特許第6601259号(P6601259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6601259耐候性塗装鋼材及び耐候性鋼材の防食方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6601259
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】耐候性塗装鋼材及び耐候性鋼材の防食方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20191028BHJP
   C22C 38/16 20060101ALI20191028BHJP
   C22C 38/50 20060101ALI20191028BHJP
   C23F 15/00 20060101ALI20191028BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20191028BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20191028BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   C22C38/00 301F
   C22C38/00 302Z
   C22C38/16
   C22C38/50
   C23F15/00
   B05D5/00 Z
   B05D7/14 P
   B32B15/08 P
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-30851(P2016-30851)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-150004(P2017-150004A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100113918
【弁理士】
【氏名又は名称】亀松 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140121
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 朝幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 妃奈
(72)【発明者】
【氏名】長澤 慎
(72)【発明者】
【氏名】上村 隆之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄一
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭48−081720(JP,A)
【文献】 特開2013−166991(JP,A)
【文献】 特開2006−315238(JP,A)
【文献】 特開昭62−017199(JP,A)
【文献】 特開2013−147729(JP,A)
【文献】 特開2006−124796(JP,A)
【文献】 特開2008−174768(JP,A)
【文献】 特開2017−014577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00−38/60
B05D 5/00
B05D 7/14
B32B 15/08
C23F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、
C :0.03〜0.15%、
Si:0.02〜1.0%、
Mn:0.05〜1.10%、
Cu:0.05〜1.0%、
Ni:0.5〜6.5%
を含有し、更に、
S :0.010%以下、
P :0.025%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材と、
前記鋼材の表面に接するSn含有層とを有し、
前記Sn含有層はSnイオン供給物質とバインダーとを含有し、
前記Snイオン供給物質の量は、前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%であることを特徴とする耐候性塗装鋼材。
【請求項2】
前記鋼材のMnの含有量[Mn]とSの含有量[S]とが、[Mn]×[S]≦0.005を満足することを特徴とする請求項1に記載の耐候性塗装鋼材。
【請求項3】
更に、質量%で、
Cr:0.15%以下、
Al:1.0%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐候性塗装鋼材。
【請求項4】
更に、質量%で、
Mo:1.0%以下、
W :1.0%以下、
V :1.0%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の耐候性塗装鋼材。
