特許第6602008号(P6602008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6602008
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】排水ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 1/14 20060101AFI20191028BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20191028BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20191028BHJP
   F04D 29/22 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   F04D1/14
   F04D29/66 A
   F04D29/42 E
   F04D29/22 E
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-252323(P2014-252323)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-113941(P2016-113941A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克司
(72)【発明者】
【氏名】山開 健治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 永
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友也
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−060463(JP,A)
【文献】 特開平07−063188(JP,A)
【文献】 実開平06−012785(JP,U)
【文献】 特開平06−193582(JP,A)
【文献】 特開2012−082790(JP,A)
【文献】 特開2004−353492(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3095259(JP,U)
【文献】 特開2013−253583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/14
F04D 29/22
F04D 29/42
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、上端部が開口し下端部に吸込口が設けられるとともに側部に吐出口が設けられたハウジング、前記モータに連結された回転羽根、及び中央部に貫通孔を有しかつ前記ハウジングの上端部に取り付けられたカバーを備えたポンプ本体と、より成り、前記ハウジング及び前記カバーによりポンプ室が画定されると共に、前記吐出口は前記ポンプ室に開口する吐出口入口を備えた排水ポンプであって、
前記ポンプ室は、前記回転羽根の軸線に対して直交し前記貫通穴を有する天井部と、前記回転羽根の軸線と同軸であり前記吐出口入口を有する環状の内壁部を有し、
前記環状の内壁部は、前記吐出口入口の上端を境として前記軸線に対して同軸で内径を異にする複段円筒状の内壁を呈し、前記吐出口入口の上端より上側である第1領域において第1内径を有すると共に、前記吐出口入口の上端よりも下側の領域であって少なくとも前記吐出口入口の上端から前記吐出口入口の下端に至る第2領域において前記第1内径よりも大きい第2内径を有する円筒内壁部を構成し、前記ポンプ室内において前記第1内径を有する領域は前記第2領域と重複しないことを特徴とする排水ポンプ。
【請求項2】
前記カバーは、前記ハウジングの前記開口に嵌合する環状の側壁部を有し、前記環状の側壁部の下端は前記吐出口入口の上端と同一の高さに位置し、前記環状の側壁部の内側面は前記吐出口入口から前記カバーの内側に突出する形状に形成されており、前記環状の側壁部により前記第1領域を構成していることを特徴とする請求項1記載の排水ポンプ。
【請求項3】
前記ハウジングは、環状の突起部をさらに有し、当該環状の突起部は、その上端が前記吐出口入口の下端と同一の高さに位置し、その内側面が前記吐出口入口から前記ポンプ室の内側に突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水ポンプ。
【請求項4】
