(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る発電システムの実施の形態を詳細に説明する。ただし、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔実施の形態の基本的概念〕
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、外部から加えられた外力を発電手段を介して電気に変換する発電システムに関するものである。
【0021】
ここで、「外部から加えられた外力」とは、例えば、波力、風力、人力、機械力等を含む概念であるが、実施の形態1から6では波力として説明し、実施の形態7では機械力として説明する。また、「発電手段」とは、外部から加えられた外力を電気に変換するものであり、例えば、ダイナモ等を含む概念である。以下、実施の形態1から6では、発電システムが、海、川、湖等で発生した波の波力をダイナモを介して電気に変換する発電システムである場合について説明する。また、実施の形態7では、発電システムが、車両(例えば、四輪自動車、二輪自動車、自転車等)の車輪から車体に伝えられる機械力をダイナモを介して電気に変換する発電システムである場合について説明する。
【0022】
(実施の形態の具体的内容)
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0023】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1について説明する。この形態は、波力を利用して発電を行う形態であって、押圧手段が第1歯部と第2歯部とを備える形態である。
【0024】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る発電システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る発電システムを示す斜視図である。なお、以下の説明では、
図1のX方向を左右方向(−X方向を左方向、+X方向を右方向)、
図1のY方向を前後方向(+Y方向を前方向、−Y方向を後方向)、
図1のZ方向を上下方向(+Z方向を上方向、−Z方向を下方向)、と称する。発電システムは、外部から加えられた外力(波力)を後述する発電部70のダイナモを介して電気に変換するシステムである。
図1に示すように、この発電システム1は、第1浮遊体10と、第2浮遊体20と、押圧部30と、伝達部40と、シャフト50と、フライホイール60と、発電部70とを備えている。
【0025】
(構成−第1浮遊体)
第1浮遊体10は、当該第1浮遊体10の少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものであって、押圧部30を支持するものである。ここで、「第1浮遊体10」とは、例えば、浮遊する機能を有する部材のみを組み合わせたものや、浮遊する機能を有する部材と浮遊する機能を有しない部材とを組み合わせたもの等を含む概念である(なお、第2浮遊体20についても同様とする)。この第1浮遊体10は、例えば金属材、樹脂材、木材等にて形成された略箱状体(例えば、直方体等)であり、海、川、湖等の水面上に配置され、少なくとも前後方向又は上下方向に向けて揺動可能な状態で浮遊している。ただし、第1浮遊体10は、不用意に遠方に移動しないように、護岸等と接続された図示しない係留部材(例えば、ワイヤ等)によって、少なくとも前後方向又は上下方向に向けて揺動可能な状態を維持したまま、係留されている。
【0026】
(構成−第2浮遊体)
第2浮遊体20は、当該第2浮遊体20の少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものであって、発電部70を支持するものである。この第2浮遊体20は、例えば金属材、樹脂材等にて形成された略箱状体(例えば、直方体等)であり、海、川、湖等の水面上において、第1浮遊体10よりも左側の位置であって、間隔を隔てて第1浮遊体10と対向する位置され、少なくとも前後方向又は上下方向に向けて揺動可能な状態で浮遊している。ただし、第2浮遊体20は、不用意に遠方に移動しないように、護岸等と接続された図示しない係留部材(例えば、ワイヤ等)によって、少なくとも前後方向又は上下方向に向けて揺動可能な状態を維持したまま、係留されている。
【0027】
(構成−押圧部)
押圧部30は、伝達部40が回転移動可能となるように、当該伝達部40を押圧するための押圧手段である。この押圧部30は、例えば防錆処理された鋼材等にて形成された長尺体であり、第1浮遊体10の上面に設けられている。ただし、押圧部30は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0028】
(構成−伝達部)
伝達部40は、自己が回転移動することにより、後述する発電回転方向の回転力を発電部70の後述するダイナモに伝達するための伝達手段である。この伝達部40は、例えば複数の突起部41を有する公知の歯車等を用いて構成されており、シャフト50を介して発電部70の後述する筐体71に対して回転可能に支持されている。なお、伝達部40及び押圧部30は、特許請求の範囲における「回転力変換手段」に対応する。
【0029】
(構成−シャフト)
シャフト50は、伝達部40から伝達された回転力を発電部70に対して伝達するためのものである。このシャフト50は、略細長状の棒状体にて形成されており、当該シャフト50の長手方向が左右方向に沿うように設けられている。また、このシャフト50の固定方法については任意であるが、例えば、シャフト50の伝達部40側の端部(つまり、シャフト50の左端部)と伝達部40とを固定具等によって固定すると共に、シャフト50の発電部70側の端部及びその近傍部分(つまり、シャフト50の右端部及びその近傍部分)と発電部70の後述する筐体71に設けられた挿通孔(図示省略)を介して当該筐体71の内部に収容し、当該筐体71に対して固定具等によって回転可能に固定する。
【0030】
(構成−フライホイール)
フライホイール60は、少なくとも発電部70における後述するダイナモの回転軸の回転を安定させるためのものである。このフライホイール60は、例えば公知のフライホイール等を用いて構成されており、伝達部40と発電部70との相互間に設けられ、フライホイール60に設けられた挿通孔(図示省略)にシャフト50を挿通して、シャフト50に対して固定具等によって接続されている。
【0031】
(構成−発電部)
発電部70は、シャフト50を介して伝達部40から伝達された回転力を利用して発電を行うためのものである。この発電部70は、第2浮遊体20の上面に設けられており、筐体71の内部において、ダイナモ(図示省略)と、回路基板(図示省略)とを収容して構成されている。ここで、筐体71は、ダイナモと、回路基板とを保護する保護手段であり、例えば樹脂材料等にて形成された略箱状体であって、一側面(例えば、上面等)が開閉自在な略箱状体であり、第1浮遊体10に対して固定具等によって固定されている。ダイナモは、シャフト50を介して伝達された回転力によって当該ダイナモの回転軸(図示省略)が回転することにより発電を行う発電手段である。このダイナモは、例えば、当該ダイナモの回転軸が発電可能な一方向の回転方向(例えば、右方向から見て時計回りの回転方向が発電可能な回転方向である。なお、以下では、この回転方向を「発電回転方向」と称する。)のみに回転する公知のダイナモ等を用いて構成されており、筐体71に対して固定具等によって固定されている。回路基板は、発電システム1の各種機能を実現するための電気回路(図示省略)が実装された基板であり、例えば、公知の回路基板を用いて構成されており、筐体71に対して固定具等によって固定されている。また、この回路基板には、電力変換部や電力出力部が実装されている(いずれも図示省略)。このうち、電力変換部は、ダイナモにて発電された電力を所定の電力に変換する電力変換手段であり、配線(図示省略)を介してダイナモと電気的に接続されている。また、電力出力部は、電力変換部にて変換された電力を外部機器(図示省略)に出力するための電力出力手段であり、配線(図示省略)を介して外部機器と電気的に接続されている。
【0032】
(構成−押圧部の構成の詳細)
次に、押圧部30の構成の詳細について説明する。
図2は、押圧部30が伝達部40に対して上方に向けて移動した状態を示す右側面図である。
図3は、押圧部30が伝達部40に対して下方に向けて移動した状態を示す右側面図である。実施の形態1においては、
図1に示すように、押圧部30は、押圧部本体31と、第1歯部32と、第2歯部33とを備えている。
【0033】
押圧部本体31は、押圧部30の基本構造体である。この押圧部本体31は、比較的厚肉な板状体であり、当該押圧部本体31の側面が左右方向に直交するように設けられており、第1浮遊体10に対して固定具等によって固定されている。また、この押圧部本体31には、収容孔34が形成されている。収容孔34は、押圧部本体31の内部に伝達部40を収容するための長尺な貫通孔であり、当該収容孔34の長手方向が上下方向に沿うように設けられている。ここで、収容孔34の形状については任意であるが、実施の形態1においては、収容孔34に伝達部40が収容された状態で、第1浮遊体10又は第2浮遊体20を介して伝達部40又は押圧部30の少なくともいずれか一方に上下方向に向けた外力が加えられた場合に、これら伝達部40及び押圧部30が、この伝達部40が回転する回転中心軸(すなわち、左右方向に沿った回転中心軸)に直交する仮想面(
図1では、収容孔34内において仮想的に生成されたYZ平面を仮想面とする。以下、「仮想面」と称する。)に沿って相対的に直線移動(具体的には、収容孔34の長手方向に略沿った相対的な直線移動。以下、「相対的直線移動」と称する。)することが可能な形状に形成されている。具体的には、
図1に示すように、収容孔34の前後方向の長さ(幅)が伝達部40における外縁形状の前後方向の長さ(幅)と略同一に形成されていると共に、収容孔34の上下方向の長さ(高さ)が伝達部における外縁形状の上下方向の長さ(高さ)よりも長くなるように形成されている。
【0034】
第1歯部32及び第2歯部33は、押圧部本体31の収容孔34に収容された伝達部40が回転移動可能となるように、当該伝達部40を押圧するためのものであり、複数の突起部35をそれぞれ備えている。
図2に示すように、この第1歯部32は、収容孔34における前後方向の端部の一方側(例えば、収容孔34の前端部側等)において、当該第1歯部32における複数の突起部35が相対的直線移動の移動方向(上下方向)に沿うように設けられていると共に、この第2歯部33は、第1歯部32と間隔を隔てて対向する位置(すなわち、収容孔34の後端部側)において、当該第2歯部33における複数の突起部35が相対的直線移動の移動方向(上下方向)に沿うように設けられている。
【0035】