【請求項5】
更に、質量%で、
Nb:0.20%以下、
Ti:0.30%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の耐候性塗装鋼材。
【請求項6】
更に、質量%で、
Ca:0.020%以下、
Mg:0.010%以下、
REM:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の耐候性塗装鋼材。
【請求項7】
前記Sn含有層が、更に、Cu2+イオン、Ni2+イオン、Cr3+イオンの1種又は2種以上を供給する1種以上の酸可溶性の金属イオン供給物質を含有し、
前記Snイオン供給物質及び前記金属イオン供給物質の量は、前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量、金属Cu換算量、金属Ni換算量、金属Cr換算量の合計が65%以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の耐候性塗装鋼材。
【請求項8】
上記Sn含有層に接する有機樹脂層を有し、前記有機樹脂層は、10〜100μmの膜厚であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の耐候性塗装鋼材。
【請求項9】
前記Sn含有層は、5〜50μmの膜厚であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の耐候性塗装鋼材。
【請求項10】
質量%で、
C :0.03〜0.15%、
Si:0.02〜1.0%、
Mn:0.05〜1.10%、
Cu:0.05〜1.0%、
Ni:0.5〜6.5%
を含有し、更に、
S :0.010%以下、
P :0.025%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材を準備し、
全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%になるように、Snイオン供給物質をバインダーに混合してSn含有塗料を準備し、
前記Sn含有塗料を前記鋼材の表面の上に塗布してSn含有層を形成することを特徴とする耐候性鋼材の防食方法。
【請求項11】
前記鋼材のMnの含有量[Mn]とSの含有量[S]とが、[Mn]×[S]≦0.005を満足することを特徴とする請求項10に記載の耐候性鋼材の防食方法。
【請求項12】
前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:0.15%以下、
Al:1.0%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする請求項10又は11に記載の耐候性鋼材の防食方法。
【請求項13】
前記鋼材が、更に、質量%で、
Mo:1.0%以下、
W :1.0%以下、
V :1.0%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の耐候性鋼材の防食方法。
【請求項14】
前記鋼材が、更に、質量%で、
Nb:0.20%以下、
Ti:0.30%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする請求項10〜13の何れか1項に記載の耐候性鋼材の防食方法。
【請求項15】
前記鋼材が、更に、質量%で、
Ca:0.020%以下、
Mg:0.010%以下、
REM:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項10〜14の何れか1項に記載の耐候性鋼材の防食方法。
【請求項16】
全固形分質量に対して金属Sn換算量、金属Cu換算量、金属Ni換算量、金属Cr換算量の合計が65%以下になるように金属イオン供給物質をバインダーに混合してSn含有塗料を準備することを特徴とする請求項10〜15の何れか1項に記載の耐候性鋼材の防食方法。
【請求項17】
前記Sn含有層を形成した後、更に、厚みが10〜100μmの有機樹脂層を形成することを特徴とする請求項10〜16の何れか1項に記載の耐候性鋼材の防食方法。
【請求項18】
前記Sn含有層を5〜50μmの膜厚に形成することを特徴とする請求項10〜17の何れか1項に記載の耐候性鋼材の防食方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐候性塗装鋼材及び耐候性鋼材の防食方法に関する。
【背景技術】
【0002】
耐候性鋼材は、防食性が高い安定さびに覆われることによって耐食性を発現する鋼材である。特に、鋼中にNi、Cu、P等の合金元素を添加した耐候性鋼材は、海浜地域などのように飛来する海塩粒子が多い環境においても、安定さびを形成し、腐食を抑制することが可能である。更に、外観を損なう初期のさびの生成を抑制するため、鋼中にNi、Mo、Pを添加した耐候性鋼材が提案されている (例えば、特許文献1、参照)。
