特許第6601671号(P6601671)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6601671
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】ガスしゃ断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/70 20060101AFI20191028BHJP
   H01H 33/915 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   H01H33/70 G
   H01H33/915
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-203760(P2015-203760)
(22)【出願日】2015年10月15日
(65)【公開番号】特開2017-76543(P2017-76543A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107467
【弁理士】
【氏名又は名称】員見 正文
(72)【発明者】
【氏名】福川 孝二
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−171521(JP,A)
【文献】 特開2015−041504(JP,A)
【文献】 特開昭53−117745(JP,A)
【文献】 実開昭60−123828(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/70−33/99
H01H 1/06− 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッファ型のガスしゃ断器(1)であって、
円柱状の形状を有する、かつ、先端外周部が主固定接触子(11)として機能するとともに先端中央部が固定アーク接触子(12)として機能するようにされた固定電極部(10)と、
円柱状の胴部と該胴部の中心を貫通する軸部とからなる独楽状の形状を有する、かつ、該胴部の先端外周部が主可動接触子(21)として機能するとともに該軸部の先端部が可動アーク接触子(22)として機能するようにされた可動電極部(20)と、
先端面および筒部を備えた円筒状の形状を有するパッファ・ピストン(30)と、
前記可動電極部の前記胴部に形成された、かつ、前記パッファ・ピストンの前記先端面によって隔てられたパッファ室(23)および送気室(26)と、
前記可動電極部を該可動電極部の軸方向に沿って移動させるための操作手段とを具備し、
前記可動アーク接触子の先端面に、消弧性ガス吹出口(25)が形成されており、
前記パッファ室が、前記消弧性ガス吹出口と連通されているとともに、前記ガスしゃ断器が投入状態にされると前記パッファ・ピストンの前記筒部に前記可動電極部の周方向に沿って所定の間隔で形成された複数の連通孔を介して前記送気室と連通されるようにされており、
前記可動電極部に、複数のアーク生成物逃し孔(29)が該可動電極部の周方向に沿って所定の間隔で形成されており、
前記送気室と前記パッファ・ピストン内の空間とが、前記可動電極部の胴部の末端部に該可動電極部の外周面に沿って所定の間隔で形成された複数の逆止弁(40)によって隔てられている、
ことを特徴とする、ガスしゃ断器。
【請求項2】
前記固定電極部の先端面の外周部に、固定電極外周凹曲面部が外周に沿って形成されており、
前記固定電極部の先端面の中央部に、固定電極中央凹曲面部が形成されており、
前記固定電極中央凹曲面部の先端中央部に固定電極穴部が形成されており、
前記固定電極外周凹曲面部と前記固定電極中央凹曲面部との間に、絶縁体(13)が取り付けられており、
前記可動電極部の前記胴部の先端面の外周部に、前記ガスしゃ断器が投入状態にされた際に前記固定電極外周凹曲面部と当接する可動電極外周凸曲面部が外周に沿って形成されており、
前記可動電極部の前記胴部の先端面の中央部には、前記ガスしゃ断器が投入状態にされた際に前記固定電極中央凹曲面部と当接する可動電極中央凸曲面部が形成されており、
