特許第6601602号(P6601602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6601602
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】減速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/10 20060101AFI20191028BHJP
   B60K 17/14 20060101ALI20191028BHJP
   F16C 19/18 20060101ALI20191028BHJP
   F16H 3/66 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   F16H1/10
   B60K17/14
   F16C19/18
   F16H3/66 A
【請求項の数】5
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2019-542735(P2019-542735)
(86)(22)【出願日】2018年7月31日
(86)【国際出願番号】JP2018028617
(87)【国際公開番号】WO2019058766
(87)【国際公開日】20190328
【審査請求日】2019年8月7日
(31)【優先権主張番号】特願2017-183182(P2017-183182)
(32)【優先日】2017年9月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 寛孝
(72)【発明者】
【氏名】大黒 優也
(72)【発明者】
【氏名】松田 靖之
【審査官】 高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−012318(JP,U)
【文献】 米国特許第1604401(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第1550889(DE,A1)
【文献】 特開2016−70358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/10
B60K 17/14
F16C 19/18
F16H 3/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材に取り付けられる第1軸受と、
前記第1軸受に支持され、第1回転軸を中心に回転する出力部材と、
前記出力部材と連結され、前記出力部材と共に前記第1回転軸を中心に回転する内歯歯車と、
前記第1軸受よりも径方向外側で前記支持部材に取り付けられる第2軸受と、
前記第2軸受に支持され、前記第1回転軸とは異なる第2回転軸を中心に回転し、前記内歯歯車と噛み合うピニオンギアと、
を備え、
前記第2軸受の少なくとも一部は、前記第2回転軸に平行な軸方向における前記第1軸受の前記内歯歯車から遠い方の端部を通り且つ前記第2回転軸に対して直交する平面よりも、前記内歯歯車側に位置し、
前記ピニオンギアは、筒状のアウターシャフトと、少なくとも一部が前記アウターシャフトの内側に位置し且つ前記アウターシャフトと一体に回転するインナーシャフトと、を備え、
前記アウターシャフトは、前記第2軸受の内輪の内周面に接する小径部と、前記内歯歯車に噛み合う大径部と、を備え、
前記大径部の最大外径は、前記内輪の内径よりも大きく、
前記大径部の端面は、前記第2軸受に接する
ことを特徴とする減速機。
【請求項2】
前記第2軸受は、複列アンギュラ玉軸受である
ことを特徴とする請求項1に記載の減速機。
【請求項3】
前記インナーシャフトは、前記小径部の内側に位置する基部と、前記大径部の内側に位置するトルク伝達部と、を備え、
前記基部は、円筒状の外周面である第1嵌合面を備え、
前記小径部は、円筒状の内周面であって前記第1嵌合面に接する第2嵌合面を備え、
前記トルク伝達部の外周面及び前記大径部の内周面のうち一方は、前記軸方向に延びる溝を備え、
前記トルク伝達部の外周面及び前記大径部の内周面のうち他方は、前記軸方向に延び且つ前記溝に嵌まる突起を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の減速機。
【請求項4】
前記第2回転軸は、前記内歯歯車よりも径方向内側に位置する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の減速機。
【請求項5】
前記第1軸受は、アタッチメントを介して前記支持部材に取り付けられ、
前記第1軸受は、第1列に配置される複数の第1転動体と、第2列に配置される複数の第2転動体と、を備え、
前記アタッチメントの内周面は、前記第1転動体及び前記第2転動体に接する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、ホイールを回転可能に支持するハブ軸受が備えられている。電動車両等においては、ホイールを回転させるための駆動装置として、ハブ軸受の近傍にモータが設けられることがある。このようなモータはインホイールモータと呼ばれる。モータで生じるトルクを増幅させるために、ハブ軸受には減速機が設けられる場合がある。例えば、特許文献1には、内歯歯車及びピニオンギアを備える減速機が記載されている。特許文献1においては、ピニオンギアを支持する軸受が、内歯歯車を支持する軸受の外輪と一体となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−105416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、減速機の減速比をより大きくすることが求められることがある。このような場合、内歯歯車を大きくすれば、減速機の減速比が大きくなる。しかし、特許文献1に記載される減速機において内歯歯車を大きくすると、内歯歯車を支持する軸受の外輪も大きくなるので、減速機が重くなりやすい。このため、減速比を大きくでき且つ軽量である減速機が望まれている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、減速比を大きくでき且つ軽量である減速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様の減速機は、支持部材に取り付けられる第1軸受と、前記第1軸受に支持され、第1回転軸を中心に回転する出力部材と、前記出力部材と連結され、前記出力部材と共に前記第1回転軸を中心に回転する内歯歯車と、前記第1軸受よりも径方向外側で前記支持部材に取り付けられる第2軸受と、前記第2軸受に支持され、前記第1回転軸とは異なる第2回転軸を中心に回転し、前記内歯歯車と噛み合うピニオンギアと、を備え、前記第2軸受の少なくとも一部は、前記第2回転軸に平行な軸方向における前記第1軸受の前記内歯歯車から遠い方の端部を通り且つ前記第2回転軸に対して直交する平面よりも、前記内歯歯車側に位置する。
【0007】
これにより、ピニオンギアは、内歯歯車に近い位置で第2軸受によって支持される。このため、ピニオンギアのガタつきが抑制される。その上で、第2軸受が、第1軸受とは別の部材であって、第1軸受よりも径方向外側に位置する。このため、第2軸受が第1軸受の外輪を支持する部材に取り付けられる場合に比較して、ピニオンギアと第1軸受との間の距離に応じた重量の増加が抑制される。すなわち、減速機は、減速比を大きくするために内歯歯車を大きくした場合でも重くなりにくい。したがって、本開示の減速機は、減速比を大きくでき且つ軽量である。
【0008】
上記の減速機の望ましい態様として、前記第2軸受は、複列アンギュラ玉軸受である。
【0009】
これにより、第2軸受は、アキシャル荷重、ラジアル荷重及びモーメント荷重を負担できる。このため、ピニオンギアの先端と出力部材との間に、ラジアルニードル軸受等の別の軸受を配置する必要がなくなる。したがって、減速機の軸方向の長さが小さくなる。
【0010】
上記の減速機の望ましい態様として、前記ピニオンギアは、筒状のアウターシャフトと、少なくとも一部が前記アウターシャフトの内側に位置し且つ前記アウターシャフトと一体に回転するインナーシャフトと、を備え、前記アウターシャフトは、前記第2軸受の内輪の内周面に接する小径部と、前記内歯歯車に噛み合う大径部と、を備え、前記大径部の最大外径は、前記内輪の内径よりも大きい。
【0011】