【0003】
また、飛来塩分量が多く、厳しい腐食環境で使用される耐候性鋼材には塗装が施される場合がある。しかし、海浜地域などで塗装鋼材を使用する際には塗膜が劣化するため、塗り替えなどのメンテナンスが必要になる。このような問題に対して、Cu、Niを添加した鋼材にエポキシ−シリコン系塗装を施した塗装鋼材が提案されている(例えば、特許文献2、参照)。
【0004】
ところで、海浜地域や融雪塩が散布される地域などで問題となる、塩化物に起因する腐食に対し、Snイオンを供給源とする物質を含有させた塗膜を鋼材表面に形成する方法が提案されている(例えば、特許文献3〜5、参照)。これらは、塗膜に含まれるSnイオンにより、酸化剤として腐食を加速するFe3+の生成や、アノード反応及びカソード反応を抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−309340号公報
【特許文献2】特開2002−129282号公報
【特許文献3】特開2007−230088号公報
【特許文献4】特開2006−315238号公報
【特許文献5】特開2006−316139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鋼中にNi、Cu、P等の合金元素を添加した耐候性鋼材の表面にSnイオンを供給源とする物質を含有させた塗膜を形成することで、融雪塩散布地域などの高塩分環境においても、優れた耐食性を発揮することが可能となる。
しかし、本発明者らの検討により、耐候性鋼材の表面にSnイオンの供給源となる物質を含有させた塗膜を形成しても、局所的に塗装耐食性が不十分であることが確認された。
【0007】
具体的には、耐候性塗装鋼材の塗膜に、鋼材の表面に達する疵が付くと、局所的な腐食の進行、即ち、塗膜下腐食の進行が問題になる場合があるという知見を得た。本発明はこのような実情に鑑み、高塩分環境において塗膜下腐食を抑制することが可能な耐候性塗装鋼材及び耐候性鋼材の防食方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らの検討の結果、鋼中にMnSが生成していると、耐候性鋼材の表面にSnイオンの供給源となる物質を含有させた塗膜を形成しても、塗膜下腐食が進行する傾向にあることが明らかになった。MnSが塗装欠陥部の耐食性に悪影響を及ぼし、耐候性塗装鋼材の塗膜下腐食を進行させる理由は、MnSの加水分解によってpHが大きく低下したためであると推定される。
【0009】
そこで、本発明者らは、MnSの形成を抑制し、耐候性鋼材の塗装耐食性を向上させるため検討を行った。その結果、Mn量の上限を1.10%以下に制限することにより、耐候性塗装鋼材の塗膜下腐食が抑制され、耐食性が大幅に向上することを見出した。また、MnSの生成を抑制するため、S添加量[S]とMn添加量[Mn]との積を0.005以下に制限することにより、塗膜下腐食がより顕著に抑制されることを見出した。
【0010】
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
【0011】
[1] 質量%で、
C :0.03〜0.15%、
Si:0.02〜1.0%、
Mn:0.05〜1.10%、
Cu:0.05〜1.0%、
Ni:0.5〜6.5%
を含有し、更に、
S :0.010%以下、
P :0.025%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材と、
前記鋼材の表面に接するSn含有層とを有し、
前記Sn含有層はSnイオン供給物質とバインダーとを含有し、
前記Snイオン供給物質の量は、前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%であることを特徴とする耐候性塗装鋼材。
[2] 前記鋼材のMnの含有量[Mn]とSの含有量[S]とが、[Mn]×[S]≦0.005を満足することを特徴とする請求項1に記載の耐候性塗装鋼材。
[3] 更に、質量%で、
Cr:0.15%以下、
Al:1.0%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の耐候性塗装鋼材。
[4] 更に、質量%で、
Mo:1.0%以下、
W :1.0%以下、
V :1.0%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[1]〜[3]の何れかに記載の耐候性塗装鋼材。
[5] 更に、質量%で、
Nb:0.20%以下、
Ti:0.30%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする上記[1]〜[4]の何れかに記載の耐候性塗装鋼材。
[6] 更に、質量%で、
Ca:0.020%以下、