前記回転羽根は、前記モータの出力軸に連結される軸部と、前記軸部から放射方向に延びる複数の大径羽根と、前記大径羽根の下端縁部に連結された複数の小径羽根と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の排水ポンプ。
【請求項5】
隣り合う前記大径羽根間に補助羽根がさらに設けられていることを特徴とする請求項4に記載の排水ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転羽根により水を吸込口から吸い込み吐出口から排出する排水ポンプに関し、特に運転時の静粛性を図るのに好適な排水ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の天井に埋込む形式の空気調和機においては、空気調和機の室内熱交換器の表面で凝縮したドレン水を受け入れるドレンパンが装備される。このドレンパン内のドレン水を室外へ排水するため、排水ポンプ(ドレンポンプ)が用いられる(特許文献1参照)。
【0003】
図8は、特許文献1に記載されている従来の排水ポンプの一例である。
従来の排水ポンプ1は、モータ10と、モータ10にブラケット20を介して取り付けられるポンプ本体30とを有する。ポンプ本体30はプラスチック製であって、上部が開口したハウジング40と、ハウジング40の上部開口と嵌合するカバー32と、モータ10に連結された回転羽根50とを備えている。
ハウジング40は、下部に吸込口43を有するパイプ状の吸込管42、該ハウジングとカバー32とにより画定(区画)される内部空間に形成されるポンプ室44、及び側方に吐出口46を有する吐出管45を有している。符号46aは、ポンプ室44に開口する吐出口46の入口(吐出口入口)である。
カバー32はブラケット20と一体に形成されており、ハウジング40との間にシール部材34を挟みこんだ状態でハウジング40と連結されている。
【0004】
ポンプ室44内には、モータ10によって回転する回転羽根50が収容される。回転羽根50は、軸部52と、軸部52の外周部から放射方向に延びる複数(例えば4枚)の平板状の大径羽根60及びそれらの間に配置される中間羽根60aと、各大径羽根60及び中間羽根60aの下辺テーパ部に沿って設けられ中央に開口部63を有する環状部材62と、開口部63の内側を通って各大径羽根60の下端縁部に連結された複数(例えば大径羽根60と同数)の平板状の小径羽根54とを有している。回転羽根50は、その小径羽根54が吸込管42内に挿入されるようにしてポンプ室44内に配置される。
【0005】
軸部52は、カバー32の中央に形成された貫通孔36を貫通してモータ10側へ突出しており、軸部52の中心軸に沿って設けた穴53にモータ10の駆動軸12が挿入されて固定されている。軸部52の上面には、水切円板14が取り付けられており、この水切円板14は、カバー32の貫通孔36からドレン水が噴出した場合、これをモータ10側へ飛散するのを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−64396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図9は、図8に示した従来の排水ポンプ1のポンプ本体30の内部の概要を示す縦断面図である。
図9に示すように、吸込口43から吸い込まれた水は、回転羽根50により遠心力(図9の矢印C)を付与されるため、当該回転羽根50の径方向にて内側に空気層、外側に水の層が出来、その境界に気液境界面と呼ばれる空気と水の混じりあう泡の層が形成される。
気液境界面に発生した気泡は、回転羽根50の上端を越える際、遠心力により外周方向へと押し流される。この気泡が吐出口46から排出される排水に混入し、流出する際、騒音を発するという問題点があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、吐出口から流出する排水に気泡が混入することを抑制し、運転時の静粛性を図ることができる排水ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明による排水ポンプは、モータと、上端部が開口し下端部に吸込口が設けられるとともに側部に吐出口が設けられたハウジング、前記モータに連結された回転羽根、及び中央部に貫通孔を有しかつ前記ハウジングの上端部に取り付けられたカバーを備えたポンプ本体と、より成り、前記ハウジング及び前記カバーによりポンプ室が画定されると共に、前記吐出口は前記ポンプ室に開口する吐出口入口を備えた排水ポンプであって、前記ポンプ室は、前記回転羽根の軸線に対して直交し前記貫通穴を有する天井部と、前記回転羽根の軸線と同軸であり前記吐出口入口を有する環状の内壁部を有し、前記環状の内壁部は、前記吐出口入口の上端を境として前記軸線に対して同軸で内径を異にする複段円筒状の内壁を呈し、前記吐出口入口の上端より上側である第1領域において第1内径を有すると共に、前記吐出口入口の上端よりも下側の領域であって少なくとも前記吐出口入口の上端から前記吐出口入口の下端に至る第2領域において前記第1内径よりも大きい第2内径を有する円筒内壁部を構成し、前記ポンプ室内において前記第1内径を有する領域は前記第2領域と重複しないことを特徴としている。
