(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記画像形成パフォーマンスの調整に際し、制御内容をユーザに通知し、ユーザが指示した制御内容で前記画像形成パフォーマンスの制御を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、用紙に形成した画像を読取部で読み取って、読取り結果を伝送する際には、一定間隔で送り出される用紙一枚ごとに画像を読み込んで、読取結果のデータを伝送して制御部において画像形成の状態を判断し、安定化処理などを行っている。通常は、複数枚の用紙への画像形成ごとに、各頁における読取結果の伝送が間に合うように設定されている。
しかし、何らかの理由で伝送路におけるデータの伝送速度が低下したり、データの処理でノイズなどによってエラーなどが生じてデータの通信速度が低下したりすることがある。この場合に、用紙の画像出力を行う速度よりもデータの通信速度が遅くなると、次の画像が読込部に到着する前にデータ転送が終了しない場合は、データの読み飛ばしが発生し、正しい制御が行えないか、機械が停止して利用できないという問題が発生している。
【0005】
例えば、特許文献1では、画像処理装置におけるエラーを検知して、画像処理装置の機能を制限する機能制限キーを表示して、エラーに関係する機能を制限して画像処理装置を使用するモードに簡単な操作で移行することが可能にしている。しかし、この方法では、機能が制限されるため、目的とする処理を行えない場合が生じてしまう。
【0006】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、読取結果のデータの通信速度が低下した場合に、機能制限を行うことなく、ユーザが求める処理を行うことができる画像形成装置、画像形成方法および画像形成制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置のうち、第1の形態の発明は、
転写媒体に画像形成を行う画像形成部と、
前記画像形成部で画像形成が行われた転写媒体の画像を読み取る読取部と、
前記画像形成部と前記読取部とを制御する制御部と、
前記読取部と前記制御部との間で前記読取部による読取結果に関するデータを伝送する通信部を有し、
前記制御部は、前記通信部を介して前
記読取部の読取結果を受けて前記画像形成の状態を判断するとともに、
前記通信部を介した前記データの通信速度を観察し、前記通信速度が低下した場合、前記通信速度が、読取りを行う転写媒体の画像形成パフォーマンスより低下しないように、前記画像形成パフォーマンスを調整することを特徴とする。
【0009】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部では、画像形成の状態を判断する機能として、画像安定化処
理を行うことを特徴とする。
【0010】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記画像形成パフォーマンスを調整する場合、画像形成出力物の間隔を大きくすることを特徴とする。
【0011】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記読取部によって読み取られる転写媒体の画像形成をN枚
(ただしNは2以上の整数)毎に行うことを特徴とする
。
【0012】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記データの通信速度が低下している場合、通信速度の低下を報知することを特徴とする。
【0013】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記画像形成パフォーマンスの調整に際し、制御内容をユーザに通知し、ユーザが指示した制御内容で前記画像形成パフォーマンスの制御を行うことを特徴とする。
【0014】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記通信部を通して伝送されるデータのON期間によって前記通信速度を把握することを特徴とする。
【0015】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記通信速度と前記画像形成パフォーマンスを時間あたりの転写媒体枚数換算で算出することを特徴とする。