Mg:0.010%以下、
REM:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[1]〜[5]の何れかに記載の耐候性塗装鋼材。
[7] 前記Sn含有層が、更に、Cu2+イオン、Ni2+イオン、Cr3+イオンの1種又は2種以上を供給する1種以上の酸可溶性の金属イオン供給物質を含有し、
前記Snイオン供給物質及び前記金属イオン供給物質の量は、前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量、金属Cu換算量、金属Ni換算量、金属Cr換算量の合計が65%以下であることを特徴とする上記[1]〜[6]の何れかに記載の耐候性塗装鋼材。
[8] 上記Sn含有層に接する有機樹脂層を有し、前記有機樹脂層は、10〜100μmの膜厚であることを特徴とする上記[1]〜[7]の何れかに記載の耐候性塗装鋼材。
[9] 前記Sn含有層は、5〜50μmの膜厚であることを特徴とする上記[1]〜[8]の何れか1項に記載の耐候性塗装鋼材。
[10] 質量%で、
C :0.03〜0.15%、
Si:0.02〜1.0%、
Mn:0.05〜1.10%、
Cu:0.05〜1.0%、
Ni:0.5〜6.5%
を含有し、更に、
S :0.010%以下、
P :0.025%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材を準備し、
全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%になるように、Snイオン供給物質をバインダーに混合してSn含有塗料を準備し、
前記Sn含有塗料を前記鋼材の表面の上に塗布してSn含有層を形成することを特徴とする耐候性鋼材の防食方法。
[11] 前記鋼材のMnの含有量[Mn]とSの含有量[S]とが、[Mn]×[S]≦0.005を満足することを特徴とする上記[10]に記載の耐候性鋼材の防食方法。
[12] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:0.15%以下、
Al:1.0%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする上記[10]又は[11]に記載の耐候性鋼材の防食方法。
[13] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Mo:1.0%以下、
W :1.0%以下、
V :1.0%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[10]〜[12]の何れかに記載の耐候性鋼材の防食方法。
[14] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Nb:0.20%以下、
Ti:0.30%以下
の一方又は両方を含有することを特徴とする上記[10]〜[13]の何れかに記載の耐候性鋼材の防食方法。
[15] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Ca:0.020%以下、
Mg:0.010%以下、
REM:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[10]〜[14]の何れかに記載の耐候性鋼材の防食方法。
[16] 全固形分質量に対して金属Sn換算量、金属Cu換算量、金属Ni換算量、金属Cr換算量の合計が65%以下になるように金属イオン供給物質をバインダーに混合してSn含有塗料を準備することを特徴とする上記[10]〜[15]の何れかに記載の耐候性鋼材の防食方法。
[17] 前記Sn含有層を形成した後、更に、厚みが10〜100μmの有機樹脂層を形成することを特徴とする上記[10]〜[16]の何れかに記載の耐候性鋼材の防食方法。
[18] 前記Sn含有層を5〜50μmの膜厚に形成することを特徴とする上記[10]〜[17]の何れかに記載の耐候性鋼材の防食方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高塩分環境において塗膜下腐食を抑制することが可能な耐候性塗装鋼材を提供することができる。したがって、本発明によれば、耐候性鋼材の耐食性を向上させ、塗膜下腐食を著しく抑制することが可能になるなど、産業上の貢献が極めて顕著である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
鋼中にNi、Cu、P等の合金元素を添加した耐候性鋼材は、飛来塩分量が多い地域でも、無塗装仕様で優れた耐食性を発揮する。更に、融雪塩を散布する地域や、海に非常に近い地域においては、耐候性鋼材の表面に塗装を施すことで耐食性を向上させることができる。中でも、Snイオンを含む塗装を施した鋼材は、塗装疵部や塗装脆弱部などで地鉄鋼材が露出しても、その近傍での腐食の進行が抑制される。
