【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1)発行者名 株式会社集英社 刊行物名 「MAQUIA」,2017年12月号 発行年月日 平成29年10月23日 2)ウェブサイトの掲載日 平成29年10月24日 ウェブサイトのアドレス https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000010744.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記鼻部切れ込みの先端部切れ込みと連続する直線状切れ込みの両端部は、前記先端部切れ込みが斜め下方向へ切れ込んだ終点よりも前記フェイスマスクの側方へ張り出している、請求項1に記載のフェイスマスク。
前記使用者の瞼に接する部分、前記使用者の口周辺に接する部分、前記使用者の顔面周辺領域(フェイスライン)に接する部分のうち、少なくとも一つの部分の表面側に、美容効果を増進する美容増進物質を含む顔料または染料で模様が印刷されている、請求項1に記載のフェイスマスク。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顔全体を覆うフェイスマスクは、使用者の顔に装着したときに、使用者の顔から浮くことなく、顔全体に接するのが望ましい。この点、従来のフェイスマスクは、切れ込みを入れることによって、平面形状のシートで形成されたフェイスマスクが、可能な限り、顔に接するように工夫されてきたが、人によって様々に異なる顔面形状に容易に接するには至っていない。
【0005】
本発明は、上記を踏まえて、人によって様々に異なる形状の顔面に容易に密着することができるフェイスマスクを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、基材シートを成形した美容用のフェイスマスクであって、前記フェイスマスクは、使用者の顔の全体を覆うように構成されており、使用者の顔面の凹状部分の底部領域に接する部分に非直線的な切れ込みを有し、かつ、前記使用者の顔面の凸状部分の頂点領域に接する部分に非直線的な切れ込みを有する、フェイスマスクである。
【0007】
人間の顔面には凹凸がある。本発明の発明者は、顔面の凹状部分の底部領域と凸状部分の頂点領域が、他の部分に比べて一層3次元的な形状の度合いが大きい(凹凸が大きい)ことに着目した。そして、フェイスマスクにおいて、顔面の凹状部分の底部領域と凸状部分の頂点領域に接するフェイスマスクの部分に形状変形の自由度が大きい構成を備えることによって、使用者の顔面に従来よりも容易に密着することを見いだした。そのための構成が、上記に示す非直線的な切れ込みである。直線的な切れ込みは変形する方向が1方向であるのに対して、非直線的な切れ込みは少なくとも2方向を有するから、変形する方向が複数である。これにより、人によって様々に異なる形状の顔面に容易に密着することができる。
【0008】
第二の発明は、基材シートを成形した美容用のフェイスマスクであって、前記フェイスマスクは、使用者の顔の全体を覆うように構成されており、前記使用者の鼻に接する鼻部を形成するための鼻部切れ込みと、前記使用者の顔の正面から側面にわたる部分に接する曲面部を形成するための側方部切れ込みと、を有し、前記鼻部切れ込みは、前記フェイスマスクの側方から中心方向へ向かって斜め下方向へ切れ込む根本部切れ込みと、前記根本部分と連続し、前記中心方向から側方へ向かって斜め下方向へ切れ込む中心部切れ込みを有し、前記側方部切れ込みは、前記フェイスマスクの外側から前記中心方向へ向かって切れ込む第一部分と、前記第一部分と連続し、前記第一部分とは異なる角度で斜め下方へ切れ込む第二部分とで構成されている、フェイスマスクである。
【0009】
第二の発明の構成によれば、鼻部切れ込みにおいて、根本部分は中心方向へ向かうのに対して、本体部分は側方側へ向かう。このため、根本部分と本体部分の境界は、根本部分及び本体部分のいずれと比べても細いから、使用者の鼻の形状に従って容易に変形する。また、鼻部切れ込みが非直線的に構成されているから、2方向への変形が容易である。さらに、側方部切れ込みにおいて、第一部分は中心方向へ向かうのに対して、第二部分は斜め下方へ向かう。このため、第一部分は使用者の顔の上下方向(額から口へ向かう方向と平行な方向)のふくらみに容易に追従させることができ、第二部分は顔の略左右方向(両目を結ぶ方向と平行な方向)のふくらみに容易に追従させることができる。これにより、人によって様々に異なる顔面形状に容易に密着することができる。