【0016】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記通信速度の低
下によって生じることを特徴とする。
【0017】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記読取部の読取結果に関するデータを、前記伝送前に少なくとも1枚の転写媒体分について格納するメモリを有することを特徴とする。
【0018】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記通信部における通信速度を測定する通信速度計測部を有することを特徴とする。
【0019】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記読取結果に関するデータは、転写媒体1枚ごとに前記通信部を介して前記制御部に伝送されるものであることを特徴とする。
【0020】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記通信速度の低下が所定以上である場合、前記画像形成パフォーマンスの制御を自動的に行わないことを特徴とする。
【0021】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記通信速度の低下が所定以上である場合、ユーザの指示
に従って前記画像形成パフォーマンスの制御を行うことを特徴とする。
【0022】
他の形態の画像形成装置の発明は、前記形態の発明において、前記制御部は、前記通信速度の低下が所定以上である場合、保守管理者への連絡要の表示または連絡の実行をすることを特徴とする。
【0023】
本発明の画像形成方法は、画像形成部で画像形成が行われた転写媒体の画像を読取部で読み取る工程と、
読取結果に関するデータを伝送する工程と、
前記伝送によって前記読取部による読取結果に関するデータを受けて、前記画像形成の状態を判断する工程と、
前記データの伝送における通信速度を観察し、前記通信速度が低下する場合、前記通信速度が読取りを行う転写媒体の画像形成パフォーマンスより低下しないように、前記画像形成パフォーマンスを調整する工程と、を有することを特徴とする。
【0024】
本発明の画像形成制御プログラムは、画像形成装置における画像形成を制御する制御部で実行される画像形成制御プログラムであって、
画像形成部で画像形成が行われた転写媒体の画像を読取部で読み取る工程と、
前記読取部による読取結果に関するデータを伝送する工程と、
前記伝送によって読取結果に関するデータを受けて、前記画像形成の状態を判断する工程と、
前記データの伝送における通信速度を観察し、前記通信速度が低下する場合、前記通信速度が読取りを行う転写媒体の画像形成パフォーマンスより低下しないように、前記画像形成パフォーマンスを調整する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、画像の読取結果の通信速度が低下した場合であっても、そのときの通信スピードに応じて装置を動作させることができ、装置の稼働率があがる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、画像形成装置1は、画像形成装置本体10と読取装置20とを有しており、画像形成装置本体10の用紙搬送方向下流側に読取装置20が機械的、電気的に画像形成装置本体10に接続されている。なお、本実施形態では、画像形成装置本体10と読取装置20とが別体に構成されているものとして説明するが、読取装置20と画像形成装置本体10とが一体にして構成されているものであってもよい。
【0028】
画像形成装置10は、用紙に画像を形成する画像形成部11と画像形成装置全体を制御する全体制御部12とを有している。
画像形成部11は、詳細は図示しないが、帯電器、書き込み部、感光体、現像器、転写部、定着器、クリーニング装置などで構成される。装置本体10内では、給紙部から用紙が搬送されて画像形成部11において画像形成がなされる。なお、用紙は本発明の転写媒体に相当する。転写媒体は、必ずしも紙に限定されるものではなく、布やプラスチックなどであってもよい。
【0029】