【0009】
この排水ポンプにおいて、前記カバーは、前記ハウジングの前記開口に嵌合する環状の側壁部を有し、前記環状の側壁部の下端は前記吐出口入口の上端と同一の高さに位置し、前記環状の側壁部の内側面は前記吐出口入口から前記カバーの内側に突出する形状に形成されており、前記環状の側壁部により前記第1領域を構成することもできる。
さらに、前記ハウジングは、環状の突起部をさらに有し、当該環状の突起部は、その上端が前記吐出口入口の下端と同一の高さに位置しその内側面が前記吐出口入口から前記ポンプ室の内側に突出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の排水ポンプによれば、ポンプ室の内径は、吐出口入口よりも上側の方が吐出口入口及びそれより下側に比べて小さくされているので、回転羽根の回転により生じる遠心力がポンプ室の内壁部に作用する力は、従来の排水ポンプでは吐出口入口の上下で均一だったものが、本発明の排水ポンプでは吐出口入口よりも上側の方が吐出口入口(及びそれより下側)よりも小さくなる。
また、回転羽根の上端を越えてポンプ室の上側外周部(ポンプ室における吐出口入口の上方に相当する部分)に達した水には流出の際に騒音の原因となる泡が多く含まれているが、上記のようにポンプ室の吐出口入口より上側において作用する遠心力が吐出口入口(及びそれより下側)よりも小さくなるため、ポンプ室から吐出口入口に流入する水の多くは遠心力の作用が強い吐出口入口と対向する部分(ポンプ室の吐出口入口の部分、又は該吐出口入口の部分及びそれより下側の部分)からの水となり、ポンプ室の上側外周部に達した泡を多く含んだ水が吐出口入口に流入する量が低減される。この結果、ポンプ室から吐出口入口に流入する水、すなわち吐出口から流出する排水に気泡が混入することが抑制され、運転時の静粛性を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1a】本発明の第1実施例による排水ポンプのポンプ本体の概要を示す図であって、吐出口の中心線を通る面で切断した縦断面図である。
図1b】本発明の第1実施例による排水ポンプのポンプ本体の概要を示す図であって、図1aから回転羽根を取り除いた斜視図である。
図2】本発明の第1実施例による排水ポンプに適用される回転羽根の一例の概要を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施例による排水ポンプに用いられる回転羽根の変形例(第1変形例)の概要を示す斜視図である。
図4】本発明の第1実施例による排水ポンプに用いられる回転羽根の他の変形例(第2変形例)の概要を示す斜視図である。
図5】本発明の第1実施例による排水ポンプに用いられる回転羽根のさらに他の変形例(第3変形例)の概要を示す斜視図である。
図6a】本発明の第2実施例による排水ポンプのポンプ本体の概要を示す図であって、吐出口の中心線を通る面で切断した縦断面図である。
図6b】本発明の第2実施例による排水ポンプのポンプ本体の概要を示す図であって、図6aから回転羽根を取り除いた斜視図である。
図7】本発明の第1実施例で示した排水ポンプと従来の排水ポンプとの運転時の騒音を比較した結果を示すグラフである。
図8】空気調和機に用いられる従来の排水ポンプの一例である。
図9図8に示した従来の排水ポンプのポンプ本体の内部の概要を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施例>
図1は、本発明の第1実施例による排水ポンプのポンプ本体の概要を示す図である。ここで、図1aは、ポンプ本体130を後述の吐出口146の中心線を通る面で切断した縦断面図であり、図1bは、回転羽根150を取り除いたポンプ本体130を吐出口146の中心線を通る面で切断して斜め下方から見た斜視図である。
図1に示すように、第1実施例による排水ポンプのポンプ本体130は、上部が開口したハウジング140と、ハウジング140の上部開口と嵌合するカバー132と、ハウジング140及びカバー132により画定されたポンプ室144内に配置された回転羽根150とを備えている。ここで、ポンプ本体130を構成する前述の各部品は、例えばプラスチック製とすることができる。
