(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る演出表示装置について、演出表示方法との関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0014】
[第1実施形態]
<演出表示装置10の全体構成>
図1は、第1実施形態に係る演出表示装置10の全体構成図である。この演出表示装置10は、被投影体12と、投影装置14(投光手段)と、ケーブル16を介して投影装置14と電気的に接続されたコンピュータ18(移動手段)とを基本的に備える。
【0015】
投影装置14は、任意のカラー画像を示す可視光を逐次投光することで、反射物体の表面上に映像を投影する装置、例えば、液晶プロジェクタである。本図例では、投影装置14は、単色のスリット光Lを被投影体12の投影位置Pに向けて、回転方向R1に沿って回転させながら投光する。
【0016】
コンピュータ18は、演算処理装置、メモリ又は入出力装置(いずれも不図示)を含む汎用計算機である。このメモリには、被投影体12に対する一連の投光パターンを示す投光用動画データ20が記憶されている。
【0017】
<被投影体12の構成>
図2は、
図1に示す被投影体12の斜視図である。被投影体12は、概略円筒状の外形を有し、かつ複数の線状部を組み合わせた三次元メッシュ構造22(三次元構造)からなる。被投影体12は、形状を保持可能な程度の剛性を有し、且つ、スリット光Lを投影可能な程度の非透光性を有する材料から構成される。例えば、ステンレス鋼を含む金属、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む樹脂の他、木材、或いは紙であってもよい。
【0018】
被投影体12の外周部24は、中心Oを通る任意の直径に対して線対称であり、高さ方向及び径方向に波打った面形状を有する。また、被投影体12の内周部26は、外周部24と同様に、中心Oを通る任意の直径に対して線対称であり、高さ方向及び径方向に波打った面形状を有する。
【0019】
図3は、
図2に示す三次元メッシュ構造22の一部を抽出した模式図であり、より詳しくは等角度間隔でスライス状に抽出した図である。本図から理解されるように、三次元メッシュ構造22は、横向きである「歩行者」の外形輪郭を示す複数の閉輪郭部28を含んで構成される。
【0020】
複数の閉輪郭部28は、円状のループをなす配列方向A1に沿って時系列順に配置されている。ここで「時系列順」とは、一連の動き、変化又は物語を含む観念・意図を表現する順番である。本図例では、2歩分の歩行動作を時間軸に沿って並べた順番に相当する。
【0021】
図4は、
図2に示す外周部24及び内周部26の部分拡大図である。
図4(a)では、外周部24の一部として、5つの閉輪郭部28と、各閉輪郭部28を横切って接続する12個の接続部30が表記されている。
図4(b)では、内周部26の一部として、5つの閉輪郭部28と、各閉輪郭部28を横切って接続する12個の接続部30が表記されている。隣接する閉輪郭部28、28及び隣接する接続部30、30に囲まれることにより、4つの頂点を有するメッシュの構成単位32が形成されている。そして、1つの構成単位32につき、1つの開口部34が形成されている。
【0022】
図2〜
図4から理解されるように、三次元メッシュ構造22は、配列方向A1に沿って配置された複数の閉輪郭部28を包絡する面形状を有する。ここで、「包絡する面形状」とは、閉輪郭部28がなす面の法線方向(軸方向)がそれぞれ、三次元メッシュ構造22の面方向に対して「平行」である関係を意味する。つまり、閉輪郭部28は、メッシュの構成単位32とは異なる点に留意する。
【0023】
<演出表示装置10の動作>
第1実施形態に係る演出表示装置10は、以上のように構成される。続いて、この演出表示装置10を用いた演出表示方法について、
図4〜
図6を主に参照しながら説明する。
【0024】
[1]「準備」ステップにおいて、作業者は、演出表示に供される演出表示装置10を準備する。この準備に先立ち、作業者は、画像処理装置(例えば、コンピュータ18)を用いて出力用データ、ここではCAD(Computer Aided Design)データを作成する。具体的には、複数の二次元輪郭データに対して公知のモーフィング処理を施した後、始点と終点を円形ループ状に連結することで、輪郭形状の連続体を示す一時データを作成する。