【0010】
第三の発明は、第二の発明の構成において、前記鼻部切れ込みの前記本体部分の下端部である直線状切れ込みの両端部は、前記鼻部切れ込みが前記斜め下方向へ切れ込んだ終点よりも前記フェイスマスクの側方へ張り出している、フェイスマスクである。
【0011】
第三の発明の構成によれば、下端部切れ込みの左右両端部近傍は、使用者の鼻の周辺のふくらみに追従し易い。
【0012】
第四の発明は、第二の発明の構成において、前記側方部切れ込みの上方は前記使用者の額を覆う額対応部となっており、前記側方部切れ込みの下方は前記使用者の顔面下方部を覆う顔面下方対応部となっており、前記顔面下方対応部は、前記額対応部と前記顔面下方対応部の接点よりも前記フェイスマスクの側方へ張り出している、フェイスマスクである。
【0013】
第四の発明の構成によれば、顔面下方対応部の左右の端部を把持して、容易に額対応部に重ね合わせることにより、フェイスマスクを使用者の顔面のふくらみに追従させることが容易である。
【0014】
第五の発明は第二の発明の構成において、前記使用者の顎に接する顎部を有し、前記顎部は、連続する複数の凸状部で構成されており、前記使用者の顎に接したときに、複数の前記凸状部が一体として、前記使用者の顎と接するように構成されている、フェイスマスクである。
【0015】
第五の発明の構成によれば、複数の凸状部が使用者の顎において一体となるから、フェイスマスクにおいて重複する部分が少ない状態で、顎をケアすることができる。
【0016】
第六の発明は、第二の発明の構成において、前記使用者の顎に接する顎部を有する、フェイスマスクである。
【0017】
第六の発明の構成によれば、使用者の顎もケアすることができる。
【0018】
第七の発明は、第二の発明の構成において、前記鼻部切れ込みの前記中心部切れ込みは、前記根本部切れ込みの途中部分に始点を有する、フェイスマスクである。
【0019】
第七の発明の構成によれば、根本部分における左右の領域は、使用者の鼻の形状に追従し易い。
【0020】
第八の発明は、第二の発明の構成において、前記側方部切れ込みは曲線状である、フェイスマスクである。
【0021】
第八の発明の構成によれば、側方部切れ込みの方向は曲線的であるから、より柔軟に使用者の顔のふくらみに追従させることができる。
【0022】
第九の発明は、第二の発明の構成において、前記使用者の瞼を覆う瞼部を有し、前記瞼部の下方部が前記フェイスマスク本体と連続し、前記瞼部の上方部が円弧状の切れ込みであり、前記円弧上の切れ込みには、放射状に複数の切れ込みが連続して形成されており、前記瞼部は、閉鎖部としても折り畳み部としても使用可能に構成されている、フェイスマスクである。
【0023】
第九の発明の構成によれば、瞼部は、閉鎖部として使用者の瞼をケアすることもできるし、折り畳み部として瞼の下方部をケアすることもできる。
【0024】
第十の発明は、第二の発明の構成において、前記使用者の口に対応する口部開口を有し、前記口部開口の両端部から、前記フェイスマスクの側方へ向かって切れ込む端部切れ込みと、を有するフェイスマスクである。
【0025】
第十の発明の構成によれば、端部切れ込みによって、口の形状により追従することができ、また、使用者が会話等のために口を閉じたり空いたりしても追従することができる。
【0026】
第十一の発明は、第二の発明の構成において、前記使用者の口に対応する部分に、両端部が略上方へ曲折した直線状の切れ込みが形成されている、フェイスマスクである。
【0027】
第十一の発明の構成によれば、使用者の唇を含めてケアすることができ、口周辺部の両端部は略上方へ曲折しているから、使用者の顔面への装着の前において、笑っているようなイメージの表情であり、使用者をリラックスさせることができる。
【0028】
第十二の発明は、第二の発明の構成において、前記使用者の瞼に接する部分、前記使用者の口周辺に接する部分、前記使用者の顔面周辺領域(フェイスライン)に接する部分のうち、少なくとも一つの部分の表面側に、美容効果を増進する美容増進物質を含む顔料または染料で印刷されている、フェイスマスクである。
【0029】
