特許第6601375号(P6601375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6601375
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】給紙装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/52 20060101AFI20191028BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   B65H3/52 330F
   B65H1/26 314B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-232671(P2016-232671)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-90341(P2018-90341A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 清典
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−267417(JP,A)
【文献】 特開平05−221546(JP,A)
【文献】 特開2008−074611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00 − 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の着脱方向に沿って着脱可能な給紙カセットと、
該給紙カセットから用紙を送り出すピックアップローラーと、
該ピックアップローラーよりも送り出し方向下流側に設けられるフィードローラーと、
該フィードローラーに圧接して分離ニップを形成するリタードローラーと、
該リタードローラーを回転可能に支持し、該リタードローラーを前記フィードローラーに接近する方向及び離間する方向に揺動可能に設けられるホルダーと、
該ホルダーを前記接近方向に揺動させて前記リタードローラーと前記フィードローラーとの圧接力を可変する押圧機構と、
前記圧接力が所定の値となるように前記押圧機構を調整する調整部材と、を備え、
前記調整部材は前記給紙カセットに設けられ、前記圧接力が所定の値となるように前記調整部材を予め調整した後に前記給紙カセットを装着すると、前記調整部材の調整状態に応じて前記押圧機構が前記圧接力を可変し、
前記調整部材は、前記装着方向に沿った溝を有し前記装着方向に長い直方体状の本体部と、前記本体部の前記装着方向の上流側の端面から延設されるアームと、前記アームの先端部から下方に延設される係止片と、を有し、
前記給紙カセットは、前記着脱方向に沿った側板の外面に前記着脱方向に沿って形成されたレールを有し、
前記レールは、断面視矩形状の板片状であり、前記装着方向の上流側の幅の狭い幅狭部と下流側の幅の広い幅広部と、を有し、
前記幅広部には、前記調整部材の前記本体部の前記溝がスライド可能に係合し、前記幅狭部には、前記調整部材の前記係止片が係止される複数の切り欠きが形成され、
前記本体部を前記レールに沿ってスライドさせ、前記係止片を前記複数の切り欠きのいずれかに係止させることで、前記調整部材が調整されることを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記押圧機構は、
前記給紙カセット装着時に前記調整部材に当接して回動する第1レバー部材と、
前記ホルダーに当接して該ホルダーを揺動させるように回動する第2レバー部材と、
前記第1レバー部材と前記第2レバー部材とを連結する弾性部材と、を有し、
前記給紙カセットが装着されると、前記第1レバー部材が前記調整部材に当接して回動し、前記弾性部材を介して前記第2レバー部材が回動して前記ホルダーを前記接近方向に揺動させて前記リタードローラーを前記フィードローラーに当接させ、前記弾性部材の弾性力によって前記リタードローラーを前記フィードローラーに圧接することを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記リタードローラーが前記フィードローラーに当接した後の前記第1レバー部材の回動量に応じて前記弾性部材の弾性力が変化することで、前記圧接力が可変されることを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記調整部材は、前記第1レバー部材との当接位置を可変に設けられ、該当接位置に応じて前記第1レバー部材の回動量が変化することを特徴とする請求項2又は3に記載の給紙装置。
【請求項5】
