(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6601703
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】空調衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20191028BHJP
A41D 27/10 20060101ALI20191028BHJP
A41D 27/18 20060101ALI20191028BHJP
A41D 27/28 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D27/10 D
A41D27/18 Z
A41D27/28 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-26264(P2019-26264)
(22)【出願日】2019年2月18日
【審査請求日】2019年4月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515312782
【氏名又は名称】株式会社アイズフロンティア
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】礒野 豊
【審査官】
冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−111892(JP,A)
【文献】
特開2018−165426(JP,A)
【文献】
実開昭52−102310(JP,U)
【文献】
特開2014−1464(JP,A)
【文献】
特開2019−11524(JP,A)
【文献】
実公昭44−22731(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D1/02−1/04、13/002−13/005、27/00−27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の身体と衣服生地との間に空気の流れを形成し、空気を作業者の首と襟との間から衣服外部へ排気する空調衣服において、
背面側が衣服生地である後身頃の内側に裏地を接合した二層構造で、
後身頃は、傾斜した左右のラグラン縁を有し、ラグラン縁に挟まれた襟ぐり縁の幅を襟ぐり縁に対応する裏地の裏地上縁の幅より長くし、
裏地は、下方に向けて間隔の広がる曲線状の裏地側縁を左右に有する正面視略台形状として、
襟ぐり縁と裏地上縁との両端を揃えた状態で裏地の左右の裏地側縁を後身頃のラグラン縁それぞれに接合することにより、
襟ぐり縁を裏地上縁に対して衣服外部へ膨らませ、裏地の範囲で襟に向かって下方から徐々に膨らむ空気の通り道を正面視略台形状に形成したことを特徴とする空調衣服。
【請求項2】
後身頃は、左右のラグラン切り替えを接合する傾斜したラグラン縁を有し、
裏地は、左右の裏地側縁をラグラン縁それぞれに接合した請求項1記載の空調衣服。
【請求項3】
後身頃は、襟ぐり縁を有する肩切り替えを上部に備え、
裏地は、肩切り替えが有する左右のラグラン縁に裏地側縁を接合した請求項1又は2いずれか記載の空調衣服。
【請求項4】
後身頃は、襟ぐり縁から伸びる左右一対のタックを有する請求項1〜3いずれか記載の空調衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンが取り込んだ空気の通り道を形成する空調衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
空調衣服は、作業者の身体と衣服生地との間に空気の流れを形成し、空気を作業者の首と襟との間から衣服外部へ排気する。空気の流れを形成する手段としてファンを用いた空調衣服は、後身頃の衣服生地の腰付近に装着した左右一対のファンにより、衣服外部から衣服内部へ空気を取り込む構成である。ファンにより衣服内部に取り込まれた空気は、作業者と衣服生地との間を通って首と襟の間から排気されることで、衣服内部に空気の流れを形成する。空気の流れは、作業者の身体から直接熱を奪ったり、発汗を促したりして、冷房効果を作業者にもたらす。