ハウジング140は、内部に形成されたポンプ室144と、下方からポンプ室144に連通する吸込口143を有するパイプ状の吸込管142と、ポンプ室144の側面に設けられてポンプ室144と外部とを連通する吐出口146を有するパイプ状の吐出管145とを有している。符号146aは、吐出口146がポンプ室144に開口する吐出口入口である。
【0013】
カバー132は、ハウジング140の上部開口に嵌合する環状の側壁部133を有し、シール部材134を挟みこんだ状態でハウジング140と連結されている。
上記環状の側壁部133の下端133aは吐出口入口146aの上端と同一の高さまで伸びるとともに、環状の側壁部133の内側面133bは吐出口入口146aの上方からカバー132の内側中心方向に突出する形状に形成されている。
すなわち、図1において、回転羽根150の回転軸線Oから吐出口入口146aまでの距離をR、環状の側壁部133の内側面133bまでの距離をRとすると、環状の側壁部133は、R>Rとなるような形状となっている。なお、環状の側壁部133の内側面の突出量(RとRとの差分)は、例えば2mm程度に設定されることができる。
【0014】
図2は、第1実施例による排水ポンプに適用される回転羽根の一例の概要を示す斜視図である。
図1aに示したように、ハウジング140のポンプ室144内には、モータ(図示せず)によって回転する回転羽根150が収容されている。
回転羽根150は、軸部152と、軸部152の外周部から放射方向に延びる4枚の平板状の大径羽根160と、各大径羽根160の下端縁部に連結されるとともに吸込管142に挿入される4枚の平板状の小径羽根154とを有している。
軸部152は、カバー132の中央に形成された貫通孔136を貫通して突出しており、軸部152の中心軸に沿って設けた穴153にモータの駆動軸が挿入されて固定されている。
【0015】
大径羽根160の下端縁部はテーパ状に形成されており、この下端縁部は開口部163を有する円盤状の環状部材162で連結されている。この環状部材162は逆円錐台の側面形状を成しており、その外周部の上面は、大径羽根160及び補助羽根168の外周端部よりも外側に突出した平面形状の環状平坦部164とされている。
また、隣り合う大径羽根160の間には4枚の補助羽根168が設けられており、この補助羽根168と大径羽根160とによりポンプの揚程を確保することができる。
この回転羽根150は、例えば図8に示されたようなモータ10に連結され、これにより排水ポンプが構成される。
【0016】
次に図1aを参照しながら本発明の第1実施例の作用を説明する。
まず図示されないモータを回転させると回転羽根150が回転し、吸込口143からポンプ室144内に水が吸い込まれ、吸い込まれた水は吐出口146から排出される。
吸込口143から吸い込まれた水は、回転羽根150により遠心力を付与されるため、当該回転羽根150の径方向にて内側に空気層、外側に水の層が出来、その境界に気液境界面と呼ばれる空気と水の混じりあう泡の層が形成される。
気液境界面に発生した気泡は、回転羽根150の上端を越える際、遠心力により外周方向へと押し流される。
【0017】
ここで、本第1実施例においては、カバー132に環状の側壁部133が形成されているため、ポンプ室144の内径は、吐出口入口146aよりも上側(符号133bの部分)の方が吐出口入口146a及びそれより下側に比べて小さくなる。これにより、回転羽根150の回転により生じる遠心力がポンプ室144の内壁部に作用する力は、従来の排水ポンプでは吐出口入口の上下で均一だったものが、本発明の排水ポンプでは、吐出口入口146aよりも上側に作用する力(図1aの符号P1)の方が吐出口入口及びそれより下側に作用する力(同図の符号P2)よりも小さくなる。
【0018】
上述のように回転羽根150の上端を越えてポンプ室144の上側外周部(ポンプ室144における吐出口入口146aの上方に相当する部分)に達した水には流出の際に騒音の原因となる泡が多く含まれているが、本第1実施例では、上記のようにポンプ室144の吐出口入口146aより上側において作用する遠心力が吐出口入口146a及びそれより下側の部分よりも小さくなるため、ポンプ室144から吐出口入口146aに流入する水の多くは遠心力の作用が強い吐出口入口146aと対向する部分(ポンプ室144の吐出口入口146aの部分)及びそれより下側の部分からの水となり、ポンプ室144の上側外周部(符号P1の矢印で示された部分)に達した泡を多く含んだ水が吐出口入口146aに流入する量が低減される。この結果、ポンプ室144から吐出口入口146aに流入する水、すなわち吐出口146から流出する排水に気泡が混入することが抑制され、運転時の静粛性を図ることができる。
【0019】