ピニオンギアが伝達することのできるトルクを大きくするために、内歯歯車に噛み合う大径部は、ある程度大きい方が好ましい。その一方で、軽量化のために、第2軸受は小さい方が好ましい。しかし、仮にピニオンギアが1つの部材で構成される場合、大径部の外径を第2軸受の内径よりも小さくする必要があるので、大径部の外径を保ちながら第2軸受を小さくすることが難しい。これに対して、本実施形態のピニオンギアは、アウターシャフト及びインナーシャフトを備えることで、大径部の外径を第2軸受の内径よりも大きくできる。したがって、本実施形態の減速機は、伝達できるトルクの向上と軽量化とを両立できる。
【0012】
上記の減速機の望ましい態様として、前記インナーシャフトは、前記小径部の内側に位置する基部と、前記大径部の内側に位置するトルク伝達部と、を備え、前記基部は、円筒状の外周面である第1嵌合面を備え、前記小径部は、円筒状の内周面であって前記第1嵌合面に接する第2嵌合面を備え、前記トルク伝達部の外周面及び前記大径部の内周面のうち一方は、前記軸方向に延びる溝を備え、前記トルク伝達部の外周面及び前記大径部の内周面のうち他方は、前記軸方向に延び且つ前記溝に嵌まる突起を備える。
【0013】
これにより、第2軸受の内側に位置する第1嵌合面と第2嵌合面とが接することで、第2軸受とピニオンギアとの間の芯ずれが抑制される。すなわち、第2軸受の回転軸に対するピニオンギアの回転軸のずれが抑制される。また、溝及び突起によって、内歯歯車に重なる位置でインナーシャフトからアウターシャフトにトルクが伝達されることになる。これにより、その他の位置(例えば第2軸受に対して大径部とは反対側の位置)でトルクが伝達される場合に比較して、減速機の軸方向に長さが小さくなる。
【0014】
上記の減速機の望ましい態様として、前記第2回転軸は、前記内歯歯車よりも径方向内側に位置する。
【0015】
上記の減速機の望ましい態様として、前記第1軸受は、アタッチメントを介して前記支持部材に取り付けられ、前記第1軸受は、第1列に配置される複数の第1転動体と、第2列に配置される複数の第2転動体と、を備え、前記アタッチメントの内周面は、前記第1転動体及び前記第2転動体に接する。
【0016】
これにより、第1軸受が外輪を備えないので、第1軸受の部品が少なくなる。このため、本開示の減速機は、軽量に構成できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ピニオンギアのガタつきを抑制でき且つ軽量である減速機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態の電動車両駆動装置の模式図である。
図2図2は、ローギアモードにおいてトルクが伝わる経路を示す模式図である。
図3図3は、ハイギアモードにおいてトルクが伝わる経路を示す模式図である。
図4図4は、本実施形態の電動車両駆動装置が搭載されたホイールの斜視図である。
図5図5は、本実施形態の電動車両駆動装置が搭載されたホイールの斜視図である。
図6図6は、本実施形態の電動車両駆動装置の斜視図である。
図7図7は、本実施形態の電動車両駆動装置の斜視図である。
図8図8は、本実施形態の電動車両駆動装置の正面図である。
図9図9は、本実施形態の電動車両駆動装置の正面図である。
図10図10は、本実施形態の電動車両駆動装置の背面図である。
図11図11は、図9におけるA−A断面図である。
図12図12は、図10におけるB−B断面図である。
図13図13は、図10におけるC−C断面図である。
図14図14は、本実施形態の第1モータ、第1減速機、第2モータ、第2減速機及び変速装置の正面図である。
図15図15は、本実施形態の第1モータ、第1減速機、第2モータ、第2減速機及び変速装置の斜視図である。
図16図16は、変速装置の背面図である。
図17図17は、図16におけるD−D断面図である。
図18図18は、第3減速機の正面図である。
図19図19は、図18におけるE−E断面図である。
図20図20は、第4ピニオンギアの周辺の拡大図である。
図21図21は、第2リングギア、第4ピニオンギア及び第2軸受の斜視図である。
図22図22は、第2リングギア、第4ピニオンギア及び第2軸受の斜視図である。
図23図23は、第1変形例の電動車両駆動装置の断面図である。
図24図24は、第2変形例の第3減速機の断面図である。
図25図25は、第3変形例の第3減速機の断面図である。
図26図26は、第4変形例の第3減速機の断面図である。
図27図27は、第5変形例の第3減速機の断面図である。
図28図28は、第6変形例の第3減速機の断面図である。
図29図29は、第7変形例の第3減速機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0020】
図1は、本実施形態の電動車両駆動装置の模式図である。電動車両駆動装置1は、例えば車両のホイール100を回転させるための装置である。図1に示すように、電動車両駆動装置1は、ケース10と、第1モータ11と、第1減速機13と、第2モータ12と、第2減速機14と、変速装置2と、第3減速機6と、出力部材15と、制御装置9と、を備える。
【0021】
第1モータ11は、第1減速機13を介して変速装置2に接続されている。第1減速機13は、第1モータ11が出力するトルクを増大させて変速装置2に伝達する。例えば、第1減速機13は、第1モータ11が出力するトルクを2倍にして変速装置2に伝達する。例えば、第1モータ11の最大トルクは25(Nm)である。このため、第1減速機13から変速装置2に伝達される最大トルクは50(Nm)となる。
【0022】
第1減速機13は、第1ギア131と、第2ギア132と、第3ギア133と、を備える。第1モータ11の第1シャフト110に取り付けられた第1モータギア111が、第1ギア131に噛み合っている。第1ギア131は、第2ギア132に噛み合っている。第3ギア133は、第2ギア132と同軸の歯車であって、第2ギア132と共に回転する。第3ギア133は、変速装置2の入力ギア20に噛み合っている。
【0023】
第2モータ12は、第2減速機14を介して変速装置2に接続されている。第2減速機14は、第2モータ12が出力するトルクを増大させて変速装置2に伝達する。例えば、第2減速機14は、第2モータ12が出力するトルクを2倍にして変速装置2に伝達する。例えば、第2モータ12の最大トルクは25(Nm)である。このため、第2減速機14から変速装置2に伝達される最大トルクは50(Nm)となる。
【0024】
第2減速機14は、第1ギア141と、第2ギア142と、第3ギア143と、を備える。第2モータ12の第2シャフト120に取り付けられた第2モータギア121が、第1ギア141に噛み合っている。第1ギア141は、第2ギア142に噛み合っている。第3ギア143は、第2ギア142と同軸の歯車であって、第2ギア142と共に回転する。第3ギア143は、変速装置2の第1リングギア34に噛み合っている。第1リングギア34は、外周面及び内周面の両方に歯を有する。すなわち、第1リングギア34は、外歯歯車であると共に内歯歯車でもある。第3ギア143は、第1リングギア34の外周面の歯に噛み合っている。すなわち、第3ギア143は、外歯歯車としての第1リングギア34に噛み合っている。
【0025】
図1に示すように、変速装置2は、入力ギア20と、サンギアシャフト21と、第1遊星歯車装置3と、第2遊星歯車装置4と、クラッチ5と、変速装置出力軸25と、を備える。変速装置2は、減速比(変速装置2に入力されるトルクに対する変速装置2が出力するトルクの比)を変更できる。
【0026】
入力ギア20は、第1減速機13の第3ギア133からトルクを受ける。サンギアシャフト21は、入力ギア20に連結されている。第1モータ11が駆動すると、入力ギア20及びサンギアシャフト21が回転軸A2を中心に回転する。
【0027】
第1遊星歯車装置3は、例えばシングルピニオン式の遊星歯車装置である。第1遊星歯車装置3は、第1サンギア31と、第1ピニオンギア32と、第1キャリア33と、第1リングギア34と、を備える。
【0028】
第1サンギア31は、サンギアシャフト21に連結されている。第1サンギア31は、サンギアシャフト21と共に回転軸A2を中心に回転する。第1サンギア31は、第1ピニオンギア32に噛み合っている。例えば、第1サンギア31の歯数は24である。例えば、第1ピニオンギア32の歯数は25である。
【0029】
第1キャリア33は、クラッチ5を介してケース10に支持されている。第1キャリア33は、第1ピニオンギア32が回転軸A32を中心に回転(自転)できるように第1ピニオンギア32を支持する。回転軸A32は、回転軸A2と平行に配置されている。また、第1キャリア33は、第1ピニオンギア32が回転軸A2を中心に回転(公転)できるように第1ピニオンギア32を支持する。第1ピニオンギア32は、第1リングギア34の内周面の歯に噛み合っている。すなわち、第1ピニオンギア32は、内歯歯車としての第1リングギア34に噛み合っている。第1リングギア34は、回転軸A2を中心に回転する。例えば、第1リングギア34の歯数は76である。
