(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第2冷却制御部による冷却後に、前記品温センサの検出温度が前記記憶部に記憶された前回の前記品温センサの検出温度よりも低い場合であっても、検出温度差が所定の値以下の場合、冷却を停止させる、
請求項5に記載の真空冷却装置。
前記第1目標圧力値は、前記目標温度から予め設定された冷却下限温度差を減算した温度の圧力換算値である、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の真空冷却装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の真空冷却装置の好ましい一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る真空冷却装置の一実施形態を示す図である。
【0017】
図1に示すように、真空冷却装置1は、冷却槽2と、減圧手段3と、復圧手段4と、制御装置5と、を備える。
【0018】
冷却槽2は、被冷却物23を収容する。冷却槽2は、被冷却物23を出し入れするための開閉扉(図示せず)を備えており、この開閉扉を閉じることで冷却槽2は密閉可能となる。本実施例では、被冷却物23として食材が冷却槽2内に収容される。
【0019】
冷却槽2には、冷却槽2内に収容される被冷却物である食材の温度を検出する品温センサ21が備えられている。この品温センサ21は、冷却槽2内に収容される食材に差し込まれる等して、その箇所の温度を計測する。
【0020】
冷却槽2には、冷却槽2内の圧力を検出するための圧力センサ22が備えられている。
【0021】
減圧手段3は、真空ユニット31を備え、この真空ユニット31は減圧ライン33を介して冷却槽2と接続される。
真空ユニット31は、例えば、水封式真空ポンプを備えて構成される。
減圧ライン33には、熱交換器32を設けることが好ましい。また、減圧ライン33の熱交換器32の上流側に蒸気エゼクタ(図示せず)を設けてもよい。
【0022】
熱交換器32は、減圧ライン33内の食材蒸気及び(蒸気エゼクタを設ける場合)蒸気エゼクタの蒸気を冷却し凝縮させるものである。減圧ライン33内の食材蒸気及び蒸気エゼクタの蒸気を予め冷却し凝縮させておくことで、冷却槽2内の流体温度を低下させるとともに、排出される流体の体積を減少させる。そうすることで、真空ユニット31の負荷を軽減して、冷却槽2内の減圧を有効に図ることができる。
【0023】
蒸気エゼクタは、蒸気を噴出させることにより冷却槽2内の流体を吸引排出させる。蒸気エゼクタによって真空ユニット31の吸引側の圧力を高めることができ、冷却槽2内の減圧を有効に図ることができる。
【0024】
復圧手段4は、減圧された冷却槽2へ外気を導入して、真空状態を解除し復圧する手段である。具体的には、外気は、フィルター41を介して取り込まれ、復圧ライン42を介して冷却槽2内へ供給可能とされている。
復圧ライン42には、外気と冷却槽2内との連通の有無を切り替える復圧操作弁43が設けられる。従って、復圧操作弁43を閉じた状態で、減圧手段3により冷却槽2内を減圧した後、減圧手段3による減圧を停止して、復圧操作弁43を開放することで、冷却槽2内の真空状態を解除して大気圧下に戻すことができる。
【0025】
復圧操作弁43は、比例制御弁のように、その開度が任意に調整可能に構成されている。従って、減圧手段3による冷却槽2内の減圧時に、復圧操作弁43の開度を調整することで、冷却槽2内の圧力を任意に調整可能となる。
より具体的には、圧力センサ22の出力に基づき、復圧操作弁43の開度を調整しつつ、減圧手段3による減圧操作を行うことで、冷却槽2内の圧力調整を容易に行うことができる。
【0026】
制御装置5は、減圧手段3や復圧手段4等を制御する。本実施例では、真空ユニット31、復圧操作弁43、品温センサ21、及び圧力センサ22は、制御装置5に接続され、制御装置5により各種制御が可能とされる。
具体的には、制御装置5は、圧力センサ22からの検出信号に基づいて、復圧操作弁43の開度を調整して、真空ユニット31による冷却槽2内の減圧レベルを調整する。
制御装置5は、冷却槽2内の減圧時に、冷却槽2内の圧力を設定圧力で維持した状態で、減圧手段3及び復圧手段4を停止させることで、冷却後温度が安定した均一な真空冷却を行うことができる。
真空冷却処理終了時に、制御装置5は、復圧操作弁43を開いて冷却槽2内を大気圧まで復圧する。そして、圧力センサ22からの検出信号に基づいて、復圧操作弁43による冷却槽2内の復圧完了を確認する。