ここで、第1歯部32及び第2歯部33の各々における突起部35の形状については任意であるが、実施の形態1においては、相対的直線移動の移動方向のうち一方の方向に向けて押圧部30と伝達部40とが相対的直線移動した場合に、第1歯部32のみによって伝達部40が押圧されて発電回転方向に回転移動し、相対的直線移動の移動方向のうち他方の方向に向けて押圧部30と伝達部40とが相対的直線移動した場合に、第2歯部33のみによって伝達部40が押圧されて発電回転方向に回転移動することが可能な形状に形成されている。具体的には、第1歯部32の突起部35の形状については、
図2に示すように、押圧部30が伝達部40に対して上方に向けて移動した場合(又は、伝達部40が押圧部30に対して下方に向けて移動した場合)に、第1歯部32の突起部35と伝達部40の突起部41とが噛み合うことにより、第1歯部32によって伝達部40が押圧されるものの、
図3に示すように、押圧部30が伝達部40に対して下方に向けて移動した場合(又は、伝達部40が押圧部30に対して上方に向けて移動した場合)に、第1歯部32の突起部35と伝達部40の突起部41とが噛み合わないことで、第1歯部32によって伝達部40が押圧されないように、第1歯部32の突起部35が後側上方に向けて傾斜して突出する形状に形成されている。また、第2歯部33の突起部35の形状については、
図2に示すように、押圧部30が伝達部40に対して上方に向けて移動した場合(又は、伝達部40が押圧部30に対して下方に向けて移動した場合)に、第2歯部33の突起部35と伝達部40の突起部41とが噛み合わないことで、第2歯部33によって伝達部40が押圧されないものの、
図3に示すように、押圧部30が伝達部40に対して下方に向けて移動した場合(又は、伝達部40が押圧部30に対して上方に向けて移動した場合)に、第2歯部33の突起部35と伝達部40の突起部41とが噛み合うことにより、第2歯部33によって伝達部40が押圧されるように、第2歯部33の突起部35が前側下方に向けて傾斜して突出する形状に形成されている。このような形状により、相対的直線移動の移動方向に関わらず、押圧部30と伝達部40とが相対的直線移動した場合には、押圧部30によって伝達部40を発電回転方向に回転移動するように押圧できるので、伝達部40の回転方向が発電回転方向と一致するように調整するための後述する調整部80を設ける必要がないことから、発電システム1の製造コストを低減することが可能となる。
【0036】
また、このように構成された押圧部30は、任意の方法や材質で製造することができ、例えば、板状の鋼材(具体的には、スチール又はステンレス等)を切断成形することにより、押圧部本体31、第1歯部32、及び第2歯部33を一体に成形して製造することができる。
【0037】
(構成−押圧部及び伝達部の設置位置)
次に、押圧部30及び伝達部40の設置位置について説明する。
図4は、押圧部30が伝達部40に対して前側上方に傾斜する方向に向けて移動した状態を示す右側面図である。これら押圧部30及び伝達部40の設置位置については、押圧部30及び伝達部40の設置性を高めることができるように、以下に示す特徴を有する。
【0038】
すなわち、実施の形態1においては、仮想面の面内で押圧部30が伝達部40に対して回転可能であり、且つ、伝達部40又は押圧部30の少なくともいずれか一方に対して第1浮遊体10又は第2浮遊体20を介して外力が加えられた場合に、伝達部40と押圧部30とが相対的直線移動することにより、当該押圧部30によって当該伝達部40が押圧されて回転移動可能な位置に、これら押圧部30及び伝達部40が設置されている。具体的には、
図1に示すように、伝達部40が押圧部本体31の収容孔34の内部において仮想面に沿うように収容された状態において、伝達部40における複数の突起部41と第1歯部32及び第2歯部33の各々における複数の突起部35とが接触可能となるように設置されている。また、伝達部40と第1歯部32及び第2歯部33の各々との接触状態については、伝達部40に対する押圧部30の回転(具体的には、押圧部30における左右方向に沿った軸回りの回転等)を妨げることなく、伝達部40と押圧部30とが相対的直線移動することで、当該伝達部40が第1歯部32又は第2歯部33によって押圧されて回転移動できるように接触されている。このような設置位置により、伝達部40又は押圧部30が構造物を静止した状態で支持する設置対象に設置されていなくても、第1浮遊体10又は第2浮遊体20を介して外部から上下方向又は前後方向に向けた外力が押圧部30又は伝達部40に加えられた場合に、押圧部30によって伝達部40を確実に回転させることができる。例えば、
図4に示すように、第1浮遊体10又は第2浮遊体20の少なくともいずれか一方に対して前側上方(又は、後側上方)に傾斜する方向に向けた外力が加えられた場合でも、押圧部30が当該傾斜する方向に向けて傾斜した状態で、伝達部40と押圧部30とが当該傾斜する方向に向けて相対的直線移動することができ、押圧部30によって伝達部40を回転させることができる。なお、このような設置位置においては、伝達部40が押圧部30から前方又は後方に向けて脱落するおそれがあるので、例えば、当該脱落を防止するための脱落防止部(図示省略)が、伝達部40(又は押圧部30)に設けられてもよい。また、伝達部40又は押圧部30の少なくともいずれか一方に対して第1浮遊体10又は第2浮遊体20を介して加えられる外力が比較的大きいことにより、伝達部40が押圧部30における収容孔34の上端側の部分又は収容孔34の下端部分と接触することを回避するための緩衝部材(図示省略)が、伝達部40に設けられてもよい。
【0039】
以上のような発電システム1の構造により、第1浮遊体10又は第2浮遊体20の少なくともいずれか一方を介して外部から外力が伝達部40又は押圧部30に加えられた場合には、伝達部40及び押圧部30の相対的直線移動の移動方向に関わらず、伝達部40及び押圧部30により変換された回転力を利用して発電部70におけるダイナモの回転軸を回転させることにより、ダイナモが発電を行うことができる。特に、従来技術のように、伝達部40又は押圧部30の如き発電システム1の構成要素の一部が構造物を静止した状態で支持する設置対象に設置されていなくても、押圧部30によって伝達部40を確実に回転させることができる。よって、伝達部40又は押圧部30の設置対象が制約されにくいことから、発電システム1の設置性を向上させることが可能となる。
【0040】
(発電システムの機能)
このように構成された発電システム1の機能について説明する。
【0041】
まず、例えば、第1浮遊体10を介して外部から上方に向けた外力が押圧部30に加えられた場合には、
図2に示すように、伝達部40と押圧部30とが上下方向の一方に向けて相対的直線移動する(具体的には、押圧部30が伝達部40に対して上方に向けて移動する)。この場合において、伝達部40が、押圧部30の第1歯部32のみによって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、伝達部40及び押圧部30によって、上記外力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、シャフト50を介して伝達部40によって発電部70におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0042】
また、例えば、第2浮遊体20を介して外部から上方に向けた外力が伝達部40に加えられた場合には、
図3に示すように、伝達部40と押圧部30とが上下方向の他方に向けて相対的直線移動する(具体的には、伝達部40が押圧部30に対して上方に向けて移動する)。この場合において、伝達部40が、押圧部30の第2歯部33のみによって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、伝達部40及び押圧部30によって、上記外力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、シャフト50を介して伝達部40によって発電部70におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0043】
また、例えば、第1浮遊体10を介して外部から前側上方(又は、後側上方)に傾斜する方向に向けた外力が押圧部30に加えられた場合には、
図4に示すように、押圧部30が当該傾斜する方向に向けて傾斜した状態で、伝達部40と押圧部30とが当該傾斜する方向の一方に向けて相対的直線移動する(具体的には、押圧部30が伝達部40に対して前側上方(又は、後側上方)に向けて移動する)。この場合において、伝達部40が、押圧部30の第1歯部32のみによって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、伝達部40及び押圧部30によって、上記外力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、シャフト50を介して伝達部40によって発電部70におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことが可能となる(なお、第2浮遊体20を介して外部から前側上方(又は、後側上方)に傾斜する方向に向けた外力が伝達部40に加えられた場合についても同様とする)。
【0044】
(効果)
このように実施の形態1によれば、仮想面の面内で、押圧部30が伝達部40に対して回転可能であり、且つ、当該伝達部40又は当該押圧部30の少なくともいずれか一方に外力が加えられた場合に、当該伝達部40と当該押圧部30とが仮想面に沿って相対的に直線移動することにより、当該押圧部30によって当該伝達部40が押圧されて回転移動するように、当該伝達部40と当該押圧部30とを設け、発電部70のダイナモが、伝達部40にて伝達された回転力によって回転軸が回転することにより発電を行うので、外力が伝達部40又は押圧部30に加えられた場合には、伝達部40及び押圧部30により変換された回転力を利用してダイナモの回転軸を回転させることにより、ダイナモが発電を行うことができる。特に、従来技術のように、伝達部40又は押圧部30の如き発電システム1の構成要素の一部が構造物を静止した状態で支持する設置対象に設置されていなくても、押圧部30によって伝達部40を確実に回転させることができる。よって、伝達部40又は押圧部30の設置対象が制約されにくいことから、発電システム1の設置性を向上させることが可能となる。
【0045】
また、伝達部40と押圧部30とが、相対的直線移動の移動方向(上下方向)のうち一方の方向に向けて移動した場合に、第1歯部32のみによって当該伝達部40が押圧されて発電回転方向に回転移動し、当該伝達部40と当該押圧部30とが、相対的直線移動の移動方向のうち他方の方向に向けて移動した場合に、第2歯部33のみによって当該伝達部40が押圧されて発電回転方向に回転移動するように、当該第1歯部32及び当該第2歯部33を形成したので、相対的直線移動の移動方向に関わらず、押圧部30と伝達部40とが相対的直線移動した場合には、押圧部30によって伝達部40を発電回転方向に回転移動するように押圧できるので、伝達部40の回転方向が発電回転方向と一致するように調整するための後述する調整部80を設ける必要がないことから、発電システム1の製造コストを低減することが可能となる。