【0030】
クラッチ5は、例えばワンウェイクラッチである。クラッチ5は、第1方向のトルクのみを伝達し、第1方向とは逆方向である第2方向のトルクを伝達しない。クラッチ5は、ケース10と第1キャリア33との間に配置される。クラッチ5は、第1キャリア33の回転を規制できる。具体的には、クラッチ5は、第1キャリア33の公転を規制する契合状態と、第1キャリア33の公転を許容する分離状態とを切り替えることができる。すなわち、クラッチ5は、ケース10に対して第1キャリア33を特定の方向に回転自在とすることができ、且つケース10に対して第1キャリア33を当該特定の方向とは逆の方向に回転不能にすることができる。
【0031】
第2遊星歯車装置4は、例えばダブルピニオン式の遊星歯車装置である。第2遊星歯車装置4は、第2サンギア41と、第2ピニオンギア421と、第3ピニオンギア422と、第2キャリア43と、第2リングギア44と、を備える。
【0032】
第2サンギア41は、サンギアシャフト21に連結されている。第2サンギア41は、サンギアシャフト21と共に回転軸A2を中心に回転できる。第2ピニオンギア421は、第2サンギア41と噛み合っている。第3ピニオンギア422は、第2ピニオンギア421と噛み合っている。例えば、第2サンギア41の歯数は47である。例えば、第2ピニオンギア421の歯数は20である。例えば、第3ピニオンギア422の歯数は19である。
【0033】
第2キャリア43は、第1リングギア34に連結されている。第2キャリア43は、第2ピニオンギア421が回転軸A421を中心に回転(自転)できるように第2ピニオンギア421を支持する。また、第2キャリア43は、第3ピニオンギア422が回転軸A422を中心に回転(自転)できるように第3ピニオンギア422を支持する。回転軸A421及び回転軸A422は、回転軸A2と平行に配置されている。また、第2キャリア43は、第2ピニオンギア421及び第3ピニオンギア422が回転軸A2を中心に回転(公転)できるように第2ピニオンギア421及び第3ピニオンギア422を支持する。第2リングギア44は、第3ピニオンギア422に噛み合っている。第2リングギア44は、回転軸A2を中心に回転する。第2リングギア44は、変速装置出力軸25に連結されている。例えば、第2リングギア44の歯数は97である。
【0034】
第3減速機6は、変速装置2と車両のホイール100との間に配置される。第3減速機6は終減速機である。第3減速機6は、変速装置出力軸25に入力されるトルクを大きくし、出力部材15へ出力する。第3減速機6は、第4ピニオンギア61と、第3リングギア62と、を備える。第4ピニオンギア61は、変速装置出力軸25に連結されており、変速装置出力軸25と共に回転軸A2を中心に回転する。第4ピニオンギア61は、第3リングギア62に噛み合っている。第3リングギア62は、回転軸A1を中心に回転する。第3リングギア62は、出力部材15に連結されている。出力部材15は、ホイール100に連結されている。出力部材15及びホイール100は、第3リングギア62と共に回転軸A1を中心に回転する。第1モータ11の回転軸A11、第2モータ12の回転軸A12、及び変速装置2の回転軸A2は、出力部材15の回転軸A1と平行に配置されている。
【0035】
第1モータ11及び第2モータ12の少なくとも一方で発生した動力は、変速装置2及び第3減速機6を介してホイール100へ伝達される。一方、車両が下り坂等を走行している場合、ホイール100で発生する動力は、第3減速機6及び変速装置2を介して第1モータ11及び第2モータ12の少なくとも一方に伝達される。この場合、第1モータ11及び第2モータ12の少なくとも一方は、発電機として駆動する。発電時の回転抵抗は、車両に回生ブレーキとして作用する。
【0036】
制御装置9は、コンピュータであり、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入力インターフェース、及び出力インターフェースを含む。制御装置9は、例えば、車両に搭載されたECU(Electronic Control Unit)である。制御装置9は、第1モータ11及び第2モータ12の角速度及び回転方向を制御する。
【0037】
図2は、ローギアモードにおいてトルクが伝わる経路を示す模式図である。図3は、ハイギアモードにおいてトルクが伝わる経路を示す模式図である。電動車両駆動装置1は、駆動モードとして、ローギアモード及びハイギアモードを備える。駆動モードは、第1モータ11及び第2モータ12の角速度に応じて切り替わる。すなわち、第1キャリア33に第1方向のトルクが加わるように第1モータ11及び第2モータ12が制御された場合には、クラッチ5が契合状態となり、駆動モードがローギアモードとなる。第1キャリア33に第2方向のトルクが加わるように第1モータ11及び第2モータ12が制御された場合には、クラッチ5が分離状態となり、駆動モードがハイギアモードとなる。
【0038】
ローギアモードは、減速比を大きくすることができる。すなわち、ローギアモードにおいては、変速装置出力軸25に伝わるトルクが大きくなる。ローギアモードは、車両が大きなトルクを必要とする場合に主に用いられる。大きなトルクを必要とする場合とは、例えば、登坂時又は加速する時等である。
【0039】
ローギアモードでは、第1モータ11及び第2モータ12で発生するトルクの向きが反対である。また、第1モータ11及び第2モータ12で発生するトルクの大きさは、同じであっても、異なっていてもよい。第1モータ11で発生したトルクは、第1減速機13、入力ギア20及びサンギアシャフト21を介して第1サンギア31に入力される。第2モータ12で発生したトルクは、第2減速機14を介して第1リングギア34に入力される。ローギアモードにおいて、クラッチ5は契合状態となる。すなわち、ローギアモードにおいて、第1ピニオンギア32は自転できるが公転できない。
【0040】
ローギアモードにおいて、第1モータ11が出力するトルクをトルクT1とし、第2モータ12が出力するトルクをトルクT2とする。トルクT2の向きは、トルクT1の向きとは反対である。第1モータ11から出力されたトルクT1は、第1減速機13を経ることでトルクT3となる。トルクT3は、サンギアシャフト21を介して第1サンギア31に入力される。そして、トルクT3は、第1サンギア31でトルクT5と合流することで、トルクT6となる。トルクT5は、第1リングギア34から第1サンギア31に伝わるトルクである。
【0041】
第1サンギア31及び第2サンギア41は、サンギアシャフト21で連結されている。このため、ローギアモードにおいて、第1サンギア31から出力されたトルクT6は、サンギアシャフト21を介して第2サンギア41に伝えられる。そして、トルクT6は、第2遊星歯車装置4によって増幅される。また、トルクT6は、第2遊星歯車装置4によってトルクT8とトルクT7とに分配される。トルクT8は、トルクT2のうち第2リングギア44に分配されたトルクであり、変速装置出力軸25から出力される。トルクT7は、トルクT2のうち第2キャリア43に分配されたトルクである。
【0042】
トルクT8は、変速装置出力軸25から第3減速機6に出力される。そして、トルクT8は、第3減速機6で増幅され、トルクT9となる。トルクT9は、出力部材15を介してホイール100に出力される。その結果、車両が走行する。
【0043】
第2キャリア43及び第1リングギア34は、一体に回転する。第2キャリア43に分配されたトルクT7は、第1リングギア34で第2減速機14から出力されるトルクT4と合成される。第1リングギア34において合成されたトルクT4及びトルクT7は、第1ピニオンギア32を介してトルクT5となる。このように、第1遊星歯車装置3と第2遊星歯車装置4との間でトルクの循環が発生するので、変速装置2は、減速比を大きくすることができる。すなわち、電動車両駆動装置1は、ローギアモードにおいて大きなトルクを発生させることができる。
【0044】
ハイギアモードは、減速比を小さくすることができる。ハイギアモードにおいては、変速装置出力軸25に伝わるトルクは小さくなるが、変速装置2の摩擦損失が小さくなる。ハイギアモードでは、第1モータ11及び第2モータ12で発生するトルクの向きは同じである。また、第1モータ11及び第2モータ12で発生するトルクの大きさは略同じである。ハイギアモードにおいて、第1モータ11が出力するトルクをトルクT11とし、第2モータ12が出力するトルクをトルクT12とする。図3に示すトルクT15は、変速装置出力軸25から出力されて第3減速機6に伝えられるトルクである。