画像形成部11では、感光体の周囲に、帯電器、現像器、転写部が配置されている。帯電器は、画像書込み前に感光体の表面を一様に帯電する。書き込み部は、表面が一様に帯電された感光体に半導体レーザなどを照射することにより感光体に静電潜像を形成する。現像器は、書き込み部によって感光体に形成された静電潜像をトナーによって現像する。
現像処理によって感光体にトナー画像が形成される。転写部は、給紙部から搬送された用紙に感光体のトナー画像を転写する。トナー画像が転写された用紙は、感光体から分離されて定着器に搬送される。感光体に残留したトナーは、クリーニング装置によって除去される。定着器は、搬送された用紙を加熱することにより用紙の表面側に転写されたトナー画像を定着する。定着処理が施された用紙は、片面印刷の場合には読取装置20にそのまま搬送され、両面印刷の場合には、定着後の用紙がスイッチバックされて当該用紙の裏面側に画像形成部11でトナー画像が転写される。そして、両面に画像が形成された用紙は定着後に読取装置20に搬送される。
【0030】
全体制御部12は、CPUとCPUで実行されるプログラム、プログラムを格納するROM、作業領域となるRAM、動作パラメータなどを格納した不揮発メモリなどによって構成される。全体制御部12は、読取装置20で読み取られた画像の読取結果を受けて画像形成の状態を判断することができる。また、全体制御部12では、画像出力における画像形成パフォーマンスを把握しており、読取装置20の読取部と全体制御部12との間のデータの通信速度に応じて読取りを行う用紙について画像形成パフォーマンスを調整するができる。この実施形態では、画像形成パフォーマンスとして時間あたりの用紙出力枚数を算出する。
上記したように全体制御部12は、本発明の制御部に相当する。なお、本発明の制御部は、画像形成装置に備える他、画像形成装置とネットワークで接続され、画像形成装置を管理する管理装置に備えるものであってもよい。
【0031】
さらに画像形成装置本体10では、読取装置20との間で通信を行う通信部14を有しており、通信部14は全体制御部12によって制御される。通信部14は、インターフェースや通信制御部などによって構成される。
また、画像形成装置本体10では、通信スピード計測部13を有しており、通信スピード計測部13は通信部14を通して送信されるデータの通信速度を計測する。この実施形態では、通信スピード計測部13は、読取りデータの送信ON、OFFを検知することで、時間あたりに送信される読取枚数を通信速度として示す。
また、画像形成装置本体10では、操作部15を有している。この実施形態では、操作部15がタッチパネルなどによって構成され、操作と表示とを行うことができる。ただし、本発明としては、操作を行うものと、表示を行うものとを別々に備えるものであってもよい。
【0032】
一方、読取装置20では、インラインセンサなどを有する読取部21を有しており、搬送される用紙の画像を読み取ることができる。読取部21の構成は特に限定されるものではない。また、読取部21では、用紙を検知するセンサを有しており、用紙の搬送方向端部を検知して読み取りのトリガとすることができる。
また、読取装置20では、読取部21における読取結果のデータを格納するメモリ22を有している。メモリ22は、少なくとも用紙一枚分のデータを格納することができ、用紙の読取頁に合わせてデータの内容が更新される。
【0033】
さらに読取装置20では、画像形成装置本体10における通信部14との間で通信を行う通信部24を有している。通信部24は、インターフェースや通信制御部などによって構成される。なお、通信部14と通信部24とはシリアルケーブルなどの適宜の伝送路で電気的に接続されている。読取装置20では、メモリ22に格納された読取結果のデータを通信部24および通信部14を通して画像形成装置本体10に送ることができる。
なお、データの伝送においては、読取部21と全体制御部12との間の通信に基づいて処理が行われるが、上記伝送路における伝送速度が通常は装置内の信号伝達よりも遅くなる。
【0034】
上記画像形成装置1では、画像形成部11で用紙に画像が形成されると、画像形成装置本体10から排紙されて読取装置20へと搬送される。読取装置20に送られた用紙が、パッチ画像が形成されたパッチ付出力物である場合、全体制御部12では、読取装置20に対し、読取り要求を行う。読取り要求を受けた読取装置20では、当該用紙について図示しない用紙検知センサで用紙端部を検知し、用紙端部が検知されると読取部21で用紙の画像を読み取る。読み取られたデータは、メモリ22に格納され、1頁分の読取りが完了すると、通信部24によって通信部14に向けて読取りデータを伝送する。
