(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チャック装置は、前記バックステーの所定部位を把持する複数のチャッキング爪を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコークス炉コークサイド自走式バックステー取替機。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るコークス炉設備の平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るコークス炉まわりの構成例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるバックステー取替機の側面図である。
【
図4】本発明の実施形態におけるバックステー取替機の背面図である。
【
図5】本発明の実施形態におけるバックステー取替機の上面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る上部旋回基台の駆動機構まわりを示す上面図及び側面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るチャック装置のチャッキングヘッドまわりの正面図である。
【
図8】本発明の実施形態におけるバックステー取替機の動作例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態におけるバックステー取替機の動作例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態におけるバックステー取替機の動作例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態におけるバックステー取替機の動作例を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態におけるバックステー取替機の動作例を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態におけるバックステー取替機の動作例を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態におけるバックステー取替機の動作例を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態におけるバックステー取替機の動作例を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態におけるバックステー取替機の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明によるコークス炉コークサイド自走式バックステー取替機における好適な実施の形態を説明する。
図1はコークス炉設備の平面図、
図2はコークス炉まわりの例を示す断面図である。先ずこれらについて概略説明すると、
図2に示すようにコークス炉100は蓄熱室101の上部に炭化室102と燃焼室103が交互に並べられ(
図2の紙面直交方向、即ち
図1の矢印Y;炉団長方向)、炉団をなしている。炭化室102は、石炭を蒸し焼きにしてコークスを作る部屋である。燃焼室103は、燃料ガスを燃焼させる部屋であり、煉瓦から構築される。コークス炉100は基本的に煉瓦製であり、多数の煉瓦を積み重ねて構成される。
図1では3炉団編成と2炉団編成を有し、炉団長方向Yに沿って1A〜5Bの炉団を含んでいる。
【0014】
各炭化室102は十数メートル程度の奥行き(
図2、矢印X方向)を持ち、コークス原料である配合、粉砕された石炭が投入される。燃焼室103の奥行き方向Xの両端部には
図2において略記するが、補強構造体(支柱)であるバックステー104が燃焼室103と略同一高さで立設される。炉団のPS(Pusher Side)には押出機105が配備され、CS(Coke Side)にはガイド車106が配備される。また、炉団のPS及びCSにはそれぞれ、炉団長方向Yに沿ってプラットホーム107を有する。
【0015】
