(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2搬送機構が、前記第2支持体を、第1搬送速度で搬送していることを、前記第2検出信号が表すならば、前記モータ制御部は、前記電動モータを制御し、前記フリクションローラを第1回転速度で回転させ、
前記第2搬送機構が、前記第2支持体を、前記第1搬送速度よりも高い第2搬送速度で搬送していることを、前記第2検出信号が表すならば、前記モータ制御部は、前記電動モータを制御し、前記フリクションローラを、前記第1回転速度よりも高い第2回転速度で回転させる
請求項3乃至5のいずれか1項に記載のコンベア。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、高速区間から低速区間の間に組み込まれたエアシリンダを用いて、台車間の衝突を緩和することを提案する。しかしながら、台車間の衝突は、必ず引き起こされるので、特許文献1の開示技術は、台車に搭載された搬送物への損傷のリスクの低減に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、搬送物への損傷のリスクを十分に低減することを可能にするコンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係るコンベアは、第1搬送物と、前記
第1搬送物に対して先行する搬送される第2搬送物と、を搬送する。コンベアは、前記第1搬送物を支持する第1支持体と、前記第2搬送物を支持する第2支持体と、前記第1支持体を搬送する第1搬送機構と、前記第2支持体を搬送する第2搬送機構と、前記第1搬送機構から前記第2搬送機構へ前記第1搬送物を受け渡すように、前記第1支持体を搬送する中間搬送機構と、前記中間搬送機構を制御する制御装置と、を備える。前記中間搬送機構は、前記第1搬送機構から搬出された前記第1支持体に接触する接触部材と、前記接触部材に当接されたフリクションローラと、前記フリクションローラを前記制御装置の制御下で駆動し、前記第1支持体を、前記第2搬送機構へ移動させる電動モータと、を含む。前記制御装置は、
前記第1支持体の移動速度を表す第1検出信号を出力する第1検出部と、前記第2支持体の移動速度を表す第2検出信号を出力する第2検出部と、前記第1検出信号及び前記第2検出信号に対する演算処理によって得られた前記第1搬送物と前記第2搬送物との間の間隔が、所定の閾値未満であり、且つ、前記第2検出信号が、前記第2支持体の停止を表すならば、前記電動モータを停止させる停止制御を実行するモータ制御部と、を含む。
前記閾値は、前記第1搬送物と前記第2搬送物との間の前記間隔が前記閾値に等しい位置関係から、前記第2搬送機構が前記第2支持体を連続的に移動させ続けるならば、前記間隔が消滅する前に、前記第1支持体が前記第2搬送機構に到達するように設定されている。前記第2搬送機構が前記第2支持体を搬送しているならば、前記電動モータは、前記モータ制御部の制御下で、前記第2搬送機構への前記第1支持体の搬送を継続し、前記間隔が前記閾値を下回る前に前記第1支持体を前記第2搬送機構に到達させる。
【0007】
上記の構成によれば、第1搬送物を支持する第1支持体は、第1搬送機構によって搬送される一方で、第2搬送物を支持する第2支持体は、第2搬送機構によって搬送される。中間搬送機構の接触部材が、第1搬送機構から搬出された第1支持体に接触し、且つ、制御装置によって制御された電動モータが、接触部材に当接されたフリクションローラを駆動すると、第1支持体は、第1搬送機構から第2搬送機構へ受け渡される。したがって、第1搬送機構から第2搬送機構への移動の後、第1支持体は、第2搬送機構によって、第2支持体に続いて、移動されることになる。
【0008】
中間搬送機構は、フリクションローラを接触部材に当接させ、第1支持体を、第1搬送機構から第2搬送機構へ受け渡すので、第1支持体及び接触部材が停止する一方で、フリクションローラが回転し続ける状況が偶発的に生じても、過度に大きな負荷は、コンベアに生じにくい。
【0009】
第2検出部が出力した第2検出信号が、第2支持体の停止を表し、且つ、第1支持体が移動され続けるならば、第1搬送物及び/又は第1支持体は、第2搬送物及び/又は第2支持体に接近することになる。しかしながら、第1支持体の移動速度を表す第1検出信号と第2支持体の移動速度を表す第2検出信号とに対する演算処理から得られた間隔が、所定の閾値未満であり、且つ、第2検出信号が、第2支持体の停止を表すならば、モータ制御部は、停止制御を実行するので、第2搬送物への衝突が生ずる前に、第1搬送物は、停止される。第1搬送物と第2搬送物との間の衝突が、生じにくくなるので、コンベアは、第1搬送物及び第2搬送物に対する損傷のリスクを大幅に低減することができる。閾値は、第1搬送物と第2搬送物との間の間隔が前記閾値に等しい位置関係から、第2搬送機構が連続的に第2支持体を移動させ続けるならば、間隔が消滅する前に、第1支持体が第2搬送機構に到達するように設定されているので、第1搬送物が第2搬送物に衝突するリスクは、非常に低くなる。
【0010】
上記の構成に関して、
前記第1搬送物及び前記第2搬送物それぞれは、車両の一部であってもよい。
【0011】
上記の構成によれば、
第1搬送物及び第2搬送物それぞれは、車両の一部であるので、コンベアは、車両の組立作業に好適に利用され得る。
【0012】
上記の構成に関し
て、前記間隔が、前記閾値以上であるならば、前記電動モータは、前記モータ制御部の制御下で、前記フリクションローラを駆動してもよい。
【0014】
第2検出信号が、第2支持体の移動を表しているならば、第2支持体への第1支持体の急速な接近は、生じにくい。したがって、第2検出信号が、第2支持体の移動を表している間、モータが、モータ制御部の制御下で、フリクションローラを駆動しても、第1搬送物が、第2搬送物に衝突するリスクは、非常に低い。第2支持体の移動を表している間、モータは、低い衝突リスクの下で、フリクションローラを駆動することができる。この結果、第1搬送物は、第2駆動機構へ効率的に搬送される。
