特許第6601863号(P6601863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気通信システム株式会社の特許一覧

特許6601863無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム
<>
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000002
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000003
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000004
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000005
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000006
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000007
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000008
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000009
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000010
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000011
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000012
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000013
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000014
  • 特許6601863-無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6601863
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/06 20090101AFI20191028BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20191028BHJP
   H04W 74/08 20090101ALI20191028BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20191028BHJP
【FI】
   H04W24/06
   H04L1/00 A
   H04W74/08
   H04W28/04
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-59544(P2015-59544)
(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公開番号】特開2016-181742(P2016-181742A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2018年2月6日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)、 研究課題名「電波資源有効利用のための包絡線検波を用いたフレーム衝突検出と衝突抑制制御技術の研究開発(135003007)」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】松本 晃
(72)【発明者】
【氏名】邵 鵬
(72)【発明者】
【氏名】馬場 友貴
【審査官】 大濱 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−244463(JP,A)
【文献】 特開2006−246027(JP,A)
【文献】 特開平10−224313(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/090618(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信するデータを複数に分割するパケット分割部と、
前記パケット分割部が分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号を付与して1つの無線フレーム信号を生成し、当該生成した無線フレーム信号を送信する無線フレーム信号送信部と、を有する
送信装置と、
前記送信装置が送信した無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から前記複数の分割データを取り出す無線フレーム信号受信部と、
前記無線フレーム信号の取り出し結果に基づいて所定の衝突状況を検出する衝突検出部と、を有する
受信装置と、を有し、
前記受信装置の前記無線フレーム信号受信部は、前記複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、前記複数の分割データをそれぞれ取り出し、
前記受信装置の前記衝突検出部は、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて、取り出しに失敗した分割データの位置に応じた前記衝突状況を検出し、
前記衝突検出部は、前記複数の分割データのうち先端に位置する分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端に位置する分割データの取り出しに成功した場合、前記送信装置による無線フレーム信号の送信開始時点から発生した旨の前記衝突状況を検出する
無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムであって、
前記無線フレーム信号受信部は、受信した無線フレーム信号の強度を測定するよう構成され、
前記衝突検出部は、前記取り出しに失敗した分割データの位置と、前記受信した無線フレーム信号の強度と、に基づいて前記衝突状況を検出する
無線通信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の無線通信システムであって、
前記衝突検出部は、前記複数の分割データのうち先端に位置する分割データの取り出しに成功し、かつ、先端以外のいずれかの位置の分割データの取り出しに失敗した場合、前記送信装置による無線フレーム信号の送信途中から発生した旨の前記衝突状況を検出する
無線通信システム。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記パケット分割部は、前記複数の分割データのうち先端に位置する分割データのバイト数が当該分割データより後方に位置する分割データのバイト数よりも短くなるように前記送信するデータを分割する
無線通信システム。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記パケット分割部は、予め定められたパラメータに基づいて、前記送信するデータを等間隔に分割する
無線通信システム。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記受信装置は、前記衝突検出部が前記衝突状況を検出した旨を前記送信装置に通知する通知手段を有し、
前記送信装置は、前記受信装置から前記通知を受信した場合、衝突が発生した位置の分割データを冗長化して送信する
無線通信システム。
【請求項7】
分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号が付与されて生成された無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から前記複数の分割データを取り出す無線フレーム信号受信部と、
前記無線フレーム信号の取り出し結果に基づいて所定の衝突状況を検出する衝突検出部と、を有し、
前記無線フレーム信号受信部は、前記複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、前記複数の分割データをそれぞれ取り出し、
前記衝突検出部は、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて、取り出しに失敗した分割データの位置に応じた前記衝突状況を検出し、
前記衝突検出部は、前記複数の分割データのうち先端に位置する分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端に位置する分割データの取り出しに成功した場合、送信装置による無線フレーム信号の送信開始時点から発生した旨の前記衝突状況を検出する
無線通信端末。
【請求項8】
分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号が付与されて生成された無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から、前記複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、前記複数の分割データをそれぞれ取り出し、
誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて、取り出しに失敗した分割データの位置に応じた衝突状況を検出し、
前記複数の分割データのうち先端に位置する分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端に位置する分割データの取り出しに成功した場合、送信装置による無線フレーム信号の送信開始時点から発生した旨の前記衝突状況を検出する
衝突検出方法。
【請求項9】
無線通信端末に、
