(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、
図1、
図2及び
図3を参照してロープ固定具10の概略構成について説明する。
図1は本発明の第1実施の形態におけるロープ固定具10の斜視図であり、
図2はロープ固定具10の平面図であり、
図3は捕獲器40が繋がれたロープ固定具10の側面図である。なお、
図3では捕獲器40が模式的に図示されている。
【0016】
図1及び
図2に示すようにロープ固定具10は、イノシシ、シカ、クマ、イタチ、キツネ、タヌキ等の野生動物を捕獲するために山間部近郊などに設置される捕獲器40(
図3参照)を繋ぐための道具であり、第1部材20と、第1部材20の周囲に配置された第2部材30とを備えている。第1部材20は、延長ロープ44を繋ぐための部材であり、中央管21と、中央管21に接合された第1傾斜管22及び第2傾斜管23と、中央管21に接合された屈曲部24とを備えている。
【0017】
中央管21は、地面Gに対して略垂直に打ち込まれる杭45(
図3参照)が挿通される金属製の部材(ストレート管)であり、鉛直方向を向いて配置されている。第1傾斜管22及び第2傾斜管23は、地面Gに対して斜めに打ち込まれる杭46が挿通される金属製の部材(ストレート管)であり、中央管21より短い長さに形成されている。第1傾斜管22及び第2傾斜管23は、中央管21の長手方向の中心位置の外周面に溶接により接合されることで、互いにねじれの位置となる角度に配置されている。
【0018】
中央管21は、金属製の棒材をM字状に屈曲した屈曲部24が、中央管21の外周面の上端および下端に溶接により接合されている。屈曲部24は、中央管21に対して略垂直に配置される下辺25と、径方向の外側の下辺25の先端に連接される連繋部26と、中央管21を中心とする径方向の内側の連繋部26の先端に連接される張出部27と、張出部27の上端に連接される上辺28とを備えている。下辺25は、上辺28と略同一の長さに形成されている。
【0019】
下辺25は、中央管21を中心とする径方向の内側の端部が中央管21の下端に接合される部位である。連繋部26は、下辺25に対して鋭角(本実施の形態では約50°)に曲げられて中央管21へ向けて上昇傾斜する部位である。張出部27は、連繋部26に対して鈍角(本実施の形態では約100°)に曲げられて、中央管21を中心とする径方向の外側へ向けて上昇傾斜する部位である。上辺28は、張出部27に対して鋭角(本実施の形態では約70°)に曲げられて中央管21に対して略垂直に配置されると共に、中央管21を中心とする径方向の内側の端部が中央管21の上端に接合される部位である。連繋部26と張出部27とが交わる点(連繋部26の上端)は、ロープ固定具10の重心の位置より鉛直方向の下方に位置する。
【0020】
屈曲部24は、中央管21の外周面に4本が配置されている。4本の屈曲部24は、平面視して互いに直交するように中央管21に接合されており、平面視して全体として十字状に配置されている(
図2参照)。中央管21の径方向の外側に複数(本実施の形態では4本)の屈曲部24が配置されるので、屈曲部24(特に連繋部26と張出部27とが交わる位置、連繋部26の上端)の周りに延長ロープ44を回して、延長ロープ44を縛りつけることができる。連繋部26及び張出部27は傾斜しているので、連繋部26と張出部27とが交わる位置に縛り付けた延長ロープ44をずれ難くできる。連繋部26は、上端(連繋部26と張出部27との交点)が、ロープ固定具10の重心よりも低い位置にあるので、連繋部26に繋がれた延長ロープ44が野生動物によって引っ張られた場合に、地面Gに打ち込まれて中央管21等を固定する杭45,46を引き抜かれ難くできる。
【0021】
複数(4本)の屈曲部24を用いて連繋部26及び張出部27を形成するので、屈曲部24(棒材)に代えて、円錐台状の筒部材を2つ突き合わせて連繋部および張出部を形成する場合に比べて、第1部材20を軽量化できる。また、屈曲部24(棒材)を用いることで、円錐台状の筒部材を突き合わせて連繋部および張出部を形成する場合に比べて見通しを良くすることができるので、ロープ固定具10が設置される山間部近郊の風景とロープ固定具10と同化させることができ、野生動物が覚える違和感を少なくできる。なお、屈曲部24は、第1傾斜管22及び第2傾斜管23に挿通されて地面Gに打ち込まれる杭46と干渉しない位置に配置されている。
【0022】