【0015】
第1搬送物と第2搬送物との間の間隔が、十分に大きいならば、第2搬送物の搬送が停止している条件下でも、第1搬送物が、第2搬送物に衝突するリスクは、非常に低い。したが
って、間隔が、所定の閾値以上であるならば、モータは、低い衝突リスクの下で、フリクションローラを駆動し、第1搬送物を第2駆動機構へ効率的に搬送することができる。
【0016】
上記の構成に関して、前記第2搬送機構は、前記フリクションローラの駆動下にある前記第1支持体よりも低速で前記第2支持体を搬送しても
よい。
【0017】
上記の構成によれば、第2搬送機構は、フリクションローラの駆動下にある第1支持体よりも低速で第2支持体を搬送するので、作業者は、第2搬送機構によって搬送されている第2支持体に安全にアクセスすることができる。第1支持体は、第2搬送機構の搬送速度によりも高速で搬送されるので、第2搬送機構へ効率的に搬送される。
【0019】
上記の構成に関して、前記第2検出信号が、停止から移動への前記第2支持体の状態変化を表すと、前記モータ制御部は、前記電動モータを起動してもよい。
【0020】
上記の構成によれば、第2検出信号が、停止から移動への第2支持体の状態変化を表すと、モータ制御部は、モータを起動するので、第1搬送物を支持する第1支持体は、第2支持体の移動に即時に追従することができる。したがって、第1搬送物は、効率的に搬送される。
【0021】
上記の構成に関して、前記第2搬送機構が、前記第2支持体を、第1搬送速度で搬送していることを、前記第2検出信号が表すならば、前記モータ制御部は、前記電動モータを制御し、前記フリクションローラを第1回転速度で回転させてもよい。前記第2搬送機構が、前記第2支持体を、前記第1搬送速度よりも高い第2搬送速度で搬送していることを、前記第2検出信号が表すならば、前記モータ制御部は、前記電動モータを制御し、前記フリクションローラを、前記第1回転速度よりも高い第2回転速度で回転させてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、第2搬送機構が、第2支持体を、第1搬送速度で搬送していることを、第2検出信号が表すならば、モータ制御部は、モータを制御し、フリクションローラを第1回転速度で回転させ、且つ、第2搬送機構が、第2支持体を、第1搬送速度よりも高い第2搬送速度で搬送していることを、第2検出信号が表すならば、モータ制御部は、モータを制御し、フリクションローラを、第1回転速度よりも高い第2回転速度で回転させるので、第2搬送機構が、第1搬送物を待つ期間は、過度に長くならない。
【0023】
上記の構成に関して、コンベアは、前記第1支持体及び前記第2支持体の移動経路に沿って延設され、且つ、前記第1支持体及び前記第2支持体が吊り下げられるフリーレールを更に備えてもよい。前記第1搬送機構は、前記フリーレール上で前記フリーレールに沿って延設された第1パワーレールと、前記第1パワーレールに沿って延設された第1チェーンと、前記第1チェーンから下方に突出し、前記第1支持体に係合する第1係合部と、前記第1チェーンを駆動する第1モータと、を含んでもよい。前記第2搬送機構は、前記フリーレール上で前記フリーレールに沿って延設された第2パワーレールと、前記第2パワーレールに沿って延設された第2チェーンと、前記第2チェーンから下方に突出する第2係合部と、前記第2チェーンを駆動する第2モータと、を含んでもよい。前記第2パワーレールは、前記第1パワーレールから下流に離間した位置に配置されてもよい。前記接触部材は、前記電動モータの駆動下で、前記第1パワーレールから前記第2パワーレールまでの区間において、前記第1支持体に接触しながら、前記第1支持体を前記フリーレールに沿って下流へ移動させるフリクションバーであってもよい。前記第1支持体が、前記第2パワーレールの下方に位置すると、前記第2係合部は、前記第1支持体に係合してもよい。
【0024】
上記の構成によれば、フリーレールは、第1支持体及び第2支持体の移動経路に沿って延設されるので、第1支持体及び第2支持体は、フリーレールに案内され、下流に向かうことができる。第1搬送機構の第1パワーレールに沿って延設された第1チェーンから下方に突出した第1係合部は、第1支持体に係合するので、第1チェーンが、第1モータによって、第1パワーレールに沿って移動されると、第1支持体は、下流へ移動することができる。同様に、第1支持体が、第2搬送機構の第2パワーレールの下に移動されると、第2パワーレールに沿って延設された第2チェーンから下方に突出した第2係合部は、第1支持体に係合するので、第2チェーンが、第2モータによって、第2パワーレールに沿って移動されると、第1支持体は、更に下流に移動することができる。
【0025】
第2パワーレールは、第1パワーレールから下流に離間した位置に配置されているけれども、フリクションバーは、第1パワーレールから第2パワーレールまでの区間において、第1支持体に接触しながら、第1支持体をフリーレールに沿って下流へ移動させるので、第1支持体は、第2パワーレールの下方に移動することができる。
【0026】