【0025】
そして、画像処理装置を用いて一時データに対してメッシュ生成処理を施すことで、三次元メッシュ構造22を示すCADデータを得る。その後、三次元造形装置(いわゆる3Dプリンタ)を用いてCADデータから被投影体12を生成した後、投影装置14の光軸が中心Oを通る位置・姿勢下に被投影体12を配置する。この造形方式は、熱融解積層方式、光造形方式、粉末焼結方式、プロジェクション方式、インクジェット方式、インクジェット粉末積層方式のうちいずれであってもよい。
【0026】
ここでは、コンピュータ18は、投影装置14による投光動作を未だ指示していない。三次元メッシュ構造22には複数の閉輪郭部28が含まれるが、観察者は、被投影体12の外側から視認する際に、遠近方向に重なり合った個々の閉輪郭部28の形状を認識できない点に留意する。
【0027】
[2]「投光」ステップにおいて、投影装置14は、コンピュータ18から供給される動画像信号に応じて、スリット光Lを被投影体12に向けて投光する。スリット光Lは、投影位置Pに向けて投光された後に、線状部同士(構成単位32)の隙間がなす開口部34を通過しながら、この投影位置Pに対応する閉輪郭部28に到達する。これにより、観察者は、三次元メッシュ構造22によって作為的にカモフラージュされた個々の閉輪郭部28の存在を、当該閉輪郭部28の上に形成された線状の投影像として視認する。
【0028】
[3]「移動」ステップにおいて、コンピュータ18は、動画像信号としての投光用動画データ20を順次出力することで、投影装置14からのスリット光Lの投影位置Pを、回転方向R1に沿って相対移動させる。このとき、被投影体12は静止状態を保っているので、投影位置Pは、中心Oを基点とする円状に、すなわち配列方向A1に沿って相対的に回転移動する。
【0029】
図5は、投光用動画データ20が示す映像の時系列図である。本図例では、(a)第1映像41→(b)第2映像42→(c)第3映像43の順番に映像が流れるものとする。また、各映像領域のうちオン領域44を「塗り潰し有り」で表記すると共に、オフ領域45を「塗り潰し無し」で表記する。
【0030】
本図から理解されるように、いずれの映像も、画像領域の中央と端部を結ぶ1本の線分を示すオン領域44と、オン領域44を除く残りのオフ領域45から構成される。一方向を基準として線分の回転角θ[度](0≦θ<360)を定義するとき、第1映像41ではθ=0[度]であり、第2映像42ではθ=120[度]であり、第3映像43ではθ=240[度]である。
【0031】
図6は、被投影体12の上に部分的に形成される投影像を模式的に示す図である。ここでは、スリット光Lの線幅が、閉輪郭部28同士の間隔よりも狭い場合を想定する。
図6(a)に示すように、閉輪郭部28に対応する投影位置Pにおいて、連続線にて歩行者の輪郭を示す線状投影像50が形成される。一方、
図6(b)に示すように、接続部30に対応する投影位置Pにて、点群にて歩行者の輪郭を示す点群投影像52が形成される。
【0032】
つまり、時間に比例して回転角θ[度]を増加することで、等角速度で投影位置Pを変えながら、線状投影像50及び点群投影像52が交互に形成される。なお、スリット光Lの線幅が閉輪郭部28同士の間隔よりも広い場合、或いはスリット光Lの回転速度が十分に速い場合、線状投影像50及び点群投影像52の両者を混合した投影像が視認される。
【0033】
このように、複数の閉輪郭部28が配置された配列方向A1に沿って投影位置Pを相対移動させることで、閉輪郭部28による線状投影像50が時系列的に形成される。観察者は、視認した一連の線状投影像50が示す何らかの観念又は意図を理解できる。具体的には、被投影体12の形態例において、観察者は、歩行者による一連の歩行動作を認識可能である。また、この映像の表示と連動させて音を流すことで、演出表示装置10による演出効果を一層高めることができる。
【0034】
<演出表示装置10による効果>