前記可動電極部の前記軸部の先端部の長さが、前記固定電極穴部の深さよりも短くされている、
ことを特徴とする、請求項1記載のガスしゃ断器。
【請求項3】
前記主固定接触子と前記主可動接触子との接触面の外側部および内側部が回転放物面のとされており、
前記固定電極中央凹曲面部と前記可動電極中央凸曲面部との接触面が回転放物面とされている、
ことを特徴とする、請求項2記載のガスしゃ断器。
【請求項4】
前記可動電極部の前記軸部の末端部内に、操作室(28)が形成されており、
前記操作手段が、
駆動部と、
先端部が前記操作室に挿入された、かつ、前記駆動部によって前記可動電極部の軸方向に沿って移動させられる操作ロッド(53)と、
前記操作室内に設けられた押込みスプリング(51)およびスプリング押え板(52)とを備え、
前記押込みスプリングが、前記操作ロッドが貫通され、一端が前記操作室に形成された段差に固定されるとともに、他端が前記スプリング押え板の先端面に固定されており、
前記スプリング押え板が、前記押込みスプリングよりも前記可動電極部の前記軸部の末端面側になるように、前記操作ロッドに固定されている、
ことを特徴とする、請求項2または3記載のガスしゃ断器。
【請求項5】
前記パッファ・ピストンのストローク長を“L1”とし、前記主固定接触子と前記主可動接触子との横方向の接触長を“L2”とし、前記固定アーク接触子と前記可動アーク接触子との横方向の接触長を“L3”とし、前記ガスしゃ断器を投入状態にするときの前記主可動接触子の跳返り余裕を“L4”とすると、
L1>L3>L2>L4
となるようにされていることを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載のガスしゃ断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッファ型のガスしゃ断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パッファ型のガスしゃ断器では、チューリップ型コンタクトを用いて主固定接触子と主可動接触子とを接触させるとともに固定アーク接触子と可動アーク接触子とを接触させて、コンタクト間の接触圧力を得て導通を確保している(たとえば、下記の特許文献1参照)。
【0003】
しゃ断動作時には、動作行程の約1/3の行程間に主固定接触子と主可動接触子とを先行して離脱させて固定アーク接触子と可動アーク接触子との間でアークを発生させることにより、主固定接触子と主可動接触子との間にアークが生じない構造としている。
また、固定アーク接触子と可動アーク接触子との間に生じるアークは、動作行程の約2/3からパッファ・ピストンによってパッファ室内の圧力を高めてSF6ガス(消弧性ガス)を可動アーク接触子の周囲からアークに向けて強く吹き付けてアークを折り返すことにより、消弧している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−285775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のガスしゃ断器では、以下に示すような問題があった。
(1)しゃ断動作に入ってアークが生じる初期にはSF6ガスの放出が必要であるが、パッファ・ピストンは動作行程の約1/3の行程でSF6ガスを送出する圧力を十分に発生できておらず、固定アーク接触子と可動アーク接触子との間でアークの発生を許容する構造となっているとともに、約1/3の行程間に主固定接触子と主可動接触子とを開放させているためにこの行程間は回路をしゃ断できない構造となっている。
そのため、主固定接触子と主可動接触子とを先行して離脱させて固定アーク接触子と可動アーク接触子との間でアークを発生させる構造としているので、固定アーク接触子と可動アーク接触子とが離間するとパッファ室の吹出口が開放された状態となり、約1/3の行程間にパッファ・ピストンが移動してもパッファ室内の圧力が上昇し難いという問題があった。
【0006】
(2)短絡電流のしゃ断時には、特にアーク発生後にSF6ガスが供給されるため、可動アーク接触子の先端部が高熱により溶けて磨耗する原因となっている。
