【実施例】
【0027】
図1において、10はこの発明の実施例1に係る横型スクリューコンベア用中間軸受ユニット(以下、中間軸受ユニット)で、中間軸受ユニット10は、横型スクリューコンベアCにおけるセメント(粉粒体)の搬送用の筒体11に収納されて、水平方向に延びる回転軸12の外周面に螺旋羽根13が周設されたスクリュー14のうち、回転軸12の長さ方向の途中部分を、筒体11の内部空間で回転自在に支持するものである。
【0028】
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
図1〜
図4に示すように、横型スクリューコンベアCは、セメント製造プラントで製造されたセメントを海上輸送するセメントタンカーの甲板に配備され、出港地に搬送されたセメントをタンカーの各船倉に積み込むとともに、目的地に着港後、複数の縦型スクリューコンベアを使用し、各船倉から甲板へ積み出されたセメントを荷揚げする水平搬送装置である。なお、荷揚げ時、横型スクリューコンベアCにより水平搬送されたセメントは、いったん船体の船首側、船尾側に配された各圧送タンクに集められ、その後、各圧送タンクからセメント圧送装置により荷揚げされる。
【0029】
横型スクリューコンベアCは、甲板の船首側から船尾側にわたり、船長方向へ所定離間をあけて立設された細長い複数本の支柱により、甲板の床面と平行に支持されている。各支柱の先端には、セメントタンカーの波による揺れの影響を抑える複数の揺れ幅抑制構造体が配設されている。
これらの揺れ幅抑制構造体は、対応する支柱の先端部に、船幅方向に延びた複数の下側回動軸を介して各下端部が軸支された短尺な複数の連結リンク部材と、各連結リンク部材の先端部に、船幅方向に延びる複数の上側回動軸を介して各下端部が軸支されるとともに、各上端部が筒体11の底部の長さ方向の所定箇所に離間して溶接された複数の筒体支持材とを有している。セメントタンカーの揺れに伴なう横型スクリューコンベアCの船長方向への揺れは、各支柱の上端部に配された各揺れ幅抑制構造体によって減衰される。すなわち、セメントタンカー船体が波揺れ(例えばピッチング)したとき、各下側回動軸を中心にして各連結リンク部材が任意に回動(揺動)するとともに、各上側回動軸を中心にして各筒体支持材が任意に回動して、その揺れ幅がメカニカルに抑制される。なお、上側回動軸または下側回動軸を船長方向に延びた軸に変更すれば、セメントタンカーの船長方向の揺れの抑制だけでなく船幅方向の揺れも抑制することができる。
【0030】
筒体11は、断面半円形の底板15と、
図1上で左側に配置される左側板16と、
図1上で右側に配置される右側板17とを樋状に連結した長尺な筒本体18と、筒本体18の上面開口を閉蓋する長尺な蓋板19とを有する。筒本体18と蓋板19とは、鋼板またはステンレス板を原材料とする。筒本体18の一端部にはセメントの投入口が形成され、その他端部にはセメントの排出口が形成されている(図示せず)。また、蓋板19のうち、中間軸受ユニット10との対峙領域には、後述する中間軸受24のメンテナンス用の窓部20が設けられている。窓部20の開口は、左右複数対のクランプ21を用いて窓蓋22により封止されている。
【0031】
スクリュー14は、筒体11の一方の端板の中心部に設けられた一端側軸受と、筒体11の他方の端板の中心部に設けられた他端側軸受とを介して回転自在に収納されている(図示せず)。
また、スクリュー14は、長さ方向に略均等に分割されている(
図3)。すなわち、回転軸12および螺旋羽根13は、長さ方向にそれぞれ分割されている。螺旋羽根13は回転軸12の一端部から他端部まで連続して設けられ、セメントの積み出し作業が円滑にできるように構成されている。螺旋羽根13の外径は、セメント原料の送り残しがほとんどないように、底板15の内径と略同じとしている。
回転軸12の他端部は、筒体11の他方の端板から外方へ突出している。この突出部分には、減速ギヤを介して、モータMの出力シャフトが連結されている。モータMの出力シャフトが所定方向に所定速度で回転することにより、ベルト式動力伝達構造体を介して、一端側軸受、他端側軸受および各中間軸受24により軸支されたスクリュー14が、セメントの積み出し方向に回転する。
