(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飛行体の誘導方法、誘導装置、及び誘導システムは、以下のような構成を備える。
[項目1]
複数の支柱と、当該支柱を架線するケーブルとを利用する、飛行体の誘導方法であって、
誘導装置が:ルートリクエストを受け取るステップ;前記支柱の位置に対応する支柱ノード情報を読み出すステップ;前記ルートリクエスト及び前記支柱ノード情報に基づいて少なくとも始点支柱ノードと終点支柱ノードとを特定してルートを生成するステップ;生成した前記ルートを飛行体に送信するステップと、
前記飛行体が、前記ルートに従って飛行するステップと、を含む
飛行体の誘導方法。
[項目2]
請求項1に記載の飛行体の誘導方法であって、
前記飛行体は、前記ケーブルに沿って飛行する、
飛行体の誘導方法。
[項目3]
請求項2に記載の飛行体の誘導方法であって、
前記飛行体は、前記ケーブルから所定距離を維持しながら飛行する、
飛行体の誘導方法。
[項目4]
請求項3に記載の飛行体の誘導方法であって、
前記飛行体は、前記ケーブルの少なくとも電界又は磁界が所定の条件であることを検出し、前記ケーブルとの距離を測定する、
飛行体の誘導方法。
[項目5]
請求項4に記載の飛行体の誘導方法で会って、
前記飛行体は、少なくとも前記ケーブル内を流れる電圧又は電流の値に関する情報を受信するとともに、当該情報に基づいて前記測定の結果を補正する、
飛行体の誘導方法。
[項目6]
請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の飛行体の誘導方法であって、
前記支柱ノード情報は、実空間の支柱の位置に関するX座標、Y座標及びZ座標を含んでおり、
生成される前記ルートは、少なくとも前記Z座標よりも高い位置に生成される、
飛行体の誘導方法。
[項目7]
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の飛行体の誘導方法であって、
複数の前記飛行体はネットワークを介して互いに通信可能であり、
前記飛行体の夫々は、前記飛行体の位置又は生成された前記ルートを考慮して自己の前記ルートを生成する、
飛行体の誘導方法。
[項目8]
複数の支柱と、当該支柱を架線するケーブルとを利用する、飛行体の誘導装置であって、
ルートリクエストを受け取る手段と、
前記支柱の位置に対応する支柱ノード情報を読み出す手段と、
前記ルートリクエスト及び前記支柱ノード情報に基づいて少なくとも始点支柱ノードと終点支柱ノードとを特定してルートを生成す手段と、
生成した前記ルートを飛行体に送信する手段と、を含む
飛行体の誘導装置。
[項目9]
複数の支柱と、当該支柱を架線するケーブルとを利用する、飛行体の誘導方法であって、
誘導装置が:
ルートリクエストを受け取るステップ;前記支柱の位置に対応する支柱ノード情報を読み出し;
前記ルートリクエスト及び前記支柱ノード情報に基づいて少なくとも始点支柱ノードと終点支柱ノードとを特定してルートを生成し;
生成した前記ルートを飛行体に送信し;
前記飛行体が、前記ルートに従って飛行する、
飛行体の誘導システム。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による飛行体の誘導方法、誘導装置、及び誘導システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<概要>
本発明の実施の形態による飛行体の誘導システは、例えば無人飛行体(後述する)を所定の飛行ルートに従って飛行させるものであり、宅配用途、警備・巡回用途、農業用途、測量用途、調査用途、災害支援用途などあらかじめ飛行ルートを設定し得る用途であれば、どのようなものにも適用可能である。以下においては、主に宅配用途に適用される誘導システムを説明する。
【0012】
図1(a)に示されるように、本実施の形態による誘導システムは、無人飛行体1が電柱20及び当該電柱間に設けられた電線30の上を飛行ルートとして飛行するものである。
図2(b)に示されるように、飛行ルートは、電柱a乃至電柱jをノードとする仮想ネットワークとして表現することができ、ルート生成にあたっては、始点となる電柱(始点ノード)、終点となる電柱(終点ノード)、始点ノードと終点ノードとを経由する電柱(経由ノード)とそれらの間に設けられる電線が考慮される(詳しくは後述する)
【0013】
<構成>
本実施の形態による飛行体の誘導システムは、
