(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の前記昇降シャフトを円周状に配列し、前記各昇降シャフトに対して前記ノズル保持部材を前記締結部材により締結した請求項1ないし7のいずれか一項に記載の実装ヘッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えばノズルあるいは部品の種類等に応じて、実装ヘッドに対するノズルの取付角度を適宜調整する必要が生じる場合がある。そこで、実装ヘッドに対するノズルの取付角度を簡便に調整できることが好適となる。しかしながら、特許文献1、2の実装ヘッドは、このようなノズルの取付角度の簡便な調整に必ずしも資するものではなかった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、実装ヘッドに対するノズルの取付角度を簡便に調整できる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る実装ヘッドは、下端部に取付部を有し昇降可能な昇降シャフトと、取付部に取り付けられる被取付部と、被取付部から下方に延びる延設部と、延設部の下
端に設けられてノズルが係脱可能なノズル係合部とを有するノズル保持部材と、取付部との間において被取付部を挟みつつ取付部に被取付部を締め付けることで昇降シャフトにノズル保持部材を固定し、被取付部の取付部への締め付けを解除することで昇降シャフトの軸方向に延びる線を中心とする回転方向においてノズル保持部材を昇降シャフトに対して回転可能とする締結部材とを備える。
【0008】
本発明に係る部品実装機は、部品を供給する部品供給部と、基板を保持する基板保持部と、上記の実装ヘッドを備え、部品供給部により供給された部品を実装ヘッドにより基板へ実装することを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明(実装ヘッド、部品実装機)では、締結部材により昇降シャフトに締結されたノズル保持部材に対してノズルが係脱可能に係合される。そして、締結部材による締め付けを解除することで、ノズル保持部材が昇降シャフトに対して回転可能となり、昇降シャフトから独立してノズル保持部材を回転させることができる。したがって、昇降シャフト全体を回転させることなくノズル保持部材を回転させることで、実装ヘッドに対するノズルの取付角度を簡便に調整可能となっている。
【0010】
また、被取付部とノズル係合部との間に配置され、ノズル係合部に係合するノズルを下方へ付勢することでノズル係合部へのノズルの係合を保持する付勢部材をさらに備え、 締結部材は下方に開口する貫通孔を有し、付勢部材は
、軸方向において締結部材が当該付勢部材の上端に重複するように締結部材の貫通孔に挿入されるように、実装ヘッドを構成しても良い。かかる構成では、締結部材の少なくとも一部が付勢部材の上端に重複して配置されるため、締結部材を備えたことで実装ヘッドが軸方向に長尺化することを抑制でき、好適である。
【0011】
また、貫通孔は締結部材を軸方向に貫通し、付勢部材は貫通孔を通って軸方向に締結部材を貫通するように、実装ヘッドを構成しても良い。かかる構成では、締結部材を軸方向に貫通するように付勢部材が配置されるため、締結部材を備えたことで実装ヘッドが軸方向に長尺化することをより確実に抑制でき、好適である。この際、付勢部材の上端は被取付部に当接するように実装ヘッドを構成することで、付勢部材を受ける受部材として被取付部を機能させても良い。
【0012】
また、延設部に外嵌して、ノズル係合部に係合するノズルの上端に接する板部材をさらに備え、付勢部材は、ノズル係合部に係合するノズルを、板部材を介して下方へ付勢するように、実装ヘッドを構成しても良い。このように延設部に外嵌してノズルの上端に接する板部材を介することで、付勢部材の付勢力の偏りを抑えてノズルに付勢力的確に与えることができる。
【0013】
また、付勢部材は、延設部に外嵌する圧縮バネであるように、実装ヘッドを構成しても良い。かかる構成では、付勢部材として機能する圧縮バネを延設部により安定的に支持することができ、付勢部材の付勢力をノズルに的確に与えることができる。