第十二の発明の構成によれば、使用者の顔の少なくとも一部について、他の部分よりも効果的にケアすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明にかかるフェイスマスクによれば、人によって様々に異なる形状の顔面に容易に密着することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第一の実施形態>
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態を説明する。なお、当業者が適宜実施できる構成については説明を省略し、本発明の基本的な構成についてのみ説明する。
【0033】
図1に示すように、フェイスマスク1Aは、基材シート2で構成されている。基材シート2は、例えば、不織布で形成されている。不織布の材質は、例えば、キュプラ、レーヨン、ポリエチレン、ボリビニルアルコール等である。基材シート2には、化粧用組成物が含侵されている。化粧用組成物の主成分は水分であり、さらに、以下の美容成分のうち少なくとも一つを含む。美容成分は、例えば、ヒトオリゴペプチド−1、ヒトオリゴペプチド−13、アセチルヘキサペプチド−8、パルミトイルペンタペプチド−4、水溶性コラーゲン、加水分解コラーゲン、サクシノイルアテロコラーゲン、リン酸アスコルビルMg、サッカロミセス(黒砂糖、プラセンタエキス)発酵液、ヒアルロン酸Na、アセチルヒアルロン酸Na、ヒアルロン酸クロスポリマーNa、セレブロシド、アルブチン、アスパラギン酸Mg、グリチルリチン酸2K、グルコン酸銅、グルコン酸亜鉛、プラセンタエキス、サイタイエキス、水溶性プロテオグリカン、白金、酒粕エキス、イワベンケイ根エキス、リンゴ果実培養細胞エキス、ビタミンA油、トコフェロール、サッカロミセスセレビシアエエキス、セレブロシド、PCA−Na、ナットウガム、アボカド油、カニナバラ果実油、アンズ核油、ヒマワリ種子油、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、アミノカプロン酸、ベタインである。
【0034】
図1において、紙面手前側が
図2の表面1Aaであり、紙面裏側が
図2の裏面1Abである。裏面1Abが使用者の顔面に接する。フェイスマスク1Aは、使用者の顔の全体を覆うように構成されている。
【0035】
基材シート2には、瞼部4A及び4B、鼻部6、口部開口8、顎部14、側方部切れ込み16A及び16B、及び、フェイスマスク1Aの上下左右方向及び表裏を示すための突出部18等が形成されている。本明細書において、突出部18が形成されている方向を上側(上方)、顎部14が形成されている方向を下側(下方)、鼻部6から視て側方部切れ込み16A及び16Bへ向かう方向を外側(側方)、外側から鼻部6へ向かう方向を中心方向と呼ぶ。また、切れ込みまたは開口が形成されていない部分を基材シート2の「本体部」と呼ぶ。
【0036】
人間の顔面は3次元形状であり、凹凸がある。そして、凹凸の状態は顔面の部分によって異なる。本発明の発明者は、顔面の凹状部分の底部領域と凸状部分の頂点領域が、他の部分に比べて一層3次元的な形状であり、凹凸が大きいことに着目した。例えば、
図3に示すように、使用者200Aの顔面において、頬骨近傍領域212が凸状部分の頂点領域の一例であり、目202Aの下方であり鼻204Aの付根である付根近傍領域220が凹条部分の底部領域の一例であり、また、小鼻222と口206の間の領域である小鼻下方領域224も凹条部分の底部領域の一例である。フェイスマスク1Aは、使用者200Aの顔面の凹状部分の底部領域に接する部分に非直線的な切れ込みを有し、かつ、顔面の凸状部分の頂点近傍に接する部分に非直線的な切れ込みが形成されている。これにより、人によって様々に異なる形状の顔面に容易に密着することを可能にしている。
【0037】
一般的に、フェイスマスクには、化粧用組成物が含侵されているので、使用者の顔面に貼りつく。フェイスマスクを装着する際には、まず、額、眼及び鼻などに接するように配置し、その後、頬や口、顎など、顔の形状に合わせて、装着していく。フェイスマスクは、平均的な人間の顔面よりも大きく作られている。平面形状のフェイスマスクを立体的な顔の形状に合せると、フェイスマスクにしわやたるみの部分が生じ、その部分からフェイスマスクが顔面から剥がれたり、顔面から浮くことがある。剥がれや浮きの問題に対応するために、フェイスマスクの装着を微調整する必要がある。フェイスマスクの微調整を行うには、貼りついたフェイスマスクを顔の上を滑らせるようにずらしていく、もしくは、フェイスマスクの一部分を把持して外し、ずらすことが必要である。この点、フェイスマスク1Aは、顔に装着する際に、効果的な切れ込みと形状で、しわやたるみの発生を防ぎながら、最初の配置後に調整がしやすく、効果的に装着することを可能にしている。