記調整部材のスライド距離を変化させることで、前記当接位置が変化することを特徴とする請求項4に記載の給紙装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の給紙装置から給紙された用紙に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を送給する給紙装置及び給紙装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の画像形成装置では、画像が形成される用紙は給紙装置によって給紙カセットから画像形成部に送給される。給紙装置には、給紙カセットから用紙を送り出すピックアップローラーと、送り出された用紙を画像形成部に搬送するフィードローラーと、フィードローラーに圧接して分離ニップを形成し、分離ニップにおいて用紙を一枚ずつ分離するリタードローラーと、が備えられている。
【0003】
特許文献1には、給紙カセットを引き出すことで、分離ローラーをフィードローラーから離間させるように構成された給紙装置が記載されている。この給紙装置では、紙詰まりが生じた際に給紙カセットを引き出すことで分離ニップが開放されて、詰まった紙を容易に取り除けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−228363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献1に記載の給紙装置においては、分離ニップを開放することは可能であるが、分離ニップにおけるフィードローラーとリタードローラーとの圧接力を調整することは不可能である。近年では用紙の種類が多様化しており、様々な種類の用紙を安定に送給するために、分離ニップにおける圧接力を調整する圧接力調整機構が設けられる場合がある。この圧接力調整機構は、主にサービスマンによって調整されるように、画像形成装置の装置本体に設けられる場合が多く、一般の使用者には調整しにくいという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情を考慮し、分離ニップにおける圧接力を容易に調整できる給紙装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の給紙装置は、着脱可能な給紙カセットと、該給紙カセットから用紙を送り出すピックアップローラーと、該ピックアップローラーよりも送り出し方向下流側に設けられるフィードローラーと、該フィードローラーに圧接して分離ニップを形成するリタードローラーと、該リタードローラーを回転可能に支持し、該リタードローラーを前記フィードローラーに接近する方向及び離間する方向に揺動可能に設けられるホルダーと、該ホルダーを前記接近方向に揺動させて前記リタードローラーと前記フィードローラーとの圧接力を可変する押圧機構と、前記圧接力が所定の値となるように前記押圧機構を調整する調整部材と、を備え、前記調整部材は前記給紙カセットに設けられ、前記圧接力が所定の値となるように前記調整部材を予め調整した後に前記給紙カセットを装着すると、前記調整部材の調整状態に応じて前記押圧機構が前記圧接力を可変することを特徴とする。
【0008】
本発明の給紙装置において、前記押圧機構は、前記給紙カセット装着時に前記調整部材に当接して回動する第1レバー部材と、前記ホルダーに当接して該ホルダーを揺動させるように回動する第2レバー部材と、前記第1レバー部材と前記第2レバー部材とを連結する弾性部材と、を有し、前記給紙カセットが装着されると、前記第1レバー部材が前記調整部材に当接して回動し、前記弾性部材を介して前記第2レバー部材が回動して前記ホルダーを前記接近方向に揺動させて前記リタードローラーを前記フィードローラーに当接させ、前記弾性部材の弾性力によって前記リタードローラーを前記フィードローラーに圧接することを特徴としても良い。
【0009】
本発明の給紙装置においては、前記リタードローラーが前記フィードローラーに当接した後の前記第1レバー部材の回動量に応じて前記弾性部材の弾性力が変化することで、前記圧接力が可変されることを特徴としても良い。
【0010】
本発明の給紙装置においては、前記調整部材は、前記第1レバー部材との当接位置を可変に設けられ、該当接位置に応じて前記第1レバー部材の回動量が変化することを特徴としても良い。
【0011】
本発明の給紙装置においては、前記調整部材は、前記給紙カセットにスライド可能に支持され、前記調整部材のスライド距離を変化させることで、前記当接位置が変化することを特徴としても良い。
【0012】