動作行程の約2/3の行程からパッファ・ピストンから吹出圧力が掛かってアークの消弧が行われる。このとき、固定アーク接触子は絶縁ノズル内にあるが、固定アーク接触子と絶縁ノズルとの隙間が狭く、吹出口から放出されたSF6ガスは行き場がないため、可動アーク接触子の軸中空部に入り込みパッファ・ピストン軸開口部から放出されるようになることにより、アークが引き伸ばされて冷却および消弧が行われる。
そのため、アークの高熱によって固定アーク接触子および可動アーク接触子は微量に溶けて飛散し、冷却されると近辺に付着および残置される結果、しゃ断動作のたびに固定アーク接触子および可動アーク接触子がアークによって微量に溶けることが繰り返されることとなるため、溶けて飛散した金属が周囲の主固定接触子および主可動接触子にも付着して、これが原因となって主固定接触子と主可動接触子との導通抵抗が大きくなる場合があるという問題があった。
【0007】
(3)チューリップ型コンタクトは接触圧によって導通を得ているため、ガスしゃ断器がしゃ断動作および投入動作を行うたびに主固定接触子、主可動接触子、固定アーク接触子および可動アーク接触子の銀メッキが磨耗するという問題があった。
たとえば、動作回数が700回未満で既に銀メッキが磨耗していたり、動作回数が6,000回では金属の素地が現れたりするということがあった。
【0008】
本発明の目的は、パッファ室内の圧力上昇の確保、主固定接触子と主可動接触子との導通抵抗の確保および各接触子の銀面の磨耗防止を図れるガスしゃ断器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のガスしゃ断器は、パッファ型のガスしゃ断器(1)であって、円柱状の形状を有する、かつ、先端外周部が主固定接触子(11)として機能するとともに先端中央部が固定アーク接触子(12)として機能するようにされた固定電極部(10)と、円柱状の胴部と該胴部の中心を貫通する軸部とからなる独楽状の形状を有する、かつ、該胴部の先端外周部が主可動接触子(21)として機能するとともに該軸部の先端部が可動アーク接触子(22)として機能するようにされた可動電極部(20)と、先端面および筒部を備えた円筒状の形状を有するパッファ・ピストン(30)と、前記可動電極部の前記胴部に形成された、かつ、前記パッファ・ピストンの前記先端面によって隔てられたパッファ室(23)および送気室(26)と、前記可動電極部を該可動電極部の軸方向に沿って移動させるための操作手段とを具備し、前記可動アーク接触子の先端面に、消弧性ガス吹出口(25)が形成されており、前記パッファ室が、前記消弧性ガス吹出口と連通されているとともに、前記ガスしゃ断器が投入状態にされると前記パッファ・ピストンの前記筒部に前記可動電極部の周方向に沿って所定の間隔で形成された複数の連通孔を介して前記送気室と連通されるようにされており、前記可動電極部に、複数のアーク生成物逃し孔(29)が該可動電極部の周方向に沿って所定の間隔で形成されており、前記送気室と前記パッファ・ピストン内の空間とが、前記可動電極部の胴部の末端部に該可動電極部の外周面に沿って所定の間隔で形成された複数の逆止弁(40)によって隔てられていることを特徴とする。
ここで、前記固定電極部の先端面の外周部に、固定電極外周凹曲面部が外周に沿って形成されており、前記固定電極部の先端面の中央部に、固定電極中央凹曲面部が形成されており、前記固定電極中央凹曲面部の先端中央部に固定電極穴部が形成されており、前記固定電極外周凹曲面部と前記固定電極中央凹曲面部との間に、絶縁体(13)が取り付けられており、前記可動電極部の前記胴部の先端面の外周部に、前記ガスしゃ断器が投入状態にされた際に前記固定電極外周凹曲面部と当接する可動電極外周凸曲面部が外周に沿って形成されており、前記可動電極部の前記胴部の先端面の中央部には、前記ガスしゃ断器が投入状態にされた際に前記固定電極中央凹曲面部と当接する可動電極中央凸曲面部が形成されており、前記可動電極部の前記軸部の先端部の長さが、前記固定電極穴部の深さよりも短くされていてもよい。
前記主固定接触子と前記主可動接触子との接触面の外側部および内側部が回転放物面のとされており、前記固定電極中央凹曲面部と前記可動電極中央凸曲面部との接触面が回転放物面とされていてもよい。
