(B)の第3状態では、壁部670は、背面112nから背面方向DB側に突出している。
図16(A)の第4状態は、
図16(B)の第3状態と比べて、壁部670の突出量が小さい状態である。凹部672は、壁部670を、第3状態と第4状態との間でスライド可能に支持している。ユーザは、この凹部674に指を挿入することによって、
図16(A)の状態の壁部670をつまむことができる。そして、ユーザは、壁部670を背面方向DBに引っ張ることによって、
図16(A)の状態の壁部670を、
図16(B)のように凹部672から引き出すことができる。また、ユーザは、
図16(B)の状態の壁部670を前面方向DFに押すことによって、
図16(A)のように壁部670を凹部672内に収容できる。凹部672は、第3状態と第4状態との間でスライド可能に壁部670を支持している。
【0098】
図16(B)には、
図11(B)と同じ配置の電子機器900が示されている。ユーザは、壁部670に指をかけることができるので、
図11(C)の実施例と同様に、電子機器900と給電装置100nとを手で持つ場合に、電子機器900と給電装置100nとの相対的な位置関係を安定化できる。
【0099】
なお、給電装置100nには、互いに異なる位置に配置され、そして、互いに独立にスライド可能な複数の壁部が設けられていてもよい。ユーザは、複数の壁部のうちの好みの一部の壁部(例えば、指を掛けやすい位置の壁部)のみを、台座部110nの背面112nの背面方向DB側に向かって移動させてもよい。
【0100】
なお、
図12〜
図16のいずれの実施例においても、
図3(D)の電子機器900aのように、大きさと形とが異なる種々の電子機器を用いることができる。この場合も、ユーザは、安定的に給電装置と電子機器とを持つことができる。
【0101】
J.変形例:
(1)壁部を台座部に着脱可能に取り付ける取り付け部の構成としては、
図5の凹部113、114と突出部159や、
図6の凹部113、114と壁部150cとに代えて、他の種々の構成を採用可能である。例えば、面ファスナーを用いてもよい。また、
図6の壁部150cに雄ねじが形成され、凹部113、114に雌ねじが形成されてもよい。いずれの場合も、台座部は、壁部を着脱可能に取り付けることが可能であり、かつ、互い異なる位置に形成された複数の取り付け部を有することが好ましい。これによれば、ユーザは、複数の取り付け部から任意に選択した取り付け部に、壁部を取り付けることができる。従って、電子機器と給電装置とを手で持つ場合に、電子機器と給電装置との相対的な位置関係を、電子機器の機種に拘わらずに、安定化できる。また、形状や色などのデザインが異なる複数種類の壁部が提供されてもよい。ユーザは、複数種類の壁部のうちの好みの壁部を、台座部に取り付けることができる。また、ユーザは、壁部を、好みの他の種類の壁部に、容易に交換できる。
【0102】
(2)壁部を、台座部の台座面から離れる方向側に突出した第1状態と、第1状態と比べて突出量が小さい第2状態と、の間で移動可能に支持する支持部の構成としては、
図7のヒンジ160や、
図8の溝116e、117eに代えて、他の種々の構成を採用可能である。例えば、壁部をスライド可能に支持する有底の穴や台座部を貫通する貫通孔を採用してもよい。また、第2状態において、壁部の一部が台座面から突出していてもよい。また、給電装置に、互いに異なる位置に配置された複数の壁部が設けられてもよい。そして、1個以上の支持部が、複数の壁部のうちの一部の壁部のみを移動可能(例えば、スライド可能、回動可能)に支持し、残りの壁部は、前面方向DFに向かって突出した状態で台座部に固定されていてもよい。ここで、1個の支持部は、1個の壁部のみを支持してもよく、複数の壁部を支持してもよい。
【0103】
(3)滑り止め部300(
図1など)の材料としては、シリコーンに代えて、他の種々の材料を採用可能である。例えば、シリコーンと、エラストマーと、ウレタンと、天然ゴムと、合成ゴムと、ポリウレタンと、EVA樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)と、のうちの1以上の材料を用いてもよい。また、一般的には、電子機器の形状に合わせて弾性変形可能な弾性材料を採用することが好ましい。また、滑り止め部は、壁部と電子機器との接触部分の全体に設けられていてもよく、この代わりに、接触部分の一部分に設けられていてもよい。また、滑り止め部は、
図1、
図5などの実施例に限らず、他の実施例(例えば、
図6、
図7、
図8の実施例)の壁部に設けられてもよい。また、滑り止め部の構成としては、壁部に対して電子機器が滑ることを抑制する滑り止め機能を備える任意の構成を採用可能である。ここで、滑り止め機能を備える構成としては、上記のような弾性材料で形成される構成に代えて、他の種々の構成を採用可能である。例えば、壁部のうちの電子機器に接触する接触部分に複数の凸部と複数の凹部との少なくとも一方を形成した構成を採用してもよい。また、給電装置の壁部に電子機器を接触させた状態で給電装置と電子機器とを手に持った場合に、壁部に対して電子機器が滑らない程度の静止摩擦係数を有する材料で、壁部の接触部分を形成してもよい。ただし、滑り止め部を省略してもよい。