【0038】
フェイスマスク1Aの各構成について、以下に詳細に説明する。
<瞼近傍の構成について>
上述のように、基材シート2には、使用者の瞼を覆う瞼部4A及び4Bが形成されている(
図1参照)。瞼部4Aは基材シート2と直線状の直線部4Aaにおいて連続している。また、瞼部4Aは略円弧状の瞼部切れ込み4Abによって、使用時に基材シート2の本体部と乖離するようになっている。瞼部切れ込み4Abと連続して、放射状に切れ込み4Ac,4Ad及び4Aeが形成されている。瞼部4Aは、閉鎖部として使用者の瞼全体を覆うことができ(
図5参照)、または、直線部4Aa近傍で折り畳んで、折り畳み部として使用される(
図6及び
図7参照)。使用者の目の大きさに合わせて、目の淵で折り畳み、使用者の下瞼の下方の部分を集中的にケアするように構成されている。
【0039】
また、フェイスマスク1Aを使用者の顔面に装着したときに、切れ込み4Ac,4Ad及び4Aeの両側縁部を重ね合わせる、または切れ込み4Ac,4Ad及び4Aeが開く角度を取って、使用者の目の形状に追従して変形することができる。切れ込み4Ac,4Ad及び4Aeは、使用者の目の周辺の盛り上がり(鼻骨と眉にあたる部分の凸状部分)から、目頭や瞼の目のくぼみといった凹状部分の底部へと、均一でない傾斜に追従して密着できる(
図5、
図6及び
図7参照)。仮に、切れ込み4Ac,4Ad及び4Aeが存在しない場合は、鼻と眉にあたる凸状部分はフェイスマスクが接するであろうが、鼻と眉の凸状部分に囲まれる眼孔にあたる目頭や瞼部分の凹状部分は、フェイスマスクが浮いてしまい、使用者の目の周辺の形状に合わせて、接することはできない。切れ込み4Ac,4Ad及び4Aeによって、切れ込み4Ac,4Ad及び4Ae近傍が独立して、目周辺の凹凸に、より追従しやすくなる。
【0040】
上述のように、瞼部4Aを閉じた状態で、閉鎖部として装着し、使用者の瞼全体を化粧用組成物によってケアすることができる(
図5参照)。瞼部4Bの構成は、瞼部4Aと同様であるから、説明を省略する。
【0041】
<鼻近傍の構成について>
基材シート2には、使用者の鼻に接する鼻部6を形成するための鼻部切れ込み102が形成されている。
図8に示すように、鼻部6は根本部6a、中心部6b及び先端部6cから構成される。鼻部切れ込み102は、使用者200A等の顔面における凹状形状の底部近傍に接する領域において、非直線的に構成されている。
【0042】
すなわち、鼻部切れ込み102は、フェイスマスク1Aの外側の方向から中心方向(鼻部6の中心軸Z1方向)へ向かって斜め下方向へ切れ込む根本部切れ込み102Aa及び102Ba、根本部切れ込み102Aa及び102Baとそれぞれ連続し、中心方向から側方へ向かって斜め下方向へ切れ込む中心部切れ込み102Ab及び102Bb、中心部切れ込み102Ab及び102Bbとそれぞれ連続し、外側の方向から中心方向へ曲線を描きつつ斜め下方向へ切れ込む先端部切れ込み102Ac及び102Bc、及び、先端部切れ込み102Ac及び102Bcと連続する直線状切れ込み102dで構成される。直線状切れ込み102dの両端部は、先端部切れ込み102Acの下端と先端部切れ込み102Bcの下端を結ぶ線分の両側において、側方に張り出している。側方に張り出している部分を張り出し部と呼ぶ。
【0043】
上述の構成により、鼻部切れ込み102の部分S1A,S1B,S2A及びS2Bは、非直線的に形成されている。部分S1Aは付根近傍領域220(
図3参照)に接する部分であり、部分S2Aは小鼻下方領域224(
図3参照)に接する部分である。
【0044】
図8及び
図9に示すように、鼻部6の上述の構成によって、フェイスマスク1Aの本体部分との境界である仮想線L1、根本部6aと中心部6bの境界である仮想線L2、中心部6bと先端部6cとの境界である仮想線L3が形成される。また、根本部切れ込み102Aaと
中心部切れ込み102Abの交点P1Aから直線状切れ込み102dへ向かう仮想線L4A、根本部切れ込み102Baと
中心部切れ込み102Bbの交点P1Bから直線状切れ込み102dへ向かう仮想線L4Bが形成される。仮想線L4A及びL4Bは、使用者の鼻の形状に応じて、例えば、矢印X1及びX2に示すように中心軸Z1に対する傾斜角度が変わる。
【0045】
