(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レーザー光を用いた位置の測定およびレーザースキャンによる点群データの取得を行う測定装置を利用して、照明設備を備えた施設の予め定められた位置における照度の測定に利用される方法であって、
前記測定装置を用いた前記施設に対するレーザースキャンを行うことで取得した前記施設における多数の測定点により構成される点群データを得るステップと、
前記点群データに基づき前記施設の三次元モデルを作成するステップと、
前記施設の設計データから得た前記施設の三次元モデルと前記点群データに基づき作成された前記施設の前記三次元モデルとの対応関係を求めるステップと、
前記対応関係に基づき、交会法を用いて前記施設における前記測定装置の位置を求めるステップと、
前記施設における照度の測定を行う予定位置のデータを得るステップと、
前記施設における位置を求めた前記測定装置を用いて照度計と一体であり、前記測定装置から照射される前記レーザー光を反射する反射プリズムの前記施設における位置を前記測定装置から照射される前記レーザー光により測定するステップと、
前記施設における前記予定位置と前記施設における前記反射プリズムの位置の位置関係を算出し、該位置関係を端末の表示部に表示するステップと
を含む測定方法。
レーザー光を用いた位置の測定およびレーザースキャンによる点群データの取得を行う測定装置を利用して、照明設備を備えた施設の予め定められた位置における照度の測定に利用されるプログラムであって、
コンピュータに
前記測定装置を用いた前記施設に対するレーザースキャンを行うことで取得した前記施設における多数の測定点により構成される点群データを得るステップと、
前記点群データに基づき前記施設の三次元モデルを作成するステップと、
前記施設の設計データから得た前記施設の三次元モデルと前記点群データに基づき作成された前記施設の前記三次元モデルとの対応関係を求めるステップと、
前記対応関係に基づき、交会法を用いて前記施設における前記測定装置の位置を求めるステップと、
前記施設における照度の測定を行う予定位置のデータを得るステップと、
前記施設における位置を求めた前記測定装置を用いて照度計と一体であり、前記測定装置から照射される前記レーザー光を反射する反射プリズムの前記施設における位置を前記測定装置から照射される前記レーザー光により測定するステップと、
前記施設における前記予定位置と前記施設における前記反射プリズムの位置の位置関係を算出し、該位置関係を端末の表示部に表示するステップと
を実行させる測定用プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.第1の実施形態
(概要)
図1には、実施形態における照度の測定を行なう作業の概要が示されている。この例では、作業者100が、測定ユニット200と端末300を携帯し、予め定められた測定点における照度を測定する。
図1には、作業者100が測定ユニット200および端末300を持って移動し、3カ所において測定を行なう場合の例が概念的に示されている。
【0017】
(ハードウェアの構成)
(測定ユニット)
測定ユニット200は、棒状の支持部201、支持部201の先端に固定された反射プリズム202、反射プリズム202の上に固定された照度計203を備えている。反射プリズム202は、位置測定装置400からの測定用レーザ光を反射する。照度計203は、作業者が手にする端末300に接続されており、端末300の操作により動作する。照度計203が測定した照度のデータは、端末300に記憶される。
【0018】
位置測定装置400は、測定用レーザ光を周囲に向かって走査しつつ照射する。この測定用レーザ光が反射プリズム202に当たるとそこで反射され、その反射光が位置測定装置400で受光される。位置測定装置400は、測定用レーザ光の照射方向と伝搬時間とから位置測定装置400からの反射プリズム202の方向と距離を算出する。この結果、位置測定装置400に対する反射プリズム202の相対的な位置関係が判明する。ここで、位置測定装置400の位置を予め定めておくことで、反射プリズム202の位置の情報が得られる。なお、位置測定装置400の位置は、予め高精度GNSS装置等を用いて測定しておくか、位置が既知の点に位置測定装置400を設置することで既知としておく。