【0104】
(4)
図10で説明したような収容室500は、
図10の実施例に限らず、他の実施例にも適用可能である。例えば、
図1、
図11〜
図16の実施例に、収容室500を設けてもよい。
【0105】
(5)台座部の背面方向DB側に位置するように構成された指掛け部の構成としては、
図11〜
図16の実施例の指掛け部の構成に限らず、指をかけることが可能な種々の構成(例えば、立体的な形状を有する部分)を採用可能である。例えば、台座部の背面上の第1位置と第2位置とを結ぶゴムなどの弾性材料のバンドを用いてもよい。例えば、リング状の部分の少なくとも一部が、ゴムなどの弾性材料で形成されていてもよい。また、複数個の凸部分と複数個の凹部分とを含む立体形状を形成する立体部材が、着脱可能に台座部に取り付けられてもよい。ここで、1つの給電装置に対して、デザインが異なる複数種類の立体部材が利用可能であってもよい。また、凸部分と凹部分とリング状の部分とのうちの任意の2以上の部分が、1つの給電装置に設けられていてもよい。また、給電装置に、互いに異なる位置に配置された複数の指掛け部が設けられてもよい。そして、1個以上の支持部が、複数の指掛け部のうちの一部の指掛け部のみを移動可能(例えば、スライド可能、回動可能)に支持し、残りの指掛け部は、台座部に固定されていてもよい。ここで、1個の支持部は、1個の指掛け部のみを支持してもよく、複数の指掛け部を支持してもよい。また、このような指掛け部は、
図11〜
図16の実施例に限らず、他の実施例(例えば、
図4〜
図10の実施例)に、設けられてもよい。
【0106】
(6)台座部の材料としては、樹脂、金属などの種々の材料を採用可能である。同様に、台座部の前面方向DF側に設けられる壁部の材料としては、樹脂、金属などの種々の材料を採用可能である。また、台座部の背面方向DB側に設けられる指掛け部の材料としても、樹脂、金属などの種々の材料を採用可能である。
【0107】
(7)電子機器の形状は、略直方体に限らす、円盤状など他の種々の形状であってよい。いずれの場合も、給電装置の壁部は、電子機器の周縁部のうち、台座面に平行な1つの方向を向いて電子機器を観察する場合に視認される部分のみ(すなわち、周縁部のうち一方向側の部分のみ)に接触するように構成されていることが好ましい。この構成によれば、大きさと形とが異なる種々の電子機器に対して、1つの給電装置を共通に利用することができる。例えば、
図4の実施例では、壁部150、190は、周縁部990のうちの、右方向DRと上方向DUとの間の1つの斜め方向を向いて電子機器900を観察する場合に視認される辺部992と辺部993とのみに接触しているといえる。
【0108】
ここで、
図3などの実施例のように、電子機器の周縁部が給電装置の壁部に接触した状態で、電子機器の一部が台座部の外にはみ出るように、台座部が構成されていてもよい。この構成によれば、ユーザは、電子機器の周縁部のうちの台座部の外にはみ出た部分に指を容易に接触させることができるので、給電装置と電子機器とを手で持つ場合に、給電装置と電子機器との相対的な位置関係を、安定化できる。
【0109】
(8)給電装置は、電子機器に電力を供給する回路に加えて、電子機器と連携して動作する他の種々の回路を含んでもよい。例えば、給電装置は、電子機器からの音信号を増幅するアンプ回路を備えていてもよい。また、給電装置は、SDカードなどのメモリカードを装着するためのスロットと、スロットに装着されたメモリカードの記憶領域を他の装置と共有するデータ共有機能を実現するデータ処理部(例えば、コンピュータ)と、他の装置とデータ共有機能を実現するデータ処理部とを通信させるための通信処理部(例えば、IEEE802.11規格に準拠した無線LAN通信回路)と、を備えてもよい。
【0110】
(9)給電装置を制御するための操作部としては、給電スイッチ225(
図1など)に代えて、レバーやタッチパネルなどのユーザによる操作を受け入れる種々の装置を採用可能である。また、操作部によって制御可能な機能としては、電子機器への給電開始に代えて、バッテリ210への充電開始などの他の機能を採用してもよい。また、上記のアンプのボリュームが操作部として設けられてもよい。また、上記のデータ共有機能を実現するデータ処理部と、通信処理部とが、操作部を介して制御されてもよい。
【0111】
また、給電装置の状態を表示する表示部としては、複数個のLEDに代えて、液晶ディスプレイなどの情報を表示可能な種々の装置を採用可能である。また、表示部によって表示される情報としては、バッテリ210の残量に代えて、バッテリ210の充電完了までの時間や給電接続部を流れる電流値などの他の情報を採用してもよい。また、表示部は、上記の無線LANの状態を表示してもよい。
【0112】
いずれの場合も、操作部と表示部との少なくとも一方を省略してもよい。
【0113】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。