【0027】
図2は、制御装置5の機能的構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、制御装置5は、制御部50と、記憶部51と、を備える。
【0028】
制御部50は、品温センサ21、圧力センサ22、真空ユニット31、復圧操作弁43等を接続して、食材の冷却に関する制御を行う。
ここで、本実施形態では、制御部50を、冷却槽の内部を第1目標圧力値まで減圧する第1冷却制御部と、この第1冷却制御部により品温が目標温度まで低下しなかった場合に、冷却槽の内部を第1目標圧力値よりも低く設定される設定圧力値まで減圧する第2冷却制御部と、を含んで構成することで、食材の種類にかかわらず、食材温度を好適に目標温度に到達させることを可能としている。
【0029】
より具体的には、
図2に示すように、制御部50は、第1減圧制御部5011及び第1冷却保持制御部5012を備える第1冷却制御部501と、品温判定部502と、第2冷却パラメータ設定部5031、第2減圧制御部5032、及び第2冷却保持制御部5033を備える第2冷却制御部503と、冷却中断部504と、冷却停止部505と、を備える。
【0030】
第1冷却制御部501は、第1減圧制御部5011により冷却槽2の内部の圧力値を予め設定された目標温度に基づいて設定される第1目標圧力値まで減圧した後、第1冷却保持制御部5012により、予め冷却保持時間として設定された第1時間、冷却槽2の内部の圧力値を第1目標圧力値に維持する。
【0031】
具体的には、第1減圧制御部5011は、目標温度から予め設定された冷却下限温度差を除算した第1目標温度に対応する飽和圧力値を第1目標圧力値として、減圧手段3により、冷却槽2の内部の圧力を第1目標圧力値まで減圧する。
冷却下限温度差としては、減圧冷却において被冷却物23の過冷却など不適切な冷却現象を起こさない減圧幅に相当する温度差が設定されることが好ましい。なお、最適な冷却下限温度差は被冷却物23によって異なり、一般的には3度以下とすることが好ましい。
【0032】
第1冷却保持制御部5012は、冷却槽2の内部の圧力が第1目標圧力値に達した後、第1時間(例えば15分)、冷却槽2の内部の圧力値を第1目標圧力値に維持する。
より具体的には、第1冷却保持制御部5012は、圧力センサ22の出力に基づき、復圧操作弁43の開度を調整しつつ、減圧手段3による減圧操作を行うことで、冷却槽2の内部の圧力を第1時間、第1目標圧力値に維持する。
【0033】
品温判定部502は、第1冷却制御部501による冷却後、品温センサ21の検出温度(被冷却物23の温度)が目標温度に到達したか否かを判定する。
また、品温判定部502は、第2冷却保持制御部5033による制御の終了時に品温センサ21の検出温度(被冷却物23の温度)が目標温度に到達したか否かを判定する。
【0034】
第2冷却制御部503は、第1冷却制御部501による冷却後、及び第2冷却制御部503による冷却後に、品温センサ21の検出温度が目標温度に到達していないと判定された場合に、さらに設定圧力値を下げて、所定時間真空冷却を行う。
【0035】
ここで、第1冷却制御部501による冷却直後の第2冷却制御部503による冷却を第1番目の第2冷却、第1番目の第2冷却の次に行う第2冷却制御部503による冷却を第2番目の第2冷却、第n番目の第2冷却の次に行う第2冷却制御部503による冷却を第(n+1)番目の第2冷却という。このように、今回の第2冷却保持制御部5033による冷却が、最初に第2冷却制御部503による冷却を開始してから何番目になるかを識別する番号を第2冷却順序番号という。以下、第n番目の第2冷却を第2冷却(n)ともいう。
【0036】
このように、第2冷却制御部503は、第1冷却制御部501又は第2冷却制御部503による冷却後に依然として品温センサ21の検出温度が目標温度に到達していないと判定される場合に、第2冷却パラメータ設定部5031により、設定圧力値を低く設定して、第2減圧制御部5032により冷却槽2の内部の圧力値を前記設定圧力値まで減圧した後、第2冷却保持制御部5033により第2時間、冷却槽2の内部の圧力値を前記設定圧力値に維持することを行う。第2冷却制御部503は、品温センサ21の検出温度が目標温度に到達するまで、前述の処理を繰り返し(リカーシブに)行う。そうすることで、食材の種類に関わらず、食材温度を目標温度に到達させることができる。
【0037】
より具体的には、第2冷却パラメータ設定部5031、第2減圧制御部5032、及び第2冷却保持制御部5033は、それぞれ次のように処理する。
