(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、地下水や海水のサンプリング方法については多くの方法が用いられている。最も簡易なベーラー式採水方法は、ベーラーと呼ばれる採水容器を井戸内に降下させ、井戸内の地下水を汲み上げるものである。このベーラー式採水方法では、井戸内の深度ごとに採水可能な装置も開発されている。しかし、サンプリングされる地下水は、スクリーン深度の地下水頭による井戸内の滞留水であり、真の地下水とみなすことが難しい場合がある。
【0003】
一方、井戸内の深部地下水や深海の海水サンプリングなどには、BAT式採水方法がある。このBAT式採水方法は、採水時に真空にされたサンプリング容器を用いるのが一般的である(特許文献1参照)。
【0004】
なお、特許文献2には、止水パッカーを設け、試験区間から地盤にトレーサ液を注入し、その後、トレーサ液を含む地下水を揚水するトレーサ試験方法が記載されている。このトレーサ試験は、高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全性評価や一般廃棄物処分場周辺の地下水汚染の評価を行うものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のベーラー式採水方法では、採水された地下水が大気圧に開放されるため、高圧水の場合、遊離ガスが発生し、酸化還元変化(ORP:Oxidation-reduction Potential)等が発生する場合がある。一方、BAT式採水方法では、真空にされたサンプリング容器内に地下水を流入させて採水するようにしているため、地下水圧が高い場合、サンプリング時の減圧に伴って遊離ガスが発生する場合がある。すなわち、従来の地下水サンプリング方法では、採水時の地下水の状態が変化してしまい、精度の高い地下水サンプリングを行うことができない場合があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、採水時の地下水の状態変化を最小限に抑えて地下水サンプリングを行うことができる地下水サンプリング装置、サンプリングプローブ、および地下水サンプリング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる地下水サンプリング装置は、ボーリング孔の孔壁を保護する保護ケーシングと、前記ボーリング孔の下部の採水区間あるいはボーリング孔の途中に設けられた止水パッカーによって形成された採水区間に設けられ、上部に採水ラバーディスクを有した採水ポートをもつ採水ポート部と、前記採水ポートから前記採水区間の地下水を採水するサンプリングプローブと、前記保護ケーシングの内側に設けられ、前記サンプリングプローブを地上と前記採水ポートとの間をガイドする内側ケーシングと、を備え、前記サンプリングプローブは、下部に容器側ラバーディスクが設けられた固定形状の採水容器内に、前記採水ラバーディスクと前記容器側ラバーディスクとの間が接続されて前記採水ポートから地下水を採水する際に採水前の容器内容量がゼロ状態の袋状採水容器が設けられたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる地下水サンプリング装置は、上記の発明において、前記採水容器は、パウチ加工された袋であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる地下水サンプリング装置は、上記の発明において、前記サンプリングプローブは、前記採水容器と底部との間で該サンプリングプローブ内を摺動し、前記容器側ラバーディスクに挿入可能に立設した上部注射針と前記採水ラバーディスクに挿入可能に立設して前記上部注射針に連通する下部注射針とを有したガイドディスクと、前記容器側ラバーディスクと前記ガイドディスクとの間に設けられた上部伸長ばねと、前記採水ラバーディスクと前記ガイドディスクとの間に設けられ前記上部伸長ばねに比して伸長ばね力が弱い下部伸長ばねと、を備え、前記地下水の採取時は、前記採水容器の下降に伴い、前記下部注射針が前記採水ラバーディスクを貫通し、その後前記上部注射針が前記容器側ラバーディスクを貫通することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる地下水サンプリング装置は、上記の発明において、前記下部注射針は、複数であり、各下部注射針は、前記ガイドディスクの中心位置からずらして配置されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる地下水サンプリング装置は、上記の発明において、前記サンプリングプローブは、該サンプリングプローブの下部に、前記採水ポートに設けられた被係合部に係合する係合部を有し、前記地下水の採取時、前記採水容器の下降に伴い