【0014】
しかし、本発明者らが高塩化物環における耐食性について検討を行った結果、鋼中にNi、Cu、P等の合金元素を添加した耐候性鋼材Snイオンを含む塗装を施した場合、普通鋼に塗装を施した場合と比べて耐食性は向上するものの、局所的に塗膜下腐食が進行していることを確認した。そして、鋼中のMnSの形成を抑制することで、耐候性塗装鋼材の塗膜下腐食を抑制できるという知見を得た。
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
(C:0.03〜0.15%)
C:Cは、鋼の強度を増加させる元素であり、効果を得るためにC量を0.03%以上とする。好ましくはC量を0.05%以上とする。一方、Cを過剰に含有させると、溶接性、靱性、耐候性が劣化するので、C量を0.15%以下とする。好ましくはC量を0.10%以下とする。
【0017】
(Si:0.02〜1.0%)
Si:Siは、脱酸剤であり、鋼の強度の増加にも有効な元素であり、効果を得るために、Si量を0.02%以上とする。好ましくはSi量を0.10%以上とする。一方、Siを過剰に含有させると靱性及び溶接性が劣化するので、Si量を1.0%以下とする。好ましくは0.75%以下、より好ましくは0.50%以下とする。
【0018】
(Mn:0.05〜1.10%)
Mn:Mnは、腐食の起点となるMnSを形成し、塗膜下腐食を進行させるため、Mn量を1.10%以下に制限する。好ましくはMn量を1.00%以下とする。一方、Mnは鋼の強度と靱性の向上に寄与するため、下限を0.05%とする。好ましくはMn量を0.10%以上、より好ましくは0.20%以上とする。
【0019】
(Cu:0.05〜1.0%)
Cu:Cuは、耐候性を向上させる元素であり、効果を得るために0.05%以上を添加する。好ましくは0.10%以上を添加する。一方、1.0 %を超えてCuを添加しても効果が飽和するため、Cu量の上限を1.0%以下とする。また、Cuは、脆化を起こす原因となる場合があるため、Cu量は0.90%以下が好ましく、より好ましくは0.80%以下とする。
【0020】
(Ni:0.5〜6.5%)
Ni:Niを含有する鋼材のさびは、非晶質さび又は微細FeOOHであり、鋼の溶解反応を抑制する作用を有すると同時に、塩化物イオンの透過をある程度抑制する性質を持っている。したがって、Niは、飛来塩分量の多い環境において有効な添加元素であり、効果を得るためにNi量を0.5%とする。好ましくはNi量を1.0 %以上とする。一方、Niは高価な元素であり、多量に添加するとコストが増大するため、Ni量を6.5%以下とする。好ましくは6.0%以下、より好ましくは5.0%以下とする。
【0021】
(P:0.025%以下)
P:Pは不純物であり、過剰に添加すると溶接性が劣化するため、0.025%以下に制限する。好ましくは0.020%以下とする。一方、Pは、耐候性を向上させる元素であり、0.001%以上を含有させてもよい。好ましくはP量を0.002%以上、より好ましくは0.005%以上とする。
【0022】
(S:0.010%以下)
S:Sは、MnとMnS を形成し、塗膜下腐食を進行させる元素であり、極力少なくする必要があり、S量を0.010%以下に制限する。好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.004%以下とする。S量の下限は、コストの観点から0.0001%以上としてもよく、0.001%以上としてもよい。
【0023】
鋼中に形成されたMnSは、耐候性塗装鋼材の塗膜下腐食の起点となり、塗装欠陥部の耐食性に悪影響を及ぼすと考えられる。本発明者らが、耐候性鋼材のMn量及びS量と塗膜欠陥部の耐食性との関係を整理した結果、Mn量とS量の積([Mn]×[S])が0.005以下となる場合、塗膜欠陥部の腐食が顕著に抑制されることが判明した。
【0024】
([Mn]×[S]≦0.005)
Mnの含有量[Mn]とSの含有量[S]の数値の積([Mn]×[S])を0.005以下にすることが好ましい。[Mn]×[S]を0.005以下とすることにより、MnSの生成が抑制され、塗膜欠陥部の腐食が顕著に抑制される。また、[Mn]×[S]は、好ましくは0.004以下、より好ましくは0.003以下である。
【0025】
更に、Cr、Alの一方又は両方を含有させてもよい。
【0026】
(Cr:0.15%以下)
Cr:Crはさびを微細にし、耐食性を向上させる効果があるため、必要に応じて添加してもよく、Cr量は0.01%以上が好ましい。ただし、塩分が堆積するような環境においては、Crの添加により孔食が生じ易くなることがあるため、Cr量は0.15%以下が好ましい。より好ましくはCr量を0.10%以下とする。
【0027】
(Al:1.0%以下)