【0003】
衣服外部から取り込まれた空気は、作業者の身体と衣服生地との間に形成される空気が通りやすい経路=空気の通り道に従って流れていく。空気の通り道は、特段何かで構成されていない場合がほとんどだが、例えば特許文献1に見られるように、後身頃にメッシュ状の裏地を重ねることにより、後
身頃と裏地との間に形成されることもある。また、特許文献2に見られるように、襟の内側にベルトを掛け渡し、首に密着しない空気排出口を構成し、空気排出口に繋がる衣服内部の空間を空気の通り道とすることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-111912公報
【特許文献2】特開2015-074852公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する後
身頃と裏地との間の空気の通り道は、空気が通過すれば膨らむものの、常態として広がった空間を構成するものではなく、円滑な空気の流れを形成するとは言い難い。また、特許文献2が開示する空気排出口は、空気の通り道を構成する大きな空間が形成できる点で優れている。しかし、襟の周長より短いベルトを襟の内側に掛け渡して構成するため、襟が不自然に撓んで見え、審美性に劣る。空調衣服は、主に屋外で着用する作業服であることから、襟が不自然に撓んでいても問題ないと言えるが、審美性が劣らないに越したことがない。
【0006】
また、特許文献2が開示する空気排出口は、襟を撓ませて空気排出口を構成する反面、襟の内側に掛け渡すベルトが作業者の首に接触し、不快感を与える虞がある。ベルトは、素材の選択により、接触による不快感を低減することもできるが、首に常時接触するとなると、ベルトが首に擦れて痛みをもたらす可能性も否めない。そこで、空調衣服において、襟の内側にベルトを掛け渡して襟を撓ませることなく、空気の通り道を構成する大きな空間が形成できる構造について、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検討の結果開発したものが、作業者の身体と衣服生地との間に空気の流れを形成し、空気を作業者の首と襟との間から衣服外部へ排気する空調衣服において、背面側が衣服生地である後
身頃の内側に裏地を接合した二層構造で、後
身頃は、傾斜した左右のラグラン縁を有し、ラグラン縁に挟まれた襟ぐり縁の幅を襟ぐり縁に対応する裏地の裏地上縁の幅より長くし、
裏地は、下方に向けて間隔の広がる曲線状の裏地側縁を左右に有する正面視略台形状として、襟ぐり縁と裏地上縁との両端を揃えた状態で裏地の左右の裏地側縁を後
身頃のラグラン縁それぞれに接合することにより、襟ぐり縁を裏地上縁に対して衣服外部へ膨らませ、裏地の範囲で襟に向かって下方から徐々に膨らむ空気の通り道を
正面視略台形状に形成したことを特徴とする空調衣服である。
【0008】
本発明の空調衣服は、上着(袖あり)やベスト(袖なし)に適用される。作業者の身体と衣服生地との間に空気の流れを形成する手段は、衣服生地に装着されるファンのほか、例えば自然吸気又は加圧空気の供給でもよい。後
身頃及び裏地は、分離不能に接合されればよく、接合手段として通常縫合を用いる。しかし、利用可能であれば、接合手段は、接着又は融着を用いてもよい。襟は、後
身頃の襟ぐり縁と下縁とを接合することから、空気の通り道の出口に合わせて後方に膨らんだ格好となる。
【0009】
本発明の空調衣服は、背面側が後
身頃及び裏地からなる二層構造で、ラグラン縁に挟まれた襟ぐり縁の幅を襟ぐり縁に対応する裏地の裏地上縁の幅より長くし、襟ぐり縁と裏地上縁との両端を揃えて裏地側縁をラグラン縁に接合することにより、
正面視略台形状である裏地の範囲で
正面視略台形状である空気の通り道を形成する。裏地上縁及び裏地下縁が後
身頃に接合していない(裏地下縁は後
身頃に密着)ことから、空気の通り道は、後