【0014】
また、締結部材は、軸方向から取付部に被取付部を締め付けるように、実装ヘッドを構成しても良い。このように軸方向から締め付ける構成は、軸方向に対する傾きを抑えつつノズル保持部材を昇降シャフトに適切に締結することができ、好適である。
【0015】
具体的には、取付部は、被取付部を受ける受面と、受面の周縁から下方に延設された円筒壁とを有し、円筒壁の内周面には軸方向へ進む内ネジが切られ、締結部材の外周面には軸方向へ進む外ネジが切られ、円筒壁の内ネジに螺合することで取付部に被取付部を締め付けるように、実装ヘッドを構成しても良い。
【0016】
なお、本発明は様々なタイプの実装ヘッドに適用できる。そこで、複数の昇降シャフトを円周状に配列し、各昇降シャフトに対してノズル保持部材を締結部材により締結するように実装ヘッドを構成しても良い。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、実装ヘッドに対するノズルの取付角度を簡便に調整することが可能となっている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明に係る実装ヘッドの一例を装備した部品実装機を模式的に示す部分平面図である。
図2は本発明に係る実装ヘッドの一例の外観構成を示す斜視図である。部品実装機1は、基台11の上に設けられた一対のコンベア12、12を備える。そして、部品実装機1は、コンベア12によりX方向(基板搬送方向)の上流側から作業位置(
図1の基板Sの位置)に搬入した基板Sに対して部品を実装し、部品実装を完了した基板Sをコンベア12により作業位置からX方向の下流側へ搬出する。
【0020】
部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール21、21と、Y方向に延びるY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モーターMyとが設けられ、ヘッド支持部材23が一対のY軸レール21、21にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。ヘッド支持部材23には、X方向に延びるX軸ボールネジ24と、X軸ボールネジ24を回転駆動するX軸モーターMxとが取り付けられており、ヘッドユニット3がヘッド支持部材23にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ24のナットに固定されている。したがって、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット3をY方向に移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ24を回転させてヘッドユニット3をX方向に移動させることができる。
【0021】
一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは、2つの部品供給部28がX方向に並んでいる。各部品供給部28に対しては、複数のテープフィーダー281が着脱可能に装着されており、各テープフィーダー281には、集積回路、トランジスター、コンデンサ等の小片状の部品(チップ電子部品)を所定間隔おきに収納したテープが巻かれたリールが配置されている。そして、テープフィーダー281は、テープをヘッドユニット3側に間欠的に送り出すことによって、テープ内の部品を供給する。
【0022】
ヘッドユニット3は、X方向に並ぶ複数(4本)の実装ヘッド4を有する。
図2に示すように、各実装ヘッド4はZ方向(鉛直方向)に延びるメインシャフト40を備え、メインシャフト40の下端に係脱可能に取り付けられたノズル5によって部品を吸着・保持することができる。また、各実装ヘッド4は、Z方向に平行な回転中心線C(仮想線)を中心として設けられたギヤ41を、メインシャフト40の中央付近に備える。これに対して、ヘッドユニット3は、各実装ヘッド4に対して設けられたR軸モーターMrおよび伝達機構31を有する。そして、各実装ヘッド4のギヤ41には対応する伝達機構31のギヤが噛み合っており、各実装ヘッド4は、対応するR軸モーターMrから伝達機構31を介して駆動力を受けることで、回転中心線Cを中心とする回転方向Rへ回転する。