【0038】
第2冷却パラメータ設定部5031は、第1冷却保持制御部5012による制御の終了時に、品温センサ21の検出温度が品温判定部502により目標温度に到達していないと判定された場合に、目標温度から予め設定された第1温度(例えば1度)を減算した温度を設定温度として記憶部51に記憶する。同時に、第2冷却パラメータ設定部5031は、設定温度の圧力換算値である圧力値を設定圧力値として記憶部51に記憶する。
更に、第2冷却パラメータ設定部5031は、第2冷却保持制御部5033による冷却終了時に、品温センサ21の検出温度が品温判定部502により目標温度に到達していないと判定された場合に、前回設定された設定温度から第1温度を減算した値を設定温度として記憶部51に新たに記憶する。同時に、第2冷却パラメータ設定部5031は、新たに設定された設定温度の圧力換算値である圧力値を設定圧力値として記憶部51に記憶する。
【0039】
ここで、第1温度を例えば5度のような大きな値にすると、過冷却防止機能と異なる冷却制御になることが起こり得るため、第1温度は、前述した冷却下限温度差以下の値とすることが好ましい。
【0040】
なお、今回の第2冷却パラメータ設定部5031の処理が第n(n≧1)番目の第2冷却制御部503に相当する場合、第n番目の第2冷却パラメータ設定処理という。そして、第n番目の第2冷却パラメータ設定処理によって設定される第n番目の設定温度及び第n番目の設定圧力値を、簡単のためそれぞれ設定温度(n)及び設定圧力値(n)と記載する。
【0041】
第2減圧制御部5032は、記憶部51に設定された設定圧力値まで、減圧手段3により減圧する。今回の第2減圧制御部5032の処理が第n番目の第2冷却制御部503に相当する場合、第n番目の第2減圧制御部処理という。
【0042】
第2冷却保持制御部5033は、第2減圧制御部5032による減圧制御により、冷却槽2の内部の圧力が記憶部51に設定された設定圧力値に達した後、予め冷却保持時間として設定された第2時間(例えば2分)、冷却槽2の内部の圧力を当該設定圧力値に維持する。今回の第2冷却保持制御部5033の処理が第n番目の第2冷却制御部503に相当する場合、第n番目の第2冷却保持制御部処理という。
【0043】
第2冷却保持制御部5033はその制御終了後に、品温センサ21の検出温度を、今回の第2冷却制御部503による冷却を識別する第2冷却順序番号n(n≧1)にリンクさせて、記憶部51に記憶させる。第n番目の第2冷却保持制御部処理の終了後における品温センサ21の検出温度を第n番目の検出といい、簡単のため、検出温度(n)と記載する。
【0044】
なお、第1温度は、一律の値ではなく、第2冷却制御部503が実行される順序番号n毎に予め設定し、第2時間についても、第2冷却保持制御部5033が実行される順序番号n毎に予め設定するようにしてもよい。そうすることで、例えば、第1温度及び第2時間は例えばnが大きくなるにつれて、徐々に小さくして収束させるように構成することができる。
【0045】
冷却中断部504は、第2冷却制御部503による冷却後に、品温センサ21の検出温度が記憶部51に記憶された前回の品温センサ21の検出温度よりも高い場合、異常を警報し、運転を中断させる。
すなわち、冷却中断部504は、今回(第n番目)の第2冷却制御部503による冷却後における品温センサ21の検出温度(n)が、前回(第n−1番目)の第2冷却制御部503による冷却後における品温センサ21の検出温度(n−1)よりも高い場合には、冷却異常が発生したと判断して、異常を警報し、運転を中断させる。
【0046】
冷却停止部505は、第2冷却制御部503による冷却後に、品温判定部502により目標温度に到達していないと判定された場合であっても、冷却槽2内の真空冷却運転を開始してから予め設定された最大冷却時間を経過した場合、冷却を停止させる。
具体的には、冷却槽2内の真空冷却運転を開始してから最大冷却時間を経過した場合、冷却停止部505は、復圧操作弁43を開いて冷却槽2内を大気圧まで復圧する。そして、圧力センサ22からの検出信号に基づいて、復圧操作弁43による冷却槽2内の復圧完了を確認する。
【0047】
また、冷却停止部505は、今回(第n番目)の第2冷却制御部503による冷却後に、品温センサ21の検出温度(n)が記憶部51に記憶された前回(第n−1番目)の品温センサ21の検出温度(n−1)よりも低い場合であっても、検出温度差が所定の値以下の場合、冷却を停止させる。
そうすることで、冷却停止部505は、これ以上第2冷却制御部503による処理を繰り返しても、冷却効果が少ないと想定される場合、冷却を停止させることで、無駄を防ぐことができる。