【0046】
また、少なくとも回転軸の回転を安定させるためのフライホイール60を備えたので、例えば、フライホイール60が伝達部40に取り付けられている場合に、フライホイール60が回転した場合には、ダイナモの回転軸及び伝達部40がフライホイール60の慣性力を受けながら回転することができるため、これら回転軸及び伝達部40を安定して回転させることが可能となる。
【0047】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、発電システムが水面上に設置された形態であって、押圧手段が1つの歯部を備える形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0048】
(構成)
最初に、実施の形態2に係る発電システムの構成について説明する。
図5は、実施の形態2に係る発電システムを示す斜視図である。
図5に示すように、実施の形態2に係る発電システム101は、実施の形態1に係る発電システム1とほぼ同様に構成されている。ただし、押圧部30の構成内容、押圧部30及び伝達部40の設置位置、及び発電部70の構成内容についても、下記に示す工夫が施されている。
【0049】
(構成−押圧部)
図6は、押圧部30が伝達部40に対して下方に向けて移動した状態を示す右側面図である。
図7は、押圧部30が伝達部40に対して上方に向けて移動した状態を示す右側面図である。押圧部30は、押圧部本体31と、歯部36とを備えている。ここで、押圧部本体31は、当該押圧部本体31の側面が左右方向に直交するように設けられており、第1浮遊体10に対して固定具等によって固定されている。歯部36は、複数の突起部35を備えており、押圧部本体31における前後方向の端部の一方(例えば、押圧部本体31の前端部等)において、複数の突起部35が相対的直線移動の移動方向(すなわち、上下方向)に沿うように設けられている。この歯部36の突起部35の形状については任意であるが、実施の形態2においては、相対的直線移動の移動方向のうち一方の方向に向けて押圧部30と伝達部40とが相対的直線移動した場合に、歯部36によって伝達部40が押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動し、相対的直線移動の移動方向のうち他方の方向に向けて押圧部30と伝達部40とが相対的直線移動した場合に、歯部36によって伝達部40が押圧されて発電回転方向とは逆方向(反時計回りの回転方向)に回転移動する形状に形成されている。具体的には、
図6に示すように、伝達部40が押圧部30に対して上方に向けて移動した場合(又は、押圧部30が伝達部40に対して下方に向けて移動した場合)に、歯部36の突起部35と伝達部40の突起部41とが噛み合うことにより、歯部36によって伝達部40が押圧され、
図7に示すように、押圧部30が伝達部40に対して上方に向けて移動した場合(又は、伝達部40が押圧部30に対して下方に向けて移動した場合)に、歯部36の突起部35と伝達部40の突起部41とが噛み合うことにより、歯部36によって伝達部40が押圧されるように、歯部36の突起部35が前方に向けて突出する略正三角形状に形成されている。このような形状により、実施の形態1に係る押圧部30に比べて簡易な構造であることから、押圧部30の製造性を高めることが可能となる。
【0050】
(構成−押圧部及び伝達部の設置位置)
図8は、押圧部30が伝達部40に対して前側下方に傾斜する方向に向けて移動した状態を示す右側面図である。押圧部30及び伝達部40の設置位置については、実施の形態2では、伝達部40が、押圧部30よりも後方側において仮想面に沿うように設置されていると共に、伝達部40の突起部41の一部と歯部36における複数の突起部35の一部とが接触可能となる位置に設置されている。このような設置位置により、例えば、
図8に示すように、第1浮遊体10又は第2浮遊体20の少なくともいずれか一方に対して前側上方(又は、後側下方)に傾斜する方向に向けた外力が加えられた場合でも、押圧部30が当該傾斜する方向に向けて傾斜した状態で、伝達部40と押圧部30とが当該傾斜する方向に向けて相対的直線移動することができ、押圧部30によって伝達部40を回転させることができる。
【0051】
(構成−発電部)
図9は、発電部70の構造の詳細を示す図である。発電部70は、
図9に示すように、筐体71の内部において、ダイナモ72と、回路基板(図示省略)と、調整部80とを収容して構成されている。ここで、調整部80は、伝達部40にて伝達された回転力の回転方向が発電回転方向であるか否かに関わらず、発電部70におけるダイナモ72の回転軸が発電回転方向に回転するように、当該回転力を調整する調整手段である。この調整部80は、第1ギア81、第2ギア82、第3ギア83、第1ラチェットギア84、第2ラチェットギア85、第1シャフト86、及び第2シャフト87を備えている。このうち、第1ギア81、第2ギア82、及び第3ギア83の各々は、例えば公知の平歯車等を用いて構成されている。また、第1ラチェットギア84、第2ラチェットギア85は、例えば、回転方向を一方向に制限できる公知のラチェットギア等を用いて構成されている。なお、押圧部30、伝達部40、及び調整部80は、特許請求の範囲における「回転力変換手段」に対応する。
【0052】
また、これら第1ギア81、第2ギア82、第3ギア83、第1ラチェットギア84、第2ラチェットギア85、第1シャフト86、及び第2シャフト87の設置位置については、以下に示す通りとなる。具体的には、第1ラチェットギア84は、筐体71における伝達部40側の側面(筐体71の右面)近傍に設置されており、シャフト50に対して固定具等によって接続されている。第1ギア81は、第1ラチェットギア84よりも下方側において、当該第1ラチェットギア84と接触可能な位置に設置されており、第1シャフト86に対して固定具等によって接続されている。第1シャフト86は、シャフト50よりも下方側の位置に設置されており、当該第1シャフト86の左端部がダイナモ72の回転軸に対して固定具等によって接続されている。また、第2ラチェットギア85は、第1ラチェットギア84よりも左方側の位置に設置されており、シャフト50に対して固定具等によって接続されている。第2ギア82は、第2ラチェットギア85よりも下方側において、当該第2ラチェットギア85と接触可能な位置に設置されており、第2シャフト87に対して固定具等によって接続されている。第2シャフト87は、シャフト50と第1シャフト86との相互間に設置されており、当該第2シャフト87の左端部が筐体71に対して回転可能な固定具等によって接続されている。第3ギア83は、第2ギア82よりも下方側において、当該第2ギア82と接触可能な位置に設置されており、第1シャフト86に対して固定具等によって接続されている。
【0053】
このように構成された発電部70の作用は、以下の通りである。
図10は、シャフト50が発電回転方向に回転した場合の発電部70の発電状況を示す図である。
図11は、シャフト50が発電回転方向とは逆方向に回転した場合の発電部70の発電状況を示す図である。まず、
図10に示すように、シャフト50を介して伝達部40から発電回転方向の回転力が第1ラチェットギア84及び第2ラチェットギア85に伝達された場合には、第1ラチェットギア84の内部ラチェット(図示省略)が第1ギア81と噛み合わないことで空回りするものの、第2ラチェットギア85の内部ラチェット(図示省略)が第2ギア82と噛み合うことで回転することにより、第2ギア82、第3ギア83、及び第1シャフト86を介してダイナモ72の回転軸に伝達される回転力の回転方向が発電回転方向と一致するように調整できる。また、
図11に示すように、シャフト50を介して伝達部40から発電回転方向とは逆方向の回転力が第1ラチェットギア84及び第2ラチェットギア85に伝達された場合には、第2ラチェットギア85の内部ラチェットが第2ギア82と噛み合わないことで空回りするものの、第1ラチェットギア84の内部ラチェットが第1ギア81と噛み合うことで回転することにより、第1ギア81及び第1シャフト86を介してダイナモ72の回転軸に伝達される回転力の回転方向が発電回転方向と一致するように調整できる。これらの作用により、押圧部30が1つの歯部36を備えた場合でも、伝達部40にて伝達された回転力の回転方向が発電回転方向であるか否かに関わらず、発電部70におけるダイナモ72の回転軸を発電回転方向に回転させることができるので、調整部80を設けない場合に比べて、発電システム101の発電効率を高めることが可能となる。
【0054】
(発電システムの機能)
このように構成された発電システム101の機能について説明する。
【0055】
まず、例えば、第2浮遊体20を介して外部から上方に向けた外力が伝達部40に加えられた場合には、
図6に示すように、伝達部40と押圧部30とが上下方向の一方に向けて相対的直線移動する(具体的には、伝達部40が押圧部30に対して上方に向けて移動する)。この場合において、伝達部40が押圧部30の歯部36によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、シャフト50を介して伝達部40から第2ラチェットギア85に伝達された回転力は、当該第2ラチェットギア85の回転に伴って第2ギア82、第3ギア83、及び第1シャフト86が順次回転することにより、これら第2ギア82、第3ギア83、及び第1シャフト86に順次伝達される。そして、この第1シャフト86に伝達された回転力の回転方向が発電回転方向(時計回りの回転方向)と一致することから、当該回転力が第1シャフト86を介して伝達部40によって発電部70におけるダイナモ72の回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモ72の回転軸が回転することにより、ダイナモ72が発電を行うことができる。
【0056】
また、例えば、第1浮遊体10を介して外部から上方に向けた外力が押圧部30に加えられた場合には、
図7に示すように、伝達部40と押圧部30とが上下方向の他方に向けて相対的直線移動する(具体的には、押圧部30が伝達部40に対して上方に向けて移動する)。この場合において、伝達部40が押圧部30の歯部36によって押圧されて発電回転方向とは逆方向(反時計回りの回転方向)に回転移動することで、シャフト50を介して伝達部40から第1ラチェットギア84に伝達された回転力は、当該第1ラチェットギア84の回転に伴って、第1ギア81及び第1シャフト86が順次回転することにより、これら第1ギア81及び第1シャフト86に順次伝達される。ここで、第1シャフト86に伝達された回転力の回転方向が発電回転方向(時計回りの回転方向)と一致するので、当該回転力が第1シャフト86を介して伝達部40によってダイナモ72の回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモ72の回転軸が回転することにより、ダイナモ72が発電を行うことができる。
【0057】
また、例えば、第2浮遊体20を介して外部から前側上方(又は、後側上方)に傾斜する方向に向けた外力が伝達部40に加えられた場合には、