この演出表示装置10は、複数の線状部を組み合わせた三次元メッシュ構造22からなる被投影体12と、被投影体12に向けてスリット光Lを投光する投影装置14と、投影装置14からのスリット光Lの投影位置Pを相対移動させるコンピュータ18を備える。そして、三次元メッシュ構造22は、配列方向A1に沿って配置された複数の閉輪郭部28を包絡する面形状を有し、コンピュータ18は、配列方向A1に沿って投影位置Pを相対移動させる。
【0035】
また、演出表示装置10を用いた演出表示方法では、[1]被投影体12を準備する準備ステップと、[2]投影装置14により被投影体12に向けてスリット光Lを投光する投光ステップと、[3]投影装置14からのスリット光Lの投影位置Pを相対移動させる移動ステップを備える。この装置及び方法により、被投影体12の外観からの予測が困難であり、しかも演出効果が高い映像を表示できる。
【0036】
<変形例>
配列方向A1は、円形のループ状に限られず、直線、曲線又はこれらを組み合わせた任意の形状であってもよいし、一部が交差した形状であってもよい。この場合の三次元構造は、トポロジー的に閉じた面形状(例えば、球体)を有することになる。三次元構造は、メッシュ状に限られず、複数の線状部が並んで一方向に延びる縞状であってもよい。
【0037】
また、三次元メッシュ構造22は、複数の閉輪郭部28を包絡(envelop)する面形状に代えて、複数の閉輪郭部28を包摂(include)する面形状を有してもよい。ここで、「包摂する面形状」とは、閉輪郭部28がなす面の法線方向(軸方向)がそれぞれ、三次元メッシュ構造22の面方向に対して「垂直」である関係を意味する。
【0038】
複数の閉輪郭部28は、任意の文字、図形、記号又はこれらを組み合わせた形状であってもよい。つまり、
図3例のように隣接する形状同士が類似してもよいし、類似しなくてもよい。また、三次元メッシュ構造22を形成する構成単位32のサイズ(メッシュサイズ)、閉輪郭部28の線幅、又は接続部30の線幅(メッシュ幅)を任意に変更できる。
【0039】
スリット光Lは、任意の長さ、任意の幅或いは任意の本数であってもよい。また、スリット光Lは、白色、赤色、緑色、青色を含む任意の色であってもよいし、明度・彩度・色相を連続的/不連続的に経時変化させた色であってもよい。
【0040】
上記形態を組み合わせた典型例として、時計を表現した演出表示装置10を挙げることができる。具体的には、「1」から「12」までの12個の閉輪郭部28を円周上に沿って配置すると共に、長さ又は色が異なる3本のスリット光Lを同時に投光する。これにより、演出表示装置10は、時針、分針及び秒針により時刻を表示可能であり、時計としての機能を発揮する。
【0041】
[第2実施形態]
<演出表示装置60の全体構成>
図7は、第2実施形態に係る演出表示装置60の全体構成図である。この演出表示装置60は、被投影体12と、回転台62(移動手段)と、光源64(投光手段)とを基本的に備える。被投影体12として、第1実施形態(
図1〜
図4参照)と同一物を用いることができる。
【0042】
回転台62は、被投影体12を載置した状態にて回転方向R2に回転可能である。この回転方向R2は、被投影体12の配列方向A1とは逆回りである点に留意する。光源64は、被投影体12の投影位置Pに向けてスリット光Lを投光する。この光源64は、例えば、半導体レーザ、LED(Light Emitting Diode)アレイ、蛍光灯ランプで構成される。
【0043】
<演出表示装置60の動作>
第2実施形態に係る演出表示装置60は、以上のように構成される。続いて、この演出表示装置60を用いた演出表示方法について、第1実施形態(演出表示装置10)と異なる点のみを説明する。
【0044】
「準備」ステップにおいて、作業者は、第1実施形態と同様に生成された被投影体12を回転台62の上に載置する。「投光」ステップにおいて、光源64は、作業者によるオン操作に応じて、スリット光Lを被投影体12に向けて投光する。
【0045】
「移動」ステップにおいて、回転台62は、載置した被投影体12を回転方向R2に回転させる。このとき、光源64は固定的に配置されているので、投影位置Pは、中心Oを基点とする円状に、すなわち配列方向A1に沿って相対的に回転移動する。このようにして、観察者は、第1実施形態の場合と同じ原理により、歩行者による一連の歩行動作を認識可能である。
【0046】
<演出表示装置60による効果>