【0035】
画像形成装置本体10では、通信部14で受信したデータの通信スピードを通信スピード計測部13で測定し、読取りデータを全体制御部12で受信する。データの伝送は、読取り画像が形成された用紙が読取装置20に到達して読み取られる毎に、頁単位で行われる。
全体制御部12では、読取りデータによって画像形成の状態を判断し、必要に応じて画像形成部11における安定化処理を行う。
【0036】
以下に、具体的に説明する。
画像形成パフォーマンス(スピード)が、1分間に60枚である60PPM(Page per minute)の機械に対して、毎紙おきに安定化パッチを描画して、読取装置20で読み取る場合で説明する。
読取装置20での読み込みは、画像形成装置本体10で描画された用紙を通紙し、用紙のエッジをトリガに、生成される(S)VV(読取垂直画像有効信号)、(S)HV(読取水平画像有効信号)と、事前に全体制御部12から受け取ったパッチ位置情報からパッチを読み込む。
【0037】
仮に、60PPMの画像形成装置の場合は、画像形成装置本体10からの出力物は1秒おきに読取装置20に送り出されるため、読取装置20側で出力物を読み込むための信号(S)VVのON間隔は約1秒おきにONする。用紙の搬送スピードが、400mm/Secである場合、A4の紙(210mm)は、
図2に示すように、210mm/400mmSec=525mSec期間VVがON、475mSec期間がOFFとなる。
【0038】
読取部21がパッチを読み込んだ後、読取装置20は、データを送信することを全体制御部12に通知し、画像形成装置本体10に対し、通信部24を通じてデータを送信する。
読取装置20と画像形成装置本体10とでは、コマンド通信部によってコマンドを送受信する。画像形成装置本体10では、全体制御部12がコマンド通信の機能を担う。読取装置10では、図示しない読取制御部などによってコマンド通信を行う。
なお、データの転送は、転送開始と終了を示すEventであっても信号であっても良い。本実施形態では、Valid信号(P)VVを利用して、画像形成装置本体に通信する方式として説明する。
図3に、読取装置20→画像形成装置本体10へのデータ転送時に利用される(P)VVのイメージを示す。
【0039】
画像形成装置の通信スピード計測部13は、画像形成装置本体10から出力した出力物と、前記の(P)VV信号のON期間から、読取装置20からの通信スピードを把握する。
説明を簡略化するために、読取装置20からの通信スピードの設計も、本体の線速と同様400mm/Secとした場合、A4の転送期間(P)VV期間は525mSecとなる。
【0040】
画像形成装置本体10は、読取装置20からデータを受ける際、通信スピード計測部13を利用して、前記(P)VV ON期間をモニタする。読取装置20→画像形成装置本体10への通信速度をTPM(TransferPerMinute)としてあらわすことにするが、本具体例では(P)VV On期間が画像の伝送期間としているため、単位時間の60秒に何枚送ることが出来るかを表していることになる。よって、前記の正常時の例525mSecでは、60秒/525mSec=約114TPMとなる。
また、これらのTPMの計算は、(P)VVのOn期間に、下記式に示すように予めマージンαmSecを持たせて計算しても良い。
TPM=60000mSec/((P)VV On期間)mSec+α・mSec
【0041】
仮に、
図4に示すように、異常時1のように、A4転送時間が600mSecであった場合は、通信速度は(525/600*100=87.5)約12.5%低下している事になる。また、前記通信速度の場合は60秒/600mSec=100TPM(TPM:TransferPerMinute)ということになる。
仮に、通信速度が2分の1(50%)に落ちた場合は、(P)VV期間は1050mSecとなり、60/1050≒57TPMとなる。
【0042】
画像形成装置の、通信スピード計測部13におけるTPMの計算は、転送時毎に計算(瞬間TPM)するが、通信速度の最悪値をminTPMとして保存しておく。