フェイスマスク1Aが使用者の顔に装着され、鼻部6が使用者の鼻に接すると、
図9に示すように、鼻部6は仮想線L1において基材シート2の本体部とつながった状態で紙面手前側に盛り上がる。このとき、仮想線L4Aから外側の外側部分6Abは、使用者の鼻の形状に応じた形状で、紙面裏側方向へ折れ曲がる。同様に、仮想線L4Bから外側の外側部分6Bbは、使用者の鼻の形状に応じた形状で、紙面裏側方向へ折れ曲がる。
【0046】
人の顔面形状は様々である。人の鼻に着目すると、例えば、
図3に示す使用者200Aの鼻204Aの高さh1は、
図4に示す使用者200Bの鼻204Bの高さh2よりも高い。
図6に示すように、フェイスマスク1Aが使用者200Aの顔に装着されると、鼻部6は、使用者200Aの鼻204Aの形状に追従して変形し、鼻204Aに密着する。仮想線L1,L2,L3,L4A及びL4B(
図8及び
図9参照)によって、鼻部6は容易に鼻204Aの形状に追従して変形する。同様に、
図7に示すように、フェイスマスク1Aが使用者200Bの顔に装着されると、鼻部6は、使用者200Bの鼻204Bの形状に追従して変形し、鼻204Bに密着する。
【0047】
図10及び
図11は、それぞれ、使用者200Aの鼻204A及び使用者200Bの204Bを側面方向から視た概略図である。鼻には様々な形状があるが、仮想線L1,L2,L3,L4A及びL4B(
図8及び
図9参照)によって、鼻部6は容易に鼻の形状に追従して変形する。例えば、
図10に示すように、高さh1の比較的高い鼻204Aについて、仮想線L1等によって、鼻204Aの形状に容易に追従して鼻部6は変形する。
図11に示すように、高さh2の比較的低い鼻204Bについて、仮想線L1等によって、鼻204Bの形状に容易に追従して鼻部6は変形する。
【0048】
また、10及び
図11に示すように、仮想線L2において、根本部切れ込み102Aa(102Ba)を有することで、より変形しやすくなり、本体部からの自由度が増すので、フェイスマスク1Aを装着して鼻部6が盛り上がる時に、鼻204Aに容易に追従しやすい。
【0049】
図9に示すように、直線状切れ込み102dの張り出し部によって、フェイスマスク1Aの本体に鼻周辺部6Ad及び6Bdが形成され、フェイスマスク1Aが使用者の顔に装着されたときに、使用者の鼻(小鼻)の周辺部分の曲面で凹凸のある形状に追従して、鼻周辺部6Ad及び6Bdがフェイスマスク1Aの本体部分とは独立して変形する。これにより、小鼻下方領域224(
図3参照)にフェイスマスク1Aが使用者の顔面から浮くことなく密着し、使用者の小鼻の周辺部分を化粧用組成物によってケアすることができる。
【0050】
根本部切れ込み102Aa(
図8及び
図9参照)が接する顔の部分は、目の付根近傍領域220(
図3参照)である。根本部切れ込み102Aaは、鼻部6側の側縁部102Aau、本体側の側縁部102Aasで構成される。フェイスマスク1Aを装着する際、凸状部分の鼻204A及び頬骨212aの盛り上がりに、平面形状のフェイスマスク1Aが、それぞれの盛り上がりに引っ張られる形で密着する。このとき、根本部切れ込み102Aaの鼻部6側の側縁部102Aau及び本体側の側縁部102Aasが存在することによって、付根近傍領域220の凹凸形状に追従して密着する。
【0051】
使用者は、102Aas(
図12(a)参照)を把持して、根本部切れ込み102Aaの端点102Aacを中心に回動するように中心方向へ向かって斜め上方にずり上げ、
図12(b)に示すように、側縁部102Aauに重ねるようにずらす(以下、「重ね合わせ」という。)。これにより、本体部と鼻部6の間にできる隙間を縮小し、しわやたるみなく、フェイスマスク1Aを顔面に密着させることができる。根本部切れ込み102Aa(102Ba)と中心部切れ込み102Ab(102Bb)が直線的に連続しているのではなく、所定の角度θ1を有していることによって、上述の重ね合わせを効果的に実施することができる。所定の角度θ1は、例えば、90度以上130度以下である。仮に、根本部切れ込み102Aa(102Ba)と中心部切れ込み102Ab(102Bb)が直線を形成している場合には、使用者は、直線部分を把持して中心方向(
図8のZ1方向)に平行にずらす必要があるから操作が困難であり、かつ、中心部切れ込み102Ab(102Bb)から側方部分全体にずらす力が加わり、側方部分も中心方向にずれてくるので、フェイスマスクに皺が生じやすく、ずらした後に、再度側方部分を整えて微調整する必要がでてくるのであり、側方部分の再調整の影響により、鼻部近傍も再調整する必要が出てくる。