【0045】
ハイギアモードにおいて、第1モータ11のトルクT11は、第1減速機13を経ることでトルクT13となる。第2モータ12のトルクT12は、第2減速機14を経ることでトルクT14となる。ハイギアモードにおいて、クラッチ5は分離状態となる。すなわち、ハイギアモードにおいて、第1ピニオンギア32は、自転でき且つ公転できる状態である。これにより、ハイギアモードでは、第1遊星歯車装置3と第2遊星歯車装置4との間におけるトルクの循環が遮断される。また、ハイギアモードでは第1キャリア33が公転できるため、第1サンギア31及び第1リングギア34は相対的に自由に自転できる。トルクT13は、第2キャリア43でトルクT14と合流する。その結果、第2リングギア44にトルクT15が伝わる。
【0046】
トルクT15は、変速装置出力軸25から第3減速機6に出力される。そして、トルクT15は、第3減速機6で増幅され、トルクT16となる。トルクT16は、出力部材15を介してホイール100に出力される。その結果、車両が走行する。なお、ハイギアモードにおいて、第1モータ11の角速度及び第2モータ12の角速度を制御装置9が適切に制御することにより、トルクT16の向きが逆になる。その結果、車両が後進する。
【0047】
図4は、本実施形態の電動車両駆動装置が搭載されたホイールの斜視図である。図5は、本実施形態の電動車両駆動装置が搭載されたホイールの斜視図である。図6は、本実施形態の電動車両駆動装置の斜視図である。図7は、本実施形態の電動車両駆動装置の斜視図である。図8は、本実施形態の電動車両駆動装置の正面図である。図9は、本実施形態の電動車両駆動装置の正面図である。図10は、本実施形態の電動車両駆動装置の背面図である。図11は、図9におけるA−A断面図である。図12は、図10におけるB−B断面図である。図13は、図10におけるC−C断面図である。図14は、本実施形態の第1モータ、第1減速機、第2モータ、第2減速機及び変速装置の正面図である。図15は、本実施形態の第1モータ、第1減速機、第2モータ、第2減速機及び変速装置の斜視図である。図16は、変速装置の背面図である。図17は、図16におけるD−D断面図である。
【0048】
なお、図8図14及び図15においては、ケース10の図示が省略されている。図9においては、ケース10、第1減速機13及び第2減速機14の図示が省略されている。図12及び図13においては、見やすくするために、ケース10及びホイール100にハッチングが施されており、その他の部材のハッチングは省略されている。図16においては、第2リングギア44の図示が省略されている。
【0049】
以下の説明において、回転軸A1と平行な方向は単に軸方向と記載される。軸方向に対して直交する方向は単に径方向と記載される。すなわち、径方向は回転軸A1に対して直交する方向である。
【0050】
図4及び図5に示すように、電動車両駆動装置1は、車両のホイール100の内側に配置される。電動車両駆動装置1は、出力部材15から突出する複数のスタッドボルト150によってホイール100と固定される。図12に示すように、出力部材15は、第1軸受16を介してケース10に支持されている。また、第3減速機6の第4ピニオンギア61は、第2軸受17を介してケース10に支持されている。ケース10の内部には、第1モータ11、第1減速機13、第2モータ12、第2減速機14及び変速装置2が配置されている。
【0051】
図8に示すように、電動車両駆動装置1においては、第2モータ12の回転軸A12の位置が、第1モータ11の回転軸A11の位置とは異なっている。図8に示すように、出力部材15の回転軸A1と平行な方向から見た場合に、変速装置2の回転軸A2と回転軸A1とを通る直線を直線L1とする。第1モータ11の回転軸A11は、直線L1の一方側に位置している。第2モータ12の回転軸A12は、直線L1の他方側に位置している。すなわち、第2モータ12の回転軸A12は、直線L1を挟んで第1モータ11の回転軸A11とは反対側に位置している。本実施形態においては、直線L1から第2モータ12の回転軸A12までの距離は、直線L1から第1モータ11の回転軸A11までの距離に等しい。
【0052】
図8に示すように、電動車両駆動装置1は、コネクタ8を備える。第1モータ11及び第2モータ12は、U相、V相及びW相を含む三相交流によって駆動する。コネクタ8は、車両に設けられたインバータ(電源装置)にケーブルによって接続される。具体的には、第1モータ11及び第2モータ12のそれぞれに三相交流を供給するために、複数の芯線を有するケーブルがコネクタ8に接続される。コネクタ8は、ケーブルの芯線と電気的に接続される7つの接続部を有する。7つの接続部のうち6つは、インバータに繋がる芯線に接続される。7つの接続部のうち1つは、グラウンド線に接続される。
【0053】
図8に示すように、出力部材15の回転軸A1と平行な方向から見た場合に、回転軸A1を端点とし且つ第1モータ11の回転軸A11を通る半直線を第1半直線H1とし、回転軸A1を端点とし且つ第2モータ12の回転軸A12を通る半直線を第2半直線H2とする。コネクタ8は、第1半直線H1及び第2半直線H2で区切られる領域R1及び領域R2のうち小さい領域R2に位置する。
【0054】
図12に示すように、第1モータ11は、第1シャフト110と、第1モータギア111と、第1ロータ115と、第1ステータ116と、第1コイル117と、を備える。第1シャフト110は、軸受を介してケース10に支持されている。第1モータギア111は、第1シャフト110の端部に取り付けられており、第1シャフト110と共に回転軸A11を中心に回転する。第1ロータ115は、第1シャフト110に取り付けられており、第1シャフト110と共に回転軸A11を中心に回転する。第1ロータ115は、複数のマグネットを備える。第1ステータ116は、第1ロータ115の径方向外側に配置されており、ケース10に固定されている。第1コイル117は、インシュレータを介して第1ステータ116のティースに巻き付けられている。第1コイル117には、三相交流が供給される。
【0055】
図13に示すように、第2モータ12は、第2シャフト120と、第2モータギア121と、第2ロータ125と、第2ステータ126と、第2コイル127と、を備える。第2シャフト120は、軸受を介してケース10に支持されている。第2モータギア121は、第2シャフト120の端部に取り付けられており、第2シャフト120と共に回転軸A12を中心に回転する。第2ロータ125は、第2シャフト120に取り付けられており、第2シャフト120と共に回転軸A12を中心に回転する。第2ロータ125は、複数のマグネットを備える。第2ステータ126は、第2ロータ125の径方向外側に配置されており、ケース10に固定されている。第2コイル127は、インシュレータを介して第2ステータ126のティースに巻き付けられている。第2コイル127には、三相交流が供給される。
【0056】
本実施形態においては、第2モータ12の外径、軸方向長さ、巻線構造(第2コイル127の巻き方)は、第1モータ11の外径、軸方向長さ、巻線構造(第1コイル117の巻き方)と同じである。また、第2モータ12の軸方向での端部の位置は、第1モータ11の軸方向での端部の位置と同じである。
【0057】
図11及び図12に示すように、軸方向における第1ロータ115の端部、軸方向における第1ステータ116の端部及び軸方向における第1コイル117の端部のうち軸方向で最も端に位置する部分である第1端部E1を通り、且つ回転軸A1に対して直交する平面を第1平面B1とする。軸方向における第1ロータ115の端部、軸方向における第1ステータ116の端部及び軸方向における第1コイル117の端部のうち軸方向で第1端部E1とは反対側の最も端に位置する部分である第2端部E2を通り、且つ回転軸A1に対して直交する平面を第2平面B2とする。本実施形態においては、第1端部E1は、第1コイル117の軸方向の一端(ホイール100側の端部)である。第2端部E2は、第1コイル117の軸方向の他端(車体側の端部)である。図11及び図13に示すように、第2ロータ125、第2ステータ126及び第2コイル127は、第1平面B1と第2平面B2との間に位置する。本実施形態においては、第1平面B1が、第2コイル127の軸方向の一端(ホイール100側の端部)を通っている。第2平面B2が、第2コイル127の軸方向の他端(車体側の端部)を通っている。
【0058】
図14に示すように、第1減速機13は、第1モータギア111と変速装置2との間に位置する。第1ギア131の回転軸A131は、回転軸A11と回転軸A2との間に位置する。第2ギア132及び第3ギア133の回転軸A132は、回転軸A131と回転軸A2との間に位置する。