図8に示すように、押圧部30が当該傾斜する方向に向けて傾斜した状態で、伝達部40と押圧部30とが当該傾斜する方向の一方に向けて相対的直線移動する(具体的には、伝達部40が押圧部30に対して前側上方(又は、後側上方)に向けて移動する)。この場合において、上記第2浮遊体20を介して外部から上方に向けた外力が押圧部30に加えられた場合と同様に、伝達部40が押圧部30の歯部36のみによって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、シャフト50を介して伝達部40から第2ラチェットギア85に伝達された回転力が、第2ギア82、第3ギア83、第1シャフト86、及びダイナモ72の回転軸に順次伝達されることから、ダイナモ72が発電を行うことができる(なお、第1浮遊体10を介して外部から前側上方(又は後側下方)に傾斜する方向に向けた外力が伝達部40に加えられた場合についても同様とする)。
【0058】
(効果)
このように実施の形態2によれば、伝達部40と押圧部30とが、相対的直線移動の移動方向のうち一方の方向に向けて移動した場合に、歯部36によって当該伝達部40が押圧されて発電回転方向に回転移動し、相対的直線移動の移動方向のうち他方の方向に向けて移動した場合に、歯部36によって当該伝達部40が押圧されて発電回転方向とは逆方向に回転移動するように、当該歯部36を形成し、発電部70のダイナモ72が、調整部80にて調整された回転力によって回転軸が回転することにより発電を行うので、押圧部30が1つの歯部36を備えた場合でも、伝達部40にて伝達された回転力の回転方向が発電回転方向であるか否かに関わらず、ダイナモ72の回転軸を発電回転方向に回転させることができ、調整部80を設けない場合に比べて、発電システム101の発電効率を高めることが可能となる。
【0059】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この形態は、実施の形態1に係る押圧手段、伝達手段、及び発電部をそれぞれ複数備えた形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0060】
(構成)
最初に、実施の形態3に係る発電システムの構成について説明する。
図12は、実施の形態3に係る発電システムを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図である。
図12に示すように、実施の形態3に係る発電システム201は、第1浮遊体10a、10bと、第2浮遊体20と、押圧部30a、30bと、伝達部40a、40bと、シャフト50a、50bと、フライホイール60a、60bと、発電部70a、70bとを備えている。なお、第1浮遊体10a、10bは、相互に区別する必要がない場合には「第1浮遊体10」と総称する。また、押圧部30a、30bは、相互に区別する必要がない場合には「押圧部30」と総称する。また、伝達部40a、40bは、相互に区別する必要がない場合には「伝達部40」と総称する。また、シャフト50a、50bは、相互に区別する必要がない場合には「シャフト50」と総称する。また、フライホイール60a、60bは、相互に区別する必要がない場合には「フライホイール60」と総称する。また、発電部70a、70bは、相互に区別する必要がない場合には「発電部70」と総称する。また、これら構成要素のうち、同一の構成要素を複数備えているもの(例えば、第1浮遊体10a、10b等)は、特記する場合を除き、全て同一形状及び同一材質で形成されているものとする。
【0061】
(構成−第1浮遊体、押圧部、伝達部、フライホイール、発電部)
第1浮遊体10aは、第2浮遊体20よりも左側の位置であって、間隔を隔てて設けられていると共に、第1浮遊体10bは、第2浮遊体20よりも右側の位置であって、間隔を隔てて設けられている。押圧部30aは、第1浮遊体10aの上面において、当該押圧部30aの長手方向が上下方向に沿うように設けられていると共に、押圧部30bは、第1浮遊体10bの上面において、当該押圧部30bの長手方向が上下方向に沿うように設けられている。伝達部40aは、シャフト50aを介して発電部70aの筐体71に対して回転可能に支持されていると共に、伝達部40bは、シャフト50bを介して発電部70bの筐体71に対して回転可能に支持されている。フライホイール60aは、伝達部40aと発電部70aとの相互間に設けられ、当該フライホイール60aに設けられた挿通孔にシャフト50aを挿通して、シャフト50aに対して固定具等によって接続されている。また、フライホイール60bは、伝達部40bと発電部70bとの相互間に設けられ、当該フライホイール60bに設けられた挿通孔にシャフト50bを挿通して、シャフト50bに対して固定具等によって接続されている。発電部70a、70bは、第2浮遊体20の上面において、左右方向に沿って並設されており、発電部70aのダイナモ(図示省略)が、当該ダイナモの回転軸の発電回転方向を右方向から見て時計回りの回転方向とする公知のダイナモ等を用いて構成されていると共に、発電部70bのダイナモ(図示省略)が、当該ダイナモの回転軸の発電回転方向を左方向から見て時計回りの回転方向とする公知のダイナモ等を用いて構成されている。
【0062】
(構成−押圧部)
図13は、発電システム201を示す図であり、(a)は2つの押圧部30の一方を右方向から見た側面図であり、(b)は2つの押圧部30の他方を左方向から見た側面図である。押圧部30a、30bは、押圧部本体31と、第1歯部32と、第2歯部33とをそれぞれ備えており、この押圧部本体31には収容孔34が形成され、これら第1歯部32及び第2歯部33が複数の突起部35をそれぞれ備えている。また、実施の形態1に係る第1歯部32及び第2歯部33と同様に、押圧部本体31における収容孔34の前端部側には第1歯部32が設けられていると共に、押圧部本体31における収容孔34の後端部側には第2歯部33が設けられている。ここで、第1歯部32及び第2歯部33の各々における突起部35の形状については、以下に示す形状にて形成されている。具体的には、押圧部30aの第1歯部32における突起部35の形状については、実施の形態1に係る押圧部30の第1歯部32における突起部35の形状と同様に、
図13(a)に示すように、第1歯部32の突起部35が後側上方に向けて傾斜して突出する形状に形成されている(なお、
図13(b)に示す押圧部30bの第2歯部33における突起部35の形状についても同様とする)。また、押圧部30aの第2歯部33における突起部35の形状については、押圧部30の第2歯部33における突起部35の形状と同様に、
図13(a)に示すように、第2歯部33の突起部35が前側下方に向けて傾斜して突出する形状に形成されている(なお、
図13(b)に示す押圧部30bの第1歯部32における突起部35の形状についても同様とする)。このような形状により、押圧部30a及び伝達部40aが相対的直線移動した場合に、押圧部30aによって伝達部40aを発電回転方向に回転移動するように押圧することができると共に、押圧部30b及び伝達部40bが相対的直線移動した場合に、押圧部30bによって伝達部40bを発電回転方向に回転移動するように押圧することができるので、伝達部40a、40bから伝達される回転力を用いて発電部70a又は発電部70bのダイナモが発電を行うことができる。
【0063】
このような発電システム201の構造により、2つの第1浮遊体10又は1つの第2浮遊体20の少なくともいずれか一方を介して外部から外力が少なくともいずれか1つの押圧部30又伝達部40に加えられた場合には、伝達部40及び押圧部30の相対的直線移動の移動方向に関わらず、当該押圧部30及び当該伝達部40により変換された回転力を利用して少なくともいずれか1つの発電部70のダイナモの回転軸を回転させることにより、当該ダイナモが発電を行うことができる。特に、実施の形態1に係る発電システム201に比べて、ダイナモの設置数が多いことから、発電システム201の発電量を高めることが可能となる。
【0064】
なお、実施の形態3では、2つの第1浮遊体10の相互間に1つの第2浮遊体20を設置すると説明したが、これに限られない。
図14は、実施の形態3に係る発電システム201の変形例を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図である。例えば、2つの第2浮遊体20の相互間に1つの第1浮遊体10を設置してもよい。具体的には、
図14に示すように、第1浮遊体10の左側において前後方向に沿って並設配置された2つの押圧部30と、第1浮遊体10の右側において前後方向に沿って並設配置された2つの押圧部30とが設けられている。また、2つの第2浮遊体20の各々には、前後方向に沿って並設された2つの発電部70であって、伝達部40及びフライホイール60とシャフト50を介して接続された2つの発電部70が設けられており、実施の形態3に係る発電システム201と同様に、各発電部70に接続された伝達部40が、対応する押圧部30における押圧部本体31の収容孔34に収容されている。ここで、左側の第2浮遊体20に設けられた2つの発電部70のダイナモは、当該ダイナモの回転軸の発電回転方向を右方向から見て時計回りの回転方向とする公知のダイナモ等を用いて構成されると共に、右側の第2浮遊体20に設けられた2つの発電部70のダイナモは、当該ダイナモの回転軸の発電回転方向を左方向から見て時計回りの回転方向とする公知のダイナモ等を用いて構成されている。また、第1浮遊体10の左側に設けられた2つの押圧部30は、実施の形態3に係る押圧部30aと同様に構成されると共に、第1浮遊体10の右側に設けられた2つの押圧部30は、実施の形態3に係る押圧部30bと同様に構成される。このような発電システム201の構造により、1つの第1浮遊体10又は2つの第2浮遊体20の少なくともいずれか一方を介して外部から外力が少なくともいずれか1つの押圧部30又伝達部40に加えられた場合には、伝達部40及び押圧部30の相対的直線移動の移動方向に関わらず、当該押圧部30及び当該伝達部40により変換された回転力を利用して少なくともいずれか1つの発電部70のダイナモの回転軸を回転させることにより、このダイナモが発電を行うことができる。また、実施の形態3に係る発電システム201に比べて、ダイナモの設置数が多いことから、発電システム201の発電量を高めることが可能となる。
【0065】
(効果)
このように実施の形態3によれば、外部から外力が少なくともいずれか1つの押圧部30又伝達部40に加えられた場合に、当該押圧部30及び当該伝達部40により変換された回転力を利用して少なくともいずれか1つの発電部70のダイナモの回転軸を回転させることにより、ダイナモが発電を行うことができる。特に、実施の形態1に係る発電システム1に比べて、ダイナモの設置数が多いことから、発電システム201の発電量を高めることが可能となる。
【0066】
〔実施の形態4〕
次に、実施の形態4について説明する。この形態は、実施の形態1に係る押圧手段によって複数の伝達手段が押圧されて回転移動する形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0067】