【0019】
図2に位置測定装置400のブロック図を示す。位置測定装置400は、測定光照射部401、反射光受光部402、スキャン制御部403、ターゲット方位取得部404、距離算出部405、ターゲット位置算出部406および通信部407を備えている。測定光照射部401は、距離測定用のレーザ光を周囲に向けて走査しつつ照射する。反射光受光部402は、ターゲット(
図1の反射プリズム202)に当たり、そこで反射された測定光を受光する。測定光照射部401と反射光受光部402とは、回転が可能な架台に乗せられており、周囲をスキャンしつつ測定光の照射と反射光の受光が可能とされている。
【0020】
スキャン制御部403は、上記の測定光のスキャンを制御する。ターゲット方位取得部404は、測定光の照射方向(反射光の入射方向)から、位置測定装置400から見たターゲット(この場合は、反射プリズム201)の方向を取得する。距離算出部405は、測定光の飛翔時間(伝搬時間)と光速から位置測定装置400からターゲットまでの距離を算出する。
【0021】
ターゲット位置算出部406は、既知である位置測定装置400の位置、位置測定装置400から見たターゲットの方向、位置測定装置400とターゲットの間の距離に基づき、ターゲットの位置を算出する。すなわち、位置測定装置400から見たターゲットの方向とターゲットまでの距離が判ることで位置測定装置400とターゲットの相対位置関係が判る。ここで、予め位置測定装置400の絶対位置が判っていれば、この相対位置関係からターゲットの絶対位置を知ることができる。この原理により、ターゲット位置算出部406は、ターゲット(
図1の反射プリズム202)の絶対位置、あるいは測定フィールドにおける位置を算出する。この例では、反射プリズム202と照度計203とは近接して配置されており、反射プリズム202の位置を照度計203の位置とみなす。
【0022】
通信部407は、端末300との間で無線通信を行う。無線通信の規格は特に限定されないが、例えばWi−Fi、Bluetooth(登録商標)、各種の無線LAN、携帯電話網等の通信規格が利用される。通信部407は、ターゲット位置算出部406が算出したターゲット(
図1の反射プリズム202)の位置に関するデータを端末300に送信する。
【0023】
(端末)
図1に戻り、作業者は、端末300を携帯している。端末は、携帯型の汎用コンピュータとして利用可能な市販のタブレットであり、CPU、メモリおよび各種のインターフェースを備えている。端末300としては、汎用のコンピュータを利用する以外に専用の端末を用意し、それを用いてもよい。作業者は、端末300を用いて照度の測定に係る作業を行う。
【0024】
端末300は、通信部301、測定予定位置データ受付部302、測定位置データ受付部303、位置判定部304、測定指示報知部305、GUI制御部306および表示部307を備えている。この例では、通信部301および表示部307は、タブレットが備えたハードウェアが利用され、それ以外の機能部は、ソフトウェア的に構成されており、CPUの動作によりその動作が実現される。
【0025】
図示する各機能部の少なくとも一部を専用の回路によって構成してもよい。例えば、図示する各機能部は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのPLD(Programmable Logic Device)などの電子回路により構成することができる。
【0026】
各機能部を専用のハードウェアで構成するのか、CPUにおけるプログラムの実行によりソフトウェア的に構成するのかは、要求される演算速度、コスト、消費電力等を勘案して決定される。例えば、特定の機能部をFPGAで構成すれば、処理速度の上では優位であるが高コストとなる。他方で、CPUでプログラムを実行することで特定の機能部を実現する構成は、汎用のハードウェアを利用できるのでコスト的に優位となる。しかしながら、CPUで機能部を実現する場合、処理速度は、専用のハードウェアに比較して見劣りする。また、CPUで機能部を実現する場合、複雑な演算に対応できない場合もあり得る。なお、機能部を専用のハードウェアで構成することとソフトウェア的に構成することは、上述した違いはあるが、特定の機能を実現するという観点からは、等価である。また、一つの回路で複数の機能部を実現する構成も可能である。