この演出表示装置60は、三次元メッシュ構造22からなる被投影体12と、被投影体12に向けてスリット光Lを投光する光源64と、光源64からのスリット光Lの投影位置Pを相対移動させる回転台62を備える。つまり、被投影体12及びスリット光Lのうち少なくとも一方を移動させる構成であれば、被投影体12の外観からの予測が困難であり、しかも演出効果が高い映像を表示できる。
【0047】
<変形例>
被投影体12を相対移動させる手段は回転台62に限られず、配列方向A1に応じた移動を実現する各種手段を用いることができる。移動の形態は、回転移動を含む周回移動の他、直線移動、往復移動、八の字移動、蛇行移動、或いは揺動移動(振り子)が挙げられる。
【0048】
また、技術的に矛盾が生じない範囲であれば、被投影体12又はスリット光Lに対して第1実施形態で示した変形例を組み合わせて適用してもよい。
【0049】
[第3実施形態]
<演出表示装置70の全体構成>
図8は、第3実施形態に係る演出表示装置70の全体構成図である。この演出表示装置70は、被投影体72と、投影装置14と、ケーブル16を介して投影装置14と電気的に接続されたコンピュータ18とを基本的に備える。本図例では、投影装置14は、単色のスリット光Lを被投影体72の投影位置Pに向けて、落下方向Fに沿って平行移動させながら投光する。このコンピュータ18のメモリ(不図示)には、被投影体72に対する一連の投光パターンを示す投光用動画データ74が記憶されている。
【0050】
<被投影体72の構成>
図9は、
図8に示す被投影体72の正面図である。被投影体72は、桜の木を模した外形の本体部76と、本体部76の高さ方向に沿って設けられた帯状のスクリーン部78とを有する。本体部76は、例えば、アクリル樹脂、ガラスを含む透光性材料からなる。スクリーン部78は、非透光性材料からなる三次元メッシュ構造80を含んで構成される。
【0051】
図10は、
図9に示す三次元メッシュ構造80の一部を抽出した模式図である。本図から理解されるように、三次元メッシュ構造80は、「桜の花弁」の外形輪郭を示す複数の閉輪郭部82を含んで構成される。一点鎖線で示す領域は、5つの閉輪郭部82を包絡する形状を有する包絡部84である。複数の閉輪郭部82は、上方から下方に向かう配列方向A2に沿って時系列的に配置されている。本図例では、花弁の落下動作を時間軸に沿って並べた順番に相当する。
【0052】
<演出表示装置70の動作>
第3実施形態に係る演出表示装置70は、以上のように構成される。続いて、この演出表示装置70を用いた演出表示方法について、
図11及び
図12を主に参照しながら説明する。
【0053】
[1]「準備」ステップにおいて、作業者は、演出表示に供される演出表示装置70を準備する。第1実施形態の場合と同様の手法を用いてスクリーン部78を作製し、このスクリーン部78を本体部76の所定位置(中央部)に取り付ける。その後、完成した被投影体72を投影装置14に対向させて配置する。
【0054】
ここでは、コンピュータ18は、投影装置14による投光動作を未だ指示していない。三次元メッシュ構造80には複数の閉輪郭部82が含まれるが、観察者は、被投影体72の外側から視認する際に、投影面方向に重なり合った個々の閉輪郭部82の形状を認識できない点に留意する。
【0055】
[2]「投光」ステップにおいて、投影装置14は、コンピュータ18から供給される動画像信号に応じて、スリット光Lを被投影体72に向けて投光する。スリット光Lは、投影位置Pに向けて投光された後に、線状部同士の隙間がなす開口部(不図示)を通過しながら、この投影位置Pに対応する閉輪郭部82に到達する。これにより、観察者は、三次元メッシュ構造80によって作為的にカモフラージュされた個々の閉輪郭部82の存在を、当該閉輪郭部82の上に形成された線状の投影像として視認する。
【0056】
[3]「移動」ステップにおいて、コンピュータ18は、動画像信号としての投光用動画データ74を順次出力することで、投影装置14からのスリット光Lの投影位置Pを、落下方向Fに沿って相対移動させる。このとき、被投影体72は静止状態を保っているので、投影位置Pは、上方から下方に向けて、すなわち配列方向A2に沿って相対的に平行移動する。
【0057】