(構成)
最初に、実施の形態4に係る発電システムの構成について説明する。
図15は、実施の形態4に係る発電システムを示す右側面図である。
図15に示すように、実施の形態4に係る発電システム301は、第1浮遊体10と、第2浮遊体(図示省略)と、押圧部30と、伝達部40a、40b、40cと、3つのシャフト(図示省略)と、3つのフライホイール(図示省略)と、3つの発電部(図示省略)とを備えている。
【0068】
(構成−伝達部、フライホイール、発電部)
伝達部40a、40b、40cは、相互に間隔を隔てて上方から下方に向けて順に並設されており、対応するシャフトであって対応するフライホイールと接続されたシャフトを介して対応する発電部の筐体に対して回転可能に支持されている。3つの発電部は、第2浮遊体の上面において、上方から下方に向けて順に重ねて設けられており、各発電部のダイナモ(図示省略)が、当該ダイナモの回転軸の発電回転方向を右方向から見て時計回りの回転方向とする公知のダイナモ等を用いて構成されている。
【0069】
(構成−押圧部)
押圧部30は、押圧部本体31と、第1歯部32と、第2歯部33とを備えている。このうち、押圧部本体31に形成されている収容孔34の形状については、実施の形態4では、収容孔34に伝達部40a、40b、40cが収容可能であり、且つ、第1浮遊体10又は第2浮遊体を介して伝達部40a、40b、40c又は押圧部30の少なくともいずれか一方に上下方向に向けた外力が加えられた場合に、これら伝達部40a、40b、40c及び押圧部30が仮想面に沿って相対的直線移動することが可能な形状に形成されている。具体的には、
図15に示すように、収容孔34の前後方向の長さ(幅)が伝達部における外縁形状の前後方向の長さ(幅)と略同一となるように形成されていると共に、収容孔34の上下方向の長さ(高さ)が伝達部40a、40b、40cにおける外縁形状の上下方向の長さ(高さ)の合計長さよりも長くなるように形成されている。また、第1歯部32及び第2歯部33は、複数の突起部35をそれぞれ備えており、実施の形態1に係る第1歯部32及び第2歯部33と同様に、押圧部本体31における収容孔34の前端部側には第1歯部32が設けられていると共に、押圧部本体31における収容孔34の後端部側には第2歯部33が設けられている。
【0070】
(構成−押圧部及び伝達部の設置位置)
押圧部30及び伝達部40a、40b、40cの設置位置については、実施の形態4では、伝達部40a、40b、40cが押圧部本体31の収容孔34の内部において仮想面に沿うように収容された状態において、伝達部40a、40b、40cにおける複数の突起部41の一部と第1歯部32における複数の突起部35の一部とが接触可能であり、且つ、伝達部40における複数の突起部41の他の一部と第2歯部33における複数の突起部35の一部とが接触可能となるように設置されている。
【0071】
このような発電システム301の構造のように、第1浮遊体10又は第2浮遊体の少なくともいずれか一方を介して外部から外力が押圧部30又は伝達部40a、40b、40cに加えられた場合には、伝達部40a、40b、40c及び押圧部30の相対的直線移動の移動方向に関わらず、押圧部30及び伝達部40a、40b、40cによって変換された回転力が発電部70a、70b、70cの各々のダイナモの回転軸に伝達されるように、発電部70a、70b、70cが設けられているので、実施の形態1に係る発電システム1に比べて、ダイナモの設置数が多いことから、発電システム301の発電量を高めることが可能となる。
【0072】
なお、実施の形態4では、1つの第1浮遊体10に1つの押圧部30を設置すると説明したが、これに限られない。
図16は、実施の形態4に係る発電システム301の変形例を示す右側面図である。例えば、
図16に示すように、1つの第1浮遊体10に複数の押圧部30を設置してもよい。この場合には、複数の押圧部30の各々の収容孔34には伝達部40a、40b、40cが収容されており、これら複数の伝達部40a、40b、40cの各々は、シャフトを介して第2浮遊体に設置された発電部70及びフライホイールとそれぞれ接続されている。このような発電システム301の構造により、実施の形態4に係る発電システム301に比べて、ダイナモの設置数が多いことから、発電システム301の発電量を一層高めることが可能となる。
【0073】
また、上述した
図16に示す発電システム301においては、押圧部30を複数設置すると説明したが、これに限られない。
図17は、実施の形態4に係る発電システム301のその他の変形例を示す右側面図である。例えば、
図17に示すように、1つの押圧部30における押圧部本体31に3つの収容孔34を形成し、当該3つの収容孔34の各々の内部に、シャフトを介して発電部70及びフライホイールと接続された伝達部40a、40b、40cを収容しながら、これら伝達部40a、40b、40cを相互に間隔を隔てて上下方向に沿って並設してもよい。この場合には、押圧部本体31における各収容孔34の前端部側には第1歯部32が設けられると共に、押圧部本体31における各収容孔34の後端部側には第2歯部33が設けられる。このような発電システム301の構造により、実施の形態4に係る発電システム301に比べて、ダイナモの設置数が多いことから、発電システム301の発電量を一層高めることが可能となると共に、上述した
図16に示す変形例に比べて、押圧部30を設置する手間を軽減することができる。
【0074】
(効果)
このように実施の形態4によれば、押圧部30によって複数の伝達部40が押圧されて回転移動するように、当該複数の伝達部40を相互に間隔を隔てて仮想面の面内に並設し、複数の伝達部40の各々から対応する発電部70のダイナモに対して回転力が伝達されるように、複数のダイナモを設けたので、1つの押圧部30に対して、1つの伝達部40及び1つの発電部70を設けた場合に比べて、ダイナモの設置数が多いことから、発電システム301の発電量を高めることが可能となる。
【0075】
〔実施の形態5〕
次に、実施の形態5について説明する。この形態は、収容手段を備える形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0076】
(構成)
最初に、実施の形態5に係る発電システムの構成について説明する。
図18は、実施の形態5に係る発電システムを示す斜視図である。
図19は、収容部の内部に波が流入する前の状態を示す右側面図(一部省略)である。
図20は、収容部の内部に波が流入した後の状態を示す右側面図(一部省略)である。
図18に示すように、実施の形態5に係る発電システム401は、浮遊体11と、押圧部30a、30bと、伝達部40a、40bと、シャフト50a、50bと、発電部70a、70bと、収容部90とを備えている。
【0077】
(構成−浮遊体、押圧部、伝達部、シャフト、発電部)
浮遊体11は、少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものであって、押圧部30a、30bを支持するものであり、後述する収容部90の内部空間に収容されている。押圧部30a、30b、伝達部40a、40b、シャフト50a、50b、及び、フライホイール60a、60bは、
図18に示す発電システム401の右側に設置された2つの押圧部30、2つの伝達部40、2つのシャフト50、及び2つのフライホイール60の設置と略同様に設置されている。発電部70a、70bは、後述する収容部90の右側壁部92の上面において、相互に間隔を隔てて前後方向に沿って並設されており、これら発電部70a、70bの各々のダイナモ(図示省略)が、当該ダイナモの回転軸の発電回転方向を右方向から見て時計回りの回転方向とする公知のダイナモ等を用いて構成されている。
【0078】
(構成−収容部)
収容部90は、浮遊体11を水面上に浮遊可能に収容するための収容手段であって、伝達部40a、40bを発電部70及びシャフト50を介して間接的に支持する収容手段である。この収容部90は、例えば防錆処理された鋼材等によって形成された中空体であって、前後方向に直交する断面の形状が上方に向けて開放された凹状となる中空体であり、具体的には、
図18に示すように、左側壁部91と、左側壁部91と間隔を隔てて設けられた右側壁部92と、左側壁部91と右側壁部92とを接続する底壁部93とを有することにより、これら左側壁部91、右側壁部92、及び底壁部93に囲繞された空間の内部に浮遊体11を収容することができるように構成されている。そして、この収容部90は、護岸等において、当該収容部90の後端部から当該収容部90の内部に海、川、湖等の波を流入させることが可能な位置に設置されており、護岸等に対して固定具等によって固定されている。
【0079】
また、この収容部90には、移動促進部94が設けられている。移動促進部94は、収容部90の内部空間(具体的には、左側壁部91、右側壁部92、及び底壁部93に囲繞された空間)に流入する波によって当該収容部90の内部水位を増幅させることにより、浮遊体11に支持された押圧部30と、当該収容部90の右側壁部92に間接的に支持された伝達部40との相対的直線移動を促進させるための移動促進手段である。
図18から
図20に示すように、移動促進部94は、収容部90の底壁部93の上面のうち、浮遊体11が係留される位置と対応する部分に設置されている。また、この移動促進部94の形状については、実施の形態5においては、移動促進部94の上下方向の長さ(高さ)が、当該移動促進部94の後端部側から移動促進部94の前後方向の中央部側に向うにしたがって長くなる形状にて形成されており、具体的には、前後方向に直交する断面の形状が前方に向けて突出する三角形状となる中空柱状体にて形成されている。また、この収容部90は任意の方法や材質で製造することができ、例えば、防錆処理された板状の鋼材を折り曲げ成形したり、又は各部位を溶接等により接続することにより、左側壁部91、右側壁部92、底壁部93、及び移動促進部94を一体に成形して製造することができる。
【0080】
このような発電システム401の構造により、
図19、
図20に示すように、収容部90の内部に波が流入又は流出することで、浮遊体11を介して外部から外力が押圧部30a、30bに加えられた場合には、押圧部30a及び伝達部40a(又は、押圧部30b及び伝達部40b)の相対的直線移動の移動方向に関わらず、押圧部30a及び伝達部40a(又は、押圧部30b及び伝達部40b)により変換された回転力を利用して当該発電部70a(又は当該発電部70b)のダイナモの回転軸を回転させることにより、当該ダイナモが発電を行うことができる。特に、移動促進部94によって、押圧部30a及び伝達部40aの相対的直線移動、並びに押圧部30b及び伝達部40bの相対的直線移動を促進させることができるので、移動促進部94を設けない場合に比べて、発電システム401の発電量を高めることが可能となる。
【0081】
なお、実施の形態5では、移動促進部94を収容部90の底壁部93の上面に設置すると説明したが、これに限られない。