前記可動電極部の前記軸部の末端部内に、操作室(28)が形成されており、前記操作手段が、駆動部と、先端部が前記操作室に挿入された、かつ、前記駆動部によって前記可動電極部の軸方向に沿って移動させられる操作ロッド(53)と、前記操作室内に設けられた押込みスプリング(51)およびスプリング押え板(52)とを備え、前記押込みスプリングが、前記操作ロッドが貫通され、一端が前記操作室に形成された段差に固定されるとともに、他端が前記スプリング押え板の先端面に固定されており、前記スプリング押え板が、前記押込みスプリングよりも前記可動電極部の前記軸部の末端面側になるように、前記操作ロッドに固定されていてもよい。
前記パッファ・ピストンのストローク長を“L1”とし、前記主固定接触子と前記主可動接触子との横方向の接触長を“L2”とし、前記固定アーク接触子と前記可動アーク接触子との横方向の接触長を“L3”とし、前記ガスしゃ断器を投入状態にするときの前記主可動接触子の跳返り余裕を“L4”とすると、
L1>L3>L2>L4
となるようにされていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のガスしゃ断器は、以下に示す効果を奏する。
(1)しゃ断動作時に消弧性ガス吹出口から吹き出される消弧性ガスを密閉しガス圧力を高めてアークを吹き消す構造とすることにより、パッファ室内の圧力上昇を確保することができる。
(2)主固定接触子と主可動接触子との接触面を回転放物面とすることにより、主固定接触子と主可動接触子との間に接触圧が均等に掛かるようにできるため、主固定接触子と主可動接触子との導通抵抗を確保することができる。
(3)固定電極部と可動電極部とを押込みスプリングによって圧着して接触させる構造とすることにより、噛込みや摺動による各接触子の銀面の磨耗を防止することができる。
(4)パッファ室から吹き出される圧縮された消弧性ガスが可動アーク接触子の先端面に設けた吹出口からアークに向けて直接吹き付ける構造であるため、効率的に消弧できる。
(5)短絡電流のしゃ断時における可動アーク接触子の磨耗が低減されるため、分解点検を延伸できる。
(6)構造がシンプルなため、故障を防止することができる。
(7)超高圧用しゃ断器では、構造上の制約より真空しゃ断器が未だ製造できないため、消弧性ガスを用いたガスしゃ断器が必要であり、ガスしゃ断器の可能性を広げることができる。
(8)アークを効率良く消弧できる構造であるため、しゃ断部の小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例によるガスしゃ断器1の構成について説明するための図である。
図2図1に示したガスしゃ断器1における固定電極部10と可動電極部20との接触面の好ましい形状について説明するための図である。
図3図1に示したガスしゃ断器1におけるバッファ・ピストン30のストローク長L1、主固定接触子11と主可動接触子21との横方向の接触長L2、固定アーク接触子12と可動アーク接触子22との横方向の接触長L3およびガスしゃ断器1を投入状態にするときの主可動接触子21の跳返り余裕L4との関係について説明するための図である。
図4図1に示したガスしゃ断器1のしゃ断動作について説明するための図である。
図5図1に示したガスしゃ断器1のしゃ断動作について説明するための図である。
図6図1に示したガスしゃ断器1のしゃ断動作について説明するための図である。
図7図1に示したガスしゃ断器1の投入動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記の目的を、固定電極部を円柱状として固定電極部の先端外周部および先端中央部を主固定接触子および固定アーク接触子とするとともに、可動電極部を独楽状として可動電極部の胴部の先端外周部および軸部の先端部を主可動接触子および可動アーク接触子とすることにより実現した。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明のガスしゃ断器の実施例について図面を参照して説明する。
本発明のガスしゃ断器は、以下に示す(1)〜(5)の特徴を有する。