本発明の給紙装置においては、上記のいずれかに記載の給紙装置から給紙された用紙に画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、分離ニップの圧接力を可変する際には、給紙カセットを引き出し、引き出された給紙カセットの調整部材を所望の圧接力が得られるように調整した後、給紙カセットを装着すればよい。このように、分離ニップの圧接力を簡単に可変することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの内部構造を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る給紙装置において、押圧機構と給紙カセットとを示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る給紙装置において、初期姿勢の押圧機構を示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る給紙装置において、給紙カセットを示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る給紙装置において、給紙カセットに支持された調整部材を示す斜視図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る給紙装置において、調整部材を示す斜視図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る給紙装置において、給紙カセットの右側板を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る給紙装置において、普通紙に適する圧接力となるように調整された調整部材と押圧機構を示す正面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る給紙装置において、厚紙に適する圧接力となるように調整された調整部材と押圧機構を示す正面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る給紙装置において、薄紙に適する圧接力となるように調整された調整部材と押圧機構を示す正面図である。
図10A】本発明の一実施形態に係る給紙装置において、普通紙の適する圧接力となるように調整された調整部材を示す正面図である。
図10B】本発明の一実施形態に係る給紙装置において、厚紙に適する圧接力となるように調整された調整部材を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置及び給紙装置について説明する。
【0016】
まず、図1を参照して、画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。図1はカラープリンターの概略を示す模式図である。以下の説明において、図1の紙面手前側をカラープリンター1の前側(正面側)とし、左右方向は、カラープリンター1を前側から見た方向を基準とする。各図において、矢印Fr、Rr、L、Rは、それぞれカラープリンター1の前側、後側、左側、右側を示している。
【0017】
カラープリンター1の装置本体2には、用紙Sを給紙する給紙装置3と、給紙された用紙Sに、給送された用紙Sにフルカラーのトナー像を形成する画像形成部5と、トナー像を用紙Sに定着する定着装置6と、トナー像が定着された用紙Sを排出する排出装置7と、排出された用紙Sが積載される排出トレイ8と、が備えられている。
【0018】
また、装置本体2には、給紙装置3から画像形成部5と定着装置6とを通り、排出装置7に向かう用紙Sの搬送経路10が形成されている。搬送経路10に沿った用紙Sの搬送方向を、搬送方向Yとする。
【0019】
用紙Sは、給紙装置3から搬送経路10に送り出され、搬送方向Yに沿って画像形成部5に搬送される。画像形成部5においてフルカラーのトナー像が用紙Sに転写された後、定着装置6においてトナー像が用紙Sに定着される。トナー像が定着された用紙Sは排出装置7から排出されて、排出トレイ8に積載される。
【0020】
次に、給紙装置3について説明する。図1と、図2及び図3を参照して説明する。図2は給紙カセットが装着されて変位した押圧機構と給紙カセットを示す斜視図、図3は押圧機構の正面図である。
【0021】
図1に示されるように、給紙装置3には、用紙Sが収容される給紙カセット4が着脱される。給紙装置3は、上下2段に備えられて、それぞれサイズの異なる用紙Sが収容される給紙カセット4が着脱される。各給紙カセット4は、給紙装置3に対して前方向にスライドさせることで引き出され、後方向にスライドさせることで給紙装置3に装着される。給紙カセット4の装着方向(後方向)を、装着方向Xとする。
【0022】
給紙装置3は、搬送経路10の上方に配置されるピックアップローラー21及びフィードローラー22と、搬送経路10の下方に配置されるリタードローラー23と、リタードローラー23を支持するホルダー26と、リタードローラー23の前側に配置される押圧機構24(図2参照)と、ピックアップローラー21とホルダー26と押圧機構24とが支持されるフレーム27と、を備えている。
【0023】
ピックアップローラー21とフィードローラー22とは、搬送方向Yと直交する用紙の幅方向(前後方向)中央に搬送方向Yに沿って順に配置されて、フレーム27に回転可能に支持されている。フィードローラー22は、駆動源(図示省略)によって駆動されて搬送方向Yに回転する。ピックアップローラー21は、フィードローラー22の回転に連動して、フィードローラー22と同じ方向に回転する。
【0024】