図21は、実施の形態5に係る発電システム401の変形例を示す斜視図である。例えば、
図21に示すように、移動促進部94を収容部90の左側壁部91の右面及び右側壁部92の左面に設置してもよい。この場合において、これら移動促進部94の形状については任意であるが、例えば、移動促進部94の左右方向の長さ(幅)が、当該移動促進部94の後端部側から移動促進部94の前後方向の中央部側に向うにしたがって長くなる形状にて形成されており、具体的には、横断面形状が左右方向の内側に向けて突出する三角形状となる中空柱状体にて形成される。このような収容部90の構成により、実施の形態5に係る収容部90と同様に、押圧部30a及び伝達部40aの相対的直線移動、並びに押圧部30b及び伝達部40bの相対的直線移動を促進させることができる。
【0082】
また、上述した
図21に示す発電システム401においては、1つの収容部90の内部に1つの浮遊体11を収容すると説明したが、これに限られない。
図22、
図23は、実施の形態5に係る発電システム401のその他の変形例を示す右側面図(一部省略)である。
図24は、実施の形態5に係る発電システム401のその他の変形例を示す平面図(一部省略)である。例えば、
図22に示すように、1つの収容部90の内部に3つの浮遊体11を収容してもよい。この場合において、収容部90の右側壁部92の上面には、各浮遊体11に設置された2つの押圧部30の各々の収容孔34に収容するための伝達部40とシャフト50を介して接続された発電部70が、相互に間隔を隔てて前後方向に沿って6つ並設される。また、
図23、
図24に示すように、
図21に示す発電システム401を前後方向又は左右方向に沿って複数並設してもよい。これらの発電システム401の構造により、実施の形態5に係る発電システム401に比べて、発電部70のダイナモの設置数が多いことから、発電システム401の発電量を一層高めることが可能となる。
【0083】
(効果)
このように実施の形態5によれば、収容部90が、当該収容部90の内部に流入する波によって当該収容部90の内部水位を増幅させることにより、浮遊体11に支持された押圧部30又は伝達部40のいずれか一方と、当該収容部90に支持された押圧部30又は伝達部40のいずれか他方との相対的直線移動を促進させるための移動促進部94を備えたので、収容部90の内部に波が流入又は流出することで、浮遊体11を介して外部から外力が押圧部30に加えられた場合には、押圧部30及び伝達部40により変換された回転力を利用して発電部70のダイナモの回転軸を回転させることにより、ダイナモが発電を行うことができる。特に、移動促進部94によって、押圧部30a及び伝達部40aの相対的直線移動、並びに押圧部30b及び伝達部40bの相対的直線移動を促進させることができるので、移動促進部94を設けない場合に比べて、発電システム401の発電量を高めることが可能となる。
【0084】
〔実施の形態6〕
次に、実施の形態6について説明する。この形態は、実施の形態1とは異なる形態であって、押圧手段が第1歯部と第2歯部とを備える形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0085】
(構成)
最初に、実施の形態6に係る発電システムの構成について説明する。
図25は、実施の形態6に係る発電システムを示す正面図である。
図25に示すように、実施の形態6に係る発電システム501は、実施の形態1に係る発電システム1とほぼ同様に構成されている。ただし、押圧部30の構成内容、及び、押圧部30及び伝達部40の設置位置についても、下記に示す工夫が施されている。
【0086】
(構成−押圧部)
図26は、押圧部30が伝達部40に対して左方に向けて移動した状態を示す正面図である。
図27は、押圧部30が伝達部40に対して右方に向けて移動した状態を示す正面図である。押圧部30は、押圧部本体31と、第1歯部32と、第2歯部33とを備えている。
【0087】
押圧部本体31は、第1浮遊体10から第2浮遊体20に向けて張り出すように設けられており、第1浮遊体10に対して固定具等によって固定されている。また、この押圧部本体31に形成されている収容孔34の形状については、実施の形態6では、収容孔34に伝達部40が収容可能であり、且つ、第1浮遊体10又は第2浮遊体20を介して伝達部40又は押圧部30の少なくともいずれか一方に左右方向に向けた外力が加えられた場合に、これら伝達部40及び押圧部30が仮想面に沿って相対的直線移動することが可能な形状に形成されている。具体的には、
図25に示すように、収容孔34の左右方向の長さ(幅)が伝達部40における外縁形状の左右方向の長さ(幅)よりも長くなるように形成されていると共に、収容孔34の上下方向の長さ(高さ)が伝達部40における外縁形状の上下方向の長さ(高さ)と略同一となるように形成されている。
【0088】
第1歯部32及び第2歯部33は、複数の突起部35をそれぞれ備えており、実施の形態1に係る第1歯部32及び第2歯部33と同様に、押圧部本体31における収容孔34の下端部側には第1歯部32が設けられていると共に、押圧部本体31における収容孔34の上端部側には第2歯部33が設けられている。これら第1歯部32及び第2歯部33の各々における突起部35の形状については任意であるが、実施の形態6では、第1歯部32の突起部35の形状については、
図26に示すように、押圧部30が伝達部40に対して左方に向けて移動した場合(又は、伝達部40が押圧部30に対して右方に向けて移動した場合)に、第1歯部32の突起部35と伝達部40の突起部41とが噛み合うことにより、第1歯部32によって伝達部40が押圧されるものの、
図27に示すように、押圧部30が伝達部40に対して右方に向けて移動した場合(又は、伝達部40が押圧部30に対して左方に向けて移動した場合)に、第1歯部32の突起部35と伝達部40の突起部41とが噛み合わないことで、第1歯部32によって伝達部40が押圧されないように、第1歯部32の突起部35が下側右方に向けて傾斜して突出する形状に形成されている。また、第2歯部33の突起部35の形状については、
図26に示すように、押圧部30が伝達部40に対して左方に向けて移動した場合(又は、伝達部40が押圧部30に対して右方に向けて移動した場合)に、第2歯部33の突起部35と伝達部40の突起部41とが噛み合わないことで、第2歯部33によって伝達部40が押圧されないものの、
図27に示すように、押圧部30が伝達部40に対して右方に向けて移動した場合(又は、伝達部40が押圧部30に対して左方に向けて移動した場合)に、第2歯部33の突起部35と伝達部40の突起部41とが噛み合うことにより、第2歯部33によって伝達部40が押圧されるように、第2歯部33の突起部35が上側左方に向けて傾斜して突出する形状に形成されている。このような形状により、実施の形態1に係る発電システム1と同様に、上記調整部80を設ける必要がないことから、発電システム501の製造コストを低減することが可能となる。
【0089】
(構成−押圧部及び伝達部の設置位置)
図28は、押圧部30が伝達部40に対して上側左方に傾斜する方向に向けて移動した状態を示す正面図である。押圧部30及び伝達部40の設置位置については、実施の形態6では、
図25に示すように、伝達部40が押圧部本体31の収容孔34の内部において仮想面に沿うように収容された状態において、伝達部40における複数の突起部41と第1歯部32及び第2歯部33の各々における複数の突起部35とが接触可能となるように設置されている。また、伝達部40と第1歯部32及び第2歯部33の各々との接触状態については、伝達部40に対する押圧部30の回転を妨げることなく、伝達部40と押圧部30とが左右方向に向けて相対的直線移動することで、当該伝達部40が第1歯部32の突起部35又は第2歯部33の突起部35によって押圧されて回転移動できるように接触されている。このような設置位置により、例えば、
図28に示すように、第1浮遊体10又は第2浮遊体20の少なくともいずれか一方に対して上側左方(又は下側左方)に傾斜する方向に向けた外力が加えられた場合でも、押圧部30が当該傾斜する方向に向けて傾斜して、伝達部40と押圧部30とが当該傾斜する方向に向けて相対的直線移動することができ、押圧部30によって伝達部40を回転させることができる。
【0090】
(効果)
このように実施の形態6によれば、伝達部40と押圧部30とが、相対的直線移動の移動方向(左右方向)のうち一方の方向に向けて移動した場合に、第1歯部32のみによって当該伝達部40が押圧されて発電回転方向に回転移動し、当該伝達部40と当該押圧部30とが、相対的直線移動の移動方向のうち他方の方向に向けて移動した場合に、第2歯部33のみによって当該伝達部40が押圧されて発電回転方向に回転移動するように、当該第1歯部32及び当該第2歯部33を形成したので、相対的直線移動の移動方向に関わらず、押圧部30と伝達部40とが相対的直線移動した場合には、押圧部30によって伝達部40を発電回転方向に回転移動するように押圧できるので、上記調整部80を設ける必要がないことから、発電システム501の製造コストを低減することが可能となる。
【0091】
〔実施の形態7〕
次に、実施の形態7について説明する。この形態は、機械力を利用して発電を行う形態であって、押圧手段が第1歯部と第2歯部とを備える形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0092】
(構成)
最初に、実施の形態7に係る発電システムの構成について説明する。
図29は、実施の形態7に係る発電システムを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
図29に示すように、実施の形態7に係る発電システム601は、第1支持体110と、第2支持体120と、押圧部30と、伝達部40と、シャフト50と、受部130と、フライホイール60と、発電部70とを備えている。
【0093】
(構成−第1支持体)
第1支持体110は、伝達部40、シャフト50、受部130、フライホイール60、及び発電部70を支持するためのものである。この第1支持体110は、略中空箱状体にて形成されており、図示しない車両の車輪側に設けられた部材に対して回転可能な固定具によって固定されていることにより、少なくとも前後方向又は上下方向に向けて揺動可能となる。
【0094】
(構成−第2支持体)
第2支持体120は、押圧部30を支持するためのものである。この第2支持体120は、比較的厚肉な板状体にて形成されており、図示しない車両の車体側に設けられた部材に対して回転可能な固定具によって固定されていることにより、少なくとも前後方向又は上下方向に向けて揺動可能となる。
【0095】
(構成−伝達部)