分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号が付与されて生成された無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から前記複数の分割データを取り出す無線フレーム信号受信手段と、
前記無線フレーム信号の取り出し結果に基づいて所定の衝突状況を検出する衝突検出手段と、を実現させ、
前記無線フレーム信号受信手段は、前記複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、前記複数の分割データをそれぞれ取り出し、
前記衝突検出手段は、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて、取り出しに失敗した分割データの位置に応じた前記衝突状況を検出し、
前記衝突検出部は、前記複数の分割データのうち先端に位置する分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端に位置する分割データの取り出しに成功した場合、送信装置による無線フレーム信号の送信開始時点から発生した旨の前記衝突状況を検出する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームの衝突を検出する無線通信システム、無線通信端末、衝突検出方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LANの普及に伴い、限られた周波数資源での通信量が増加し、互いの通信が干渉するおそれが増している。
【0003】
干渉を抑制するため、無線LAN規格の一つであるIEEE802.11では、衝突回避機能付きキャリア感知多重アクセス(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance:CSMA/CA)のアクセス制御方式が使用されている。このアクセス制御方式では、端末が送信前に必ずチャネルをキャリアセンシングし、チャネルが利用されていないことを確認してから送信を開始する。
【0004】
しかしながら、CSMA/CA方式では、例えば、ランダムな待ち時間が一致してしまい同時に送信してしまう場合や隠れ端末問題のようにキャリアセンスに失敗する場合などがあり、通信の干渉を完全に回避することが難しかった。そこで、他の通信との干渉を抑制するための技術が様々用いられている。
【0005】
このような、他の通信との干渉を抑制し、データ伝送効率を向上させるための技術として、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1には、複数のテスト用パケットを無線で送出するデータ送受信部と、テスト用パケットと同じ周波数チャネルで空間電波信号の電力をセンシングし、空間電波信号のサンプルデータを出力する信号センシング部と、サンプルデータを時系列サンプルデータに変換する計算処理部と、時系列サンプルデータに基づいて複数のテスト用パケットと他の通信との干渉によるパケット衝突を検出する衝突検出部と、を有する通信装置が記載されている。特許文献1によると、衝突検出部の検出結果に基づいて、データを送信する際のパラメータの調整が行われることになる。
【0006】
また、通信の干渉を抑制するための技術としては、例えば、特許文献2のようなものがある。特許文献2には、パケットを受信する受信手段と、受信手段により受信されたパケットがどのスロットで受信されたかを検出するパケット検出手段と、パケット検出手段により検出された結果に基づいて、スロット毎にパケットの受信が成功したか失敗したかを示すフレーム情報を生成するフレーム情報生成手段と、フレーム情報に基づいてパケットを送信するスロットを選択する送信スロット選択手段と、を有する通信装置が記載されている。特許文献2によると、送信するスロット選択手段は、自身の送信スロットについて、複数フレームに渡って連続して失敗した場合に送信スロットを変更することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−005097号公報
【特許文献2】特開2007−028550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、パケットの衝突を判定する際に、空間電波信号の電力をセンシングし、センシングした空間電波信号のサンプルデータを時系列サンプルデータに変換し、その時系列データに基づいて、他の通信との干渉によるパケット衝突を判定する、という比較的複雑な処理が必要になる。
【0009】
また、特許文献2に記載されている技術は、TDMA(Time Division Multiple Access)方式を用いた技術である。そのため、CSMA/CA方式では利用することが出来ず、また、スロットに区切り時間軸の同期をとることが必要になるなど、様々な処理を行うことが必要になることになる。
【0010】
このように、例えばCSMA/CA方式を用いて通信を行う際などにおいて、無線フレーム信号の衝突を検出しようとすると、その処理が複雑になる、という問題が生じていた。
【0011】
そこで、本発明の目的は、無線フレーム信号の衝突を検出しようとするとその処理が複雑になる、という問題を解決する無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するため本発明の一形態である無線通信システムは、
送信するデータを複数に分割するパケット分割部と、
前記パケット分割部が分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号を付与して1つの無線フレーム信号を生成し、当該生成した無線フレーム信号を送信する無線フレーム信号送信部と、を有する
送信装置と、
前記送信装置が送信した無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から前記複数の分割データを取り出す無線フレーム信号受信部と、
前記無線フレーム信号の取り出し結果に基づいて衝突を検出する衝突検出部と、を有する
受信装置と、を有し、
前記受信装置の前記無線フレーム信号受信部は、前記複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、前記複数の分割データをそれぞれ取り出し、
前記受信装置の前記衝突検出部は、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する
という構成を採る。
【0013】
また、本発明の他の形態である無線通信端末は、
分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号が付与されて生成された無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から前記複数の分割データを取り出す無線フレーム信号受信部と、
前記無線フレーム信号の取り出し結果に基づいて衝突を検出する衝突検出部と、を有し、
前記無線フレーム信号受信部は、前記複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、前記複数の分割データをそれぞれ取り出し、
前記衝突検出部は、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する
という構成を採る。
【0014】
また、本発明の他の形態である衝突検出方法は、
分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号が付与されて生成された無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から、前記複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、前記複数の分割データをそれぞれ取り出し、
誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する
という構成を採る。
【0015】
また、本発明の他の形態であるプログラムは、
無線通信端末に、
分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号が付与されて生成された無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から前記複数の分割データを取り出す無線フレーム信号受信手段と、
前記無線フレーム信号の取り出し結果に基づいて衝突を検出する衝突検出手段と、を実現させ、
前記無線フレーム信号受信手段は、前記複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、前記複数の分割データをそれぞれ取り出し、
前記衝突検出手段は、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する
プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上のように構成されることにより、衝突を検出しようとするとその処理が複雑になる、という問題を解決する無線通信システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る通信装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る無線通信部がパケットに基づいてフレームを生成する際の流れを示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る無線通信部がフレームアグリゲーションを行う際の流れを示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るパケット分割・結合部がパケットを分割する際の一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るパケット分割・結合部がパケットを分割する際の他の一例を示す図である。
図6】先端部分を短く分割した場合のフレームアグリゲーションの流れを示す図である。