【0027】
通信部301は、位置測定装置400(
図1および
図2参照)と通信を行う。測定予定位置データ受付部302は、照度の測定を行う予定の測定予定位置に係るデータを受け付ける。この例では、位置データとして2次元平面上におけるものが利用される。照度の測定を行う測定予定位置は、予め決められており、通信部301を介して端末300に入力される。勿論、公知の記憶媒体(USBメモリ等)を介して、測定予定位置のデータを端末300に入力してもよい。なお、受け付けた測定予定位置のデータは、端末300の図示しない記憶手段(半導体メモリ等)に記憶される。
【0028】
測定位置データ受付部303は、位置測定装置400が測定した反射プリズム203の測定位置のデータを受け付ける。この測定位置のデータは、通信部301で受信され、測定位置データ受付部303に送られる。位置判定部304は、測定位置データ受付部303が受け付けた反射プリズム203の測定位置と、測定予定位置データ受付部302が受け付けた予め決められている測定予定位置とを比較し、測定位置と測定予定位置の差が予め定めた範囲以下であるか否かを判定する。測定指示報知部305は、位置判定部304が測定位置と測定予定位置の差が予め定めた範囲以下であると判定した場合に、照度の測定を作業者に促す報知に係る処理を行う。
【0029】
GUI制御部306は、後述するGUI(Graphical User Interface)の制御を行う。GUIの制御は、通常のタブレットが備える機能を利用して行われる。GUI制御部により、後述するUI(User Interface)表示の制御が行なわれる。表示部307は、端末300が備える液晶表示装置である。表示部307は、タッチパネルセンサを備え、画面を用いた各種の操作が行なえる仕様となっている。この点は、市販されているタブレットの機能を利用している。
【0030】
また、端末300は、姿勢センサを備えており(外付けでもよい)、後述するキャリブレーションを行うことで、測定環境における端末300の姿勢を取得する機能を有している。
【0031】
(動作の概要)
位置測定装置400は、ターゲットである
図1の反射プリズム203の位置を測定し、その情報を端末300に無線通信で送信する。この情報は端末300で受信される。端末300は、予め定めた測定予定位置と位置測定装置400が測定した反射プリズム202の測定位置とを比較し、その位置関係を算出する。この反射プリズム202の測定予定位置と実際に測定した測定位置との位置関係がGUI制御部306の働きにより、端末300の表示部307にグラフィカルに表示される(
図4参照)。
【0032】
作業者は、端末300の表示部307に表示された
図4に例示されるUI画面を見て、測定ユニット200と共に測定予定位置に近づく。そして、特定の条件が満足された場合に、照度の測定を促す報知が作業者に行われる。この報知を受け、作業者は、その位置で照度計203(
図1参照)を用いた照度の測定を行う。この作業を測定予定位置毎に繰り返すことで、各測定予定位置における照度の測定が行われる。
【0033】
(GUI表示画面の一例)
図4に端末300(
図3参照)の表示部307に表示されるGUI画面(UI画面)の一例を示す。
図4に示す画面を用いたGUIの制御は、GUI制御部306において行われる。
図4(A)には、測定予定位置までの距離と方向が表示されている。端末300は、姿勢センサを有し、
図4の表示画面の向きを周囲環境に合った向きとなるように表示が制御される。したがって、例えば
図4(A)の場合、現在の位置から見て、右斜め45°の方向に12m離れた位置に測定予定位置があることが示されている。
【0034】
図4(B)には、測定予定位置まで、X方向(右方向)に1.45m、Y方向(前方向)に1.38mの位置まで反射プリズム202が近付いた状態が示されている。