図11は、投光用動画データ74が示す映像の時系列図である。本図例では、(a)第1映像91→(b)第2映像92→(c)第3映像93の順番に映像が流れるものとする。また、各映像領域のうちオン領域94を「塗り潰し有り」で表記すると共に、オフ領域95を「塗り潰し無し」で表記する。
【0058】
本図から理解されるように、いずれの映像も、画像領域の左右方向に延びる1本の線分を示すオン領域94と、オン領域94を除く残りのオフ領域95から構成される。画像領域の高さをH[画素]とし、上端を基準として線分の位置h[画素](0≦θ≦H)を定義するとき、第1映像91ではh=0[画素]であり、第2映像92ではh=H/3[画素]であり、第3映像93ではh=2H/3[画素]である。
【0059】
図12は、被投影体72の上に部分的に形成される投影像を模式的に示す図である。
図12(a)に示すように、上から1番目の閉輪郭部82に対応する投影位置Pにおいて、連続線にて花弁の輪郭を示す投影像101が形成される。続いて、
図12(b)に示すように、上から2番目の閉輪郭部82に対応する投影位置Pにおいて、連続線にて花弁の輪郭を示す投影像102が形成される。続いて、
図12(c)に示すように、上から3番目の閉輪郭部82に対応する投影位置Pにおいて、連続線にて花弁の輪郭を示す投影像103が形成される。
【0060】
つまり、時間に比例して高さh[画素]を増加することで、等速度で投影位置Pを変えながら、投影像101、102、103が順次形成される。なお、スリット光Lの線幅が閉輪郭部28同士の間隔よりも広い場合、或いは、スリット光Lの移動速度が十分に速い場合、複数の投影像101〜103を混合した投影像が視認される。
【0061】
このように、複数の閉輪郭部82が配置された配列方向A2に沿って投影位置Pを相対移動させることで、閉輪郭部82による投影像101〜103が時系列的に形成される。これにより、観察者は、本体部76の外形を同時に視認することで、桜の花弁による一連の落下動作を認識可能である。
【0062】
<演出表示装置70による効果>
この演出表示装置70は、三次元メッシュ構造80を含んで構成される被投影体72と、被投影体72に向けてスリット光Lを投光する投影装置14と、投影装置14からのスリット光Lの投影位置Pを相対移動させるコンピュータ18を備える。そして、三次元メッシュ構造80は、配列方向A2に沿って配置された複数の閉輪郭部82を包絡する面形状を有し、コンピュータ18は、配列方向A2に沿って投影位置Pを相対移動させる。
【0063】
このように、被投影体72の全体が三次元メッシュ構造で構成されていない場合であっても、三次元メッシュ構造80が存在する一部分(スクリーン部78)に向けてスリット光Lを投光することで、被投影体72の外観からの予測が困難であり、しかも演出効果が高い映像を表示できる。
【0064】
<変形例>
配列方向A2は、直線状に限られず、始点及び終点が一致しない任意の形状であってもよい。この場合の三次元構造は、トポロジー的に開いた面形状(例えば、柔軟な布形状を演出した湾曲面)を有することになる。また、技術的に矛盾が生じない範囲であれば、被投影体72又はスリット光Lに対して第1実施形態で示した変形例を組み合わせて適用してもよい。
【0065】
また、投影位置Pを固定しながらスリット光Lを幅方向に拡大することで、三次元メッシュ構造80の全体を映し出してもよい。これにより、単なる静止画の表示も併せて可能になる。
【0066】
また、被投影体72の個数は2つ以上であってもよく、同一の又は異なる種類の被投影体72を跨いで1本のスリット光Lを投光することで、異なった投影像を同時に表示させてもよい。これにより、複数の文字列を同時に視認させる演出、同一物を複数の視点から同時に視認させる演出を含む、高度な演出表示を実現可能である。
【0067】
[備考]
なお、この発明は、上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0068】
この発明の範囲を最も広く捉えた場合、被投影体は、三次元メッシュ構造22(80)に代わって、配列方向に沿って配置された複数の閉輪郭部28(82)及び各閉輪郭部28(82)を互いに連結して支持する支持手段(接続部30、或いはスクリーン部78)を含んで構成してもよい。支持手段としては、円筒状・布状を含む任意の形状であり、かつ透光性が高い部材を用いることができる。