図2図3に示されるように、ホルダー26は、幅方向に対向して搬送方向Yに沿った一対の側板26aと底板26bとを有し、上面が開口した箱形状を有している。リタードローラー23は、両端部が一対の側板26aに回転可能に支持されて、ホルダー26に収容されている。また、一対の側板26aの外面には、搬送方向Yにおける下流側の上端部から互いに反対方向に支軸28が突出している。さらに、前側の側板26aの搬送方向Yにおける下流側の側縁から上流側に向けて被当接片30が延設されている。
【0025】
ホルダー26の各支軸28は、幅方向中央においてフィードローラー22よりも搬送方向Yにおける下流側でフレーム27に回転可能に支持されている。これにより、ホルダー26は、リタードローラー23がフィードローラー22に下方から圧接して分離ニップを形成する上方向及びフィードローラー22から下方へ離間して分離ニップを開放する下方向に、支軸28を中心として揺動するようになっている。ホルダー26は、リタードローラー23がフィードローラー22から下方に離間した退避位置において、ストッパー(図示省略)によって下方向への回動が規制されている。リタードローラー23は、分離ニップに送られた用紙が1枚の場合は、フィードローラー22に従動して回転する。一方、分離ニップに送られた用紙が複数枚の場合は、リタードローラー23は回転を停止して、下側の用紙を最上位置の用紙から分離する。この結果、1枚の用紙が分離ニップから送り出される。
【0026】
次に、押圧機構24について、図3を参照して説明する。押圧機構24は、第1レバー部材35及び第2レバー部材36と、第1レバー部材35と第2レバー部材36とを連結する弾性部材としてのコイルばね37と、を有している。
【0027】
第1レバー部材35は、軸支部41と、軸支部41から径方向に延設された作動片42及び連結片43と、を有している。作動片42と連結片43との軸支部41を中心とする中心角度は約120°である。第1レバー部材35は、ホルダー26よりも装着方向Xにおける手前側(ホルダー26よりも前側)に配置されて、軸支部41が、装着方向Xと直交する方向(左右方向)に沿った回転軸を中心としてフレーム27に回動可能に支持されている。
【0028】
また、第1レバー部材35は、作動片42が軸支部41に対してホルダー26の側に斜め下方向に傾斜し、連結片43が軸支部41に対して垂直よりもややホルダー26の側に傾斜した姿勢(以降、初期姿勢とする)に、ねじりコイルばね(図示省略)によって保持されている。
【0029】
第2レバー部材36は、軸支部46と、軸支部46から径方向に延設された当接片47及び連結片48と、を有している。当接片47と連結片48との軸支部46を中心とする中心角度は約90°である。第2レバー部材36は、装着方向Xにおいて、第1レバー部材35とホルダー26との間に配置されて、軸支部46が、装着方向Xと直交する方向(左右方向)に沿った回転軸を中心としてフレーム27に回動可能に支持されている。
【0030】
また、第2レバー部材36は、当接片47が軸支部46に対してホルダー26の方向に水平方向よりもやや下方向に傾斜し、連結片48が軸支部46に対して垂直よりもややホルダー26の側に傾斜した姿勢(以降、初期姿勢とする)に、ねじりコイルばね(図示省略)によって保持されている。初期姿勢において、当接片47は、退避位置におけるホルダー26の被当接片30よりも下方に離間している。なお、ホルダー26の回動を規制するストッパーが設けられていない場合は、ホルダー26の自重で被当接片30に当接する。
【0031】
コイルばね37は、第1レバー部材35の連結片43の先端部と第2レバー部材36の連結片48の先端部との間に介装されている。
【0032】
この押圧機構24においては、第1レバー部材35が軸支部41を中心として図3の時計回り方向に回動すると、コイルばね37を介して第2レバー部材36も軸支部46を中心として第1レバー部材35と同じ時計回り方向に回動する。すると、当接片47が被当接片30に当接し、被当接片30が持ち上げられて、ホルダー26が支軸28を中心として上方向に揺動する。さらに第1レバー部材35が時計回り方向に回動すると、リタードローラー23がフィードローラー22に当接して分離ニップが形成される。リタードローラー23がフィードローラー22に当接した後、第1レバー部材35がさらに回動すると、コイルばね37が伸長して、コイルばね37の弾性力によってリタードローラー23がフィードローラー22に圧接する。
【0033】
次に、給紙カセット4について、図1及び図2と、図4図6を参照して説明する。図4は給紙カセットを示す斜視図、図5は給紙カセットに装着された調整部材を示す斜視図、図6Aは調整部材を示す斜視図、図6Bは給紙カセットのレールとガイド溝を示す斜視図である。
【0034】
給紙カセット4は、図4に示されるように、上面が開口した浅い箱形状を有し、底板3aと、前後の側板3b、3c及び左右の側板3d、3eを有している。底板3a上には、用紙Sが載置される載置板3fや、用紙Sの幅方向位置を整合するサイドカーソル3g、用紙Sの搬送方向後端の位置を整合するエンドカーソル3h等が支持されている。これらについての説明は省略する。