図7】先端部分を短く分割した場合にパケットを取り出す際の流れを示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る通信装置が無線フレーム信号を送信する際の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の第1の実施形態に係る通信装置が衝突を検出する際の動作の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の第1の実施形態に係る通信装置が衝突を検出する際の他の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】パケット分割・結合部がパケットを分割する際の他の一例を示す図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る通信装置の構成を示すブロック図である。
図13】本発明の第3の実施形態に係る無線通信システムの構成を示す概略ブロック図である。
図14】本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、通信装置1の構成を示すブロック図である。図2は、無線通信部12がパケットに基づいてフレームを生成する際の処理を示す図である。図3は、無線通信部12がフレームアグリゲーションを行う際の処理を示す図である。図4は、パケット分割・結合部14がパケットを分割する際の一例を示す図である。図5は、パケット分割・結合部14がパケットを分割する際の他の一例を示す図である。図6は、先端部分を短く分割した場合のフレームアグリゲーションの流れを示す図である。図7は、先端部分を短く分割した場合にパケットを取り出す際の流れを示す図である。図8は、通信装置1が無線フレーム信号を送信する際の動作の一例を示すフローチャートである。図9は、通信装置1が衝突を検出する際の動作の一例を示すフローチャートである。図10は、通信装置1が衝突を検出する際の他の動作の一例を示すフローチャートである。図11は、パケット分割・結合部14がパケットを分割する際の他の一例を示す図である。
【0019】
本発明の第1の実施形態では、無線フレーム信号の衝突を検出する通信装置1(送信装置、受信装置、無線通信端末)について説明する。本実施形態における通信装置1は、送りたいデータを複数に分割して、分割したそれぞれの分割データにFCS(Frame Check Seaquence)を付与した上で、無線フレーム信号を生成して送信する。また、通信装置1は、受信した無線フレーム信号から複数の分割データを取り出す際に、FCSをチェックすることで分割データの取り出しに成功したか否かをそれぞれ判定する。そして、通信装置1は、分割データの取り出しに成功したか否かと、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する。
【0020】
図1を参照すると、本実施形態における通信装置1は、アンテナ11と、無線通信部12(無線フレーム信号送信部、無線フレーム信号受信部)と、衝突検出部13と、パケット分割・結合部14(パケット分割部)と、パケット分割・結合方法決定部15と、記憶部16と、を有している。
【0021】
なお、上記各部の機能は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置により実現可能である。つまり、CPUを上記各部として機能させるプログラムを記録した半導体メモリ、ディスク、その他記録媒体を用意し、CPUに上記プログラムを読み取らせることで、CPUは読み取ったプログラムに従って自身の動作を制御し、自CPU上に上記各部を実現することになる。
【0022】
アンテナ11は、無線通信部12と接続されている。本実施形態における通信装置1は、アンテナ11を介して他の通信装置と無線フレーム信号の送受信などを行う。
【0023】
なお、本実施形態においては、通信装置1が1本のアンテナ11を有している場合について説明する。しかしながら、通信装置1が有するアンテナ11の数は、1本に限定されない。通信装置1は、2本以上のアンテナ11を有するよう構成することが出来る。また、その際に、通信装置1は、ダイバシティー技術などを用いるように構成しても構わない。
【0024】
無線通信部12は、IEEE802.11に準拠した方式を用いて、送りたいデータ(パケット)を電波の信号(フレーム、無線フレーム信号)に変換して、アンテナ11を介して送信する。また、無線通信部12は、アンテナ11から受信した信号(フレーム、無線フレーム信号)をデータ(パケット)として変換して受け取る。このように、通信装置1は、無線通信部12を使用して他の通信装置とデータを交換する。
【0025】
図2は、無線通信部12がパケットをフレームに変換する際の流れの一例を示している。図2を参照すると、無線通信部12は、送信したいデータパケット(例えば、通信装置1内の上位層から受け取ったデータ)の前にMAC(Media Access Control)ヘッダを付けるとともに、当該データパケットの後ろにFCS(誤り検出符号:無線フレームに誤りがないか調べるために付加されるデータ)を付ける。そして、無線通信部12は、変調などを行いながらPHY(Physical)ヘッダを付けて無線フレーム信号に変換する。
【0026】
また、本実施形態における無線通信部12は、複数のパケットを1つにして送信するフレームアグリゲーションを行う。具体的には、本実施形態における無線通信部12は、A−MPDU(Aggregation MAC Protocol Data Unit)アグリゲーションを行う。A−MPDUアグリゲーションは、MACヘッダとデータとFCSとを有するMACフレームを複数集約して一つの無線フレーム信号を生成する技術である。
【0027】
例えば、図3を参照すると、無線通信部12は、集約の対象となるデータ(図3の場合は3つ。3つ以外でも構わない)のそれぞれにMACヘッダとFCSとを付ける。その後、無線通信部12は、上記MACヘッダとFCSとを付けたフレームの前にフレームの区切りを示すためのヘッダ(デリミタ)を付けるとともに、当該フレームの後ろに長さを揃えるパディングデータを必要に応じて付ける。そして、無線通信部12は、上記各フレームを1つのフレームとしてまとめるとともに、変調などを行いながらPHY(Physical)ヘッダを付けて無線フレーム信号に変換する。
【0028】
このようにして、無線通信部12は、パケットを無線フレーム信号に変換する。また、無線通信部12は、複数のパケットを集約して1つの無線フレーム信号に変換する。そして、無線通信部12は、変換した無線フレーム信号を送信する。
【0029】
なお、無線通信部12は、無線フレーム信号を受信した際などに、受信した信号の強度を示す受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を測定するように構成しても構わない。また、無線通信部12は、送達確認を要求するフレームであるBlock Ack Reqフレームを受信した際などに、送達を確認した旨を示すBlock Ackフレームを送信するよう構成することが出来る。
【0030】
衝突検出部13は、受信したパケットから無線フレーム衝突の有無やどのような衝突が発生したのかを判断する。後述するように、本実施形態における衝突検出部13は、パケットの取り出しの成否や取り出しに失敗したパケットの位置に応じて、無線フレーム衝突の有無やどのような衝突が発生したのかを判断することになる。
【0031】
また、衝突検出部13は、例えば、無線通信部12がRSSIを測定するように構成されている場合に、測定されたRSSIを加味して衝突の有無やどのような衝突が発生したのかを判断することが出来る。
【0032】
なお、衝突検出部13は、衝突の検出を行うか否かを判断し、必要に応じて衝突の検出を行うように構成しても構わない。また、衝突検出部13は、無線フレーム信号に基づいて生成される各パケットの分割のされ方(例えば、各パケットのパケット長の関係)などに応じて、衝突の有無などを判断する際に行う処理の仕方を変えるように構成することが出来る。なお、衝突検出部13が無線フレーム衝突の有無などを判断する際の具体的な処理については、後述する。
【0033】
パケット分割・結合部14は、パケット分割・結合方法決定部15からの指示に従って、パケットを2つ以上に分割して無線通信部12に送信する。また、パケット分割・結合部14は、無線通信部12から受け取った分割されたデータフレーム(分割データ)を結合して1つないしそれ以上のデータとして復元する。
【0034】
例えば、パケット分割・結合部14は、後述する記憶部16が記憶する分割開始バイト数Xを使用して、パケットの前方(例えば先端)に位置する分割データのバイト数が、当該分割データよりも後方に位置する分割データのバイト数よりも短くなるようにパケットを分割する。具体的には、例えば、図4で示すように、パケット分割・結合部14は、Nバイト(Nは任意の数)のデータをXバイトのデータ1(分割データ)と、N−Xバイトのデータ2(分割データ)と、の2つの分割データに分割する。ただしX<N−Xであるとする。
【0035】
なお、XバイトはX<Nかつ十分小さな数かつデータに対するパディングが不要であるバイト数であることが望ましい。より好ましくは、Xバイトは、データに対するパディングが不要な最低バイト数であることが望ましい。
【0036】
このようにXバイトを設定することで、時間軸方向に短い時間で衝突を検出することが可能となる。つまり、CSMA/CAを使用する通信方式では、キャリアセンシングにて送信可能と判断された場合、お互いの送信が衝突しないようにランダム時間待った後に送信する。そのため、偶然ランダム時間が一致してしまった場合に、同時に通信してしまう場合があることになる。この場合、パケットの先頭部分が重なり合う形で衝突が発生することになる。そこで、当該先頭部分のパケットのサイズを小さくしておくことで、この同時に通信してしまう場合の衝突検出を時間軸方向に短い時間で検出することが出来ることになる。また、データに付与するパディングは意味の無いデータである。そのため、パディングが不要であるバイト数だけ本来送りたいデータを使うことで、通信の無駄を減らすことが出来ることになる。
【0037】