【0032】
図1および
図3に示すように、回転軸12の各分割部分には小径なネック部23が配設され、これらのネック部23を、各中間軸受24および各軸受吊下具25を介して、筒体11の上部に横架された梁材26に回転自在に支持(軸支)することにより、セメント搬送中の横長な回転軸12(スクリュー)14のブレを抑制している。回転軸12の各分割部分とネック部23とは、互いのフランジ12a,23aを周方向へ所定ピッチで多数のボルトナット構造体Bにより着脱可能に締結されている。各中間軸受24と後述する各軸受ホルダ27とは、ネック部23への組み付けおよびその後のメンテナンスが容易なように、それぞれ上下に2等分割されている。
【0033】
以下、
図1〜
図5を参照して、これらの中間軸受24、軸受吊下具25および梁材26を詳細に説明する。なお、各中間軸受24、各軸受吊下具25および各梁材26はそれぞれ同一構造であるため、それぞれ1つを例にとり説明する。まず、梁材26を説明する。
図1および
図2に示すように、筒体11のうち、ネック部23が収納される部分には、その左側板16の上部と右側板17の上部とに、筒本体18の幅方向に延びた梁材26が横架されている。梁材26は、鋼製の角パイプからなり、その長さ方向の両端に矩形状のフランジ26aが一体的に形成されている。各フランジ26aの横方向の両端部には、一対のボルト孔26bがそれぞれ形成されている。
【0034】
また、左側板16の上部と右側板17の上部とには、各中間軸受24の配置領域に矩形状のブラケット嵌入穴16a,17aがそれぞれ形成され、各ブラケット嵌入穴16a,17aには断面L字状の厚肉な鋼製の矩形ブロックからなる一対の掛止ブラケット28が、その厚さ方向の一端部(内側部)のみを筒本体18の内部空間へ突出した嵌入状態で溶接されている。すなわち、各掛止ブラケット28の厚さ方向の他端部(外側部)は、筒本体18の外方にそれぞれ配されている。
各掛止ブラケット28の内側面の下端部には、梁材26の各フランジ26aの掛止突起28aがそれぞれ一体形成されている。また、各掛止ブラケット28の横方向(筒本体18の長さ方向)の両端部には、その内外面を貫通して、対応するボルト孔26bに連通可能な一対のボルト孔28bがそれぞれ形成されている。各フランジ26aを各掛止ブラケット28の掛止突起28aに掛止し、互いに連通状態となった各ボルト孔26b,28bに2対のボルトナット構造体B2をそれぞれ挿着し、その後、各ボルトナット構造体B2を利用して、各フランジ26aと対応する掛止ブラケット28とを締結する。これにより、梁材26が筒本体18の上部に着脱自在に横架される。このとき、各ボルトナット構造体B2は、各ナットNが筒本体18の外方に配置されている。
なお、各掛止ブラケット28は、これらを厚さ方向に2分割し、各内側部を左側板16の上部の内側面と右側板17の上部の内面側とにそれぞれ面接触状態で溶接するとともに、各外側部を左側板16の上部の外側面と右側板17の上部の外面側とにそれぞれ面接触状態で溶接してもよい。この場合、左側板16と右側板17との所定位置には、ボルト孔26bと連通する一対の連通孔が形成されるものとする。
【0035】
図3および
図5に示すように、中間軸受24は、ネック部23の長さ方向の中間部の外周面に嵌着される内輪29と、軸受ホルダ27に嵌着される外輪30と、内輪29と外輪30との間に介在される多数の円筒ころ(ころ)31と、これらの円筒ころ31を周方向に均一間隔(均一角度)で保持する保持器32とを有した円筒ころ軸受である。なお、中間軸受24は、これを構成する各部品が上下に半分割された一対の部分軸受24Aからなる。また、中間軸受24の軸線方向の両端面は、円環状の一端側のベアリングカバー33Aと、円環状の他端側のベアリングカバー33Bとによって、各内側空間にネック部23を挿通した状態で塞がれている。
【0036】