上記の構成に関して、コンベアは、前記第1支持体及び前記第2支持体の移動経路に沿って延設され、且つ、前記第1支持体及び前記第2支持体が吊り下げられるフリーレールを更に備えてもよい。前記第1搬送機構は、前記フリーレール上で前記フリーレールに沿って延設された第1パワーレールと、前記第1パワーレールに沿って延設された第1チェーンと、前記第1チェーンから下方に突出し、前記第1支持体に係合する第1係合部と、前記第1チェーンを駆動する第1モータと、を含んでもよい。前記第2搬送機構は、前記フリーレール上で前記フリーレールに沿って延設された第2パワーレールと、前記第2パワーレールに沿って延設された第2チェーンと、前記第2チェーンから下方に突出する第2係合部と、前記第2チェーンを駆動する第2モータと、を含んでもよい。前記第2パワーレールは、前記第1パワーレールから下流に離間した位置に配置されてもよい。前記接触部材は、前記電動モータの駆動下で、前記第1パワーレールから前記第2パワーレールまでの区間において、前記第1支持体に接触しながら、前記第1支持体を前記フリーレールに沿って下流へ移動させるフリクションバーであってもよい。前記第1支持体が、前記第2パワーレールの下方に位置すると、前記第2係合部は、前記第1支持体に係合してもよい。前記第1検出部は、前記電動モータの回転速度を検出するエンコーダであってもよい。前記第2検出部は、前記第2モータの回転速度を検出するエンコーダであってもよい。
【0027】
上記の構成によれば、フリーレールは、第1支持体及び第2支持体の移動経路に沿って延設されるので、第1支持体及び第2支持体は、フリーレールに案内され、下流に向かうことができる。第1搬送機構の第1パワーレールに沿って延設された第1チェーンから下方に突出した第1係合部は、第1支持体に係合するので、第1チェーンが、第1モータによって、第1パワーレールに沿って移動されると、第1支持体は、下流へ移動することができる。同様に、第1支持体が、第2搬送機構の第2パワーレールの下に移動されると、第2パワーレールに沿って延設された第2チェーンから下方に突出した第2係合部は、第1支持体に係合するので、第2チェーンが、第2モータによって、第2パワーレールに沿って移動されると、第1支持体は、移動することができる。
【0028】
第2パワーレールは、第1パワーレールから下流に離間した位置に配置されているけれども、フリクションバーは、第1パワーレールから第2パワーレールまでの区間において、第1支持体に接触しながら、第1支持体をフリーレールに沿って下流へ移動させるので、第1支持体は、第2パワーレールの下方に移動することができる。
【0029】
第1検出部は、第1モータの回転速度を検出するエンコーダであり、且つ、第2検出部は、第2モータの回転速度を検出するエンコーダであるので、第1搬送物と第2搬送物との間の間隔は、精度よく検出される。
【発明の効果】
【0032】
上述のコンベアは、搬送物への損傷のリスクを十分に低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1実施形態>
従来技術は、高速区間から低速区間への搬送物の乗り移りの際の搬送物間の衝突の課題を有している。本発明者等は、搬送物間の衝突の課題を解消する搬送技術を開発した。第1実施形態において、例示的な搬送技術が説明される。「左」や「右」といった方向を表す用語は、説明の明瞭化のみを目的とする。したがって、本実施形態の原理は、これらの方向を表す用語によっては、何ら限定されない。
【0035】
図1は、第1実施形態のコンベア100の概念的なブロック図である。
図1を参照して、コンベア100が説明される。
【0036】
図1に示されるように、コンベア100は、第1搬送物FCPと第2搬送物SCPとを搬送する。しかしながら、コンベア100は、3を超える数の搬送物を搬送してもよい。したがって、本実施形態の原理は、コンベア100がいくつの搬送物を搬送するかによっては何ら限定されない。
【0037】
図1に示されるように、第1搬送物FCP及び第2搬送物SCPは、左から右へ搬送されている。第2搬送物SCPは、第1搬送物FCPの直前で、コンベア100によって搬送されている。すなわち、第1搬送物FCPは、第2搬送物SCPに後続する。
【0038】
第1搬送物FCP及び第2搬送物SCPそれぞれは、車両の一部であってもよい。代替的に、第1搬送物FCP及び第2搬送物SCPそれぞれは、食品であってもよい。更に代替的に、第1搬送物FCP及び第2搬送物SCPそれぞれは、他の物であってもよい。本実施形態の原理は、第1搬送物FCP及び第2搬送物SCPの特定の種類に限定されない。
【0039】
コンベア100は、第1支持体110と、第2支持体120と、第1搬送機構130と、第2搬送機構140と、中間搬送機構150と、制御装置160と、を備える。第1支持体110は、第1搬送物FCPを支持する。第2支持体120は、第2搬送物SCPを支持する。第1支持体110及び第2支持体120は、第1搬送物FCP及び第2搬送物SCPの吊り下げに用いられるハンガ部材であってもよい。代替的に、第1支持体110及び第2支持体120は、第1搬送物FCP及び第2搬送物SCPが載置される台車であってもよい。本実施形態の原理は、第1支持体110及び第2支持体120の特定の構造に限定されない。
【0040】
図1の点線によって示されるように、時刻t1において、第1支持体110は、第1搬送機構130に接続される。第1搬送機構130は、第1支持体110を右方へ搬送する。この結果、第1搬送物FCPも、第1支持体110とともに右方に移動することができる。第1搬送機構130は、一般的なパワーレール構造を有してもよいし、第1支持体110を移動させることができる他の構造を有してもよい。本実施形態の原理は、第1搬送機構130の特定の構造に限定されない。
【0041】
第2搬送機構140は、第1搬送機構130から右方に離間した位置に配置される。すなわち、第2搬送機構140は、第1搬送機構130の下流に位置する。中間搬送機構150は、第1搬送機構130から第2搬送機構140へ第1搬送物FCPを搬送する。
【0042】
第2支持体120は、第2搬送機構140に接続される。第1搬送機構130と同様に、第2搬送機構140は、第2支持体120を右方へ搬送する。この結果、第2搬送物SCPも、第2支持体120とともに右方に移動することができる。第2搬送機構140は、一般的なパワーレール構造を有してもよいし、第2支持体120を移動させることができる他の構造を有してもよい。本実施形態の原理は、第2搬送機構140の特定の構造に限定されない。