【0035】
図1図4に示されるように、給紙カセット4の給紙装置3の側(右側、搬送方向Yの下流側)の右側板4eの外面には、押圧機構24を作動させる調整部材50が支持されている。図2に示されるように、調整部材50は、給紙カセット4が装着された際に、押圧機構24よりも下方で、第1レバー部材35の作動片42に、装着方向Xにおける奥側の端面が当接するように位置決めされている。
【0036】
図5に示されるように、調整部材50は、装着方向Xの方向に長い直方体状の本体部51と、本体部51の装着方向Xにおける手前側の端面から手前方向に延設されるアーム52と、を有している。本体部51の上面には、装着方向Xの手前側から順に第1〜第5調整面53a、53b、53c、53d、53eが形成されている。各調整面53はそれぞれ平坦面であり、装着方向Xの奥側に向かって所定の高さずつ高さが低くなるように階段状に形成されている。つまり、第1調整面53aの高さが最も高く、第5調整面53eの高さが最も低い。隣接する調整面53の間の段差面は、上側の調整面から下側の調整面へ向かって斜め下方に傾斜している。また、本体部51の装着方向Xの奥側の端面と、第5調整面53eとの角も、装着方向Xに向かって下方に傾斜している。
【0037】
本体部51の一方の側面(右側面)には、第1〜第5調整面53a、53b、53c、53d、53eに対応して「1」から「5」までの数字が記されている。
【0038】
図6Aに示されるように、本体部51の他方の側面(左側面)には、溝55と、上ガイド片56と、下ガイド片57と、が形成されている。
【0039】
溝55は、断面視にて横長の矩形状で、アーム52よりも下方に装着方向Xに沿って形成されている。上ガイド片56は、溝55の上方において、装着方向Xにおける中央部から装着方向Xと直交する方向に突出している。上ガイド片56の先端には、上方向に屈曲する上フック部56aが形成されている。下ガイド片57は、溝55の下縁に沿って、装着方向Xと直交する方向に延設されている。下ガイド片57の装着方向Xにおける両端部には、下方に屈曲する下フック部57aが形成されている。
【0040】
アーム52の先端には、把持片52aと係止片52bとが形成されている。把持片52aは、アーム52の先端から上方に延設されている。係止片52bは、アーム52の先端から下方に延設されている。
【0041】
一方で、給紙カセット4の右側板4eの外面には、調整部材50を支持するレール61と、上ガイド溝64と、下ガイド溝65が、装着方向Xに沿って形成されている。レール61は、右側板4eの外面から突出する、断面視矩形の板片状を成している。レール61は、装着方向Xにおける上流側の幅の狭い幅狭部61aと、幅狭部61aよりも装着方向Xの下流側の幅の広い幅広部61bと、を有している。幅広部61bには、調整部材50の溝55が係合可能となっている。幅狭部61aには、5つの切り欠き62が形成されている。隣接する切り欠き62間の距離は、調整部材50の本体部51の隣接する調整面53間の距離と等しい。各切り欠き62には、調整部材50のアーム52の係止片52bが係止可能となっている。
【0042】
上ガイド溝64は、レール61の幅広部61bの上方に、レール61と平行に形成されている。上ガイド溝64の装着方向Xにおける下流側端部には上方に屈曲した通過部64aが形成されている。下ガイド溝65は、レール61の下方に、レール61と平行に形成されている。下ガイド溝65の長さは、上ガイド溝64の長さよりも長い。下ガイド溝65の装着方向Xにおける下流側端部と中央部とには、下方に屈曲した通過部65aがそれぞれ形成されている。
【0043】
図5に示されるように、調整部材50は、本体部51の溝55がレール61の幅広部61bに係合することで、レール61に沿って装着方向X及びその逆方向にスライド可能となり、給紙カセット4に対する調整部材50の位置が装着方向Xにおいて変化するようになっている。さらに、上ガイド片56の上フック部56aを上ガイド溝64の通過部64aを通して上ガイド片56を上ガイド溝64に係合させ、下ガイド片57の下フック部57aを下ガイド溝65の通過部65aを通して下ガイド片57を下ガイド溝65に係合させた後、装着方向Xの上流側にスライドさせると、上下フック部56a、57aによって調整部材50が給紙カセット4の右側板4eに抜け止めされる。
【0044】
上下フック部56a、57aが右側板4eに当接するまで、調整部材50を装着方向Xと直交する方向に引き出した後、調整部材50の本体部51をレール61の幅広部61bに沿ってスライドさせると、アーム52はレール61の幅狭部61aの側方を通過する。調整部材50を装着方向Xに沿って所定の位置までスライドさせた後、本体部51を右側板4eの方向へスライドさせると、アーム52の係止片52bが幅狭部61aの切り欠き62に係合して調整部材50のレール61に沿ったスライドが規制される。
【0045】