内輪29は、上下一対の半割円筒状の部分内輪29Aから構成される。また、各部分内輪29Aの軸線方向の両端部の外周面には、半円形状の嵌合溝29aがそれぞれ形成されている。各嵌合溝29aには、各部分内輪29A同士を締結する半円形状の部分クランプ枠34Aがそれぞれ嵌入されている。
内輪29の組み立て時には、ネック部23を外方から挟み込むように、互いの突き合わせ面を合わせてこれらの部分内輪29Aを突き合わせ、この状態を維持しながら、部分クランプ枠34Aの端部に形成されたボルト孔に、それぞれボルトを連続してねじ込む。これにより、対応する部分クランプ枠34A同士が一体化して上下一対のクランプ枠34が形成され、これらのクランプ枠34による締め付け力によって、上下一対の部分内輪29Aから内輪29が組み立てられる。このとき、内輪29の外周面のうち、一対のクランプ枠34の間の部分に、後述する各円筒ころ31が転がる外側軌道面aが現出する。
【0037】
外輪30は、上下一対の半割円筒状の部分外輪30Aから構成される。また、各部分外輪30Aの軸線方向の両端部には、ぞれぞれ内フランジ30aが形成されている。一対の内フランジ30a間には、後述する多数の円筒ころ31が回転自在に連結された保持器32の収納空間が形成される。
外輪30の組み立て時には、後述する上側部分ホルダ49と下側部分ホルダ51とに、対応する部分外輪30Aをそれぞれ嵌着(嵌合)する。その後、各部分外輪30Aの突き合わせ面を合わせて、内輪29に装着された後述する保持器32を外方から覆い、この状態を維持しながら、上側部分ホルダ49と下側部分ホルダ51とをボルト連結することで、外輪30が組み立てられる。このとき、外輪30の内周面に各円筒ころ31が転がる内側軌道面bが現出する。
【0038】
各円筒ころ31は、円筒形状のころで、内輪29の外周面の外側軌道面a上と、外輪30の内周面の内側軌道面b上とをそれぞれ転がりながら、中間軸受24の軸線を中心にして回転する。したがって、各円筒ころ31の長さは、内輪29に配設された上下のクランプ枠34間の幅より短い。
保持器32は、円環状の帯体からなって、周方向へ向かって16等分した角度位置(22.5°間隔)に、内,外周面を貫通して形成されたころ収納空間に、合計16個の円筒ころ31を、それぞれ回転自在に支持するものである。各円筒ころ31の軸線は、保持器32の軸線と平行である。
保持器32は、上下一対の半割円筒状の部分保持器32Aから構成される。各部分保持器32Aには、8個ずつ円筒ころ31が配設されている。
【0039】
保持器32の組み立て時には、内輪29の外側軌道面a上に各部分保持器32Aを配置し、その後、互いの突き合わせ面を合わせ、この状態を維持しながら、各部分保持器32A同士をねじ止めすることで、保持器32が組み立てられる。
また、各ベアリングカバー33A,33Bは、中央部が外方へ段差形状に配置された厚肉な円環板である。各ベアリングカバー33A,33Bの内周面には、これらの内周面とネック部23の外周面との隙間をシールする円環状の一対のシール部材35が、各ベアリングカバー33A,33Bの軸線方向に離間して配設されている。各シール部材35は、半割円環状の上下一対の部分シール部材から構成されている。
【0040】
各シール部材35は、レーヨン30%、羊毛70%の混毛を素材としたフェルト製のものである。このような配合の混毛を採用したため、耐摩耗性および耐久性に優れた高いシール性能を有する。また、2本のシール部材35を1組とした二重シール構造としたため、中間軸受24の内部空間へのセメントの侵入防止機能を、1本のシール部材35の場合に比べて高めることができる。さらに、各シール部材35は、スクリュー回転時に各ベアリングカバー33A,33Bの内周面に形成された左右一対のシール溝33aから飛び出しにくいように、断面台形状となっている。
また、各ベアリングカバー33A,33Bは、それぞれが軸線と平行で、上下一対の半割円筒状の部分ベアリングカバー33Cから構成されている。これらの部分ベアリングカバー33Cは、上側部分ホルダ49の両端面および下側部分ホルダ51の両端面にそれぞれ複数のボルトB3により締結されている。
【0041】
図1〜