第2部材30は、第1部材20に巻かれた延長ロープ44が解けるのを防ぐための上下に延びる部材であり、第1部材20の連繋部26を中心とする径方向の外側(中央管21の中心軸を中心とし連繋部26を通る仮想の円錐台状の曲面の外側)に配置される。第2部材30は、第1部材20の周囲(中央管21の軸を中心とし第2部材30を通る仮想の円筒状の曲面上)に断続的に複数(本実施の形態では4本)が配置されている。本実施の形態では、第2部材30は金属製の直線状の棒材により形成されており、連繋部26の径方向の外側に棒材(第2部材30)の下端部側がそれぞれ溶接により接合されている。第2部材30は、第2部材30が接合されるそれぞれの屈曲部24と同一面上に配置される。
【0023】
第2部材30は、個々の棒材の直径が、第1部材20の直径(中央管21の軸を中心とし連繋部26及び張出部27を通る仮想の円筒の直径)より小さく形成されている。杭45,46(
図3参照)によって地面Gに固定される第1部材20の直径を第2部材30の個々の直径より大きく形成することによって、第1部材20への杭45,46の取付スペースを確保できる。よって、杭45,46を用いて第1部材20を地面Gへ強固に固定できる。また、第2部材30の個々の棒材の直径を第1部材20の直径より小さくすることで、第1部材20に対する第2部材30の接合強度を確保できるので、ロープ固定具10を堅牢にできる。
【0024】
第2部材30は、第1部材20(中央管21)へ向かって上昇傾斜する傾斜部31を備えている。傾斜部31の地面Gに対する傾斜角は、連繋部26の地面Gに対する傾斜角より大きい角度に設定されている。本実施の形態では連繋部26の地面Gに対する傾斜角は約50°、傾斜部31の地面Gに対する傾斜角は約70°に設定されているが、この角度に限られるものではない。連繋部26の傾斜角にもよるが、傾斜部31は、地面Gに対する傾斜角が50°以上90°未満に設定されるのが好ましい。傾斜部31の傾斜角が90°未満であると、傾斜部31に巻きついた延長ロープ44を傾斜部31の傾きに沿って滑らせ、傾斜部31を乗り越えさせて、第1部材20と第2部材30との間に進入させ易くすることができる。傾斜部31の傾斜角が50°以上であると、傾斜部31に延長ロープ44を絡ませ易くすることができる。
【0025】
連繋部26の傾斜角にもよるが、連繋部26と傾斜部31との間に延長ロープ44を進入させ易くするため、連繋部26に対する傾斜部31の傾斜角は10°以上70°未満に設定されるのが好ましい。連繋部26に対する傾斜部31の傾斜角が10°未満であると、連繋部26と傾斜部31との隙間が狭くなるので、連繋部26と傾斜部31との間に延長ロープ44が進入し難くなる傾向がみられる。連繋部26に対する傾斜部31の傾斜角が70°以上であると、延長部31が鉛直に近づくので、延長ロープ44が傾斜部31を乗り越え難くなる傾向がみられる。
【0026】
傾斜部31は、上端32が、連繋部26の上端(連繋部26と張出部27とが交わる点)より鉛直方向の上側、且つ、張出部27の上端より鉛直方向の下側に位置する。傾斜部31は、上端32が、連繋部26の上端(連繋部26と張出部27とが交わる点)より水平方向(径方向)の外側、且つ、張出部27の上端より水平方向(径方向)の内側に位置し、第1部材20(張出部27)と離間する。傾斜部31の上端32と張出部27との間隔は、延長ロープ44の直径(太さ)より大きく設定される。
【0027】
傾斜部31は、連繋部26へ向けて上端32から斜め下方に突出する鉤形の返し33が設けられている。返し33と張出部27との間隔も、延長ロープ44の直径(太さ)より大きく設定されている。第2部材30は、上端32と反対側の端部を下辺25に対して斜め下方に突出させることで、地面Gに接地する脚部34が形成される。4本の脚部34が地面Gに接地することで、第1部材20の中央管21及び下辺25は、地面Gから浮いた状態に配置される。
【0028】
次に
図3及び
図4を参照してロープ固定具10の使用方法について説明する。
図4(a)は第2部材30の周りに延長ロープ44が一方向に巻かれたときのロープ固定具10の模式的な平面図であり、
図4(b)は第2部材30の間に延長ロープ44が入ったときのロープ固定具10の模式的な平面図であり、
図4(c)は延長ロープ44が逆方向に引っ張られたときのロープ固定具10の模式的な平面図である。
【0029】
図3に示すようにロープ固定具10は、中央管21、第1傾斜管22及び第2傾斜管23に挿通した杭45,46を地面Gに打ち込むことで、地面Gに固定される。ロープ固定具10を地面Gに固定する作業を簡易に行うことができる。また、複数の杭45,46によって第1部材20を地面Gに固定するので、杭45,46を中心にして第1部材20が回転してしまうことを防止できる。なお、第2部材30は第1部材20に結合されているので、杭45,46を使って第1部材20を地面Gに固定すると、第2部材30も併せて地面Gに固定できる。第1部材20と第2部材30とを別々に地面Gに固定する場合と比較して、ロープ固定具10を地面Gに固定する作業を簡略化できる。