【0023】
このように構成された部品実装機1では、実装ヘッド4がテープフィーダー281の上方へ移動して、テープフィーダー281により供給された部品を吸着する。この際、実装ヘッド4下端のノズル5の向きと吸着対象の部品の向きとが一致するように実装ヘッド4の回転角度を調整した状態で、部品がノズル5により吸着される。続いて、実装ヘッド4が作業位置の基板Sの上方に移動して部品の吸着を解除することで、基板Sに部品を実装する。この際、実装ヘッド4下端のノズル5に吸着される部品の向きと実装箇所の向きとが一致するように実装ヘッド4の回転角度を調整した状態で、部品がノズル5により実装される。
【0024】
図3は
図2の実装ヘッドの下端近傍を模式的に示す部分正面図である。
図4は
図2の実装ヘッドの下端近傍を模式的に示す部分側面図である。
図5は
図2の実装ヘッドの部分切欠断面図である。
図3および
図4において、「離脱」の欄には実装ヘッド4からノズル5が離脱した状態が示され、「係合」の欄には実装ヘッド4にノズル5が係合した状態が示されている。
図5には実装ヘッド4にノズル5が係合した状態が示されている。なお、各図においては、実装ヘッド4に係合するノズル5に吸着される部品Pを適宜示している。これらの図に示すように、実装ヘッド4は、メインシャフト40の下端に設けられた取付部44にノズル保持部材6を取り付けた構成を備える。
【0025】
ノズル保持部材6は、Z方向に延びる主軸61と、主軸61の下端に設けられたノズル係合部62とを有する。ノズル係合部62は、互いに回転方向Rに180度の角度を空けて配置された一対の係合突起621、621を有する。係合突起621、621は、水平方向において互いに逆向きに突出しつつ上方に凸の形状を有する。また、ノズル保持部材6の主軸61には、円環形状の押圧板71およびコイル形状の圧縮バネ72がそれぞれ外嵌する。すなわち、押圧板71および圧縮バネ72それぞれに主軸61が挿通されている。このようにしてノズル係合部62の上方に設けられた押圧板71は、ノズル係合部62の上端の幅(係合突起621、621の両端の距離)より内周円の径が狭い円環形状を有しており、ノズル係合部62の上端に引っ掛かることで下方に脱落しないように構成されている。また、押圧板71の上方に設けられた圧縮バネ72は、押圧板71の内周円より広くて押圧板71の外周円より狭い径のコイル形状を有し、圧縮バネ72の下端は押圧板71の上面に当接する。
【0026】
ノズル5は、上方を向いて開口する略円筒形状の中空部51を有する。中空部51の内壁には、互いに回転方向Rに180度の角度を空けて配置されてそれぞれ上方へ凹んだ一対の係合孔52、52が設けられている。そして、ノズル保持部材6の下端を中空部51に挿入しつつ、ノズル保持部材6のノズル係合部62にノズル5を取り付けることができる。
【0027】
具体的には、例えば
図3の「離脱」の状態から、ノズル5をノズル保持部材6に下方から外嵌しつつ、圧縮バネ72の付勢力に抗してノズル5の上面で押圧板71を相対的に押し上げる。そして、メインシャフト40の下端に設けられた取付部44に押圧板71の上面が近接あるいは当接するまで、ノズル5を相対的に押し上げる。これによって、係合孔52が係合突起621より上方まで相対的に上昇する。この状態からノズル5を90度回転させることで、係合孔52、52と係合突起621、621との回転位置(位相)を合せると、係合孔52、52が係合突起621、621の直上に位置する。続いて、圧縮バネ72の付勢力に従ってノズル5を相対的に降ろすと、係合孔52、52に係合突起621、621が没入し、ノズル5とノズル係合部62とが係合する。さらに、圧縮バネ72が押圧板71を介してノズル5を下方へ付勢するため、ノズル5とノズル係合部62との係合は圧縮バネ72の付勢力により保持される。こうして、
図3の「係合」の欄に示すように、ノズル5と係合突起621とが係合すると、ノズル保持部材6の内部に形成されたエア供給路6B(