【0043】
図1の実線によって示されるように、時刻t1の後の時刻t2において、第1支持体110は、中間搬送機構150に接続される。すなわち、第1支持体110は、第1搬送機構130から中間搬送機構150へ受け渡される。既知の搬送装置に用いられる受け渡し構造が、第1支持体110を第1搬送機構130から中間搬送機構150へ受け渡すための構造に適用されてもよい。本実施形態の原理は、第1支持体110を第1搬送機構130から中間搬送機構150へ受け渡すための特定の構造に限定されない。
【0044】
第1搬送機構130及び第2搬送機構140と同様に、中間搬送機構150は、第1支持体110を右方へ搬送する。この結果、第1搬送物FCPも、第1支持体110とともに右方に移動することができる。その後、第1支持体110及び第1搬送物FCPは、中間搬送機構150から第2搬送機構140へ受け渡される。既知の搬送装置に用いられる受け渡し構造が、第1支持体110を中間搬送機構150から第2搬送機構140へ受け渡すための構造に適用されてもよい。本実施形態の原理は、第1支持体110を中間搬送機構150から第2搬送機構140へ受け渡すための特定の構造に限定されない。
【0045】
第2搬送機構140によって搬送される第2支持体120及び第2搬送物SCPの移動速度は、第1搬送機構130及び/又は中間搬送機構150によって搬送される第1支持体110及び第1搬送物FCPの移動速度よりも低くてもよい。たとえば、第2搬送機構140によって搬送される第2支持体120及び第2搬送物SCPの移動速度は、作業者が、第2搬送物SCPに安全にアクセスすることができるように設定されてもよい。したがって、作業者は、第2搬送物SCPにアクセスし、所定の作業をすることができる。作業者は、必要に応じて、第2搬送機構140を停止させてもよい。作業者は、第2搬送機構140の停止の間、第2搬送物SCPに対して、溶接やネジ止めといった作業をしてもよい。
【0046】
上述の如く、第2搬送機構140の搬送速度は、第1搬送機構130及び中間搬送機構150の搬送速度よりも低く、且つ、作業者が、第2搬送機構140を停止させることもあるので、第1搬送物FCPと第2搬送物SCPとの間の間隔IVLは減少する。間隔IVLが過度に減少するならば、第1搬送物FCPは第2搬送物SCPに衝突する。しかしながら、制御装置160は、間隔IVLを監視し、中間搬送機構150を制御するので、第2搬送物SCPへ第1搬送物FCPが衝突するリスクは、制御装置160の制御によって低減される。
【0047】
中間搬送機構150は、接触部材151と、フリクションローラ152と、電動モータ153と、を含む。接触部材151は、第1搬送機構130から搬出された第1支持体110に接触する。フリクションローラ152は、接触部材151に当接される。接触部材151が、第1支持体110に接触しているとき、接触部材151が右方に移動するように、フリクションローラ152は、回転する。この結果、第1支持体110は、第2搬送機構140に向けて、接触部材151によって押し出される。第1支持体110が、第2搬送機構140に受け渡されると、フリクションローラ152は、逆転し、接触部材151は、左方に移動する。
【0048】
フリクションローラ152は、電動モータ153に接続される。フリクションローラ152は、電動モータ153に直接的に連結されてもよい。代替的に、フリクションローラ152は、減速機(図示せず)を介して、電動モータ153に連結されてもよい。電動モータ153は、制御装置160の制御下で、フリクションローラ152を回転させる。したがって、第1搬送機構130から中間搬送機構150に到達した第1支持体110は、電動モータ153、フリクションローラ152及び接触部材151によって駆動され、第2搬送機構140に向けて移動されることになる。
【0049】
制御装置160は、検出装置161と、モータ制御部162と、を含む。検出装置161は、第1搬送物FCPと第2搬送物SCPとの間の間隔IVLを検出するための検出信号を生成する。検出信号は、検出装置161からモータ制御部162へ出力される。モータ制御部162は、検出信号に応じて、電動モータ153を制御する。モータ制御部162は、検出信号に所定の演算処理を実行し、間隔IVLを算出してもよい。代替的に、検出信号が、間隔IVLを表す情報を含んでもよい。
【0051】
代替的に、検出装置161は、第1搬送物FCP(又は、第1支持体110)及び第2搬送物SCP(又は、第2支持体120)の位置を検出する複数の位置センサ(たとえば、光学センサや近接センサ)であってもよい。モータ制御部162は、これらの位置センサからの信号を参照して、間隔IVLを検出してもよい。
【0052】
図2は、モータ制御部162の例示的な制御を表すフローチャートである。
図1及び
図2を参照して、モータ制御部162の制御が説明される。
【0053】
(ステップS110)
モータ制御部162は、検出信号を待つ。モータ制御部162が、検出信号を受け取ると、ステップS120が実行される。
【0054】
(ステップS120)
モータ制御部162は、検出信号を参照し、間隔IVLを算出する。間隔IVLが、所定の閾値THIよりも小さいならば、ステップS130が実行される。他の場合には、ステップS140が実行される。
【0055】
(ステップS130)
モータ制御部162は、電動モータ153を停止させる停止制御を実行する。この結果、第2搬送物SCPへの第1搬送物FCPの過度の接近は、防止される。第2搬送物SCPが、その後、第2搬送機構140によって右方に移動されると、間隔IVLは、長くなる。したがって、第2搬送物SCPへの第1搬送物FCPの衝突のリスクは、非常に低くなる。停止制御の後、ステップS110が実行される。
【0056】
(ステップS140)