【0030】
地面Gに固定されたロープ固定具10は、猿環(図示せず)を介して捕獲器40が先端に接続された延長ロープ44の根本が、連繋部26の上端(連繋部26と張出部27とが交わる箇所)に繋がれる。これにより、立木等の固定物がない見通しの良い場所(地面G)にロープ固定具10を固定して、捕獲器40を設置できる。また、第1傾斜管22及び第2傾斜管23により地面Gに対して斜めに杭46が打ち込まれるので、杭45,46を引き抜き難くすることができ、ロープ固定具10を地面Gに強固に固定できる。
【0031】
捕獲器40は、野生動物を捕獲する罠(所謂くくり罠)であり、特許文献1等に開示されており広く知られている。捕獲器40は、ループを縮径する方向にばね部材(図示せず)で付勢されるループ状の罠ロープ41と、ばね部材の弾力に抗して罠ロープ41を広げた状態に維持する維持装置42と、維持装置42を解除してばね部材の弾力で罠ロープ41のループを縮径する解除装置43とを備えている。延長ロープ44に結合された罠ロープ41は野生動物の通り道に設置され、解除装置43は罠ロープ41の中に配置される。
【0032】
野生動物が罠ロープ41に足を踏み込み、解除装置43が起動して維持装置42を解除すると、ばね部材(図示せず)の弾力で罠ロープ41が引っ張られ、罠ロープ41が縮径して野生動物の足を捕縛する。野生動物は罠ロープ41に足を捕縛されると驚いて走り出すが、罠ロープ41を結合した延長ロープ44は連繋部26の上端(連繋部26と張出部27とが交わる箇所)に繋がれているので、野生動物は延長ロープ44に繋がれた状態で連繋部26の周りを回ることになる。
【0033】
図4(a)に示すように、ロープ固定具10は第1部材20(連繋部26)を中心とする径方向の外側に第2部材30が配置されているので、ロープ固定具10の周りを野生動物が一方向(
図4(a)反時計回り)に回ることによって、延長ロープ44は第2部材30の外側に根本から巻かれていく。特に、第2部材30(傾斜部31)の上端32は、連繋部26(連繋部26と張出部27とが交わる点)より鉛直方向の上側に位置するので、延長ロープ44が確実に第2部材30の外側を取り囲む。延長ロープ44が第2部材30の外側に巻かれることで、罠ロープ41に捕縛された野生動物の行動半径(ロープ固定具10を中心とする延長ロープ44の長さ)は小さくなる。しかし、野生動物が逆方向(
図4(a)時計回り)に回り出すと、第2部材30に巻かれた延長ロープ44は解けてしまうので、野生動物の行動半径は再び広がる。
【0034】
これを防ぐため、ロープ固定具10は第2部材30が第1部材20(連繋部26)の周囲に断続的(4カ所)に配置されている。捕縛された野性動物が暴れて延長ロープ44が上下に波打つと、
図4(b)に示すように、延長ロープ44は第2部材30を乗り越えて第2部材30の内側へ入ることがある。
【0035】
特に、第2部材30は第1部材20へ向かって上昇傾斜する傾斜部31(
図3参照)が設けられているので、ロープ固定具10から離れる方向へ延長ロープ44が引っ張られると、ロープ固定具10に巻かれた延長ロープ44に、傾斜部31に沿って上昇する力が作用する。傾斜部31は上端32が第1部材20と離間し、その間隔が、少なくとも延長ロープ44の直径より大きいので、傾斜部31の傾斜に沿って上昇した延長ロープ44を、第2部材30を乗り越えさせることができる。
【0036】
第2部材30と第1部材20との間(連繋部26)に延長ロープ44が入ると、
図4(c)に示すように、野生動物が逆方向(
図4(c)時計回り)に回り出すと延長ロープ44を第2部材30に絡ませることができる。延長ロープ44を第2部材30に絡めることで、ロープ固定具10に巻かれた延長ロープ44の根本側の一定量は解けないようにできる。ロープ固定具10から引き出される延長ロープ44の長さを短くできるので、野生動物の行動半径を小さくできる。野生動物がロープ固定具10の周りを回る方向を変えて延長ロープ44が第2部材30に絡まる度に、ロープ固定具10から引き出される延長ロープ44の長さを短くできる。
【0037】
延長ロープ44を第2部材30に絡めてロープ固定具10に繋がれた野生動物の行動半径を小さくできれば、止め刺し等のために野生動物に近づいた狩猟者へ向かって突進しようとする野生動物の助走距離を短くできる。助走距離が短ければ、仮に野生動物が狩猟者に突進したとしても、狩猟者が受ける衝撃を小さくできるので、狩猟者の安全性を向上できる。
【0038】