図6)とノズル5とが連通し、このエア供給路6Bを介してノズル5に負圧あるいは正圧を供給可能となる。ここで、ノズル保持部材6に対するノズル5の相対的な昇降は、ノズル5を昇降させることで行っても良いし、後述の昇降シャフト43に伴ってノズル保持部材6を昇降させることで行っても構わない。
【0028】
なお、ノズル5を係合させる具体的構成は
図3に示す構成に限られず、従来公知の種々の構成を用いることができ、例えば特許文献1に示された構成を用いることもできる。具体的には、ノズル係合部62にピンを突設するとともにノズル5に鈎状のスリットを設け、ノズル係合部62のピンを、ノズル5の上部で開口するスリットの基端(鈎の基端)からスリットの先端(鈎の先端)まで導入する。そして、圧縮バネ72によりノズル5を下方に付勢して、ノズル5のスリットの先端にノズル係合部62のピンを突き当てることで、ノズル係合部62とノズル5との係合を保持できる。
【0029】
図6は
図2の実装ヘッドの下端部近傍を模式的に示す部分断面図である。
図6においてラインハッチングあるいはドットハッチングが施された部分が断面であり、その他の部分(シャドウが施された部分等)は断面ではない。また、
図6ではノズル5がノズル保持部材6から離脱した状態が示されている。
【0030】
実装ヘッド4は、Z方向に延びるボールケージで構成された支持シャフト42と、支持シャフト42に下方から挿入されてZ方向に延びる昇降シャフト43(ノズル軸)とを、メインシャフト40の内部に備える。昇降シャフト43は、Z方向に延びる外筒部材43Aと、外筒部材43Aの内部に形成されてZ方向に延びるエア供給路43Bとを有し、支持シャフト42に支持されつつ昇降可能である。外筒部材43Aの下端部はエア供給路43Bより下方に延びて支持シャフト42より下方に突出しており、Z方向に延びて下方へ開口する挿入孔43Cをその内部に有する。さらに、昇降シャフト43の下端部には取付部44が設けられている。取付部44は、下方へ開口する中空の円筒形状を有し、水平に仕上げられた円形の受面441と、受面441の周縁から下方に延設された円筒壁442とを有する。この円筒壁442の内周面には、Z方向(軸方向)に進むネジ443が切られている。そして、このように構成された昇降シャフト4の取付部44に対して、ノズル保持部材6が取付可能となっている。
【0031】
ノズル保持部材6は、Z方向に延びる外筒部材6Aと、外筒部材6Aの内部に形成されてZ方向に延びるエア供給路6Bとを有する。ノズル保持部材6は主軸61から水平方向へ突出した円形の鍔部63を有しており、ノズル保持部材6の主軸61は、鍔部63より上方に延びる挿脱部611と、鍔部63より下方に延びる延設部612とを有する。そして、挿脱部611が昇降シャフト43の挿入孔43Cに対して下方から挿脱可能となっており、挿脱部611が昇降シャフト43に完全に挿入された状態(
図6の「締結」の欄に示す状態)において、鍔部63が昇降シャフト43の受面441に突き当たる。
【0032】
一方、上述の押圧板71および圧縮バネ72は延設部612に外嵌するとともに、上述のノズル係合部62は延設部612の下端に設けられる。さらに、鍔部63と押圧板71の間でZ方向に配された円筒形状の外ネジ73が延設部612に外嵌する。すなわち、外ネジ73はZ方向に貫通する挿通孔731をその中心に有しており、外ネジ73の挿通孔731に延設部612が挿通されている。しかも、外ネジ73の挿通孔731の径は圧縮バネ72の外径よりも広く、圧縮バネ72の少なくとも上端部は挿通孔731に
挿入されている。そして、外ネジ73の外周面にはZ方向に進むネジ732が切られており、外ネジ73の外周面のネジ732が円筒壁442の内周面のネジ443に螺合する。
【0033】
こうして、外ネジ73は、受面441との間に鍔部63を挟みつつ円筒壁442に螺合することでZ方向から鍔部63を受面441に締め付けて、昇降シャフト43にノズル保持部材6を締結する(
図6の「締結」の欄に示す状態)。この締結状態において、外ネジ73の挿通孔731に挿入された圧縮バネ72は外ネジ73とZ方向において互いに重複する。
【0034】