Al:Alはさびを微細にし、耐食性を向上させる効果があるため、必要に応じて添加してもよい。Alは、脱酸元素であり、また、Feの一部がAlに置換したα−FeOOHからなる保護性さび層を形成し、耐候性を向上させることから、0.01%以上を添加してもよい。一方、Al量が過剰になると介在物が増加して耐食性が低下するため、1.0%以下が好ましい。より好ましくは0.10%以下、更に好ましくは0.05%以下とする。
【0028】
更に、Mo、W、Vの1種又は2種以上を含有させてもよい。
【0029】
(Mo:1.0%以下)
Mo:Moはさび層中に酸素酸イオン(MoO2− )として存在し、さび層が陽イオン選択性を有するため、Moの添加によって、塩化物イオンの侵入を抑制する効果が得られる。Mo量は0.05%以上が好ましく、より好ましくは0.10%以上とする。一方、1.0%を超えてMoを添加しても効果が飽和するため、コストの観点から、Mo量は1.0%以下が好ましい。より好ましくはMo量を0.50%以下とする。
【0030】
(W:1.0%以下)
W:Moと同様、酸素酸イオン(WO)を形成し、さび層への塩化物イオンの侵入を抑制する。効果を得るために、W量は0.05%以上が好ましく、より好ましくは0.10%以上とする。一方、1.0 %を超えてWを添加しても効果が飽和するため、コストの観点から、W量は1.0 %以下が好ましい。より好ましくはW量を0.50%以下とする。
【0031】
(V:1.0%以下)
V:MoやWと同様、酸素酸イオン(VO) を形成し、さび層への塩化物イオンの侵入を抑制する。効果を得るために、V量は0.01%以上が好ましく、より好ましくは0.05%以上とする。一方、1.0 %を超えて添加すると、析出物を生じて機械特性に悪影響を及ぼすことがあるため、V量は1.0%以下が好ましい。より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.1%以下とする。
【0032】
更に、Nb、Tiの一方又は両方を含有させてもよい。
【0033】
(Nb:0.20%以下)
Nb:Nbは炭化物や窒化物を形成して強度を高め、また、Crと同時に添加する場合は、Cr炭化物の形成を抑制して耐食性の向上に寄与する。Nb量は0.001 %以上が好ましく、より好ましくは0.005%以上とする。一方、Nbを過剰に添加すると、析出物を生じて機械特性に悪影響を及ぼすことがあるため、Nb量は0.20%以下が好ましい。より好ましくは0.10%以下、更に好ましくは0.05%以下とする。
【0034】
(Ti:0.30%以下)
Ti:Tiは炭化物や窒化物を形成して強度を高め、硫化物や炭硫化物を形成して、腐食の起点となるMnSの形成を抑え耐候性を改善する効果がある。また、Crと同時に添加する場合は、Cr炭化物の形成を抑制して耐食性の向上に寄与する。Ti量は0.001%以上が好ましく、より好ましくは0.005%以上とする。一方、Tiを過剰に添加すると、析出物を生じて機械特性に悪影響を及ぼすことがあるため、Ti量は0.30%以下が好ましい。より好ましくは0.10%以下、更に好ましくは0.05%以下とする。
【0035】
更に、Ca、Mg、REMを1種又は2種以上を含有させてもよい。
【0036】
(Ca:0.020%以下)
(Mg:0.010%以下)
(REM:0.010%以下)
Ca、Mg、REM:Ca、Mg、REMは、酸化物や硫化物の制御に用いられる元素であり、また、さび粒子の微細析出、凝集を促進し、耐候性の改善にも寄与する。Ca、Mg、REMの含有量は、それぞれ、0.0001%以上が好ましく、より好ましくは0.0002%以上とする。Ca、Mg、REMは、過剰に添加すると機械特性が損なわれる場合があるため、Ca量は0.020%以下、Mg量は0.010%以下、REM量は0.0010%を上限とするのが好ましい。より好ましくは、Ca量、Mg量、REM量を0.005%以下とする。
【0037】
本発明においては、上記元素以外の残部はFe及び不可避的不純物からなるが、本発明の作用効果を害さない範囲内で他の元素を微量に添加することができる。
【0038】
本発明の耐食鋼材の形状は特に限定されず、鋼板、鋼帯、形鋼、鋼管、棒鋼、鋼線等であればよい。鋼板、鋼帯、形鋼、鋼管等の鋼材の厚さは特に限定されないが、通常3〜50mmである。好ましい下限は6mm、より好ましくは10mmであり、好ましい上限は40mm、より好ましくは30mmである。
【0039】
次に、Sn含有層について説明する。上述の成分組成を有する耐食鋼材の表面の上に直接、又は、耐食鋼材の表面に形成されたさび層の上に、バインダーと酸可溶性のSnイオン供給物質とを含むSn含有層を形成する。「酸可溶性のSnイオン供給物質」とは、酸性溶液に溶解してSn2+イオンとSn4+イオンの一方又は両方を供給することができる物質を意味する。そのようなSnイオン供給物質は、具体的には、2価Sn化合物、4価Sn化合物、更には金属Snを包含する。
【0040】