図9(a)に示されるように、複数の無人飛行体1と、当該無人飛行体1とネットワークを介して接続される管理サーバ2とを含む所謂クライアントサーバモデルである。
【0015】
本実施の形態における無人飛行体1は、ドローン(Drone)、マルチコプター(Multi Copter)、無人飛行体(Unmanned aerial vehicle:UAV)、RPAS(remote piloted aircraft systems)、又はUAS(Unmanned Aircraft Systems)等と称呼されることがある。
【0016】
以下の説明においては、無人飛行体と呼ぶ。無人飛行体は、電池、複数のモータ、位置検出部、制御部、ドライバ、記憶装置、無線通信装置、電圧センサ、及び電流センサ等を備えている。これらの構成要素は、所定形状のフレームに搭載されている。無人飛行体に搭載される情報処理装置のハードウェア構成については後述する。なお、これらの飛行のための基本構造については、既知の技術を適宜採用可能である。
図2乃至
図4を夫々参照して、無人飛行体1及び管理サーバ20のハードウェア構成について説明する。
【0017】
<無人飛行体1>
図2に示されるように、無人飛行体1は、サーバ1と通信を介して情報処理を実行することにより、情報伝達システムの一部を構成する。
【0018】
無人飛行体1は、情報処理装置として、少なくとも、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、出力部14、測位部16、検知部17等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。当該情報処理装置は、例えばマイクロコンピューター、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されていてもよく、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0019】
プロセッサ10は、情報処理装置の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行に必要な処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ10はCPU及び/又はGPU(Graphical Processing Unit)等であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開されたプログラム等を実行することによって、必要な各情報処理を実施する。
【0020】
メモリ11は、RAMなどの揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11はプロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、情報処理装置の起動時に実行されるBIOS、及び各種設定情報等が格納される。ストレージ12には、アプリケーション・プログラム等が格納される。
【0021】
送受信部13は、情報処理装置をネットワーク4に接続し、LPEAネットワークを介して管理サーバ1と通信を行う。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インタフェースを備えていてもよい。
【0022】
入出力部14は、スイッチ類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。無人飛行体1は自律飛行を行うものであるが、外部から遠隔で手動又は自動で操作されることとしてもよい。本実施の形態による無人飛行体1は、入力機能としてカメラを備えており、静止画・動画の空撮が可能である。また、収集すべき情報に応じて、赤外線サーモカメラ、X線カメラ、高感度カメラ、暗視カメラ等種々のカメラを備えることとしてもよい。
【0023】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0024】
測位部16は、無人飛行体1の位置と高度を少なくとも検出する。本実施の形態による測位部26は、例えばGPS(Global Positioning System)検出器であって、無人飛行体1の現在位置の緯度、経度、及び高度を検出する。
【0025】
検知部17は、無人飛行体1の外部環境を音声、画像、赤外線等種々のセンサによってセンシングするためのものであり、自立飛行の補助機能を司る。
【0026】
本実施の形態による無人飛行体1は、情報処理装置の他に、当該無人飛行体1の移動・飛行のための、電源、回転翼に接続されたモータ、情報処理装置とモータとを中継するドライバを少なくとも更に有している。