(1)しゃ断動作時に消弧性ガス吹出口から吹き出される消弧性ガスを密閉しガス圧力を高めてアークを吹き消す構造としている。
(2)主固定接触子および主可動接触子は接触圧が均等に掛る構造としている。
(3)固定電極部および可動電極部を硬い金属で構成するため、投入動作時に跳返り力(固定電極部からの反作用で可動電極部を跳ね返す力)が生じるので、跳返り力を吸収するための押込みスプリングを内蔵する構造としている。
(4)主可動接触子および主固定接触子を可動アーク接触子および固定アーク接触子よりも先行して離間させるとともに、主可動接触子と主固定接触子との間にアークが発生しないように主固定接触子と固定アーク接触子との間に絶縁体を配置して電界を遮蔽させる構造としている(主可動接触子と主固定接触子との間ではアークが発生しない構造であるが、主可動接触子が主固定接触子から離脱した後の再点弧を防ぐためにも、絶縁体で遮る構造としている。)。
(5)固定電極部および可動電極部の外形全体に突起がない構造であるため、コロナ放電に対して有効である。
【0014】
そのため、本発明の一実施例によるガスしゃ断器1は、図1に示すように、固定電極部10と、可動電極部20と、パッファ・ピストン30と、逆止弁40と、固定電極10と離間させたり当接させたりするように可動電極部20を移動させるための操作部とを具備する。
【0015】
ここで、固定電極部10は、先端部が先端面(可動電極部20側の面)に向けて末広がりの円柱状の形状を有し、末端部はガスしゃ断器1の容器(不図示)に固設されている。
固定電極部10の先端面の外周部には、凹曲面部(以下、「固定電極外周凹曲面部」と称する。)が外周に沿って形成されており、固定電極部10の先端外周部が主固定接触子11として機能するようにされている。
固定電極部10の先端面の中央部には、凹曲面部(以下、「固定電極中央凹曲面部」と称する。)が形成されているとともに、固定電極中央凹曲面部の先端中央部には、断面円形状の穴部(以下、「固定電極穴部」と称する。)が形成されており、固定電極部10の先端中央部が固定アーク接触子12として機能するようにされている。
固定電極部10の固定電極外周凹曲面部および固定電極中央凹曲面部間には、絶縁体13(セラミクスや絶縁ポリマーなど)が取り付けられている。
【0016】
可動電極部20は、円柱状の胴部と胴部の中心を貫通する軸部とからなる独楽状の形状を有する。
可動電極部20の胴部の先端面(固定電極部10側の面)の外周部には、ガスしゃ断器1が投入状態(可動電極部20と固定電極部10とが当接した状態)にされた際に固定電極部10の固定電極外周凹曲面部と当接する凸曲面部(以下、「可動電極外周凸曲面部」と称する。)が外周に沿って形成されており、可動電極部20の胴部の先端外周部が主可動接触子21として機能するようにされている。
可動電極部20の胴部の先端面の中央部には、ガスしゃ断器1が投入状態にされた際に固定電極部10の固定電極中央凹曲面部と当接する凸曲面部(以下、「可動電極中央凸曲面部」と称する。)が形成されている。
可動電極部20の軸部の先端部(可動電極部20の可動電極中央凸曲面部の中央部から突出した部分)は、可動アーク接触子22として機能するようにされている。
なお、可動電極部20の軸部の先端部の長さは、固定電極部10の固定電極穴部の深さよりも短くされている(すなわち、ガスしゃ断器1が投入状態にされた際に可動電極部20の軸部の先端面が固定電極部10の固定電極穴部の底面に当接しないようにされている。)。
【0017】
これにより、ガスしゃ断器1を投入状態にしたときの固定電極部10と可動電極部20との接触面(主固定接触子11と主可動接触子21との接触面および固定アーク接触子21と可動アーク接触子22との接触面)を広く確保することができるため、接触抵抗を低減することができる。
【0018】
なお、放物線は直角を成す線で接している(すなわち、準線上の任意の点から放物線に引いた2本の接線は直角で交わる)ため、主固定接触子11と主可動接触子21との接触圧が均等に掛かるように、図2に破線で示すように主固定接触子11と主可動接触子21との接触面の外側部を頂点が固定電極部10側とされた回転放物面とするとともに主固定接触子11と主可動接触子21との接触面の内側部を頂点が可動電極部20側とされた回転放物面とするのが好ましい。