Sn含有層によって被覆された耐食鋼材では、腐食の進行が塗装疵部や塗装脆弱部などに限定される。そして、鋼中から溶出するCu及びSbと、Sn含有層から溶出するSnイオンとの相乗効果により、塩化物環境における耐食性が著しく向上すると考えられる。
【0041】
このような効果を発現させるためには、樹脂層中のSnイオン供給物質の量がSn金属換算量で1質量%以上とすることが必要である。好ましくは2質量%以上とする。一方、樹脂層中のSnイオン供給物質の量がSn金属換算量で54質量%を超えると、相対的にSnイオン供給物質を結合するバインダーの量が不足し、Sn含有層の密着性が低下するため、上限を54質量%以下とする。好ましくは40質量%以下とする。
【0042】
Snイオン供給物質がSn化合物である場合のSn金属換算質量は次式に従って算出できる。
【0043】
(Sn化合物の添加量)×[(Sn原子量)/(Sn化合物の分子量)]
【0044】
Snイオンの供給物質はSn2+又はSn4+イオンを生ずる、酸可溶性の2価Sn化合物又は4価Sn化合物と、金属Snのうちの少なくとも1種あればよい。好ましくは2価の化合物である。2価の化合物の具体例として、硫酸スズ(II)、酸化スズ(II)、ピロリン酸スズ(II)を挙げることができる。硫酸スズ(II)は中性領域で溶解しがたく、低PH領域になると溶解するので、本発明において使用するのに特に好ましいSnイオン供給源である。
【0045】
バインダー中には、Snイオン供給源に加えて、Cu2+、Ni2+、Cr3+イオンなど、耐食性を向上させる金属イオンの供給源となる金属イオン供給物質を共存させることも可能である。この金属イオン供給物質についても、酸可溶性の金属化合物又は金属を使用する。例えば、Cu(NO、CuSO、Ni(NO、NiSO、Cr(NO、Cr(SOなどである。
【0046】
これら追加の金属イオン供給物質は耐食性を改善するために、1種又は2種以上を使用することができる。そして、金属イオン供給物質の添加量は金属換算での総添加量が、樹脂中の全固形分に基づき、1質量%以上とすることが好ましい。上限は20質量%以下が好ましい。また、Snイオン供給物質との合計量は全固形分に基づく、金属換算量で65質量%以下とすることが好ましい。
【0047】
金属イオン供給物質がM化合物(Mは、Cu、Ni、Crの1種)である場合の金属換算質量は、Snイオン供給物質がSn化合物である場合のSn金属換算質量と同様、次式に従って算出できる。
【0048】
(M化合物の添加量)×[(M原子量)/(M化合物の分子量)]
【0049】
バインダーは特に制限されず、塗料に使用される各種の有機樹脂を使用することができる。具体的にはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。これらは溶液又はエマルジョンのいずれの状態であってもよい。バインダーの固形分としての量は、塗膜層の強度を確保する面から、塗膜層の全固形分に基づいて、25質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上である。バインダーは、その他の成分として、モリブデン酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩などを含有することができる。
【0050】
Sn含有層の厚みは、塗装疵部や塗装脆弱部などにSnイオンを供給して高塩化物環境における耐食性を向上させるために、5μm以上とすることが必要である。好ましくは、10μm以上、より好ましくは20μm以上とする。Sn含有層の厚みの上限は、耐食性の観点からは厚いほど好ましいが、塗装の作業性などの観点から、50μm以下とする。
【0051】
耐久性を向上させるために、Sn含有層の上に、更に、厚みが10μm以上の有機樹脂層を形成してもよい。厚みの上限は、耐久性の観点からは厚いほど好ましいが、塗装の作業性などの観点から、100μm以下が好ましい。上限は、より好ましくは50μm以下とする。
【0052】
有機樹脂層は特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などの塗料が有機樹脂層の形成に使用できる。また、ベンガラ、二酸化チタン、カーボンブラック、などの着色顔料と、タルク、シリカ、マイカなどの体質顔料とを、それぞれ1種又は2種以上添加することができる。
【0053】
次に、本発明の耐候性塗装鋼材の製造方法及び耐候性鋼材の防食方法について説明する。常法で製造した上述の成分を有する耐候性鋼材の表面の上に、Snイオン供給物質とバインダーとを含む表面処理剤を常法で塗布して乾燥させて、Sn含有層を形成する。
【0054】
Sn含有層を形成する前の耐候性鋼材は、例えば、溶鋼を転炉、電気炉等の公知の方法で溶製し、連続鋳造法、造塊法等の公知の方法でスラブやビレット等の鋼素材とし、熱間圧延を施して製造すればよい。なお、溶鋼に、取鍋精錬や真空脱ガス等の処理を施してもよい。鋳造や造塊後の鋼素材をそのまま熱間圧延してもよい。更に、熱間圧延後、熱処理や冷間加工を施すことができる。