また、例えば、パケット分割・結合部14は、後述する記憶部16が記憶する分割バイト数Yを使用して、パケットを等間隔(等しいパケット長)に分割する。具体的には、例えば、図5で示すように、パケット分割・結合部14は、NバイトのデータをYバイトでm個に分割する。なお、NバイトがYバイトで割り切れない場合は、最後のデータmだけN/Yの余りバイトになることになる。
【0038】
このように等間隔に分割することで、衝突を検出した状況などに基づいて、分割バイト数Yを調整することが可能となる。例えば、分割バイト数Yによってパケットが10個に分割され、衝突を検出した結果、パケットの中間で常に4つ連続して衝突しているような状況を想定する。この場合、分割バイト数Yを2倍にしてパケットが5つに分割されるようにすると、2つ連続して衝突が発生することになる。このように、衝突の状況に応じてバイト数Yを調整することで、衝突を検出する際の分割数を少なくすることが出来る。その結果、本来送信したいデータとは別の分割のために必要なデータ(デリミタなど)を減らすことが出来る。また、上記とは逆に、衝突を検出した結果常に一つのパケットの衝突が検出される状況を想定する。この場合、例えばバイト数Yを1/2倍にしてパケットを細かく分割することで、時間軸に対してより高速かつ高精度に衝突の状況を検出することが出来る。また、衝突が発生しているフレームを再送する場合に、再送するフレームを短くすることが出来る。
【0039】
このように、分割バイト数Yは、発生している衝突の状況などに応じて調整され得る。例えば、分割バイト数Yは、複数のフレームの中から最も多く衝突するパケット長(最も多く衝突が検出される分割データのバイト数)に合わせて調整され得る。また、分割バイト数Yは、例えば、複数のフレームの最小公倍数や最小の干渉フレーム(衝突が検出されるうち最も小さなバイト数)などに合わせて調整されても構わない。
【0040】
なお、パケット分割・結合部14は、分割開始バイト数Xを使用して、パケットを3つ以上に分割するよう構成しても構わない。ただし、パケットを分割すると、分割しない場合と比較して、デリミタやパディングなどの本来送信したいデータとは別のデータが付け加えられることになる。そのため、分割数は少ない方が望ましい場合があるものと考えられる。また、パケット分割・結合部14は、パケットの後方(例えば後端)に位置する分割データのバイト数が、当該分割データよりも前方に位置する分割データのバイト数よりも短くなるようにパケットを分割しても構わない。
【0041】
また、パケット分割・結合部14は、分割バイト数Yの代わりに分割数Zを用いて分割するよう構成しても構わない。この場合、例えば分割数Z=10のとき、パケット分割・結合部14は、Nバイトのパケットを10個に分割することになる。
【0042】
また、本実施形態においては、通信装置1が無線通信部12とパケット分割・結合部14とを有するとした。しかしながら、パケット分割・結合部14は、無線通信部12の中に実現されても構わない。
【0043】
パケット分割・結合方法決定部15は、パケット分割・結合部14がデータをどのように分割又は結合するかについて決定する。パケット分割・結合方法決定部15は、例えば、記憶部16が記憶する分割開始バイト数Xを使用してデータを分割することを決定する。また、パケット分割・結合方法決定部15は、例えば、記憶部16が記憶する分割バイト数Yを使用してデータを等間隔に分割することを決定する。
【0044】
また、パケット分割・結合方法決定部15は、衝突検出部13が検出した衝突の有無や衝突の状況などに応じて、記憶部16が記憶する分割開始バイト数Xや分割バイト数Yなどを調整するよう構成することが出来る。
【0045】
なお、本発明においては、パケット分割・結合方法決定部15が分割方法などを決定する際に用いる方法は、特に限定されない。パケット分割・結合方法決定部15は、任意の方法を用いて、データをどのように分割するかを決定することが出来る。
【0046】
記憶部16は、半導体メモリなどにより構成されている。
【0047】
記憶部16には、パケット分割・結合部14やパケット分割・統合方法決定部15が用いる分割開始バイト数Xや分割バイト数Y、分割数Zなどを記憶することが出来る。また、記憶部16には、通信装置1が衝突の判定を行うか否かを判断する際に用いる判断基準や、衝突検出部13がRSSIを加味して衝突を検出する際に用いる受信信号強度閾値(例えば、過去に取り出しに成功した際の受信信号強度に応じた値。受信信号の伝送レートに応じて複数の閾値を記憶することも出来る)などを記憶することが出来る。
【0048】
なお、記憶部16は、上記全ての情報を記憶していなくても構わない。記憶部16は、衝突検出部13やパケット分割・結合部14が処理を行う際に必要になる情報を、必要に応じて記憶することが出来る。
【0049】
通信装置1は、例えば、上記のような構成を有している。
【0050】
なお、通信装置1は、衝突の検出を行うか否か判断するように構成しても構わない。衝突の検出を行うか否か判断する場合、通信装置1は、例えば記憶部16に記憶されている判断基準に従って、衝突の検出を行う否か判断する。具体的には、例えば、通信装置1は、Beaconフレームに対しては衝突の検出を行わない一方で、データフレームに対しては衝突の検出を行うと判断する。また、例えば、通信装置1は、無線LANフレームの種類ごとに衝突の検出を行うか否か判断したり、常に衝突の検出を行うよう構成したりすることが出来る。
【0051】
また、通信装置1は、衝突の検出を行わないと判断した場合、パケット分割・結合部14によるパケットの分割処理を行わずに、通常通りパケットを無線通信部12にて無線フレーム信号として送信するよう構成することが出来る。
【0052】
次に、通信装置1を用いて行う無線フレーム信号の送信処理と衝突検出の処理についてより詳細に説明する。まず、通信装置1の行う処理の一例として、パケット分割・結合部14がNバイトのデータをXバイトのデータ1とN−Xバイトのデータ2とに分割して無線フレーム信号を送信する際の処理の一例について詳細に説明する。
【0053】
この場合、図6で示すように、パケット分割・結合部14は、パケット分割・結合方法決定部15からの指示に応じて、NバイトのデータをXバイトのデータ1とN−Xバイトのデータ2に分割する。
【0054】
続いて、無線通信部12は、パケット分割・結合部14が分割したデータ1とデータ2のそれぞれにMACヘッダとFCSとを付ける。その後、無線通信部12は、上記MACヘッダとFCSとを付けたフレームの前にフレームの区切りを示すためのヘッダ(デリミタ)を付けるとともに、当該フレームの後ろに長さを揃えるパディングデータを必要に応じて付ける。そして、無線通信部12は、上記各フレームを1つのフレームとしてまとめるとともに、変調などを行いながらPHY(Physical)ヘッダを付けて無線フレーム信号に変換する。その後、無線通信部12は、変換した無線フレーム信号を送信することになる。
【0055】
このように、通信装置1は、送信するデータをデータ1とデータ2に分割して、分割したそれぞれのデータにFCSを付与した上で、無線フレーム信号を生成して送信する。
【0056】
続いて、上記のようにして送信された無線フレーム信号を受信した通信装置1が衝突を検出する際の処理について説明する。
【0057】
この場合、図7で示すように、無線通信部12は、PHYヘッダなどを参照して復調などを行いながら、無線フレーム信号を受信する。その後、無線通信部12は、デリミタを参照してフレームを分けるとともに、それぞれのフレームからデータ1とデータ2を取り出す。このように、無線通信部12は、IEEE802.11に規定された方法でパケットを取り出す。ここで、衝突が発生していない場合、FCSをチェックしてもデータ1及びデータ2に誤りは検出されないことになる。そのため、無線通信部12は、正常にデータ1及びデータ2を取り出すことが出来る。一方、FCSをチェックした結果誤りが検出された場合などにおいて、無線通信部12は、正常にデータを取り出せないことになる。
【0058】
このようにして、無線通信部12は、受信した無線フレーム信号からデータ1とデータ2を取り出す。また、無線通信部12は、データ1及びデータ2のそれぞれに付与されたFCSを用いることで、データ1及びデータ2を正常に取り出すことが出来るか否かを判断する。
【0059】
衝突検出部13は、無線通信部12がデータ1、データ2を正常に取り出すことが出来たか否かと、取り出しに失敗したデータの位置と、に基づいて、無線フレーム衝突の有無やどのような衝突が発生したのかを判断する。
【0060】
具体的には、衝突検出部13は、データ1とデータ2ともに正常な取り出しに成功した場合、衝突が発生していないと判断する。
【0061】
また、衝突検出部13は、データ1の取り出しに失敗し、かつ、データ2を正常に取り出すことが出来た場合、無線フレーム信号の送信開始時点から発生する衝突を検出する。つまり、衝突検出部13は、先端に位置する分割データの失敗し、かつ、後端に位置する分割データの取り出しに成功した場合に、無線フレーム信号の送信開始時点から発生する衝突を検出する。
【0062】
一方、衝突検出部13は、データ1及びデータ2の取り出しに失敗した場合やデータ1の取り出しに成功したもののデータ2の取り出しに失敗した場合、例えば衝突状況は不明であると判断する。
【0063】
衝突検出部13は、例えば、上記のような処理により衝突検出の処理を行う。
【0064】
なお、上記説明では、パケットをデータ1とデータ2の2つに分割する場合について説明した。しかしながら、上記処理はパケットを2つに分割する場合に限定されず実施可能である。衝突検出部13は、同様の処理を行うことで、パケットを3つ以上に分割して生成された無線フレーム信号を受信した場合であっても衝突を検出することが出来る。
【0065】
また、上記説明では、衝突検出部13は、データ1の取り出しに成功したもののデータ2の取り出しに失敗した場合、衝突状況は不明であると判断するとした。しかしながら、衝突検出部13は、データ1の取り出しに成功し、かつ、データ2の取り出しに失敗した場合、無線フレーム信号の送信途中から発生した衝突を検出するように構成しても構わない。
【0066】