図4(C)には、X方向(右方向)に0.58m、Y方向(前方向)に0.56mの位置まで反射プリズム202が近付いた状態が示されている。この例では、測定予定位置から半径70cm以内で照度の測定を行う仕様とされており、反射プリズム202の測定位置と測定予定位置との距離が70cmに近くなると、その旨が画面上で確認できるように画面上に半径70cmに相当する同心円が表示される。また、反射プリズム202の測定予定位置と測定位置との距離が70cm以下になると、画面の一部の色や濃淡が変化する強調表示となり、その旨が作業者に報知される。この報知は、音響的なものを利用することもできる。
図4(C)には、「測定」を指示するアイコンが強調表示され、作業者が画面上のその位置に触れると、照度の測定が照度計203によって行われる例が示されている。
【0035】
(処理の一例)
図5には、処理の手順の一例を示すフローチャートが示されている。
図5の処理を実行するためのプログラムは、端末300内のメモリに記憶されている。このプログラムは、適当な記憶媒体に記憶させ、そこから提供される形態であってもよい。これは、
図7や
図9の処理についても同じである。
【0036】
ここでは、陸上競技場における照明設備に係る照度の測定を行う場合の例を説明する。まず、陸上競技場のフィールド上の適切な位置に位置測定装置400を設置する。位置測定装置400の位置は、測量用の高精度GNSS装置を用い正確に特定する。位置測定装置400の位置データは、端末300に記憶される。また、端末300のキャリブレーションを行い端末300が方位を測定できるようにする。この処理は、以下のようにして行われる。
【0037】
まず、端末300に当該陸上競技場の地図情報を入力する。次に、当該陸上競技場内の複数の位置で端末300の位置を、位置測定装置400を用いて測定する、各測定点における端末300の姿勢は、端末300が内蔵する姿勢センサによって判るので、上記の当該陸上競技場の地図情報と端末の姿勢との関係を取得する。この結果、当該陸上競技場の地図情報を端末300の表示部307に表示させた際に、現場の状況にあった地図の向きが常に表示できるようになる。
【0038】
次に、JIS規格等の予め定められた規格、あるいは当該陸上競技場において定められた規格に従って測定予定位置のデータを作成する(ステップS101)。この例では、
図6に示すように陸上競技場のフィールドに複数の格子点を測定予定位置として設定する。測定予定位置のデータは、端末300に記憶される(ステップS102)。
【0039】
端末上で
図4に例示する処理に係るプログラムを起動すると、最初に到達すべき測定予定位置(
図6の格子点の一つ)が選択され、そこへの誘導を促すUI画面表示(
図4参照)が端末300の表示部307に表示される。作業者は、
図4に例示されるUI表示を利用して、格子状に設定された測定予定位置に照度計203を誘導する(S103)。この作業は、作業者が端末300を見ながら測定ユニット200を手に持ち、徒歩で移動することで行われる。
【0040】
例えば、最初に
図4(A)の表示が行われた場合、作業者は、表示された測定予定位置の方位と距離を把握し、当該測定予定位置に向かって徒歩で移動する。測定予定位置に近づくと、
図4(B)に示すような、現在位置と測定予定位置との相対位置関係が視覚的に把握し易い表示画面に切り替わる。
図4(B)において、同心円の中心が測定予定位置であり、黒点がその時点における反射プリズム202の測定位置である。また、内側の同心円が測定予定位置と見なせる範囲を示す表示である。
【0041】
図4(B)の状態から更に測定予定位置に近づき、反射プリズム202の位置が測定予定位置と見なせる範囲(この場合は、半径70cmの範囲)に入ると、その旨を作業者に報知する
図4(C)に例示するような報知画面に切り替わる。
図4(C)の報知画面では、照度の測定が可能な位置にある旨を作業者に報知する強調表示が行われる。
【0042】
この段階で作業者が端末300を操作し、照度の測定を指示すると、照度計203による照度の測定が行われる(ステップS104)。測定された照度のデータは、端末300内のメモリに設定された記憶ファイルに記憶される。この際、測定位置の座標データおよび測定時刻のデータと関連付けして照度のデータが記憶される(ステップS105)。
【0043】
