特許第6601327号(P6601327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6601327
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20191028BHJP
【FI】
   G03G15/20 510
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-131498(P2016-131498)
(22)【出願日】2016年7月1日
(65)【公開番号】特開2018-4935(P2018-4935A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】徳永 良平
(72)【発明者】
【氏名】山中 達也
【審査官】 岡▲崎▼ 輝雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−100578(JP,A)
【文献】 特開平04−362660(JP,A)
【文献】 米国特許第06173151(US,B1)
【文献】 特開2012−247623(JP,A)
【文献】 特開2015−075543(JP,A)
【文献】 特開平3−100689(JP,A)
【文献】 特開平2−154287(JP,A)
【文献】 米国特許第5253024(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金と前記芯金に周設された絶縁層とを有する加熱部材と、
前記加熱部材に圧接して前記加熱部材との間に定着ニップを形成する加圧部材と、
前記芯金とグランドとの間に接続されると共に、通紙中の前記加熱部材における前記芯金と前記絶縁層の表面との電位差が所定の閾値電圧に達しない場合に前記グランドから前記加熱部材への電流を遮断する機能部材と、
前記芯金と前記機能部材との間に設けられ、前記絶縁層が所定の放電電圧以上に蓄電したときに前記絶縁層に蓄積された余剰の電荷を放電させる被放電部材と、を備え
前記機能部材は、ツェナーダイオードで構成され、前記ツェナーダイオードのアノードが前記芯金側に接続されると共に、前記ツェナーダイオードのカソードが前記グランド側に接続され、
前記被放電部材は、前記芯金と前記ツェナーダイオードとの接続回路と所定の距離だけ離れて設けられ、
前記加熱部材及び前記加圧部材を収容するハウジングを更に備え、
前記被放電部材は、導電性材料で構成されていてグランドに接続されている前記ハウジングの一部を用いて構成されることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
芯金と前記芯金に周設された絶縁層とを有する加熱部材と、
前記加熱部材に圧接して前記加熱部材との間に定着ニップを形成する加圧部材と、
前記芯金とグランドとの間に接続されると共に、通紙中の前記加熱部材における前記芯金と前記絶縁層の表面との電位差が所定の閾値電圧に達しない場合に前記グランドから前記加熱部材への電流を遮断する機能部材と、
前記芯金と前記機能部材との間に設けられ、前記絶縁層が所定の放電電圧以上に蓄電したときに前記絶縁層に蓄積された余剰の電荷を放電させる被放電部材と、を備え、
前記機能部材は、ツェナーダイオードで構成され、前記ツェナーダイオードのアノードが前記芯金側に接続されると共に、前記ツェナーダイオードのカソードが前記グランド側に接続され、
前記被放電部材は、前記芯金と前記ツェナーダイオードとの接続回路と所定の距離だけ離れて設けられ、
前記被放電部材は、前記接続回路に向けて突出した鋭利な形状で形成されることを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙上の未定着トナーを定着させる定着装置、及びこの定着装置を備えた複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンターや複写機等の電子写真方式の画像形成装置は、用紙にトナー像を定着させる加熱ローラー方式やフィルム加熱方式の定着装置を備える。加熱ローラー方式の定着装置は、構成が簡単であると共に高速化を実現することができ、フィルム加熱方式の定着装置は、省エネルギー化を実現することができる。定着装置に備わる加熱部材や加圧部材は、フッ素樹脂等からなる表面材質を有して構成されることで、加熱部材や加圧部材に対する用紙の離型性を確保する。フッ素樹脂は、絶縁性であり、一度帯電すると減衰し難い性質を有するため、加熱部材や加圧部材に適用された場合に静電オフセットを発生することがある。そこで、この絶縁性のフッ素樹脂を加熱部材や加圧部材に適用する場合には、ツェナーダイオード等の機能部材を介して加熱部材や加圧部材を接地することにより、加熱部材と加圧部材との電位差を安定化するものがある。例えば、用紙に正帯電トナーで画像が形成される場合には、加熱部材の負帯電を抑制するために、加熱部材側にカソードを接続すると共にグランド側にアノードを接続してツェナーダイオードを設ける。