また、衝突検出部13は、衝突を検出する際にRSSIを加味するよう構成することが出来る。例えば、衝突検出部13は、データ1及びデータ2の取り出しに失敗した場合に、RSSIを用いることが出来る。具体的には、例えば、衝突検出部13は、受信したRSSIと記憶部16が記憶する受信信号強度閾値とを比較する。これにより、衝突検出部13は、減衰などにより信号が届かなかったのか、それとも、データ1及びデータ2の両方に渡って衝突が発生していたのか、を見分けることになる。
【0067】
この場合、例えば、衝突検出部13は、RSSIが受信信号強度閾値以上であるときにデータ1及びデータ2の全体で衝突が発生していると判断することになる。一方、衝突検出部13は、RSSIが受信信号強度閾値よりも小さいときに衝突状況は不明である(信号が減衰している)と判断することになる。
【0068】
また、無線通信部12は、衝突検出部13が衝突を検出した場合に、送信側に送達状況を通知するように構成することが出来る。この通知は、例えば、Block Ackフレーム内のBlock Ack Bitmapフィールドを利用して行うことが考えられる。具体的には、例えば、対応するビット位置の値を、取り出しに成功した場合は正常に受信されたことを示す1に設定する。一方、取り出しに失敗した場合はエラーが発生していることを示す0に設定する。無線通信部12は、例えば、上記のように設定されたBlock Ackフレームを用いて、送信側に衝突の検出状況を通知する。
【0069】
また、上記通知を受け取った送信側の通信装置1は、当該通知により、自身が送信した無線フレーム信号の衝突を検出することが出来る。さらに、送信側の通信装置1は、再送パケットを送信することが考えられる。この時に、再送する通信装置1は、前回取り出しに失敗していない位置に再送パケットを挿入するように構成することが出来る。
【0070】
次に、パケット分割・結合部14がNバイトのデータをYバイトでm個に分割して無線フレーム信号を送信する際の処理の一例について詳細に説明する。
【0071】
この場合、パケット分割・結合部14は、パケット分割・結合方法決定部15からの指示に応じて、NバイトのデータをYバイトでm個に分割する。
【0072】
続いて、無線通信部12は、パケット分割・結合部14が分割したm個の分割データのそれぞれにMACヘッダとFCSとを付ける。その後、無線通信部12は、上記MACヘッダとFCSとを付けたフレームの前にフレームの区切りを示すためのヘッダ(デリミタ)を付けるとともに、当該フレームの後ろに長さを揃えるパディングデータを必要に応じて付ける。そして、無線通信部12は、上記各フレームを1つのフレームとしてまとめるとともに、変調などを行いながらPHY(Physical)ヘッダを付けて無線フレーム信号に変換する。その後、無線通信部12は、変換した無線フレーム信号を送信することになる。
【0073】
このように、本実施形態における通信装置1は、分割開始バイト数Xを用いる際と同様の処理により、送信するデータを複数に分割して、分割したそれぞれのデータにFCSを付与した上で、無線フレーム信号を生成して送信する。
【0074】
続いて、上記のようにして送信された無線フレーム信号を受信した通信装置1が衝突を検出する際の処理について説明する。
【0075】
この場合も分割開始バイト数Xを用いる場合と同様に、無線通信部12は、PHYヘッダなどを参照して復調などを行いながら、無線フレーム信号を受信する。その後、無線通信部12は、デリミタを参照してフレームを分けるとともに、フレームからm個の分割データを取り出す。また、この際に、無線通信部12は、FCSをチェックして、各分割データを正常に取り出せるか否かを判断する。
【0076】
衝突検出部13は、m個の分割データそれぞれを正常に取り出すことが出来たか否かと、取り出しに失敗したデータの位置と、に基づいて、無線フレーム衝突の有無やどのような衝突が発生したのかを判断する。
【0077】
具体的には、衝突検出部13は、全ての分割データの取り出しに成功した場合、衝突が発生していないと判断する。
【0078】
また、衝突検出部13は、先端の分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端の分割データの取り出しに成功した場合、無線フレーム信号の送信開始時点から発生する衝突を検出する。
【0079】
また、衝突検出部13は、先端の分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端の分割データの取り出しに失敗した場合、RSSIと受信信号強度閾値との比較を行う。そして、衝突検出部13は、RSSIが受信信号強度閾値以上であるときに全体で衝突が発生していると判断する。一方、衝突検出部13は、RSSIが受信信号強度閾値よりも小さいときに衝突状況は不明である(信号が減衰している)と判断する。
【0080】
また、衝突検出部13は、先端の分割データの取り出しに成功し、かつ、先端以外のいずれかの位置の分割データの取り出しに失敗した場合、無線フレーム信号の送信途中から発生した衝突を検出する。一方、衝突検出部13は、先端の分割データの取り出しに成功し、かつ、途中の分割データに取り出しに失敗したものがない場合、衝突状況は不明であると判断する。
【0081】
衝突検出部13は、例えば、上記のような処理により衝突検出の処理を行う。このような処理により、「無線フレーム信号の送信開始時点から発生する衝突」、「全体で発生する衝突」、「無線フレーム信号の送信途中から発生した衝突」の有無を検出することが出来る。
【0082】
なお、衝突検出部13は、先端の分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端の分割データの取り出しに失敗した場合、RSSIと受信信号強度閾値との比較を行わずに衝突状況不明と判断しても構わない。
【0083】
また、衝突検出部13が衝突を検出した場合、無線通信部12を利用して、送信側に送達状況を通知するように構成しても構わない。また、上記通知を受け取った送信側の通信装置1は、再送パケットを送信することが考えられる。この時に、再送する通信装置1は、前回取り出しに失敗していない位置に再送パケットを挿入するように構成しても構わない。
【0084】
次に、図8乃至図10のフローチャートを参照して、通信装置1の動作について説明する。
【0085】
まず、図8を参照して、通信装置1が無線フレーム信号を送信する際の動作について説明する。
【0086】
図8を参照すると、通信装置1は、衝突判定を行うか否か判断する(ステップS101)。通信装置1は、例えば、Beaconフレームは衝突判定を行わない一方で、データフレームは衝突判定を行うと判断する。
【0087】
そして、衝突判定を行なわないと判断した場合(ステップS101、No)、通信装置1は、通常通りパケットを無線通信部12にて無線フレーム信号に変換して送信する(ステップS104)。
【0088】
一方、衝突判定を行うと判断した場合(ステップS101、Yes)、パケット分割・結合方法決定部15は、データをどのように分割するかについて決定する(ステップS102)。
【0089】
例えば、パケット分割・結合方法決定部15は、記憶部16が記憶する分割開始バイト数Xを使用してデータを分割することを決定する。また、例えば、パケット分割・結合方法決定部15は、記憶部16が記憶する分割バイト数Yを使用してデータを等間隔に分割することを決定する。
【0090】
そして、パケット分割・結合方法決定部15は、決定した方法をパケット分割・結合部14に指示する。
【0091】
続いて、パケット分割・結合部14が、パケット分割・結合方法決定部15の指示に従って、パケットを分割する(ステップS103)。
【0092】
例えば、パケット分割・結合部14は、NバイトのデータをXバイトのデータ1と、N−Xバイトのデータ2と、の2つの分割データに分割する。また、例えば、パケット分割・結合部14は、NバイトのデータをYバイトでm個に分割する。
【0093】
その後、無線通信部12は、フレームアグリゲーションを行って、分割した複数のパケットのそれぞれにFCSを付与しつつ集約して、1つの無線フレーム信号に変換する。そして、無線通信部12は、変換した無線フレーム信号を送信する(ステップS104)。
【0094】
以上が、通信装置1が無線フレーム信号を送信する際の動作である。次に、通信装置1が無線フレーム信号を受信して、無線フレーム信号の送信開始時点から発生する衝突を検出する場合の動作について説明する。この動作は、例えば、パケットの前方(例えば先端)に位置する分割データのバイト数が、当該分割データよりも後方に位置する分割データのバイト数よりも短くなるように分割された無線フレーム信号を受信した場合などに行われる。
【0095】
図9を参照すると、無線通信部12は、アンテナ11を介して受信した無線フレーム信号について、PHYヘッダなどを参照し復調などを行いながら受信する。
【0096】
次に、無線通信部12は、アグリゲーションされているパケットの取り出し処理を行う(ステップS201)。つまり、無線通信部12は、受信した無線フレーム信号から複数の分割データを取り出す処理を行う。
【0097】
続いて、衝突検出部13は、衝突の検出を行うか否か判断する(ステップS202)。
【0098】
そして、衝突検出部13が衝突の検出を行わないと判断した場合(ステップS202、No)、衝突の状況は不明である(ステップS207)として処理は終了する。
【0099】
一方、衝突検出部13が衝突の検出を行うと判断した場合(ステップS202、Yes)、衝突検出部13は、無線フレーム信号に含まれる分割データの取り出しに全て成功したか否か判断する(ステップS203)。
【0100】
そして、衝突検出部13は、分割データの取り出しに全て成功した場合(ステップS203、Yes)、衝突は発生していないと判断(ステップS205)して処理を終了する。
【0101】
一方、衝突検出部13は、取り出しに失敗した分割データがある場合(ステップS203、No)、先端の分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端の分割データの取り出しに成功しているか否か判断する(ステップS204)。
【0102】
そして、衝突検出部13は、先端の分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端の分割データの取り出しに成功している場合(ステップS204、Yes)、無線フレーム信号の送信開始時点から発生する衝突を検出(ステップS206)して処理を終了する。