図4に示すように、軸受吊下具25は、中間軸受24をその周方向より被い、左右の端側から角棒状の一対の支持突片部40が延出した円筒状の軸受ホルダ27と、梁材26の長さ方向の両側部に各上端部が溶接されて、各下端部に、各支持突片部40の先端面に配された一対のホルダ掛止凹部41に掛止される掛止爪42が形成された左右一対のL字吊下板43とを備えている。
軸受ホルダ27は、ネック部23の約3分の1の長さを有する厚肉な円環板である。軸受ホルダ27の外径はネック部23の各フランジ23aの外径と同一で、軸受ホルダ27の両端には各ベアリングカバー33A,33Bが配設されている。各フランジ23aの外周面とそれに対応するベアリングカバー33A,33Bの外周面とは、一対の円筒カバー44により覆われている。これにより、中間軸受24の周方向からネック部23付近へのセメントの侵入が防止される。円筒カバー44は、対応する部材に着脱自在にねじ止めされている。なお、各円筒カバー44と接する各ベアリングカバー33A,33Bの長さ方向の両端部の外周面には、別のシール部材35が一対ずつ離間状態で埋め込まれている。各円筒カバー44は、上側部分カバー46と、これにねじ止めされる下側部分カバー47とにより上下2分割されている。
【0042】
軸受ホルダ27は、中間軸受24の上部を被い、左右の端側から角棒状の一対の上側部分突片部48が延出した半割円筒状の上側部分ホルダ49と、上側部分ホルダ49に着脱可能に連結された状態で中間軸受24の下部を被い、左右の端側から角棒状の一対の下側部分突片部50が延出した半割円筒状の下側部分ホルダ51とを有している。上側部分ホルダ49と下側部分ホルダ51との各長さ方向の中間部には、一対のボルト孔がそれぞれ形成されている。各ボルト孔には、対応するボルトナット構造体B1をそれぞれ挿入し、ボルトナット構造体B1を絞め付けることで、上側部分突片部48と下側部分突片部50とから一対の支持突片部40が組み立てられる。
ホルダ掛止凹部41は、上側部分突片部48の先端面の下辺部分に段差状に形成された上側部分凹部52と、下側部分突片部50の先端面の上辺部分に段差状に形成された下側部分凹部53とに上下2分割されたものである。
各L字吊下板43は、梁材26と同一素材からなる厚肉な板材で、各下端部が対峙方向へ直角に屈曲して、一対の掛止爪42を構成する。各L字吊下板43の対峙面の上部と梁材26の長さ方向の中央部の下面との間には、各L字吊下板43を補強する直角三角形状の厚肉な補強リブ54が固定されている。
【0043】
次に、
図1〜
図5を参照して、この発明の実施例1に係る横型スクリューコンベアCによるセメントの水平移送方法を説明する。
図1〜
図4に示すように、横型スクリューコンベアCにおいて、モータMの出力シャフトを所定方向へ回転させ、減速ギヤを介して、スクリュー14をセメントの移送方向へ100〜200rpmで回転させる。これにより、横型スクリューコンベアCの一端側の投入口から投入されたセメントが、スクリュー14の回転に伴って筒体11の内部を通過し、船外へ積み出される。
このとき、回転軸12の各ネック部23が、各軸受吊下具25および各中間軸受24を介して、各梁材26に回転自在に支持されるため、横型スクリューコンベアCが長尺化し、スクリュー14が長くなっても、スクリュー14の自重による撓みが抑えられ、長尺な回転軸12のブレを防止することができる。これにより、螺旋羽根13が筒体11の内周面に接触して生じる筒体11の振動、摩耗や金属音が発生しないとともに、横型スクリューコンベアCの各所に配されたボルトの緩みや、金属疲労などを抑制することができる。
【0044】
図1〜
図5に示すように、各中間軸受24のメンテナンス時には、まず中間軸受ユニット10との対峙領域に配設された各窓部20の窓蓋22を開き、その開口を通して、作業者が目視しながら各軸受ホルダ27および各中間軸受24をそれぞれ分解する。すなわち、スパナなどの工具により各ボルトナット構造体B1を外し、各軸受ホルダ27を上側部分ホルダ49と下側部分ホルダ51とに分解する。その後、各中間軸受24を、上側部分軸受24Aを構成する上側の部分内輪29A、上側の部分外輪30Aおよび上側の部分保持器32Aなどと、下側部分軸受24Bを構成する板側の部分内輪29A、下側の部分外輪30Aおよび下側の部分保持器32Aなどに分解する。次に、分解した各軸受ホルダ27、各中間軸受24および対応するネック部23について、適宜メンテナンス作業を行う。