以上の処理を格子状に設定された各点において順次行うことで、各測定予定位置における照度のデータが得られる。
【0044】
図7にステップS103に係る処理の一例を示す。この処理は、端末300の位置判定部304において行われる。この処理では、まず測定予定位置P1の位置データを取得する(ステップS201)。次に、実際に測定した反射プリズム202の位置データP2を取得する(ステップS202)。次に、P1とP2の位置の差(P1とP2の距離)ΔPを算出する(ステップS203)。
【0045】
ΔPを算出したら、ΔPが予め定めた規定値(例えば70cm)以下であるか否か、を判定する(ステップS204)。ΔPが規定値以下であれば、報知処理を行い(ステップS205)。ΔPが規定値以下でなければ、ステップS202以下の処理を繰り返す。
【0046】
(優位性)
上記の例によれば、端末の表示部に測定すべき位置への誘導を促す表示が行われるので、照度計203の位置の特定に係る作業を効率化できる。
【0047】
2.第2の実施形態
(初めに)
本実施形態は、第1の実施形態において、位置測定装置400の位置のデータを取得する技術に関する。例えば、屋根付き競技場や屋内設備の場合、GNSSを利用した位置決めができない場合や困難な場合がある。このような場合に位置測定装置400の位置を測定できる技術について以下に説明する。
【0048】
(構成)
本実施形態では、
図3の端末300の代わりに
図8に示す端末310を利用する。端末310は、
図3の端末300に点群位置データ取得部311、三次元モデル作成部312、三次元モデルマッチング部313および位置測定装置の位置算出部314を追加した構成を有する。
図8において、
図3と共通する部分の機能は、
図3の場合と同じである。また、機能部をソフトウェア的に構成するのか、専用のハンドウェアで構成するのかに関する点も
図3の場合と同じである。
【0049】
この例では、
図2の位置測定装置400として、レーザスキャナの機能を有したものを用いる。この場合、測定光照射部401から照射されたレーザ光の対象物からの反射光が反射光受光部402で検出(受光)される。この動作を対象物の各点で行うことで、対象物の点群位置データが得られる。レーザスキャナについては、例えば特開2010−151682号公報に記載されている。
【0050】
測定光照射部401から照射された測定光が反射光受光部402で受光されるまでの飛翔時間から測定点(測定光が当たった点)までの距離が判る。この測定点までの距離と測定光の照射方向から、位置測定装置400に対する測定点の相対位置が判る。この測定は測定体対象物をスキャンしながら行われ、多数の点において行われる。この多数の測定点の位置情報の集まり(群)のことを点群位置データという。点群位置データは、対象物を点(測定点)の集まり(群)として取り扱ったデータである。点群位置データに基づき、対象物の各点を三次元空間中にプロットすることで、点の集まりとして把握される対象物の三次元モデルが得られる。
【0051】
点群位置データ取得部311は、位置測定装置400のレーザスキャナ機能を用いて測定した点群位置データを取得する。三次元モデル作成部312は、点群位置データ取得部311が取得した点群位置データに基づき、測定対象物の三次元モデルを作成する。この技術については、例えば特開2012−230594号公報、特開2014−35702号公報等に記載されている。
【0052】
三次元モデルマッチング部313は、予め用意された測定環境の三次元モデルと三次元モデル作成部312が作成した三次元モデルとのマッチング(対応関係を求める処理)を行う。三次元モデルのマッチングに関しては、例えば国際公開番号WO2012/141235号公報、特開2014−35702号公報、特開2015−46128号公報、特願2015−133736号等に記載されている。
【0053】
測定環境の三次元モデルというのは、位置測定装置400が設置された位置から見える構造物の三次元モデルのことである。例えば、野球場が測定環境であれば、その野球場の構造を三次元モデル化したものが測定環境の三次元モデルとして利用される。現在では、CADを用いて各種の建築物は設計されており、CADデータから当該建築物の三次元モデルデータを得ることができる。