伝達部40は、第1支持体110の外部に設けられており、伝達部本体42と、複数の突起部41とを備えている。このうち、伝達部本体42は、伝達部40の基本構造体である。この伝達部本体42は、比較的厚肉な略円形状の板状体であり、当該伝達部本体42の側面が左右方向に直交するように設けられており、当該伝達部本体42に設けられた挿通孔(図示省略)にシャフト50を挿通して、シャフト50を介して発電部70の筐体71に対して回転可能に支持されている。複数の突起部41は、押圧部30の第1歯部32又は第2歯部33によって押圧されるものである。これら複数の突起部41の各々は、例えば当該突起部41の回転方向が一方向(例えば、右方向から見て反時計回りの回転方向等)に制限可能な公知のギア(例えば、ワンウェイクラッチギア、遊停ギア、フリーギア等)を用いて構成されており、伝達部本体42の外縁部分に設けられている。このような構成により、突起部41が伝達部本体42に対して回転不能に固定されている場合に比べて、押圧部30における第1歯部32又は第2歯部33の突起部35の形状を突起部41を押圧しやすい形状に設定できるので、伝達部40を確実に回転させることが可能となる。
【0096】
(構成−シャフト、受部、フライホイール、発電部)
受部130は、シャフト50を受けるためのものであり、第1支持体110の外部において、伝達部40よりもシャフト50の先端部側(
図29ではシャフト50の右端部)に設けられており、シャフト50を介して発電部70の筐体71に対して回転可能に支持されている。フライホイール60は、第1支持体110の内部に収容されており、当該フライホイール60に設けられた挿通孔にシャフト50を挿通して、シャフト50に対して固定具等によって接続されている。発電部70は、第1支持体110の内部に収容されており、この発電部70のダイナモが、当該ダイナモの回転軸の発電回転方向を右方向から見て時計回りの回転方向とする公知のダイナモ等を用いて構成されている。
【0097】
(構成−押圧部)
押圧部30は、押圧部本体31と、第1歯部32と、第2歯部33とを備えている。押圧部本体31は、当該押圧部本体31の側面が左右方向に直交するように設けられており、第2支持体120に対して固定具等によって固定されている。また、この押圧部本体31には収容孔34が形成されている。第1歯部32及び第2歯部33は、複数の突起部35をそれぞれ備えており、実施の形態1に係る第1歯部32及び第2歯部33と同様に、第1歯部32が押圧部本体31における収容孔34の前端部側に設けられていると共に、第2歯部33が押圧部本体31における収容孔34の後端部側に設けられている。
【0098】
このような発電システム601の構造により、例えば、第1支持体110を介して外部から上方に向けた外力(機械力)が押圧部30に加えられることで、伝達部40と押圧部30とが上下方向の一方に向けて相対的直線移動した場合(例えば、押圧部30が伝達部40に対して上方に向けて移動した場合)には、伝達部40における複数の突起部41が押圧部30の第1歯部32のみによって押圧されることにより、伝達部40が発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、伝達部40及び押圧部30によって、上記外力を発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換できる。また、第1支持体110を介して外部から下方に向けた外力が押圧部30に加えられることで、伝達部40と押圧部30とが上下方向の他方に向けて相対的直線移動した場合(例えば、押圧部30が伝達部40に対して下方に向けて移動した場合)には、伝達部40における複数の突起部41が押圧部30の第2歯部33のみによって押圧されることにより、伝達部40が発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、伝達部40及び押圧部30によって、上記外力を発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換できる。したがって、第1支持体110又は第2支持体120の少なくともいずれか一方を介して外部から外力が押圧部30又は伝達部40に加えられた場合には、伝達部40及び押圧部30の相対的直線移動の移動方向に関わらず、押圧部30及び伝達部40により変換された回転力を利用して発電部70におけるダイナモの回転軸を回転させることにより、当該ダイナモが発電を行うことができる。
【0099】
なお、実施の形態7では、発電システム601が、単に発電を行う機能を有するものとして説明したが、これに限られない。
図30は、実施の形態7に係る発電システム601の変形例を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は右側面図(一部省略)である。例えば、
図30に示すように、発電システム601は、発電を行う機能を有すると共に、車両の車輪から車体に伝えられる外力を緩和する機能を有するものであってもよい。具体的には、第2支持体120は、前後方向の側面形状がU字形状となる中空箱状体であり、より具体的には、
図30に示すように、一対の収容部121と、一対の収容部121を連結する連結部122とを有している。また、この第2支持体120は、押圧部30が一対の収容部121の相互間に位置するように設けられており、連結部122が車両の車体側の取付部に対して固定具によって固定されていると共に、一対の収容部121の各々が公知の緩衝部材140(例えば、車両のサスペンション用のバネ材等)を介して第1支持体110と接続されている。また、これら一対の収容部121の内部には、フライホイール60及び発電部70がそれぞれ収容されており、これらフライホイール60及び発電部70は、1つのシャフト50に伝達部40と共に挿通されて接続されている。このような発電システム601の構造により、実施の形態7に係る発電システム601と同様に、発電部70のダイナモが発電を行うことができると共に、緩衝部材140によって、車両の車輪から車体に伝えられる外力を緩和することが可能となる。
【0100】
また、実施の形態7では、押圧部30の第1歯部32及び第2歯部33の各々における各突起部35は回転しないものの、伝達部40の各突起部41は回転するものとして説明したが、これに限られない。
図31は、実施の形態7に係る発電システム601のその他の変形例を示す右側面図である。例えば、
図31に示すように、第1歯部32及び第2歯部33の各突起部35が回転するものの、伝達部40の各突起部41は回転しないものであってもよい。具体的には、第1歯部32及び第2歯部33の各突起部35は、例えば当該突起部35の回転方向が一方向(例えば、右方向から見て反時計回りの回転方向等)に制限可能な公知のギアを用いて構成されるが、伝達部40の各突起部41は、伝達部本体42と一体に形成される。
【0101】
(効果)
このように実施の形態7によれば、外力が機械力である場合でも、実施の形態1に係る発電システム1と同様に、発電部70のダイナモが発電を行うことができると共に、発電システム601の設置性を向上させることが可能となる。
【0102】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0103】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。本発明に係る発電システムの設置性が従来より向上できない場合であっても、従来と異なる構造で実現できている場合には、本願の課題は解決している。
【0104】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0105】
(各実施の形態の組み合わせ)
上記実施の形態1から7に示した構成は、相互に組み合わせることができる。
図32から
図35は、実施の形態3に係る発電システム201のその他の変形例を示す斜視図である。例えば、
図32に示すように、実施の形態3に係る発電システム201において、実施の形態6に係る押圧部30、伝達部40、シャフト50、及び発電部70を組み合わせてもよい(ただし、実施の形態3に係るフライホイール60を省略する)。この場合において、実施の形態3に係る押圧部30、及び実施の形態6に係る押圧部30の各々は、第1浮遊体10としても機能するように、浮遊する機能を有する部材等を用いて構成される。また、
図33に示すように、
図32に示す発電システム201において、第2浮遊体20の左右両側に設けられた押圧部30a、30bに代えて、実施の形態2に係る押圧部30を設けてもよい。このような発電システム201の構造により、実施の形態3に係る発電システム201に比べて、発電部70のダイナモの設置数が多いことから、発電システム201の発電量を高めることが可能となる。また、
図34に示すように、
図32に示す発電システム201において、第2浮遊体20の左側に設けられた押圧部30aを上下方向に沿うように配置することに代えて、押圧部30aを左右方向に沿うように配置してもよい。このような発電システム201の構造により、上下方向、左右方向、及び前後方向の波力を利用して発電を行うことが可能となる。また、発電量をさらに高めることができるように、
図35に示すように、
図31に示す発電システム201において、実施の形態3に係る押圧部30a、30b、伝達部40a、40b、シャフト50a、50b、及び発電部70a、70bをさらに設けると共に、実施の形態6に係る伝達部40、シャフト50、及び発電部70をさらに設けてもよい。
【0106】
(発電システムについて)
上記実施の形態1から4、6、7では、発電システムは、フライホイール60を備えていると説明したが、これに限られず、例えば、発電システムの製造コストを低減するために、フライホイール60を省略してもよい。
【0107】
また、上記実施の形態6では、発電システム501の押圧部30が、実施の形態1に係る押圧部30と同様に構成されると説明したが、これに限られない。
図36は、実施の形態6に係る発電システムの変形例を示す正面図である。例えば、
図36に示すように、発電システム501の押圧部30が、実施の形態2に係る押圧部30と同様に構成されてもよい。
【0108】
(第1浮遊体、第2浮遊体について)
上記実施の形態1から6では、第1浮遊体10及び第2浮遊体20は、常時水面上に浮遊可能な位置に設置されていると説明したが、これに限られず、例えば、波が押し寄せた場合のみ水面上に浮遊可能な位置に設置されてもよい。
【0109】
(発電部について)
上記実施の形態1から6では、発電部70がダイナモを備えていると説明したが、これに限られず、例えば、ダイナモに代えて、圧電素子を備えてもよい。この場合には、シャフト50に接続された回転軸に、圧電素子を押圧するための押圧部を取り付けると共に、回転軸の回転に伴って押圧部によって圧電素子が押圧されるように、圧電素子を筐体71に対して固定することで、発電を行うことが可能となる。
【0110】
(発電基板について)
上記実施の形態1から7では、発電基板には、電力変換部や電力出力部が実装されていると説明したが、例えば、これに加えて、ダイナモによって発電された電力を蓄電する蓄電部(例えば充電式電池等)を備えてもよい。これにより、蓄電部に電力が蓄電された後に、任意のタイミングで外部機器に電力を供給することができる。
【0111】
(収容部について)
上記実施の形態5では、収容部90は、護岸等に対して固定具等によって固定されていると説明したが、これに限られない。