なお、必要に応じて、梁材26を筒本体18の上部空間から取り外してメンテナンス作業を行ってもよい。すなわち、各ボルトナット構造体B2を外し、各フランジ26aの各掛止ブラケット28からの掛止状態を解除することで、梁材26を取り外す。
【0045】
このように、ここでは軸受吊下具25を、蓋板19に取り付けるのではなく、筒本体18の左側板16の上部と右側板17の上部とに横架された梁材26に取り付けているため、中間軸受24の支持荷重は梁材26を介して左側板16と右側板17とに分散され、荷重集中による筒体11の変形を抑制することができる。仮に、軸受吊下具25を蓋板19に吊下した場合、中間軸受24の支持荷重が蓋板19の一枚のみに集中するため、蓋板19が変形し、これに伴なって回転軸12の軸芯が位置ずれし、回転軸12のブレが生じやすい。
また、この軸受吊下具を蓋板19に取り付けるタイプにあっては、回転軸12を芯出した状態で筒本体18の上面開口を閉蓋できない。すなわち、あらかじめ筒本体18を閉蓋した後、例えば蓋板19の上方に突出した部分を操作して軸受吊下具を上下方向へ移動させ、中間軸受24の吊り下げ高さを調整する芯出しを行う必要がある。この作業は目視ができない閉蓋状態で行わなければならないため、回転軸12の芯出しが困難である。しかしながら、ここでは軸受吊下具25が梁材26に取り付けられるため、蓋板19を開いた状態で軸受吊下具25による回転軸12の芯出しを簡単に短時間で行うことができる。
【0046】
さらに、これらとは異なる回転軸12の支持方法として、例えば本特許出願人が先に取得した特許5162048号のもののように、スクリュー14の軸線を通る水平アーム(ベアリングホルダ)を左側板16と右側板17とに横架する方法が考えられる。しかしながら、この方法では筒本体18の上部に横架される梁材26の場合に比べて、コンベア運転時に水平アームに作用するセメントの送圧が大きくなる。すなわち、梁材26の取り付け位置より下方に配置される水平アームは、筒本体18を流れるセメントとの接触頻度が高く、上方より受けるセメントの自重も大きくなる。その結果、使用による傷み(劣化)は梁材26に比べて水平アームの方が大きくなる。
なお、ネック部23を交換する際には、回転軸のフランジとネック部23のフランジとから各ボルトナット構造体Bを外してネック部23の交換を行う。
【0047】
メンテナンス後は、各ネック部23を上側部分軸受24Aと下側部分軸受24Bとにより挟み込んで中間軸受24を組み立て、その後、中間軸受24を上側部分ホルダ49と下側部分ホルダ51とにより挟み込み、軸受ホルダ27を組み立てる。
このとき、梁材26の長さ方向の両端部から下方に延びた一対のL字吊下板43の各掛止爪42を、それぞれが上側部分凹部52と下側部分凹部53とからなる左右一対のホルダ掛止凹部41に掛止する。その結果、一対のL字吊下板43および軸受ホルダ27を介して、中間軸受24が梁材26に堅固に吊下される。
その後、軸受ホルダ27の軸線方向の両端面に、多数のボルトナット構造体B3を介して、各ベアリングカバー33A,33Bを締結する。また、各フランジ23aの外周面とそれに対応するベアリングカバー33A,33Bの外周面とに、一対の円筒カバー44をそれぞれねじ止めする。これにより、中間軸受24の周囲からセメントが中間軸受24の内部空間やネック部23付近に侵入するのを防止することができる。
【0048】
このように、一対のL字吊下板43の掛止爪42が挿入される一対のホルダ掛止凹部41を、組み立て式の軸受ホルダ27の各支持突片部40の先端面に形成された上側部分凹部52と下側部分凹部53とによって上下方向に2分割したため、梁材26への中間軸受24の連結およびその解除が簡単になる。その結果、蓋板19の一部を開いて行われる中間軸受24のメンテナンスが容易となり、その作業時間も短縮できる。