同様に、固定電極部10の固定電極中央凹曲面部と可動電極部20の可動電極中央凸曲面部との接触圧が均等に掛かるように、図2に破線で示すように両者の接触面を頂点が固定電極部10側とされた回転放物面とするのが好ましい。
【0019】
可動アーク接触子22として機能する可動電極部20の軸部の先端面には、SF6吹出口25が形成されている。
可動電極部20の胴部には、パッファ・ピストン30の先端面によって隔てられてパッファ室23および送気室26として機能する円環状の空間が形成されている。
パッファ室23は、SF6吹出流路24を介してSF6吹出口25と連通されているととともに、可動電極部20の周方向に沿って所定の間隔で形成された複数の送気流路27を介して送気室26と連通されている。
【0020】
送気流路27は、圧力を拡散する場合には出口側を広くすることにより素早く放出できSF6ガスの通りを良くできるため、送気室26側よりもパッファ室23側の方が広くされている。
送気流路27の数を多くすることにより、送気流路27のサイズを小さくすることができるとともに、圧縮されたSF6ガスを送気室26からパッファ室23にスムースに入れることができる。
【0021】
可動電極部20の可動電極外周凸曲面部の末端部(固定電極部10と反対側の端部)には、複数のアーク生成物逃し孔29が、可動電極外周凸曲面部の可動電極中央凸曲面部側の面から可動電極部20の外周面まで貫通するように、可動電極部20の周方向に沿って所定の間隔で形成されている。
アーク生成物逃し孔29は、圧力を拡散する場合には出口側を広くすることにより素早く放出できSF6ガスの通りを良くできるため、入口側(可動電極部20の可動電極中央凸曲面部側)よりも出口側(可動電極部20の外周面側)が広くされている。
【0022】
可動電極部20の軸部の末端部内には、操作室28として機能する空間が形成されている。
可動電極部20の胴部の末端部には、パッファ・ピストン30の先端部を貫通させるための円環状の貫通孔が可動電極部20の外周面に沿って形成されている。
【0023】
パッファ・ピストン30(ケーシング導体としても機能する。)は、先端面および外径がパッファ室23および送気室26の外径と同じにされた筒部を備えた円筒状の形状を有し、末端部はガスしゃ断器1の容器に固設されている。
パッファ・ピストン30の先端面の中央部には、可動電極部20の胴部の中央部を貫通させるための貫通孔が形成されている。
パッファ・ピストン30の筒部の先端部には、ガスしゃ断器1が投入状態にされるとパッファ室23と送気室26とを複数の送気流路27を介して連通するための複数の連通孔が可動電極部20の周方向に沿って所定の間隔で形成されている。
【0024】
送気室26とパッファ・ピストン30内の空間とは、可動電極部20の胴部の末端部に可動電極部20の外周面に沿って所定の間隔で取り付けられた複数の逆止弁40(スイング式逆止弁)によって隔てられている。
複数の逆止弁40は、ガスしゃ断器1の大きさ(主可動接触子21の大きさ)に合わせて3〜4個以上配置する。
複数の逆止弁40のヒンジ部は、複数の逆止弁40が重力で落下して閉じるように弁部よりも上側になるように取り付けられているとともに、中央部を可動部とし両端部を固定部とすることにより摩耗してもブレが内部で収まる構造とされている。
逆止弁40の弁部は、ガスしゃ断器1は高速度で動作するため、板状でかつ軽量な構造とされている。
逆止弁40の弁部の板の材質は、主可動接触子21と同じ材質として、電蝕を防ぐようにする。
軽量化を図るために板厚を薄くする場合には、逆止弁40の弁部を送気室26に突出した凸曲面状とすることにより、SF6ガスを圧縮する際に圧力を分散して弁部の変形を防ぐようにする。
【0025】
可動電極部20の軸部の末端面の中央部には、操作ロッド53を貫通させるための貫通孔が形成されている。
押込みスプリング51およびスプリング押え板52は、操作室28内に設けられている。
押込みスプリング51は、操作ロッド53が貫通されるとともに、一端が操作室28に形成された段差に固定され、他端がスプリング押え板52の先端面に固定されている。