なお、第2部材30は、第1部材20(連繋部26)の周囲に複数(本実施の形態では4本)が断続的に配置されているので、第1部材20(連繋部26)の周囲に第2部材30が1本だけ配置されている場合と比較して、第2部材30の数が多い分だけ、延長ロープ44が第2部材30を乗り越える確率を上げることができる。第2部材30の数を増やすことで、延長ロープ44を第2部材30に絡み易くすることができる。
【0039】
第2部材30は、先端32が連繋部26へ近づくように傾斜部31が連繋部26へ向けて傾いているので、連繋部26と傾斜部31との間に入った延長ロープ44が、再び傾斜部31を乗り越えてしまうことを抑制できる。傾斜部31により、第2部材30への延長ロープ44の絡まりが解消されてしまうことを抑制し、野生動物の行動半径を小さくできない不具合が生じることを抑制できる。
【0040】
傾斜部31は、上端32から連繋部26へ向けて斜め下方に突出する返し33が上端32に設けられているので、第2部材30の内側へ入った延長ロープ44を第2部材30の外側へさらに出にくくできる。よって、連繋部26と傾斜部31との間に入った延長ロープ44が、傾斜部31を乗り越えて第2部材30の外に出てしまうことを防ぐ効果を増長できる。
【0041】
第1部材20は、連繋部26の上端に連接される張出部27が第2部材30へ向けて張り出している。張出部27は、連繋部26の径方向の中心(即ち中央管21の中心軸)から径方向の外側の表面までの距離が、鉛直方向の下側より鉛直方向の上側が大きくなるように形成されている。これにより、張出部27に当たった延長ロープ44を、張出部27で案内して連繋部26と第2部材30との間に落とし込むことができる。
【0042】
張出部27は、第2部材30が接合されるそれぞれの屈曲部24(連繋部26)と同一面上に形成されており、第2部材30の上方へせり出している。これにより、連繋部26と第2部材30(傾斜部31)との間に入った延長ロープ44を、張出部27が邪魔をして、第2部材30の外側へ抜け出し難くできる。また、張出部27は連繋部26の上に張り出しているので、張出部27により、連繋部26に繋がれた延長ロープ44が上方へ抜けてしまうことを防止できる。
【0043】
次に
図5及び
図6を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、屈曲部24により連繋部26を形成するロープ固定具10について説明した。これに対し第2実施の形態では、杭46を挿通する第1傾斜管62〜第3傾斜管64により連繋部66が形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図5は第2実施の形態におけるロープ固定具50の側面図であり、
図6はロープ固定具50の平面図である。
【0044】
図5及び
図6に示すようにロープ固定具50は、延長ロープ44が繋がれる第1部材60と、第1部材60の周囲に配置された第2部材30とを備えている。第1部材60は、中央管61と、中央管61に接合された第1傾斜管62、第2傾斜管63及び第3傾斜管64とを備えている。
【0045】
中央管61は、地面Gに対して略垂直に打ち込まれる杭45が挿通される金属製の部材(ストレート管)である。第1傾斜管62、第2傾斜管63及び第3傾斜管64は、地面Gに対して斜めに打ち込まれる杭46が挿通される金属製の部材(ストレート管)である。第1傾斜管62、第2傾斜管63及び第3傾斜管64は、中央管61の外周面の周方向の異なる3カ所に溶接により接合されることで、中央管61の周方向の3カ所から斜め下方に突出し、下端部が同一平面上に配置される。第1傾斜管62、第2傾斜管63及び第3傾斜管64は、同一平面上に位置する下端部が地面Gに接地する脚部65となる。第1傾斜管62、第2傾斜管63及び第3傾斜管64は、中央管61に溶接されることで、中央管21へ向けて上昇傾斜する連繋部66を形成し、中央管21から上昇傾斜する張出部67を形成する。
【0046】
第2部材30は、第2傾斜管63の脚部65に下端部が溶接により接合されている。第2部材30は、第1部材60(中央管61)へ向かって上昇傾斜する傾斜部31の上端32が、連繋部66の上端(連繋部66と張出部67とが交わる点)より鉛直方向の上側に位置し、第1部材60(張出部67)と離間する。傾斜部31の上端32と張出部67との間隔は、延長ロープ44の直径(太さ)より大きく設定される。
【0047】
ロープ固定具50は、延長ロープ44が、連繋部66の上端(第1傾斜管62、第2傾斜管63及び第3傾斜管64と中央管61とが交差する部分)に結ばれる。ロープ固定具50によれば、第1実施の形態におけるロープ固定具10と同様の作用・効果がある。ロープ固定具50は、屈曲部24(