minTPMのリセットは、通信部に関係する部品の交換を実施した際にPPM値でリセットする。また、通信スピード計測部13が、予め定められた期間、正常速度(TPM>PPM)になっていることを検知した場合リセットしてもよいし、ユーザ指示でリセットする処理を設けても良い。
【0043】
電源ON時に、前記通信速度(TPM)の情報を取得し、安定化画像パッチ出力間隔(毎ページ出力設定)と、画像形成装置の速度(60PPM)からパッチの出力間隔(StablePatchPM:SPPM)を求める。
本実施形態では、60PPMの画像形成装置で、毎ページ毎に安定化パッチを出力する設定であるためSPPMは60SPPMとなる。
TPM<SPPM時(要するに次の安定化パッチが届く前にデータ転送が間に合わない場合)は、ユーザに対して、
図5に示すように、操作部15に安定化パッチの出力間隔を変更するか、画像形成装置の速度(PPM)を落とすか選択するように表示することができる。
また、TPMの計算時にαmSecの値を設定し、上記判定を行ってもよいし、上記判定時にSPPMにマージン(β)をもたせ、SPPM+βとTPMを比較しても良い。
【0044】
図5の選択画面150では、読取装置−本体間の通信速度が低下していることと、安定化パッチ生成間隔を広げるか、印刷パフォーマンスを落とすかの選択を、表示領域151に表示する。
また、選択画面150では、安定化パッチ生成間隔を広げることを選択するための、「安定化パッチ間隔を広げる」釦152と、印刷パフォーマンスを落とすための、「印刷パフォーマンスを落とす」釦153とが押下可能に表示されている。いずれかの釦を押すことで選択内容が決定されて処理が開始される。
【0045】
安定化パッチ生成間隔を広げるためには、PPM自体は変更せず、読取りを行う用紙をN枚(ただしNは2以上の整数)毎に行うように設定することができる。また、PPMの低下と組み合わせるようにしてもよい。
図6は、安定化パッチ間隔を何枚ごとに行うかを設定する設定画面160を示すものである。設定画面160では、読取装置→本体通信速度が低下していることを表示領域161に表示する。設定画面160には、現在の設定枚数を生成間隔表示部162に表示する(図では1枚ごと)。また、何枚おきに、パッチを行うかを設定するパッチ間隔枚数入力欄163が設けられており、2以上の整数を入力することができる。
【0046】
ユーザが、前記選択でパッチ間隔を2枚おきとした場合は、画像形成装置は、2枚おきに安定化のパッチを描画するように動作させる。また、安定化パッチの紙間は次の式(PPM/minPPM(端数切り上げ))で求まるため予め設定値を表示しておいても良い。
※PPM:60 minPPM:57の場合、60/57≒2、2枚おき以上で設定可能等を表示。
ユーザが、前記選択でPPMを落とす指示を行った場合は、画像形成装置は、毎ページ安定化のパッチを描画し、紙間をのばして、minTPMより遅い速度で動作するようにする。
【0047】
※PPM:60 minPPM:57の場合の紙間計算の例
※60PPM、400mm/SecのA4描画時間((P)VV ON期間)は525mSec、紙間は475mSecで1000mSecと設計されている。57PPMは、1050mSecで動作させればよいため、紙間を通常より+50mSec多くすればよい。よって、紙間を475mSec+50mSec=525mSecとして制御する。
また、TPM<PPM(要するに正常時の転送スピードより遅くなった場合)となった場合には、転送スピードが低下している事を、操作部上に表示してユーザに知らせる。また、別途設けたインターネットへの通信手段を利用して、リモートセンターやサービスマンに通知しても良い。
また、TPMの計算時にαmSecの値を設定し、上記判定を行ってもよいし、上記判定時にPPMにマージン(γ)をもたせPPM+γとTPMを比較しても良い。
また、TPMの計算に利用される(P)VV On期間の長さが、あらかじめ設定されている閾値を超えた場合に表示しても良い。
【0048】
図7は、
図5の選択画面で選択された際の動作を説明する図である。
左図は、パッチ付加間隔を2枚ごとに設定したものであり、排紙間隔は変更されていない。パッチ付加間隔を広げることで、データの通信速度は、画像形成パフォーマンス以上になっている。
右図は、排紙間隔を広げることで、データの通信速度は、画像形成パフォーマンス以上としたものである。
【0049】
また、読取結果データの通信に際し、