ここで、外ネジ73の厚みは圧縮バネ72の密着高さ(圧縮長)に等しく、ノズル5がノズル保持部材6に取り付けられていない状態では、圧縮バネ72の少なくとも下端は外ネジ73より下方に突出する。一方、上述の手順でノズル5をノズル保持部材6に係合すると、押圧板71を介してノズル5により上方へ押し遣られた圧縮バネ72は挿通孔731を貫通して鍔部63の下面に当接しつつ圧縮される。これによって、圧縮バネ72が押圧板71を介してノズル5を下方へ付勢し、上述のとおりノズル保持部材6とノズル5の係合を保持する。こうして、昇降シャフト43に締結されたノズル保持部材6にノズル5を係合した状態では、Z方向において圧縮バネ72が挿通孔731を貫通して外ネジ73の全体に重複し、特に
図6の実施形態では、昇降シャフト43にノズル保持部材6を締結した状態において外ネジ73のネジ732と円筒壁442のネジ443とが互いに螺合する螺合範囲Tの全体に圧縮バネ72が重複する。
【0035】
なお、この締結状態において、昇降シャフト43のエア供給路43Bとノズル保持部材6のエア供給路6Bとが連通する。したがって、エア供給路43Bおよびエア供給路6Bを介して、ノズル保持部材6に取り付けられたノズル5に負圧あるいは正圧を供給可能となる。
【0036】
かかる構成では、
図6の「締結」の欄に示すように、外ネジ73により受面441へ鍔部63を締め付けることで、ノズル保持部材6は昇降シャフト43に対して固定され、昇降シャフト43に対して回転不能となる。一方、
図6の「締結解除」の欄に示すように、円筒壁442に対する外ネジ73の螺合を緩めて、外ネジ73による受面441への鍔部63の締め付けを解除することで、回転中心線Cを中心とする回転方向Rにおいて、ノズル保持部材6は昇降シャフト43に対して回転可能となる。なお、「締結」および「締結解除」の作業は、作業者により実行しても良いし、専用の装置を設けて実行しても良い。
【0037】
以上に説明したように本実施形態の実装ヘッド4では、外ネジ73により昇降シャフト43に締結されたノズル保持部材6に対してノズル5が係脱可能に係合される。そして、外ネジ73による締め付けを解除することで、ノズル保持部材6が昇降シャフト43に対して回転可能となり、昇降シャフト43から独立してノズル保持部材6を回転させることができる。したがって、昇降シャフト43全体を回転させることなくノズル保持部材6を回転させることで、実装ヘッド4に対するノズル5の取付角度を簡便に調整可能となっている。
【0038】
しかも、外ネジ73が圧縮バネ72に重複して配置されているため、外ネジ73を備えたことで実装ヘッド4が軸方向(Z方向)に長尺化することを抑制でき、好適である。特に、昇降シャフト43、ノズル保持部材6およびノズル5のうち支持シャフト42の下端より下側の部分は、支持シャフト42により直接に支持されない不支持部分Uとなるため、傾きやすい。したがって、不支持部分Uが長くなるとノズル5の位置ずれが大きくなり、部品の実装精度が低下する。これに対して、外ネジ73が圧縮バネ72に重複して配置されているため、不支持部分Uの長大化を抑えることができ、実装精度の低下を抑制可能となっている。
【0039】
特に外ネジ73をZ方向に貫く挿通孔731を貫通するように圧縮バネ72が配置されている。そのため、外ネジ73を備えたことで実装ヘッド4が軸方向に長尺化することをより確実に抑制することができ、好適である。この際、圧縮バネ72の上端は鍔部63に当接しており、鍔部63は取付部44に取り付けられる機能のみならず、圧縮バネ72を受ける受部材としても機能している。
【0040】
また、延設部612に外嵌しつつ、ノズル係合部62に係合するノズル5の上端に接する押圧板71が設けられており、圧縮バネ72は、ノズル係合部62に係合するノズル5を、押圧板71を介して下方へ付勢する。このように延設部612に外嵌してノズル5の上端に接する押圧板71を介することで、圧縮バネ72の付勢力を比較的偏りを抑えてノズル5に的確に与えることができる。
【0041】
また、圧縮バネ72は延設部612に外嵌するように設けられている。したがって、圧縮バネ72を延設部612により安定的に支持することができ、圧縮バネ72の付勢力をノズル5に的確に与えることができる。
【0042】