上記構成を有する給紙装置3において、分離ニップの圧接力を調整する方法について、図2及び図3と、図7図9図10A図10Bを参照して説明する。図7図9は押圧機構によって揺動したホルダーを示す側面図である。図10A図10Bは作動部材のスライド動作を説明する側面図である。図10A図10Bには、上下ガイド溝64、65が省略されている。
【0046】
給紙カセット4が装着されていない状態では、押圧機構24の第1レバー部材35と第2レバー部材36とは、それぞれ図3に示される初期姿勢に保持されている(図7図9の二点鎖線で示す)。ホルダー26は、退避位置に揺動して、リタードローラー23がフィードローラー22から下方に離間している。
【0047】
給紙カセット4においては、調整部材50を任意の位置(例えば、5つの切り欠き62の内の中央の切り欠き62に、調整部材50の係止片52bが係止されている位置、図9A参照)にスライドさせておく。給紙カセット4を装着方向Xに沿って装着していくと、やがて、調整部材50の本体部51の端面が第1レバー部材35の作動片42に当接して、作動片42が調整面53に乗り上げるようになる。作動片42は、最も高さの低い第5調整面53eから順に乗り上げていく。この際、隣接する調整面間の段差面は、装着方向Xと反対の方向に向かって上方に傾斜している。また、作動片42も装着方向Xの奥方向に傾斜している。したがって、作動片42は、下側の調整面から上側の調整面へ滑らかに乗り上げることができる。
【0048】
給紙カセット4が完全に装着されると、調整部材50のスライド位置に応じた調整面53に作動片42が乗り上げる。この場合は、中央の切り欠き62に係止片52bを係止させたので、図7の実線に示されるように、第3調整面53cに作動片42が乗り上げることになる。
【0049】
このように作動片42が第3調整面53cに乗り上げると、第1レバー部材35は軸支部41を中心として図7の時計回り方向に回動する(図7の実線参照)。すると、コイルばね37を介して、第2レバー部材36も軸支部46を中心として図7の時計回り方向に回動する(図7の実線参照)。
【0050】
第2レバー部材36が図7の時計回り方向に回動すると、当接片47がホルダー26の被当接片30に当接し、被当接片30を持ち上げることでホルダー26は上方向に揺動する。すると、リタードローラー23がフィードローラー22に当接して分離ニップが形成される。リタードローラー23がフィードローラー22に当接した後、さらに第1レバー部材35が回動すると、コイルばね37が伸長して弾性力が発生する。この弾性力によってリタードローラー23がフィードローラー22に圧接して、分離ニップの圧接力が設定される。この際の分離ニップの圧接力は、例えば用紙Sが普通紙の場合に適する圧接力となるように設定されている。
【0051】
給紙カセット4が引き出されると、第1レバー部材35はねじりコイルばねによって初期姿勢(図3参照)に回動する。また、コイルばね37はもとの長さに収縮する。第2レバー部材36も初期姿勢に回動して、当接片47がホルダー26の被当接片30から下方に離間する。
【0052】
次に、給紙カセット4に収容される用紙Sの種類が変わった場合や、分離ニップにおいて給紙不良が生じた場合など、分離ニップの圧接力を調整する方法について説明する。圧接力を調整する場合は、まず、給紙カセット4を引き出して調整部材50を設定する。
【0053】
例えば、厚紙の場合等、圧接力を普通紙の圧接力よりも低く調整する場合は、調整部材50をレール61に沿って装着方向Xとは反対方向(前方)にスライドさせる。この際、前述のように、上下フック部56a、56aが給紙カセット4の右側板4eに当接するまで調整部材50を装着方向Xと直交する方向に引き出し、本体部51をレール61の幅広部61bに沿って所定の位置までスライドさせる。その後、本体部51を右側板4eの方向へスライドさせて、アーム52の係止片52bを装着方向Xにおける一つ手前側の切り欠き62に係止させる(図9B参照)。
【0054】
このように調整部材50を設定した後、給紙カセット4を装着すると、今度は、図8の実線に示されるように、第4調整面53dに作動片42が乗り上げることになる。第4調整面53dは第3調整面53cよりも高さが低いので、作動片42が乗り上げる高さは、図7の普通紙の場合に比べて低くなる。つまり、第1レバー部材35は、図8の時計回り方向に回動するが、回動量は普通紙の場合に比べて小さくなる。このように、リタードローラー23がフィードローラー22に当接した後の第1レバー部材35の回動量が小さくなるので、コイルばね37の伸長量が小さくなり、発生する弾性力も小さくなる。したがって、分離ニップの圧接力は普通紙の場合よりも弱くなる。
【0055】
なお、さらに圧接力を弱くする場合は、調整部材50をさらに装着方向Xと反対方向にスライドさせて、第1レバー部材35の作動片42が、調整部材50の第5調整面53eに乗り上げるようにする。これにより、第1レバー部材35と第2レバー部材36の回動量はさらに小さくなってコイルばね37の伸長量が小さくなり、圧接力はさらに弱くなる。