コークス炉100のCSには更に、炉団長方向に消火車及び電車108の軌条109、ガイド車軌条110、ガイド車給電設備111、ガイド車集塵ダクト112、窯口集塵ダクト113、石炭装入車集塵ダクト114等が設置されている。なお、ガイド車軌条110は第三軌条110Aを含んでおり、これらはいずれもガイド車軌条として機能する。このうちガイド車給電設備111、ガイド車集塵ダクト112及び窯口集塵ダクト113等は、電車108の軌条109を跨いで渡された梁115や支柱等により高位置に保持された構造である。このようにCSのガイド車が走行する範囲付近にはコークス炉100に付帯する多数の設備あるいは装置等が設置され、CSバックステー交換作業を困難にしている。
【0016】
本発明のコークス炉コークサイド自走式バックステー取替機は、コークス炉100に設置されたバックステー104を補修するために自走式に走行してその取替作業を行うように構成される。
図3〜
図5は、本実施形態におけるバックステー取替機10の構成例を示している。
図3はバックステー取替機10の側面図、
図4はその背面図、
図5はその上面図である。バックステー取替機10は典型的にはコークス炉100のCSに配備され、プラットホーム107に敷設されたガイド車軌条110上を往復動可能になっており、
図3〜
図5ではバックステー取替機10がガイド車軌条110上に乗った状態が示される。
【0017】
バックステー取替機10は基本構成において、
図3〜
図5を参照して、コークス炉100のCSのプラットホーム上で炉団長方向に沿って敷設されたガイド車軌条110上を走行可能なベース11と、ベース11上でガイド機構13を介してガイド車軌条110と直交方向にスライド移動可能に支持された中間ベッド12と、中間ベッド12上で駆動機構15を介して鉛直軸まわりに回動可能に支持された上部旋回基台14と、上部旋回基台14上で昇降機構17を介して上下動可能に支持され、バックステー104を把持して水平軸まわりに回動可能に支持するチャック装置16と、を備える。
【0018】
ベース11は概略矩形状の薄箱型に形成され、その矩形の4つの角部に対応するように4つの軌条走行輪18を有する。各軌条走行輪18がガイド車軌条110上を転動し、ベース11は炉団長方向Yに沿って往復動することができる。ベース11には
図4のように軌条走行輪18の駆動用の電動モータ19が搭載され、チェーンあるいはベルト等の動力伝達手段を介して電動モータ19の動力で軌条走行輪18が回転駆動される。
【0019】
中間ベッド12は概略矩形状の薄箱型に形成され、ガイド機構13を介してガイド車軌条110と直交方向、即ち奥行き方向Xに沿ってスライド移動可能である。ガイド機構13として例えばリニアモーションガイド等を用い、ベース11上には奥行き方向Xに一対のガイドレール20が敷設され、中間ベッド12の下面にはガイドレール20上をスライド可能なスライダ21が取り付けられる。ガイド機構13の駆動源として例えばガイドレール20の間に駆動シリンダ22を備え、この駆動シリンダ22の伸縮動作により中間ベッド12は奥行き方向Xに沿って往復動することができる。
【0020】
上部旋回基台14は軸受を介して、中間ベッド12上で鉛直軸まわりに回動可能に支持される。上部旋回基台14の駆動機構15としてピニオン&ホイールギヤ機構を用い、
図6(A),(B)のように中間ベッド12側に配置されたピニオンギヤ23と、上部旋回基台14側に配置されたホイールギヤ24が相互に噛合する。ホイールギヤ24は鉛直軸Zまわりに回動可能に軸支されており、ピニオンギヤ23は電動モータ25を駆動源として減速機26を介して回転駆動される。
【0021】
チャック装置16の昇降機構17として、上部旋回基台14上で上下動可能なエレベータ27を装備する。上部旋回基台14上に立設された支柱28にはエレベータ27の昇降動作をガイドするガイド機構が設けられる。このガイド機構として例えばリニアモーションガイド等を用い、各支柱28の側面には鉛直方向にガイドレール29が敷設され、エレベータ27の側面にはガイドレール20に沿ってスライド可能なスライダ30が取り付けられる。エレベータ27の駆動源として例えば駆動シリンダ31を備え、この駆動シリンダ31とエレベータ27とがワイヤ32により接続されている。プーリもしくは滑車33に巻回されたワイヤ32を介して、駆動シリンダ31の伸縮動作によりエレベータ27を昇降させることができる。
【0022】
エレベータ27上にはチャック装置16の架台34が立設され、この架台34にチャッキングヘッド35が回転可能(
図5、矢印θ方向)に支持される。チャッキングヘッド35は、
図3のようにコークス炉100に設置されているバックステー104に対向し得るように、複数の軸受36を介して水平方向に支持された回転支軸37の先端部に取り付けられる。架台34の背面側にはチャッキングヘッド35の回転駆動源として例えば駆動シリンダ38を備え(