モータ制御部162は、電動モータ153を駆動する駆動制御を実行する。この結果、第1搬送物FCPは、第2搬送物SCPに接近することができる。したがって、第1搬送物FCPは、第2搬送機構140へ効率的に搬送される。駆動制御の後、ステップS150が実行される。
【0057】
(ステップS150)
モータ制御部162は、検出信号を参照し、第1搬送物FCPが、中間搬送機構150から第2搬送機構140へ受け渡されたか否かを判定する。第1搬送物FCPが、中間搬送機構150に受け渡されているならば、モータ制御部162は、電動モータ153に逆転動作を与え、接触部材151を左方に移動させる。接触部材151が、次の搬送物を第1搬送機構130から受け取る受取位置に到達すると、第1搬送物FCPを搬送する中間搬送機構150に対する制御は完了する。第1搬送物FCPが、第2搬送機構140に受け渡されていないならば、ステップS110が実行される。
【0058】
<第2実施形態>
第1実施形態に関連して説明された搬送技術は、パワーレールとフリーレールとを備える一般的なコンベアに組み込まれてもよい。第2実施形態において、パワーレールとフリーレールとを備える例示的なコンベアが説明される。「左」、「右」、「上」や「下」といった方向を表す用語は、説明の明瞭化のみを目的とする。したがって、本実施形態の原理は、これらの方向を表す用語によっては、何ら限定されない。
【0059】
図3は、第2実施形態のコンベア100Aの概念図である。
図1及び
図3を参照して、コンベア100Aが説明される。上述の実施形態の説明は、上述の実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。
【0060】
図3に示されるように、コンベア100Aは、2つの車体VC1,VC2を搬送する。しかしながら、コンベア100Aは、3を超える数の車体を搬送してもよい。したがって、本実施形態の原理は、コンベア100Aがいくつの車体を搬送するかによっては何ら限定されない。
【0061】
車体VC1は、
図1を参照して説明された第1搬送物FCPに対応する。したがって、第1搬送物FCPに関する説明は、車体VC1に援用される。
【0062】
車体VC2は、
図1を参照して説明された第2搬送物SCPに対応する。したがって、第2搬送物SCPに関する説明は、車体VC2に援用される。
【0063】
図3に示されるように、車体VC1,VC2は、左から右へ搬送されている。車体VC2は、車体VC1の直前で、コンベア100Aによって搬送されている。すなわち、車体VC1は、車体VC2に後続する。
【0064】
第1実施形態と同様に、コンベア100Aは、フリクションローラ152と、電動モータ153と、モータ制御部162と、を備える。第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0065】
コンベア100Aは、2つのハンガ110A,120Aを更に含む。車体VC1は、ハンガ110Aによって支持される。車体VC2は、ハンガ120Aによって支持される。ハンガ110Aは、
図1を参照して説明された第1支持体110に対応する。第1支持体110に関する説明は、ハンガ110Aに援用される。ハンガ120Aは、
図1を参照して説明された第2支持体120に対応する。第2支持体120に関する説明は、ハンガ120Aに援用される。
【0066】
コンベア100Aは、フリーレール170を更に備える。フリーレール170は、車体VC1,VC2の移動経路に沿って連続的に延びる。すなわち、フリーレール170は、左から右へ延びる。ハンガ110A,120Aは、フリーレール170から吊り下げられる。
【0067】
コンベア100Aは、第1パワーレール131と、第1チェーン132と、複数の第1係合部133と、第1モータ134と、ストッパ機構135と、駆動ローラ136と、を更に備える。第1パワーレール131、第1チェーン132、複数の第1係合部133、第1モータ134、ストッパ機構135及び駆動ローラ136は、
図1を参照して説明された第1搬送機構130に対応する。
【0068】
第1パワーレール131は、フリーレール170上に配置される。第1パワーレール131は、フリーレール170に沿って略水平に延設される。第1チェーン132は、第1パワーレール131に沿って略水平に延びる水平区間と、駆動ローラ136によって水平区間から屈曲され、略鉛直に延びる鉛直区間と、を含む。複数の第1係合部133は、水平区間において、第1チェーン132から下方に突出する。複数の第1係合部133は、鉛直区間において、第1チェーン132から右方に突出する。駆動ローラ136は、第1モータ134から駆動力を受け、回転する。駆動ローラ136の回転の結果、第1チェーン132は、水平区間において右方に、鉛直区間において上方に、移動することができる。
【0069】
ハンガ110Aの上部は、フリーレール170から上方に突出する。
図3に示されるように、複数の第1係合部133のうち1つは、水平区間に位置し、ハンガ110Aの上部に係合する。第1モータ134が、水平区間の第1チェーン132を右方に移動させると、ハンガ110Aの上部に係合した第1係合部133は、ハンガ110Aを右方に押す。この結果、ハンガ110Aは、フリーレール170に沿って、右方へ移動することができる。
【0070】
ストッパ機構135は、水平区間の下流端(すなわち、右端)の近くに配置される。ストッパ機構135は、第1係合部133とハンガ110Aの上部との間の係合を解除する。ハンガ110Aの上部が、鉛直方向に伸縮可能であるならば、ストッパ機構135は、ハンガ110Aの上部を下方に押圧してもよい。この結果、第1係合部133は、ハンガ110Aの上部の上方で右方に移動し、その後、鉛直区間に到達することができる。パワーレールとフリーレールとを備える一般的なコンベアが有する係合解除構造は、ストッパ機構135及びハンガ110Aに適用されてもよい。したがって、本実施形態の原理は、ストッパ機構135及びハンガ110Aの特定の構造に限定されない。