【0103】
一方、衝突検出部13は、先端の分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端の分割データの取り出しに失敗している場合(ステップS204、No)、衝突状況は不明であると判断(ステップS207)して処理を終了する。
【0104】
以上が、通信装置1が無線フレーム信号を受信して、無線フレーム信号の送信開始時点から発生する衝突を検出する場合の動作の一例である。次に、通信装置1が無線フレーム信号を受信して、「無線フレーム信号の送信開始時点から発生する衝突」、「全体で発生する衝突」、「無線フレーム信号の送信途中から発生した衝突」の有無を検出する場合の動作について説明する。この動作は、例えば、分割データが等間隔で分割された無線フレーム信号を受信した場合などに行われる。
【0105】
図10を参照すると、無線通信部12は、アンテナ11を介して受信した無線フレーム信号について、PHYヘッダなどを参照し復調などを行いながら受信する。
【0106】
次に、無線通信部12は、アグリゲーションされているパケットの取り出し処理を行う(ステップS301)。つまり、無線通信部12は、受信した無線フレーム信号から複数の分割データを取り出す処理を行う。
【0107】
続いて、衝突検出部13は、衝突の検出を行うか否か判断する(ステップS302)。
【0108】
衝突検出部13が衝突の検出を行わないと判断した場合(ステップ3202、No)、衝突の状況は不明である(ステップS312)として処理は終了する。
【0109】
一方、衝突検出部13が衝突の検出を行うと判断した場合(ステップS302、Yes)、衝突検出部13は、無線フレーム信号に含まれる分割データの取り出しに全て成功したか否か判断する(ステップS303)。
【0110】
そして、衝突検出部13は、分割データの取り出しに全て成功した場合(ステップS303、Yes)、衝突は発生していないと判断(ステップS308)して処理を終了する。
【0111】
一方、衝突検出部13は、取り出しに失敗した分割データがある場合(ステップS303、No)、先端の分割データの取り出しに成功したか否か判断する(ステップS304)。
【0112】
そして、先端の分割データの取り出しに成功している場合(ステップS304、Yes)、先端以外のいずれかの位置の分割データの取り出しに失敗したか否か判断する(ステップS305)。そして、先端以外のいずれかの位置の分割データの取り出しに失敗している場合(ステップS305、Yes)、衝突検出部13は、無線フレーム信号の送信途中から発生した衝突を検出(ステップS311)して、処理を終了する。一方、途中の分割データの中で取り出しに失敗したものが無い場合(ステップS305、No)、衝突検出部13は、衝突状況は不明であると判断(ステップS312)して、処理を終了する。
【0113】
また、先端の分割データの取り出しに失敗している場合(ステップS304、No)、衝突検出部13は、後端の分割データの取り出しに成功したか否か判断する(ステップS306)。そして、後端の分割データの取り出しに成功している場合(ステップS306、Yes)、衝突検出部13は、無線フレーム信号の送信開始時点から発生する衝突を検出(ステップS309)して処理を終了する。
【0114】
一方、後端の分割データの取り出しに失敗している場合(ステップS306、No)、衝突検出部13は、RSSIと受信信号強度閾値との比較を行う(ステップS307)。そして、RSSIが受信信号強度閾値以上である場合(ステップS307、Yes)、衝突検出部13は、全体で衝突が発生していると判断(ステップS310)して処理を終了する。一方、RSSIが受信信号強度閾値よりも小さい場合(ステップS307、No)、衝突検出部13は、衝突状況は不明であると判断(ステップS312)して、処理を終了する。
【0115】
以上が、通信装置1が無線フレーム信号を受信して、「無線フレーム信号の送信開始時点から発生する衝突」、「全体で発生する衝突」、「無線フレーム信号の送信途中から発生した衝突」の有無を検出する場合の動作の一例である。
【0116】
このように、本実施形態における通信装置1は、パケット分割・結合部14を有している。また、無線通信部12は、A−MPDUアグリゲーションを行うことが出来るよう構成されている。このような構成により、通信装置1は、送りたいデータを複数に分割して、分割したそれぞれの分割データにFCSを付与した上で、無線フレーム信号を生成して送信することが出来る。その結果、当該無線フレーム信号を受信した通信装置1で、複雑な処理を行うことなく衝突を検出することが可能となる。
【0117】
また、通信装置1は、無線通信部12と、衝突検出部13と、を有している。このような構成により、通信装置1は、受信した無線フレーム信号に基づいて、各分割データに付与されたFCSを用いて各分割データを正常に取り出ことが出来る否かについて判断することが出来る。その結果、衝突検出部13は、無線通信部12が各分割データを正常に取り出すことが出来たか否かと、取り出しに失敗したデータの位置と、に基づいて、無線フレーム衝突の有無やどのような衝突が発生したのかを判断することが出来る。このように、通信装置1は、複雑な処理を行わずに衝突を検出することが出来る。つまり、通信装置1は、上記構成を有することで、複雑な処理を行わずに衝突を検出することが可能となる。
【0118】
なお、パケット分割・結合部14がパケットを分割する際に用いる方法は、上記説明した場合に限定されない。パケット分割・結合部14は、例えば、図11で示すように、記憶部16が記憶する分割バイトX1、Y1を用いてパケットを分割することが出来る。具体的には、例えば、図11で示すように、パケット分割・結合部14は、NバイトのデータをX1バイトのデータ1とN−X1−Y1バイトのデータ2とY1バイトのデータ3との3つの分割データに分割することが出来る。なお、X1バイト及びY1バイトは、X1<N−Y1、Y1<N−X1かつ十分小さな数かつパディングが不要であるバイト数であることが望ましい。
【0119】
また、本実施形態で説明した通信装置1を送信装置と受信装置として用いることで、簡易な方法で衝突を検出可能な無線通信システムを実現可能である。
【0120】
また、本実施形態においては、通信装置1は、分割データの取り出しに成功したか否かと、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出するとした。しかしながら、例えば、通信装置1は、分割データの取り出しに成功したか否かに基づいて衝突を検出するように構成しても構わない。また、通信装置1は、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出するように構成しても構わない。
【0121】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態では、無線フレーム信号の衝突を検出する通信装置2について説明する。本実施形態における通信装置2は、第1の実施形態で説明した通信装置1と同様の処理を行って衝突を検出する。さらに、本実施形態における通信装置2は、後述する冗長パケット生成・除去部21を用いることで、衝突が発生する可能性が高い位置のデータを冗長化して送信することが出来るよう構成されている。
【0122】
図12を参照すると、本実施形態における通信装置2は、第1の実施形態で説明した通信装置1とほぼ同様の構成を有している。つまり、通信装置2は、アンテナ11と、無線通信部12と、衝突検出部13と、パケット分割・結合部14と、パケット分割・結合方法決定部15と、記憶部16と、を有している。さらに、本実施形態における通信装置2は、冗長パケット生成・除去部21を有している。
【0123】
このように、本実施形態における通信装置2は、第1の実施形態で説明した通信装置1とほぼ同様の構成を有している。なお、本実施形態においては、第1の実施形態の説明と重複する内容については、その説明を省略する。そのため、以下においては、本実施形態に特徴的な構成について説明する。
【0124】
本実施形態における衝突検出部13は、衝突を検出するとともに、衝突が頻繁に起こる分割データ(パケット)の位置を予測する。
【0125】
例えば、衝突検出部13は、衝突を検出した際に、衝突を検出した分割データの位置を記憶部16に記憶する。そして、衝突検出部13は、記憶部16に記憶された衝突を検出した分割データの位置に基づいて、衝突が頻繁に起こる分割データの位置を予測する。具体的には、例えば、衝突検出部13は、所定時間(又は、無線フレーム信号を受信した回数や衝突を検出した回数)内に、予め定められた閾値以上の衝突を検出した場合に、当該分割データの位置で衝突が頻繁に発生していると判断する。
【0126】
冗長パケット生成・除去部21は、衝突が頻繁に起こる位置の分割データを冗長にする。例えば、衝突検出部13がパケットの先端の分割データで衝突が頻繁に起こると予測したとする。この場合、冗長パケット生成・除去部21は、当該衝突が頻繁に起こる先端部分の分割データをコピーする。そして、冗長パケット生成・除去部21は、当該コピーした内容を別の位置(例えば最後端)に付け加えて冗長化する。同様に、例えば、衝突検出部13がパケットの途中の分割データで衝突が頻繁に起こると予測したとする。この場合、冗長パケット生成・除去部21は、当該衝突が頻繁に起こる途中部分の分割データをコピーする。そして、冗長パケット生成・除去部21は、当該コピーした内容を別の位置(例えば最後端など、衝突が発生した位置から出来るだけ遠い位置)に付け加えて冗長化する。
【0127】
このように、冗長パケット生成・除去部21は、衝突が起こると予想される位置の分割データを冗長化する。
【0128】
また、冗長パケット生成・除去部21は、例えば以下のような処理により冗長化部分を除去する。例えば、冗長パケット生成・除去部21は、受信した複数の分割データ全体、又は、チェックサムやハッシュ値などを記憶部16に記憶しておく。そして、冗長パケット生成・除去部21は、取り出した分割データと、記憶部16が記憶する分割データ全体又はチェックサムやハッシュ値などと比較する。これにより、冗長パケット生成・除去部21は、取り出した分割データが過去のものと同じであるか否かを判断する。そして、冗長パケット生成・除去部21は、取り出した分割データが冗長化部分に該当する場合、当該冗長化部分を例えば破棄する。