身頃と裏地とに挟まれて上下に連通する空間として形成される。そして、空気の通り道は、裏地下縁が後
身頃に沿いながら、裏地上縁が後
身頃から離れているため、襟に向かって下方から徐々に膨らんで形成される。
【0010】
傾斜したラグラン縁は、ラグラン袖を接合する。ラグラン袖は、肩の途中から傾斜したセミラグラン袖や後
身頃側だけのスプリットラグラン袖を含む。本発明の空調衣服で通常袖を用いる場合、ラグラン切り替えを用いるとよい。すなわち、後
身頃は、左右のラグラン切り替えを接合する傾斜したラグラン縁を有し、裏地は、左右の裏地側縁をラグラン縁それぞれに接合した構成とする。ラグラン切り替えを用いた本発明の空調衣服は、ラグラン切り替えが有する袖ぐり縁に通常袖を接合しながら、ラグラン縁に挟まれた裏地の範囲に空気の通り道が形成される。
【0011】
後
身頃は、左右が一体のものや左右が別体の構成でもよい。また、後
身頃は、上下に分割され、上部を肩切り替え(いわゆるヨーク)としてもよい。すなわち、後
身頃は、襟ぐり縁を有する肩切り替えを上部に備え、裏地は、肩切り替えが有する左右のラグラン縁に裏地側縁を接合した構成とする。後
身頃は、上部の肩切り替えと、下部の後
身頃(以下、下部後
身頃)とから構成される。ラグラン縁は、肩切り替えの範囲だけでもよいし、下部後
身頃にも連続して設けられてもよい。ラグラン縁は、ラグラン袖を接合するほか、ラグラン切り替えを接合してもよい。
【0012】
いずれの構成においても、後
身頃は、襟ぐり縁から伸びる左右一対のタックを有するとよい。タックは、左右対称で左右一対に配置するとよい。タックは、左右一対であれば、左右それぞれに複数設けてもよい。タックの長さは、通常の衣服に用いられる程度で構わない。本発明の空調衣服におけるタックは、襟ぐり縁を裏地上縁に対して膨らませる範囲をタックに挟まれた範囲に制約したり、空気の通り道を形成するための後
身頃(肩切り替えを含む)の膨らみ代を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の空調衣服は、襟を撓ませることなく、裏地の範囲で後
身頃から襟に向かって下方から徐々に膨らむ空気の通り道を
正面視略台形状に形成し、空気を円滑に排出できる効果がある。本発明の空調衣服における空気の通り道は、襟に向かって下方から徐々に膨らんで形成されることから、空調衣服の審美性を損ねない。また、本発明の空調衣服における空気の通り道は、背部に形成される入口が広く、首元に形成される出口が狭く、後方に膨らんだ正面視略台形状に形成されるため、首の背面側に空気を集めて円滑に排出できるようになり、首の背面側から熱を奪うことで、冷却効果を高める効果ももたらす。
【0014】
ラグラン切り替えを用いた本発明の空調衣服は、通常袖を用いながら、裏地の範囲で、上方で幅が狭くて後方に膨らみ、下方で幅が広くて膨らみが抑制された目立たない空気の通り道が形成できる。肩切り替えを用いた本発明の空調衣服は、左右に連続する肩切り替えが空気の通り道の膨らみを滑らかにする。また、肩切り替えは、左右のラグラン縁における接合線のみを現すので、空気の通り道が形成される裏地の範囲をスッキリさせる。いずれも、背面側の審美性を高める効果である。
【0015】
襟ぐり縁から伸びる左右一対のタックは、襟ぐり縁を裏地上縁に対して膨らませる範囲をタックに挟まれた範囲に制約し、後
身頃の膨らみ代を提供することにより、タックに挟まれた範囲で大きく膨らむ空気の通り道を形成させる。このとき、大きく膨らんだ空気の通り道とその他の後
身頃との境界にタックが存在するため、大きく膨らんだ空気の通り道が形成されることによる審美性の低下を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明を適用した空調衣服の一例を表す正面図である。
【
図3】前後に分断し、前側を除いた本例の空調衣服の断面図である。
【
図4】肩切り替えと裏地とを対比した平面図である。
【
図6】左右に分断し、右側を除いた本例の空調服の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明は、