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される定着装置は、定着ローラー(加熱部材)とグランドとの間に抵抗と定電圧ダイオードを直列に接続し、加圧ローラー(加圧部材)とグランドとの間にも抵抗と定電圧ダイオードを直列に接続している。そして、用紙に担持されたトナーが負電荷に帯電されている場合には、定着ローラーに接続される定電圧ダイオードはアノードを定着ローラー側に接続して設けられ、加圧ローラーに接続される定電圧ダイオードはカソードを加圧ローラー側に接続して設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−100578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、加熱部材の表面材質を構成する絶縁層は、帯電した電荷が抜けずに蓄積するという性質を有するため、加熱部材の芯金と絶縁層とがコンデンサーのように振舞うことがある。正帯電のトナーを使用する場合には、トナー像を用紙に転写する転写ローラーが用紙に対して負電荷を印加するため、負帯電の用紙から加熱部材の絶縁層に負電荷が充電される。特に、用紙が含水紙の場合には紙の抵抗が低くなるので、加熱部材に印加される負電荷が大きくなる。用紙の後端が転写ローラーを抜けた後、用紙への負電荷の印加が途絶えるので、トナーと用紙との静電吸着力が低下する。このとき、加熱部材の絶縁層に充電された負電荷が放電するときに、正帯電のトナーが加熱部材の表面に付着して静電オフセットを発生することがある。
【0006】
加熱部材に蓄積する電荷量を低く抑え、静電オフセットを防ぐために、加熱部材の芯金に対してツェナーダイオード等の機能部材を接続する構成が知られている。しかしながら、この構成では、機能部材が破損等によりフロート状態となった場合に、加熱部材(絶縁層)に対する電荷の蓄積(蓄電)が止まらず、最終的には加熱部材の周辺部品への放電が生じることになる。この放電は、定着装置に備わる温度センサー等の電気部品へと発生した場合、定着装置やこの電気部品の誤動作や破損を招くおそれがある。更に、この電気部品が画像形成装置本体の制御基板に接続されていれば、上記の放電が電気部品を介して制御基板へと影響し、画像形成装置本体自身の破損を招く可能性がある。
【0007】
本発明では、加熱部材で生じる放電の周辺部品への影響を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の定着装置は、芯金と前記芯金に周設された絶縁層とを有する加熱部材と、前記加熱部材に圧接して前記加熱部材との間に定着ニップを形成する加圧部材と、前記芯金とグランドとの間に接続されると共に、通紙中の前記加熱部材における前記芯金と前記絶縁層の表面との電位差が所定の閾値電圧に達しない場合に前記グランドから前記加熱部材への電流を遮断する機能部材と、前記芯金と前記機能部材との間に設けられ、前記絶縁層が所定の放電電圧以上に蓄電したときに前記絶縁層に蓄積された余剰の電荷を放電させる被放電部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、被放電部材は、機能部材が破損等によりフロート状態となって、絶縁層が所定の放電電圧以上に蓄電しようとする場合でも、絶縁層に蓄積される余剰の電荷を、被放電部材の設置位置で優先的に放電させることができる。従って、絶縁層の過剰な蓄電を抑制して、加熱部材で生じる放電の周辺部品への影響を防ぐことが可能となる。そのため、加熱部材の周辺部品を、定着装置を備える画像形成装置本体の制御基板に接続していても、上記の放電が周辺部品を介して制御基板へと影響することがなく、画像形成装置本体自身の破損を防ぐことができる。
【0010】
前記機能部材は、ツェナーダイオードで構成され、前記ツェナーダイオードのアノードが前記芯金側に接続されると共に、前記ツェナーダイオードのカソードが前記グランド側に接続され、前記被放電部材は、前記芯金と前記ツェナーダイオードとの接続回路と所定の距離だけ離れて設けられるとよい。
【0011】
このような構成を採用することで、ツェナーダイオードで構成される機能部材に適した被放電部材を構成することができる。
【0012】
前記加熱部材及び前記加圧部材を収容するハウジングを更に備え、前記被放電部材は、導電性材料で構成されていてグランドに接続されている前記ハウジングの一部を用いて構成されてもよい。
【0013】
このような構成を採用することで、被放電部材を簡易な構成で実現することができる。
【0014】
前記被放電部材は、前記接続回路に向けて突出した鋭利な形状で形成されてもよい。
【0015】
このような構成を採用することで、接続回路を、この定着装置を備える画像形成装置本体の金属フレームや定着装置のハウジングに近接して設けることができない場合でも、鋭利な形状の被放電部材によって、放電を誘発することができる。
【0016】