【0059】
図14に示すように、第2減速機14は、第2モータギア121と変速装置2との間に位置する。第1ギア141の回転軸A141は、回転軸A12と回転軸A2との間に位置する。第2ギア142及び第3ギア143の回転軸A142は、回転軸A141と回転軸A2との間に位置する。
【0060】
図11に示すように、変速装置2の少なくとも一部は、第1平面B1と第2平面B2との間に位置する。本実施形態において、変速装置2の軸方向の長さは、第1平面B1と第2平面B2との間の距離よりも大きい。
【0061】
クラッチ5は、例えば、いわゆるカム式のクラッチ装置である。図17に示すように、内輪51と、外輪52と、ローラー53と、を備える。本実施形態において、内輪51は、第1キャリア33と一体に形成されている。外輪52は、ボルトによってケース10に固定されている。ローラー53は、内輪51と外輪52との間に配置されている。ローラー53は、内輪51に支持されており、内輪51と共に回転する。内輪51が第1方向に回転したとき、ローラー53は外輪52に噛み合う。内輪51が回転できなくなるので、第1キャリア33も回転できなくなる。これにより、クラッチ5は契合状態を実現する。一方、内輪51が第1方向とは反対方向である第2方向に回転したとき、ローラー53は外輪52に噛み合わない。内輪51が回転できるので、第1キャリア33も回転できる。これにより、クラッチ5は分離状態を実現する。
【0062】
図18は、第3減速機の正面図である。図19は、図18におけるE−E断面図である。図20は、第4ピニオンギアの周辺の拡大図である。図21は、第2リングギア、第4ピニオンギア及び第2軸受の斜視図である。図22は、第2リングギア、第4ピニオンギア及び第2軸受の斜視図である。
【0063】
図19に示すように、第1軸受16は、内軸受16aと、内軸受16aよりもホイール100側に位置する外軸受16bと、を含む。出力部材15は、内軸受16a及び外軸受16bによって支持されている。内軸受16a及び外軸受16bは、アタッチメント19を介してケース10に取り付けられている(図12参照)。例えば、アタッチメント19は、図18に示すように複数のフランジ19fを備える。フランジ19fを貫通するボルト等によって、アタッチメント19がケース10に固定される。内軸受16a及び外軸受16bは、アタッチメント19の内側に圧入されている。また、内軸受16a及び外軸受16bの内側に出力部材15が圧入されている。図19に示すように、内軸受16aは、出力部材15に取り付けられる位置決め部材181に接することで位置決めされる。外軸受16bは、出力部材15に取り付けられる位置決め部材182に接すること位置決めされる。
【0064】
図19に示すように、第2軸受17は、第1軸受16とは別の部材である。第2軸受17は、ケース10に取り付けられている。第2軸受17は、第1軸受16よりも径方向外側に位置する。また、第2軸受17は、第3平面B3に対してホイール100側に位置する。第3平面B3は、軸方向における第1軸受16の第3リングギア62から遠い方の端部(内軸受16aのホイール100とは反対側の端部)を通り、且つ回転軸A2に対して直交する平面である。さらに、第2軸受17は、第4平面B4に対してホイール100とは反対側に位置する。第4平面B4は、軸方向における第1軸受16の第3リングギア62に近い方の端部(外軸受16bのホイール100側の端部)を通り、且つ回転軸A2に対して直交する平面である。
【0065】
本実施形態においては、第2軸受17は、複列アンギュラ玉軸受である。第2軸受17は、アキシャル荷重、ラジアル荷重及びモーメント荷重を負担する。図20に示すように、第2軸受17は、外輪171と、内輪173と、複数の転動体172と、保持器176と、保持器177と、を備える。
【0066】
外輪171は、環状の部材である。図21及び図22に示すように、外輪171は、複数のフランジ171fを備える。フランジ171fを貫通するボルト175によって、外輪171がケース10に固定されている。フランジ171fのホイール100側の表面がボルト175の頭部に接している。フランジ171fの変速装置2側の表面がケース10に接している。
【0067】
図20示すように、内輪173は、第1内輪片173aと、第2内輪片173bと、を備える。第1内輪片173a及び第2内輪片173bは、環状の部材である。第1内輪片173aは、軸方向における外輪171の一方側から、外輪171の内側に挿入される。第2内輪片173bは、軸方向における外輪171の他方側から、外輪171の内側に挿入される。
【0068】
複数の転動体172は、外輪171と第1内輪片173aとの間、及び外輪171と第2内輪片173bとの間に配置される。複数の転動体172は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。転動体172によって、第1内輪片173a及び第2内輪片173bは、外輪171に対して回転できる。第1内輪片173a及び第2内輪片173bは、回転軸A2を中心に一体となって回転する。
【0069】
保持器176は、外輪171と第1内輪片173aとの間に位置する。保持器176は、外輪171と第1内輪片173aとの間に配置された複数の転動体172を保持している。保持器177は、外輪171と第2内輪片173bとの間に位置する。保持器177は、外輪171と第2内輪片173bとの間に配置された複数の転動体172を保持している。
【0070】
図20に示すように、第4ピニオンギア61は、第2軸受17に支持されており、回転軸A2を中心に回転する。第4ピニオンギア61は、アウターシャフト65と、インナーシャフト66と、止め輪67と、を備える。
【0071】
図20に示すように、アウターシャフト65は、筒状の部材である。アウターシャフト65は、小径部651と、大径部653と、を備える。例えば、小径部651及び大径部653は一体に形成されている。
【0072】
小径部651は、第2軸受17の内側に圧入されている。小径部651は、円筒状の外周面である軸受嵌合面651pと、円筒状の内周面である第2嵌合面651qと、を備える。軸受嵌合面651pは、第1内輪片173a及び第2内輪片173bの内周面に接する。
【0073】
大径部653は、小径部651に対してホイール100側に位置する。大径部653の最大外径D653は、内輪173の内径D173(すなわち、小径部651の外径)よりも大きい。大径部653は、複数の歯653tと、複数の溝653sと、を備える。複数の歯653tは、図21及び図22に示すように大径部653の外周面に設けられる。複数の歯653tは、第3リングギア62の内周面にある複数の歯に噛み合う。また、大径部653の端面(歯653tの端面)は、第2内輪片173bに接する。溝653sは、大径部653の内周面に設けられており、軸方向に延びている。例えば、複数の溝653sは、回転軸A2を中心とした円周に沿う方向に等間隔に配置されている。言い換えると、複数の溝653sは、スプラインを構成している。
【0074】
例えば大径部653の最大外径D653を小さくすれば、第3減速機6の減速比が大きくなる。しかし、第4ピニオンギア61は大きなトルクに耐える必要があるので、大径部653の最大外径D653は、ある程度大きいことが望ましい。このため、第3減速機6の減速比を大きくする場合には、第3リングギア62の直径を大きくすることになる。
【0075】
図20に示すように、インナーシャフト66の少なくとも一部は、アウターシャフト65の内側に位置する。インナーシャフト66は、変速装置2側からアウターシャフト65の内側に挿入されており、アウターシャフト65を貫通している。インナーシャフト66は、基部661と、トルク伝達部663と、連結部665と、を備える。例えば、基部661、トルク伝達部663、及び連結部665は、一体に形成されている。
【0076】
基部661は、小径部651の内側に位置する。基部661は、小径部651の内側に圧入されている。基部661は、円筒状の外周面である第1嵌合面661qを備える。第1嵌合面661qは、小径部651の第2嵌合面651qと接している。
【0077】
トルク伝達部663は、大径部653の内側に位置する。トルク伝達部663は、外周面に複数の突起663sを備える。突起663sは、軸方向に延びており、大径部653の溝653sに嵌まっている。例えば、突起663sは、回転軸A2を中心とした円周に沿う方向に等間隔に配置されている。言い換えると、複数の突起663sは、スプラインを構成している。大径部653の複数の溝653sで構成されるスプラインと、トルク伝達部663の複数の突起663sで構成されるスプラインとが噛み合っている。これにより、インナーシャフト66からアウターシャフト65にトルクが伝達される。