【0056】
逆に、圧接力を普通紙の圧接力よりも高く調整する場合は、調整部材50をレール61に沿って装着方向Xに所定の距離だけスライドさせ、係止片58を装着方向Xにおける一つ奥側の切り欠き62に係止させる。
【0057】
調整部材50を設定した後、給紙カセット4を装着すると、今度は、図9の実線に示されるように、第2調整面53bに作動片42が乗り上げることになる。第2調整面53bは第3調整面53cよりも高さが高いので、作動片42が乗り上げる高さは、図7の普通紙の場合に比べて高くなる。つまり、第1レバー部材35は、図9の時計回り方向に回動するが、回動量は普通紙の場合に比べて大きくなる。このように、リタードローラー23がフィードローラー22に当接した後の第1レバー部材35の回動量が大きくなるので、コイルばね37の伸長量が大きくなり、発生する弾性力も大きくなる。したがって、分離ニップの圧接力は普通紙の場合よりも高くなる。
【0058】
給紙カセット4が装着されると、給紙カセット4の載置板4fが上昇して、最上位置の用紙Sがピックアップローラー21に下側から圧接する。フィードローラー22が駆動されてピックアップローラー21が回転すると、最上位置の用紙Sが給紙カセット4から分離ニップへ向かって送り出される。分離ニップにおける圧接力は前述のように用紙Sの種類に合わせて調整されているので、用紙Sは分離ニップにおいてリタードローラー23によって一枚ずつ分離されて、フィードローラー22によって搬送経路10へ向かって搬送される。
【0059】
上記説明したように本発明のカラープリンター1においては、分離ニップの圧接力を調整する際には、給紙カセット4を引き出し、引き出された給紙カセット4の調整部材50を所望の圧接力が得られるように調整した後、給紙カセット4を装着すればよい。このように、一般の使用者でも分離ニップの圧接力を簡単に調整することができる。
【0060】
さらに、給紙カセット4の調整部材50を調整状態に応じて、押圧機構24の第1レバー部材35の回動量が変化し、この回動量の変化に応じてコイルばね37の弾性力が調整されて、分離ニップの圧接力が可変する。このように調整部材50の変位を分離ニップの圧接力に円滑かつ安定に伝達できる。
【0061】
詳細には、調整部材50のスライド量に応じて調整部材50と第1レバー部材35との当接位置が変化して、第1レバー部材35の回動量が変化する。そして、第1レバー部材35の回動量の変化に応じて、リタードローラー23がフィードローラー22に当接した後の第1レバー部材35の回動量が変化して、コイルばね37の伸長量が変化する。この伸長量の変化に応じた弾性力によって分離ニップの圧接力が適宜に可変される。したがって、調整部材50のスライド量を変化させることで、分離ニップの圧接力を用紙Sの特性(厚さ等)に応じて設定することができる。例えば、厚紙の場合は普通紙の場合に比べて圧接力を低くしたり、薄紙の場合は普通紙の場合に比べて圧接力を高くしたりすることができる。
【0062】
さらに、調整部材50のスライドさせる簡易な操作で、第1レバー部材35の回動量を変化させることができる。
【0063】
また、給紙カセット4が装着されていない状態では、ホルダー26はリタードローラー23がフィードローラー22から下方に離間する姿勢に揺動しているので、両ローラー間の不要な摩擦を防止することができる。
【0064】
本実施形態においては、調整部材50の調整面53を階段状に形成して、第1レバー部材35の回動量を段階的に変化させるようにしたが、調整面53を滑らかに傾斜するように形成して、第1レバー部材35の回動量を連続的に変化させるようにしてもよい。また、階段状に設ける場合も、5段階ではなくもっと短い間隔あるいは長い間隔で設けても良い。また、調整部材50に記した「1」から「5」までの数字の代わりに、「普通紙」、「厚紙」、「薄紙」等の文字を記して、調整部材50をどの方向にスライドさせればよいかを使用者にわかりやすく促すようにしてもよい。
【0065】
また、調整部材50を、スライド動作ではなく回転動作による操作によって第1レバー部材35の回転量させるようにしても良い。この場合は、給紙カセット4の右側板4eに、第1レバー部材35の作動片42に当接可能なカムを回転可能に設けて、給紙カセット4を引き出して、カムを適宜に回転させればよい。
【0066】
上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係る給紙装置及び画像形成装置における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0067】
1 カラープリンター(画像形成装置)
3 給紙装置
4 給紙カセット
21 ピックアップローラー
22 フィードローラー
23 リタードローラー
24 押圧機構
26 ホルダー
35 第1レバー部材
36 第2レバー部材
37 弾性部材(コイルばね)
50 調整部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B