【0054】
(動作)
この例では、位置測定装置400の測定環境における位置を決める処理が以下のようにして行われる。この例では、測定環境として陸上競技場の場合を説明する。
図9に処理の手順の一例を示す。この処理では、まず、位置測定装置400を当該陸上競技場の適切な位置に設置する。設置位置としては、競技が行われるフィールド内が適当である。この時点で位置測定装置400の当該陸上競技場における位置は不明あるいは不明確であってもよい。この状態で以下の処理が開始される。
【0055】
まず、位置測定装置400のレーザスキャン機能を利用して、位置測定装置400周囲の三次元点群位置データの取得を行う(ステップS301)。取得する三次元点群位置データは、周囲(この場合は、位置測定装置400の位置から見える陸上競技場の設備等)の全でなくてもよく、その一部であってもよい。この処理は、点群位置データ取得部311により行われる。
【0056】
点群位置データを得たら、この点群位置データに基づく三次元モデルを作成する(ステップS302)。この処理は、三次元モデル作成部312において行われる。この処理において、当該陸上競技場の構造物を内側から見た場合の三次元モデルが得られる。この場合、当該陸上競技場外側の構造物はモデル化されないが、当該三次元モデルは、位置測定装置400の設置場所の特定に用いられるモデルであるので、特に不都合は生じない。
【0057】
三次元モデルが得られたら、予め入手しておいた当該陸上競技場の三次元モデル(第1の三次元モデル)とステップS302で作成した三次元モデル(第2の三次元モデル)とのマッチング(対応関係の特定)を行う(ステップS303)。この処理は、三次元モデルマッチング部313において行われる。
【0058】
第1の三次元モデルと第2の三次元モデルとの対応関係を特定したら、後方交会法を用いて、第1の三次元モデルと位置測定装置400との相対位置関係を特定する(ステップS304)。後方交会法の原理を
図10に示す。後方交会法とは、未知点から3つ以上の既知点へ向かう方向を観測して、それらの方向線の交点として未知点の位置を定める方法である。後方交会法としては、単写真標定、DLT法(Direct Liner Transformation Method)が挙げられる。交会法については、基礎測量学(電気書院:2010/4発行)182p,p184に記載されている。また、特開2013―186816号公報には交会法に関して具体的な計算方法の例が示されている。
【0059】
例えば、
図10の場合、点P
1〜P
3は、第1の三次元モデルおよび第2の三次元モデルの間で対応関係が取れた領域から選択される。ここで、第1の三次元モデルは、既知のデータ(例えば、当該陸上競技場の設計データ)から得ているので、第1の三次元モデルを構成する点の位置は既知である。すなわち、点P
1〜P
3の位置は既知である。他方において、第2の三次元モデルで考えた場合、未知点Oから点P
1〜P
3への方向線は、測定用のレーザ光の光路に相当する。したがって、点P
1〜P
3を得た際のレーザスキャン方向から、3本の方向線が得られる。そして、この3本の方向線の交点の座標を求めることで、点Oの座標、すなわち位置測定装置400の座標(点P
1〜P
3を記述する座標系における座標)が得られる。
【0060】
すなわち、第2の三次元モデルは、位置測定装置400を視点として得られた点群位置データに基づいて作成したものであり、第2の三次元モデルと位置測定装置400との相対位置関係は特定されている。ここで、第1の三次元モデルと第2の三次元モデルの対応関係が判明することで、第1の三次元モデルと位置測定装置400との相対位置関係が特定できるようになる。第1の三次元モデルの位置は既知であるので、第1の三次元モデルと位置測定装置400との相対位置関係が特定されることで、位置特定装置400の位置を求めることができるようになる。
【0061】
ステップS304の処理により、当該陸上競技場における位置測定装置400の位置が特定される。すなわち、位置測定装置400が当該陸上競技場のどの位置に設置されているのかが判明する。当該陸上競技場における位置測定装置400の位置が特定されたら、第1の実施形態で説明した処理に従って当該陸上競技場の予め定められた位置における照明の照度の測定が行われる。