以上のように、制御部50は構成される。
【0048】
記憶部51には、上述の冷却下限温度差、第1時間、第1温度、第2時間、最大冷却時間、第1目標温度、第1目標圧力値等が記憶される。
また、記憶部51には、上述の第n番目(n≧1)の第2冷却パラメータ設定処理により設定される設定温度(n)及び設定圧力値(n)が記憶される。
また、記憶部51には、上述の第n番目(n≧1)の第2冷却制御部503による冷却処理後に検出される検出温度(n)が記憶される。
【0049】
[動作説明]
次に
図3を参照して、本実施形態の冷却動作について説明する。
図3は、本実施形態の真空冷却装置1の冷却動作の一例を示した図である。横軸は時間t、縦軸(左側)は圧力P、縦軸(右側)は温度Tを表すものとする。ここで、温度Tは圧力Pに対応する飽和温度であり、逆に圧力Pは温度Tに対応する飽和圧力を意味する。
【0050】
図3において、真空冷却装置1の冷却パラメータは、目標温度を17度、目標温度に対応する飽和圧力値19hPa、冷却下限温度差を2度、第1目標温度を15度(17度マイナス2度)、第1目標温度に対応する第1目標圧力値17hPa、第1冷却保持制御部5012における冷却保持時間(第1時間)を15分、第1温度を1度、第2冷却保持制御部5033における冷却保持時間(第2時間)を2分、最大冷却時間を40分として設定されている。
また、冷却前の被冷却物23の温度を100度(飽和圧力換算値1013hPa)とし、目標温度17度まで冷却するものとする。
【0051】
まず、冷却槽2内に被冷却物23である食材を収容し、食材に品温センサ21を差込む。そして、冷却槽2の作業用の開閉扉を閉鎖する。このとき制御部は復圧操作弁43を閉鎖状態にするとともに真空ユニット31を停止させている。
【0052】
次に時間t
0において、第1減圧制御部5011は、真空ユニット31を作動させる。真空ユニット31の作動により、冷却槽2内の空気は減圧ライン33を介して真空吸引される。冷却槽2内の圧力が低下するにつれて飽和温度が低下するため、冷却槽2内の食材の水分が活発に蒸発し、この蒸気は空気とともに減圧ライン33によって吸引される。そして食材の中の水分の蒸発に伴う気化潜熱により食材が冷却される。
【0053】
時間t
1において、冷却槽2内の圧力が第1目標圧力値17hPa(飽和温度15度に対応)に到達すると、第1冷却保持制御部5012は、第1時間(15分)が経過する時間t
2までの間、復圧制御弁の開度を調整しつつ、真空ユニット31を作動させることにより、冷却槽2内の圧力を、17hPa(飽和温度15度に対応)に維持する。
【0054】
他方、品温センサ21の検出温度は、時間t
1において25度超を示しており、目標温度17度に到達していない。そして、第1時間(15分)経過後の時間t
2において25度を示しており、目標温度17度に到達していないことがわかる。
【0055】
そこで、第2冷却パラメータ設定部5031は、設定温度(1)を第1目標温度15度から第1温度(1度)を減算した温度14度に設定し、設定圧力(1)を設定温度(1)の14度に対応する飽和圧力16hPaに設定する。
第2減圧制御部5032により時間t
3において、冷却槽2内圧力を設定圧力(1)まで下げた後、第2冷却保持制御部5033は、それから第2時間(2分)が経過する時間t
4までの間、復圧制御弁の開度を調整しつつ、真空ユニット31を作動させることにより、冷却槽2内の圧力を、16hPa(飽和温度14度に対応)に維持する。
【0056】
他方、品温センサ21の検出温度は、時間t
4において20度を示しており、目標温度17度に到達していないことがわかる。
【0057】
そこで、第2冷却パラメータ設定部5031は、設定温度(2)を、設定温度(1)の14度から第1温度(1度)を減算した温度13度に設定し、設定圧力(2)を設定温度(2)の13度に対応する飽和圧力15hPaに設定する。
第2減圧制御部5032により時間t
5において、冷却槽2内圧力を設定圧力(2)まで下げた後、第2冷却保持制御部5033は、それから第2時間(2分)が経過する時間t
6までの間、復圧制御弁の開度を調整しつつ、真空ユニット31を作動させることにより、冷却槽2内の圧力を、15hPa(飽和温度13度に対応)に維持する。
【0058】
他方、品温センサ21の検出温度は、時間t
6において17度を示しており、目標温度17度に到達したことがわかる。
冷却停止部505は、冷却を停止させる。具体的には、冷却停止部505は、真空ユニット31を停止させるとともに復圧操作弁43を開放させる。