【0052】
<口の構成について>
基材シート2には、使用者の口の部分に対応する口部開口8が形成されている(
図1参照)。口部開口8の両端には、側方へ向かう端部切れ込み8a及び8bが形成されている。端部切れ込み8a及び8bによって、人によって異なる口の形状に追従しやすい。
図13に示すように、端部切れ込み8a及び8bの切れ込み上側8au及び8buに、切れ込み下側8as及び8bsを重ねるようにフェイスマスク1Aを下方から上方へずり上げると、口部開口8を使用者の口の形状に合わせて小さくでき、より唇の際までフェイスマスク1Aを密着させることができる。すなわち、端部切れ込み8a及び8bは、口部開口8の大きさの調整手段として機能する。また、端部切れ込み8a及び8bがあることで、口部開口8の変形の自由度が増すため、フェイスマスク1Aの着用中に口を動かしても、フェイスマスク1Aが密着した状態を維持できる。
【0053】
<顎の部分の構成について>
基材シート2には、使用者の顎の部分に接する凸状の顎部14が形成されている(
図1参照)。顎部14は、連続する凸状部14a,14b,14c及び14dで構成されている。
図14は、フェイスマスク1Aが使用者200Aに装着された状態(
図6参照)を下方から視た図である。顎部14は、使用者200Aの顎に沿って、折り曲げられるように装着される。その際、凸状部14a等は下顎に向かって寄せられて、一体となるように、使用者200Aの顎230と密着する。凸状部14a等により、フェイスマスク1Aを装着した時に、顎の周辺で基材シート2が余ってだぶつき、そこから浮き上がることなく、フェイスマスク1Aを密着させることができる。
【0054】
<側方の構成について>
基材シート2には、側方部切れ込み16A及び16Bが形成されている(
図1参照)。
側方部切れ込み16Aは、非直線的に形成されている。すなわち、側方部切れ込み16Aは、フェイスマスク1Aの外側から中心方向へ向かって切れ込む第一部分16A1と、第一部分16A1と連続し、第一部分16A1とは異なる角度で斜め下方へ切れ込む第二部分16A2で構成される。第一部分16A1は、フェイスマスク1Aの外側から中心方向へ向かって直線状に延びている。第二部分16A2は、中心方向へ向かって、斜め下方へ伸びている。側方部切れ込み16Bは、側方部切れ込み16Aと鼻部6の中心軸Z1(
図8参照)に対して線対称に形成されている。側方部切れ込み16A及び16Bが非直線的に形成されていることによって、フェイスマスク1Aが使用者の顔に装着されたときに、フェイスマスク1Aを、頬骨121aを頂点とした周辺領域の盛り上がりとそれに続く部分の形状に追従する曲面部を形成することができる(
図6参照)。
【0055】
側方部切れ込み16Aの上方は使用者の額を覆う額対応部10Aとなっており、側方部切れ込み16Aの下方は使用者の顔面下方部を覆う顔面下方対応部12Aとなっている。顔面下方対応部12Aは、額対応部10Aとの接点よりもフェイスマスク1Aの側方へ張り出している。同様に、側方部切れ込み16Bの上方は使用者の額を覆う額対応部10Bとなっており、側方部切れ込み16Bの下方は使用者の顔面下方部を覆う顔面下方対応部12Bとなっている。顔面下方対応部12Bは、額対応部10Bとの接点よりもフェイスマスク1Aの側方へ張り出している。額対応部10A及び10Bは、フェイスマスク1Aが使用者の顔面に装着されたときに、顔面の側方部の生え際の髪の毛に接しない大きさ及び形状に形成されている。
【0056】
図15は、フェイスマスク1Aの側方部切れ込み16Aの近傍部を示す概略図である。フェイスマスク1Aを装着するとき、顔面下方対応部12Aの上端近傍部16Ad1を把持して、額対応部10Aの下端近傍部16Au1の上に重複するようにして、フェイスマスク1Aを顔面の形状に適合するように調整する。ここで、
図1に示す上端近傍部12Aaは、顔面下方対応部12Aと額対応部10Aとの接点よりも側方に突出しているから、把持が容易であり、持ち上げやすく、快適に上記調整を行うことができる。額対応部10Aの下端近傍部10Aaの上に重複するようにして、フェイスマスク1Aを顔面の形状に適合するように調整したときに、
図6及び