図3は、本発明の第1実施例による排水ポンプに用いられる回転羽根の変形例(第1変形例)の概要を示す斜視図である。この回転羽根250は、図1a、bに示されたようなハウジング140及びカバー132により画定されたポンプ室144内に配置される。
図3に示すように、回転羽根250には、大径羽根260の縁部のうち上端縁部に段部272、外側縁部に段部282がそれぞれ形成されている。
この回転羽根250においても、大径羽根260の下端縁部はテーパ状に形成されており、この下端縁部は開口部263を有する円盤状の環状部材262で連結されている。
また、隣り合う大径羽根260の間には補助羽根268が設けられており、補助羽根268においても、その上端縁部に段部274、外側縁部に段部284がそれぞれ形成されている。
環状部材262は逆円錐台の側面形状を成しており、その外周部の上面は、大径羽根260の段部282及び補助羽根268の段部284の外周端部よりも外側に突出した平面形状の環状平坦部264とされている。
【0020】
段部272及び274は、大径羽根260及び補助羽根268の上端縁部の全長に亘ってそれぞれ形成されている。このような段部272及び274は、吸込口から吸い込まれた水を上方に撥ね上げて上外方に案内する機能を有する。
また、段部282及び284は、大径羽根260及び補助羽根268の外側端縁部の全長に亘ってそれぞれ形成されている。このような段部282及び284は、吸込口から吸い込まれた水を回転羽根250の径方向外方に案内する機能を有する。
このような構成により、第1変形例の回転羽根250を用いた排水ポンプにおいては、大径羽根260の段部272及び282、並びに補助羽根268の段部274及び284の相乗作用により、排出される水の気液境界面の位置が回転羽根250の回転軸からより離れた位置となるため、回転羽根の吸い込み能力を向上させるとともに振動と騒音を低減することができる。
また、環状平坦面264によって、環状部材262の底面に沿って上昇する水流が、大径羽根260及び補助羽根268の外側端縁部を跨いで流れる水流と干渉しなくなり、気泡の発生がさらに抑制されるという効果を奏する。
【0021】
図4は、本発明の第1実施例による排水ポンプに用いられる回転羽根の他の変形例(第2変形例)の概要を示す斜視図である。この回転羽根350は、図1a、bに示されたようなハウジング140及びカバー132により画定されたポンプ室144内に配置される。
図4に示すように、回転羽根350には、大径羽根360の縁部のうち上端縁部に段部372が形成されている。
この回転羽根350においても、大径羽根360の下端縁部はテーパ状に形成されており、この下端縁部は開口部363を有する円盤状の環状部材362で連結されている。
また、隣り合う大径羽根360の間には補助羽根368が設けられており、補助羽根368においても、その上端縁部に段部374が形成されている。
【0022】
この回転羽根350において、大径羽根360と補助羽根368の外側縁部は円筒状壁部材364によって連結されている。図4においては、円筒状壁部材364の高さは、大径羽根360及び補助羽根368の高さと一致するように構成されているが、大径羽根360及び補助羽根368の高さよりも高くても低くても良い。また、円筒状壁部材364の内壁面には、段部366が形成されている。
このような構成により、この排水ポンプにおいては、大径羽根360の段部372及び補助羽根368の段部374による水流の案内機能に加えて、水流を円筒状壁部材364の上外方にスムーズに流す機能を付加することにより、回転羽根の吸い込み能力を向上させるとともに振動と騒音を低減することができる。
また、円筒状壁部材364によって、環状部材362の底面から当該円筒状壁部材364の外側に沿って上昇する水流が、大径羽根360及び補助羽根368の回転により円筒状壁部材364の内側に沿って流れる水流と干渉しなくなり、気泡の発生がさらに抑制されるという効果を奏する。
【0023】
図5は、本発明の第1実施例による排水ポンプに用いられる回転羽根のさらに他の変形例(第3変形例)の概要を示す斜視図である。この回転羽根450は、図1a、bに示されたようなハウジング140及びカバー132により画定されたポンプ室144内に配置される。
図5に示すように、回転羽根450には、大径羽根460の縁部のうち上端縁部に段部472、外側縁部に段部482がそれぞれ形成されている。
この回転羽根450においても、大径羽根460の下端縁部はテーパ状に形成されており、この下端縁部は開口部463を有する円盤状の環状部材462で連結されている。
また、隣り合う大径羽根460の間には補助羽根468が設けられており、補助羽根468においても、その上端縁部に段部474、外側縁部に段部484がそれぞれ形成されている。