このように、食材が目標温度まで到達していない場合には、目標圧力を少しずつ下げていくことで目標温度に近づけることが可能となる。
【0059】
[効果説明]
以上のように、本実施形態の真空冷却装置1は、冷却槽2の内部圧力を第1目標圧力値まで減圧し、冷却槽2の内部圧力が第1目標圧力値に達した後、第1時間(例えば15分間)、冷却槽2の内部圧力を第1目標圧力値に維持する第1冷却制御部501と、第1冷却制御部501による冷却後、品温センサ21の検出温度が目標温度に到達していない場合に、第1温度(例えば1度)を減算した温度の圧力換算値を新たに設定圧力値として設定して、当該設定圧力値まで減圧し、冷却槽2の内部圧力が新たな設定圧力値に達した後、第2時間(例えば2分間)、冷却槽2の内部圧力を新たな設定圧力値に維持する第2冷却制御部503と、を備える。
これにより、冷却され難い食材が第1冷却制御部501の処理により途中で目標温度まで下がらずに品温が高止まりする場合であっても、第2冷却制御部503により目標圧力を下げて再度冷却させることで、目標温度まで近づけることが可能となる。
【0060】
また、本実施形態の真空冷却装置1は、第2冷却制御部503による制御の終了時に品温センサ21の検出温度が目標温度に到達していない場合に、設定温度を更に第1温度を減算し、設定圧力値を減算された設定温度の圧力換算値である圧力値に置き換える。
これにより、冷却され難い食材が第2冷却制御部503の処理により途中で目標温度まで下がらずに品温が高止まりする場合であっても、更に目標圧力を下げて第2冷却制御部503による冷却を繰り返すことで、目標温度まで近づけることが可能となる。
【0061】
また、本実施形態の真空冷却装置1は、品温センサ21の検出温度が目標温度に到達した場合に、冷却を停止させる。
これにより、食材の過冷却を防止することができる。
【0062】
また、本実施形態の真空冷却装置1は、第2冷却制御部503による冷却後に、品温センサ21の検出温度が目標温度に到達していない場合であっても、冷却槽2内の真空冷却運転を開始してから予め設定された最大冷却時間を経過した場合、冷却を停止させる。
これにより、第2冷却制御部503による処理を必要以上に繰り返さないことで、無駄を防ぐことができる。
【0063】
また、本実施形態の真空冷却装置1は、第n+1番目の第2冷却制御部503による冷却後に、品温センサ21の検出温度が前回(第n番目)の第2冷却制御部503による冷却後における品温センサ21の検出温度よりも高い場合、異常を警報し、運転を中断させる。
これにより、真空冷却装置1の異常を早期に検知することができ、異常な運転を早期に中断させることができる。
【0064】
また、本実施形態の真空冷却装置1は、今回(第n+1番目)の第2冷却制御部503による冷却後における、品温センサ21の検出温度(n+1)が前回(第n番目)の第2冷却制御部503による冷却後にける品温センサ21の検出温度(n)よりも低い場合であっても、検出温度差が所定の値以下の場合、冷却を停止させる。
これにより、冷却停止部505は、これ以上第2冷却制御部503による処理を繰り返しても、冷却効果が少ないと想定される場合、冷却を停止させることで、無駄を防ぐことができる。
【0065】
また、本実施形態の真空冷却装置1における第1目標圧力値は、目標温度から予め設定された冷却下限温度差を減算した温度の圧力換算値にすることができる。
これにより、品温センサ21の検出温度を早く目標温度まで近づけることが可能となる。
【0066】
また、本実施形態の真空冷却装置1における第1温度及び第2時間をそれぞれ第2冷却制御部503が実行される順序番号毎に予め設定することができる。
これにより、例えば、第1温度及び第2時間はnが大きくなるにつれて、徐々に小さくして収束させるように構成することができる。
【0067】
なお、本実施形態は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0068】
[変形例]
例えば、本実施形態において、減圧ライン33の冷却槽2側に蒸気エゼクタを設けてもよい。蒸気エゼクタは、蒸気を噴出させることにより冷却槽2内の流体を吸引排出させる。この場合、熱交換器32は、減圧ライン33内の食材蒸気及び蒸気エゼクタの蒸気を予め冷却し凝縮させておくことで、冷却槽2内の流体温度を低下させるとともに、排出される流体の体積を減少させる。そうすることで、蒸気エゼクタによって真空ユニット31の吸引側の圧力を高めることができ、冷却槽2内の減圧を有効に図ることができる。