図7に示すように、使用者200A及び200Bの顔のフェイスライン(頬から顎にかけての線)に沿った形状になり、かつ、側方生え際210に接しないように、額対応部10A及び顔面下方対応部12Aの形状は形成されている。側方生え際210に接することがないから、フェイスマスク1Aが側方部の生え際に接して顔面から浮くことや、側方部の生え際に接する部分からはがれてくることなく、効果的に化粧用組成物による美容を施すことができる。額対応部10Bと顔面下方対応部12Bについても同様である。
【0057】
図16は、従来のフェイスマスク300の側方部切れ込み302Aの近傍部を示す概略図であり、本発明の実施形態ではない。
図16に示す従来例のフェイスマスク300においては、側方部切れ込み302Aが単純な直線状である。端点Py1を中心に顔面下方対応部312Aを回動させて額対応部310Aと重複させようとすると、端点Py2とPy1を結ぶ直線上から下方部分全体のフェイスマスクを上方に引きずりあげる必要があり、大きく引きずりあげる力が加わる。その引きずり上げる力が、端点Py1を越えて、中心方向の領域Q1にも伝わる結果、領域Q1も斜め上方に引っ張られ、領域Q1に皺ができる。さらに、顔面下方対応部312Aを引きずりあげる力が、顔面の凹凸が多く比較的密着度の低い口部開口や鼻の下に接している部分に伝わると、それらの部分も領域Q1方向に引っ張られ、領域Q1の皺を修正するとともに、ずれた口部開口や鼻の下部分を所定の位置に戻して修正する作業も必要となることがある。顔面下方対応部312Aを把持して、小さい力で端点Py1を中心に少しずつ持ち上げたとしても、はやり端点Py1に小山のような皺ができてしまう。
【0058】
これに対して、フェイスマスク1Aにおいては、
図15に示すように、側方部切れ込み16Aは、第一部分16A1と第二部分16A2を有するから(
図1参照)、額対応部10Aと顔面下方対応部12Aとを重ねるとき、端点Px1を中心として回動させることができる。フェイスマスク1Aにおいては、側方部切れ込み16Aが、端点Px1を中心として回動し、フェイスライン近傍領域12Ab(
図6参照)が中心方向に向かって斜め上方に向かって引きずりあげられる力が、第二部分16A2によって断ち切られ、中心方向に及ぶことはない。すなわち、フェイスライン近傍領域12Abの動きが中心方向の部分に影響を及ぼすことはないから、中心方向の部分に皺が生じることはない。
【0059】
また、側方部切れ込み16Aが、第一部分16A1と第二部分16A2を有することにより、
図15に示すように、領域S1と領域S2において、額対応部10Aと顔面下方対応部12Aとが重複する角度が異なる。領域S1においては、額対応部10A側の第一部分16Au1に対して、顔面下方対応部12A側の第一部分16Ad1は、水平方向(時計の短針の方向で言うと9時の方向)の角度から上方へ立ち上がるように位置を変えながら重複する。他方、領域S2においては、額対応部10A側の第二部分16Au2に対して、顔面下方対応部12A側の第二部分16Ad2は、中心方向へ向かって斜め下方の角度から上方へ立ち上がるように位置を変えながら重複する。
【0060】
人の顔の凹凸は一方の方向へ向かう凹凸ではなく、複数方向へ向かう凹凸であるから、額対応部10Aと顔面下方対応部12Aとが重複する角度が異なるように構成することで、フェイスマスク1Aは、より容易に使用者の顔の形状に追従して変形する。このとき、側方部切れ込み16Aは、端点Px1を中心として回動するから、第一部分16A1と第二部分16A2との交点Px2は、フェイスマスク1Aの中心方向へ移動する。すなわち、第一部分16A1は、中心方向へ移動しつつ、回動する。このため、顔面下方対応部12の第一部分16Ad1の外側の端点Px3は、
図16に示す従来例よりもフェイスマスク1Aの中心方向へ移動する。これにより、従来例に比べ、平面形状のフェイスマスク1Aに、より丸みを構成することができる。上述の回動によって、顔面下方対応部12Aと額対応部10Aは、使用者の側方部生え際に接することなく、フェイスラインに沿った形状として一体となるように、構成されている。これに対して、
図16の従来例のフェイスマスク300のように、側方部切れ込み302Aが単純な直線状であると、額対応部310Aと顔面下方対応部312Aとが重複する角度が一様であるから、実際の人の顔の凹凸に容易に追従することができず、顔面に密着できない箇所ができ、そこから浮いてくることになる。また、側方部切れ込み302Adは、端点Py1を中心に単純に回動しようとするだけであるから、使用者の側方部生え際に接しないという効果は十分ではない。
【0061】
<第二の実施形態>
図17及び