また、外ネジ73は軸方向から取付部44に鍔部63を締め付けることで、ノズル保持部材6を昇降シャフト43に締結している。かかる構成では、ノズル保持部材6と昇降シャフト43とが軸方向に作用する締結力により締結される。したがって、軸方向に対して傾いた力がノズル保持部材6に働くのを抑えられるため、軸方向に対する傾きを抑えつつノズル保持部材6を昇降シャフト43に適切に締結することができ、好適である。
【0043】
以上に説明したように本実施形態では、実装ヘッド4が本発明の「実装ヘッド」の一例に相当し、昇降シャフト43が本発明の「昇降シャフト」の一例に相当し、取付部44が本発明の「取付部」の一例に相当し、ノズル保持部材6が本発明の「ノズル保持部材」の一例に相当し、鍔部63が本発明の「被取付部」の一例に相当し、延設部612が本発明の「延設部」の一例に相当し、ノズル係合部62が本発明の「ノズル係合部」の一例に相当し、外ネジ73が本発明の「締結部材」の一例に相当し、Z方向が本発明の「軸方向」の一例に相当し、回転方向Rが本発明の「回転方向」の一例に相当する。また、圧縮バネ72が本発明の「付勢部材」および「圧縮バネ」の一例に相当し、挿通孔731が本発明の「貫通孔」の一例に相当し、押圧板71が本発明の「板部材」の一例に相当し、受面441が本発明の「受面」の一例に相当し、円筒壁442が本発明の「円筒壁」の一例に相当し、ネジ443が本発明の「内ネジ」の一例に相当し、ネジ732が本発明の「外ネジ」の一例に相当する。また、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、部品供給部28が本発明の「部品供給部」の一例に相当し、コンベア12が本発明の「基板保持部」の一例に相当する。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば昇降シャフト43にノズル保持部材6を締結する「締結部材」の具体的構成は上述の外ネジ73に限られない。そこで、次に説明する構成により、昇降シャフト43にノズル保持部材6を締結しても良い。
【0045】
図7は変形例に係る実装ヘッドの下端部近傍を模式的に示す部分断面図である。
図7においてラインハッチングあるいはドットハッチングが施された部分が断面であり、その他の部分(シャドウが施された部分等)は断面ではない。また、
図7ではノズル5がノズル保持部材6から離脱した状態が示されている。なお、
図7の実装ヘッド4と
図6の実装ヘッド4の違いは、昇降シャフト43にノズル保持部材6を締結する構成にある。そこで、以下では、異なる構成について主に説明することとし、共通する構成については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、共通する構成を具備することで同様の効果を奏する点は言うまでもない。
【0046】
図7の変形例では、昇降シャフト43の下端部に設けられた取付部44は、円筒形状を有し、その外周面にZ方向(軸方向)に進むネジ444が切られている。一方、ノズル保持部材6には内ネジ74が外嵌する。つまり、内ネジ74は、円筒形状の底部741と、底部741の周縁から上方に延設された円筒壁742とを有する。さらに、内ネジ74は、底部741および円筒壁742をZ方向に貫通するように形成された挿通孔743をその中心に有しており、ノズル保持部材6の主軸61が内ネジ74の挿通孔743に挿通されている。
【0047】
底部741の内周の径(すなわち、底部741に囲まれた挿通孔743の径)は、鍔部63の径より小さいとともに圧縮バネ72の外径より大きい。したがって、底部741の位置は鍔部63よりも下方に制限されるとともに、圧縮バネ72の上端部は底部741(の挿通孔743)に対して下方から挿脱可能となっている。一方、円筒壁742の内周の径(すなわち、円筒壁742に囲まれた挿通孔743の径)は鍔部63の径より大きく、円筒壁742はその内側に鍔部63を収める。さらに、円筒壁742の内周面には、Z方向に進むネジ744が切られており、内ネジ74の内周面のネジ744が取付部44の外周面のネジ444に螺合する。
【0048】