、前記下部注射針の前記採水ラバーディスクへの貫通前に前記係合部が前記被係合部に係合することを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる地下水サンプリング装置は、上記の発明において、前記サンプリングプローブは、該サンプリングプローブの下部先端を保護する保護部材を設けたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかるサンプリングプローブは、ボーリング孔の下部の採水区間あるいはボーリング孔の途中に設けられた止水パッカーによって形成された採水区間から地下水を採水するサンプリングプローブであって、前記サンプリングプローブは、固定形状の採水容器内に、地下水を採水する際に採水前の容器内容量がゼロ状態の袋状採水容器が設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかるサンプリングプローブは、上記の発明において、前記採水容器と底部との間で前記サンプリングプローブ内を摺動し、前記採水容器の下部に設けられた容器側ラバーディスクに挿入可能に立設した上部注射針と前記採水区間の採水ポートに設けられた採水ラバーディスクに挿入可能に立設して前記上部注射針に連通する下部注射針とを有したガイドディスクと、前記容器側ラバーディスクと前記ガイドディスクとの間に設けられた上部伸長ばねと、前記採水ラバーディスクと前記ガイドディスクとの間に設けられ前記上部伸長ばねに比して伸長ばね力が弱い下部伸長ばねと、を備え、前記地下水の採取時は、前記採水容器の下降に伴い、前記下部注射針が前記採水ラバーディスクを貫通し、その後前記上部注射針が前記容器側ラバーディスクを貫通することを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかるサンプリングプローブは、上記の発明において、前記下部注射針は、複数であり、各下部注射針は、前記ガイドディスクの中心位置からずらして配置されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかるサンプリングプローブは、上記の発明において、前記サンプリングプローブの下部に、前記採水ポートに設けられた被係合部に係合する係合部を有し、前記地下水の採取時、前記採水容器の下降に伴い、前記下部注射針の前記採水ラバーディスクへの貫通前に前記係合部が前記被係合部に係合することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかるサンプリングプローブは、上記の発明において、前記サンプリングプローブの下部先端を保護する保護部材を設けたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる地下水サンプリング方法は、ボーリング孔の下部の採水区間あるいはボーリング孔の途中に設けられた止水パッカーによって形成された採水区間から地下水を採水する地下水サンプリング方法であって、前記サンプリングプローブは、固定形状の採水容器内に、地下水を採水する際に採水前の容器内容量がゼロ状態の袋状採水容器が設けられ、地下水圧によって前記地下水を前記袋状採水容器内に流入させることを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる地下水サンプリング方法は、上記の発明において、前記サンプリングプローブは、前記採水容器と底部との間で前記サンプリングプローブ内を摺動し、前記採水容器の下部に設けられた容器側ラバーディスクに挿入可能に立設した上部注射針と前記採水区間の採水ポートに設けられた採水ラバーディスクに挿入可能に立設して前記上部注射針に連通する下部注射針とを有したガイドディスクと、前記容器側ラバーディスクと前記ガイドディスクとの間に設けられた上部伸長ばねと、前記採水ラバーディスクと前記ガイドディスクとの間に設けられ前記上部伸長ばねに比して伸長ばね力が弱い下部伸長ばねと、を備え、前記地下水の採取時は、前記採水容器を下降させ、前記下部注射針を前記採水ラバーディスクに貫通させ、その後前記上部注射針を前記容器側ラバーディスクに貫通させることを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる地下水サンプリング方法は、上記の発明において、前記下部注射針は、複数であり、各下部注射針は、前記ガイドディスクの中心位置からずらして配置させ、前記地下水の採取ごとに前記採水ラバーディスクへの挿入位置を変えることを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる地下水サンプリング方法は、上記の発明において、前記サンプリングプローブの下部に、前記採水ポートに設けられた被係合部に係合する係合部を有し、前記地下水の採取時、前記採水容器の下降に伴い、前記下部注射針の前記採水ラバーディスクへの貫通前に前記係合部を前記被係合部に係合させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、固定形状の採水容器内に、地下水を採水する容器内容量がゼロ状態の袋状採水容器が設けられ、地下水圧によって前記地下水を前記袋状採水容器内に流入させるサンプリングプローブを用いているので、採水時の地下水の状態変化を最小限に抑えて地下水サンプリングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である地下水サンプリング装置の全体構成の断面を模式的に示した図である。