特に、ここではメンテナンス作業を開蓋した窓部20を通して行うようにしたため、大がかりとなる蓋板19の取り外し作業、および、メンテナンス後の蓋板19の取り付け作業が不要となる。
【0049】
また、中間軸受24としてラジアルころ軸受を採用したため、従来のすべり軸受で用いられていた高価な超硬合金が不要となり、中間軸受24の低コスト化を図ることができる。
また、円筒ころ軸受を採用したことで、すべり軸受に比べて内輪29および外輪30の摩擦抵抗および摩擦熱が小さく、例えば作業者が手持ち可能なグリスガンを利用した年数回または1000時間程度の横型スクリューコンベアCの使用後、1回あたり数ミリリットルのグリス注入でも十分役目を果たすため、一定期間におけるグリスの注入回数、1回当たりのグリスの注入量をそれぞれ低減することができる。その結果、中間軸受24のメンテナンスコストを廉価にできる。しかも、横型スクリューコンベアCにグリス供給ユニットが不要となり、設備コストをさらに低減することができる。
【0050】
さらに、中間軸受24の軸線方向の両端部に一対のベアリングカバー33A,33Bを配設したため、中間軸受24の両端面の全域を外方から覆うことができる。これにより、中間軸受24の両端面を通して、筒体11を搬送中のセメントが軸受内に侵入するのを防止することができる。
さらにまた、円環状のシール部材35により、両ベアリングカバー33A,33Bの内周面と回転軸12の外周面との隙間をシールするようにしたため、両ベアリングカバー33A,33Bを設けただけの場合に比べて、筒体11を移送中のセメントが中間軸受24内に侵入して発生する、円筒ころ31の回転障害の防止効果をさらに高めることができる。
【0051】
さらにまた、各掛止ブラケット28は、左側板16と右側板17との各上部の内面側に面接触状態で溶接されているのではなく、各ブラケット嵌入穴16a,17aに嵌入した状態で溶接している。そのため、仮にブラケット嵌入穴16a,17aを通さないタイプのもので溶接不良があった場合には、その不良箇所にネック部23の支持荷重(吊り下げ荷重)が集中し、これに加えてコンベア運転中の筒体11の振動を原因とした溶接部分の疲労破壊なども作用することで、掛止ブラケット28が筒本体18から剥がれてスクリュー14が底板15に落下し、螺旋羽根13や底板15が損傷するおそれがある。このような事故が発生したときには、大がかりな作業を強いられるスクリュー14の取り外しを行い、筒体11およびスクリュー14の修理または交換が必要となる。しかしながら、実施例1では厚肉な矩形ブロックからなる各掛止ブラケット28を矩形状の各ブラケット嵌入穴16a,17aに嵌入状態で溶接しているため、仮に許容できないレベルの溶接不良が存在する場合であっても、最悪時、掛止ブラケット28はブラケット嵌入穴16a,17aに引っ掛かかってその位置に止まるため、上述した事故を未然に防ぐことができる。
【0052】
また、このように各梁材26の筒本体18の上部への横架に際しては、各フランジ26aを各掛止ブラケット28の掛止突起28aにそれぞれ掛止した状態で、互いに連通した各ボルト孔26b,28bに各ボルトナット構造体B2を挿着し、これらのボルトナット構造体B2によって各フランジ26aと各掛止ブラケット28とを締結する二重掛止構造を採用したため、左側板16の上部と右側板17の上部とに梁材26を着脱自在とする、一般的には結合強度が低い構造でありながら、この梁材26を筒本体18の上部に堅固に横架することができる。
さらに、コンベア運転に伴なう筒体11の不断的な振動により、ボルトナット構造体B2に緩みが発生する場合があるが、各ボルトナット構造体B2のナットNが筒本体18の外方に配されているため、窓部20を開蓋して行うメンテナンス時でなくても、筒体11の外からナットNの緩みを点検するだけで、梁材26のガタつきを早期に発見することができる。また、応急処置として、緩んだナットNをソケットなどの工具により締めることで、梁材26のガタつきを解消することができる。