図18を参照して、第二の実施形態を説明する。第一の実施形態と共通する事項は説明を省略する。
【0062】
図17に示すように、フェイスマスク1Bにおいて、使用者の口に対応する部分に、両端部が略上方へ曲折した直線状の口部切れ込み30が形成されている。口部切れ込み30は、直線部30cと、直線部30cの両端に形成された曲折部30a及び30bから形成されている。曲折部30a及び30bは、略上方へ曲折している。口部が切れ込みになっていることで、鼻の下や口の両側のほうれい線の出る領域に隙間を作らず、フェイスマスク1Bが使用者の顔面に密着する。
【0063】
図18に示すように、フェイスマスク1Bが使用者200Aの顔面に装着されると、口部切れ込み30の上方の部分32が使用者200Aの上唇を、下方の部分34が使用者200Aの下唇を覆って、上下の唇も化粧用組成物によってケアすることができる。また、曲折部30bによって、使用者200Aの唇の両端の側方の部分を笑っているような表情を形成する態様において覆う。また、口部切れ込み30の両端が曲折部30a及び30bになっていることで、直線のみの切れ込みであるよりも、より上唇の形に追従して密着するとともに、フェイスマスク1Bの装着中に、一層無理なく、口を開けたり、口を動かしたりすることができる。
【0064】
<第三の実施形態>
図19乃至
図21を参照して、第三の実施形態を説明する。第一の実施形態と共通する事項は説明を省略する。
【0065】
図19に示すように、フェイスマスク1Cの側方部切れ込み16A及び16Bは曲線状である。第一部分16Aaは、フェイスマスク1Cの外側から中心方向へ向かって、斜めやや上方へ向かう曲線である。第二部分16Abは、フェイスマスク1Cの中心方向へ向かって、斜めやや下方へ向かう曲線である。側方部切れ込み16Bは、中心軸Z1(
図3参照)に対して、側方部切れ込み16Aと線対称に形成されている。
【0066】
フェイスマスク1Cは、使用者の顎に接する顎部14を有する。顎部14は、使用者200Aの顎に接している。顎部14は、基板シート2において、下方へ大きく突出している。顎部14は、切れ込み20A及び20Bによって基板シート2の本体部と画されており、使用者の顎の形状に容易に追従するようになっている。
【0067】
図20に示すように、フェイスマスク1Cが使用者200Aの顔に装着されると、曲線状の側方部切れ込み16A及び16Bによって、使用者200Aまたは200Bの顔の形状に容易に追従する。また、
図20及び
図21に示すように、顎部14は使用者200Aまたは200Bの顎230に接するが、首240には接しない。
【0068】
<第四の実施形態>
図22乃至
図24を参照して、第四の実施形態を説明する。第三の実施形態と共通する事項は説明を省略する。
【0069】
図22及び
図24に示すように、フェイスマスク1Dの中心部切れ込み102Abは、根本部切れ込み102Aaの途中部分に始点を有する。また、中心部切れ込み102Bbは、根本部切れ込み102Baの途中部分に始点を有する。
【0070】
図24に示すように、フェイスマスク1Dが使用者200Aの顔に装着されると、鼻部6の側部6aは、仮想線L4Aにおいて容易に折れ曲がり、使用者200Aの鼻の形状に容易に追従する。
【0071】
<第五の実施形態>
図25乃至
図27を参照して、第五の実施形態を説明する。第一の実施形態と共通する事項は説明を省略する。
【0072】
フェイスマスク1Aには、使用者の瞼に接する部分50A及び50B(
図25参照)、使用者の口周辺に接する部分52A及び52B(
図26参照)、使用者の顔面周辺領域(フェイスライン)に接する部分54A及び54B(
図27参照)のうち、少なくとも一つの部分の表面側に、美容効果を増進する美容増進物質を含む顔料で模様が印刷されている。美容増進物質は、血流促進やリラックス効果を有する物質であり、例えば、ガーネット末である。模様が印刷される部分は、使用者の顔において、特に美容が必要とされる部分である。
図25乃至
図27の部分に限定されず、こめかみ筋、くまや皺が気になる目元、ほうれい線が生じやすい部分、皺が気になる口元、たるみが気になる頬部、額などに模様を印刷してもよい。なお、本実施形態とは異なり、美容効果を増進する美容増進物質を含む染料で模様を印刷してもよい。
【0073】
なお、本発明のフェイスマスクは、上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。