【0062】
第2の三次元モデルを平面モデル(鉛直上方の視点から見た平面図に対応する2次元モデル)に変換し、それと
図6に例示するような測定フィールドの周辺構造物の平面図とを比較し、両者の対応関係を特定してもよい。この場合、
図6の平面図上における位置測定装置400の位置が特定される。ここで、平面図の代わりに鉛直上方から当該陸上競技場を撮影した写真画像を利用することもできる。この場合のマッチングは、平面画像同士の対応関係を求めるマッチング技術を利用して行われる。平面画像同士の対応関係を求めるマッチング技術としては、テンプレートマッチングや特開2013−178656号公報に記載された技術がある。
【0063】
ところで、近年、スマートフォンにGNSSを利用した位置測定機能が付いたものがある。また、携帯電話の基地局からの電波を利用する方法、無線LANの電波を利用する方法による測位技術も知られている。これらの技術は簡便であるが、測位精度が5〜10m程度以上であり、それだけでは、本発明技術の用途には利用できない。しかしながら、上記の簡便な位置決め方法と本実施形態の点群位置データを用いた位置測定装置400の位置決め方法とを併用することで、専用のGNSS装置を用いずに簡便に作業が行なえ、且つ、高精度の位置決めが可能となる。
【0064】
3.その他
図5の処理では、測定予定位置への誘導→照度の測定の処理を繰り返し行うことで照度のデータを得るが、測定予定位置の特定をまず行って各測定予定位置のマーキングを行い、その後にマーキングされた各測定予定位置における照度の測定を行ってもよい。また、照度に加えて、色度や波長分布特性等のデータの測定を行うこともできる。また、通信用の電磁波(例えば、無線LANの電波)の測定、ガンマ線等の放射線の測定、視認できない紫外領域や赤外領域の光の測定、高圧送電線や高圧電気設備が発生する電磁波の測定といった技術に本発明を利用することができる。
【0065】
特定の方位からの光線の照度を測定することもできる。この場合、測定ユニット200に姿勢センサ固定し、その出力が端末300に入力されるようにする。そして、
図4の表示画面上に照度計203の方向が表示されるようにする。この場合、測定ユニット200を鉛直軸回りで回転させると照度計203の方向が
図4の画面内に表示され、作業者はどの方向からの入射光の照度を測定できるかを把握できる。
【0066】
測定の対象となるフィールドは、運動場に限定されず、室内、駅等の公共空間、商業施設、公共交通機関の室内、山野等が挙げられる。
【0067】
ステップS205の段階で照度の測定を作業者に促す報知処理を行わず、特定の条件を満たした段階で自動的に照度の測定が行われるようにしてもよい。
【0068】
図1には、作業者が徒歩で移動しながら測定を行う状況が示されているが、作業者が適当な移動手段(例えば、移動用電動カート)に乗って移動してもよい。この場合、当該移動手段に測定ユニット200を固定する。
【0069】
自律移動が可能な移動手段(例えば、無人の電動カート)に測定ユニット200を固定し、
図4のUIを行うための制御データを利用して当該移動手段の自律移動を行う構成も可能である。この場合、
図4のUIを行うための制御データを利用して当該移動手段の移動を制御する自律移動制御部が端末300内に用意される。なお、この自律移動制御部は、外付けの装置として用意してもよい。
【0070】
自律移動制御部は、例えば以下の制御を行う。例えば、
図4(A)の状況では、当該移動手段を右斜め45°の方向に12m移動させる制御信号を生成し、この制御信号に従って当該移動手段が移動する。同様に、
図4(B)の状況では、当該移動手段をX軸方向に1.45m、Y軸方向に1.38m移動させる制御信号を生成し、この制御信号に従って当該移動手段が移動する。そして、
図4(C)になった段階で端末300から照度計203に照度の測定を指示する制御信号が送られ、照度の測定が行われる。以上の処理は、当該移動手段が移動可能な全ての測定予定位置で行われる。この自律制御を利用した場合、作業者の負担が大きく軽減される。また、移動手段として遠隔操作される移動手段(無線操縦される電動カート等)を利用することもできる。