図8の下図に示すように、読込データの通信速度の低下量がしきい値以上である場合、稼働率の低下などを考慮して画像形成パフォーマンスの調整制御は行わないようにすることができる。この際に、保守点管理者であるサービスマンに連絡を促す画面を操作画面170の表示領域171に表示することができる。
ただし、ユーザが稼働率の低下に拘わらず、処理を続行した場合には、継続機能釦によってユーザの指示によって処理を続行できるようにしてもよい。
図8の操作画面170には、「処理を続行する場合は、こちらをおしてください」釦172を表示して、操作続行を選択できるようにしてもよい。
なお、上記しきい値は予め設定して全体制御部12の記憶部に記憶しておくことができ、また、ユーザが設定できるようにしてもよい。すなわち、しきい値の設定方法は特に限定されるものではない。
【0050】
次に、画像形成装置において画像形成パフォーマンスを調整する制御手順を
図9のフローチャートに基づいて説明する。以下の手順は、全体制御部12の制御によって実行される。
電源オンによって、minTPM自己復帰判定処理を行う。自己復帰判定処理は
図10のステップs50、s51に示されるように、過去n回の瞬間TPMがすべてPPM以上であるかを判定する(ステップs50)。過去n回の瞬間TPMがすべてPPM以上であれば(ステップs50、Yes)、minTPMをPPMでリセットし、不揮発メモリにminTPMを格納して復帰する。過去n回の瞬間TPMがすべてPPM以上であるものではない場合(ステップs50、No)、自己復帰することなく復帰する。
【0051】
自動復帰判定処理後、出力枚数Pout=0にリセットする(ステップs2)。次いで、前回パッチ描画カウントoldPout=0にリセットする(ステップs3)。次に、紙間をあけるflagをリセットし(ステップs4)、最低転送速度minTPMを取得する(ステップs5)。最低転送速度minTPMは、不揮発メモリに格納されたminTPMを参照して取得することができる。不揮発メモリのminTPMには、サービスマンによるリセット、ユーザ指示によるリセット、自己復帰判定時によるリセット、読取部読み込み要求処理で計算されたものの格納がされる。
【0052】
次いで、安定化パッチ描画間隔取得により、Interval=Nとする(ステップs6)。安定化パッチ描画間隔は、予め初期設定がなされており、さらにユーザによる指示によって設定することができる。
次に、転送速度(minTPM)<PPMかを判定する(ステップs7)。転送速度(minTPM)<PPMである場合(ステップs7、Yes)、操作部に、読取データの通信速度が低下していることを通知し(ステップs8)、継続ボタンが押されたかを判定する(ステップs9)。継続ボタンが押されていなければ(ステップs9、No)、全印字終了状態とする(ステップs25)。
【0053】
継続ボタンが押されていれば(ステップs9、Yes)、パッチ描画出力(STPM=PPM/Interval)が転送速度(minTPM)より大きいかの判定がなされる(ステップs10)。パッチ描画出力速度が転送速度より大きくなければ(ステップs10、No)、出力枚数カウントアップ(Pout++)する(ステップs17)。
パッチ描画出力速度が転送速度より大きければ(ステップs10、Yes)、操作部に印刷間隔を延ばすか、パッチ描画間隔をあけるかの選択機能釦を表示し(ステップs11)、選択の結果、パッチ描画間隔をあける、が選択されたかを判定する(ステップs12)。
【0054】
パッチ描画間隔をあける選択がされていれば(ステップs12、Yes)、パッチ描画間隔を入力し、Interval=Mとし(ステップs13)、紙間をあけるFlagをリセットし(ステップs14)、出力枚数カウントアップ(Pout++)を行う(ステップs17)。
パッチ描画間隔をあける選択がされていなければ(ステップs12、No)、パッチ描画間隔を1にセットし(Interval=1)(ステップs15)、紙間をあけるFlagをセットし(ステップs16)、出力枚数カウントアップ(Pout++)を行う(ステップs17)。
【0055】
ステップs17の出力枚数カウントアップ後、安定化パッチを描画するか(oldout+INterval=Pout?)を判定する(ステップs18)。