図1〜
図3に見られるように、例えば袖のないベストである空調衣服1に利用される。本例の空調衣服1は、左右の前身頃19からなる前面と、肩切り替え11の左右にラグラン切り替え12を備え、左右に分かれた下部の後
身頃13を設けた背面とから構成されるベストである。ファン(円のみで図示)16は、後
身頃13に設けられる(その余のバッテリ及びコード等は図示略)。袖ぐり121は、前身頃19とラグラン切り替え12とから構成され、スプリットラグラン仕様である。
【0018】
肩切り替え12は、下方に向けて間隔の広がる曲線状のラグラン縁111を左右に有する正面視略台形状の衣服生地で、左右に延びる上縁が幅の狭い襟ぐり縁112である。本例の肩切り替え12は、襟ぐり縁112から下方へ延びる左右一対のタック113を有する。本例の空調衣服1は、肩切り替え12と下部の後
身頃13とは、密に接合して通気性をなくしているが、部分的又は全面的に隙間を形成し、通気性を確保してもよい。肩切り替え12と下部の後
身頃13との接合手段は、縫着又は融着である。
【0019】
ラグラン切り替え111は、正面視略S字状の衣服生地で、肩切り替え12から下部の後
身頃13にかけて接合される。ラグラン切り替え111と肩切り替え12及び後
身頃13と接合手段は、縫着又は融着である。ラグラン切り替え111は、作業者の腕を通す袖ぐり121を有する。本例の袖ぐり121は、内蔵するゴムを作業者の腕に密着させ、空気の漏れ出しを規制している。空調衣服1の裾も同様で、内蔵するゴムを作業者の腰に密着させ、空気の漏れ出しを規制している。こうして、本例の空調衣服1は、ファン16から取り込んだ空気の大部分を上方へ導いている。
【0020】
襟15は、作業者の首を囲む帯状の衣服生地で、襟下縁151に対して、肩切り替え11の襟ぐり縁112、ラグラン切り替え12の上縁、そして前身頃19の上縁をそれぞれ接合している。襟15に対する肩切り替え11、ラグラン切り替え12、そして前身頃19の接合手段は、縫着又は融着である。本例の襟15は、略等間隔の隙間を残して作業者の首を囲むのではなく、形成される空気の通り道Aの出口に応じて酋長が長くなっており、背面側が後方に広がった構造になっている(後掲
図5及び
図6参照)。
【0021】
裏地14は、下方に向けて間隔の広がる曲線状の裏地
側縁142を左右に有する正面視略台形状のメッシュ生地で、裏地上縁141をパイピング処理している。肩切り替え11と裏地14とは、同様の正面視略台形状であるが、
図4に見られるように、肩切り替え11の襟ぐり縁112の幅Wbを裏地14の裏地上縁141の幅Wliより長くしている。また、本例の肩切り替え11と裏地14とは、それぞれの下縁を揃えた状態で、肩切り替え11の下縁から襟ぐり縁112までの長さを裏地14の裏地上縁141までの長さよりΔHだけ長くしている。
【0022】
空気の通り道Aは、上述のような関係のある肩切り替え11と裏地14とを、襟ぐり縁112と裏地上縁141との両端を揃えた状態で左右の裏地側縁142をラグラン縁111それぞれに接合して形成される。本例の空気の通り道Aは、裏地14の範囲で、
図2又は
図3に見られるように、肩切り替え11の下縁から襟ぐり縁112に向かって幅を狭める正面視略台形状で、
図5又は
図6に見られるように、前記下縁から襟ぐり縁112に向かって後方に膨らんでいる。本例の場合、肩切り替え11に設けたタック113が、空気の通り道Aの出口の膨らみを、違和感少なくしながら、大きくしている。このような空気の通り道Aは、部分的に撓んで形成される従来と比べて違和感がなく、空調衣服1の背面側の審美性を損ねないものになっている。
【0023】
ファン16により衣服外部から衣服内部に取り込まれた空気は、ゴムに絞られた袖ぐり121や裾から漏れ出しにくい。これに対して、空気の通り道Aは、裏地14及び肩切り替え11それぞれの下縁と同じ長さであるために入口が狭いものの、裏地上縁141に対して襟ぐり縁112が長いために出口が広く、出口に向けて空気抵抗が小さくなっている。このため、空気は、作業者の身体2に沿って流れつつ、多くが空気の通り道Aの出口を通して排出されていくことになる。