【
図2】
図2は、採水ポート部の詳細構成の断面を示す模式図である。
【
図3】
図3は、サンプリングプローブの詳細構成の断面を示す模式図である。
【
図4】
図4は、ガイドディスクおよびガイドディスクに設けられる上部注射針と下部注射針の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、サンプリングプローブの反力用フックが被係合部に係合した状態を示す図である。
【
図6】
図6は、サンプリングプローブの下部注射針が採水ラバーディスクを貫通している状態を示す図である。
【
図7】
図7は、サンプリングプローブの上部注射針が容器側ラバーディスクを貫通している状態を示す図である。
【
図8】
図8は、異なる深度ごとに保護ケーシングと内側ケーシングとを設けた状態を示す図である。
【
図9】
図9は、1つの保護ケーシング内で2つの内側ケーシングを用いて異なる深度の地下水サンプリングを行う状態を示す図である。
【
図10】
図10は、1つの保護ケーシング内で、1つの深度に対して、採水用の内側ケーシングと水位観測用の内側ケーシングを設けた場合を示す図である。
【
図11】
図11は、1つの保護ケーシング内で、2つの深度に対して、採水用の内側ケーシングと水位観測用の内側ケーシングをそれぞれ設けた場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0026】
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態である地下水サンプリング装置1の全体構成の断面を模式的に示した図である。
図1に示すように、地下水サンプリング装置1は、採水対象層Eまでボーリングしたボーリング孔10の孔壁を保護する保護ケーシング11を有する。ボーリング孔10と保護ケーシング11との間には、粘土系シール材12が満たされる。ボーリング孔10の下部の採水区間E1の上部には、採水ポート部13が配置される。また、採水ポート部13の上部であって、保護ケーシング11の内側には、サンプリングプローブを地上と採水ポート部13との間をガイドする内側ケーシング15が設けられる。サンプリングプローブ17は、採水区間E1の地下水を、採水ポート部13を介して採水する。サンプリングプローブ17は、ケーブル16によって地上に配置された制御装置18に接続される。ケーブル16は、所定の引っ張り強度を有し、サンプリングプローブ17を吊り下げる機能を有する。また、ケーブル16は、電源線および通信制御線を含む。
【0027】
図1に示すように、保護ケーシング11の下端を採水区間E1の下端まで伸ばし、保護ケーシング11の側壁と、採水区間E1の上端に設けられた採水ポート部13とを連結する接続チューブ14を設け、保護ケーシング11直下の採水区間E1外から地下水を採水する。また、保護ケーシング11を採水区間E1の上端までとし、採水区間E1のボーリング孔10に砂等の透水性材料で埋め戻し、地下水の移動を妨げない状態として、採水区間E1内の地下水を採水ポート部13で採水する。
【0028】
(採水ポート部)
図2は、採水ポート部13の詳細構成の断面を示す模式図である。
図2に示すように、採水ポート部13は、保護ケーシング11の底部に設けられた螺合部22を介して着脱可能である。この採水ポート部13の着脱は、ボーリングマシン等の先端部を係合穴23に係合させ、採水ポート部13を回動することによって行われる。採水ポート部13には、地下水が採水される採水孔20aからの地下水圧に耐え得る耐水圧性の採水ラバーディスク20が設けられている。上述した採水ポート部13の着脱は、主として採水ラバーディスク20の交換作業のためである。なお、採水ポート部13には、後述するサンプリングプローブ17の下端に設けられた係合部である反力用フック40が係合する被係合部21を有する。
【0029】
(サンプリングプローブ)
図3は、サンプリングプローブ17の詳細構成の断面を示す模式図である。
図3に示すように、プローブ筐体19の上端には、シリンダ50から送り出されるピストン51が上下動する。シリンダ50は、エアシリンダでもよいし、油等の液圧シリンダでもよいし、図示しないモータでピストン51を動作させてもよい。