図37は、実施の形態5に係る発電システム401のその他の変形例を示す平面図(一部省略)である。例えば、収容部90の少なくとも一部が水面上に浮遊可能となるように、当該収容部90が設けられてもよい。具体的には、収容部90が、浮遊する機能を有する部材(例えば、バラスト水を出し入れすることによって収容部90の浮遊状態を調整可能な部材等)を用いて構成されており、不用意に遠方に移動しないように、護岸等と接続された図示しない係留部材(例えば、ワイヤ等)によって係留されている。この場合において、収容部90の形状については任意であるが、例えば、収容部90の固有振動数が波の固有振動数と一致させないことにより、収容部90が波力を受けても揺れにくくなる形状に設定することが好ましく、具体的には、収容部90の前後方向の長さが比較的長くなるように設定される。また、浮遊体11の形状については任意であるが、例えば、浮遊体11の固有振動数が波の固有振動数と一致させることにより、浮遊体11が波力を受けた場合に揺れやすくなる形状にすることが好ましく、具体的には、浮遊体11の前後方向の長さが収容部90の前後方向の長さよりも短くなるように設定される。また、
図37に示すように、収容部90が浮遊可能である
図21に示す発電システム401を左右方向に沿うように複数並設してもよい。この場合において、複数の発電システム401の具体的な構成については任意であるが、例えば、
図37に示すように、複数の発電システム401の一部が、収容部90の前端部側から流入する波の波力のみを利用して発電を行う場合には、当該発電システム401における移動促進部94の頂部を当該発電システム401における収容部90の前端部側に位置させると共に、この収容部90の前端部側から流入する波のみをこの収容部90の内部空間に流入させるための弁150をこの収容部90の前端部に設けてもよい。また、複数の発電システム401の他の一部が、収容部90の後端部側から流入する波の波力のみを利用して発電を行う場合には、当該発電システム401における移動促進部94の頂部を当該発電システム401における収容部90の後端部側に位置させると共に、この収容部90の後端部側から流入する波のみをこの収容部90の内部空間に流入させるための弁150をこの収容部90の後端部に設けてもよい。このような構成により、収容部90を適宜移動させることができるので、例えば、収容部90を波の起伏差が比較的大きな位置に設けることで、発電システム401の発電量を向上させることが可能となる。
【0112】
(付記)
付記1の発電システムは、外部から加えられた外力を発電手段を介して電気に変換する発電システムであって、発電可能な一方向の回転方向である発電回転方向のみに回転する回転軸を有する前記発電手段と、前記外力を前記発電回転方向の回転力に変換し、当該変換した回転力を前記発電手段に伝達する回転力変換手段とを備え、前記回転力変換手段は、自己が回転移動することにより、前記回転力を前記発電手段に伝達するための伝達手段と、前記伝達手段が回転移動可能となるように、当該伝達手段を押圧するための押圧手段とを備え、前記伝達手段が回転する回転中心軸に直交する仮想面の面内で、前記押圧手段が前記伝達手段に対して回転可能であり、且つ、当該伝達手段又は当該押圧手段の少なくともいずれか一方に前記外力が加えられた場合に、当該伝達手段と当該押圧手段とが前記仮想面に沿って相対的に直線移動することにより、当該押圧手段によって当該伝達手段が押圧されて回転移動するように、当該伝達手段と当該押圧手段とを設け、前記発電手段は、前記伝達手段にて伝達された前記回転力によって前記回転軸が回転することにより発電を行う。
【0113】
また、付記2の発電システムは、付記1の発電システムにおいて、前記押圧手段は、前記直線移動の移動方向に沿って設けられた第1歯部であって、当該伝達手段と接触可能に配置された第1歯部と、前記第1歯部と間隔を隔てて対向する位置において、前記直線移動の移動方向に沿って設けられた第2歯部であって、前記伝達手段と接触可能に配置された第2歯部とを備え、前記伝達手段と前記押圧手段とが、前記直線移動の移動方向のうち一方の方向に向けて移動した場合に、前記第1歯部のみによって当該伝達手段が押圧されて前記発電回転方向に回転移動し、当該伝達手段と当該押圧手段とが、前記直線移動の移動方向のうち他方の方向に向けて移動した場合に、前記第2歯部のみによって当該伝達手段が押圧されて前記発電回転方向に回転移動するように、当該第1歯部及び当該第2歯部を形成した。
【0114】
また、付記3の発電システムは、付記1又は2の発電システムにおいて、前記回転力変換手段は、前記伝達手段にて伝達された前記回転力の回転方向が前記発電回転方向であるか否かに関わらず、前記回転軸が前記発電回転方向に回転するように、当該回転力を調整する調整手段を備え、前記押圧手段は、前記直線移動の移動方向に沿って設けられた歯部であって、当該伝達手段と接触可能に配置された歯部を備え、前記伝達手段と前記押圧手段とが、前記直線移動の移動方向のうち一方の方向に向けて移動した場合に、前記歯部によって当該伝達手段が押圧されて前記発電回転方向に回転移動し、前記直線移動の移動方向のうち他方の方向に向けて移動した場合に、前記歯部によって当該伝達手段が押圧されて前記発電回転方向とは逆方向に回転移動するように、当該歯部を形成し、前記発電手段は、前記調整手段にて調整された前記回転力によって前記回転軸が回転することにより発電を行う。
【0115】
また、付記4の発電システムは、付記1から3のいずれか一項の発電システムにおいて、前記押圧手段によって複数の前記伝達手段が押圧されて回転移動するように、当該複数の伝達手段を相互に間隔を隔てて前記仮想面の面内に並設し、前記複数の伝達手段の各々から対応する前記発電手段に対して前記回転力が伝達されるように、複数の前記発電手段を設けた。
【0116】
また、付記5の発電システムは、付記1から4のいずれか一項の発電システムにおいて、少なくとも前記回転軸の回転を安定させるためのフライホイールを備えた。
【0117】
また、付記6の発電システムは、付記1から5のいずれか一項の発電システムにおいて、当該発電システムは、外部から加えられた波力を前記外力として前記発電手段を介して電気に変換するものであって、少なくとも一部が水面上に浮遊可能な浮遊体であって、前記押圧手段又は前記伝達手段のいずれか一方を支持する浮遊体と、前記浮遊体を水面上に浮遊可能に収容するための収容手段であって、前記押圧手段又は前記伝達手段のいずれか他方を支持する収容手段と、を備え、前記収容手段は、当該収容手段の内部に流入する波によって当該収容手段の内部水位を増幅させることにより、前記浮遊体に支持された前記押圧手段又は前記伝達手段のいずれか一方と、当該収容手段に支持された前記押圧手段又は前記伝達手段のいずれか他方との前記直線移動を促進させるための移動促進手段を備えた。
【0118】
(付記の効果)
付記1に記載の発電システムによれば、仮想面の面内で、押圧手段が伝達手段に対して回転可能であり、且つ、当該伝達手段又は当該押圧手段の少なくともいずれか一方に外力が加えられた場合に、当該伝達手段と当該押圧手段とが仮想面に沿って相対的に直線移動することにより、当該押圧手段によって当該伝達手段が押圧されて回転移動するように、当該伝達手段と当該押圧手段とを設け、発電手段が、伝達手段にて伝達された回転力によって回転軸が回転することにより発電を行うので、外力が伝達手段又は押圧手段に加えられた場合には、伝達手段及び押圧手段により変換された回転力を利用して発電手段の回転軸を回転させることにより、発電手段が発電を行うことができる。特に、従来技術のように、伝達手段又は押圧手段の如き発電システムの構成要素の一部が構造物を静止した状態で支持する設置対象に設置されていなくても、押圧手段によって伝達手段を確実に回転させることができる。よって、伝達手段又は押圧手段の設置対象が制約されにくいことから、発電システムの設置性を向上させることが可能となる。
【0119】
付記2に記載の発電システムによれば、伝達手段と押圧手段とが、上記直線移動の移動方向のうち一方の方向に向けて移動した場合に、第1歯部のみによって当該伝達手段が押圧されて発電回転方向に回転移動し、当該伝達手段と当該押圧手段とが、上記直線移動の移動方向のうち他方の方向に向けて移動した場合に、第2歯部のみによって当該伝達手段が押圧されて発電回転方向に回転移動するように、当該第1歯部及び当該第2歯部を形成したので、上記直線移動の移動方向に関わらず、押圧手段と伝達手段とが上記直線移動した場合には、押圧手段によって伝達手段を発電回転方向に回転移動するように押圧できるので、伝達手段の回転方向が発電回転方向と一致するように調整するための後述する調整手段を設ける必要がないことから、発電システムの製造コストを低減することが可能となる。
【0120】
付記3に記載の発電システムによれば、伝達手段と押圧手段とが、上記直線移動の移動方向のうち一方の方向に向けて移動した場合に、歯部によって当該伝達手段が押圧されて発電回転方向に回転移動し、上記直線移動の移動方向のうち他方の方向に向けて移動した場合に、歯部によって当該伝達手段が押圧されて発電回転方向とは逆方向に回転移動するように、当該歯部を形成し、発電手段が、調整手段にて調整された回転力によって回転軸が回転することにより発電を行うので、押圧手段が1つの歯部を備えた場合でも、伝達手段にて伝達された回転力の回転方向が発電回転方向であるか否かに関わらず、発電手段の回転軸を発電回転方向に回転させることができ、調整手段を設けない場合に比べて、発電システムの発電効率を高めることが可能となる。
【0121】
付記4に記載の発電システムによれば、押圧手段によって複数の伝達手段が押圧されて回転移動するように、当該複数の伝達手段を相互に間隔を隔てて仮想面の面内に並設し、複数の伝達手段の各々から対応する発電手段に対して回転力が伝達されるように、複数の発電手段を設けたので、1つの押圧手段に対して1つの伝達手段及び1つの発電手段を設けた場合に比べて、発電手段の設置数が多いことから、発電システムの発電量を高めることが可能となる。
【0122】
付記5に記載の発電システムによれば、少なくとも回転軸の回転を安定させるためのフライホイールを備えたので、例えば、フライホイールが伝達手段に取り付けられている場合に、フライホイールが回転した場合には、発電手段の回転軸及び伝達手段がフライホイールの慣性力を受けながら回転することができるため、これら回転軸及び伝達手段を安定して回転させることが可能となる。
【0123】
付記6に記載の発電システムによれば、収容手段が、当該収容手段の内部に流入する波によって当該収容手段の内部水位を増幅させることにより、浮遊体に支持された押圧手段又は伝達手段のいずれか一方と、当該収容手段に支持された押圧手段又は伝達手段のいずれか他方との上記直線移動を促進させるための移動促進手段を備えたので、収容手段の内部に波が流入又は流出することで、浮遊体を介して外部から外力が押圧手段に加えられた場合には、押圧手段及び伝達手段により変換された回転力を利用して発電手段の回転軸を回転させることにより、発電手段が発電を行うことができる。特に、移動促進手段によって、押圧手段及び伝達手段の上記直線移動を促進させることができるので、移動促進手段を設けない場合に比べて、発電システムの発電量を高めることが可能となる。