本発明の画像形成装置は、上記した何れかの定着装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、加熱部材で生じる放電の周辺部品への影響を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターを示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る定着装置を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る定着装置において、加熱部材の絶縁層に蓄電した電位と、この電位が周囲に与える影響との関係を示す概要図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る定着装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
先ず、本発明の実施形態に係るプリンター1(画像形成装置)の全体の構成について図1を参照しながら説明する。以下、説明の便宜上、図1における紙面手前側をプリンター1の前側とする。
【0020】
プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備える。プリンター本体2の下部には、用紙を収納する給紙カセット3が収容され、プリンター本体2の上面には排紙トレイ4が設けられる。
【0021】
プリンター本体2の上部には、レーザー・スキャニング・ユニット等で構成される露光器5が設けられ、露光器5の下方には、画像形成部6が設けられる。画像形成部6には、像担持体である感光体ドラム10が回転可能に設けられ、感光体ドラム10の周囲には、帯電器11と、現像器12と、転写ローラー13と、クリーニング装置14とが、感光体ドラム10の回転方向(図1の矢印X参照)に沿って配置される。
【0022】
プリンター本体2の内部には、用紙の搬送経路15が設けられる。搬送経路15の上流端には給紙部16が設けられる。搬送経路15の中流部には、感光体ドラム10と転写ローラー13によって構成される転写部17が設けられる。搬送経路15の下流部には定着装置18が設けられる。なお、転写部17は、転写ローラー13によって用紙の印字裏面側から負のバイアスを印加し、正極性に帯電されたトナーを用紙通過時に用紙上に電気的に転写させるように構成される。
【0023】
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。プリンター1では、他のコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされる。そして、帯電器11が感光体ドラム10の表面を帯電し、露光器5が画像データに基づいて感光体ドラム10を露光して、感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。次に、現像器12が静電潜像をトナーによってトナー像に現像する。
【0024】
一方、給紙カセット3の用紙が、給紙部16によって取り出されて搬送経路15を搬送される。用紙は、感光体ドラム10上のトナー像の位置にタイミングを合わせて転写部17へと搬送され、転写部17によってトナー像が用紙に転写される。次に、トナー像を転写された用紙は、定着装置18へと搬送され、定着装置18によってトナー像が用紙に定着される。トナー像を定着された用紙は、排紙トレイ4へと排出される。なお、感光体ドラム10上に残留したトナーは、クリーニング装置14によって回収される。
【0025】
次に、定着装置18について、図2を用いて説明する。図2に示されるように、定着装置18は、ハウジング20と、加熱部材21と、加圧部材22と、熱源23と、機能部材24と、被放電部材25と、温度センサー26とを備える。
【0026】
ハウジング20は、金属などの導電性材料で、前後方向に長い略箱型状に形成される。ハウジング20は、右面の上下方向略中央に開口した給紙口20aと、左面の上下方向略中央に開口した排紙口20bとを有する。給紙口20a及び排紙口20bを介して、搬送経路15がハウジング20内を通過していて、搬送経路15に沿って給紙口20aを介してハウジング20内に導入された用紙は、排紙口20bを介してハウジング20から排出される。また、ハウジング20内では、加熱部材21及び加圧部材22が、搬送経路15を挟んで上側及び下側にそれぞれ配置され、加熱部材21と加圧部材22との間に定着ニップNが形成される。
【0027】
加熱部材21は、前後方向に長い円筒状に形成されると共に、ハウジング20内で回転可能に支持される加熱ローラーである。加熱部材21の回転軸方向は、前後方向である。加熱部材21は、加圧部材22の回転に伴って摺動して回転する。
【0028】