【0078】
連結部665は、第2軸受17に対して変速装置2側に位置する。連結部665は、基部661から径方向に向かって延びている。連結部665は、変速装置2の第2リングギア44と連結されている。これにより、インナーシャフト66は、第2リングギア44と一体となって回転する。また、連結部665は、第1内輪片173aに接する。
【0079】
図20に示すように、止め輪67は、インナーシャフト66に取り付けられる。止め輪67は、トルク伝達部663のうちアウターシャフト65から突出した部分に設けられる環状溝に嵌められている。止め輪67は、大径部653の端面に接する。第2軸受17が大径部653と連結部665とに挟まれ、且つ止め輪67によってインナーシャフト66及びアウターシャフト65の相対移動が規制されている。このため、第2軸受17、インナーシャフト66及びアウターシャフト65が位置決めされる。
【0080】
なお、第3減速機6は、電動車両駆動装置1のうち必ずしも変速装置2とホイール100との間に配置されなくてもよい。第3減速機6は、電動車両駆動装置1の他の部分に適用されてもよい。また、第3減速機6は、必ずしも電動車両駆動装置1に用いられなくてもよく、車両の他の部分に用いられてもよい。また、第3減速機6は電動車両以外の車両に適用できる。例えば、第3減速機6は、原動機としての内燃機関の動力を伝達する部材として用いられてもよい。上述した第1モータ11及び第2モータ12は原動機の一例に過ぎない。また、第3減速機6は、車両以外の装置に適用されてもよい。第3減速機6は、動力を伝達する様々な装置に対して広く適用できる。
【0081】
なお、第4ピニオンギア61は、必ずしも変速装置2に連結されていなくてもよい。例えば、第4ピニオンギア61のインナーシャフト66は、モータのシャフト等に連結されていてもよい。インナーシャフト66は、少なくとも、原動機から動力を得て回転する回転部材に連結されていればよい。上述した第2リングギアは、回転部材の一例に過ぎない。
【0082】
なお、第1軸受16及び第2軸受17は、必ずしもケース10に固定されなくてもよい。第1軸受16及び第2軸受17が取り付けられる支持部材は、第1軸受16及び第2軸受17に加わる荷重に耐えられる部材であれば特に限定されない。
【0083】
なお、必ずしも第2軸受17の全部が第3平面B3と第4平面B4とで挟まれる領域に位置していなくてもよい。例えば、第2軸受17の一部が第3平面B3に対して変速装置2側に位置していてもよい。第2軸受17の少なくとも一部が第3平面B3に対してホイール100側に位置していればよい。
【0084】
なお、大径部653は、必ずしも複数の溝653sを備えていなくてもよい。大径部653は、少なくとも1つの溝653sを備えていればよい。トルク伝達部663は、必ずしも複数の突起663sを備えていなくてもよい。トルク伝達部663は、少なくとも1つの突起663sを備えていればよい。また、必ずしも大径部653が溝を備え、トルク伝達部663が突起を備えていなくてもよい。すなわち、大径部653及びトルク伝達部663の一方が少なくとも1つの溝を備え、他方が当該溝に嵌まる突起を備えていればよい。
【0085】
なお、ローギアモードにおいて、必ずしも第1モータ11及び第2モータ12の両方が駆動しなくてもよい。第1モータ11及び第2モータ12のうち第1モータ11のみが駆動してもよい。また、上述した各ギアの歯数は一例であって、各ギアの歯数は特に限定されない。
【0086】
以上で説明したように、本実施形態の減速機(第3減速機6)は、第1軸受16と、出力部材15と、内歯歯車(第3リングギア62)と、第2軸受17と、ピニオンギア(第4ピニオンギア61)と、を備える。第1軸受16は、支持部材(ケース10)に取り付けられる。出力部材15は、第1軸受16に支持され、第1回転軸(回転軸A1)を中心に回転する。内歯歯車は、出力部材15と連結され、出力部材15と共に第1回転軸を中心に回転する。第2軸受17は、第1軸受16よりも内歯歯車の径方向外側で支持部材に取り付けられる。ピニオンギアは、第2軸受17に支持され、第1回転軸とは異なる第2回転軸(回転軸A2)を中心に回転し、内歯歯車と噛み合う。第2軸受17の少なくとも一部は、第2回転軸に平行な軸方向における第1軸受16の内歯歯車から遠い方の端部を通り且つ第2回転軸に対して直交する平面(第3平面B3)よりも、内歯歯車側に位置する。
【0087】
これにより、ピニオンギア(第4ピニオンギア61)は、内歯歯車(第3リングギア62)に近い位置で第2軸受17によって支持される。このため、ピニオンギアのガタつきが抑制される。その上で、第2軸受17が、第1軸受16とは別の部材であって、第1軸受16よりも径方向外側に位置する。このため、第2軸受17が第1軸受16の外輪を支持する部材(アタッチメント19)に取り付けられる場合に比較して、ピニオンギアと第1軸受16との間の距離に応じた重量の増加が抑制される。すなわち、減速機(第3減速機6)は、減速比を大きくするために内歯歯車を大きくした場合でも重くなりにくい。したがって、本実施形態の減速機は、減速比を大きくでき且つ軽量である。
【0088】
また減速機(第3減速機6)において、第2軸受17は、複列アンギュラ玉軸受である。
【0089】
これにより、第2軸受17は、アキシャル荷重、ラジアル荷重及びモーメント荷重を負担できる。このため、ピニオンギア(第4ピニオンギア61)の先端と出力部材15との間に、ラジアルニードル軸受等の別の軸受を配置する必要がなくなる。したがって、減速機(第3減速機6)の軸方向の長さが小さくなる。
【0090】
また減速機(第3減速機6)において、ピニオンギア(第4ピニオンギア61)は、筒状のアウターシャフト65と、少なくとも一部がアウターシャフト65の内側に位置し且つアウターシャフト65と一体に回転するインナーシャフト66と、を備える。アウターシャフト65は、第2軸受17の内輪173の内周面に接する小径部651と、内歯歯車に噛み合う大径部653と、を備える。大径部653の最大外径D653tは、内輪173の内径D173よりも大きい。
【0091】
ピニオンギア(第4ピニオンギア61)が伝達することのできるトルクを大きくするために、内歯歯車(第3リングギア62)に噛み合う大径部653は、ある程度大きい方が好ましい。その一方で、軽量化のために、第2軸受17は小さい方が好ましい。しかし、仮にピニオンギアが1つの部材で構成される場合、大径部653の外径を第2軸受17の内径よりも小さくする必要があるので、大径部653の外径を保ちながら第2軸受17を小さくすることが難しい。これに対して、本実施形態のピニオンギアは、アウターシャフト65及びインナーシャフト66を備えることで、大径部653の外径を第2軸受17の内径よりも大きくできる。したがって、本実施形態の減速機は、伝達できるトルクの向上と軽量化とを両立できる。
【0092】
また減速機(第3減速機6)において、インナーシャフト66は、小径部651の内側に位置する基部661と、大径部653の内側に位置するトルク伝達部663と、を備える。基部661は、円筒状の外周面である第1嵌合面661qを備える。小径部651は、円筒状の内周面であって第1嵌合面661qに接する第2嵌合面651qを備える。トルク伝達部663の外周面及び大径部653の内周面のうち一方は、軸方向に延びる溝653sを備える。トルク伝達部663の外周面及び大径部653の内周面のうち他方は、軸方向に延び且つ溝653sに嵌まる突起663sを備える。
【0093】
これにより、第2軸受17の内側に位置する第1嵌合面661qと第2嵌合面651qとが接することで、第2軸受とピニオンギア(第4ピニオンギア61)との間の芯ずれが抑制される。すなわち、第2軸受の回転軸に対するピニオンギアの回転軸のずれが抑制される。また、溝653s及び突起663sによって、内歯歯車(第3リングギア62)に重なる位置でインナーシャフト66からアウターシャフト65にトルクが伝達されることになる。これにより、その他の位置(例えば第2軸受に対して大径部653とは反対側の位置)でトルクが伝達される場合に比較して、減速機(第3減速機6)の軸方向に長さが小さくなる。
【0094】
(第1変形例)
図23は、第1変形例の電動車両駆動装置の断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0095】
図23に示すように、第1変形例の電動車両駆動装置1Aは、ケース10Aと、モータ7と、減速機6Aと、を備える。電動車両駆動装置1Aは、変速装置を備えていない。モータ7の動力が減速機6Aに直接伝達される。
【0096】