【0129】
このように、本実施形態における通信装置2は、衝突が頻繁に起こる分割データの位置を予測する衝突検出部13と、冗長パケット生成・除去部21と、を有している。このような構成により、冗長パケット生成・除去部21は、衝突が頻繁に起こる位置の分割データを冗長にすることが出来る。その結果、当該箇所で衝突が発生して場合でも再送を不要にすることが可能となる。
【0130】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態では、無線フレーム信号の衝突を検出する無線通信システム5について説明する。本実施形態においては、無線通信システム5の構成の概要について説明する。
【0131】
図13を参照すると、本実施形態における無線通信システム5は、送信装置3と受信装置4とを有している。
【0132】
送信装置3は、パケット分割部31と無線フレーム信号送信部32とを有している。
【0133】
パケット分割部31は、送信するデータを複数に分割する。また、無線フレーム信号送信部32は、パケット分割部31が分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号を付与して1つの無線フレーム信号を生成する。そして、無線フレーム信号送信部32は、当該生成した無線フレーム信号を送信する。
【0134】
受信装置4は、無線フレーム信号受信部41と衝突検出部42とを有している。
【0135】
無線フレーム信号受信部41は、送信装置3の無線フレーム信号送信部32が送信した無線フレーム信号を受信する。そして、無線フレーム信号受信部41は、当該受信した無線フレーム信号から、複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、複数の分割データをそれぞれ取り出す。
【0136】
衝突検出部42は、無線フレーム信号受信部41による誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する。
【0137】
このように、本実施形態における送信装置3は、パケット分割部31を有している。このような構成により、通信装置3は、送りたいデータを複数に分割して、分割したそれぞれの分割データに誤り検出符号を付与した上で、無線フレーム信号を生成して送信することが出来る。その結果、当該無線フレーム信号を受信した受信装置4で、複雑な処理を行うことなく衝突を検出することが可能となる。
【0138】
また、受信装置4は、受信した無線フレーム信号から誤り検出符号を用いて分割データを取り出す無線フレーム信号受信部41と、衝突検出部42と、を有している。このような構成により、衝突検出部42は、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出することが出来る。その結果、複雑な処理を行うことなく衝突を検出することが可能となる。
【0139】
また、上述した無線通信システム5により実行される無線通信方法は、送信するデータを複数に分割し、分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号を付与して1つの無線フレーム信号を生成し、当該生成した無線フレーム信号を送信し、送信した無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から、複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、複数の分割データをそれぞれ取り出し、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する、という方法である。
【0140】
上述した構成を有する、無線通信方法の発明であっても、上記無線通信システム5と同様の作用を有するために、上述した本発明の目的を達成することが出来る。
【0141】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態では、受信した無線フレーム信号の衝突を検出する無線通信端末6について説明する。本実施形態においては、無線通信端末6の構成の概要について説明する。
【0142】
図14を参照すると、無線通信端末6は、無線フレーム信号受信部61と衝突検出部62とを有している。
【0143】
無線フレーム信号受信部61は、分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号が付与されて生成された無線フレーム信号を受信する。そして、無線フレーム信号受信部61は、当該受信した無線フレーム信号から、複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、複数の分割データをそれぞれ取り出す。
【0144】
衝突検出部62は、無線フレーム信号受信部61による誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する。
【0145】
このように、本実施形態における無線通信端末6は、受信した無線フレーム信号から誤り検出符号を用いて分割データを取り出す無線フレーム信号受信部61と、衝突検出部62と、を有している。このような構成により、衝突検出部62は、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出することが出来る。その結果、複雑な処理を行うことなく衝突を検出することが可能となる。
【0146】
また、上述した無線通信端末6は、無線通信端末6に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、無線通信端末に、分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号が付与されて生成された無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から複数の分割データを取り出す無線フレーム信号受信手段62と、無線フレーム信号の取り出し結果に基づいて衝突を検出する衝突検出手段61と、を実現させ、無線フレーム信号受信手段62は、複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、複数の分割データをそれぞれ取り出し、衝突検出手段61は、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する、ことを実現させるためのプログラムである。
【0147】
また、上述した無線通信端末6が作動することにより実行される無線通信方法は、分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号が付与されて生成された無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から、複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、複数の分割データをそれぞれ取り出し、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する、という方法である。
【0148】
上述した構成を有する、プログラム、又は、無線通信方法、の発明であっても、上記無線通信端末6と同様の作用を有するために、上述した本発明の目的を達成することが出来る。
【0149】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における無線通信システムなどの概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0150】
(付記1)
送信するデータを複数に分割するパケット分割部と、
前記パケット分割部が分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号を付与して1つの無線フレーム信号を生成し、当該生成した無線フレーム信号を送信する無線フレーム信号送信部と、を有する
送信装置と、
前記送信装置が送信した無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から前記複数の分割データを取り出す無線フレーム信号受信部と、
前記無線フレーム信号の取り出し結果に基づいて衝突を検出する衝突検出部と、を有する
受信装置と、を有し、
前記受信装置の前記無線フレーム信号受信部は、前記複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、前記複数の分割データをそれぞれ取り出し、
前記受信装置の前記衝突検出部は、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する
無線通信システム。
【0151】
(付記2)
付記1に記載の無線通信システムであって、
前記無線フレーム信号受信部は、受信した無線フレーム信号の強度を測定するよう構成され、
前記衝突検出部は、前記取り出しに失敗した分割データの位置と、前記受信した無線フレーム信号の強度と、に基づいて衝突を検出する
無線通信システム。
【0152】
(付記3)
付記1又は2に記載の無線通信システムであって、
前記衝突検出部は、前記複数の分割データのうち先端に位置する分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端に位置する分割データの取り出しに成功した場合、前記送信装置による無線フレーム信号の送信開始時点から発生した衝突を検出する
無線通信システム。
【0153】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記衝突検出部は、前記複数の分割データのうち先端に位置する分割データの取り出しに成功し、かつ、先端以外のいずれかの位置の分割データの取り出しに失敗した場合、前記送信装置による無線フレーム信号の送信途中から発生した衝突を検出する