【0055】
前記表面処理剤は、前記バインダーの固形分質量、前記Snイオン供給物質及び金属イオン供給物質の固形分質量の合計の質量に対して、金属Sn換算量が1〜54質量%になるように、前記バインダー、前記Snイオン供給物質及び金属イオン供給物質の量が調整される必要がある。しかし、Snイオン供給物質とバインダーとを含む表面処理剤を用いた塗装は、常法に従って行うことができる。
【0056】
例えば、前述したSnイオン供給物質とバインダーとを、必要に応じて金属イオン供給物質を加えて溶媒中に入れ、ディゾルバーやボールミルなどで分散させ、表面処理剤を調製し、当該表面処理剤を前記鋼材の表面の上、又は、耐候性鋼材の表面に塗布し、乾燥することによって、前記Sn含有層を形成しても良い。
【0057】
或いは、前述したバインダーと、前述したSnイオン供給物質及び金属イオン供給物質とを均一に混合して表面処理剤を調製し、当該表面処理剤を前記耐候性鋼材の表面に塗布することによって、前記Sn含有層を形成しても良い。前記表面処理剤は、前記バインダーと溶媒とを均一に混合、或いは前記バインダーを前記溶媒に溶解して溶液を調製した後、前記Snイオン供給物質及び金属イオン供給物質を前記溶液に均一に分散することによって製造しても良い。尚、前記溶媒は、エタノール等の有機溶媒、水、これらの混合液であっても良い。
【0058】
また、既存の構造物の場合には、エアスプレー、エアレススプレー、刷毛塗り等の方法が適当である。工場内で塗装する場合は、ロールコート、浸漬などの他の方法も採用できる。溶媒は塗装後に自然乾燥により蒸散させることが好ましく、そのような溶媒を使用することが好ましい。塗装は乾燥後に塗膜層が形成されるように行う。Sn含有層の上に有機樹脂層を形成する場合も、同様に、常法で行えばよい。
【実施例】
【0059】
表1に示す成分組成の鋼片から、長さ150mm、幅60mm、厚み4mmの試験片を作製した。試験片の表面には、Sa2.5(ISO 8501−1)以上になるようにブラスト処理を施した。
【0060】
【表1】
【0061】
ブラスト処理後の試験片には、Snイオンの供給源となる硫酸スズ(II)を含有したエポキシ系樹脂を塗布し、Sn含有層を形成した。一部の試験片には、Snイオンを含有しないエポキシ系樹脂、Snイオン供給源に替えてSbイオン供給源を含むエポキシ系樹脂を塗布し、塗膜を形成した。一部の試験片には、Sn含有層の表層にフロン系樹脂を塗布し、有機樹脂層を形成した。表2に鋼板表面に塗布した樹脂の組成を示す。
【0062】
【表2】
【0063】
Sn含有層又はSnイオン供給源を含まない塗膜を形成した試験片には、幅0.6mm、長さ50mmの2本の直線が、互いに試験面の下部で試験片上からみて45°で交わるXカットをカッターで入れ、地鉄面を露出させた。Xカットは、不可避的な欠陥を模擬するものである。これらの試験片を用いて複合サイクル試験を行った。
【0064】
サイクル条件は、人工海水噴霧(温度35℃)1時間、乾燥(60℃、湿度20〜30%)2時間、湿潤(50℃、湿度95%以上)1時間とした。このサイクルを300サイクル行った後、スクレーパーにて容易に剥離可能な被膜を除去し、クエン酸アンモニウム溶液にてさびを除去した。その後、腐食深さを17点計測し、平均腐食深さとした。
【0065】
合金元素Ni、Cuを含有しない普通鋼(表1の鋼No.13)とSnイオン供給源及びSbイオン供給源を含まないエポキシ系樹脂(表2の塗膜E)との組合せの平均腐食深さを100とした場合の、各種鋼材の平均腐食深さの相対比で評価を行った。平均腐食深さの相対比が30%以上を×、30%〜20%を△、20%〜15%を○、15%以下を◎、と評価し、結果を表3−1、3−2に示した。
【0066】
表3−1に示したように、鋼No.1〜12にSnイオン供給源を含有する塗膜A〜Dを形成した場合は、耐食性が良好である。このうち鋼No.10は、[S]×[Mn]が0.005を超えており、他の発明例に比べてやや耐食性が劣る。一方、Niが不足している鋼No.14や、S量が多い鋼No.15、Mn量が多い鋼No.16では、Snイオン供給源を含有する塗膜A〜Dを形成した場合であっても、耐食性が低下している。また、表3−2に示したように、[S]×[Mn]が制限された鋼材であっても、Snイオン供給源を含まない塗膜E及びFを形成した場合は、耐食性が低下している。
【0067】
【表3-1】
【0068】
【表3-2】
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の耐候性塗装鋼材及び耐候性鋼材の防食方法によれば、融雪塩散布地域などの高塩分環境において塗膜下腐食が抑制し、耐候性鋼材の塗装耐食性を向上することができる。したがって、本発明は産業上の貢献が極めて顕著である。