環状部材462は逆円錐台の側面形状を成しており、その外周部の上面は、大径羽根460の段部482及び補助羽根468の段部484の外周端部よりも外側に突出した平面形状の環状平坦部464とされている。
【0024】
この回転羽根450において、大径羽根460の上端縁部に位置する段部472には、例えば2つの傾斜面472a及び472bが形成されている。これらの傾斜面472a及び472bは、回転羽根450の回転軸まわりに回転する大径羽根460の側面に当たる水流の入射角と段部472の段差分だけ回転方向にシフトした位置での傾斜面472a及び472bに当たる水流の入射角とが一致するような傾斜角を、上記大径羽根460の側面に対して有するように形成される。
また段部474は、補助羽根468の上端縁部の全長に亘ってそれぞれ形成されている。
このような形状を備えることにより、大径羽根460で撥ね上げられる水流は、回転羽根450の回転軸を中心とする円の接線方向に向けられることとなり、段部472の前後における水流が均一となる。このため、乱流の発生を軽減して水流への気泡の混流を抑制することができる。
【0025】
また、段部482及び484は、大径羽根460及び補助羽根468の外側端縁部の全長に亘ってそれぞれ形成されている。このような段部482及び484は、吸込口から吸い込まれた水を回転羽根450の径方向外方に案内する機能を有する。
このような構成により、この排水ポンプにおいては、大径羽根460の段部472及び482、並びに補助羽根468の段部474及び484の相乗作用により、排出される水の気液境界面の位置が回転羽根450の回転軸からより離れた位置となる。また、大径羽根460の上端に形成された傾斜面472a及び472bにより、回転羽根450で形成される水流に乱流が発生するのを抑制する。このため、回転羽根の吸い込み能力を向上させるとともに振動と騒音を低減することができる。
さらに、環状平坦面464によって、環状部材462の底面に沿って上昇する水流が、大径羽根460及び補助羽根468の外側端縁部を跨いで流れる水流と干渉しなくなり、気泡の発生がいっそう抑制されるという効果を奏する。
【0026】
<第2実施例>
図6は、本発明の第2実施例による排水ポンプのポンプ本体の概要を示す図である。ここで、図6aは、ポンプ本体530を後述の吐出口546の中心線を通る面で切断した縦断面図であり、図6bは、回転羽根550を取り除いたポンプ本体530を吐出口546の中心線を通る面で切断して斜め下方から見た斜視図である。図6aに示された回転羽根550は、図3に示された回転羽根250と同等のものであり、例えば図8に示されたようなモータ10に連結され、回転可能とされる。
図6に示すように、第2実施例による排水ポンプのポンプ本体530は、上部が開口したハウジング540と、ハウジング540の上部開口と嵌合するカバー532と、ハウジング540及びカバー532により画定されたポンプ室544内に配置された回転羽根550とを備えている。ここで、ポンプ本体530を構成する前述の各部品は、例えばプラスチック製とすることができる。
ハウジング540は、内部に形成されたポンプ室544と、下方からポンプ室544に連通する吸込口543を有するパイプ状の吸込管542と、ポンプ室544の側面に設けられてポンプ室544と外部とを連通する吐出口546を有するパイプ状の吐出管545とを有している。符号546aは、吐出口546がポンプ室544に開口する吐出口入口である。
【0027】
第2実施例において、ハウジング540は、吐出口入口546aの下端と同一の高さに上端面548aを有し、吐出口入口546aからハウジング540の内側中心方向に突出する内側面548bを有する環状の突起部548をその内面側に備えている。
一方、カバー532は、ハウジング540の上部開口に嵌合する環状の側壁部533を有し、シール部材534を挟みこんだ状態でハウジング540と連結されている。
上記環状の側壁部533の下端533aは、吐出口入口546aの上端と同一の高さまで伸びるとともに、環状の側壁部533の内側面533bは吐出口入口546aからカバー532の内側中心方向に突出する形状に形成されている。
【0028】
次に図6aを参照しながら本発明の第2実施例の作用を説明する。
まず図示されないモータを回転させると回転羽根550が回転し、吸込口543からポンプ室544内に水が吸い込まれ、吸い込まれた水は吐出口546から排出される。
吸込口543から吸い込まれた水は、回転羽根550により遠心力を付与されるため、当該回転羽根550の径方向にて内側に空気層、外側に水の層が出来、その境界に気液境界面と呼ばれる空気と水の混じりあう泡の層が形成される。
気液境界面に発生した気泡は、回転羽根550の上端を越える際、遠心力により外周方向へと押し流される。