【0071】
コンベア100Aは、第2パワーレール141と、第2チェーン142と、複数の第2係合部143と、第2モータ144と、駆動ローラ146と、を備える。第2パワーレール141、第2チェーン142、複数の第2係合部143、第2モータ144及び駆動ローラ146は、
図1を参照して説明された第2搬送機構140に対応する。
【0072】
第2パワーレール141は、フリーレール170上に配置される。第2パワーレール141は、第1パワーレール131から右方に(すなわち、下流に)離間した位置に配置され、フリーレール170に沿って略水平に延設される。第2チェーン142は、第2パワーレール141に沿って略水平に延びる水平区間と、駆動ローラ146によって水平区間から屈曲され、略鉛直に延びる鉛直区間と、を含む。複数の第2係合部143は、水平区間において、第2チェーン142から下方に突出する。複数の第2係合部143は、鉛直区間において、第2チェーン142から左方に突出する。駆動ローラ146は、第2モータ144から駆動力を受け、回転する。駆動ローラ146の回転の結果、第2チェーン142は、鉛直方向において下方に、水平区間において右方に、移動することができる。
【0073】
ハンガ120Aの上部は、フリーレール170から上方に突出する。
図3に示されるように、複数の第2係合部143のうち1つは、水平区間に位置し、ハンガ120Aの上部に係合する。第2モータ144が、水平区間の第2チェーン142を右方に移動させると、ハンガ120Aの上部に係合した第2係合部143は、ハンガ120Aを右方に押す。この結果、ハンガ120Aは、フリーレール170に沿って、右方へ移動することができる。
【0074】
コンベア100Aは、フリクションバー151Aを更に備える。フリクションローラ152の周面は、フリクションバー151Aに当接される。フリクションバー151Aは、
図1を参照して説明された接触部材151に対応する。
【0075】
フリクションバー151Aは、ロッド154と、回動板155と、制限板156と、ヒンジ部157と、を含む。ロッド154は、フリーレール170と略平行に延びる。フリクションローラ152は、ロッド154に当接される。フリクションローラ152が回転すると、ロッド154は、右方又は左方に移動することができる。
【0076】
回動板155及び制限板156は、ロッド154の右端に取り付けられ、ロッド154から下方に突出する。回動板155は、ヒンジ部157によって、ロッド154の右端に連結される。
【0077】
ハンガ110Aが、第1係合部133によって右方に移動されると、ハンガ110Aの上部は、回動板155の下部に接触する。回動板155は、ヒンジ部157周りに右方に回動し、ハンガ110Aの通過を許容する。ヒンジ部157は、右方に回動した回動板155を制限板156に引き寄せるトルクバネを含んでもよい。制限板156は、回動板155の左方への回動を制限する。
【0078】
ハンガ110Aが、回動板155を通過すると、ストッパ機構135によって停止される。モータ制御部162は、ハンガ110Aの停止を通知する通知信号を、ストッパ機構135から直接的に受け取ってもよい。代替的に、モータ制御部162は、ハンガ110Aの停止を通知する通知信号を、ストッパ機構135を制御する制御装置(図示せず)から受け取ってもよい。モータ制御部162は、通知信号の受信の後、電動モータ153を起動する。電動モータ153が、フリクションローラ152を回転させる結果、フリクションバー151Aは、右方に移動する。この結果、回動板155の下部は、ハンガ110Aの上部に当接する。回動板155の左方への回動は、制限板156によって制限されているので、フリクションバー151Aは、ハンガ110Aを右方に押し出すことができる。したがって、ハンガ110Aは、フリーレール170に沿って右方に移動することができる。
【0079】
フリクションバー151Aは、ハンガ110Aがストッパ機構135によって停止された停止位置から第2パワーレール141の左端部まで、ハンガ110Aを右方に搬送する。その後、第2係合部143は、第2パワーレール141の左端部の下方に位置するハンガ110Aの上部に係合し、ハンガ110Aを更に右方に搬送する。
【0080】
コンベア100Aは、2つのエンコーダ163,164と、リミットスイッチ165と、を更に備える。エンコーダ163は、電動モータ153の回転(回転角度や回転速度)を検出する。エンコーダ163は、電動モータ153の回転を表す検出信号を生成する。検出信号は、エンコーダ163からモータ制御部162へ出力される。エンコーダ164は、第2モータ144の回転(回転角度や回転速度)を検出する。エンコーダ164は、第2モータ144の回転を表す検出信号を生成する。検出信号は、エンコーダ164からモータ制御部162へ出力される。したがって、モータ制御部162は、フリクションバー151A及び第2チェーン142それぞれの移動量、移動速度や停止を見出すことができる。この結果、モータ制御部162は、これらの種類の情報から、車体VC1,VC2の間の間隔を見出すことができる。エンコーダ163,164は、
図1を参照して説明された検出装置161に対応する。本実施形態に関して、第1検出部は、エンコーダ163によって例示される。第2検出部は、エンコーダ164によって例示される。第1検出信号は、エンコーダ163から出力される検出信号によって例示される。第2検出信号は、エンコーダ164から出力される検出信号によって例示される。
【0081】
リミットスイッチ165は、ハンガ120Aの通過を検出する。リミットスイッチ165は、ハンガ120Aの通過を検出すると、トリガ信号を生成する。トリガ信号は、リミットスイッチ165からモータ制御部162へ出力される。モータ制御部162は、トリガ信号に応じて、電動モータ153に対する制御を開始する。
【0082】