図4)、この駆動シリンダ38の伸縮動作により回転支軸37、従ってチャッキングヘッド35は水平軸のまわりに少なくとも90°程度、往復回転することができる。
【0023】
チャッキングヘッド35においてチャック装置16は、バックステー104の所定部位を把持する複数のチャッキング爪39を有する。ここで、バックステー104はH型鋼もしくはそれと同等な形状を有し、H字の一方の側辺を4ヶ所で挟持し得るように(
図7参照)4つのチャッキング爪39を備える。この場合、取り替えられるバックステー104の長手方向中央部付近を把持して、重量バランスよく支持する。各チャッキング爪39はチャッキングヘッド35上で、
図5に示されるようにx方向,y方向及びz方向の3方向に可動に取り付けられ、チャッキング爪39の駆動源として複数の駆動シリンダ40等が付設される。
【0024】
チャック装置16のチャッキング爪39によりバックステー104を把持し、チャッキングヘッド35を回転支軸37のまわりに回転させることで、例えば
図3のようにバックステー104を水平に支持し、あるいは
図5のように鉛直に支持することができる。このようにバックステー104を支持した状態で適宜、エレベータ27を駆動してチャッキングヘッド35を上下動させることができる。
【0025】
また、ベース11の各角部に設けた4つの軌条走行輪18の側近にはそれぞれ、
図3等に示すようにガイド車軌条110と直交方向に走行可能な横行輪41を有する。4つの横行輪41はそれぞれ、炉団長方向Yに沿って水平支持された回転軸のまわりに回転可能に支持され、ベース11に搭載された電動モータ42の動力で回転駆動される。また、横行輪41はベース11に格納式に支持される。詳細図示等を省略するが、横行輪41を支持するフレーム部材が駆動シリンダ43の伸縮動作により、横行輪41の回転軸を
図3の矢印Aのように往復動させるように可動付勢される。
【0026】
横行輪41が格納されることで、ベース11は軌条走行輪18でガイド車軌条110上を走行可能となり、また、横行輪41を展開することで、軌条走行輪18をガイド車軌条110から離脱させることができる。この離脱状態で電動モータ42の動力で横行輪41を回転駆動することにより、ベース11、従ってバックステー取替機10をガイド車軌条110と直交方向、即ち奥行き方向Xに沿って走行させることができる。本例ではより具体的にはバックステー取替機10は、コークス炉100の炉団相互間にある中間デッキ内で往復動するようにしている。
【0027】
更に、横行輪41のうち例えば横行方向前側(後側であってもよい)2つは、詳細図示等を省略するが、操舵可能に構成されている。このように横行輪41が操舵機能を持つことでバックステー取替機10が中間デッキ内で往復動する際、走行方向を所望にコントロールすることができる。
【0028】
上記の場合、可動部材の駆動源である電動モータ19、電動モータ25及び電動モータ42、あるいは駆動シリンダ22、駆動シリンダ31、駆動シリンダ38、駆動シリンダ40及び駆動シリンダ43(なお、これらの駆動シリンダは油圧式が好適である)等はそれらの駆動制御部を含む制御盤44(
図5参照)と接続される。そして、これらの駆動源の作動タイミングあるいは時間が制御盤44によって適正制御されるようにしている。
【0029】
次に、上記構成でなるバックステー取替機10の典型的な動作例について説明する。バックステー取替機10は例えば
図8のようにCSのガイド車軌条110上を走行して、
図9のようにCSの取り替えるべきバックステー104まで移動し、チャッキングヘッド35が例えば
図3のようにバックステー104に対向して停止する。この場合、取り替えるべきバックステー104は所定長さに切断されている。ガイド機構13を駆動すると、バックステー104を把持できる位置までチャック装置16を移動させることができる。即ち中間ベッド12とチャック装置16は一体でガイド機構13により奥行き方向Xに沿ってバックステー104を把持する位置まで水平移動する。そして、チャッキング爪39を作動させバックステー104を把持し、ガイド機構13によりバックステー104を設置位置から取り外し、バックステー取替機に取り込む。その後必要に応じエレベータ27を駆動して、
図9のようにチャッキングヘッド35の上下位置を調整し、チャック装置16によりバックステー104を垂直に保持した状態で、バックステー取替機10はガイド車軌条110上を走行し、
図10のように中間デッキ116まで移動する。