図23に示すように、モータ7は、シャフト70と、ロータ75と、ステータ76と、コイル77と、を備える。シャフト70は、軸受79を介してケース10Aに支持されている。ロータ75は、シャフト70に取り付けられており、シャフト70と共に回転軸A2を中心に回転する。ロータ75は、複数のマグネットを備える。ステータ76は、ロータ75の径方向外側に配置されており、ケース10Aに固定されている。コイル77は、インシュレータを介してステータ76のティースに巻き付けられている。コイル77には、三相交流が供給される。
【0097】
図23に示すように、減速機6Aは、ピニオンギア61Aを備える。ピニオンギア61Aは、第2軸受17に支持されており、回転軸A2を中心に回転する。ピニオンギア61Aは、インナーシャフト66Aを備える。インナーシャフト66Aの少なくとも一部は、アウターシャフト65の内側に位置する。インナーシャフト66Aは、上述したインナーシャフト66と比較して、変速装置2ではなくモータ7のシャフト70に連結される点が異なる。例えば第1変形例においては、インナーシャフト66Aはシャフト70と一体に形成されている。インナーシャフト66Aは、上述したインナーシャフト66の基部661及びトルク伝達部663に対応する部分を備えている。
【0098】
(第2変形例)
図24は、第2変形例の第3減速機の断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0099】
図24に示すように、第2変形例の第3減速機6Bは、第1軸受16Bを備える。第1軸受16Bは、アタッチメント19を介して支持部材としてのケース10(図12及び図13)に取り付けられる。第1軸受16Bは、第1内輪片1601と、第2内輪片1602と、間座1603と、複数の第1転動体1604と、複数の第2転動体1605と、を備える。
【0100】
第1内輪片1601及び第2内輪片1602は、環状の部材である。第1内輪片1601及び第2内輪片1602は、出力部材15の外周面に接する。第2内輪片1602は、第1内輪片1601よりも第3リングギア62側に配置される。間座1603は、第1内輪片1601と第2内輪片1602との間に配置される。
【0101】
複数の第1転動体1604は、第1列に配置される。第1列は、第1内輪片1601とアタッチメント19との間に配置される。複数の第1転動体1604は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。複数の第1転動体1604は、アタッチメント19の内周面及び第1内輪片1601の外周面に接する。すなわち、第1転動体1604の軌道面は、アタッチメント19の内周面及び第1内輪片1601の外周面である。
【0102】
複数の第2転動体1605は、第2列に配置される。第2列は、第2内輪片1602とアタッチメント19との間に配置される。複数の第2転動体1605は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。複数の第2転動体1605は、アタッチメント19の内周面及び第2内輪片1602の外周面に接する。すなわち、第2転動体1605の軌道面は、アタッチメント19の内周面及び第2内輪片1602の外周面である。
【0103】
以上で説明したように、第2変形例の減速機(第3減速機6B)において、第1軸受16Bは、アタッチメント19を介して支持部材(ケース10)に取り付けられる。第1軸受16Bは、第1列に配置される複数の第1転動体1604と、第2列に配置される複数の第2転動体1605と、を備える。アタッチメント19の内周面は、第1転動体1604及び第2転動体1605に接する。
【0104】
これにより、第1軸受16Bが外輪を備えないので、第1軸受16Bの部品が少なくなる。このため、第2変形例の減速機(第3減速機6B)は、軽量に構成できる。
【0105】
(第3変形例)
図25は、第3変形例の第3減速機の断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0106】
図25に示すように、第3変形例の第3減速機6Cは、第1軸受16Cを備える。第1軸受16Cは、アタッチメント19を介して支持部材としてのケース10(図12及び図13)に取り付けられる。第1軸受16Cは、外輪1607と、第1内輪片1608と、第2内輪片1609と、複数の第1転動体1610と、複数の第2転動体1611と、を備える。
【0107】
外輪1607は、環状の部材である。外輪1607は、アタッチメント19の内周面に接する。第1内輪片1608及び第2内輪片1609は、環状の部材である。第1内輪片1608及び第2内輪片1609は、出力部材15の外周面に接する。第2内輪片1609は、第1内輪片1608よりも第3リングギア62側に配置される。第2内輪片1609の端面は、第1内輪片1608の端面に接する。
【0108】
複数の第1転動体1610は、第1列に配置される。第1列は、外輪1607と第1内輪片1608との間に配置される。複数の第1転動体1610は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。複数の第1転動体1610は、外輪1607の内周面及び第1内輪片1608の外周面に接する。すなわち、第1転動体1604の軌道面は、外輪1607の内周面及び第1内輪片1608の外周面である。
【0109】
複数の第2転動体1611は、第2列に配置される。第2列は、外輪1607と第2内輪片1609との間に配置される。複数の第2転動体1611は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。複数の第2転動体1611は、外輪1607の内周面及び第2内輪片1609の外周面に接する。すなわち、第2転動体1611の軌道面は、外輪1607の内周面及び第2内輪片1609の外周面である。
【0110】
(第4変形例)
図26は、第4変形例の第3減速機の断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0111】
図26に示すように、第4変形例の第3減速機6Dは、第1軸受16Dを備える。第1軸受16Dは、アタッチメント19を介して支持部材としてのケース10(図12及び図13)に取り付けられる。第1軸受16Dは、第1内輪片1613と、第2内輪片1614と、複数の第1転動体1615と、複数の第2転動体1616と、を備える。
【0112】
第1内輪片1613及び第2内輪片1614は、環状の部材である。第1内輪片1613及び第2内輪片1614は、出力部材15の外周面に接する。第2内輪片1614は、第1内輪片1613よりも第3リングギア62側に配置される。第2内輪片1614の端面は、第1内輪片1613の端面に接する。
【0113】
複数の第1転動体1615は、第1列に配置される。第1列は、第1内輪片1613とアタッチメント19との間に配置される。複数の第1転動体1615は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。複数の第1転動体1615は、アタッチメント19の内周面及び第1内輪片1613の外周面に接する。すなわち、第1転動体1615の軌道面は、アタッチメント19の内周面及び第1内輪片1613の外周面である。
【0114】
複数の第2転動体1616は、第2列に配置される。第2列は、第2内輪片1614とアタッチメント19との間に配置される。複数の第2転動体1616は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。複数の第2転動体1616は、アタッチメント19の内周面及び第2内輪片1614の外周面に接する。すなわち、第2転動体1616の軌道面は、アタッチメント19の内周面及び第2内輪片1614の外周面である。
【0115】
第4変形例において、上述したように第1軸受16Dが外輪を備えないので、第1軸受16Dの部品が少なくなる。このため、第4変形例の減速機(第3減速機6D)は、軽量に構成できる。
【0116】
(第5変形例)
図27は、第5変形例の第3減速機の断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0117】
図27に示すように、第5変形例の第3減速機6Eは、第1軸受16Eを備える。第1軸受16Eは、アタッチメント19を介して支持部材としてのケース10(図12及び図13)に取り付けられる。第1軸受16Eは、第1内輪片1618と、第2内輪片1619と、複数の第1転動体1620と、複数の第2転動体1621と、を備える。
【0118】