図1参照)を用いずに製造できるので、第1実施の形態におけるロープ固定具10と比べて部品点数を少なくできる。
【0048】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、第1部材20,60や第2部材30の形状、第1部材20,60の周囲に配置される第2部材30の数などは適宜設定できる。
【0049】
上記各実施の形態では、第1部材20,60に第2部材30が接合される場合(第1部材20,60と第2部材30とが結合されて一体化される場合)について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1部材20,60と第2部材30とを分離して、第1部材20,60の周囲の地面Gに第2部材30を打ち込むことで、第1部材20,60の周囲に第2部材30を配置することは当然可能である。また、市販のロープ杭などに延長ロープ44を繋いで第1部材とし、別の杭等の部材を第2部材として、それぞれ地面Gに打ち込んで配置することは当然可能である。
【0050】
この場合、第2部材は、第1部材20,60の周りに杭等の部材を打ち込むことによって構成できる。但し、これは一例であり、上端側が上を向くように棒状の部材の下端を環状の部材に接合して第2部材を構成することは当然可能である。環状の部材を地面Gに固定すれば、環状の部材に固定された棒状の部材を地面Gに固定できるので、棒状の部材が複数ある場合に、複数の部材を1本ずつ地面Gに打ち込まなくて済む。よって、第2部材を地面Gに配置する作業を簡略化できる。棒状の部材や杭を地面Gに対して斜めに配置し、傾斜角を設けることにより傾斜部が構成される。
【0051】
上記各実施の形態では、第1部材20,60が一体化されており、延長ロープ44が繋がれる部位(連繋部26)と延長ロープ44が巻かれる部位とを屈曲部24が兼用する(複数の部材を結合して第1部材20,60を単一化する)場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。互いに分離した状態で複数の部材を地面Gに配置し、その複数の部材で第1部材20,60を構成することは当然可能である。例えば、市販のロープ杭などを地面Gに打ち込んで延長ロープ44が繋がれる連繋部を形成し、それより背の高い杭を隣に打ち込んで、その背の高い杭を延長ロープ44が巻かれる部位にすることができる。互いに分離した杭およびロープ杭が第1部材を構成する。また、立木や切り株などの自然物や地面Gに設けられた標識等の構造物の隣に、延長ロープ44を繋いだロープ杭など(連繋部)を打ち込み、自然物等の構造物を延長ロープ44が巻かれる部位にすることができる。互いに分離した構造物およびロープ杭が第1部材を構成する。このように構成された第1部材20,60の周囲に第2部材を配置することにより、ロープ固定具10,50が形成される。互いに分離した複数の部材で第1部材20,60を構成することにより、ロープ固定具10,50の自由度を高めることができる。
【0052】
上記各実施の形態では、第1部材20,60に挿通する杭45,46を地面Gに打ち込んで第1部材20,60を地面Gに固定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。地面に打ち込んだ杭に第1部材20を縛り付けて第1部材20を地面に固定することは当然可能である。
【0053】
上記第1実施の形態では、連繋部26と張出部27とが同一の部材によって形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、連繋部66と張出部67とを別々の部材(例えば、第2実施の形態のように第1傾斜管62、第2傾斜管63及び第3傾斜管64)で形成することは当然可能である。なお、第2実施の形態のように、互いに接合された第1傾斜管62、第2傾斜管63及び第3傾斜管64で連繋部66及び張出部67を形成するものに限られるものではない。連繋部を形成する部材(例えば直線状の杭など)と、張出部を形成する部材(例えば屈曲した杭など)とを別々に地面Gに配置することは当然可能である。
【0054】
上記第1実施の形態では、4本の屈曲部24を中央管21に接合して連繋部26及び張出部27を形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、屈曲部24の数は適宜設定できる。また、屈曲部24に代えて、円錐台状や角錐台状の筒体や中実体(筒体のような空洞が中に作られていないもの)を2体突き合わせて連繋部および張出部を形成したり、円柱、円筒、角柱、角筒等の筒体や中実体により連繋部を形成したりすることは当然可能である。