スプリング押え板52は、押込みスプリング51よりも可動電極部20の軸部の末端面側になるように、操作ロッド53に固定されている。
【0026】
操作ロッド53の先端部は、操作室28に挿入されており、操作ロッド53の末端部は、パッファ・ピストン30の筒部を貫通する操作ロッド54の先端部に回転自在に取り付けられており、操作ロッド54の末端部は駆動部(不図示)に接続されている。
そのため、パッファ・ピストン30の筒部には、操作ロッド54の可動電極部20の軸方向に沿った移動を可能にさせるための貫通孔が形成されている。
これにより、駆動部を動作させると、操作ロッド54を介して操作ロッド53が可動電極部20の軸方向に沿って移動するようにされている。
【0027】
図3に示すように、バッファ・ピストン30のストローク長を“L1”とし、主固定接触子11と主可動接触子21との横方向の接触長を“L2”とし、固定アーク接触子12と可動アーク接触子22との横方向の接触長を“L3”とし、ガスしゃ断器1を投入状態にするときの主可動接触子21の跳返り余裕(マージン)を“L4”とすると、
L1>L3>L2>L4 (1)
となるようにされている。
【0028】
次に、ガスしゃ断器1をしゃ断状態(固定電極部10と可動電極部20とが離間した状態)にするときのガスしゃ断器1の動作について、図4(a)〜(c)、図5および図6(a),(b)を参照して説明する。
ガスしゃ断器1をしゃ断状態にするときには、駆動部を駆動して操作ロッド53,54を介して可動電極部20を図4(a)に白矢印で示すように固定電極部10と反対方向に移動させる。
これにより、可動電極部20が固定電極部10と反対方向に移動して固定電極部10から離れていくが、上述の(1)式で示したようにL3>L2とされているため、図5に示すように可動アーク接触子22が固定アーク接触子12から完全に離脱する前に主可動接触子21が主固定接触子11から完全に離脱するため、主固定接触子11と主可動接触子21との間ではアークが生じることはない。
【0029】
また、パッファ室23内のSF6ガスがパッファ・ピストン30の先端面によって押し出されてSF6吹出流路24を介してSF6吹出口25から吹き出されるが、可動アーク接触子22が固定アーク接触子12から完全に離脱するまでは固定電極部10の固定電極穴部は可動アーク接触子22で密閉された状態となっているため(図5の破線の丸印参照)、従来のガスしゃ断器のような開放型に比べてパッファ室23内の圧力上昇を素早く行うことができる。
なお、パッファ・ピストン30の筒部が送気流路27の入口側(送気室26側)を完全に閉じるまで送気室26内のSF6ガスが送気流路27を介してパッファ室23に移動するが、この状態でのパッファ室23の容積は送気室26に比べて大きくされているので問題となることはない。
【0030】
可動電極部20が固定電極部10と反対方向に更に移動すると、図4(b)に示すように可動アーク接触子22が固定アーク接触子12から完全に離脱する。
このとき、図6(a)に稲妻印で示すように固定電極部10と可動電極部20との間にアークAが発生するが、パッファ室23内のSF6ガスがSF6吹出流路24を介してSF6吹出口25から一気に吹き出されるため、発生したアークAを消弧することができる。
このとき、アークAは発生した直後に消弧することが肝要であり、アークAが成長すると消弧に時間が掛かるようになるが、固定電極部10の固定電極穴部内で圧縮されたSF6ガス(図5参照)は、図6(a),(b)に示すように、可動アーク接触子22のSF6吹出口25から吹き出されるSF6ガスを受け止めてアークAに向かわせる機能も備えるため、アークAを発生した直後に消弧することができる。
また、固定電極部10の中央部を凹曲面形状とすることにより、可動アーク接触子22のSF6吹出口25から吹き出されたSF6ガスを反射してアークAが引き伸ばして消弧し易くしている。
このとき、固定電極部10および可動電極部20がアークAによって高温により微量ほど溶けてイオン化するが、SF6ガスでアークAを素早く消弧することができるため、固定電極部10および可動電極部20の損耗を防げるので、ガスしゃ断器1のメンテナンス周期を延伸できる。
【0031】