無線通信システム。
【0154】
(付記4−1)
付記1乃至4のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記無線フレーム信号受信部は、受信した無線フレーム信号の強度を測定するよう構成され、
前記衝突検出部は、前記複数のデータのうち先端に位置するデータの取り出しに失敗し、かつ、後端に位置するデータの取り出しに失敗し、かつ、前記無線フレーム信号の強度が予め定められた閾値よりも高い場合、前記送信装置による無線フレーム信号の送信中全体で発生した衝突を検出する
無線通信システム。
【0155】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記パケット分割部は、前記複数の分割データのうち先端に位置する分割データのバイト数が当該分割データより後方に位置する分割データのバイト数よりも短くなるように前記送信するデータを分割する
無線通信システム。
【0156】
(付記5−1)
付記5に記載の無線通信システムであって、
前記パケット分割部は、前記先端に位置する分割データのバイト数が、当該分割データに対するパディングが不要な最低バイト数になるように前記送信するデータを分割する
無線通信システム。
【0157】
(付記6)
付記1乃至4のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記パケット分割部は、予め定められたパラメータに基づいて、前記送信するデータを等間隔に分割する
無線通信システム。
【0158】
(付記6−1)
付記1乃至4のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記パケット分割部は、前記複数の分割データのうち後方に位置する所定の分割データのバイト数が当該分割データより前方に位置する分割データのバイト数よりも短くなるように前記送信するデータを分割する
無線通信システム。
【0159】
(付記7)
前記受信装置は、前記衝突検出部が衝突を検出した旨を前記送信装置に通知する通知手段を有し、
前記送信装置は、前記受信装置から衝突が発生した旨を通知された場合、衝突が発生した位置の分割データを冗長化して送信する
無線通信システム。
【0160】
(付記7−1)
付記7に記載の無線通信システムであって、
前記受信装置は、BlockAckフレームを使用して衝突が発生した旨を前記送信装置に通知する
無線通信システム。
【0161】
(付記7−2)
付記7又は7−1に記載の無線通信システムであって、
前記送信装置は、衝突が発生した位置の分割データをコピーし、当該コピーした分割データを送信する分割データのうち前記衝突が発生した位置から最も遠い位置に挿入することで冗長化する
無線通信システム。
【0162】
(付記7−3)
付記1乃至7−2のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記送信装置は、衝突が発生する位置を予測し、当該予測した衝突が発生する位置の分割データを冗長化する
無線通信システム。
【0163】
(付記7−4)
送信するデータを複数に分割し、分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号を付与して1つの無線フレーム信号を生成し、当該生成した無線フレーム信号を送信し、
送信した無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から、複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、複数の分割データをそれぞれ取り出し、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する、
無線通信方法。
【0164】
(付記8)
分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号が付与されて生成された無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から前記複数の分割データを取り出す無線フレーム信号受信部と、
前記無線フレーム信号の取り出し結果に基づいて衝突を検出する衝突検出部と、を有し、
前記無線フレーム信号受信部は、前記複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、前記複数の分割データをそれぞれ取り出し、
前記衝突検出部は、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する
無線通信端末。
【0165】
(付記8−1)
付記8に記載の無線通信端末であって、
前記無線フレーム信号受信部は、受信した無線フレーム信号の強度を測定するよう構成され、
前記衝突検出部は、前記取り出しに失敗した分割データの位置と、前記受信した無線フレーム信号の強度と、に基づいて衝突を検出する
無線通信端末。
【0166】
(付記8−2)
付記8又は8−1に記載の無線通信端末であって、
前記衝突検出部は、前記複数の分割データのうち先端に位置する分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端に位置する分割データの取り出しに成功した場合、無線フレーム信号の送信開始時点から発生した衝突を検出する
無線通信端末。
【0167】
(付記9)
分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号が付与されて生成された無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から、前記複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、前記複数の分割データをそれぞれ取り出し、
誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する
衝突検出方法。
【0168】
(付記9−1)
付記9に記載の衝突検出方法であって、
前記無線フレーム信号を受信するとともに、受信した無線フレーム信号の強度を測定し、
前記取り出しに失敗した分割データの位置と、前記受信した無線フレーム信号の強度と、に基づいて衝突を検出する
衝突検出方法。
【0169】
(付記9−2)
付記9又は9−1に記載の衝突検出方法であって、
前記複数の分割データのうち先端に位置する分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端に位置する分割データの取り出しに成功した場合、無線フレーム信号の送信開始時点から発生した衝突を検出する
衝突検出方法。
【0170】
(付記10)
無線通信端末に、
分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号が付与されて生成された無線フレーム信号を受信し、当該受信した無線フレーム信号から前記複数の分割データを取り出す無線フレーム信号受信手段と、
前記無線フレーム信号の取り出し結果に基づいて衝突を検出する衝突検出手段と、を実現させ、
前記無線フレーム信号受信手段は、前記複数の分割データのそれぞれに付与された誤り検出符号を用いて、前記複数の分割データをそれぞれ取り出し、
前記衝突検出手段は、誤り検出符号を用いた分割データの取り出しの結果、取り出しに失敗した分割データの位置に基づいて衝突を検出する
プログラム。
【0171】
(付記10−1)
付記10に記載のプログラムであって、
前記無線フレーム信号受信手段は、受信した無線フレーム信号の強度を測定し、
前記衝突検出手段は、前記取り出しに失敗した分割データの位置と、前記受信した無線フレーム信号の強度と、に基づいて衝突を検出する
プログラム。
【0172】
(付記10−2)
付記10又は10−1に記載のプログラムであって、
前記衝突検出手段は、前記複数の分割データのうち先端に位置する分割データの取り出しに失敗し、かつ、後端に位置する分割データの取り出しに成功した場合、無線フレーム信号の送信開始時点から発生した衝突を検出する
プログラム。
【0173】
(付記11)
送信するデータを複数に分割するパケット分割部と、
前記パケット分割部が分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号を付与して1つの無線フレーム信号を生成し、当該生成した無線フレーム信号を送信する無線フレーム信号送信部と、を有する
無線送信装置。
【0174】
(付記12)
無線送信装置に、
送信するデータを複数に分割するパケット分割手段と、
前記パケット分割手段が分割した複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号を付与して1つの無線フレーム信号を生成し、当該生成した無線フレーム信号を送信する無線フレーム信号送信手段と、
を実現するための
プログラム。
【0175】
(付記13)
送信するデータを複数に分割し、
分割した前記複数の分割データのそれぞれに誤り検出符号を付与して1つの無線フレーム信号を生成し、当該生成した無線フレーム信号を送信する
無線送信方法。
【0176】
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていたりする。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0177】
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることが出来る。
【符号の説明】
【0178】
1、2 通信装置
11 アンテナ
12 無線通信部
13 衝突検出部
14 パケット分割・結合部
15 パケット分割・結合方法決定部
16 記憶部
21 冗長パケット生成・除去部
3 送信装置
31 パケット分割部
32 無線フレーム信号送信部
4 受信装置
41 無線フレーム信号受信部
42 衝突検出部
5 無線通信システム
6 無線通信端末
61 衝突検出部
62 無線フレーム信号受信部



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14