【0024】
本例の空気の通り道Aは、裏地14がメッシュ生地となっている。このため、空気は、空気の通り道Aの入口から入り込むだけでなく、裏地14を通しても流れ込む。また逆に、空気の通り道Aを通る空気の一部が、裏地14を通して作業者の身体2に当たり、作業者の背中から熱を奪う。こうして、メッシュ生地とした裏地14は、空気の流れる範囲を広くすると共に、空気の通り道Aを流れる空気による冷却効果も期待させる。このほか、メッシュ生地とした裏地14は、作業者の身体2に裏地14が密着することを防ぎ、空調衣服1着用時の不快感の発生を防ぐ働きもある。
【0025】
本発明の空調衣服1における空気の通り道Aは、正面視略台形状で、襟ぐり縁112に向かって後方に膨らむ構造になればよい。例えば別例1の空調衣服1は、
図7に見られるように、左右の後
身頃17に設けたラグラン縁171に、正面視略台形状である裏地14の傾斜した裏地側縁142を接合して、前記裏地14の範囲内で、空気の通り道Aを形成している。別例1の空調衣服1は、タック113(
図2参照)を省略している。後
身頃17は、本例の肩切り替え11と下部の後
身頃13とを連続させた構成に同じであり、襟ぐり縁172を裏地14の裏地上縁141より長くし、前記襟ぐり縁172を後方(
図7中紙面手前)に膨らませている。
【0026】
また、別例2の空調衣服1は、
図8に見られるように、本例(
図2参照)と同じ肩切り替え11を用いながら、前記肩切り替え11のラグラン縁111に直接ラグラン袖18を接合した構成である。空気の通り道Aは、肩切り替え11に設けたラグラン縁111に、正面視略台形状である裏地14の傾斜した裏地側縁142を接合して、前記裏地14の範囲内で形成している。別例2の空調衣服1は、本例と同じ肩切り替え11を用いながら、前記ラグラン縁111に直接ラグラン袖18を接合しただけだから、本例と同じ空気の通り道Aが形成され、効果も同様である。
【0027】
更に、別例3の空調衣服1は、
図9に見られるように、別例1(
図7参照)と同じ左右一対の後
身頃17を用い、各後
身頃17のラグラン縁171に直接ラグラン袖18を接合した構成である。空気の通り道Aは、後
身頃17に設けたラグラン縁171に、正面視略台形状である裏地14の傾斜した裏地側縁142を接合して、前記裏地14の範囲内で形成している。別例3の空調衣服1は、別例1(
図7参照)と同じ左右一対の後
身頃17を用い、各後
身頃17のラグラン縁171に直接ラグラン袖18を接合しただけだから、形成される空気の通り道Aは、別例1のものと同じで、効果も同様である。
【符号の説明】
【0028】
1 空調衣服
11 肩切り替え
111 ラグラン縁
112 襟ぐり縁
113 タック
12 ラグラン切り替え
121 袖ぐり
13 下部の後
身頃
14 裏地
141 裏地上縁
142 裏地側縁
15 襟
151 襟下縁
16 ファン
17 後
身頃
171 ラグラン縁
172 襟ぐり縁
18 ラグラン袖
19 前身頃
2 作業者の身体
21 首
A 空気の通り道
【要約】
【課題】空調衣服において、襟の内側にベルトを掛け渡して襟を撓ませることなく、空気の通り道を構成する大きな空間が形成できる構造を提供する。
【解決手段】作業者の身体と衣服生地との間に空気の流れを形成し、空気を作業者の首と襟との間から衣服外部へ排気する空調衣服1において、背面側が衣服生地である肩切り替え11の内側に裏地14を接合した二層構造で、肩切り替え11は、傾斜した左右のラグラン縁111を有し、ラグラン縁111に挟まれた襟ぐり縁112の幅を襟ぐり縁112に対応する裏地14の裏地上縁の幅より長くし、襟ぐり縁112と裏地上縁との両端を揃えた状態で裏地14の左右の裏地側縁を後見頃のラグラン縁111それぞれに接合することにより、襟ぐり縁112を裏地上縁に対して衣服外部へ膨らませ、裏地14の範囲で襟15に向かって下方から徐々に膨らむ空気の通り道Aを形成した。
【選択図】
図2