加熱部材21は、例えば、円筒状の芯金21aと、芯金21aに周設される絶縁層21bとから構成される。芯金21aは、アルミニウムや鉄等の金属で形成される。芯金21aは、機能部材24を介してグランドG(接地)と接続されている。絶縁層21bは、絶縁性を有するPFA等のフッ素樹脂から形成される。絶縁層21bの表面は、負極性の電荷が蓄積した用紙との接触によって負極性の電荷が蓄積し、絶縁層21bは、芯金21a側が絶縁層21bの表面に対して正極性側になる。これにより、加熱部材21は、芯金21aと絶縁層21bの表面との間に電位差を有することで電荷を蓄積するコンデンサーのように振る舞う。なお、絶縁層21bは、フッ素樹脂のみから構成されていてもよいが、絶縁性を有するシリコンゴム等から構成されていて芯金21aに周設される弾性層と、絶縁性を有するPFA等のフッ素樹脂から構成されていて弾性層を被覆する離型層とによって構成されてもよい。
【0029】
加圧部材22は、前後方向に長い円柱状に形成されると共に、ハウジング20内で回転可能に支持される加圧ローラーである。加圧部材22の回転軸方向は、前後方向である。加圧部材22は、加熱部材21の外周面に対して圧接されることで、加熱部材21と加圧部材22との間には定着ニップNが形成される。加圧部材22の後端部には、駆動ギア(図示せず)が取り付けられる。加圧部材22は、駆動ギアを介してモーター等の駆動源(図示せず)に接続され、この駆動源によって回転駆動される。
【0030】
加圧部材22は、例えば、円柱状の芯金22aと、この芯金22aに周設される弾性層22bと、この弾性層22bを被覆する離型層22cと、によって構成される。加圧部材22の芯金22aは、例えば、SUSやアルミニウム等の金属によって形成され、この芯金22aが加圧部材22の回転軸となる。加圧部材22の弾性層22bは、例えば、シリコンゴム等によって形成され、加圧部材22の離型層22cは、例えば、PFA等のフッ素樹脂によって形成される。
【0031】
熱源23は、例えば、ハロゲンヒーターやセラミックヒーター等で構成され、加熱部材21の内部空間に設けられる。熱源23は、電源(図示せず)から供給される電力によって発熱し、加熱部材21を加熱するように構成されている。
【0032】
機能部材24は、加熱部材21の芯金21aとグランドGとの間に接続される。機能部材24は、基本的には加熱部材21からグランドGへの電流を許容する。また、機能部材24は、通紙中の加熱部材21の芯金21aと絶縁層21bの表面との電位差が所定の閾値電圧未満の場合にグランドGから加熱部材21への電流を遮断する。一方、機能部材24は、通紙中の加熱部材21の芯金21aと絶縁層21bの表面との電位差が所定の閾値電圧以上の場合にグランドGから加熱部材21への電流を許容する。
【0033】
ところで、加熱部材21の絶縁層21bは、帯電した電荷が抜けずに蓄積するという性質を有する。正帯電のトナーを使用する場合には、トナー像を用紙に吸着させるために転写ローラー13が用紙に対して負電荷を印加する。このトナー像を転写された用紙が搬送経路15に沿って転写ローラー13(転写部17)から定着装置18へと搬送されるとき、用紙の先端は、トナー側の正電荷と用紙側の負電荷とが平衡した状態で加熱部材21と加圧部材22との間に進入する。そして、用紙の後端が転写ローラー13(転写部17)を抜けると、用紙への負電荷の印加が途絶えるので、トナー側の正電荷に比重が偏る。このとき、トナー像と対向する加熱部材21の表面の絶縁層21bでは、用紙上のトナー側の正電荷に釣られて負電荷が蓄積される。ここで、機能部材24は、グランドGから加熱部材21への電流を遮断するので、加熱部材21の絶縁層21bに蓄積される電荷量を所定の閾値電圧に抑制している。
【0034】
機能部材24の所定の閾値電圧は、例えば、加熱部材21及び加圧部材22によってトナー像の適正な定着処理を可能とする加熱部材21の表面電位の上限値として、1KV以下に、好ましくは1KVに設定される(図3参照)。機能部材24は、例えば、所定の閾値電圧をツェナー電圧として有するツェナーダイオードで構成され、アノードが芯金21a側に接続されると共に、カソードがグランドG側に接続される。
【0035】
被放電部材25は、加熱部材21の芯金21aと機能部材24との間に設けられ、グランドGに接続される。例えば、被放電部材25は、グランドGに接続されたプリンター本体2の金属フレームの一部、又はこの金属フレームに電気的に接続されたハウジング20の一部で構成される。被放電部材25は、例えば、芯金21aとツェナーダイオードとしての機能部材24との間の接続回路27と、所定の距離(例えば、約1〜2mm)だけ間隔を空けて設けられる。この接続回路27は、φ1mm以下の被覆した線材で構成され、未被覆部分27aを一部に含み、被放電部材25は、この未被覆部分27aに対応して配置される。図2では、ハウジング20の排紙口20bの縁部を被放電部材25として用いる例を示すが、被放電部材25の構成はこれに限定されず、接続回路27の未被覆部分27aに近接していれば、プリンター本体2の金属フレームやハウジング20の何れの部分を利用してもよい。
【0036】