アークAが消弧されるとイオン化していた微量な金属は冷却されて固形物(以下、「アーク生成物」と称する。)となるため、SF6ガスを可動電極部20の可動電極外周凸曲面部と可動電極中央凸曲面部との間に当ててアーク生成物をSF6ガスと共に複数のアーク生成物逃し口29の入口に導いて複数のアーク生成物逃し口29の出口から吹き出すようにしている(図4(b)参照)。
また、主固定接触子11および主可動接触子21にアーク生成物が付着しないように、主固定接触子11および主可動接触子21は固定アーク接触子12および可動アーク接触子22の裏面側(固定電極部10および可動電極部20の外周面側)に配置しているとともに、SF6ガスの吹き返しで主固定接触子11が汚れないように、絶縁体13でSF6ガスの流れを抑えている。
なお、アーク生成物は、ガスしゃ断器1の容器の下部に落下するため、ガスしゃ断器1のメンテナンス時に清掃することができる。
パッファ・ピストン30の筒部が送気流路27の入口を完全に閉じると、送気室26内は負圧となるため、複数の逆止弁40が開いて、バッファ・ピストン30内のSF6ガスが送気室26内に取り入れられる(図4(b)の矢印参照)。
また、ガスしゃ断器1のしゃ断動作が完了して送気室26内の圧力がパッファ・ピストン30内の圧力と同じになると、図4(c)に示すように複数の逆止弁40は重力で落下して閉じる。
なお、逆止弁40が閉じる際の補助として、弱いスプリングを逆止弁40に装着させるようにしてもよい(強いスプリングを装着させると、送気室26内の負圧ではスイングせず開かなく恐れがある。)。
【0032】
次に、ガスしゃ断器1を投入状態にするときの動作について、図7(a)〜(c)を参照して説明する。
ガスしゃ断器1を投入状態にするときには、駆動部を駆動して操作ロッド53,54を介して可動電極部20を図7(a)に白矢印で示すように固定電極部10の方向に移動させる。
【0033】
可動電極部20が固定電極部10の方向に移動すると、パッファ室23の容積が次第に小さくなってパッファ室23内は負圧となるため、図7(b)に示すようにガスしゃ断器1の容器内のSF6ガスがSF6吹出口25および吹出流路24を介してパッファ室23内に吸入される。
また、送気室26の容積が次第に小さくなって、複数の逆止弁40は閉じた状態のままとなるとともに、送気室26内のSF6ガスが圧縮される。
送気室26内の圧縮されたSF6ガスは、図7(c)に示すようにパッファ・ピストン30の筒部に形成された連通孔が送気流路27の出口側(パッファ室23側)の位置まで達すると、パッファ室23と送気室26とが送気流路27を介して連通するため、パッファ室23内に一気に送り込まれる結果、送気室26内の圧力はパッファ室23内の圧力と同じになる。
【0034】
固定電極部10および可動電極部20は硬い金属で構成されているため、図7(c)に示すように固定電極部10と可動電極部20とが当接すると、反作用力が固定電極部10から可動電極部20に掛り、この反作用力は跳返り力となる。
そのため、跳返り力を押込みスプリング51で吸収することにより、可動電極部20のリバウンドを抑えるようにしている。
【0035】
押込みスプリング51は可動電極部20を固定電極部10に向けて押して両者の接触状態を保つため、地震などの外部からの振動(応力)に対して固定電極部10と可動電極部20とが離間することを防止できるとともに、固定電極部10および可動電極部20の銀メッキの摩耗を極力抑えることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ガスしゃ断器
10 固定電極部
11 主固定接触子
12 固定アーク接触子
13 絶縁体
20 可動電極部
21 主可動接触子
22 可動アーク接触子
23 パッファ室
24 SF6吹出流路
25 SF6吹出口
26 送気室
27 送気流路
28 操作室
29 アーク生成物逃し孔
30 パッファ・ピストン
40 逆止弁
51 押込みスプリング
52 スプリング押え板
53 操作ロッド
A アーク
L1 ストローク長
L2,L3 接触長
L4 跳返り余裕
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7