【0030】
次に、
図11のようにエレベータ27を駆動して、チャッキングヘッド35が更に上昇され、更に
図12のように駆動機構15によって上部旋回基台14が90°旋回する。次に
図13のように駆動シリンダ38により回転支軸37を回転させ、チャッキングヘッド35が水平軸のまわりに90°回転することでバックステー104が水平に保持される。その後、
図14のようにエレベータ27を駆動して、チャッキングヘッド35が下降され、次いで格納されていた横行輪41が展開される。そして、軌条走行輪18がガイド車軌条110から離脱し、バックステー取替機10は横行輪41により、中間デッキ116内でPSに向けて走行する。バックステー104は水平状態に支持されておりバックステー取替機10より上に突出していないので、例えば中間デッキ116の上部に何らかの障害物があったとしても、バックステー104と干渉することなく、PSまでの走行が容易である。
【0031】
バックステー取替機10が中間デッキ116内を走行してPSまで移動すると、
図15のようにエレベータ27を駆動して、チャッキングヘッド35が上昇される。更に、
図16のように駆動シリンダ38により回転支軸37を上記とは反対方向に回転させ、チャッキングヘッド35が水平軸のまわりに90°回転することでバックステー104が垂直に保持される。その後、クレーン等の重機を使ってバックステー取替機10からバックステー104を受け取って、そのバックステー104が撤去あるいは移動搬送される。
【0032】
一方、新品のバックステーをCSに設置する場合、バックステー取替機10はPSにて重機を使って新品のバックステーを受け取り、基本的に上記とは逆の動作で新品のバックステーを設置することができる。この場合、新品のバックステーを保持したバックステー取替機10は中間デッキ116を走行してCSまで移動する。次にガイド車軌条110上を走行して、新品のバックステーを設置すべき場所で停止し、新品のバックステーの設置作業が行われる。
【0033】
本発明の自走式バックステー取替機10を使用することにより、CSでのバックステー104の交換(取外し及び取付け)が短時間で安全に行なうことができる。
また、PSから炉の中間デッキ部116を走行(横行)し、CSのガイド車軌条110まで走行し、ガイド車軌条110に着いたところでそのガイド車軌条110上を走行することができる。ガイド車106との関係でタイミング等を計りながら適時走行あるいは停止することで、ガイド車106の動きを妨げないようにしながら、極めて効率よくバックステー104の取替作業を実施することができる。
【0034】
また、バックステー104をチャック装置16で把持し、中間デッキ部116を走行することにより、PSからCS(又はその逆)にバックステー104を運ぶことができる。その際、上部旋回基台14とチャック装置16の旋回により、バックステー104の長手方向を横行方向に向ければ、スペースは最低限で済む等の利点がある。
更に、ガイド車軌条110上を走行して所定のバックステー104の前まで行き、チャック装置16によりバックステー104を掴む(又は新規のバックステーを所定位置にセットする)。その際、チャッキングヘッド35の上下動機能、中間ベッド12のスライド機能等により目的のバックステー104に対する位置合せを容易且つ適確に行うことができる。
【0035】
このように本発明の自走式バックステー取替機10によれば、バックステー104の取替のための作業時間を大幅に短縮できる。また、炉を稼動しながらの熱間補修作業の効率と安全性が大幅に向上する。そして、必要時にガイド車軌条110から直ちに退避できるので、コークス炉100の稼動に影響を与えるリスクが大幅に下がる。
なおチャック装置16を適切な形状のもの、例えば炉蓋(炭化室両側即ちPS、CSにあり、石炭やコークスおよび発生したガスを炭化室内に閉じ込めている)を掴むことができるチャック装置に交換すると、この装置をCSの炉蓋交換に使用することもできる。即ち、炉蓋やそれを保持する炉枠等、バックステーと同様に長尺物であるため、CSへの搬入・搬出が困難なものでも、この装置のチャック装置を適切なものにすれば、安全且つ容易に交換ができる。
【0036】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
上記実施形態において、エレベータ27の駆動機構においてプーリもしくは滑車33に巻回されたワイヤ32を介して行われる例を説明したが、それらを用いずに駆動シリンダ31のみにより構成することも可能である。