図4は、モータ制御部162の例示的な制御を表すフローチャートである。
図3及び
図4を参照して、モータ制御部162の制御が説明される。
【0083】
(ステップS210)
モータ制御部162は、ストッパ機構135からの通知信号を待つ。モータ制御部162が、通知信号を受け取ったとき、ハンガ110A及び車体VC1は、ストッパ機構135の下方に位置する。モータ制御部162が、通知信号を受け取ると、ステップS220が実行される。
【0084】
(ステップS220)
モータ制御部162は、リミットスイッチ165からのトリガ信号を待つ。モータ制御部162がトリガ信号を受け取ったとき、ハンガ120A及び車体VC2は、リミットスイッチ165を通過している。したがって、モータ制御部162は、車体VC1,VC2の間の間隔IVLは、トリガ信号の受信時刻において、ストッパ機構135とリミットスイッチ165との間の間隔に等しいことを把握することができる。モータ制御部162がトリガ信号を受け取ると、ステップS230が実行される。
【0085】
(ステップS230)
モータ制御部162は、電動モータ153を駆動する駆動制御を実行する。この結果、車体VC1は、右方に移動する。駆動制御の後、ステップS240が実行される。
【0086】
(ステップS240)
モータ制御部162は、エンコーダ163,164からの検出信号を待つ。モータ制御部162が、検出信号を受け取ると、ステップS250が実行される。
【0087】
(ステップS250)
モータ制御部162は、エンコーダ163,164からの検出信号を参照して、上述の間隔IVLの変化を見出す。モータ制御部162は、検出信号から得られた間隔IVLを所定の閾値THJと比較する。間隔IVLが、閾値THJを下回っているならば、ステップS260が実行される。他の場合には、ステップS280が実行される。
【0088】
(ステップS260)
モータ制御部162は、エンコーダ164からの検出信号を参照し、第2モータ144が停止しているか否かを判定する。第2モータ144が停止しているならば、ステップS270が実行される。他の場合には、ステップS280が実行される。
【0089】
(ステップS270)
モータ制御部162は、電動モータ153を停止させる停止制御を実行する。この結果、車体VC2への車体VC1の過度の接近は、防止される。停止制御の後、ステップS260が実行される。
【0090】
(ステップS280)
モータ制御部162は、エンコーダ163からの検出信号を参照し、車体VC1が、第2パワーレール141の左端部の下方に位置しているか否かを判定する。車体VC1が、第2パワーレール141の左端部の下方に位置しているならば、モータ制御部162は、電動モータ153に逆転動作を与え、フリクションバー151Aを左方に移動させる。フリクションバー151Aが、
図3に示される位置に到達すると、車体VC1に対する搬送制御は完了する。車体VC1が、第2パワーレール141の左端部の下方に位置していないならば、ステップS230が実行される。
【0091】
ステップS260とステップS270とからなる処理ループからステップS260からステップS280への処理ルーチンへの移行は、エンコーダ164が出力した検出信号が、車体VC2を支持するハンガ120Aが、停止から移動への状態変化を表していることを意味する。モータ制御部162が、ステップS280において、車体VC1が、第2パワーレール141の左端部の下方に位置していないならば、ステップS230が実行されるので、モータ制御部162は、ハンガ120Aの移動の再開に略同期して、電動モータ153を起動することができる。したがって、車体VC1は、第1パワーレール131から第2パワーレール141へ効率的に受け渡されることになる。
【0092】
ステップS250において、間隔IVLが、閾値THJに等しいとき、ステップS250からステップS280への処理ルーチンが実行される。その後、第2モータ144が連続的に駆動ローラ146を回転させ続けるならば、電動モータ153がフリクションバー151Aを右方へ移動させる速度は、駆動ローラ146が第2チェーン142を右方へ移動させる速度よりも高いので、ステップS280、ステップS230、ステップS240、ステップS250及びステップS260からなる処理ループが実行される。間隔IVLが、車体VC1,VC2間の衝突が生ずる所定の限界値CTVになる前に、モータ制御部162の制御が、ステップS280、ステップS230、ステップS240、ステップS250及びステップS260からなる処理ループを脱するように、(すなわち、車体VC1が、第2パワーレール141の左端部の下方に到達するように)、閾値THJは、設定されている。したがって、車体VC1の送り速度が、車体VC2の送り速度を上回っていても、車体VC1,VC2間の衝突は生じにくい。
【0093】
<他の特徴>
設計者は、上述の搬送技術に様々な特徴を与えることができる。以下に説明される特徴は、上述の実施形態に関連して説明された搬送技術の原理を何ら限定しない。
【0094】
(モータ制御部の速度調整機能)
第2パワーレールの延設区間は、作業者が、車体の組立を行う領域として利用可能である。1日当たりに組立作業されることを要求される車体数が多いならば、第2モータは、高速で車体を送り出してもよい。一方、1日当たりに組立作業されることを要求される車体数が少ないならば、第2モータは、低速で車体を送り出してもよい。第2パワーレールの延設区間における車体の搬送速度が変更されるならば、モータ制御部は、フリクションローラの回転速度を、第2パワーレールの延設区間における車体の搬送速度に応じて、調整してもよい。この結果、車体は、効率的に組み立てられることになる。第2パワーレールの延設区間における車体の搬送速度に応じて、フリクションローラの回転速度を調整するモータ制御部が、以下に説明される。
【0095】
図5は、モータ制御部162の概略的な機能構成を表すブロック図である。