【0029】
ここで、この第2実施例においては、カバー532に環状の側壁部533が形成されると共に、ハウジング540に環状の突起部548が形成されているため、ポンプ室544の内径は、吐出口入口546aよりも上側(符号533bの部分)および下側(符号548bの部分)の方が吐出口入口546aの部分に比べて小さくなる。これにより、回転羽根550の回転により生じる遠心力がポンプ室544の内壁部に作用する力は、吐出口入口546aの部分よりも、その上側及び下側の部分に作用する力の方が小さくなる。
したがって、本第2実施例においても第1実施例と同様に、ポンプ室544から吐出口入口546aに流入する水の多くは遠心力の作用が強い吐出口入口546aと対向する部分(ポンプ室544の吐出口入口546aの部分)からの水となって、ポンプ室544の上側外周部に達した泡を多く含んだ水が吐出口入口546aに流入する量が低減される。この結果、ポンプ室544から吐出口入口546aに流入する水、すなわち吐出口546から流出する排水に気泡が混入することが抑制され、運転時の静粛性を図ることができる。
【0030】
また、ハウジング540の内面下側に環状の突起部548を備えることにより、従来の排水ポンプに比べて、回転羽根550の外周端部とハウジング540の内面に形成された環状の突起部548との距離がより近くなり、ポンプ本体530のポンプ室544が回転羽根550を境に見かけ上で上側ポンプ室と下側ポンプ室とに2分割される。
これにより、吐出口546から排出される水は、上記した見かけ上の上側ポンプ室から排出されることとなり、見かけ上の下側ポンプ室からの水流と干渉することなく安定するという効果を奏する。
なお、本第2実施例においては、図2、4又は5に示されたような回転羽根を用いることも可能である。
【0031】
図7は、図1及び2に示された本発明の第1実施例による排水ポンプと図8及び9に示された従来の排水ポンプとの運転時の騒音を比較した結果を示すグラフである。図7に示すグラフにおいて、横軸は周波数を、また縦軸は騒音の音圧レベルを示す。また、グラフ中の破線は従来の排水ポンプによる結果を示し、実線は本発明による排水ポンプのものを示す。
図7に示すように、従来の排水ポンプと本発明の第1実施例による排水ポンプとは、周波数に対する音圧レベルで同様の発生傾向を示している。
しかし、聴感上、騒音として感じやすい1000〜3000Hz程度の周波数帯域においては、本発明の第1実施例による排水ポンプの方が従来の排水ポンプよりも音圧レベルが低くなる傾向を示すことが、実験により確認された。
【0032】
さて、本発明は上記の各実施例に限定されるものではなく、種々の改変を施すことがで
きる。
例えば、上記実施例では、排水ポンプのカバーにおいて環状の側壁部をカバーと一体で形成する場合を例示したが、当該環状の側壁部を別体で構成してポンプ室内に配置するように構成してもよい。
特に、図9に示す従来の排水ポンプのカバーと比較して本発明の排水ポンプのカバーが突出している環状部分のみを別体のリング部材として形成し、当該別体のリングをポンプ室内に配置するようにすれば、従来の排水ポンプに上記リング部材を付加するだけで本発明の効果を得ることができる。
【0033】
また、第2実施例においては、ハウジング540に環状の突起部548が形成されるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されることはなく、突起部548をハウジング540と別体とし、別体とされた548をポンプ室544内に取り付けるようにしても良い。
さらにまた、本発明に適用される回転羽根は、上述したもの以外の種々のものが適用可能である。例えば、補助羽根を大径羽根の間に複数枚配置したり、あるいは補助羽根そのものを省略したりしても良く、さらに大径羽根、補助羽根、小径羽根の枚数も上述の4枚には限定されず、さらにまたその他の構成を有する回転羽根であっても構わないことは当然である。
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記の各実施例に種々の改変を施すことができる。
【符号の説明】
【0034】
130、530 ポンプ本体
132、532 カバー
140、540 ハウジング
142、542 吸込管
146、546 吐出口
146a、546a 吐出口入口
150、250、350、450、550 回転羽根
152、252、352、452、552 軸部
154 小径羽根
160、260、360、460 大径羽根
162、262、362、462 環状部材
168、268、368、468 補助羽根
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9