【0030】
プローブ筐体19は、上部側から、採水容器30、スペーサ36、上部伸長ばね24、ガイドディスク33、下部伸長ばね25が順次下部側に向けて配置され、底部に先端部保護シート38が設けられる。プローブ筐体19の底部周縁には、サンプリングプローブ17の下部先端を保護する保護部材39が設けられる。保護部材39は、衝撃等を吸収する弾性部材であり、例えば、ラバーやばねなどで構成される。
【0031】
採水容器30の上端は、ピストン51の先端に当接する。プローブ筐体19および採水容器30は、例えばステンレスで形成される。採水容器30の下端は、スペーサ36に当接する。採水容器30は、固定形状であり、内部に袋状採水容器31を有する。袋状採水容器31の採水口は、採水容器30の下端に設けた容器側ラバーディスク32である。袋状採水容器31は、採水前は、容器内容量がゼロ状態となっている。袋状採水容器31は、パウチ加工による多重構造をなしている。袋状採水容器31は、遮光機能を有することが好ましい。
【0032】
スペーサ36とガイドディスク33との間には、上部伸長ばね24が配置される。また、ガイドディスク33とプローブ筐体19の底部との間には、下部伸長ばね25が配置される。ガイドディスク33は、プローブ筐体19内を上下に摺動可能である。ガイドディスク33は、スペーサ36に設けられた挿通孔37を介して容器側ラバーディスク32に挿入可能に立設した上部注射針34と、先端部保護シート38を介して採水ラバーディスク20に挿入可能に、下部方向に立設して上部注射針34に連通する複数の下部注射針35とを有する。
【0033】
上部伸長ばね24の伸長ばね力は、下部伸長ばね25の伸長ばね力よりも大きい。したがって、採水容器30が下降すると、最初に下部伸長ばね25が縮小し、その後上部伸長ばね24が縮小する。
【0034】
プローブ筐体19の底部内側には、反力用フック40の回動軸41が設けられ、反力用フック40は、回動軸41に巻かれたコイルばね42によって下部側が径方向外側に開くように付勢される。なお、
図4に示すように、ガイドディスク33は、上部外側に向かって傾斜する傾斜部43を有する。反力用フック40は、ガイドディスク33の下降に伴って、反力用フック40の上端が傾斜部に沿って外側にスライドし、下端が内側に向かって移動する。これによって、反力用フック40は、採水ポート部13の被係合部21に係合する。
【0035】
図3に示すように、上部注射針34は、ガイドディスク33の中心位置に配置される。一方、3つの下部注射針35は、ガイドディスク33の中心位置からずらして配置される。複数の下部注射針35は、採水ごとに、採水ラバーディスク20を貫通するが、複数の下部注射針35の配置を中心位置からずらすことによって、採水ごとに下部注射針35の貫通位置が異なるようになる。これによって、採水ラバーディスク20の損傷が低減され、採水ラバーディスクの寿命を長くすることができる。
【0036】
(採水動作)
ここで、
図5〜
図7を参照してサンプリングプローブの採水動作について説明する。なお、採水開始前の袋状採水容器31の内容量はゼロ状態である。まず、
図3のピストン51の位置から、
図5に示すように、ピストン51を下げると、採水容器30、スペーサ36、上部伸長ばね24、ガイドディスク33が一体となって下降し、下部伸長ばね25が縮小する。ガイドディスク33の下降に伴って、反力用フック40が被係合部21に係合する。なお、この状態では、下部注射針35の下端は、採水ラバーディスク20に到達していない。反力用フック40は、サンプリングプローブ17の下降時における採水ポート部13への当接後の反力を抑える。また、反力用フック40は、地下水圧によるサンプリングプローブ17の上昇を抑えることができる。
【0037】
その後、
図6に示すように、さらにピストン51を下降すると、下部伸長ばね25がさらに縮小し、下部注射針35が採水ラバーディスク20を貫通する。この貫通によって、地下水圧によって、地下水は、下部注射針35を介して上部注射針34の先端から流出する。この流出によって、採水ポート部13内の空間に淀んでいた死水、および、下部注射針35と上部注射針34内の空気が排出される。したがって、この状態を所定時間維持して、上述した死水や空気を確実に排出することが好ましい。
【0038】
その後、
図7に示すように、さらにピストン51を下降すると、上部伸長ばね24が縮小し、上部注射針34が挿通孔37を介して容器側ラバーディスク32を貫通する。そして、地下水は、袋状採水容器31内に満たされる。袋状採水容器31内に地下水が満たされたか否かは、採水容器30内に圧力センサなどのセンサを配置することによって、制御装置18側に知らせることができる。
【0039】
袋状採水容器31内に地下水が満たされた場合、
図5〜