図3乃至
図5を参照して、モータ制御部162が説明される。
【0096】
モータ制御部162は、速度演算部261と、速度決定部262と、駆動信号生成部263と、を含む。第2モータ144の回転を検出するエンコーダ164からの検出信号は、速度演算部261へ伝達される。速度演算部261は、検出信号を参照して、車体VC2の搬送速度TVLを算出する。搬送速度TVLを表すデータは、速度演算部261から速度決定部262へ伝達される。速度決定部262は、搬送速度TVLに所定の係数αを掛け、フリクションローラ152の回転速度RSP(=α×TVL)を決定する。回転速度RSPに関するデータは、速度決定部262から駆動信号生成部263へ伝達される。フリクションローラ152が、回転速度RSPで回転するように、駆動信号生成部263は、駆動信号を生成する。駆動信号は、駆動信号生成部263から電動モータ153へ出力される。電動モータ153は、駆動信号に応じて、フリクションローラ152を回転させる。
【0097】
モータ制御部162が、上述の停止制御(
図4のステップS270)を実行するとき、駆動信号生成部263は、駆動信号の生成を中止してもよい。代替的に、駆動信号生成部263は、電動モータ153の停止を要求する停止要求信号を生成してもよい。
【0098】
本実施形態に関して、モータ制御部162は、車体VC2の搬送速度TVLに対して、フリクションローラ152の回転速度RSPを比例的に変化させる。しかしながら、エンコーダ164からの検出信号が、第1搬送速度を表しているとき、モータ制御部162が、第1回転速度でフリクションローラ152を回転させ、且つ、エンコーダ164からの検出信号が、第1搬送速度よりも高い第2搬送速度を表しているとき、モータ制御部162が、第1回転速度よりも高い回転速度でフリクションローラ152を回転させるならば、フリクションローラ152の回転速度RSPは、他の演算技術によって決定されてもよい。
【0099】
上述の様々な特徴は、様々な製造現場の要求に適合するように、組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
【0100】
上述の実施形態に関して、モータ制御部162は、電動モータ153だけでなく、第1モータ134及び第2モータ144をも制御してもよい。代替的に、第1モータ134及び第2モータ144は、他の制御装置(図示せず)によって制御されてもよい。
【符号の説明】
【0102】
100,100A・・・・・・・・・・・・・・コンベア
110・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1支持体
110A,120A・・・・・・・・・・・・・ハンガ(第1支持体,第2支持体)
120・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2支持体
130・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1搬送機構
131・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1パワーレール
132・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1チェーン
133・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1係合部
134・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1モータ
140・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2搬送機構
141・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2パワーレール
142・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2チェーン
143・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2係合部
144・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2モータ
150・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中間搬送機構
151・・・・・・・・・・・・・・・・・・・接触部材
151A・・・・・・・・・・・・・・・・・・フリクションバー
152・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フリクションローラ
153・・・・・・・・・・・・・・・・・・・電動モータ
160・・・・・・・・・・・・・・・・・・・制御装置
161・・・・・・・・・・・・・・・・・・・検出装置
162・・・・・・・・・・・・・・・・・・・モータ制御部
163・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エンコーダ(第1検出部)
164・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エンコーダ(第2検出部)
170・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フリーレール
FCP・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1搬送物
SCP・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2搬送物
THI,THJ・・・・・・・・・・・・・・・閾値
VC1,VC2・・・・・・・・・・・・・・・車体(第1搬送物,第2搬送物)