【0027】
情報処理装置は、複数のモータを制御して監視ドローンの飛行制御(上昇、下降、水平移動などの制御)や、無人飛行体1に搭載されているジャイロ(図示せず)を使用して複数のモータを制御することによって姿勢制御をも行う。
【0028】
ドライバは、情報処理装置からの制御信号に従ってモータを駆動する。例えば、モータは直流モータであり、ドライバは制御信号により指定された電圧をモータに印加する可変電圧電源回路である。なお、無人飛行体100は図示しない他の要素を有していてもよい。
【0029】
<管理サーバ2>
図2に示されるように、管理サーバ2は、情報伝達システムを通じてサービスを提供するための情報処理装置であり、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0030】
図2に示されるように、サーバ2は、プロセッサ20、メモリ21、ストレージ22、送受信部23、及び入出力部24等を備え、これらはバス25を通じて相互に電気的に接続される。
【0031】
プロセッサ20は、サーバ2全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ20はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ22に格納されメモリ21に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0032】
メモリ21は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ21は、プロセッサ20のワークエリア等として使用され、また、サーバ2の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0033】
ストレージ22は、アプリケーション・プログラム、及び各無人飛行体1の認証プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベース(後述するロケーションデータ、ルートデータ等)がストレージ22に構築されていてもよい。
【0034】
<データ>
本実施の形態による管理サーバ2は、各電柱の位置に関する支柱ノード情報DBを有している。支柱ノード情報DBは、
図4に示されるように、各電柱に固有に付与されるノード識別子と位置座標とを少なくとも含んでいる。本実施の形態による位置座標は、緯度、経度及び当該電柱の高さという3つの要素を少なくとも含んでいる。
【0035】
<処理の流れ>
図5を参照して、本実施の形態によるルート生成の方法を説明する。本実施の形態による誘導システムは、EC等を利用してユーザが購入した商品の配送に関するトランザクション(以下「配送トランザクション」と呼ぶ)を担当する。配送トランザクション自体は、例えば、あらかじめ登録されていたユーザの住所情報に基づいて生成される。
【0036】
管理サーバ2が配送トランザクションを開始すると、荷物の出荷元に最も近い電柱(始点ノード)と、配送先(ユーザの住所等)に最も近い電柱を特定する。図示される例では、始点ノードは電柱aであり、終点ノードは電柱jである。管理サーバ2は、電柱aと電柱jを結ぶ最短経路を計算する。この際、他の無人飛行体1の位置やルートを考慮し、衝突回避が可能なルートを生成する。
【0037】
なお、衝突回避は無人飛行体1同士に行わせることとしてもよい。例えば、一方の無人飛行体の高さと他方の無人飛行体の高さとを変更して、衝突を回避することとしてもよい。
【0038】
図5に戻り、本実施の形態によるルートは、電柱a→電柱b→電柱d→電柱f→電柱h→電柱jの順に進むものである。なお、上述した衝突回避を行うために一部ルートを迂回することとしてもよい。電線から垂直方向(高さ方向)において所定の距離だけ離れた領域を飛行する。
【0039】
図6を参照して、管理サーバ2の処理フローを説明する。本実施の形態において、配送トランザクション(ルートリクエスト)が発生すると(ステップS601)、支柱ノード情報の読込みが行われる(ステップS603)。管理サーバ2は、配送トランザクション及び支柱ノード情報に基づいて、始点ノードと経由ノードと終点ノードとを特定してルートを生成する(ステップS605)。生成したルート情報を無人飛行体1に送信し、当該無人飛行体1の飛行による配送が開始される(ステップS607)。
【0040】