図7の動作を逆に行うことによって採水動作を終了することができる。すなわち、
図7のピストン51を上昇させると、まず上部伸長ばね24の伸長ばね力によって上部注射針34が容器側ラバーディスク32から引き抜かれ、容器側ラバーディスク32は、ラバーの弾性力によって上部注射針34が貫通していた部分を閉塞する。この状態は、
図6の状態と同じである。
【0040】
さらに、
図6の状態から、ピストン51をさらに上昇させると、下部伸長ばね25の伸長ばね力によって下部注射針35が採水ラバーディスク20から引き抜かれ、採水ラバーディスク20は、ラバーの弾性力によって下部注射針35が貫通していた部分を閉塞する。この状態は、
図5の状態と同じであり、地下水の流出は止められる。その後、さらにピストン51を上昇させることによって、反力用フック40の係合が外れる。
【0041】
その後、ケーブル16を地上側に引いて、サンプリングプローブ17を地上に持ち上げる。その後、サンプリングプローブ17内から、袋状採水容器31内に地下水が満たされた採水容器30を取り出し、さらに採水容器30から袋状採水容器31を取り出すことによって地下水のサンプリング処理が終了する。なお、袋状採水容器31は、容器側ラバーディスク32に取り付けてあることが好ましい。
【0042】
ここで、袋状採水容器31は、耐圧性能を有するパウチ加工が施されている。袋状採水容器31は、大気圧下では、容器内容量がゼロの圧縮状態であり、地下水圧によって容器内に地下水が流入する。従来は、真空容器による吸引によって地下水を採水していたが、本実施の形態では、従来に比して、地下水圧の減圧量が低減されるため、採水後の地下水の溶存ガスの溶出等を低減することができる。
【0043】
また、袋状採水容器31内には、空気が残らないため、空気に触れることなく、採水することができる。また、地下水の溶存ガスを溶存状態で採取することができる。すなわち、本実施の形態では、現位置での採取時の地下水圧条件を大きく変化することなく、かつ、大気に触れない状態で地下水をサンプリングすることができる。
【0044】
さらに、袋状採水容器31は、密閉状態で採水されるため、採水後、大気や人に触れることがない。そして、袋状採水容器31は、そのまま分析用のサンプル容器として取り扱うことが可能になる。したがって、簡単な操作で、品質の高い地下水をサンプリングすることができ、かつ、作業時間の短縮を図ることができる。
【0045】
特に、放射性物質に汚染された地下水を採水する場合であっても、採水作業者は、地下水に直接触れる可能性がないため、採水作業者の被ばくリスクを低減することができる。
【0046】
(変形例)
ところで、
図8に示すように、採水深度が異なる場合、上述した地下水サンプリング装置1を各採水対象層E11,E12毎に設ければよい。この場合、採水対象層E11に対する保護ケーシング61aの径は、採水対象層E12に対する保護ケーシング61bの径と同じである。また、採水対象層E11に対する内側ケーシング66aの径は、採水対象層E12に対する内側ケーシング66bの径と同じである。
【0047】
なお、
図9に示すように、同一場所で、採水深度が異なる地下水サンプリングを行う場合。採水対象層E11に対する内側ケーシング76aと採水対象層E12に対する内側ケーシング76bとを、1つの保護ケーシング71内に設けることができる。この場合、採水対象層E11に対する採水を行う際、止水パッカー72,73を用いる。
【0048】
また、
図10に示すように、同一の保護ケーシング81内に、採水用の内側ケーシング86aと、水位観測用の内側ケーシング86bとを並列配置してもよい。この場合、内側ケーシング86aに対する採水位置P1と、内側ケーシング86bの下部位置P2とを離して配置することが好ましい。内側ケーシング86b内の地下水は死水となるため、採水位置P1と下部位置P2とを離隔することによって、この死水を内側ケーシング86a側で採水しないようにする。この離隔は、深度方向に離隔してもよいし、水平方向に離隔してもよい。
【0049】
図11は、
図10に対応し、同一の保護ケーシング91内で、異なる深度においてそれぞれ、採水と水位観測とを行うものである。採水対象層E11に対しては、採水用の内側ケーシング86aと水位観測用の内側ケーシング86bとを並列配置し、採水対象層E12に対しては、採水用の内側ケーシング86cと水位観測用の内側ケーシング86dとを並列配置している。
図11では、採水対象層E11に対する採水および水位観測を行うため、採水対象層E11に対する止水パッカー92,93を設けている。
図11においても、採水位置P11と下部位置P12とを離隔し、採水位置P21と下部位置P22とを離隔している。
【0050】
なお、
図10および
図11において、採水位置と下部位置とを離隔するようにしていたが、保護ケーシング内の水位が上昇する時間帯や時期に採水を行うようにしてもよい。