安定化パッチ描画でなければ(ステップs18、No)、画像描画を行う(ステップs22)。安定化パッチ描画であれば(ステップs18、Yes)、安定化パッチを画像として追加し(ステップs19)、前回パッチ描画をカウントする(oldPout=Pout)(ステップs20)。次いで、読取部に読み込み要求処理を依頼する(ステップs21)。読み込み要求処理の詳細は後述する。読み込み要求処理後、画像描画を行う(ステップs22)。
【0056】
ステップs22の画像描画後、紙間をあけるflagがセットされているかを判定する(ステップs23)。
紙間をあけるflagがセットされていれば(ステップs23、Yes)、紙間をあけて(ステップs24)、全印字終了かを判定する(ステップs25)。 紙間をあけるflagがセットされていなければ(ステップs23、No)、全印字終了かを判定する(ステップs25)。
全印字終了かの判定で全印字終了でなければ(ステップs25、No)、ステップs17に戻って処理を継続する。
全印字終了であれば(ステップs25、Yes)、電源OFFかを判定する(ステップs26)。電源OFFでなければ(ステップs26、No)、ステップs1に戻り、電源OFFであれば(ステップs26、Yes)、処理を終了する。
【0057】
次に、
図10に基づいて、読み込み要求処理の手順について説明する。なお、以下の手順は、制御部の制御によって実行される。
読み込み要求処理があると、読み取り処理が行われる(ステップs30)。読取り処理では、読取部で読取り準備が行われ(ステップs40)、用紙検知部で用紙のエッジ検出が行われるとともに、用紙の画像読取りが行われる(ステップs41)。その後、データ転送が行われて読取り処理が終了する。
【0058】
ステップs30の読取り処理後、(P)VV長がリセットされ(ステップs31)、(P)VVがONかの判定がなされる(ステップs32)。(P)VVがONでなければ(ステップs32、No)、ONを待機する。
(P)VVがONであれば(ステップs32、Yes)、読取処理におけるデータ転送に基づいて(P)VV長を測定し(ステップs33)、次に、(P)VVがOFFかの判定が行われる(ステップs34)。(P)VVがOFFでなければ(ステップs34、No)、ステップs33に戻って処理を継続する。
(P)VVがOFFであれば(ステップs34、Yes)、瞬間TPMを計算する。瞬間TPMは、瞬間TPM=60秒/(P)VV ON期間+αで算出される(ステップs35)。算出された瞬間TPMは不揮発メモリに格納される。不揮発メモリでは、リングバッファ方式が用いられる。
【0059】
ステップs36の瞬間TPM計算後、minTPM>瞬間TPMかを判定する(ステップs36)。minTPM>瞬間TPMである場合(ステップs36、Yes)、minTPM=瞬間TPMとし、minTPMは、不揮発メモリに格納されて(ステップs37)、タスクを終了する。
minTPM>瞬間TPMでない場合(ステップs36、No)、タスクを終了する。
【0060】
なお、上記実施形態では、画像の読取を、パッチ画像を読み取るものとして説明したが、画像の読取対象がパッチ画像に限定されるものではなく、ヤレ判定などにおいて通常の印刷画像を読み込んでヤレ判定を行うようにしてもよい。本発明では、読取データを制御部で取得して画像形成の状態を判断しており、その目的は、安定化処理やヤレ判定に限られるものではなく、画像形成の状態判断を行うものであれば、その使用目的が特に限定されるものではない。
【0061】
本実施形態では、画像形成装置で作成した印刷物上の画像(安定化用パッチ等)をインライン上に設置された読取装置(ICCU等)で読み取り、画像を安定化させる画像形成装置において、画像読み取り装置で読み取ったデータを、画像形成装置に伝送するスピードをモニタしておき、伝送スピードの低下に応じて、安定化用パッチ出力の間隔を空けるもしくは、印刷物の出力間隔を遅くする。また、これらの動作を選択させるようユーザに通知する。
【0062】
本実施形態では、読取結果のデータの通信スピードが低下するのに応じて、一定間隔で送り出されるデータの間隔をあらかじめ遅くすることで、装置の停止時間を極力少なくし、システム稼働率があがることができる。また、通信異常が発生した場合であっても、その時の通信スピードに応じて装置を動かすことができる。
【0063】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。