ところで、上記したように、機能部材24は、加熱部材21の絶縁層21bに蓄積される電荷量を所定の閾値電圧に抑制しているが、機能部材24が破損等によりフロート状態となった場合に、加熱部材21の絶縁層21bに対する電荷の蓄積(蓄電)が止まらなくなる。そして、加熱部材21の絶縁層21bにおける電荷量が、加熱部材21の芯金21a及び絶縁層21b(疑似コンデンサ)で蓄積可能な所定の放電電圧(例えば、10KV)以上になると、余剰の電荷の放電を発生することになる(図3参照)。被放電部材25は、このように絶縁層21bが所定の放電電圧以上に蓄電した場合に、絶縁層21bに蓄積された余剰の電荷を、被放電部材25の設置位置で優先的に放電させる。例えば、被放電部材25は、1KV〜10KVの範囲で、好ましくは5KV程度で放電させるように構成される。
【0037】
温度センサー26は、ハウジング20の内部で加熱部材21の近傍に、例えば、加熱部材21の表面から約1mmの間隔を空けた位置に設けられる。温度センサー26は、例えば、サーミスタで構成され、加熱部材21の表面温度を検知する。
【0038】
本実施形態によれば、上述のように、プリンター1(画像形成装置)の定着装置18は、芯金21aと芯金21aに周設された絶縁層21bとを有する加熱部材21と、加熱部材21に圧接して加熱部材21との間に定着ニップNを形成する加圧部材22と、芯金21aとグランドGとの間に接続されると共に、通紙中の加熱部材21における芯金21aと絶縁層21bの表面との電位差が所定の閾値電圧に達しない場合にグランドGから加熱部材21への電流を遮断する機能部材24と、芯金21aと機能部材24との間に設けられ、絶縁層21bが所定の放電電圧以上に蓄電したときに絶縁層21bに蓄積された余剰の電荷を放電させる被放電部材25とを備える。
【0039】
これにより、被放電部材25は、機能部材24が破損等によりフロート状態となって、絶縁層21bが所定の放電電圧以上に蓄電しようとする場合でも、絶縁層21bに蓄積される余剰の電荷を、被放電部材25の設置位置で優先的に放電させることができる。従って、絶縁層21bの過剰な蓄電を抑制して、加熱部材21で生じる放電の周辺部品への影響を防ぐことが可能となる。そのため、周辺部品をプリンター1本体の制御基板に接続していても、上記の放電が周辺部品を介して制御基板へと影響することがなく、プリンター1本体自身の破損を防ぐことができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、機能部材24は、ツェナーダイオードで構成され、ツェナーダイオードのアノードが芯金21a側に接続されると共に、ツェナーダイオードのカソードがグランドG側に接続される。被放電部材25は、芯金21aとツェナーダイオードとの接続回路27と所定の距離だけ間隔を空けて設けられる。
【0041】
これにより、ツェナーダイオードで構成される機能部材24に適した被放電部材25を構成することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、定着装置18は、加熱部材21及び加圧部材22を収容するハウジング20を更に備える。被放電部材25は、導電性材料で構成されていてグランドに接続されているハウジング20の一部を用いて構成される。
【0043】
これにより、被放電部材25を簡易な構成で実現することができる。
【0044】
本実施形態では、被放電部材25が、グランドGに接続されたプリンター本体2の金属フレームの一部、又はこの金属フレームに電気的に接続されたハウジング20の一部で構成される例を説明したが、被放電部材25の構成はこの例に限定されない。例えば、他の異なる実施形態では、図4に示すように、被放電部材25は、導電性材料で形成され、接続回路27の未被覆部分27aに向けて突出した鋭利な形状で形成されてもよい。なお、被放電部材25は、このような鋭利な形状に限定されず、優先的に放電を誘発できる形状であれば他の形状でもよい。
【0045】
これにより、接続回路27をプリンター本体2の金属フレームやハウジング20に近接して設けることができない場合でも、鋭利な形状の被放電部材25によって、放電を誘発することができる。
【0046】
本実施形態では、加熱ローラーとしての加熱部材21を用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、定着ベルトを加熱部材21として用いても良い。本実施形態では、加圧ローラーとしての加圧部材22を用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、加圧ベルトを加圧部材22として用いても良い。
【0047】
本実施形態では、ハロゲンヒーターやセラミックヒーター等の熱源23を加熱部材21の内部空間に設ける構成について説明したが、他の異なる実施形態では、IHコイルからなる熱源23を加熱部材21の外部に設けて構成してもよい。
【0048】
本実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 プリンター(画像形成装置)
6 画像形成部
10 感光体ドラム
13 転写ローラー
15 搬送経路
18 定着装置
20 ハウジング
21 加熱部材
21a 芯金
21b 絶縁層
22 加圧部材
23 熱源
24 機能部材
25 被放電部材
26 温度センサー
27 接続回路
27a 未被覆部分
図1
図2
図3
図4