第1内輪片1618及び第2内輪片1619は、環状の部材である。第1内輪片1618及び第2内輪片1619は、出力部材15の外周面に接する。第2内輪片1619は、第1内輪片1618よりも第3リングギア62側に配置される。第2内輪片1619の一方の端面は、第1内輪片1618の端面に接する。第2内輪片1619の他方の端面は、出力部材15に接する。第1内輪片1618の一方の端面は、出力部材15に接する。第1内輪片1618は、出力部材15が加締められる(塑性変形させられる)ことによって位置決めされる。
【0119】
複数の第1転動体1620は、第1列に配置される。第1列は、第1内輪片1618とアタッチメント19との間に配置される。複数の第1転動体1620は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。複数の第1転動体1620は、アタッチメント19の内周面及び第1内輪片1618の外周面に接する。すなわち、第1転動体1620の軌道面は、アタッチメント19の内周面及び第1内輪片1618の外周面である。
【0120】
複数の第2転動体1621は、第2列に配置される。第2列は、第2内輪片1619とアタッチメント19との間に配置される。複数の第2転動体1621は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。複数の第2転動体1621は、アタッチメント19の内周面及び第2内輪片1619の外周面に接する。すなわち、第2転動体1621の軌道面は、アタッチメント19の内周面及び第2内輪片1619の外周面である。
【0121】
第5変形例において、上述したように第1軸受16Eが外輪を備えないので、第1軸受16Eの部品が少なくなる。このため、第5変形例の減速機(第3減速機6E)は、軽量に構成できる。
【0122】
(第6変形例)
図28は、第6変形例の第3減速機の断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0123】
図28に示すように、第6変形例の第3減速機6Fは、第1軸受16Fを備える。第1軸受16Fは、アタッチメント19を介して支持部材としてのケース10(図12及び図13)に取り付けられる。第1軸受16Fは、第1内輪片1623と、複数の第1転動体1624と、複数の第2転動体1625と、を備える。
【0124】
第1内輪片1623は、環状の部材である。第1内輪片1623は、出力部材15の外周面に接する。第1内輪片1623の一方の端面は、出力部材15に接する。
【0125】
複数の第1転動体1624は、第1列に配置される。第1列は、第1内輪片1623とアタッチメント19との間に配置される。複数の第1転動体1624は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。複数の第1転動体1624は、アタッチメント19の内周面及び第1内輪片1623の外周面に接する。すなわち、第1転動体1624の軌道面は、アタッチメント19の内周面及び第1内輪片1623の外周面である。
【0126】
複数の第2転動体1625は、第2列に配置される。第2列は、出力部材15とアタッチメント19との間に配置される。複数の第2転動体1625は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。複数の第2転動体1625は、アタッチメント19の内周面及び出力部材15の外周面に接する。すなわち、第2転動体1625の軌道面は、アタッチメント19の内周面及び出力部材15の外周面である。
【0127】
第6変形例において、上述したように第1軸受16Fが外輪を備えないので、第1軸受16Fの部品が少なくなる。このため、第6変形例の減速機(第3減速機6F)は、軽量に構成できる。
【0128】
(第7変形例)
図29は、第7変形例の第3減速機の断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0129】
図29に示すように、第7変形例の第3減速機6Gは、第1軸受16Gを備える。第1軸受16Gは、アタッチメント19を介して支持部材としてのケース10(図12及び図13)に取り付けられる。第1軸受16Gは、第1内輪片1627と、複数の第1転動体1628と、複数の第2転動体1629と、を備える。
【0130】
第1内輪片1627は、環状の部材である。第1内輪片1627は、出力部材15の外周面に接する。第1内輪片1627の一方の端面及び他方の端面は、出力部材15に接する。第1内輪片1627は、出力部材15が加締められる(塑性変形させられる)ことによって位置決めされる。
【0131】
複数の第1転動体1628は、第1列に配置される。第1列は、第1内輪片1627とアタッチメント19との間に配置される。複数の第1転動体1628は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。複数の第1転動体1628は、アタッチメント19の内周面及び第1内輪片1627の外周面に接する。すなわち、第1転動体1628の軌道面は、アタッチメント19の内周面及び第1内輪片1627の外周面である。
【0132】
複数の第2転動体1629は、第2列に配置される。第2列は、出力部材15とアタッチメント19との間に配置される。複数の第2転動体1629は、保持器で位置決めされており、等間隔に並んでいる。複数の第2転動体1629は、アタッチメント19の内周面及び出力部材15の外周面に接する。すなわち、第2転動体1629の軌道面は、アタッチメント19の内周面及び出力部材15の外周面である。
【0133】
第7変形例において、上述したように第1軸受16Gが外輪を備えないので、第1軸受16Gの部品が少なくなる。このため、第7変形例の減速機(第3減速機6G)は、軽量に構成できる。
【符号の説明】
【0134】
1、1A 電動車両駆動装置
10、10A ケース(支持部材)
100 ホイール
11 第1モータ
110 第1シャフト
111 第1モータギア
115 第1ロータ
116 第1ステータ
117 第1コイル
12 第2モータ
120 第2シャフト
121 第2モータギア
125 第2ロータ
126 第2ステータ
127 第2コイル
13 第1減速機
131 第1ギア
132 第2ギア
133 第3ギア
14 第2減速機
141 第1ギア
142 第2ギア
143 第3ギア
15 出力部材
150 スタッドボルト
16、16B、16C、16D、16E、16F、16G 第1軸受
16a 内軸受
16b 外軸受
1601 第1内輪片
1602 第2内輪片
1603 間座
1604 第1転動体
1605 第2転動体
1607 外輪
1608 第1内輪片
1609 第2内輪片
1610 第1転動体
1611 第2転動体
1613 第1内輪片
1614 第2内輪片
1615 第1転動体
1616 第2転動体
1618 第1内輪片
1619 第2内輪片
1620 第1転動体
1621 第2転動体
1623 第1内輪片
1624 第1転動体
1625 第2転動体
1627 第1内輪片
1628 第1転動体
1629 第2転動体
17 第2軸受
171 外輪
171f フランジ
172 転動体
173 内輪
173a 第1内輪片
173b 第2内輪片
176、177 保持器
19 アタッチメント
19f フランジ
2 変速装置
20 入力ギア
21 サンギアシャフト
25 変速装置出力軸
3 第1遊星歯車装置
31 第1サンギア
32 第1ピニオンギア
33 第1キャリア
34 第1リングギア
4 第2遊星歯車装置
41 第2サンギア
421 第2ピニオンギア
422 第3ピニオンギア
43 第2キャリア
44 第2リングギア
5 クラッチ
51 内輪
52 外輪
53 ローラー
6、6B、6C、6D、6E、6F、6G 第3減速機(減速機)
6A 減速機
61 第4ピニオンギア(ピニオンギア)
61A ピニオンギア
62 第3リングギア(内歯歯車)
65 アウターシャフト
651 小径部
651p 軸受嵌合面
651q 第2嵌合面
653 大径部
653s 溝
653t 歯
66 インナーシャフト
661 基部
661q 第1嵌合面
663 トルク伝達部
663s 突起
665 連結部
67 止め輪
7 モータ
70 シャフト
75 ロータ
76 ステータ
77 コイル
8 コネクタ
9 制御装置
A1、A11、A12、A2、A131、A132、A141、A142 回転軸
B1 第1平面
B2 第2平面
B3 第3平面
B4 第4平面
E1 第1端部
E2 第2端部
H1 第1半直線
H2 第2半直線
L1 直線
R1、R2 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29