こうして、内ネジ74は、取付部44の底に設けられた受面441との間に鍔部63を挟みつつ取付部44に螺合することでZ方向(軸方向)から鍔部63を受面441に締め付けて、昇降シャフト43にノズル保持部材6を締結する(
図7の「締結」の欄に示す状態)。この締結状態において、内ネジ74の挿通孔743に挿入された圧縮バネ72は内ネジ74とZ方向において互いに重複する。
【0049】
ここで、内ネジ74の底部741の厚みは圧縮バネ72の密着高さに等しく、ノズル5がノズル保持部材6に取り付けられていない状態では、圧縮バネ72の少なくとも下端は外ネジ73より下方に突出する。一方、上述の手順でノズル5をノズル保持部材6に係合すると、押圧板71を介してノズル5により上方へ押し遣られた圧縮バネ72は底部741の挿通孔743を貫通して鍔部63の下面に当接しつつ圧縮される。これによって、圧縮バネ72が押圧板71を介してノズル5を下方へ付勢し、上述のとおりノズル保持部材6とノズル5の係合を保持する。
【0050】
かかる構成では、
図7の「締結」の欄に示すように、内ネジ74により受面441へ鍔部63を締め付けることで、ノズル保持部材6は昇降シャフト43に対して固定され、昇降シャフト43に対して回転不能となる。一方、
図7の「締結解除」の欄に示すように、取付部44に対する内ネジ74の螺合を緩めて、内ネジ74による受面441への鍔部63の締め付けを解除することで、回転中心線Cを中心とする回転方向Rにおいて、ノズル保持部材6は昇降シャフト43に対して回転可能となる。
【0051】
以上に説明したように変形例に係る実装ヘッド4では、内ネジ74(締結部材)により昇降シャフト43に締結されたノズル保持部材6に対してノズル5が係脱可能に係合される。そして、内ネジ74による締め付けを解除することで、ノズル保持部材6が昇降シャフト43に対して回転可能となり、昇降シャフト43から独立してノズル保持部材6を回転させることができる。したがって、昇降シャフト43全体を回転させることなくノズル保持部材6を回転させることで、実装ヘッド4に対するノズル5の取付角度を簡便に調整可能となっている。
【0052】
しかも、内ネジ74の少なくとも底部741が圧縮バネ72(付勢部材)に重複して配置されているため、内ネジ74を備えたことで実装ヘッド4が軸方向(Z方向)に長尺化することを抑制でき、好適である。
【0053】
ちなみに、
図6および
図7のいずれの実装ヘッド4においても、昇降シャフト43にノズル保持部材6をZ方向(軸方向)から締結していた。しかしながら、これらを締結する方向はこれに限られない。
【0054】
また、外ネジ73や内ネジ74といった締結部材と、圧縮バネ72といった付勢部材とを重複させる程度も適宜変更することができる。例えばこれらを重複させずに実装ヘッド4を構成することもできる。
【0055】
また、例えば特開2012−54384号公報に記載のように、いわゆるロータリー型の実装ヘッドに対して本発明を適用することもできる。
図8はロータリー型の実装ヘッドの構成を模式的に示す部分平面図である。同図では、ノズル5はその先端の開口で代表して示されている。この実装ヘッド4は、円周状に等ピッチで配列された8本の昇降シャフト43を備え、これら昇降シャフト43の円周配列の中心の回りで回転可能である。特にテープフィーダー281が供給位置281Aに供給する部品Pを吸着する際には、実装ヘッド4は回転することで、一の昇降シャフト43を供給位置281Aの直上に移動させる。続いて、実装ヘッド4は当該一の昇降シャフト43を下降させることで、当該一の昇降シャフト43に取り付けられたノズル5により供給位置281Aから部品Pを吸着する。
【0056】
ここで、同図に示すように、テープフィーダー281が供給位置281Aに供給する部品Pの向き(部品Pの長尺方向)はY方向に平行である。したがって、供給位置281Aから部品Pを吸着する際のノズル5の向き(ノズル5の開口の長尺方向)もY方向に平行に揃えることが求められ、各ノズル5の取付角度を
図8に示す角度に調整する必要がある。これに対して上記の実施形態によれば、昇降シャフト43から独立して回転可能なノズル保持部材6にノズル5が取り付けられているため、実装ヘッド4に対するノズル5の取付角度を簡便に調整可能となっており、好適である。