図7を参照して、本実施の形態による誘導システムを用いた配送処理の流れを説明する。図示されるように、配送処理は、管理サーバ2と、無人飛行体1と、ユーザ端末とによって実行される。
【0041】
管理サーバ2は、配送トランザクションが発生すると(SQ701)、ノードDBから支柱ノード情報を読み込み(SQ703)、ルートを生成する(SQ705)。管理サーバ2は、生成したルート情報を無人飛行体に送信する(SQ707)。無人飛行体は受信したルート情報に基づいて飛行を開始する(SQ709)。
【0042】
無人飛行体が目的地に到着すると、管理サーバ2に対して、目的地到着通知が通知される(SQ711)。管理サーバ2は、ユーザ端末に対して到着通知を通知する(SQ713)。ユーザは、到着した荷物の宛先を確認したら各任地の通知を管理サーバ2に対して送信する(SQ715)。管理サーバ2は、当該荷物に関するユーザからの確認通知を受信すると、無人飛行体1に積載されている荷物をアンロックする(SQ717)。アンロックされた荷物はユーザによって受け取ることが可能になる。管理サーバ2は、必要に応じて、当該配送が完了した段階で、配送トランザクションのステータスを更新する(SQ719)。
【0043】
以上の処理によれば、
図8に示されるように無人飛行体1は、荷物の保管場所100(例えば倉庫等)から、荷物Pを積載して生成したルートに従って、電柱20及び電線30の上を飛行し、ユーザの自宅200まで荷物Pを配送してユーザに届けることが可能となる。
【0044】
上述した実施の形態は、
図9(a)に示されるように、当該無人飛行体1とネットワークを介して接続される管理サーバ2とを含む所謂クライアントサーバモデルを利用するものであった。しかしながら、
図9(b)に示されるように、複数の無人飛行体1同士によって構成されるピア・トゥ・ピア(Peer to Peer)方式としてもよい。
【0045】
以上説明した実施の形態は配送用途のものであったが、例えば警備等の巡回用途に適用することとしてもよい。この場合、管理サーバ2は、ユーザにより指定された巡回ルート及び支柱ノード情報基づいて、巡回ルートを生成すればよい。また、巡回が完了した際には、巡回が完了した内をユーザに送信して当該ユーザから承認を受けてから、巡回のトランザクションを終了することとしてもよい。
【0046】
<電線との距離測定>
本実施の形態においては、飛行体1は、電線30に沿って飛行する。この際、
図10に示されるように、電線30から所定の範囲L内を飛行する。これにより、飛行体1は、電線30から所定距離を維持しつつ電線30に沿って飛行する。
【0047】
なお、図(a)に示されるように、同じ高さの電線30、30’が2本ある場合には、当該2本の電線30双方から所定範囲L、L’の領域のいずれかに入っていればよい。
【0048】
また、
図10(a)及び(b)に示されるように、飛行体1は、電柱20と衝突することを防止するために、電線30の上側の領域(
図10(a))又は、横の領域(
図10(b))のいずれかを飛行することが好ましい。かかる電線30との位置関係の検出は、超音波センサや、高さ情報を含む位置情報、ビジョンセンサなどを組み合わせてもよい。
【0049】
このように、電線30と飛行体1との距離を維持する方法として、例えば、
図11に示されるように、電線30に発生する電界や磁界の情報を飛行体1によって検出することにより行ってもよい。
【0050】
公共インフラとしての電線の場合、送電時の電圧は一定であることから、電流の大きさにかかわらず、電界の強度に基づいて距離を算出することが可能である。(
図11(a))。一方、送電時の電流の大きさは電力需給量によって異なる場合があるため、予め送電電流量がわかっている場合には磁界の強度に基づいて距離を算出することが可能である(
図11(b))。
【0051】
なお、予め飛行ルートに含まれる送電線の電流量、電圧量の情報を得ておき、距離計測の結果を適宜補正することによって、より正確な距離を測定することとしてもよい。
【0052】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【解決手段】本発明による飛行体の誘導方法は、複数の支柱と、当該支柱を架線するケーブルとを利用する、飛行体の誘導方法である。誘導装置は:ルートリクエストを受け取るステップ;支柱の位置に対応する支柱ノード情報を読み出すステップ;ルートリクエスト及び支柱ノード情報に基づいて少なくとも始点支柱ノードと終点支柱ノードとを特定してルートを生成するステップ;生成したルートを飛行体に送信するステップと、を実行する。飛行体は、ルートに従って飛行するステップと、をを実行する。